特許第6819239号(P6819239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819239
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】リモコン装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20210114BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20210114BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   G09F9/00 350Z
   H05K5/03 D
   H04Q9/00 371Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-226520(P2016-226520)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2018-84631(P2018-84631A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 慶彦
【審査官】 小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−205269(JP,A)
【文献】 特開2010−147094(JP,A)
【文献】 特開2007−165765(JP,A)
【文献】 米国特許第04422728(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
H05K 5/00−5/06
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と、
前記ケース本体の表面側に取り付けられる表示モジュールと、
前記ケース本体の裏面側に取り付けられる構成部材と、
を備えたリモコン装置において、
前記表示モジュールは、弾性変形をして前記ケース本体に着脱するための爪部を備え、
前記ケース本体は、前記爪部の係合部を有する係合穴を備え、
前記構成部材は、前記ケース本体に取り付けた状態で、前記係合部に係合させた前記爪部が該係合部から外れる弾性変形を規制する規制部を有している、
ことを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
前記ケース本体は、表面側に前記表示モジュールを収容する凹状部を有し、
前記凹状部の底部に前記係合穴を具備させた、
請求項1に記載のリモコン装置。
【請求項3】
前記表示モジュールは、前記爪部を対向する位置に一対備え、
前記構成部材は、一対の前記爪部の間の対向する位置に前記規制部を有している、
請求項1または2に記載のリモコン装置。
【請求項4】
前記係合部に係合させた前記爪部と前記規制部との隙間を、前記係合部に係合させる前記爪部の爪部分の突出量よりも小さい寸法とした、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリモコン装置。
【請求項5】
前記構成部材は、前記ケース本体に取り付けられる基板である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のリモコン装置。
【請求項6】
前記基板は、前記爪部の位置が切り欠かれて前記規制部が形成されている、
請求項5に記載のリモコン装置。
【請求項7】
前記ケース本体は、前記基板を係止する一対の係止片を備え、
前記基板は、前記ケース本体の前記係止片に係止して取り付けられている、
請求項5または6に記載のリモコン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示モジュールを爪部でケース本体に着脱するリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リモコン装置には液晶表示部などを有する表示モジュールが備えられ、使用者が操作内容などを確認できるようになっている。この表示モジュールは、基板に取り付けられたものもあるが、基板と別体で構成されたものもある。基板と別体で構成された表示モジュールの場合、背面に設けられた爪部によってケース本体に取り付けられるものがある。この構成の一般的な爪部は、表示モジュールからケース本体に向けて延びる突出部分と、この突出部分の先端に設けられた爪部分とを有している。突出部分は、ケース本体に係合させる段階で弾性変形が可能となっており、爪部分をケース本体の係合部に係合させるときに弾性変形し、係合させた後は弾性変形で元に戻るようになっている。
【0003】
上記した表示モジュールをケース本体に装着する場合、表示モジュールの爪部をケース本体の係合穴に向けて押し込むことで、突出部分が弾性変形して爪部分がケース本体の係合部に係合されて、表示モジュールがケース本体に取り付けられる。表示モジュールは、爪部を係合部から外すことでケース本体から取り外すことができる。
【0004】
この種の先行技術として、本出願人が先に出願したリモコン装置の取付構造がある(例えば、特許文献1参照)。この取付構造では、表示モジュールを有するケースを取付板に爪部で係止した後、ケースの周囲を化粧カバーで覆うことで、爪部が取付板から外れないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5541459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、リモコン装置は、表示モジュールが装着された状態で搬送されるときに落下させてしまうことがある。そして、上記したように表示モジュールを爪部でケース本体に取り付けた構造のリモコン装置の場合、落下時の衝撃で爪部の係合が外れてしまう場合がある。衝撃で表示モジュールがケース本体から外れると、リモコン装置の品質不良に至る場合がある。
【0007】
なお、上記特許文献1の場合、表示モジュールをケース本体に爪部で係止する構造ではないため、搬送中における落下の衝撃で表示モジュールがケース本体から外れることはない。
【0008】
本発明は、表示モジュールの爪部をケース本体に係止した状態で、爪部が外れないようにできるリモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、ケース本体と、前記ケース本体の表面側に取り付けられる表示モジュールと、前記ケース本体の裏面側に取り付けられる構成部材と、を備えたリモコン装置において、前記表示モジュールは、弾性変形をして前記ケース本体に着脱するための爪部を備え、前記ケース本体は、前記爪部の係合部を有する係合穴を備え、前記構成部材は、前記ケース本体に取り付けた状態で、前記係合部に係合させた前記爪部が該係合部から外れる弾性変形を規制する規制部を有している。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「構成部材」は、「基板」などの板材を含む。
【0010】
この構成により、表示モジュールの爪部がケース本体の係合部から外れようとしても、板材によって弾性変形が規制されるため、爪部が係合部から外れて表示モジュールがケース本体から脱落することを防止できる。
【0011】
また、前記ケース本体は、表面側に前記表示モジュールを収容する凹状部を有し、前記凹状部の底部に前記係合穴を具備させてもよい。このように構成すれば、表示モジュールを独立した構成としてケース本体に支持せることができるので、表示モジュールをタッチパネルで構成したとしても、表示モジュールに作用する押す力などをケース本体で受けるようにできる。
【0012】
また、前記表示モジュールは、前記爪部を対向する位置に一対備え、前記構成部材は、一対の前記爪部の間の対向する位置に前記規制部を有していてもよい。このように構成すれば、表示モジュールに備えられた一対の対向する爪部をケース本体の係合部に係合させることができる。ケース本体に取り付けられた表示モジュールは、板材を取り付けることで規制部によって外れる方向への弾性変形が規制されて、ケース本体からの外れ防止を図ることができる。
【0013】
また、前記係合部に係合させた前記爪部と前記規制部との隙間を、前記係合部に係合させる前記爪部の爪部分の突出量よりも小さい寸法としてもよい。このように構成すれば、構成部材の規制部によって爪部が係合部から外れる弾性変形を適切に規制することができる。
【0014】
また、前記構成部材は、前記ケース本体に取り付けられる基板であってもよい。このように構成すれば、ケース本体の内部に取り付けられる基板に、表示モジュールの外れ防止のための構成を備えさせることができる。よって、構成部材数を増やすことなく表示モジュールの外れ防止を図ることができる。
【0015】
また、前記基板は、前記爪部の位置が切り欠かれて前記規制部が形成されていてもよい。このように構成すれば、切り欠かれて形成された規制部を目印にして、基板をケース本体に取り付けることができ、基板をケース本体に取り付ける作業を効率良く行うことができる。
【0016】
また、前記ケース本体は、前記基板を係止する一対の係止片を備え、前記基板は、前記ケース本体の前記係止片に係止して取り付けられていてもよい。このように構成すれば、表示モジュールの外れ防止を図る基板をケース本体に係止片を係合させることで容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示モジュールの爪部をケース本体に係合して取り付ける構造のリモコン装置において、衝撃などで表示モジュールがケース本体から外れないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るリモコン装置の組立て前の状態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すリモコン装置の表示モジュールとケース本体を示す断面図である。
図3図3は、図2に示す表示モジュールをケース本体に取り付けた状態の断面図である。
図4図4は、図3に示すIV部分の拡大断面図である。
図5図5は、図3に示す状態から基板をケース本体に取り付けた状態を示す背面図である。
図6図6は、図5に示す基板をケース本体に取り付けた状態の断面図である。
図7図7は、図6に示すVII部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、表示モジュール20の外れ防止を基板30によって図る例を説明する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における上下左右方向の概念は、図1に示すリモコン装置1を矢印Vの方向から見た状態における上下左右方向の概念と一致するものとする。また、リモコン装置1の中心方向を「内向き」、外周方向を「外向き」という。
【0020】
図1,2に示すように、この実施形態のリモコン装置1は、正面視が矩形状のケース本体10と、このケース本体10の表面側に取り付けられる表示モジュール20を備えている。ケース本体10には、表面側の上部に表示モジュール20を取り付ける凹状部11が形成されている。この凹状部11には、表示モジュール20の爪部21が係合される係合穴12が備えられている。係合穴12は、凹状部11の底部における左右方向の端部に一対で設けられており、裏面側に貫通した穴となっている。
【0021】
表示モジュール20は、例えば、液晶表示部等を有するタッチパネルにすることができる。この実施形態の表示モジュール20は、左右方向の対向する位置に爪部21が一対備えられている(図2)。爪部21は、表示モジュール20から突出する突出部分22と、この突出部分22の先端部に外向きに設けられた爪部分23とを有している。突出部分22は、ケース本体10に係合させる段階で内向きに弾性変形が可能となっており、爪部分23をケース本体10の係合穴12に押し込むときには内向きに弾性変形し、係合穴12の係合部13に係合させた後は弾性変形で元に戻るようになっている。このように、表示モジュール20は、爪部21が弾性変形をしてケース本体10に着脱可能となっている。
【0022】
また、ケース本体10に凹状部11を設け、表示モジュール20を独立した構成として凹状部11に収容しているので、表示モジュール20をタッチパネルとした場合には、表示モジュール20に作用する押す力などをケース本体10で受けることができる。すなわち、表示モジュール20に作用する押す力などを基板30に作用させないようにしている。
【0023】
図3は、図2に示す表示モジュール20をケース本体10に取り付けた状態の断面図であり、図4は、図3に示すIV部分の拡大断面図である。上記ケース本体10の凹状部11に表示モジュール20を挿入して、爪部21を係合穴12に押し込む。係合穴12の隙間W1は、爪部21の爪部分23の突出量Tに対して大きい寸法となっているため、爪部21は突出部分22の弾性変形によって爪部分23を係合穴12の奥まで挿入することができる。
【0024】
これにより、爪部21は突出部分22がケース本体10の係合穴12に入り込み、爪部分23が係合穴12の裏面側に達して突出部分22が弾性変形で元に戻り、爪部分23が係合部13に係合される。このようにして、表示モジュール20がケース本体10に取り付けられる。この状態では、外力が作用しない限り、表示モジュール20はケース本体10に取り付けられた状態を維持することができる。
【0025】
図5は、図3に示す状態から基板30をケース本体10に取り付けた状態を示す背面図であり、図6は、図5に示す基板30をケース本体10に取り付けた状態の断面図である。図7は、図6に示すVII部分の拡大断面図である。上記したようにケース本体10の裏面側に表示モジュール20を取り付けた後、ケース本体10に裏面側から基板30が取り付けられる。
【0026】
図5,6に示すように、基板30には、上記係合穴12の係合部13に係合させた爪部21の弾性変形を規制する規制部31が備えられている。この実施形態では、基板30が規制部31を有する構成部材となっている。規制部31は、上記一対の爪部21の間の対向する位置に設けられている。基板30は、係合部13に係合している爪部21が弾性変形する方向に位置するように設けられている。
【0027】
また、この実施形態では、基板30に備えさせる規制部31を、基板30の外周部分を切り欠くことで形成している。規制部31を、基板30の一部を切り欠いて形成することで、規制部31が表示モジュール20の位置になる目印となり、基板30をケース本体10に取り付ける作業を効率良く行うことができる。
【0028】
さらに、この実施形態では、図5に示すように、ケース本体10に基板30を係止する係止片14が設けられている。係止片14は、上記爪部21と同様に形成されており、ケース本体10から裏面方向に突出する突出部分(図示略)と、突出部分の先端に設けられた爪部分15とを有している。この実施形態のケース本体10は、上記表示モジュール20の爪部21と係合する係合穴12が左右方向に設けられ、係止片14は係合穴12と異なる向きの上下方向に設けられている。係止片14を設けることで、基板30をケース本体10に取り付けるときに、基板30の端部を係止片14によって係止すれば容易に取り付けることができる。この実施形態の基板30は、係止片14で係止した後、ビス16でケース本体10に固定される。
【0029】
図7に示すように、上記基板30をケース本体10に取り付けることにより、基板30の規制部31が表示モジュール20の爪部21の弾性変形方向に位置することになる。この実施形態では、基板30が取り付けられた状態で、爪部21との間は隙間W2となる。この隙間W2は、爪部21の爪部分23の突出量Tに対して小さい寸法となっている。
【0030】
これにより、爪部21が弾性変形したとしても、爪部分23が係合部13から外れる前に規制部31に当接し、爪部分23が係合部13から外れることはない。よって、表示モジュール20は、落下などの衝撃を受けてもケース本体10から外れることはない。ケース本体10の係合部13に係合された状態の爪部21の内面と基板30の規制部31との間の隙間W2と、爪部21の爪部分23の突出量Tとの関係は、隙間W2が突出量Tよりも小さい(隙間W2<突出量T)の関係となっていればよい。
【0031】
つまり、表示モジュール20の爪部21がケース本体10の係合部13に係合された状態で、爪部21の爪部分23が係合部13から外れるために爪部21が動く弾性変形方向に、爪部21が外れない隙間W2となるように基板30の規制部31が位置するようにしている。規制部31と爪部21との間の隙間W2はゼロでもよいが、製造上、組立上、少し隙間がある方が好ましい。
【0032】
隙間W2は、爪部21の爪部分23が係合部13に係合する係合量(突出量T)の半分未満とすれば、基板30の取付位置が一対の爪部21の間でずれたとしても、規制部31によって爪部分23が係合部13から外れる弾性変形を規制することができるので、より好ましい。
【0033】
なお、上記実施形態では、表示モジュール20の爪部21が外向きの爪部分23を有している例を説明したが、爪部21が内向きの爪部分23を有している場合には、爪部21の外向きの弾性変形を規制するように規制部31を備えさせればよい。
【0034】
以上のように、上記リモコン装置1によれば、表示モジュール20の爪部21をケース本体10の係合部13に係合させて取り付ける構造のリモコン装置1において、ケース本体10の係合部13に係合させた表示モジュール20の爪部21は、基板30の規制部31によって外れる方向への弾性変形が規制される。よって、リモコン装置1に衝撃などの外力が作用したとしても、表示モジュール20がケース本体10から外れることはない。
【0035】
すなわち、表示モジュール20の爪部21がケース本体10から外れる弾性変形方向に、爪部21が係合部13から外れる変形距離(突出量T)よりも小さい距離(隙間W2)まで接近させた位置に規制部31を設けたので、ケース本体10に取り付けられた表示モジュール20が外れることを防止することが可能となる。したがって、組立て後のリモコン装置1が衝撃などを受けても、表示モジュール20が外れて不具合を生じることを防ぐことが可能となる。
【0036】
特に、上記実施形態によれば、リモコン装置1に必ず備えられる基板30に規制部31を設けているため、リモコン装置1の内部に設ける構成部材を増やすことなく、組立後のリモコン装置1における表示モジュール20の外れ防止を図ることが可能となる。
【0037】
なお、上記した実施形態におけるリモコン装置1は一例であり、異なる構成のリモコン装置1でも同様に適用でき、例えば、表示モジュール20の爪部21が外向きに弾性変形させる構成であってもよく、リモコン装置1の構成は上記実施形態に限定されるものではない。
【0038】
また、上記した実施形態では、表示モジュール20の爪部21の動きを規制する構成部材として基板30を例に説明したが、爪部21の弾性変形を規制する規制部31を備えさせることができる構成部材を備えさせればよい。構成部材としては、例えば、爪部21の弾性変形を制限する板材、ケース本体10の裏ケース(樹脂ケース)など、爪部21との隙間W2を設定できる規制部31を形成できる部品であればよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0039】
さらに、上記した実施形態は一例を示しており、表示モジュール20の爪部21とケース本体10の係合穴12との位置関係などはリモコン装置1に応じた位置関係で実施可能であり、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の構成を変更してもよく、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
1 リモコン装置
10 ケース本体
12 係合穴
13 係合部
14 係止片
15 爪部分
20 表示モジュール
21 爪部
22 突出部分
23 爪部分
30 基板
31 規制部
T 突出量
W1 隙間
W2 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7