(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱部と、この加熱部と循環先との間を結ぶ循環路と、循環ポンプと、所定条件の成立により前記循環ポンプを作動させて前記加熱部により加熱された湯を前記循環先との間に循環させて前記循環路内を保温する保温運転を実行するための保温運転制御部とを備えた給湯装置であって、
前記循環路内の湯水の路内温度を検出するための温度センサを備え、
前記保温運転制御部は、
前記温度センサにより検出される検出路内温度が予め設定された保温運転開始温度以下になれば前記保温運転を開始する一方、前記保温運転により前記検出路内温度が予め設定された保温運転停止温度以上まで上昇すれば前記保温運転を停止するように構成され、かつ、前記保温運転を開始してから所定の設定時間が経過しても前記検出路内温度が前記保温運転停止温度以上まで上昇しなければ、前記循環路のその時点の検出路内温度を前記保温運転停止温度として更新するように構成され、
さらに、前記保温運転制御部への通電時間を積算する積算部を備え、
前記保温運転制御部は、前記積算部により積算された通電時間が、環境要因の変化を表すものとして設定された所定の設定通電時間に達する毎に前記保温運転停止温度を初期設定された元の値に戻すように構成されている、
ことを特徴とする給湯装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給湯装置から給湯栓まで給湯用に設置される配管や、保温運転用の戻し路のために設置される配管は、設置現場に応じて屋外に設置されたり、比較的長い距離に亘り配管されたりする場合がある。このため、季節に変動に基づく外気温の影響を受け易くなり、配管を通過する間の放熱(以下、「配管放熱」という)の増大により不都合発生のおそれが考えられる。例えば、給湯待機時に、循環ポンプの作動により湯水を給湯路から戻し路を介して給水路に戻し、燃焼バーナで加熱した上で給湯路に循環させるという保温運転として、給湯路等の滞留湯水の温度が所定の保温運転開始温度まで低下すれば循環ポンプ及び燃焼バーナを作動させて保温運転を開始し、これにより、循環湯水の温度が所定の保温運転停止温度まで上昇すれば循環ポンプ及び燃焼バーナを停止させて保温運転を停止する、という保温運転制御を実施した場合を考えると、次のような不都合発生のおそれが考えられる。
【0006】
すなわち、給湯路から戻された湯水を燃焼バーナにより加熱したとしても、配管放熱による放熱量が比較的大きいときには、循環湯水の温度上昇度合が鈍くなり、その結果、燃焼バーナの燃焼を長時間継続させたとしても、保温運転停止温度まで上昇しないという場合が発生することも考えられる。この場合には、保温運転が停止に至らず、次の給湯使用まで燃焼作動が継続してしまうことになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、給湯などの運転の待機時に実行される保温運転制御において、保温運転が過度に長時間に亘り継続してしまうことを回避しつつ、保温運転に基づく保温機能をも担保し得る給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、加熱部と、この加熱部と循環先との間を結ぶ循環路と、循環ポンプと、所定条件の成立により前記循環ポンプを作動させて前記加熱部により加熱された湯を前記循環先との間に循環させて前記循環路内を保温する保温運転を実行するための保温運転制御部とを備えた給湯装置を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記循環路内の湯水の路内温度を検出するための温度センサを備えることとし、前記保温運転制御部として、前記温度センサにより検出される検出路内温度が予め設定された保温運転開始温度以下になれば前記保温運転を開始する一方、前記保温運転により前記検出路内温度が予め設定された保温運転停止温度以上まで上昇すれば前記保温運転を停止するように構成され、かつ、前記保温運転を開始してから所定の設定時間が経過しても前記検出路内温度が前記保温運転停止温度以上まで上昇しなければ、前記循環路のその時点の検出路内温度を前記保温運転停止温度として更新する構成とす
る。
【0009】
この
特定事項を備える場合、例えば外気温が急激に低下するような季節の変わり目等においては配管放熱が増大し、加熱部での燃焼により加えられた熱量の殆どが配管放熱により失われてしまう結果、いくら保温運転に基づく循環を継続させても、循環湯水の温度は殆ど上昇していない、という環境下にあっても、保温運転の実行に伴い加熱部が過度に長時間に亘り連続燃焼し続けてしまう事態を回避することが可能となる。すなわち、設定時間が経過しても検出路内温度が保温運転停止温度まで上昇しない場合には、その時点の検出路内温度を保温運転停止温度として新たに設定し直して更新させるようにしているため、加熱部でのそれ以上の燃焼継続が回避される。加えて、繰り返し保温運転制御部による保温運転が実行されて、保温運転停止温度が更新されることにより、そのときの季節等の環境要因に基づく配管放熱の変化等に応じて学習により更新された保温運転停止温度を用いて適切かつ有効に保温運転を行うことができるようになる。その一方、保温運転停止後に路内温度が早期に保温運転開始温度まで低下すると考えられるため、次の保温運転が早期に開始されるため、前記環境下における保温機能をも適切に担保することができるようになる。
【0010】
さらに、本発明
では、前記保温運転制御部への通電時間を積算する積算部を備えることとし、前記保温運転制御部として、前記積算部により積算された通電時間が、環境要因の変化を表すものとして設定された所定の設定通電時間に達する毎に前記保温運転停止温度を初期設定された元の値に戻す構成とすること
とした(請求項
1)。このようにすることにより、設定通電時間の経過をもって環境要因が変化した可能性があるとして、それまで学習により更新した保温運転停止温度を初期設定値に戻し、再度、現時点の環境要因の下で、保温運転停止温度の判定及び更新を行うことが可能となる。これにより、季節変動や設置環境の変更等が生じても、その環境要因に応じた保温運転停止温度の学習を行うことができ、保温運転制御部による保温運転を適切かつ有効に実行させることが可能となる。
【0011】
本発明の給湯装置において、前記保温運転制御部により既に実行された保温運転制御により獲得された更新内容を解除するための解除スイッチを備えるようにすることができる(請求項
2)。このようにすることにより、ユーザー自身の意思によって、保温運転制御部による学習等を解除してリセットすることができ、ユーザー意図に沿った給湯装置の作動を実現させることが可能となる。
【0012】
さらに、本発明の給湯装置において、前記循環先が給湯先を含み、給水路と、この給水路を通して給水される水を燃焼熱により熱交換加熱するための加熱部と、この加熱部で熱交換加熱された湯を前記給湯先に向けて給湯するための給湯路と、前記給湯先の近傍から分岐して湯水を前記給水路に戻すための戻し路とを備え、前記保温運転制御部として、給湯待機時に、前記戻し路に介装された循環ポンプを作動させて、前記戻し路を通して戻された湯水を前記加熱部で熱交換加熱した上で給湯路に出湯させる構成とすることができる(請求項
3)。このようにすることにより、前回の給湯使用が終了して次回の給湯使用までの給湯待機時において、給湯先までの給湯路内の湯水温度を給湯使用に適した所望の温度に保温し、次回の給湯使用時に即座に所望の温度の湯を出湯させることができるという即湯機能を実現させつつ、環境要因等に起因する配管放熱の影響による不都合の発生を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、本発明の給湯装置によれば、例えば外気温が急激に低下するような季節の変わり目等においては配管放熱が増大し、加熱部での燃焼により加えられた熱量の殆どが配管放熱により失われてしまう結果、いくら保温運転に基づく循環を継続させても、循環湯水の温度は殆ど上昇していない、という環境下にあっても、保温運転の実行に伴い加熱部が過度に長時間に亘り連続燃焼し続けてしまう事態を回避することができるようになる。すなわち、設定時間が経過しても検出路内温度が保温運転停止温度まで上昇しない場合には、その時点の検出路内温度を保温運転停止温度として新たに設定し直して更新させるようにしているため、加熱部でのそれ以上の燃焼継続を回避することができる。加えて、繰り返し保温運転制御部による保温運転が実行されて、保温運転停止温度が更新されるため、そのときの季節等の環境要因に基づく配管放熱の変化等に応じて学習により更新された保温運転停止温度を用いて適切かつ有効に保温運転を行うことができるようになる。その一方、保温運転停止後に路内温度が早期に保温運転開始温度まで低下すると考えられるため、次の保温運転が早期に開始されて、前記環境下における保温機能をも適切に担保することができるようにな
る。しかも、設定通電時間の経過をもって環境要因が変化した可能性があるとして、それまで学習により更新した保温運転停止温度を初期設定値に戻し、再度、現時点の環境要因の下で、保温運転停止温度の判定及び更新を行うことが可能となる。これにより、季節変動や設置環境の変更等が生じても、その環境要因に応じた保温運転停止温度の学習を行うことができ、保温運転制御部による保温運転を適切かつ有効に実行させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る即湯機能付の給湯装置の例を示したものである。
【0017】
まず、給湯装置1の全体構成について、簡単に説明する。加熱対象である湯水は、缶体2内の熱交換器21に対し給水路3を通して入水され、熱交換器21において燃焼バーナ22の燃焼熱により所定の高温(例えば最高75℃)まで熱交換加熱された後に給湯路4に出湯される。次いで、出湯された湯に対し途中の混合部5においてバイパス路6からの水を混水することで設定給湯温度に温調し、温調後の湯が給湯路4及び給湯配管7を通して給湯栓71まで給湯されるようになっている。これらの入水、出湯及び給湯は、給水路3の上流端に接続された、例えば水道管からの供給圧や、他の供給系からのポンプ給水圧等に基づいて行われる。なお、
図1では、給湯栓71として1つのみを図示しているが、台所や洗面所の給湯栓に加え浴槽栓やシャワーカラン等の複数個所に設置することができ、これらによって給湯先が構成されている。
【0018】
又、給湯待機時(給湯非使用時であって給湯使用が行われるまで待機している時)において、給湯路4や給湯配管7内の湯水を所定温度に予め保温しておくための即湯循環回路8が設けられている。すなわち、即湯循環回路8は、循環ポンプ81の作動により給湯路4及び給湯配管7内の湯水を給水路3に流入させることで缶体2の入水側に戻して加熱することによって、缶体2と給湯栓71側との間で循環加熱させて即湯機能を実現させるようになっている。なお、同図中の符号30は給水路3の上流側への逆流を阻止する逆止弁、符号80は給水路3から即湯循環回路8側への逆流を阻止する逆止弁である。以下、各構成要素について、詳細に説明する。
【0019】
缶体2は、送風ファン9からの燃焼用空気及び燃料供給系23からの燃料ガスの供給を受けて燃焼する燃焼バーナ22と、この燃焼バーナ22の燃焼熱により熱交換加熱される熱交換器21とが内蔵されている。燃焼バーナ22と熱交換器21とにより、加熱部が構成されている。燃料供給系23は、ガス供給管230と、元ガス電磁弁231と、ガス比例弁232とを備えて構成されている。
【0020】
熱交換器21としては、燃焼ガスの顕熱により熱交換加熱するための主熱交換器24と、主熱交換器24通過後の燃焼排ガスの潜熱回収により予熱するための副熱交換器25とで構成された例を図示している。そして、前記副熱交換器25の入口には給水路3の下流端が接続され、副熱交換器25を通過する間に予熱された後に主熱交換器24を通過する間に熱交換加熱され、加熱後の湯が、主熱交換器24の出口に接続された給湯路4の上流端に出湯されるようになっている。
【0021】
一方、副熱交換器25での潜熱回収の際に、燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮することにより強酸性のドレンが発生するため、このドレンをドレンパン26により集水し、例えば中和処理槽(図示省略)での中和処理等を施した上で排水するようになっている。なお、熱交換器21として2種類のもの24,25を備えている点や、ドレン処理用の構成要素26を備えている点などは、本発明において必須のものではなく、給水を受けて加熱し得るものであれば本発明を適用することができる。従って、熱交換器21は、前記の主熱交換器24のみによって構成することができる。
【0022】
燃焼バーナ22は、燃焼量可変(燃焼能力可変)に構成され、これにより、出湯能力が可変とされている。このような燃焼バーナ22として、例えば、ガス開閉切換弁(能力切換弁)により個別に燃料供給可能とされる複数本の燃焼ノズルを備えたもので構成し、各ガス開閉切換弁をコントローラ10により開閉切換制御することで、燃焼作動させる燃焼ノズルの本数を選択的に変更調整することができる。図例のものは、右から2本、1本、2本、4本、8本、4本の燃焼ノズルにグループ分けされ、能力切換弁221を開切換すれば
図1の右端側の2本の燃焼管に、能力切換弁222を開切換すれば左隣りの1本の燃焼管に、能力切換弁223を開切換すればさらに左隣りの2本の燃焼管に、というように燃料ガスが供給可能になっている。これにより、例えば1段〜6段という6段階に燃焼能力が切換可能となっている。加えて、各段の燃焼ノズルに供給されるガス流量を可変にすることでも燃焼量を可変とすることができる。以上のような燃焼量の連続可変制御により、出湯能力、つまり主熱交換器24での熱交換加熱量として所定の最小出力号数から最大出力号数(例えば24号)の範囲で出湯能力を可変とすることができる。ここで、1.0号とは、1L/minの流量の水を25℃昇温させ得る出湯能力のことであり、燃焼によるガス消費量分の発熱量に熱交換効率を乗じたものに相当する。
【0023】
給水路3は、その途中の分岐位置31からバイパス路6の上流端が分岐され、その分岐位置31よりも下流側(缶体2側)の合流位置32において即湯循環回路8の戻し路83の下流端が合流されている。そして、逆止弁30が合流位置32よりも上流側であって、前記分岐位置31よりも下流側の給水路3に介装されている。又、前記合流位置32よりも下流側の給水路3には、缶体2に入水される水の入水流量を検出するための入水流量センサ33と、その入水温度を検出する入水温度センサ34とがそれぞれ介装されている。なお、
図1中の符号35は水抜き栓であり、この水抜き栓35には過圧防止用の安全弁36が設けられている。この安全弁36は、流路内に異常水圧が作用して所定の上限内圧(例えば2kPa)を超えると開弁して、過剰圧を外部に逃がすものである。
【0024】
給湯路4には、熱交換器21の出口から混合部5までの間に、缶体2で熱交換加熱されて昇温した高温湯の出湯温度(缶体温度)を検出するための缶体温度センサ41と、出湯流量調整弁42とが介装されている。又、混合部5の下流側位置の給湯路4には、混合部5で温調された後の湯の温度を検出するための出湯温度センサ43が介装されている。そして、給湯路4の下流端の接続口44に給湯配管7の上流端が接続され、給湯配管7の下流端に給湯栓71が接続されている。なお、給湯路4の接続口44に対し給湯栓71を直接的に接続することができ、この場合には給湯配管7の設置が省略される。なお、前記の給湯路4及び給湯配管7によって、熱交換器21から出湯されて混合部5を介して下流端に向けて給湯するための「給湯路」が構成されている。
【0025】
混合部5には、給湯路4に加えて、バイパス路6の下流端が合流するように接続されている。このバイパス路6を通して、給水路3から分流させた水が混合部5に対し導入可能となっている。この混合部5が、給湯路4とバイパス路6との合流部を構成する。バイパス路6には、給水路3から分流するバイパス流量を検出するバイパス流量センサ61と、バイパス流量調整弁62とが介装されている。そして、後述のコントローラ10によるバイパス流量調整弁62に対する開度制御により、混合部5において、給湯路4からの高温の湯に対しバイパス路6からの所定量の水が混合(混水)されて、給湯路4の接続口44に向けて所定の設定給湯温度(例えば43℃)に温調した湯を給湯し得るようになっている。
【0026】
即湯循環回路8は、上流端の接続口82から給水路3の合流位置32に下流端が接続された戻し路83と、給湯栓71の近傍付近の給湯配管7に設定された分岐位置84から上流端が分岐して下流端が接続口82に接続された戻し配管85とからなる戻し流路86を備えている。循環ポンプ81は前記の戻し路83に介装され、逆止弁80は接続口82に内蔵されている。そして、保温運転制御により循環ポンプ81が作動されると、給湯配管7内等に滞留している湯水が戻し配管85及び戻し路83を通して合流位置32の給水路3に戻されるようになっている。そして、給水路3に戻された湯水は、続いて熱交換器21に送られて燃焼バーナ22の燃焼熱により加熱された上で、給湯路4及び給湯配管7を通して給湯栓71の側に戻されて循環されることになる。このように循環ポンプ81の作動により湯水が循環される経路のことである、戻し配管85、戻し路83、合流位置32から下流側の給水路3、熱交換器21内の流路、給湯路4及び給湯配管7からなる経路によって、即湯循環回路8の循環経路が構成され、なかでも、現場設置される戻し配管85及び給湯配管7を除き給湯装置に内蔵されている経路によって、循環路11が構成されている。
【0027】
以上の給湯装置の作動制御がコントローラ10により実行されるようになっている。すなわち、リモコン101に設定された設定給湯温度の湯を給湯する給湯運転制御や、給湯待機時に実行される保温運転制御等の作動制御が、例えば台所に設置されたリモコン101からの設定給湯温度等の設定信号や操作信号等の出力や、種々の温度センサ等からの検出信号の出力を受けて、コントローラ10により実行される。コントローラ10は、制御部を構成するものであり、MPUや書き換え可能メモリを備えるマイコン等を備え、メモリに記憶されたプログラム及び各種データに基づいて前記の給湯運転制御等を行うようになっている。
【0028】
なお、前記のリモコン101には、保温運転制御の実行を許容するか、拒否するか、をユーザーが操作し得る即湯スイッチ102が設けられており、この即湯スイッチ102に、保温運転制御を解除させるための解除スイッチの機能が付与されている。ユーザーが即湯スイッチ102を予めONにしておけば、後述の如き保温運転制御の実行が可能となり、OFFにしておけば給湯待機時において保温運転制御は行われないようにすることができる。又、既にON操作された即湯スイッチ102をユーザーがOFFに切換えれば、その時点で保温運転制御の実行・非実行の如何に拘わらず、保温運転制御が解除され、それまでの保温運転停止温度についての後述の学習がキャンセルされて初期設定値に戻され、通電時間の積算値等がクリアされることになる。これにより、ユーザー自身の意思によって、保温運転制御による学習等を解除してリセットすることができ、ユーザー意図に沿った給湯装置の作動を実現させることができる。
【0029】
給湯運転制御は、給湯栓71がユーザーにより開栓操作され、それに伴い給水路3に水が入水し、その入水流量が所定の最低作動流量以上になったことを入水流量センサ33により検出されると、制御が開始されて燃焼バーナ22の燃焼が開始される。燃焼バーナ22での必要燃焼量(必要号数)が、入水温度センサ34により検出される入水温度、入水流量センサ33により検出される入水流量、及び、熱交換器21で加熱するための目標の設定温度(例えば65℃)によって演算され、演算結果に基づいて所定の燃焼量で燃焼制御される。これにより、所定の高温の湯が給湯路4を通して混合部5に供給される。そして、混合部5での混水による温調制御として、入水温度センサ34により検出された入水温度と、缶体温度センサ41により検出された缶体温度と、入水流量センサ33及びバイパス流量センサ61により検出された流量とに基づいて、混水後の湯が設定給湯温度になるようにバイパス路6からの混水流量が演算され、演算結果に基づいてバイパス流量調整弁62の開度制御が行われる。以上により、設定給湯温度の湯が給湯栓71まで給湯され、給湯栓71からその湯が出湯される。
【0030】
給湯栓71がユーザーにより閉栓操作されると、給水路3内の水の流れも止まり、入水流量センサ33の検出値も最低作動流量よりも小さくなるため、燃焼作動を停止させて、給湯運転制御が終了する。そして、給湯栓71がユーザーにより再度開栓操作される再出湯時まで給湯待機状態になる。
【0031】
次に、保温運転制御について、
図2を参照しつつ説明する。以下の保温運転制御は、その保温運転の実行中に給湯栓71が開操作されて給湯使用が開始されると、その保温運転を即座に停止して給湯運転制御に移行するようになっている。保温運転制御の前提として、コンセント103(
図1参照)が電源に差し込まれてコントローラ10のMPUに通電が開始されると、その通電時間の積算を開始するようになっている(ステップS1)。そして、運転スイッチのON操作及び給湯栓71の開操作により給湯使用が開始された後、その給湯運転制御が終了すると保温運転制御による監視が開始される。まず、積算通電時間が設定通電時間以下か否かを判定し、設定通電時間以下であることを確認した上で(ステップS2でYES)、次に、検出路内温度が保温運転開始温度以下まで低下したか否かを判定する(ステップS3)。検出路内温度が保温運転開始温度以下まで低下していれば、保温運転を開始し、併せて保温運転に係る燃焼時間の積算を開始する(ステップS3でYES,S4,S5)。
【0032】
ここで、路内温度とは前記の循環路11内の湯水の温度であり、路内温度として、例えば出湯温度センサ43により検出される出湯温度を用いることができる。又、保温運転開始温度や後述の保温運転停止温度とは、保温運転制御のために予め初期設定された温度値のことであり、原則として、設定給湯温度との関係で定めることができる。保温運転の目的が、次回の給湯使用時において給湯栓71から即座に所望の温度(設定給湯温度)の湯を出湯させ得るようにすることであるため、設定給湯温度との関係で定めることが合理的だからである。例えば、路内温度として前記の出湯温度を用いる場合であれば、保温運転開始温度として[設定給湯温度−α]℃、保温運転停止温度として[設定給湯温度+β]℃を設定することができる。αとしては例えば5℃程度を用いることができ、βとしては例えば2〜5℃程度を用いることができる。特に、保温運転停止温度は、設定給湯温度の温度値の高低に応じてβの値を変化させることができる。この場合、設定給湯温度が高い程、βの値も大きくすることができる。例えば、設定給湯温度が43℃であればβ=2℃、45℃であればβ=5℃というように設定することができる。
【0033】
なお、保温運転停止温度についての監視対象である路内温度としては、前記の出湯温度センサ43により検出される温度を用いることができるし、循環路11の他の位置に配設した温度センサにより検出される温度を用いることもできる。例えば給湯先(循環先)である給湯栓71側から戻される部位の循環路11に流れる湯水の温度、具体的には、例えば、給水温度センサ34により検出される給水温度を路内温度として用いて、保温運転停止温度と対比することができる。又、高温出湯(例えば60℃以上の高温出湯)を許容又は禁止するためのスイッチ(例えばDipスイッチ)が設けられている場合には、前記の設定給湯温度との関係で予め設定した保温運転開始温度に代えて、他の考え方により保温運転開始温度を初期設定することができる。
【0034】
ステップS4の保温運転としては、まず循環ポンプ81を作動した上で燃焼バーナ22を燃焼作動させる。この際、保温運転のための燃焼制御としては、最小側又は小側の燃焼量範囲で連続燃焼させる。例えば、能力切換弁221のみを開切換させて2本の燃焼ノズルを燃焼作動させる1段燃焼、あるいは、能力切換弁222も開切換させて3本の燃焼ノズルを燃焼作動させる2段燃焼により行うことができる。
【0035】
そして、積算燃焼時間、つまり保温運転の継続時間が設定燃焼時間以下であることを確認した上で(ステップS6でYES)、検出路内温度が保温運転停止温度以上まで上昇したか否かを判定する(ステップS7)。保温運転停止温度まで上昇していなければ、ステップS6に戻って積算燃焼時間についての判定を繰り返した上で、ステップS7の保温運転停止温度についての判定を繰り返す。検出路内温度が保温運転停止温度以上まで上昇すれば(ステップS7でYES)、保温運転を停止する(ステップS8)。すなわち、燃焼バーナ22の燃焼作動を停止させ、循環ポンプ81を停止させる。そして、燃焼時間の積算値をクリアしてステップS1にリターンする(ステップS9)。
【0036】
一方、ステップS6の判定において、積算燃焼時間が設定燃焼時間(例えば1時間)以下ではない、つまり、設定燃焼時間を超えて保温運転のための燃焼が継続しているときには(ステップS6でNO)、保温運転停止温度として現在の路内温度(その時点で検出される路内温度)と同じ温度値を新たに設定し直した上で(ステップS10)、ステップS7で再設定した保温運転停止温度との対比判定を経て保温運転を停止させる(ステップS7でYES,S8)。そして、燃焼時間の積算値をクリアした上で(ステップS9)、リターンする。再度、保温運転を継続したときに(ステップS4,S5)、やはり設定燃焼時間を超えても設定し直した保温運転停止温度まで上昇しないときには(ステップS6でNO)、再度、保温運転停止温度が設定し直される(ステップS10)、というように保温運転停止温度が順次変更設定されることになる。つまり、保温運転停止温度を、そのときの季節等の環境要因に基づく配管放熱の変化等に応じて学習により更新することができることになる。
【0037】
例えば、外気温が急激に低下するような季節の変わり目等においては配管放熱が増大し、燃焼バーナ22の燃焼により加えられた熱量の殆どが配管放熱により失われてしまう結果、いくら保温運転に基づく循環を継続させても、戻し路83により戻される循環湯水の温度は殆ど上昇していない、という事態の発生も考えられる。このような環境下にあっても、保温運転の実行に伴い燃焼バーナ22が過度に長時間に亘り連続燃焼し続けてしまう事態を回避することができる一方、保温運転停止後に路内温度が早期に保温運転開始温度まで低下すると考えられるため、次の保温運転が早期に開始され、前記環境下における保温機能(即湯機能)をも担保することができるようになる。
【0038】
このように保温運転開始温度の学習による更新を行うことにより、その時期における環境下での前記作用効果を得ることができるものの、季節は順次移り変わっていく。あるいは、前記の外部配管(例えば給湯配管7や戻し配管85)の設置場所の変更工事等の設置環境が変化する場合も生じ得る。このため、ステップS2の判定において、積算通電時間が設定通電時間を超えると(ステップS2でNO)、それまで学習により更新された保温運転停止温度の値を初期化して初期設定の温度値に戻した上で(ステップS11)、積算通電時間の積算値をクリアして(ステップS12)、リターンする。つまり、時間経過を監視し、所定期間の経過をもって環境要因(季節要因や設置環境)が変化した可能性があるとして、それまで学習により更新した保温運転停止温度を初期設定値に戻し、再度、現時点の環境要因の下で、保温運転停止温度の判定及び更新を行うようにしている。これにより、季節変動や設置環境の変更等が生じても、その環境要因に応じた保温運転停止温度の学習を行うことができ、適切かつ有効に保温運転制御を実行させることができるようになる。設定通電時間としては、例えば1ヶ月〜3ヶ月に相当する時間値を設定することができ、環境要因の変化をきめ細かく反映させるにはより短めの時間値(例えば1ヶ月に相当する時間値)、最低限の反映を実現させるにはより長めの時間値(例えば3ヶ月に相当る時間値)を設定通電時間として設定することができる。
【0039】
<他の実施形態>
本発明は前記実施形態に限らず、種々の形態を含むものである。すなわち、前記実施形態の給湯装置に限らず、他の構成の給湯装置に対し本発明を適用することができる。例えば、
図3に示すような貯湯循環式の給湯装置や、
図4に示すようなろ過昇温循環式の給湯装置に対し本発明を適用することができる。
図3のものは、複数の給湯器12,12,…を並列に連結し、循環ポンプ131の作動により貯湯槽14の底部から湯水を導出させて給水路を通して加熱部である所定数の給湯器12,12,…に入水させ、加熱後の湯を給湯路を通して貯湯槽14の頂部に戻して貯湯するという、加熱部と循環先である貯湯槽14との間を結ぶ循環加熱が可能な循環路13を備えている。加えて、循環ポンプ151の作動により貯湯槽14の頂部から高温湯を導出して底部に戻す循環路15の途中に給湯栓152を分岐させている。そして、循環路13による循環加熱制御が休止されて次回の循環加熱制御が開始されるまでの待機時に、外部配管される場合が多い循環路13を対象にして保温運転を実行させるのである。この場合には、循環路13内の湯水の路内温度が保温運転開始温度まで低下すれば、循環ポンプ131を作動させて給湯器12,12,…を燃焼作動させる。これにより、貯湯槽14内の湯水が循環路13を通して給湯器12,12,…との管で循環され、循環路13内の湯水の温度が上昇する。そして、循環路13内の路内温度が保温運転停止温度まで上昇すれば、保温運転を停止させる。このような保温運転制御に対し前記実施形態で説明したと同様の保温運転停止温度の学習・更新を適用することができる。
【0040】
又、
図4のものは、ろ過昇温循環路16と、循環路17とを備えている。ろ過昇温循環路16は、循環ポンプ161の作動により、浴槽Hから湯水を抜き出してろ過器を備えた貯湯槽18の底部に戻す一方、頂部から浴槽Hに湯水を導入するという循環作動の途中で薬注タンク162から殺菌用の薬液を注入することで、浴槽H内の湯水を昇温させつつろ過及び殺菌を行うものである。又、循環路17は、貯湯槽18内の湯水を加熱するための液−液熱交換器171と、この液−液熱交換器171に対し加熱部である給湯器12,12により高温に加熱した湯を循環供給するための循環ポンプ172とを備えている。そして、循環路17による熱源の循環供給が休止されて次回の循環供給が開始されるまでの待機時に、外部配管される場合が多い循環路17を対象にして保温運転を実行させるようになっている。この場合には、循環路17内の湯水の路内温度が保温運転開始温度まで低下すれば、循環ポンプ172を作動させて給湯器12,12を燃焼作動させる。これにより、給湯器12,12からの高温の湯が循環先である液−液熱交換器171との間で循環路17を通して循環供給されるため、循環路17内の湯水の温度が上昇する。そして、循環路17内の路内温度が保温運転停止温度まで上昇すれば、保温運転を停止させる。このような保温運転制御に対し前記実施形態で説明したと同様の保温運転停止温度の学習・更新を適用することができる。
【0041】
前記実施形態では、コントローラ10内のカウンタータイマ(積算部)により通電時間を積算し、設定通電時間の経過により保温運転停止温度の学習・更新を初期化することで環境要因(季節)の変化に対応させることとしているが、これに代えて、例えば雰囲気温度センサ(外気温度センサ)の検出値を用いたり、コントローラ10によるカレンダー機能(日付データ)を用いたりして、前記保温運転停止温度の学習・更新を初期化するようにすることができる。