特許第6819275号(P6819275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819275
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】外用液剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20210114BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20210114BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20210114BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20210114BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20210114BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20210114BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20210114BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   A61K31/506
   A61K8/49
   A61K47/12
   A61K8/365
   A61K47/10
   A61K9/08
   A61P17/14
   A61Q7/00
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-248841(P2016-248841)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-119687(P2017-119687A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2019年12月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-257601(P2015-257601)
(32)【優先日】2015年12月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一裕
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸山 友里
【審査官】 梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/003970(WO,A1)
【文献】 特開2011−051980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/506
A61K 8/365
A61K 8/49
A61K 9/08
A61K 47/10
A61K 47/12
A61P 17/14
A61Q 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ミノキシジル、(b)乳酸及び/又はその塩、(c)クエン酸及び/又はその塩、及び(d)20w/v%以上の低級アルコール、を含有することを特徴とする外用液剤(ただし、乳酸セチル又はペンチレングリコールを含まない)
【請求項2】
(a)の含有量が5w/v%以上である、請求項1に記載の外用液剤。
【請求項3】
更に、多価アルコールを含有する請求項1または2に記載の外用液剤。
【請求項4】
多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載の外用液剤。
【請求項5】
多価アルコールの含有量が2〜30w/v%である、請求項3または4に記載の外用液剤。
【請求項6】
更に、水を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の外用液剤。
【請求項7】
水の含有量が、5〜30w/v%である、請求項6に記載の外用液剤。
【請求項8】
(b)の含有量が0.01〜10w/v%である、請求項1に記載の外用液剤。
【請求項9】
pHが5.0〜7.0である、請求項1〜8のいずれかに記載の外用液剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを有効成分とする外用液剤に関する。更に詳細には、ミノキシジル由来の着色を抑制したミノキシジル含有外用液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは化学名を6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキサイドと称し、育毛剤としての適応が知られており(特許文献1)、優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤として多数の報告がある。
【0003】
ミノキシジルを配合した育毛剤に求められる基本的な性能は、頭皮からのミノキシジルの吸収性に優れることである(特許文献2)。頭皮からのミノキシジルの吸収性を確保するためには、製剤中のミノキシジルが溶解状態で存在することが好ましく、製剤中で結晶析出等が生じないことが求められる。ミノキシジルは水やほとんどの油に対して溶解性が悪く、ミノキシジルの溶解性を確保するため、多価アルコールの配合や酸による溶解性確保が広く知られている(特許文献3〜5)。
また、酸に関しては、特許文献6において、好ましい酸としてカルボン酸の一種である酢酸や乳酸が記載されている。一方で、ミノキシジルを溶液状態で保存すると経時的に着色しやすいという欠点があることが知られている(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4139619号明細書
【特許文献2】特開平11−349451号公報
【特許文献3】特許第5527787号公報
【特許文献4】特許第5561264号公報
【特許文献5】特開2014−214099号公報
【特許文献6】特許第3710380号公報
【特許文献7】特許第4780429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、乳酸を含有したミノキシジル含有外用液剤において、ミノキシジルを溶解状態で保存すると、意外にも、経時的に着色することを発見した。したがって、本発明は乳酸を含有した外用液剤で生じうる着色を抑制した液剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、乳酸及び/又はその塩を含有したミノキシジル含有外用液剤において、クエン酸及び/又はその塩を配合することにより、ミノキシジルを溶解状態で含有した外用液剤で生じうる着色を抑制した液剤とできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)(a)ミノキシジル、(b)乳酸及び/又はその塩、(c)クエン酸及び/又はその塩、及び(d)20w/v%以上の低級アルコール、を含有することを特徴とする外用液剤、
(2)(a)の含有量が5w/v%以上である、(1)に記載の外用液剤、
(3)更に、多価アルコールを含有する(1)または(2)に記載の外用液剤、
(4)多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(3)に記載の外用液剤、
(5)多価アルコールの含有量が2〜30w/v%である、(3)または(4)に記載の外用液剤、
(6)更に、水を含有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の外用液剤、
(7)水の含有量が5〜30w/v%である、(6)に記載の外用液剤、
(8)(b)の含有量が0.01〜10w/v%である、(1)に記載の外用液剤、
(9)pHが5.0〜7.0である、(1)〜(8)のいずれかに記載の外用液剤、である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、乳酸及び/又はその塩を含有したミノキシジル含有外用液剤において、ミノキシジルを溶解状態で含有した外用液剤で生じうる着色を抑制したミノキシジル含有外用液剤を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によれば、ミノキシジル、乳酸、クエン酸及び/又はその塩、及び20w/v%以上の低級アルコールを含有する外用液剤は、ミノキシジルを溶解状態で含有した外用液剤で生じうる着色を抑制したミノキシジル含有外用液剤となる。
【0010】
本発明の外用液剤において用いるミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明における外用液剤において、ミノキシジルの含有量が多くなるにつれ着色の課題が大きくなるため、外用液剤中におけるミノキシルの濃度が高いほど、本発明を実施する意義が大きい。具体的には、本発明の外用液剤中3w/v%以上が好ましく、より好ましくは5w/v%以上であり、更により好ましくは6〜15w/v%である。
【0011】
本発明の外用液剤中における乳酸及び/又はその塩の含有量は、全組成物中好ましくは0.01〜10w/v%であり、より好ましくは0.05〜10w/v%である。
【0012】
また、本発明の外用組成成分のミノキシジルの安定性、使用時の肌への刺激感、薬物の浸透性、使用感等の点から、そのpHを4.0〜8.0の範囲に調整することが好ましく、5.0〜7.0の範囲が更に好ましい。
【0013】
本発明の外用液剤は、更に必要により多価アルコールや水を配合することができる。多価アルコールの例としては、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。多価アルコールの含有量は、全液剤中好ましくは2〜30w/v%であり、より好ましくは5〜30w/v%未満であり、更に好ましくは5〜20w/v%である。水の含有量は、2〜75w/v%が好ましく、より好ましくは5〜50w/v%であり、更に好ましくは5〜30w/v%である。
【0014】
本発明の外用液剤において用いる低級アルコールとしては、炭素数1〜5のものが好ましく、例えばエタノールやイソプロパノールなどが好ましく、これらを組み合わせて使用しても良い。本発明の外用液剤中の低級アルコールの含有量は、本発明の着色抑制の効果の観点より、全液剤中20w/v%以上とする必要がある。好ましくは30w/v%以上であり、より好ましくは35w/v%以上であり、更に好ましくは50w/v%以上である。上限は80w/v%が好ましい。
【0015】
本発明の外用液剤は、更に必要により高級アルコールを配合することができる。高級アルコールの例としては、炭素数が6〜24のジアセトンアルコール、カプロイルアルコール、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、ペンタデカノール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソセチルアルコール、セトステアリルアルコール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルデカノール、ノナデカノール、アラキルアルコール、オクチルドデカノール、ヘンイコサノール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノールがより好ましく、そのうち、ジアセトンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノールがさらに好ましい。本発明の高級アルコールは、1種又は2種以上組み合わせて使用しても良い。高級アルコールの含有量は、本発明の効果の点から外用液剤中0.05〜2w/v%が好ましく、0.1〜1.5w/v%がより好ましく、更に好ましくは0.25〜1.5w/v%である。
【0016】
本発明の外用液剤は、更に必要により高級脂肪酸を配合することができる。高級脂肪酸の例としては、炭素数10〜22のものが好ましく、例えばイソステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。このうち、炭素数18のものが好ましく、特にイソステアリン酸又はオレイン酸が好ましい。高級脂肪酸の含有量は、全液剤中好ましくは10w/v%以下であり、より好ましくは6w/v%以下である。本発明の外用液剤においては、本発明の乳酸とクエン酸及び/又はその塩の組み合わせを用いることによって高級脂肪酸を配合しない場合であってもミノキシジルの溶解性を確保できるため、本発明においては高級脂肪酸を実質的に含まないものが最も好ましい。
【0017】
本発明の外用液剤は、更に必要により界面活性剤を配合することができる。しかしながら、界面活性剤の添加は、使用感やミノキシジルの皮膚吸収に影響を与える可能性があり、本発明の外用液剤では、界面活性剤を配合しなくてもミノキシジルの溶解性を確保できるため、実質的に界面活性剤を含まないものとすることが好ましい。
【0018】
本発明の外用液剤は、上記した各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要な活性成分や補助成分を加えることができる。本発明の外用液剤に添加、配合することが好ましい薬効成分としては、メントール、ビタミンEアセテート、パントテニルエチルエーテル、ヒノキチオール、塩酸ピリドキシン、グリチルレチン酸、塩酸ジフェンヒドラミン、パンテノールから成る群より選ばれた成分が挙げられる。
【0019】
これら選択成分の添加量は、特に制約はなく、使用感やミノキシジルの安定性あるいは溶剤系組成等を考慮しながら実験的に定めることができる。
【0020】
本発明の外用液剤においては、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。例えば、賦形剤、育毛成分(6−ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、チクセツニンジンチンキ、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸イソチペンジル等)、抗炎症剤(グアイアズレン等)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ、ノコギリヤシ、パンプキンシード等)の抽出物、ビタミン類(酢酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子等)、粘着剤、香料、清涼化剤(ハッカ油、カンフル等)、染料等の通常使用される成分を配合することができる。
【0021】
また、本発明の外用液剤は、ローション剤、エアゾール剤、トニック剤、ゲル剤などの適当な外用液剤とすることができる。
【0022】
本発明の外用液剤の調製は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0023】
かくして得られる本発明の外用液剤は、頭髪用剤、睫毛用剤、眉毛用剤等の皮膚適用製剤等として使用することができる。
【0024】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1g、クエン酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH5.9の外用液剤を得た。
【0026】
(実施例2)
ミノキシジル10g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール55g、乳酸3.85g、精製水で全量を100mLとし、クエン酸を適量加えpH5.6の外用液剤を得た。
【0027】
(実施例3)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1g、クエン酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH5.8の外用液剤を得た。
【0028】
(実施例4)
ミノキシジル5g、グリセリン10g、エタノール60g、乳酸1g、クエン酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH5.7の外用液剤を得た。
【0029】
(実施例5)
ミノキシジル6g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1g、クエン酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH6.0の外用液剤を得た。
【0030】
(実施例6)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール30g、エタノール30g、乳酸0.9g、クエン酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH5.4の外用液剤を得た。
【0031】
(比較例1)
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1g、塩酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH5.9の外用液剤を得た。
【0032】
(比較例2)
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1g、硫酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH5.9の外用液剤を得た。
【0033】
(比較例3)
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1g、グルコン酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH5.9の外用液剤を得た。
【0034】
(比較例4)
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1g、マレイン酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH5.9の外用液剤を得た。
【0035】
(比較例5)
ミノキシジル10g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール55g、乳酸3.85g、精製水で全量を100mLとし、塩酸を適量加えpH5.6の外用液剤を得た。
【0036】
(比較例6)
ミノキシジル10g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール55g、乳酸3.85g、精製水で全量を100mLとし、硫酸を適量加えpH5.6の外用液剤を得た。
【0037】
(比較例7)
ミノキシジル10g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール55g、乳酸3.85g、精製水で全量を100mLとし、グルコン酸を適量加えpH5.6の外用液剤を得た。
【0038】
(比較例8)
ミノキシジル10g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール55g、乳酸3.85g、精製水で全量を100mLとし、マレイン酸を適量加えpH5.6の外用液剤を得た。
【0039】
(比較例9)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール30g、エタノール18g、乳酸0.9g、クエン酸適量、精製水で全量を100mLとし、pH5.4の外用液剤を得た。
【0040】
(参考例1)
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1.32g、精製水で全量を100mLとし、pH6.0の外用液剤を得た。
【0041】
(参考例2)
ミノキシジル10g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール55g、乳酸3.85g、精製水で全量を100mLとし、乳酸を0.37g加えpH5.6の外用液剤を得た。
【0042】
(参考例3)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1.32g、精製水で全量を100mLとし、pH5.8の外用液剤を得た。
【0043】
(参考例4)
ミノキシジル5g、グリセリン10g、エタノール60g、乳酸1.32g、精製水で全量を100mLとし、pH5.8の外用液剤を得た。
【0044】
(参考例5)
ミノキシジル6g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸1.32g、精製水で全量を100mLとし、pH6.0の外用液剤を得た。
【0045】
(参考例6)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール30g、エタノール30g、乳酸1.4g、精製水で全量を100mLとし、pH5.4の外用液剤を得た。
【0046】
(処方例)
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール5g、プロピレングリコール5g、セチルアルコール適量、精製水10g、乳酸1g、l-メントール0.3g、塩酸ピリドキシン0.05g、ビタミンEアセテート0.08g、パントテニルエチルエーテル1g、パンテノール1g、塩化カルプロニウム2g、グリチルレチン酸0.1g、塩酸ジフェンヒドラミン0.1g、ヒノキチオール0.05g、サリチル酸0.2g、抗酸化剤適量、クエン適量、エタノールで全量を100mLとし、pH5.9の外用液剤を得た。
【0047】
<試験例:着色の評価>
参考例1〜6は65℃条件下7日経過後、目視で観察した結果、それぞれ微黄色、黄色に着色した。
また、実施例1〜6、比較例1〜9、参考例1〜6に関し、65℃条件下7日経過後の420nmにおける吸光度を測定した。実施例1及び比較例1〜4は、参考例1の吸光度の値と、実施例2及び比較例5〜8は、参考例2の吸光度の値と、実施例3〜6は、それぞれ参考例3〜6の吸光度の値と比較し、80%以上抑制されたものを◎、50%以上80%未満抑制されたものを○、0%より大きく50%未満しか抑制されなかったものを△、抑制されないもしくは悪化したものを×とした。結果を表1〜3に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
表1〜3から明らかなように、乳酸と塩酸、硫酸、グルコン酸、マレイン酸をそれぞれ組み合わせた比較例1〜8は着色が抑制できなかった。一方、乳酸とクエン酸を組み合わせた実施例1〜5では、着色を抑制できた。
また、低級アルコールを30%配合した実施例6では、低級アルコールが20%未満の比較例9と比較して、65℃条件下7日経過後の420nmにおける吸光度の値が53%抑制され、実施例6は比較例9に対して着色抑制の観点で顕著な効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明により、乳酸及び/又はその塩を含有したミノキシジル含有外用液剤において、ミノキシジルを溶解状態で含有した外用液剤で生じうる着色を抑制したミノキシジル含有外用液剤を提供することが可能になった。