(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819343
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】浄水器用ホルダおよび浄水器
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20060101AFI20210114BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
C02F1/00 B
C02F1/28 R
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-25880(P2017-25880)
(22)【出願日】2017年2月15日
(65)【公開番号】特開2018-130669(P2018-130669A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高島 孝輔
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/056594(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/199145(WO,A1)
【文献】
特開2009−226326(JP,A)
【文献】
特開2004−50083(JP,A)
【文献】
実開平07−037395(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
C02F 1/28
C02F 1/44
B01D 61/00−71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円柱形のフィルタカートリッジを把持する浄水器用ホルダであって、前記フィルタカートリッジをその円筒円柱の中心軸に対して垂直な方向から把持する把持部材および壁面に固定される取付部材で構成され、
前記把持部材は、前記フィルタカートリッジが挿入される開口部、ならびに前記取付部材に係合される第1の係止部および第2の係止部を有し、
前記取付部材は、前記把持部材を係合する第1の被係止部および第2の被係止部を有し、
前記把持部材が前記フィルタカートリッジを把持している状態における、フィルタカートリッジの円柱の中心軸が向く方向を中心軸方向としたとき、前記第1の係止部、第2の係止部、第1の被係止部および第2の被係止部は、
前記把持部材が前記取付部材に対して第1の方向で係合されているときに、前記第1の係止部と前記第1の被係止部とが係合し、前記第2の係止部と前記第2の被係止部とが係合し、
前記把持部材が前記取付部材に対して前記第1の方向とは前記中心軸方向を反転させた第2の方向で係合されているときに、前記第1の係止部と前記第2の被係止部とが係合し、前記第2の係止部と前記第1の被係止部とが係合し、
前記第1の係止部および第2の係止部は、前記第1の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向と、前記第2の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向とが異なるように、前記開口部に対して配置されている、浄水器用ホルダ。
【請求項2】
前記第1の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向と、前記第2の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向とのなす角度(鋭角)が、10〜60度の範囲である、請求項1の浄水器用ホルダ。
【請求項3】
前記第1の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向が、前記壁面に対して垂直方向である、請求項1または2の浄水器用ホルダ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの浄水器用ホルダを有する浄水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所のシンク下部に設置するアンダーシンク型浄水器を把持するホルダ、およびホルダを有する浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道水を浄化する浄水器としては、水道水栓の吐出口に直結する蛇口直結型浄水器、キッチンの上に置いて使用する据置型浄水器、キッチンの内部に置いて使用するアンダーシンク型(またはビルトイン型)浄水器などが知られている。いずれも浄水器用フィルタカートリッジに充填した濾材は処理できる総濾過水量が限られているため、使用者は、浄水器用フィルタカートリッジを定期的に交換しながら浄水器を継続使用する。
【0003】
アンダーシンク型浄水器は、蛇口直結型浄水器や据置型浄水器に比べて大型であり、処理できる総濾過水量も大きいため長期間使用できる。キッチンの水栓やシンク近傍に浄水器を置かないので、作業の邪魔にならない。
【0004】
アンダーシンク型浄水器としては、例えば特許文献1のように、原水入口と浄水出口を備え、ワンタッチジョイントを先端に取り付けたホースを接続して使用するものが知られている。使用者は、浄水器用カートリッジをシンク下の空間の底面に置き、原水供給用のホースと、浄水吐出用のホースを接続する。キッチンの水栓を操作すれば容易に浄水を得ることができる。
【0005】
また、特許文献1のような浄水器用カートリッジをシンク下の空間の底面に置く配置は、キッチン下方の収納空間が減少するし、シンクの下方空間に引き出しを設けた近年主流のキッチンにおいては無理があるなどの問題から、特許文献2のように、キッチンシンクの天板下部の空間に、浄水器を吊り下げ設置することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−275814号公報
【特許文献2】特開2006−169784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の構成では、キッチンの天板部の下部に浄水器を固定しているので、浄水器用フィルタカートリッジの交換に際しては、キッチン下方の収納空間に潜り込んで行う必要があり、やりづらく手間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述のような問題点に鑑み、キッチンシンク下部の収納空間に設置しても、キッチンシンク下部の収納空間を減少することがなく、浄水器用フィルタカートリッジの交換がしやすく、浄水器用フィルタカートリッジの交換に手間がかからない浄水器用ホルダと、そのホルダを有する浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の浄水器用ホルダは下記の構成から成る。すなわち、
略円柱形のフィルタカートリッジを把持する浄水器用ホルダであって、前記フィルタカートリッジをその円柱の中心軸に対して垂直な方向から把持する把持部材および壁面に固定される取付部材で構成され、
前記把持部材は、前記フィルタカートリッジが挿入される開口部、ならびに前記取付部材に係合される第1の係止部および第2の係止部を有し、
前記取付部材は、前記把持部材を係合する第1の被係止部および第2の被係止部を有し、
前記把持部材が前記フィルタカートリッジを把持している状態における、フィルタカートリッジの円柱の中心軸が向く方向を中心軸方向としたとき、前記第1の係止部、第2の係止部、第1の被係止部および第2の被係止部は、
前記把持部材が前記取付部材に対して第1の方向で係合されているときに、前記第1の係止部と前記第1の被係止部とが係合し、前記第2の係止部と前記第2の被係止部とが係合し、
前記把持部材が前記取付部材に対して前記第1の方向とは前記中心軸方向を反転させた第2の方向で係合されているときに、前記第1の係止部と前記第2の被係止部とが係合し、前記第2の係止部と前記第1の被係止部とが係合し、
前記第1の係止部および第2の係止部は、前記第1の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向と、前記第2の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向とが異なるように、前記開口部に対して配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、前記第1の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向と、前記第2の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向とのなす角度(鋭角)が、10〜60度の範囲であることが好ましい。
【0011】
また、前記第1の方向で係合されている状態における、前記把持部材の開口部への前記フィルタカートリッジの挿入方向が、前記壁面に対して垂直方向であることが好ましい。
【0012】
本発明の浄水器は、本発明の浄水器用ホルダを備えた浄水器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、浄水器用ホルダは、把持部材と前記取付部材の係止位置の選択により、把持部材の開口部の開口方向角度が、壁面に対して、2通りに変更可能であり、例えば、把持部材の側方に障害物があって側方向に浄水器用フィルタカートリッジを着脱できない場合であっても、把持部材の開口部の開口方向を変更することで、別の方向から浄水器用フィルタカートリッジを容易に着脱することができる。そのため、浄水器用ホルダ設置位置付近の障害物の有無を気にせず、キッチンシンク下部の限られた空間の左右壁面の上下や奥側壁に、浄水器用フィルタカートリッジを水平や垂直または希望角度で壁面に取り付けることができるので設置の自由度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の浄水器用ホルダを使用し、浄水器を垂直方向に取り付けた形態の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1における浄水器用ホルダの取り付け形態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の浄水器用ホルダに取り付ける浄水器の一例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の浄水器用ホルダを使用し、浄水器を水平方向に取り付けた形態の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図4における浄水器用ホルダの取り付け形態を示す側面図である。
【
図6】本発明の浄水器用ホルダに取り付けるフィルタカートリッジの一例を示す正面図である。
【
図7】本発明の浄水器用ホルダの組み立て方法の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における浄水器用ホルダの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、キッチンのシンク下の空間の奥壁(図示せず)などに、例えば浄水器1のフィルタカートリッジ2が、その円柱の中心軸に対して垂直な方向から把持部材301に把持され、浄水器用ホルダ300に取り付けられて設置されている。浄水器用ホルダ300は、開口部312を持つ2つの把持部材301と壁面に固定する取付部材302とで構成されていて、上下2本の把持部材301(第1把持部305、第2把持部306)で円柱状のフィルタカートリッジ2の外側を保持している。
【0016】
図2は、
図1のように浄水器1を垂直取り付けした時の、浄水器用ホルダ300を示す斜視図である。把持部材301は、略C字形状をなし、把持部材301の内径dhが、
図6に示すフィルターカートリッジ2の外径dfに対して、0.9df以上1df以下が好ましい。内径dhが0.9df以上であれば、フィルタカートリッジ2を取り外す際に適度な力で取り外せる。内径dhが1df以下であればフィルタカートリッジ2の脱落を防ぐことができる。
【0017】
また把持部材301の開口部312の両先端の間隔は、円柱状のフィルタカートリッジ2の直径より小さい寸法となっており、開口部312の開口部先端319は、挿入性を高めるため、先開きの誘い込み形状となっており、フィルタカートリッジ2挿入後の確実な装着感を確保している。開口部先端319の開口部距離dpが、
図6に示すフィルタカートリッジ2の外径dfに対して、0.7df以上0.9df以下が好ましい。開口部距離dpが0.7以上であれば、フィルタカートリッジ2を取り外す際に適度な力で取り外せる。開口部距離dpが0.9df以下であれば、フィルタカートリッジ2の脱落を防ぐことができる。また、開口部先端319には、補強リブ318が設けられており、フィルタカートリッジ2が、開口部先端319に接触し力が加わった場合、開口部先端319の変形や折れを防ぐことができる。また、補強リブ318は、略C字形状の把持部材301がフィルタカートリッジ2を強固に把持する強度向上用補強リブとしても効果を上げている。
【0018】
本実施例では、把持部材301と取付部材302の係止部はそれぞれ2箇所あり、まず把持部材301には、開口部312の開口方向と同じ第1の中心軸314上に配置される位置にあり、取付部材302に向かって、凸形状をなし、その先端に一対の略L字形状をした取付部材との第1の係止部313が設けられている。また取付部材302には、この第1の係止部313と嵌め合う切欠き溝状の第1の被係止部322が設けられている。さらに把持部材301には、第1の係止部313と同じ形状で、開口部312の開口方向と異なる第2の中心軸317上に配置された第2の係止部316が設けられている。また、同様に取付部材302には、この第2の係止部316材と嵌め合う切欠き溝状の第2の被係止部323が設けられている。
【0019】
上側にある第1把持部305は、一対の略L字形状をした第1の係止部313および第2の係止部316がそれぞれ、取付部材302の上方より、取付部材302にある切欠き溝状の第1の被係止部322および第2の被係止部323に嵌め合わされて、取付部材302に係合されている。下側にある第2把持部306も同様にして、一対の略L字形状をした2箇所の係止部が、取付部材302の下方より、取付部材302にある2箇所の切欠き溝状の被係止部に嵌め合わされて、取付部材302に係合されている。取付部材302は、2本のビス304で壁面に締め付け固定されている。このように把持部材301と取付部材302とは2箇所の係止部で係合されることにより、この2部品はぐらつくことなく安定的に固定され、通常時にはフィルタカートリッジ2を強固に保持でき、またフィルタカートリッジ2交換時には容易に脱着を行うことができる。なお、把持部材301と取付部材302の固定は、ネジ締結や爪嵌合でも手段は問わない。
【0020】
円柱状のフィルタカートリッジ2は、2つの把持部材301の開口部312より挿入され、しっかりとお互いの形状同士が合い、把持部材の弾性力によりゆるみなく確実に把持することができる。また、
図4に示す第1把持部305と第2把持部306との外側端同士の距離Dは、
図6に示すフィルタカートリッジ2の全長Lfに対して、0.35Lf以上0.9Lf以下が望ましい。距離Dが0.35Lf以上であると全長が長いフィルタカートリッジであっても安定的に把持できる距離Dが0.9Lf以下であれば、フィルタカートリッジがその長手方向に移動にした場合であってもフィルタカートリッジ2の脱落を防ぐことができる。なお、把持部材301のフィルタカートリッジを把持している部分の幅が十分に広ければ、取付部材302に把持部材301を1つだけ係合し、1つの把持部材301だけでフィルタカートリッジ2を把持する形態でもよい。
【0021】
図1,2の実施形態では、把持部材301の開口部へのフィルタカートリッジ2の挿入方向が壁面に対して垂直方向であるので、キッチンシンク下部の限られた空間の奥側壁に取り付けられていても、手を真っ直ぐに挿し入れて、フィルタカートリッジ2を容易に着脱することができる。
【0022】
把持部材301や取付部材302の材質は、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの樹脂や、ステンレス、黄銅、青銅などの金属が使用できる。これらの中でも、外観の良いABS樹脂やポリプロピレンを射出成形で製造するのが、外観および製造コストに関してメリットがあり、フィルタカートリッジ2の脱着が容易になるメリットがある。
【0023】
図3は、浄水器用ホルダに取り付ける浄水器の一例を示す斜視図である。この浄水器1は、濾材を収納したフィルタカートリッジ2と、フィルタ本体82の下端開口を閉塞する底蓋201、原水導入管7と浄水導出管8とを備え、フィルタカートリッジ2が着脱可能な浄水器用フィルタヘッド3から構成されている。浄水器用フィルタヘッド3の原水導入管7と、浄水導出管8は、キッチンの浄水器用水栓(図示せず)に接続されている。浄水器用水栓のレバーを回すなどして開栓すると、浄水器用水栓に内蔵された弁機構から原水導入管7に水道水が供給されるようになっている。浄水器1で浄化された浄水が浄水導出管8から浄水器用水栓に戻り、弁機構を通過せずに浄水器用水栓の吐出口からそのまま吐出される。すなわち浄水器用水栓に内蔵された弁機構より下流側に浄水器1が設けられ、止水時には浄水器1に水圧がかからないようになっている。いわゆるII形の浄水器である。しかしながら本発明の浄水器1はII形に限定されない。止水時に浄水器1に水圧がかかる、いわゆるI形の浄水器として使用してもよい。
【0024】
図4は、キッチンのシンク下の収納空間の右上角部(図示せず)に設置した一例の斜視図である。浄水器用ホルダ300の左右を反転させることにより、キッチンシンク下の収納空間の左上角部(図示せず)にも設置することができる。
図1のフィルタカートリッジ2の垂直設置に対して、フィルタカートリッジ2が水平に設置されている。把持部材301の開口部312へのフィルタカートリッジ2の挿入方向と、壁面に対して垂直な方向とのなす角度(鋭角)は10度以上90度以下であることが好ましい。角度が10度以上であれば、例えば把持部材301の正面方向に障害物がある場合や、キッチンのシンク下の収納空間の右上角部または左上角部が狭い場合など横方向にフィルタカートリッジ2を着脱できない場合であっても、キッチンのシンクを避けた斜め方向からフィルタカートリッジ2を交換することができる。また、フィルタカートリッジ2の挿入方向は、壁面に沿った方向が最も角度が大きくなる方向となるので、自ずと角度は90度以下となる。また、フィルタカートリッジ2の重さが下方向にかかるため、垂直取り付けの場合と比べて小さい力で取り外すことができる。また、フィルタカートリッジ2の取外力Fは、満水時のフィルタカートリッジの重量Mキログラムに対して、0.5Mキログラム重以上2.0Mキログラム重以下であることが好ましい。取外力Fが0.5Mキログラム重以上であれば、フィルタカートリッジ2の脱落を防ぐことができる。取外力Fが2.0Mキログラム重以下であると、フィルタカートリッジ2を取り外す際に適度な力で取り外すことができる。
図4の形態では、把持部材301は、開口部312へのフィルタカートリッジ2の挿入方向が、壁面に垂直な方向に対して下向き45度になるように取付部材302に取り付けられている。
【0025】
図5は、把持部材301を、開口部312へのフィルタカートリッジ2の挿入方向が、壁面に垂直な方向対して下向き45度となるように取り付けた場合の側面図である。以下、把持部材301がフィルタカートリッジ2を把持している状態における、フィルタカートリッジ2の円柱の中心軸が向く方向を中心軸方向、
図1、2の実施形態における、取付部材302に対して把持部材301が係合されている方向を第1の方向として説明をする。 把持部材301は、取付部材302に対して第1の方向とは中心軸方向を反転させた第2の方向で係合されて取り付けられている。把持部材301の第1の係止部313は斜め上方に向いて、取付部材302の第2の被係止部323に係合し、第2の係止部316は水平に向いて、壁面に対して垂直に取り付くように取付部材302の第1の被係止部322に係合している。第1の係止部313は開口部312の開口方向と同じ第1の中心軸314上に配置されているので、この係合の仕方により、把持部材301の開口部312の開口方向を斜め下向きにすることができる。このようにして、取付部材302に対して把持部材301の係合方向を反転させるだけで、第1の中心軸314と第2の中心軸317の角度差の分だけ、壁面に対する把持部材301の開口部312の開口方向の角度を変更できる。つまり、浄水器用ホルダ300は取付箇所により、壁に対する把持部材301の開口部312の開口方向角度を2通りに変更することができ、その結果、フィルタカートリッジ2を容易に交換できる。
【0026】
なお、当然のことながら、把持部材301の第1の係止部313、第2の係止部316、および取付部材302の第1の被係止部322、第2の被係止部323は、取付部材302に対して把持部材301が第1の方向で係合しているときは、第1の係止部313と第1の被係止部322とが係合でき、第2の係止部316と第2の被係止部323とが係合でき、取付部材302に対して把持部材301が第2の方向で係合しているときは、第1の係止部313と第2の被係止部323とが係合でき、第2の係止部316と第1の被係止部322とが係合できるような形状となっている。また、第1の係止部313、第2の係止部316が切欠き溝状で、第1の被係止部322、第2の被係止部323が凸形状であってもよい。
【0027】
なお、把持部材301と取付部材302とが2箇所の係止部で係合されていれば、この2部品は安定的に固定されるが、さらに安定度を増すために、第1の係止部と第2の係止部との間に別の係止部を、第1の被係止部と第2の被係止部との間に別の被係止部を設けて、それらを係合できるようにしてもよい。
【0028】
図7は、取付部材302に把持部材301を組み立てる方法の一例を示す斜視図である。
図7に示すように、取付部材302の長手方向外側から把持部材301を取り付ける。その際、把持部材301の補強リブ315が取付部材302の取付リブ324を乗り越えるようになっている。これにより、把持部材301が取付部材302に到達した感触を得てから、確実に取り付けることができ、把持部材301が取付部材302から容易に抜け落ちることがない。
【0029】
また、シンク下の空間でのフィルタカートリッジの交換作業をより作業性良く行うために、第1の方向で係合されている状態における、把持部材301の開口部312へのフィルタカートリッジ2の挿入方向と、第2の方向で係合されている状態における、把持部材301の開口部312へのフィルタカートリッジ2の挿入方向とのなす角度(鋭角)は10度以上90度以下が好ましい。角度が10度以上であれば、フィルタカートリッジ2の挿入方向を十分に変えられるので、例えば、第1の方向で係合されている状態において、キッチンシンク下部の収納空間内の障害物によりフィルタカートリッジを挿入できない場合であっても、第2の方向で係合することで、障害物を避けてフィルタカートリッジ2を挿入することができる。また、フィルタカートリッジ2の挿入方向をキッチンシンク下の壁面に対して垂直とすることが多いので、例えば、第1の方向で係合されている状態において、フィルタカートリッジ2の挿入方向を壁面に対して垂直とした場合、自ずと第2の方向で係合されている状態におけるフィルタカートリッジ2の挿入方向は、壁面に沿った方向が最も角度が大きくなる方向となるので、角度は90度以下が好ましい。キッチンシンク下部の収納部の下方向には収納物が置かれていることが多いので、角度は60度以下がより好ましい。
【0030】
また、把持部材は径方向に突出させた複数の補強リブ315を有する。2箇所の凸形状の外側にある取付部材に当てる補強リブ315は、略C字形状の把持部材301がフィルタカートリッジ2を強固に把持するため、把持部材根元部の強度向上用補強リブとしても効果を上げている。
【0031】
さらに、取付部材に2箇所等の開口穴を設け、結束バンドや面ファスナーや結束用ひもなどを前記開口穴に通して、フィルタカートリッジに巻きつけて縛れば、より確実にフィルタカートリッジを保持固定することができる。
【0032】
浄水器用ホルダの取付部材を、シンク下の空間の壁に固定する手段は、ビス締付でも強力両面テープでも手段は問わない。
【0033】
最後に、浄水器1のフィルタカートリッジ2の交換方法の一例について説明する。
本発明における浄水器のフィルタカートリッジ着脱時、フィルタカートリッジ2を反時計回りに90度回すと、バヨネット機構によりフィルタカートリッジ2が浄水器用フィルタヘッド3から容易に外れる。
【0034】
次に未使用のフィルタカートリッジ2を浄水器用フィルタヘッド3に取り付ける。未使用のフィルタカートリッジ2の先端を浄水器用フィルタヘッド3に挿入すると、浄水器用フィルタヘッド3の中心軸にフィルタカートリッジ2の中心軸が自ずと合うようになっている。浄水器用フィルタヘッド3に到達した感触を得てから、未使用のフィルタカートリッジ2を時計回りに90度回すと、未使用のフィルタカートリッジ2を浄水器用フィルタヘッド3に確実に取り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、水道水を浄化する浄水器をキッチンのシンク下の空間などに設置するホルダに関し、さらに詳しくは、アンダーシンク型浄水器用ホルダに関するものであるが、壁掛型浄水器、スタンド型浄水器など浄水器全般に応用できる。アンダーシンク型浄水器に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1 浄水器
2 フィルタカートリッジ
3 浄水器用フィルタヘッド
7 原水導入管
8 浄水導出管
300 浄水器用ホルダ
301 把持部材
302 取付部材
304 ビス
305 第1把持部
306 第2把持部
312 開口部
313 第1の係止部
314 第1の中心軸
315 補強リブ
316 第2の係止部
317 第2の中心軸
318 補強リブ
319 開口部先端
322 第1の被係止部
323 第2の被係止部
324 取付リブ