(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両には、上述の車両用表示装置(車両用計器)の他にも、当該車両用表示装置の周辺に電子機器(例えばオーディオ機器)が搭載されている。通常、オーディオ機器は動作時に電磁ノイズを発生させるものであり、電磁ノイズは周囲に伝播する。従って、このオーディオ機器の周囲に伝播した電磁ノイズの影響を受けて、車両用表示装置に備えられる液晶表示パネル(情報表示体)が誤動作する虞がある。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、情報表示体が誤動作する虞のない車両用表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両情報を表示する
液晶表示パネルと、前記
液晶表示パネルを収納するフレーム本体部と前記フレーム本体部から外側に張り出すように設けられる張出部とを有する導電性のフレーム体と、前記
液晶表示パネルの背後側に配置される回路基板と、前記回路基板に実装され、前記回路基板に設けられた接地部と電気的に接続される導電部材と
、前記液晶表示パネルもしくはその周囲の温度を検出する温度検出ユニットとを備え、前記張出部及び前記回路基板は、ネジのネジ部が各々貫通可能に設けられる第1の貫通孔部及び第2の貫通孔部を有し、前記導電部材は、前記第1、第2の貫通孔部を各々貫通可能に設けられる前記ネジ部が螺合する螺合部を有し、
前記温度検出ユニットは、前記第1、第2の貫通孔部とともに前記ネジ部が貫通可能に設けられる第3の貫通孔部を有する固定部を備え、さらに前記ネジのネジ頭部が前記張出部と当接する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、情報表示体が誤動作する虞のない表示装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1〜
図4に基づいて、本発明の実施形態を車両に搭載された車両用計器に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0010】
図1〜
図3において、本実施形態による車両用表示装置としての車両用計器Dは、車両情報を表示する情報表示体10と、この情報表示体10を収納する導電性のフレーム体20と、情報表示体10の背後側に配置される回路基板30と、情報表示体10と回路基板30との間に配置されるケース部材40と、情報表示体10もしくはその周囲の温度を検出するための温度検出ユニット50と、情報表示体10の可視範囲を定めるための見返し部材60と、この見返し部材60の前面側開口を覆うように設けられる透視パネル70と、その主要部が回路基板30の背後側を覆う裏カバー80とを備えている。
【0011】
情報表示体10は、例えばTFT型の液晶表示パネルを適用することができる。この情報表示体10の表示エリアには、例えば車速情報や走行距離情報等からなる表示部11が視覚情報として表示される。この場合、情報表示体10は、フレキシブル配線板(図示せず)を用いて回路基板30と電気的に接続されている。
【0012】
フレーム体20は、導電性材料(金属材料)によって略枠状にプレス成形され、その主要部をなす枠状の前面壁部21と、この前面壁部21の周縁から下方に向けて垂下形成された側壁部22と、この側壁部22の下端側から前面壁部21と略平行状態をなすように外側に張り出した張出部23とを有している。
【0013】
そして、前面壁部21には、前記表示エリアに対応するように略矩形状の開口窓からなる表示窓部21aが開口形成されている。なお、本例の場合、前面壁部21と当該前面壁部21に一体的に形成された側壁部22とで情報表示体10を内部に収納するフレーム本体部Fが構成されているものとする。
【0014】
張出部23は、側壁部22(フレーム本体部F)の四隅下端側からそれぞれ外側に張り出すように設けられたフランジ部からなり、その略中央部にはネジ頭部92を除いたネジ90のネジ部91が貫通可能に設けられる略円形の貫通孔からなる第1の貫通孔部23aが形成されている。
【0015】
回路基板30は、例えばその表面(もしくは表裏面)に所定の導電路が施された硬質の配線基板からなり、情報表示体10の表示制御を行うマイクロコンピュータからなる制御部(図示せず)と、金属製の導電部材31と、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品とが前記導電路上に導通接続されている。
【0016】
なお、32は、張出部23の第1の貫通孔部23aに対応する位置であって、回路基板30の表裏を貫通するように設けられる第2の貫通孔部であり、この第2の貫通孔部32は、第1の貫通孔部23aと同様にネジ90のネジ部91が貫通可能に設けられる略円形の貫通孔として形成される。
【0017】
導電部材31は、第2の貫通孔部32に対応する回路基板30の背面箇所にその主要部が実装された金属製の導電端子であり、導電性を有するネジ90のネジ部91が螺合する螺合部31aが内周面に形成された筒状部31bと、この筒状部31bの上端側から外側に向けて回路基板30と略平行に延在する薄板状の本体部31cと、この本体部31cの両側端部から前方側に向けて延在(突出)し、回路基板30の孔Hを貫通して回路基板30表面の導電路に設けられたグランド電極(接地部)Gに半田付けにより導通接続された一対の脚部(端子部)31dとを備えている。
【0018】
このように本例の場合、回路基板30に実装される金属端子としての導電部材31は、回路基板30に設けられたグランド電極Gと電気的に接続される構成となっている。
【0019】
ケース部材40は、例えば白色の合成樹脂材料によって形成された樹脂ケースからなり、情報表示体10を保持する保持部41と、張出部23を保持するように回路基板30上に載置される孔部42aを有するボス部42とが一体的に形成された構成となっている。ボス部42の孔部42aは、第1、第2の貫通孔部23a、32とともにネジ部91が貫通可能に設けられる略円形の貫通孔として形成される。
【0020】
温度検出ユニット50は、情報表示体10の周辺に設置される温度検出素子としてのサーミスタ51と、一端側がサーミスタ51に電気的に接続されるとともに他端側が回路基板30にコネクタ等を用いて電気的に接続される配線コード52と、サーミスタ51を内部に収納するための導電性の筒部53と、配線コード52側とは反対側となる筒部53の一端側に位置する環状平滑面53aから張出部23と略平行状態をなすように延在する薄板状の平板部(固定部)54と、筒部53の内部空間Sに充填されるシリコーン樹脂やエポキシ樹脂からなる周知の充填部材(図示せず)とを有している(
図4参照)。
【0021】
そして、筒部53の内部空間Sに前記充填部材が充填された後、前記充填部材が硬化することで、筒部53の内部において、気密性が保持された状態でサーミスタ51を固定保持することが可能となる。
【0022】
なお、平板部54には、第1、第2の貫通孔部23a、32並びに孔部42aに対応する位置に第3の貫通孔部54aが設けられており、この第3の貫通孔部54aは、第1、第2の貫通孔部23a、32並びに孔部42aとともにネジ部91が貫通可能に設けられる略円形の貫通孔として形成される。
【0023】
見返し部材60は、例えば黒色の合成樹脂材料によって形成された樹脂筐体からなり、情報表示体10と透視パネル70との間に配置され、前記表示エリアを露出させるための略矩形状の開口孔61を有している。
【0024】
透視パネル70は、透光性の合成樹脂材料によって形成され、見返し部材60の前側開口を塞ぐようにネジ固定等の適宜固定手段を用いて裏カバー80に取り付けられる。
【0025】
裏カバー80は、合成樹脂材料によって形成された樹脂筐体からなり、見返し部材60側が開口した有底の箱型形状に形成され、その内部空間に情報表示体10やフレーム体20、回路基板30、ケース部材40等の内機部品を収納するものである。なお、裏カバー80は、フック固定等の適宜固定手段を用いて透視パネル70に固定される。
【0026】
以上の各部により、車両用計器Dが構成されている。ここで、フレーム体20と(導電部材31が実装された)回路基板30とケース部材40と温度検出ユニット50とからなる4つの部品をネジ90を用いて組み付ける際の組み付け例を簡単に説明する。
【0027】
まず、車両用計器Dの前方側から車両用計器Dの背後側に向かうに従って、フレーム体20、温度検出ユニット50、ケース部材40、回路基板30の順に位置させる。この際、フレーム体20(張出部23)に設けられた第1の貫通孔部23aと、温度検出ユニット50(平板部54)に設けられた第3の貫通孔部54aと、ケース部材40(ボス部42)に設けられた孔部42aと、回路基板30に設けられた第2の貫通孔部32とが各々連通するように4つの部品を位置合わせする。
【0028】
次に、ネジ頭部92とは反対側に位置するネジ部91下端面が張出部23側を向くようにネジ90をセットし、第1の貫通孔部23a、第3の貫通孔部54a、孔部42a、第2の貫通孔部32の順にネジ部91を順次貫通させ、最後に第2の貫通孔部32を貫通したネジ91部分が螺合部31aに螺合することで、4つの部品の組み付けが完了する。
【0029】
なお、この組み付け例は、フレーム体20(フレーム本体部F)の四隅のうち右下角部にある張出部23部分でのネジ固定の例を示しており、当該四隅のうち右下角部を除いた残りの左上角部、左下角部、右上角部にある張出部23部分での車両用計器Dの断面構成は
図2に示すように
図2の構成に対して平板部54(温度検出ユニット50)を廃止した構成となっているものとする。
【0030】
そして、この4つの部品の組み付け完了時においては、
図2、
図3に示すようにネジ90のネジ頭部92が張出部23に当接した状態であって、なお且つ、
ネジ頭部92と回路基板30との間に
張出部23、平板部54及びボス部42(もしくは
張出部23及びボス部4
2)が挟持されるようにネジ部91が螺合部31aに螺合される構成となる。つまり、このことは、導電部材31が、各貫通孔部23a、32、54a並びに孔部42a(もしくは各貫通孔部23a、32並びに孔部42a)を各々貫通可能に設けられるネジ部91が螺合する螺合部31aを有し、さらにネジ90のネジ頭部92が張出部23と当接する構成となっていることを意味している。
【0031】
ここで、車両用計器Dの周囲にオーディオ機器(電子機器)が搭載されている条件下において、当該オーディオ機器の動作時にオーディオ機器の周囲に伝播する電磁ノイズの影響を車両用計器Dが受けた場合、この電磁ノイズは導電性のフレーム体20、フレーム体20の張出部23と当接している導電性を有するネジ90のネジ頭部92、ネジ90のネジ部91と螺合している導電部材31の螺合部31a、導電部材31の一対の脚部31dと半田付け接続されたグランド電極Gへと順次伝播するため、電磁ノイズの影響を受けて車両用計器Dに備えられる液晶表示パネル(情報表示体10)が誤動作する虞はなくなる。
【0032】
以上のように本実施形態では、張出部23及び回路基板30は、ネジ90のネジ部91が各々貫通可能に設けられる第1の貫通孔部23a及び第2の貫通孔部32を有し、導電部材31は、(少なくとも)第1、第2の貫通孔部23a、32を各々貫通可能に設けられるネジ部91が螺合する螺合部31aを有し、さらにネジ90のネジ頭部92が張出部23と当接する構成としたものである。
【0033】
従って、前記電磁ノイズは、導電性のフレーム体20、フレーム体20(張出部23)と当接しているネジ90、ネジ90(ネジ部91)が螺合している導電部材31(螺合部31a)、導電部材31(一対の脚部31d)と電気的に接続されたグランド電極Gへと順次伝播するため、液晶表示パネル(情報表示体10)には前記電磁ノイズが作用しない構成となり、情報表示体10が誤動作する虞のない車両用計器Dを提供することができる。
【0034】
また本実施形態では、温度検出ユニット50は、第1、第2の貫通孔部23a、32とともにネジ部91が貫通可能に設けられる第3の貫通孔部54aを有する固定部としての平板部54を備えていることにより、張出部23とボス部42と導電部材31が実装された回路基板30とをネジ90を利用して固定する際に平板部54(温度検出ユニット50)を同時に共締め固定することができるため、組み付け作業性の良好な車両用計器Dを提供することができる。
【0035】
なお、本発明は、上述の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、張出部23と回路基板30との間にケース部材40のボス部42が少なくとも挟持されているものであったが、例えばボス部42を廃止し、張出部23と回路基板30とを当接させる(つまり回路基板30上に張出部23をダイレクトに載置する)構成としてもよい。
【0037】
従って、この場合、右下角部にある張出部23部分での車両用計器Dの断面構成にあっては、導電部材31は、第1の貫通孔部23aと第2の貫通孔部32と第3の貫通孔部54aとを各々貫通可能に設けられるネジ部91が螺合する螺合部31aを有する構成となり、残りの左上角部、左下角部、右上角部にある張出部23部分での車両用計器Dの断面構成にあっては、導電部材31は、第1、第2の貫通孔部23a、32(のみ)を各々貫通可能に設けられるネジ部91が螺合する螺合部31aを有する構成となる。