(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1コイルを有すると共に基準面に設置された第1コイル装置と、第2コイルを有すると共に移動体に搭載された第2コイル装置との間で非接触で給電する非接触給電システムの異物検出装置であって、
前記第1コイルにおける前記第2コイル装置と対向する第1コイル対向面の形状、前記第1コイル対向面の大きさ、前記第1コイル対向面の前記基準面からの高さ位置、及び前記第1コイル装置における前記第2コイル装置と対向する第1装置対向面の前記基準面からの高さ位置を含む第1コイル装置情報を記憶する記憶部と、
前記第2コイルにおける前記第1コイル装置と対向する第2コイル対向面の形状、前記第2コイル対向面の大きさ、前記第2コイル対向面の前記基準面からの高さ位置、及び前記第2コイル装置における前記第1コイル装置と対向する第2装置対向面の前記基準面からの高さ位置を含む第2コイル装置情報を取得する情報取得部と、
前記第1コイル装置情報と前記第2コイル装置情報とに基づいて、前記給電時に前記第1装置対向面と前記第2装置対向面との間に発生する磁場発生領域を特定する領域特定部と、
特定された前記磁場発生領域内の異物の有無を検出する異物検出部と、を備え、
前記領域特定部は、前記第1コイル対向面と前記第2コイル対向面との間に形成される柱状又は錐台状のコイル間領域のうち、前記第1装置対向面と前記第2装置対向面との間の領域を前記磁場発生領域として特定する、非接触給電システムの異物検出装置。
第1コイルを有すると共に基準面に設置された第1コイル装置と、第2コイルを有すると共に移動体に搭載された第2コイル装置との間で非接触で給電する非接触給電システムの異物検出装置であって、
前記第1コイルにおける前記第2コイル装置と対向する第1コイル対向面の形状、前記第1コイル対向面の大きさ、前記第1コイル対向面の前記基準面からの高さ位置、及び前記第1コイル装置における前記第2コイル装置と対向する第1装置対向面の前記基準面からの高さ位置を含む第1コイル装置情報を記憶する記憶部と、
前記第2コイルにおける前記第1コイル装置と対向する第2コイル対向面の形状、前記第2コイル対向面の大きさ、前記第2コイル対向面の前記基準面からの高さ位置、及び前記第2コイル装置における前記第1コイル装置と対向する第2装置対向面の前記基準面からの高さ位置を含む第2コイル装置情報を取得する情報取得部と、
前記第1コイル装置情報と前記第2コイル装置情報とに基づいて、前記給電時に前記第1装置対向面と前記第2装置対向面との間に発生する磁場発生領域を特定する領域特定部と、
特定された前記磁場発生領域内の異物の有無を検出する異物検出部と、を備え、
前記領域特定部は、前記第1コイル対向面の外周縁を全周にわたって外側に所定の拡大長さ拡大した拡大第1コイル対向面と、前記第2コイル対向面の外周縁を全周にわたって外側に前記拡大長さ拡大した拡大第2コイル対向面との間に形成される柱状又は錐台状の拡大コイル間領域のうち、前記第1装置対向面の高さ位置と前記第2装置対向面の高さ位置との間の領域を前記磁場発生領域として特定し、
前記拡大長さは、前記第1コイル対向面と前記第2コイル対向面との対向方向の間隔以下の長さである、非接触給電システムの異物検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、非接触給電システム1は、送電装置(第1コイル装置)10と、受電装置(第2コイル装置)20と、異物検出装置30とを備えており、送電装置10から受電装置20に非接触で給電するためのシステムである。送電装置10は、例えば駐車場等の走行路面(基準面、地上)Rに設置されている。受電装置20は、例えば電気自動車である車両(移動体)Vに搭載されている。異物検出装置30は、地上に設けられている。非接触給電システム1は、駐車場等に到着した車両Vに対し、磁界共鳴方式又は電磁誘導方式等のコイル間の磁気結合を利用して、電力を供給するように構成されている。なお、非接触給電方式は、磁気結合を利用したものに限らず、例えば、電界共鳴方式であってもよい。
【0016】
送電装置10は、非接触給電により電力を受電装置20に供給する装置である。送電装置10は、送電コイル(第1コイル)11、送電回路12、及びカバー15を備えている。送電回路12は、カバー15内に収容されている。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、送電コイル11は、カバー15の上面において送電コイル11の上面13が露出するようにカバー15内に収容されている。送電装置10は、上面が露出するように、走行路面Rに設けられた凹部内に埋め込まれている。すなわち、走行路面Rにおいて送電コイル11の上面13が露出している。
【0017】
このように、送電コイル11の上面13とは、送電コイル11における受電装置20と対向する面(第1コイル対向面)である。また、送電コイル11の上面13とは、送電装置10における受電装置20と対向する面(第1装置対向面)である。
【0018】
送電回路12は、図示しない電源等より供給された電力から非接触給電に適した高周波の交流電力を生成する。送電回路12は、車両Vが給電可能領域内に停車した状態で、送電コイル11に交流電力を供給する。ここで、給電可能領域とは、送電装置10と受電装置20との間で給電を行うときの車両Vの停車位置の範囲である。給電可能領域は、予め定められている。給電可能領域は、例えば、給電効率が所定値以上の領域である等、給電効率に基づいて予め定められている。送電コイル11は、送電回路12から供給された交流電力によって磁場を発生させる。この磁場は時間的に正弦波状に変化する交流磁場である。
【0019】
受電装置20は、送電装置10から非接触で電力を受け取る装置である。受電装置20は、受電コイル(第2コイル)21、及びカバー25を備えている。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、受電コイル21は、カバー25の下面において受電コイル21の下面23が露出するようにカバー25内に収容されている。受電装置20は、下面が露出するように、車両Vの前輪と後輪との間において、車両Vの車体(シャーシ等)の底面に取り付けられている。すなわち、車両Vを走行路面R側から見た場合、受電コイル21の下面23が露出している。
【0020】
このように、受電コイル21の下面23とは、受電コイル21における送電装置10と対向する面(第2コイル対向面)である。また、受電コイル21の下面23とは、受電装置20における送電装置10と対向する面(第2装置対向面)である。
【0021】
受電コイル21は、送電装置10から電力を受け取る。具体的には、送電コイル11で発生した交流磁場中に受電コイル21が存在することによって、受電コイル21は誘導電流を発生させる。これにより、受電コイル21は、非接触(ワイヤレス)で送電コイル11から交流電力を受け取る。受電コイル21が受け取った電力は、整流回路や充電回路等を介して車両Vのバッテリの充電などに利用される。
【0022】
異物検出装置30は、送電装置10と受電装置20との間の異物を検出する装置である。具体的には、異物検出装置30は、投光部31、受光部32、異物検出部33、領域特定部34、記憶部35、情報取得部36、及び位置検出部37を備えている。異物検出部33、領域特定部34、記憶部35、情報取得部36、及び位置検出部37は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)を備えるECU(Electronic Control Unit)によって構成されている。
【0023】
投光部31は、給電可能領域に停車する車両Vの受電装置20と送電装置10との間の領域を含むように、複数本の光ビームLを照射する。なお、車両Vごと(車両Vの種類ごと)に受電装置20の取り付け高さが異なるなど、給電可能領域に停車する車両Vの受電装置20と送電装置10との間の領域は、車両Vごとに異なる。このため、投光部31は、非接触給電システム1において給電対象とするすべての車両Vに搭載された受電装置20と、送電装置10との間の領域を含むように光ビームLを照射する。投光部31は、送電装置10と受電装置20との間での給電開始の直前、及び給電中に光ビームLを照射する。
【0024】
受光部32は、投光部31から照射された複数本の光ビームLを検出する。受光部32は、照射された複数本の光ビームLを、いずれの光ビームLが検出されたかを識別可能に検出する。例えば、それぞれの光ビームLを受光しうる位置ごとに、フォトダイオードなどの光検出センサが設けられている。
【0025】
記憶部35は、送電コイル11の上面13の形状、上面13の大きさ、上面13における走行路面Rからの高さ位置、及び、送電装置10における受電装置20と対向する面の走行路面Rからの高さ位置を含む送電装置情報(第1コイル装置情報)を記憶する。なお、送電装置10における受電装置20と対向する面とは、本実施形態では、送電コイル11の上面13である。このため、本実施形態において記憶部35は、送電コイル11の上面13の形状、上面13の大きさ、及び上面13における走行路面Rからの高さ位置を含む送電装置情報を記憶している。送電コイル11の上面13の形状、上面13の大きさ、及び上面13の走行路面Rからの高さ位置は、非接触給電システム1の設計者等によって予め設定されている。本実施形態では、上面13の高さ位置と走行路面Rの高さ位置とは一致している。
【0026】
情報取得部36は、受電コイル21の下面23の形状、下面23の大きさ、下面23の走行路面Rからの高さ位置、及び、受電装置20における送電装置10と対向する面の走行路面Rからの高さ位置を含む受電装置情報(第2コイル装置情報)を取得する。なお、受電装置20における送電装置10と対向する面とは、本実施形態では、受電コイル21の下面23である。このため、本実施形態において情報取得部36は、受電コイル21の下面23の形状、下面23の大きさ、下面23の走行路面Rからの高さ位置を含む受電装置情報を取得する。
【0027】
ここで、情報取得部36は、受電装置情報を通信装置を介して車両Vから直接取得してもよい。例えば、情報取得部36は、車両Vの識別情報を取得し、車両Vごとに受電装置情報と識別情報とを対応付けて記憶するサーバ等から識別情報に基づいて当該車両Vに対応する受電装置情報を取得してもよい。この場合、情報取得部36は、車両Vから通信装置を介して識別情報を取得してもよく、車両Vのナンバープレート等を読み取ることで識別情報を取得してもよい。また、情報取得部36は、サーバ等から受電装置情報を取得することに限定されず、車両Vごとに受電装置情報と識別情報とを対応付けて記憶していてもよい。
【0028】
位置検出部37は、車両Vにおける、送電装置10と受電装置20との対向方向(上下方向)に直交する水平方向(第1方向)の位置を検出する。位置検出部37は、給電を行うために停車した車両Vの位置を検出する。例えば、位置検出部37は、車両Vに搭載されたGPS受信装置で測位された車両Vの位置を取得してもよい。例えば、位置検出部37は、非接触給電のための磁場とは異なる、位置検出用に発生させた磁場を用いる等、種々のセンサ等を用いて車両Vの位置を検出してもよい。
【0029】
領域特定部34は、記憶部35が記憶する送電装置情報と、情報取得部36で取得された受電装置情報とに基づいて、給電時に送電コイル11の上面13と受電コイル21の下面23との間に発生する磁場発生領域Xを特定(推定)する。領域特定部34は、磁場発生領域Xの形状、大きさ、及び位置を三次元的に特定する。磁場発生領域Xは、例えば、磁場の強さが所定の閾値以上の領域とすることができる。磁場は交流磁場であるので、磁場の強さとは、たとえば実効値の意味である。領域特定部34は、送電装置情報及び受電装置情報、並びに送電コイル11及び受電コイル21の特性等を考慮して周知のシミュレーションを行うことで磁場発生領域Xを特定することができる。
【0030】
また、領域特定部34は、磁場発生領域Xを近似等を行うことで特定してもよい。領域特定部34は、送電装置情報及び受電装置情報に基づいて、送電コイル11の上面13と受電コイル21の下面23との位置関係を三次元的に把握することができる。より詳細には、領域特定部34は、位置検出部37で検出された車両Vの位置、送電装置情報及び受電装置情報に基づいて送電コイル11の上面13に対する受電コイル21の下面23の位置を三次元的に把握することができる。
【0031】
なお、領域特定部34は、位置検出部37で検出された車両Vの位置を用いなくてもよい。この場合、領域特定部34は、車両Vが給電可能領域内の予め定められた給電位置に停車したと仮定して、送電装置情報及び受電装置情報に基づいて送電コイル11の上面13に対する受電コイル21の下面23の位置を三次元的に把握することができる。予め定められた給電位置とは、例えば、給電可能領域内において最も給電効率が良い車両Vの位置、或いは、送電コイル11の水平方向の中心位置と受電コイル21の水平方向の中心位置とが上下方向において一致する位置であってもよい。送電コイル11の上面13に対する受電コイル21の下面23の位置を三次元的に把握する手法については、周知の方法を用いることができる。この場合、位置検出部37を省略してもよい。
【0032】
領域特定部34は、三次元的に把握された送電コイル11の上面13及び受電コイル21の下面23の位置に基づいて、
図3に示すように、送電コイル11の上面13と受電コイル21の下面23との間に形成される柱状又は錐台状のコイル間領域C1を三次元的に算出する。柱状又は錐台状のコイル間領域C1とは、送電コイル11の上面13の外周縁と、受電コイル21の下面23の外周縁とを全周にわたって直線的につなぐことによって形成される空間である。領域特定部34は、算出したコイル間領域C1を磁場発生領域Xとして特定する。
【0033】
ここで、送電コイル11の上面13の形状及び大きさと、受電コイル21の下面23の形状及び大きさとが同じである場合、コイル間領域C1は柱状となる。この場合、コイル間領域C1は、送電コイル11の上面13及び受電コイル21の下面23の形状に応じて、円柱状、四角柱状など種々の柱状となる。また、送電コイル11の上面13の形状と受電コイル21の下面23の形状とが同じであり、送電コイル11の上面13の大きさと受電コイル21の下面23の大きさとが互いに異なる場合、コイル間領域C1は錐台状となる。この場合、コイル間領域C1は、送電コイル11の上面13及び受電コイル21の下面23の形状に応じて、円錐台状、四角錐台状など種々の錐台状となる。
【0034】
また、給電時に送電コイル11の上面13と受電コイル21の下面23との間に発生する磁場は、コイル間領域C1の外側にも発生する場合がある。このため、領域特定部34は、この磁場が発生する箇所の膨らみを考慮して磁場発生領域Xを特定することもできる。具体的には、領域特定部34は、送電コイル11の上面13の外周縁を全周にわたって外側に所定の拡大長さKだけ拡大した送電側コイル拡大面14(拡大第1コイル対向面)を算出する。同様に、領域特定部34は、受電コイル21の下面23の外周縁を全周にわたって外側に拡大長さKだけ拡大した受電側コイル拡大面24(拡大第2コイル対向面)を算出する。領域特定部34は、送電側コイル拡大面14と受電側コイル拡大面24との間に形成される柱状又は錐台状の拡大コイル間領域C2を三次元的に算出する。領域特定部34は、拡大コイル間領域C2をコイル間領域C1と同様に算出することができる。
【0035】
領域特定部34は、算出した拡大コイル間領域C2のうち、送電装置10における受電装置20と対向する面の高さ位置と、受電装置20における送電装置10と対向する面との高さ位置との間の領域を、磁場発生領域Xとして特定する。ここで、本実施形態において、送電装置10における受電装置20と対向する面とは、送電コイル11の上面13である。送電コイル11の上面13の高さ位置と、送電側コイル拡大面14の高さ位置とは同じである。同様に、受電装置20における送電装置10と対向する面とは、受電コイル21における下面23である。受電コイル21における下面23の高さ位置と、受電側コイル拡大面24とは同じ高さ位置である。このため、本実施形態において、領域特定部34は、拡大コイル間領域C2の全体を磁場発生領域Xとして特定する。
【0036】
ここで、送電コイル11の上面13と受電コイル21の下面23との対向方向の間隔を、ギャップ長Gとする。ギャップ長Gが増加すると磁場が発生する箇所の膨らみ量も増加するので、所定の拡大長さKは、ギャップ長G×P以下の長さとする。ここで、Pは、コイルの形式(サーキュラー型、ソレノイド型など)やコイル形状(正方形状、細長い長方形状など)に応じて決まる定数であり、本実施形態においては、0以上1以下の範囲内の値であることが多い。このため、拡大長さKを0(ゼロ)とした場合には、磁場発生領域Xはコイル間領域C1と同じとなる。磁場が発生する箇所の広がりに応じて拡大長さKを設定することで、コイル間領域C1と、拡大長さKをギャップ長Gとしたときの拡大コイル間領域C2との間で磁場発生領域Xを設定することができる。
【0037】
これにより、領域特定部34は、
図4(a)及び
図4(b)、並びに
図5(a)及び
図5(b)に示すように、送電コイル11の上面13と受電コイル21の下面23との間に発生する磁場発生領域Xを特定することができる。
図4(a)及び
図4(b)、並びに
図5(a)及び
図5(b)では、コイル間領域C1を磁場発生領域Xとして特定した場合を示している。また、
図4(a)及び
図4(b)は、車両Vが給電可能領域内の予め定められた給電位置に停車している場合において、領域特定部34が特定した磁場発生領域Xを示している。
図5(a)及び
図5(b)は、給電可能領域内において車両Vが給電位置からずれた位置に停車している場合に、位置検出部37で検出された車両Vの位置を用いて領域特定部34が特定した磁場発生領域Xを示している。なお、
図5(a)及び
図5(b)では、磁場発生領域Xを示すために、受光部32等を省略している。
【0038】
異物検出部33は、領域特定部34で特定された磁場発生領域X内の異物の有無を検出する。本実施形態において、異物検出部33は、受光部32における光ビームLの検出結果に基づいて異物の有無を検出する。すなわち、異物が光ビームを遮ることを利用して異物の有無を検出する。また、異物検出部33は、磁場発生領域X内の異物の有無を検出するために、受光部32で検出される複数の光ビームLのうち、磁場発生領域X内を通る光ビームLの検出結果に基づいて異物の有無を検出する。異物検出部33は、周知の技術を用いて、投光部31から照射された複数の光ビームLのうち、領域特定部34で特定された磁場発生領域X内を通る光ビームLを特定する。
【0039】
図4(a)及び
図4(b)に示す例では、磁場発生領域X内を通る光ビームLを黒丸で示し、磁場発生領域X外を通る光ビームLを白抜きの丸で示している。異物検出部33は、磁場発生領域X内を通る光ビームLのいずれかが受光部32によって検出されない場合、磁場発生領域X内に異物が有りと検出する。異物検出部33は、磁場発生領域X内を通る光ビームLが受光部32によってすべて検出されている場合、磁場発生領域X内に異物が無いと検出する。
【0040】
磁場発生領域X外を通る光ビームLは、例えば、車両Vの車体に遮られたり、給電の際に異物が存在しても給電に影響を及ぼさない(影響が小さい)領域を通っている。このため、異物検出部33は、磁場発生領域X外を通る光ビームLの検出結果については、異物を検出するために使用しない。
【0041】
異物検出部33によって異物が検出された場合、送電回路12は、送電コイル11への交流電力の供給を停止する。これにより、磁場発生領域X内に異物が存在する場合には、送電装置10と受電装置20との間の給電が停止する又は給電が開始されない。
【0042】
本実施形態は以上のように構成され、非接触給電システム1の異物検出装置30では、記憶部35に記憶された送電装置情報と、情報取得部36で取得された受電装置情報とに基づいて磁場発生領域Xが特定される。そして、異物検出装置30では、異物検出部33において、磁場発生領域X内の異物の有無が検出される。これにより、車両Vごとに受電コイル21の下面23の形状等が異なっていても、車両Vに応じて磁場発生領域Xを正しく特定することができる。これにより、異物検出装置30は、送電装置10と受電装置20との間の異物のうち、非接触給電に支障を及ぼさない異物はできるだけ検出しないようにし、非接触給電が停止する可能性を低くすることができる。
【0043】
領域特定部34は、送電コイル11の上面13と受電コイル21の下面23との間に形成される柱状又は錐台状のコイル間領域C1を磁場発生領域として特定することができる。この場合、異物検出装置30は、異物が存在している場合に給電に大きく影響を与える領域を、磁場発生領域Xとして容易に特定することができる。
【0044】
領域特定部34は、送電コイル11の上面13を拡大した送電側コイル拡大面14と、受電コイル21の下面23を拡大した受電側コイル拡大面24との間に形成される柱状又は錐台状の拡大コイル間領域C2を磁場発生領域Xとして特定することができる。この場合、異物検出装置30は、送電コイル11と受電コイル21との間で磁場が発生する箇所が外側に膨らむ場合であっても、外側に膨らむ磁場が発生する箇所を含む領域を磁場発生領域Xとして容易に特定することができる。
【0045】
領域特定部34は、送電装置情報及び受電装置情報に加え、位置検出部37で検出された車両Vの位置に基づいて磁場発生領域Xを特定する。これにより、異物検出装置30は、例えば、車両Vの停車位置が予め定められた給電位置からずれていたとしても、このずれも考慮して精度良く磁場発生領域Xを特定することができる。
【0046】
次に、変形例として、送電装置10及び受電装置20に代えて、これらとは構成が異なる送電装置及び受電装置を用いた場合における磁場発生領域Xの特定の方法について説明する。送電装置10とは異なる構成の送電装置として、例えば、
図6(a)及び
図6(b)に示す送電装置10Aがある。送電装置10Aは、上記実施形態と同様に送電コイル11等を備えている。送電装置10Aにおいて、送電コイル11は、カバー15内に収容されており、カバー15の上面において露出していない。すなわち、送電コイル11の上面がカバー15によって覆われている。なお、
図6(a)及び
図6(b)に示す例では、送電装置10Aは走行路面R上に設置されている。送電装置10Aの上面16の高さ位置は、走行路面Rの高さ位置よりも高くなっている。
【0047】
受電装置20とは異なる構成の受電装置として、例えば、
図7(a)及び
図7(b)に示す受電装置20Aがある。受電装置20Aは、上記実施形態と同様に受電コイル21等を備えている。受電装置20Aにおいて、受電コイル21は、カバー25内に収容されており、カバー25の下面において露出していない。すなわち、受電コイル21の下面がカバー25によって覆われている。
【0048】
以下、送電装置10A及び受電装置20Aのように、送電コイル11及び受電コイル21がカバー15及びカバー25によってそれぞれ覆われている場合における磁場発生領域Xの特定の方法について、
図8を用いて説明する。
【0049】
送電装置10Aを用いる場合、記憶部35は、送電コイル11の上面13の形状、上面13の大きさ、上面13における走行路面Rからの高さ位置、及び、送電装置10Aにおける受電装置20Aと対向する面(第1装置対向面)の走行路面Rからの高さ位置を含む送電装置情報(第1コイル装置情報)を記憶する。なお、送電装置10Aにおける受電装置20Aと対向する面とは、送電装置10Aを用いる場合には、カバー15の上面16である。このため、記憶部35は、送電コイル11の上面13の形状、上面13の大きさ、上面13における走行路面Rからの高さ位置、及びカバー15の上面16における走行路面Rからの高さ位置を記憶している。
【0050】
受電装置20Aを用いる場合、情報取得部36は、受電コイル21の下面23の形状、下面23の大きさ、下面23の走行路面Rからの高さ位置、及び、受電装置20Aにおける送電装置10Aと対向する面(第2装置対向面)の走行路面Rからの高さ位置を含む受電装置情報(第2コイル装置情報)を取得する。なお、受電装置20Aにおける送電装置10Aと対向する面とは、受電装置20Aを用いる場合には、カバー25の下面26である。このため、情報取得部36は、受電コイル21の下面23の形状、下面23の大きさ、下面23の走行路面Rからの高さ位置、カバー25の下面26における走行路面Rからの高さ位置を含む受電装置情報を取得する。
【0051】
領域特定部34は、記憶部35が記憶する送電装置情報と、情報取得部36で取得された受電装置情報とに基づいて、給電時に送電装置10Aのカバー15の上面16と受電装置20Aのカバー25の下面26との間に発生する磁場発生領域Xを特定する。領域特定部34は、送電装置情報及び受電装置情報、並びに送電コイル11及び受電コイル21の特性等を考慮して周知のシミュレーションを行うことで磁場発生領域Xを特定することができる。
【0052】
また、領域特定部34は、送電装置10Aと受電装置20Aとの間に発生する磁場発生領域Xを近似等を行うことで特定してもよい。領域特定部34は、送電装置情報及び受電装置情報に基づいて、送電コイル11の上面13、受電コイル21の下面23、カバー15の上面16、及びカバー25の下面26の位置関係を三次元的に把握することができる。より詳細には、領域特定部34は、位置検出部37で検出された車両Vの位置、送電装置情報及び受電装置情報に基づいて、送電コイル11の上面13及びカバー15の上面16に対する受電コイル21の下面23及びカバー25の下面26の位置を三次元的に把握することができる。
【0053】
なお、領域特定部34は、位置検出部37で検出された車両Vの位置を用いなくてもよい。この場合、領域特定部34は、車両Vが給電可能領域内の予め定められた給電位置に停車したと仮定して、送電装置情報及び受電装置情報に基づいて、送電コイル11の上面13及びカバー15の上面16に対する受電コイル21の下面23及びカバー25の下面26の位置を三次元的に把握することができる。
【0054】
領域特定部34は、上記の実施形態と同様に、送電コイル11の上面13と受電コイル21の下面23との間に形成されるコイル間領域C1を三次元的に算出する。領域特定部34は、コイル間領域C1のうち、カバー15の上面16とカバー25の下面26との間の領域を磁場発生領域Xとして特定する。
【0055】
また、給電時に送電コイル11の上面13と受電コイル21の下面23との間に発生する磁場は、コイル間領域C1の外側にも発生する場合がある。このため、領域特定部34は、この磁場が発生する箇所の膨らみを考慮して磁場発生領域Xを特定することもできる。具体的には、領域特定部34は、上記の実施形態と同様に、送電側コイル拡大面14と受電側コイル拡大面24との間に形成される拡大コイル間領域C2を三次元的に算出する。
【0056】
領域特定部34は、算出した拡大コイル間領域C2のうち、送電装置10Aにおける受電装置20Aと対向する面の高さ位置と、受電装置20Aにおける送電装置10Aと対向する面との高さ位置との間の領域を、磁場発生領域Xとして特定する。ここで、本実施形態において、送電装置10Aにおける受電装置20Aと対向する面とは、カバー15の上面16である。同様に、受電装置20Aにおける送電装置10Aと対向する面とは、カバー25における下面26である。このため、本実施形態において、領域特定部34は、拡大コイル間領域C2のうち、カバー15の上面16の高さ位置とカバー25の下面26の高さ位置との間の領域を磁場発生領域Xとして特定する。
【0057】
送電装置10A及び受電装置20Aを用いる場合、カバー15内及びカバー25内には異物が侵入しない。このため、カバー15の内部(カバー15自身を含む)及びカバー25の内部(カバー25自身を含む)は異物の検出対象外とすることができる。上述した方法によって磁場発生領域Xを特定することで、領域特定部34は、カバー15の内部及びカバー25の内部を除外して、送電装置10Aと受電装置20Aとの間に生じる磁場発生領域Xを精度良く特定することができる。磁場発生領域Xではカバー15の内部及びカバー25の内部が除外されているため、異物検出部33が異物の検出を行う際に、カバー15及びカバー25を異物として検出してしまうことを防止できる。
【0058】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の例では、領域特定部34は、位置検出部37で検出された車両Vの位置又は予め定められた給電位置を用いて、送電コイル11の上面13に対する受電コイル21の下面23の位置等を把握し、磁場発生領域Xを特定した。これに対し、領域特定部34は、位置検出部37で検出された車両Vの位置又は予め定められた給電位置を用いずに、車両Vが給電可能領域内のどの場所に停車するかに依存しない磁場発生領域Xを特定してもよい。この場合、領域特定部34は、例えば、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、給電可能領域内での最大の位置ずれを考慮して磁場発生領域Xを特定してもよい。すなわち、領域特定部34は、車両Vが給電可能領域内の任意の位置で停車したと仮定したときの磁場発生領域を特定し、特定したすべての磁場発生領域を含むように磁場発生領域Xを特定してもよい。この場合、位置検出部37を省略してもよい。
【0059】
なお、
図9(a)において、一点鎖線で示す車両V、及び送電コイル11と受電コイル21との間に発生する磁場発生領域等は、給電可能領域内において車両Vの幅方向の一方の端部側に最大までずれたときの状態を示している。破線で示す車両、及び送電コイル11と受電コイル21との間に発生する磁場発生領域等は、給電可能領域内において車両Vの幅方向の他方の端部側に最大までずれたときの状態を示している。同様に、
図9(b)において、一点鎖線で示す車両V、及び送電コイル11と受電コイル21との間に発生する磁場発生領域等は、給電可能領域内において車両Vの前後方向の一方の端部側に最大までずれたときの状態を示している。破線で示す車両、及び送電コイル11と受電コイル21との間に発生する磁場発生領域等は、給電可能領域内において車両Vの前後方向の他方の端部側に最大までずれたときの状態を示している。領域特定部34は、一点鎖線及び破線で示すこれらの磁場発生領域のすべてを含む領域を磁場発生領域Xとして特定する。
【0060】
また、送電装置及び受電装置のうち、両方が、
図8に示すようにコイルがカバーに覆われた送電装置10A及び受電装置20Aでなくてもよい。
図6及び
図7に示すように、送電装置及び受電装置のうち、いずれか一方が、コイルがカバーに覆われた送電装置10A又は受電装置20Aであってもよい。この場合(
図6及び
図7に示す場合)も、
図3及び
図8を用いて説明したのと同様に、領域特定部34は、磁場発生領域Xを特定することができる。
【0061】
異物検出部33は、受光部32における光ビームLの検出結果に基づいて磁場発生領域X内の異物の有無の検出を行ったが、受光部32の検出結果以外の情報に基づいて異物の有無の検出を行ってもよい。例えば、異物検出部33は、ステレオカメラ等の撮像装置で撮像された画像に対して周知の画像処理を行うことにより、磁場発生領域X内の異物の有無を検出してもよい。また、異物検出部33は、レーザーを照射し、異物によって反射するレーザーの検出結果に基づいて、磁場発生領域X内の異物の有無を検出してもよい。
【0062】
送電コイル11及び受電コイル21は、例えば、サーキュラー型のコイルである。サーキュラー型のコイルは、送電コイル11と受電コイル21との対向方向に沿って見たときに、渦巻状に巻かれた導線とを含む。この導線は、例えば、矩形または円形に巻かれている。或いは、送電コイル11及び受電コイル21は、ソレノイド型のコイルであってもよい。
【0063】
上記の例では、走行路面R(地上)に設置された送電装置10から車両V側へ送電したが、車両Vから走行路面R側(地上側)に送電してもよい。
【0064】
また、上記の例では、地上側から車両Vに給電したが、車両V以外の移動体に給電することもできる。移動体として、例えば、船であってもよい。船に給電する場合、例えば、港等に設けられた送電装置の送電コイルの取り付け面を基準面とすることができる。また、船に搭載された受電装置の送電コイルにおける送電装置側の面の高さ位置などは、給電位置における基準面からの高さ位置とすることができる。例えば、船に側方から給電する場合は、基準面は垂直な面であり、高さ位置のかわりに、基準面からの水平方向距離を用いる。また、移動体は、車両V及び船に限定されず、例えばバイク、自転車、電車、飛行機であってもよい。
【0065】
受電装置20は、車両Vの前輪より前方、もしくは車両Vの後輪より後方において、車両Vの車体の底面に取り付けられていてもよい。送電回路12は、カバー15内に収容されておらず、別筐体に収容されていてもよい。