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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819346
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20210114BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20210114BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   H01G4/30 201H
   H01G4/30 513
   H01G4/38 A
   H01G4/228 W
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-27800(P2017-27800)
(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公開番号】特開2018-133518(P2018-133518A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ▲徳▼久
(72)【発明者】
【氏名】小林 一三
(72)【発明者】
【氏名】増田 淳
(72)【発明者】
【氏名】森 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】松永 香葉
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 広祐
【審査官】 田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−044977(JP,A)
【文献】 特開平08−017679(JP,A)
【文献】 特開2009−026906(JP,A)
【文献】 特開2012−94784(JP,A)
【文献】 特開2014−146642(JP,A)
【文献】 特表2016−535445(JP,A)
【文献】 特開2015−095490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/228
H01G 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の互いに略平行なチップ第1辺及び前記チップ第1辺を接続する互いに略平行な一対のチップ第2辺を有する略矩形の一対のチップ端面に端子電極が形成されており、一対の前記チップ端面及び一対の前記チップ端面を接続する4つのチップ側面を有する略直方体形状である複数のチップ部品と、一対の前記チップ端面に対応して設けられる一対の金属端子部と、を有し、
一対の前記金属端子部は、それぞれ、
前記チップ第1辺に略平行な一対の端子第1辺と、前記チップ第2辺に略平行な一対の端子第2辺とを有する略矩形平板状であって、前記チップ端面に対向する電極対向部と、
前記電極対向部から前記チップ側面へ延びており、前記チップ部品を前記チップ第1辺の両端側から挟んで把持する上部アーム部及び下部アーム部と、
前記上部アーム部より前記下部アーム部に近い一方の前記端子第2辺に接続しており、一方の前記端子第2辺から前記チップ部品側へ延びており、少なくとも一部が前記電極対向部に対して略垂直である実装部と、を有し、
前記上部アーム部及び前記下部アーム部のいずれか一方は、複数の前記チップ部品に接触し、複数の前記チップ部品の前記チップ第2辺が整列された連続アーム部を有しており、
前記上部アーム部及び前記下部アーム部のいずれか他方は、1つのチップ部品のみに接触する分割アーム部を複数有しており、
前記電極対向部は、前記チップ端面に面するプレート本体部と、前記プレート本体部より下方に位置し、前記プレート本体部と前記実装部とを接続する端子接続部とを有しており、
前記電極対向部には、前記下部アーム部が接続する周縁部を有する第2貫通孔が形成されており、
前記第2貫通孔は、当該第2貫通孔の周縁部が前記プレート本体部と前記端子接続部とに跨るように形成されており、
前記下部アーム部は、前記端子接続部から延びており、
前記電極対向部の前記第2貫通孔と前記端子第2辺の間には、スリットが形成されいるセラミック電子部品。
【請求項2】
前記上部アーム部が前記連続アーム部を有しており、前記下部アーム部が前記分割アーム部を複数有することを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項3】
前記下部アーム部が前記連続アーム部を有しており、前記上部アーム部が前記分割アーム部を複数有することを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項4】
前記チップ部品は内部電極層と誘電体層とが積層された積層コンデンサであり、
前記チップ部品における積層方向は、前記チップ第2辺に対して略平行であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
【請求項5】
前記電極対向部における前記チップ端面に面する部分には、第1貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
【請求項6】
前記電極対向部には、前記チップ端面へ向かって突出し、前記チップ端面に接触する複数の突起が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
【請求項7】
前記上部アーム部は、前記電極対向部における他方の前記端子第2辺に接続していることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
【請求項8】
前記電極対向部には、前記チップ端面に面する部分に位置する第1貫通孔と、前記下部アーム部が接続する周縁部を有しており前記第1貫通孔より前記実装部の近くに位置する第2貫通孔と、が形成されており、
前記第2貫通孔は、前記端子第2辺に平行な方向である幅方向の開口幅が、前記第1貫通孔より広いことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
【請求項9】
前記連続アーム部における前記端子第2辺に平行な方向である幅方向の長さは、前記チップ第2辺の長さより長く、
前記分割アーム部における前記幅方向の長さは、前記チップ第2辺の長さより短いことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品とこれに取り付けられる金属端子を有する金属端子付きセラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品としては、単体で直接基板等に面実装等する通常のチップ部品の他に、チップ部品に金属端子が取り付けられたものが提案されている。金属端子が取り付けられているセラミック電子部品は、実装後において、チップ部品が基板から受ける変形応力を緩和したり、チップ部品を衝撃等から保護する効果を有することが報告されており、耐久性及び信頼性等が要求される分野において使用されている。
【0003】
また、金属端子には、チップ部品で生じる振動が実装基板に伝わることを防止する効果があることも報告されており、そのような効果を高めるために、金属端子における実装部と接続部(電極対向部)との間に、連結部を設けるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−95490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実装部と接続部(電極対向部)との間に連結部を設ける従来の金属端子では、セラミック電子部品の実装面積(Z軸方向からの投影面積)が、チップ部品の投影面積に比べて、ある程度広くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、チップ部品で生じる振動が金属端子を介して実装基板に伝わることを防止し、実装後に基板から受ける変形応力や衝撃等からチップ部品を保護し、かつ、実装面積の拡大を防止し得るセラミック電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るセラミック電子部品は、
一対の互いに略平行なチップ第1辺及び前記チップ第1辺を接続する互いに略平行な一対のチップ第2辺を有する略矩形の一対のチップ端面に端子電極が形成されており、一対の前記チップ端面及び一対の前記チップ端面を接続する4つのチップ側面を有する略直方体形状である複数のチップ部品と、一対の前記チップ端面に対応して設けられる一対の金属端子部と、を有し、
一対の前記金属端子部は、それぞれ、
前記チップ第1辺に略平行な一対の端子第1辺と、前記チップ第2辺に略平行な一対の端子第2辺とを有する略矩形平板状であって、前記チップ端面に対向する電極対向部と、
前記電極対向部から前記チップ側面へ延びており、前記チップ部品を前記チップ第1辺の両端側から挟んで把持する上部アーム部及び下部アーム部と、
前記上部アーム部より前記下部アーム部に近い一方の前記端子第2辺に接続しており、一方の前記端子第2辺から前記チップ部品側へ延びており、少なくとも一部が前記電極対向部に対して略垂直である実装部と、を有し、
上部アーム部及び前記下部アーム部のいずれか一方は、複数の前記チップ部品に接触し一つの前記チップ部品における一方の前記チップ第2辺と他の一つの前記チップ部品における一方の前記チップ第2辺とを整列させる連続アーム部を有しており、上部アーム部及び前記下部アーム部のいずれか他方は、1つのチップ部品のみに接触する分割アーム部を複数有する。
【0008】
本発明に係るセラミック電子部品における金属端子部は、実装部が電極対向部の端子第2辺に接続しているため、本発明に係るセラミック電子部品は、端子第1辺に連結部を介して接続される従来技術に比べて、高さ方向からの投影面積が狭く、実装面積を削減できる。
【0009】
また、本発明に係るセラミック電子部品における金属端子部は、複数のチップ部品に接触し、接触するチップ部品における第2辺を整列させる連続アーム部を有しているため、セラミック電子部品の外形状のばらつきを抑制することが可能である。また、上部アーム部及び前記下部アーム部のいずれか一方が連続アーム部を有しており、いずれか他方が分割アーム部を有しているため、1つのセラミック電子部品に含まれるチップ部品の寸法が一致していないような場合であっても、上部アーム部と下部アーム部との間に各チップ部品を確実に把持することができる。
【0010】
また、複数のチップ部品を実装面に平行な方向に並べて配置する構成としてもよく、そのようなセラミック電子部品では、上部アーム部と下部アーム部との間には、嵌合方向である上下方向に沿って1つのチップ部品が把持される構成となるため、チップ部品と金属端子部との接合信頼性が高く、衝撃や振動に対しても信頼性が高い。また、上部アーム部と下部アーム部との間に、嵌合方向に沿って1つだけのチップ部品を把持してもよく、そのような金属端子部は、たとえチップ部品の第1辺が長い場合であっても、確実にチップ部品を把持することができる。
【0011】
また、例えば、本発明に係るセラミック電子部品は、前記上部アーム部が前記連続アーム部を有してもよく、前記下部アーム部が前記分割アーム部を複数有してもよい。
【0012】
上部アーム部が連続アーム部を有する場合、各チップ部品の上方のチップ第2辺が整列されるため、各チップ部品の上方の側面が、同一平面に沿って整列される。したがって、このようなセラミック電子部品は、表面実装時におけるピックアップ等で、チップ部品の上方の側面の間に段差があることに起因するエラーが生じる問題を防止できる。
【0013】
また、例えば、本発明に係るセラミック電子部品は、前記下部アーム部が前記連続アーム部を有してもよく、前記上部アーム部が前記分割アーム部を複数有してもよい。
【0014】
下部アーム部が連続アーム部を有する場合、各チップ部品の下方のチップ第2辺が整列されるため、各チップ部品の下方の側面が、同一平面に沿って整列される。したがって、このようなセラミック電子部品は、チップ部品の下面と実装面又は実装部との間隔を適切に確保することが可能となり、チップ部品の下面の位置がばらつくことに起因してはんだのはい上がりが生じる問題を防止できる。
【0015】
また、例えば前記チップ部品は内部電極層と誘電体層とが積層された積層コンデンサであってもよく
前記チップ部品における積層方向は、前記チップ第2辺に対して略平行であってもよい。
【0016】
このようなセラミック電子部品では、内部電極層が実装面に対して垂直に配置される構成となるため、内部電極層が実装面に対して平行に配置されるものに比べて、ESLを下げることが可能である。また、上部アーム部と下部アーム部との間に挟まれるチップ第1辺は、積層方向に垂直であるため寸法バラツキが小さい。そのため、上部アーム部と下部アーム部とが、チップ部品における寸法ばらつきの少ない部分を把持することにより、金属端子部は、より確実にチップ部品を把持することができる。
【0017】
また、例えば、前記電極対向部における前記チップ端面に面する部分には、第1貫通孔が形成されていてもよい。
【0018】
このような第1貫通孔が形成されているセラミック電子部品では、たとえば金属端子部とチップ部品を組み立てた後に、チップ部品と金属端子部とを電気的および機械的に接続するハンダや導電性接着剤等を塗布することができるため、製造が容易である。また、チップ部品と金属端子とを電気的および機械的に接続する接合部材の状態を、セラミック電子部品の外部から視認することができるため、製造不良の発生を抑制することができる。
【0019】
また、例えば、前記電極対向部には、前記チップ端面へ向かって突出し、前記チップ端面に接触する複数の突起が形成されていても良い。
【0020】
電極対向部に突起が形成されていることにより、電極対向部とチップ端面とが直接接触する面積が低減するため、チップ部品の振動が実装基板に伝わる問題を防止し、セラミック電子部品の音鳴きを抑制することができる。また、電極対向部の突起により、電極対向部とチップ端面との間に隙間が形成される。したがって、突起によって、電極対向部とチップ端面との間に形成される隙間を調整することにより、チップ部品と金属端子部とを電気的および機械的に接続する接合部材の状態を制御し、チップ部品と金属端子との接合状態を好適に制御することができる。
【0021】
また、例えば、前記電極対向部には、前記下部アーム部が接続する周縁部を有する第2貫通孔が形成されていてもよい。
【0022】
このような第2貫通孔が形成されている金属端子部は、チップ部品を支持する下部アーム部の周辺が弾性変形しやすい形状となっているため、セラミック電子部品に生じる応力を緩和する作用や、振動を吸収する作用を、効果的に奏することができる。したがって、このような金属端子部を有するセラミック電子部品は、音鳴きを好適に防止することが可能であり、実装時における実装基板との接合信頼性が良好である。
【0023】
また、例えば、前記上部アーム部は、前記電極対向部における他方の前記端子第2辺に接続していてもよい。
【0024】
実装部が一方の端子第2辺に接続しており、上部アーム部が他方のチップ第2辺に接続している金属端子部は、高さ方向(端子第1辺方向)の長さを短くすることが可能であり、このような金属端子部を有するセラミック電子部品は、低背化の点で有利である。このような金属端子部は、下部アーム部と、実装部との形成位置を、端子第2辺方向に関して重なる位置に設けることができる。したがって、このようなセラミック電子部品は、端子第2辺方向に関する小型化の観点で有利である。
【0025】
また、例えば、前記電極対向部は、前記チップ端面に面するプレート本体部と、前記プレート本体部より下方に位置し、前記プレート本体部と前記実装部とを接続する端子接続部とを有しており、
前記第2貫通孔は、前記第2貫通孔の周縁部が前記プレート本体部と前記端子接続部とに跨るように形成されており、
前記下部アーム部は、前記端子接続部から延びていてもよい。
【0026】
このようなセラミック電子部品は、下部アーム部が端子接続部から延びていることにより、これらがプレート本体部に接続している場合に比べて、チップコンデンサの端子電極と実装基板との伝送経路が短くなる。
【0027】
また、例えば、前記電極対向部には、前記チップ端面に面する部分に位置する第1貫通孔と、前記下部アーム部が接続する周縁部を有しており前記第1貫通孔より前記実装部の近くに位置する第2貫通孔と、が形成されていてもよく、
前記第2貫通孔は、前記端子第2辺に平行な方向である幅方向の開口幅が、前記第1貫通孔より広くてもよい。
【0028】
第1貫通孔と第2貫通孔の幅方向の開口幅は、特に限定されないが、第2貫通孔の開口幅を広くすることにより、金属端子部による応力緩和作用や、音鳴き防止効果を、効果的に高めることができる。また、第1貫通孔の開口幅を第2貫通孔より狭くすることにより、接合部材等によるチップ部品と電極対向部との接合強度が過度に高まることを防止することができるため、このようなセラミック電子部品は、音鳴きを抑制することができる。
【0029】
また、例えば、前記連続アーム部における前記端子第2辺に平行な方向である幅方向の長さは、前記チップ第2辺の長さより長くてもよく、
前記分割アーム部における前記幅方向の長さは、前記チップ第2辺の長さより短くてもよい。
【0030】
連続アーム部の長さをチップ第2辺の長さより長くすることにより、連続アーム部は複数のチップ部品を確実に把持することが可能である。また、分割アーム部の長さをチップ第2辺の長さより短くすることにより、分割アーム部が把持する対象であるチップ部品以外のチップ部品に接触することを防止することができるため、そのような分割アーム部は、対象となるチップ部品を確実に把持することが可能である。また、複数のチップ部品同士を接触するように配置しても、分割アーム部が対象となるチップ部品を確実に把持できるので、このようなセラミック電子部品は小型化に適している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るセラミック電子部品を示す概略斜視図である。
図2図2は、図1に示すセラミック電子部品の正面図である。
図3図3は、図1に示すセラミック電子部品の左側面図である。
図4図4は、図1に示すセラミック電子部品の上面図である。
図5図5は、図1に示すセラミック電子部品の底面図である。
図6図6は、図1に示すセラミック電子部品の模式断面図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係るセラミック電子部品を示す概略斜視図である。
図8図8は、図7に示すセラミック電子部品の正面図である。
図9図9は、図7に示すセラミック電子部品の左側面図である。
図10図10は、図7に示すセラミック電子部品の上面図である。
図11図11は、図7に示すセラミック電子部品の底面図である。
図12図12は、本発明の第3実施形態に係るセラミック電子部品の概略斜視図である。
図13図13は、本発明の第4実施形態に係るセラミック電子部品の概略側面図である。
図14図14は、比較例に係るセラミックコンデンサの斜視図である。
図15図15は、実施例及び比較例に係るセラミックコンデンサのインピーダンス及び抵抗成分の測定結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10を示す概略斜視図である。セラミックコンデンサ10は、チップ部品としてのチップコンデンサ20と、一対の金属端子部30、40とを有する。第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10は、2つのチップコンデンサ20を有するが、セラミックコンデンサ10が有するチップコンデンサ20の数は、複数であれば特に限定されない。
【0034】
なお、各実施形態の説明では、チップコンデンサ20に金属端子部30、40が取り付けられたセラミックコンデンサ10を例に説明を行うが、本発明のセラミック電子部品としてはこれに限られず、コンデンサ以外のチップ部品に金属端子部30、40が取り付けられたものであっても良い。また、各実施形態の説明においては、図1図11に示すように、チップコンデンサ20の第1側面20cと第2側面20dとを接続する方向(チップ第2辺20hに平行な方向)をX軸方向とし、第1端面20aと第2端面20bとを接続する方向(チップ第3辺20jに平行な方向)をY軸方向とし、第3側面20eと第4側面20fを接続する方向(チップ第1辺20gに平行な方向)をZ軸方向として説明を行う。
【0035】
チップコンデンサ20は、略直方体形状であり、2つのチップコンデンサ20は、互いに略同一の形状およびサイズを有している。図2に示すように、チップコンデンサ20は、互いに対向する一対のチップ端面を有しており、一対のチップ端面は、第1端面20aと第2端面20bとで構成されている。図1図2及び図4に示すように、第1端面20a及び第2端面20bは略矩形であり、第1端面20a及び第2端面20bの矩形を構成する4辺のうち、一対の互いに略平行な辺であって、長さが長い方の一対の辺がチップ第1辺20g(図2参照)であり、一対の互いに略平行な辺であって、長さが短い方の一対の辺がチップ第2辺20h(図3参照)である。
【0036】
チップコンデンサ20は、第1端面20aと第2端面20bとが実装面に対して垂直になるように、言い換えると、第1端面20aと第2端面20bとを繋ぐチップコンデンサ20のチップ第3辺20j(図2参照)が、セラミックコンデンサ10の実装面と平行になるように配置されている。なお、セラミックコンデンサ10の実装面は、後述する金属端子部30、40の実装部38、48が対向するように、セラミックコンデンサ10がハンダ等によって取り付けられる面であり、図1に示すXY平面に平行な面である。
【0037】
図2に示すチップ第1辺20gの長さL1と、図4に示すチップ第2辺20hとの長さL2とを比較すると、チップ第2辺20hの方がチップ第1辺20gより短い(L1>L2)。チップ第1辺20gとチップ第2辺20hとの長さの比は特に限定されないが、たとえばL2/L1は、0.3〜0.7程度である。
【0038】
チップコンデンサ20は、図2に示すように、チップ第1辺20gが実装面に対して垂直になり、図4に示すように、チップ第2辺20hが実装面に対して平行になるように配置される。したがって、第1端面20aと第2端面20bとを接続する4つのチップ側面である第1〜第4側面20c〜20fのうち、面積の広い第1側面20c及び第2側面20dは実装面に対して垂直に配置され、第1側面20c及び第2側面20dより面積が狭い第3側面20e及び第4側面20fは、実装面に対して平行に配置される。また、第3側面20eは、下方の実装部38、48とは反対方向を向く上方側面であり、第4側面20fは、実装部38、48と向き合う下方側面である。
【0039】
図1図2及び図4に示すように、チップコンデンサ20の第1端子電極22は、第1端面20aから第1〜第4側面20c〜20fの一部に回り込むように形成されている。したがって、第1端子電極22は、第1端面20aに配置される部分と、第1側面20c〜第4側面20fに配置される部分とを有する。
【0040】
また、チップコンデンサ20の第2端子電極24は、第2端面20bから側面20c〜20fの他の一部(第1端子電極22が回り込んでいる部分とは異なる部分)に回り込むように形成されている。したがって、第2端子電極24は、第2端面20bに配置される部分と、第1側面20c〜第4側面20fに配置される部分を有する(図1図2及び図4参照)。また、第1側面20c〜第4側面20fにおいて、第1端子電極22と第2端子電極24とは所定の距離を隔てて形成されている。
【0041】
チップコンデンサ20の内部構造を模式的に表す図6に示すように、チップコンデンサ20は、内部電極層26と誘電体層28とが積層された積層コンデンサである。内部電極層26は、第1端子電極22に接続しているものと、第2端子電極24に接続しているものとがあり、第1端子電極22に接続する内部電極層26と、第2端子電極24に接続している内部電極層26とが、誘電体層28を挟んで交互に積層されている。
【0042】
図6に示すように、チップコンデンサ20における積層方向は、図4に示すチップ第2辺20hに平行である。したがって、図6に示す内部電極層26は、実装面に対して垂直に配置される。
【0043】
チップコンデンサ20における誘電体層28の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。各誘電体層28の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。本実施形態では、好ましくは1.0〜5.0μmである。また、誘電体層28は、コンデンサの静電容量を大きくできるチタン酸バリウムを主成分とすることが好ましい。
【0044】
内部電極層26に含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層28の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層26は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層26の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0045】
第1及び第2端子電極22、24の材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。第1及び第2端子電極22、24の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。なお、第1及び第2端子電極22、24の表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていても良い。
【0046】
チップコンデンサ20の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。チップコンデンサ20は、例えば、縦(L3)1.0〜6.5mm、好ましくは3.2〜5.9mm×横(L1)0.5〜5.5mm、好ましくは1.6〜5.2mm×厚み(L2)0.3〜3.2mm、好ましくは0.8〜2.9mm程度である。複数のチップコンデンサ20を有する場合は、互いに大きさや形状が異なっていてもかまわない。
【0047】
セラミックコンデンサ10における一対の金属端子部30、40は、一対のチップ端面である第1及び第2端面20a、20bに対応して設けられる。すなわち、一対の金属端子部30、40の一方である第1金属端子部30は、一対の端子電極22、24の一方である第1端子電極22に対応して設けられており、一対の金属端子部30、40の他方である第2金属端子部40は、一対の端子電極22、24の他方である第2端子電極24に対応して設けられている。
【0048】
第1金属端子部30は、第1端子電極22に対向する電極対向部36と、チップコンデンサ20をチップ第1辺20gの両端側からZ軸方向に挟んで把持する上部アーム部31及び下部アーム部33と、電極対向部36からチップコンデンサ20側へ延びており少なくとも一部が電極対向部36に対して略垂直である実装部38とを有する。
【0049】
図2に示すように、電極対向部36は、実装面に垂直であるチップ第1辺20gに略平行な一対の端子第1辺36gと、図3に示すように実装面に平行であるチップ第2辺20hに略平行な一対の端子第2辺36ha、36hbとを有する略矩形平板状である。
【0050】
図3に示すように、実装面に平行である端子第2辺36ha、36hbの長さは、端子第2辺36ha、36hbと平行に配置されるチップ第2辺20hの長さL2を、セラミックコンデンサ10に含まれるチップコンデンサ20の数に相当する回数積算した長さに対して同等であってもよく、僅かに短くてもよく、僅かに長くてもよい。
【0051】
図3に示す第1実施形態では、セラミックコンデンサ10がチップコンデンサ20を2つ含んでおり、実装面に平行である端子第2辺36ha、36hbの長さは、端子第2辺36ha、36hbと平行に配置されるチップ第2辺20hの長さL2の2倍より僅かに長い。金属端子30、40に対して組み合わせることのできるチップコンデンサの寸法は、1種類に限定されず、金属端子30、40は、チップ第2辺の長さが異なる複数種類のチップコンデンサに対応して、セラミックコンデンサを構成することが可能である。
【0052】
電極対向部36は、対向する第1端面20aに形成された第1端子電極22に対して、電気的及び機械的に接続されている。例えば、図4に示す電極対向部36と第1端子電極22との隙間に、はんだや導電性接着剤等の導電性の接続部材を介在させて、電極対向部36と第1端子電極22とを接続することができる。なお、第1金属端子部30と第1端子電極22との電気的な接続が、後述する上部及び下部アーム部31、33と第1端子電極22との接触部分によって達成される場合は、電極対向部36と第1端子電極22とを接続する接続部材として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの非導電性接着剤等を用いてもよい。
【0053】
また、図1及び図3に示すように、電極対向部36における第1端面20aに面する部分には、第1貫通孔36bが形成されている。第1貫通孔36bは、セラミックコンデンサ10に含まれる各チップコンデンサ20に対応するように2つ形成されているが、第1貫通孔36bの形状及び数はこれに限定されない。
【0054】
第1貫通孔36bには、電極対向部36と第1端子電極22とを接続する接続部材が設けられている。接続部材は、はんだや導電性接着剤等の導電性の材料で構成されていることが好ましく、たとえばはんだからなる接続部材は、第1貫通孔36bの周縁と第1端子電極22との間にはんだブリッジを形成することにより、電極対向部36と第1端子電極22とを強く接合することができる。
【0055】
また、図1及び図3に示すように、電極対向部36には、チップコンデンサ20の第1端面20aへ向かって突出し、第1端面20aに接触する複数の突起36aが形成されている。突起36aは、電極対向部36と第1端子電極22との接触面積を低減することにより、チップコンデンサ20で発生した振動が第1金属端子部30を介して実装基板に伝わることを防止し、セラミックコンデンサ10の音鳴きを防止することができる。
【0056】
また、突起36aを第1貫通孔36bの周辺に形成することにより、はんだ等の接続部材が形成される範囲等を調整することが可能であり、このようなセラミックコンデンサ10は、電極対向部36と第1端子電極22との接合強度を適切な範囲に調整しつつ、音鳴きを防止することができる。なお、セラミックコンデンサ10では、1つの第1貫通孔36bの周りに、4つの突起36aが形成されているが、突起36aの数及び配置は、これに限定されない。
【0057】
電極対向部36には、下部アーム部33が接続する周縁部を有する第2貫通孔36cが形成されている。第2貫通孔36cは、第1貫通孔36bより実装部38の近くに位置しており、第1貫通孔36bとは異なり、はんだ等の接続部材は設けられていない。
【0058】
このような第2貫通孔36cが形成されている第1金属端子部30は、チップコンデンサ20を支持する下部アーム部33の周辺が弾性変形しやすい形状となっているため、セラミックコンデンサ10に生じる応力を緩和する作用や、チップコンデンサ20の振動を吸収する作用を、効果的に奏することができる。したがって、このような第1金属端子部30を有するセラミックコンデンサ10は、音鳴きを好適に防止することが可能であり、また、実装時における実装基板との接合信頼性が良好である。
【0059】
第2貫通孔36cの形状は特に限定されないが、第2貫通孔36cは、端子第2辺36ha、36hbに平行な方向(X軸方向)である幅方向の開口幅が、第1貫通孔36bより広いことが好ましい。第2貫通孔36cの開口幅を広くすることにより、第1金属端子部30による応力緩和作用や、音鳴き防止効果を、効果的に高めることができる。また、第1貫通孔36bの開口幅を第2貫通孔36cより狭くすることにより、接合部材が広がりすぎることによってチップコンデンサ20と電極対向部36との接合強度が過度に高まることを防止することができるため、このようなセラミックコンデンサ10は、音鳴きを抑制することができる。
【0060】
また、図1に示すように下部アーム部33が1つの連続アーム部33aを有しており、連続アーム部33aが第2貫通孔36cの周縁部に接続する形状である場合は、第2貫通孔36cの開口幅を広くすることにより、連続アーム部33aの幅方向の長さを長くすることができる。なお、第1金属端子部30に形成された第1貫通孔36bの数は、セラミックコンデンサ10に保持されるチップコンデンサの数と同じく2つであるが、第2金属端子部40に形成された第2貫通孔36cの数は、第1金属端子部30が有する連続アーム部33aの数と同じく1つである。
【0061】
電極対向部36において、下部アーム部33が接続する第2貫通孔36cは、実装部38が接続する下方の端子第2辺36hbに対して、高さ方向に所定の距離を離して形成されており、第2貫通孔36cと端子第2辺36hbの間には、スリット36dが形成されている。スリット36dは、電極対向部36において、実装部38の近くに位置する下部アーム部33の電極対向部36に対する接続位置(第2貫通孔36cの周縁部下辺)と、実装部38が接続する下方の端子第2辺36hbとの間に形成されている。スリット36dは、端子第2辺36ha、36hbと平行な方向に延びている。スリット36dは、セラミックコンデンサ10を実装基板に実装する際に使用されるはんだが、電極対向部36をはい上がることを防止し、下部アーム部33や第1端子電極22まで繋がるはんだブリッジを形成することを防止できる。したがって、このようなスリット36dが形成されたセラミックコンデンサ10は、音鳴きを抑制する効果を奏する。
【0062】
図1及び図2に示すように、第1金属端子部30の上部アーム部31は、電極対向部36からチップコンデンサ20における上方のチップ側面である第3側面20eへ延びており、下部アーム部33は、電極対向部36からチップコンデンサ20における下方のチップ側面である第4側面20fに延びている。下部アーム部33は、電極対向部36に形成された第2貫通孔36cの周縁部に接続している。また、上部アーム部31が有する各分割アーム部31a、31bは、電極対向部36における上方(Z軸正方向側)の端子第2辺36haに接続している。
【0063】
図1に示すように、電極対向部36は、チップコンデンサ20の第1端面20aに面しており第1端面20aと重複する高さに位置するプレート本体部36jと、プレート本体部36jより下方に位置しておりプレート本体部36jと実装部38とを接続する端子接続部36kを有する。第2貫通孔36cは、その周縁部がプレート本体部36jと端子接続部36kとに跨るように形成されており、下部アーム部33は、端子接続部36kから延びている。すなわち、下部アーム部33の基端は、第2貫通孔36cにおける略矩形の周縁部における下辺に接続しており、下部アーム部33は、その基端から上方(Z軸正方向)かつ内側(Y軸負方向)へ屈曲しながら延びて、チップコンデンサ20の第4側面20fに接触し、チップコンデンサ20を下方から支持する(図2参照)。したがって、チップコンデンサ20の第1端面20aの下端(下方のチップ第2辺20h)は、下部アーム部33の基端である第2貫通孔36cの周縁部の下辺より上方に位置する。また、図3に示すように、チップコンデンサをY軸正方向から見た場合、第2貫通孔36cを通してセラミックコンデンサ10の側方から、チップコンデンサ20の第1端面20aの下端(下方のチップ第2辺20h)を、視認することができる。
【0064】
上部アーム部31は、1つのチップコンデンサ20のみに接触する分割アーム部31a、31bを複数有している。一方、下部アーム部33は、複数(実施形態では2つ)のチップコンデンサ20に接触する連続アーム部33aを1つ有している。連続アーム部33aは、両方のチップコンデンサ20の第4側面20fに接触している。これにより、連続アーム部33aは、図3に示すように、1つのチップコンデンサ20における下方のチップ第2辺20hと、他の1つのチップコンデンサ20における下方のチップ第2辺20hとを、X軸方向に沿って整列させる。
【0065】
図1に示すように、上部アーム部31における分割アーム部31aと下部アーム部33の連続アーム部33aとが対を成して、その間に1つのチップコンデンサ20を挟んで把持しており、上部アーム部31における分割アーム部31bと下部アーム部33の連続アーム部33aとが対を成して、他の1つのチップコンデンサ20をその間に把持している。第1金属端子部30では、上部アーム部31が分割アーム部31a、31bを有しており、各分割アーム部31a、31bは、複数ではなく1つのチップコンデンサ20を挟んでいるため、チップコンデンサ20の寸法がそろっていなくても、第1金属端子部30は、各チップコンデンサ20を確実に把持することができる。また、上部アーム部31と下部アーム部33とは、第1端面20aの短辺であるチップ第2辺20hではなく、長辺であるチップ第1辺20gの両端側からチップコンデンサ20を把持している。これにより、上部アーム部31と下部アーム部33との間隔が長くなり、チップコンデンサ20の振動を吸収しやすくなるので、セラミックコンデンサ10は、音鳴きを好適に防止できる。
【0066】
また、セラミックコンデンサ10の第1金属端子部30は、チップコンデンサ20におけるチップ第2辺20hを整列させる連続アーム部33aを有しているため、セラミックコンデンサ10の外形状のばらつきを抑制することが可能である。また、セラミックコンデンサ10は、下部アーム部33が連続アーム部33aを有しているため、両方のチップコンデンサ20における下方の側面である第4側面20fが、同一平面に沿って整列される。したがって、セラミックコンデンサ10は、チップコンデンサ20における下方の側面である第4側面20fと実装面又は実装部38との間隔を適切に確保することが可能となり、チップコンデンサ20の第4側面20fの位置がばらつくことに起因してはんだのはい上がりが生じる問題を防止できる。
【0067】
また、セラミックコンデンサ10の第1金属端子部30において、チップコンデンサ20を把持しており対を成す上部アーム部31と下部アーム部33とは、互いに非対称な形状を有しており、上部アーム部31の分割アーム部31a、31bと、下部アーム部33の連続アーム部33aとは、幅方向の長さ(X軸方向の長さ)が互いに異なる。図3に示すように、連続アーム部33aにおける幅方向の長さL5は、チップ第2辺20hの幅方向の長さL2より長く、複数のチップコンデンサ20を確実に把持し、整列させることが可能である。また、分割アーム部31a、31bにおける幅方向の長さL4は、チップ第2辺20hの幅方向の長さL2より短く、これにより分割アーム部31a、31bが把持する対象となるチップコンデンサ20以外のチップコンデンサ20に接触することを防止し、対象となるチップコンデンサ20を確実に把持することができる。さらに、分割アーム部31a、31bにおける幅方向の長さL3をチップ第2辺20hの幅方向の長さL2より短くすることにより、複数のチップコンデンサ20を互いに接触するように配置した場合であっても、各分割アーム31a、31bは、対象となるチップコンデンサを確実に把持することができるため、このような金属端子部30を有するセラミックコンデンサ10は、小型化に適している。
【0068】
また、セラミックコンデンサ10は、下部アーム部33が端子接続部36kから延びていることにより、これらがプレート本体部36jに接続している場合に比べて、チップコンデンサ20の第1端子電極22と実装基板との伝送経路が短くなる。
【0069】
実装部38は、電極対向部36において、上部アーム部31より下部アーム部33に近い下方(Z軸負方向側)の端子第2辺36hbに接続している。実装部38は、下方の端子第2辺36hbからチップコンデンサ20側(Y軸負方向側)へ延びており、電極対向部36に対して略垂直に曲がっている。なお、実装部38におけるチップコンデンサ20側の表面である実装部38の上面は、チップコンデンサ20を基板に実装する際に使用されるはんだの過度な回り込みを防止する観点から、実装部38の下面より、はんだに対する濡れ性が低いことが好ましい。
【0070】
セラミックコンデンサ10は、図1及び図2に示すように、実装部38が下方を向く姿勢で実装基板等の実装面に実装されるため、セラミックコンデンサ10では、Z軸方向の長さが、実装時の高さとなる。セラミックコンデンサ10では、実装部38が電極対向部36における一方の端子第2辺36hbに接続しており、上部アーム部31が他方の端子第2辺36haに接続しているため、Z軸方向の長さに無駄がなく、低背化に対して有利である。
【0071】
また、実装部38が、電極対向部36における一方の端子第2辺36hbに接続しているため、実装部38が電極対向部36における端子第1辺36gに接続する従来技術に比べてZ軸方向からの投影面積が狭く、実装面積を狭くすることが可能である。また、図1及び図5等に示すように、チップコンデンサ20の第1〜第4側面20c、20d、20e、20fのうち、面積の狭い第3側面20e及び第4側面20fが実装面と平行に配置されるため、チップコンデンサ20を高さ方向に重ねて配置しない構成であっても、実装面積を狭くすることができる。
【0072】
図1及び図2に示すように、第2金属端子部40は、第2端子電極24に対向する電極対向部46と、チップコンデンサ20をチップ第1辺20gの両端側からZ軸方向に挟んで把持する上部アーム部41及び下部アーム部43と、電極対向部46からチップコンデンサ20側へ延びており少なくとも一部が電極対向部46に対して略垂直である実装部48とを有する。上部アーム部41は、分割アーム部41a、41bを有しており、下部アーム部43は、連続アーム部43aを有している。
【0073】
第2金属端子部40の電極対向部46は、第1金属端子部30の電極対向部36と同様に、チップ第1辺20gに略平行な一対の端子第1辺46gと、チップ第2辺20hに略平行な端子第2辺46haとを有しており、電極対向部46には、突起46a、第1貫通孔、第2貫通孔及びスリット46dが形成されている。図1に示すように、第2金属端子部40は、第1金属端子部30に対して対称に配置されており、チップコンデンサ20に対する配置が第1金属端子部30とは異なる。しかし、第2金属端子部40は、配置が異なるだけで、第1金属端子部30と同様の形状を有するため、詳細については説明を省略する。
【0074】
第1金属端子部30および第2金属端子部40の材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、例えば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。特に、第1及び第2金属端子部30、40の材質を銅とすることが、第1及び第2金属端子部30、40の比抵抗を抑制し、セラミックコンデンサ10のESRを低減する観点から好ましい。
【0075】
以下に、セラミックコンデンサ10の製造方法について説明する。
【0076】
積層セラミックチップコンデンサ20の製造方法
積層セラミックチップコンデンサ20の製造では、まず、焼成後に内部電極層26となる電極パターンが形成されたグリーンシート(焼成後に誘電体層28となる)を積層して積層体を作製したのち、得られた積層体を加圧・焼成することによりコンデンサ素体を得る。さらに、コンデンサ素体に第1端子電極22及び第2端子電極24を、端子電極用塗料焼き付け及びめっき等により形成することにより、チップコンデンサ20を得る。積層体の原料となるグリーンシート用塗料や内部電極層用塗料、端子電極の原料並びに積層体及び電極の焼成条件等は特に限定されず、公知の製造方法等を参照して決定することができる。本実施形態においては、誘電体材料としてチタン酸バリウムを主成分とするセラミックグリーンシートを用いた。また、端子電極は、Cuペーストを浸漬、焼付処理することで焼付層を形成し、さらに、Niめっき、Snめっき処理を行なうことで、Cu焼付層/Niめっき層/Snめっき層を形成した。
【0077】
金属端子部30、40の製造方法
第1金属端子部30の製造では、まず、平板状の金属板材を準備する。金属板材の材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、例えば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。次に、金属板材を機械加工することにより、上部アーム部31及び下部アーム部33や電極対向部36、実装部38等の形状を形成した中間部材を得る。
【0078】
次に、機械加工により形成された中間部材の表面に、めっきによる金属被膜を形成することにより、第1金属端子部30を得る。めっきに用いる材料としては、特に限定されないが、例えばNi、Sn、Cu等が挙げられる。また、めっき処理の際、実装部38の上面にレジスト処理を施すことにより、めっきが実装部38の上面に付着することを防止することができる。これにより、実装部38の上面と下面のはんだに対する濡れ性に差異を発生させることができる。なお、中間部材全体にめっき処理を施して金属被膜を形成した後、実装部38の上面に形成された金属被膜のみをレーザー剥離等で除去しても、同様の差異を発生させることができる。
【0079】
なお、第1金属端子部30の製造では、帯状に連続する金属板材から、複数の第1金属端子部30が、互いに連結された状態で形成されてもよい。互いに連結された複数の第1金属端子部30は、チップコンデンサ20との接続前、又はチップコンデンサ20に接続された後に、個片に切断される。
第2金属端子部40の製造方法も、第1金属端子部30と同様である。
【0080】
セラミックコンデンサ10の組み立て
上述のようにして得られたチップコンデンサ20を2つ準備し、図1に示すように第2側面20dと第1側面20cとが接触するように配列して保持する。そして、第1端子電極22と第2端子電極24に、それぞれ第1金属端子部30と第2金属端子部40を取り付ける。さらに、第1及び第2金属端子部30、40の第1貫通孔36bにはんだ等の接続部材を塗布し、はんだを電極対向部36、46と第1端子電極22及び第2端子電極24の間に介在させる。これにより、第1及び第2金属端子部30、40をチップコンデンサ20の第1端子電極22及び第2端子電極24に電気的及び機械的に接続し、セラミックコンデンサ10を得る。
【0081】
なお、はんだ等の接続部材は、第1及び第2金属端子部30、40をチップコンデンサ20に対して取り付ける前に、各金属端子部30、40における第1及び第2端子電極22、24に対向する電極対向部36、46に予め塗布しておき、組み立て後に再溶融させてもよい。なお、必要に応じて、第1及び第2端子電極22、24と、これに係合している上部アーム部31及び下部アーム部33とを、いずれか又は双方の表面に形成された金属メッキを溶解させることにより、溶着させても良い。
【0082】
図1図6に示すセラミックコンデンサ10は、セラミックコンデンサ10の高さ方向が、チップコンデンサ20の長辺であるチップ第1辺20gの方向と同じ方向であり、しかも、実装部38、48が端子第2辺36hbからチップコンデンサ20の下方に曲げられて形成されているため、セラミックコンデンサ10における高さ方向からの投影面積が狭い(図4及び図5参照)。したがって、このようなセラミックコンデンサ10は、実装面積を狭くすることができる。
【0083】
セラミックコンデンサ10の金属端子部30、40は、複数のチップコンデンサ20における一方のチップ第2辺20h及び複数のチップコンデンサ20における第4側面20fを整列させる連続アーム部33a、43aを有している。そのため、セラミックコンデンサ10は、外形状のばらつきを抑制し、また、チップコンデンサ20における下方の側面である第4側面20fと実装面又は実装部38との間隔を適切に確保することが可能となり、チップコンデンサ20の第4側面20fの位置がばらつくことに起因してはんだのはい上がりが生じる問題を防止できる。
【0084】
また、複数のチップコンデンサ20を実装面に平行な方向に並べて配置する構成としたセラミックコンデンサ10では、上部アーム部31と下部アーム部33との間には、嵌合方向(Z軸方向)に沿って1つだけのチップコンデンサ20が把持される構成となるため、チップコンデンサ20と金属端子部30、40との接合信頼性が高く、衝撃や振動に対する信頼性が高い。
【0085】
さらに、複数のチップコンデンサ20を実装面に平行な方向に配列し、かつ、チップコンデンサ20の積層方向を実装面と平行な方向にしたことにより、セラミックコンデンサ10の伝送経路が短くなるため、セラミックコンデンサ10は、低ESLを実現できる。また、チップコンデンサ20を把持する方向が、チップコンデンサ20の積層方向とは直交する方向であるため、把持されるチップコンデンサ20の積層数が変化し、チップコンデンサ20のチップ第2辺20hの長さL2が変化した場合であっても、第1及び第2金属端子部30、40は、問題なくチップコンデンサ20を把持することができる。このように、セラミックコンデンサ10では、第1及び第2金属端子部30、40が、多様な積層数のチップコンデンサ20を把持することが可能であるため、設計変更に柔軟に対応することができる。
【0086】
また、セラミックコンデンサ10は、上部アーム部31、41と下部アーム部33、43とが、チップコンデンサ20における第1端面20aの長辺であるチップ第1辺20gの両端側から、チップコンデンサ20を挟んで把持している。このため、第1及び第2金属端子部30、40が応力の緩和効果を効果的に発揮し、チップコンデンサ20から実装基板への振動の伝達を抑制し、音鳴きを防止することができる。特に、下部アーム部33、43が第2貫通孔36cの周縁部に接続していることにより、チップコンデンサ20を支持する下部アーム部33、43及び下部アーム部33、43を支える電極対向部36、46が、弾性変形しやすい形状となっている。したがって、第1及び第2金属端子部30、40は、セラミックコンデンサ10に生じる応力を緩和する作用や、振動を吸収する作用を、効果的に奏することができる。
【0087】
また、第2貫通孔36cの周縁部に下部アーム部33、43が接続していることにより、セラミックコンデンサ10では、実装面に垂直な方向(Z軸方向)から見た場合、下部アーム部33、43を、実装部38、48に対して重なる位置に配置することが可能である(図5参照)。したがって、セラミックコンデンサ10は、実装部38、48を広くすることが可能であり、また、小型化の観点で有利である。また、第2貫通孔36cの周縁部に下部アーム部33、43が接続しており、実装部38、48が広く、しかも実装部38、48と下部アーム部33、43との間に端子接続部36kが配置されていることにより、セラミックコンデンサ10は、実装時の横押し強度が良好である。
【0088】
また、電極対向部36に第1貫通孔36bが形成されているセラミックコンデンサ10は、例えば第1貫通孔36bにはんだのような接続部材を塗布して第1貫通孔36bの周縁部と第1端子電極22との間に、はんだブリッジを形成させることで、第1及び第2金属端子部30、40とチップコンデンサ20とを、確実に接続することが可能である。また、第1貫通孔36bが形成されていることにより、たとえチップコンデンサ20と第1及び第2金属端子部30、40とを組み立てた後であっても、第1および第2端子電極22、24と電極対向部36、46との間に、はんだ等の接続部材を容易に介在させることができる。また、このような第1貫通孔36bが形成されていることにより、セラミックコンデンサ10は、第1及び第2金属端子部30、40とチップコンデンサ20との接合状態を、外部から容易に視認することができるため、品質のばらつきを低減し、良品率を向上させることが可能である。
【0089】
第2実施形態
図7は、本発明の第2実施形態に係るセラミックコンデンサ110の概略斜視図であり、図8図9図10図11は、それぞれセラミックコンデンサ110の正面図、左側面図、上面図及び底面図である。図7に示すように、セラミックコンデンサ110は、第1金属端子部130及び第2金属端子部140の上部アーム部131、141が連続アーム部131a、141aを有しており、下部アーム部133が分割アーム部133a、133bを複数有している点で、第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10とは異なる。ただし、セラミックコンデンサ110は、上部アーム部131、141及び下部アーム部133の形状を除き、第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10と同様であるため、セラミックコンデンサ10との相違点のみ説明を行い、共通点については説明を省略する。
【0090】
図7及び図8に示すように、セラミックコンデンサ110における第1金属端子部130の上部アーム部131は、1つの連続アーム部131aを有している。連続アーム部131aは、電極対向部36における上方の端子第2辺36haに接続している。連続アーム部131aは、2つのチップコンデンサ20の上方の側面である第3側面20eに接触している。これにより、連続アーム部131aは、図9に示すように、1つのチップコンデンサ20における上方のチップ第2辺20hと、他の1つのチップコンデンサ20における上方のチップ第2辺20hとを、X軸方向に沿って整列させる。
【0091】
図7及び図9に示すように、セラミックコンデンサ110における第1金属端子部130の下部アーム部133は、1つのチップコンデンサ20のみに接触する分割アーム部133a、133bを複数有している。電極対向部136には、2つの第2貫通孔136cが、セラミックコンデンサ110に含まれる2つのチップコンデンサ20に対応して形成されている。分割アーム部133aは、1つの第2貫通孔136cの周縁部に接続しており、分割アーム部133bは、他の1つの第2貫通孔136cの周縁部に接続している。
【0092】
図7に示すように、第2貫通孔136cは、その周縁部がプレート本体部36jと端子接続部36kとに跨るように形成されており、下部アーム部133は、端子接続部36kから延びている。すなわち、下部アーム部133の基端は、第2貫通孔136cにおける略矩形の周縁部における下辺に接続しており、下部アーム部133は、その基端から上方(Z軸正方向)かつ内側(Y軸負方向)へ屈曲しながら延びて、チップコンデンサ20の第4側面20fに接触し、チップコンデンサ20を下方から支持する(図9参照)。
【0093】
図7に示すように、下部アーム部133における分割アーム部133aと上部アーム部131の連続アーム部131aとが対を成して、その間に1つのチップコンデンサ20を挟んで把持しており、下部アーム部133における分割アーム部133bと上部アーム部131の連続アーム部131aとが対を成して、他の1つのチップコンデンサ20をその間に把持している。第1金属端子部130では、下部アーム部133が分割アーム部133a、133bを有しており、各分割アーム部133a、133bは、複数ではなく1つのチップコンデンサ20を挟んでいるため、チップコンデンサ20の寸法がそろっていなくても、第1金属端子部130は、各チップコンデンサ20を確実に把持することができる。
【0094】
図7に示すように、第2金属端子部140は、第1金属端子部130に対して対称に配置されており、チップコンデンサ20に対する配置が第1金属端子部130とは異なる。第2金属端子部140は、第2端子電極24に対向する電極対向部146と、連続アーム部141aを有する上部アーム部141と、分割アーム部143bを有する下部アーム部143と、実装部48とを有する。しかし、第2金属端子部140は、配置が異なるだけで、第1金属端子部130と同様の形状を有するため、詳細については説明を省略する。
【0095】
セラミックコンデンサ110の金属端子部130、140は、複数のチップコンデンサ20における一方のチップ第2辺20h及び複数のチップコンデンサ20における第3側面20eを整列させる連続アーム部131a、141aを有している。そのため、セラミックコンデンサ110は、各チップコンデンサ20の第3側面20eが同一平面に沿って整列されるため、表面実装時におけるピックアップ等で、セラミックコンデンサ110の上方の側面に段差があることに起因するピックアップエラー等の発生を、好適に防止できる。
【0096】
また、セラミックコンデンサ110の金属端子部130、140は、下部アーム部133が、1つのチップコンデンサ20のみに接触する分割アーム部133a、133bを複数有しているため、チップコンデンサ20の寸法がそろっていなくても、各チップコンデンサ20を確実に把持することができる。なお、金属端子部130、140における電極対向部136、146に形成される第2貫通孔136cは、図7に示すように分割アーム部133a、133bごとに分割されていてもよいが、これとは異なり、金属端子部130、140に形成される第2貫通孔は1つであってもよく、1つの第2貫通孔の周縁部に複数の分割アーム部133a、133bが接続していてもよい。その他、セラミックコンデンサ110は、第1実施形態のセラミックコンデンサ10と同様の効果を奏する。
【0097】
第3実施形態
図12は、本発明の第3実施形態に係るセラミックコンデンサ210の概略斜視図である。図12に示すように、セラミックコンデンサ210は、3つのチップコンデンサ20を有している点と、第1金属端子部230及び第2金属端子部240の上部アーム部231、241が有する分割アーム部231a〜231c、241a〜241cの数が異なる点と、第1金属端子部230及び第2金属端子部240及びその下部アーム部233の幅方向の長さなどが異なる他は、第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10と同様である。したがって、セラミックコンデンサ210については、セラミックコンデンサ10との相違点のみ説明を行い、セラミックコンデンサ10と同様の部分については、説明を省略する。
【0098】
図12に示すように、セラミックコンデンサ210に含まれるチップコンデンサ20は、図1に示すセラミックコンデンサ10に含まれるチップコンデンサ20と同様である。セラミックコンデンサ210に含まれる3つのチップコンデンサ20は、隣接するチップコンデンサ20の第1端子電極22同士が互いに接触し、隣接するチップコンデンサ20の第2端子電極24同士が互いに接触するように、実装面に平行に配列されている。
【0099】
セラミックコンデンサ210に含まれる第1金属端子部230は、第1端子電極22に対向する電極対向部236と、チップコンデンサ20を把持する上部アーム部231及び下部アーム部233と、電極対向部236の下端に接続する実装部238とを有する。
【0100】
セラミックコンデンサ210における第1金属端子部230の上部アーム部231は、3つの分割アーム部231a、231b、231cを有している。各分割アーム部231a、231b、231cは、1つのチップコンデンサ20のみに接触する。
【0101】
第1金属端子部230の下部アーム部233は、1つの連続アーム部233aを有している。連続アーム部233aは、電極対向部236に形成される第2貫通孔236cの周縁部に接続している。連続アーム部233aは、3つのチップコンデンサ20の下方の側面である第4側面20fに接触している。これにより、連続アーム部233aは、3つのチップコンデンサ20がそれぞれ有する下方のチップ第2辺20hを、X軸方向に沿って整列させる。
【0102】
図12に示すように、第2金属端子部240は、第2端子電極24に対向する電極対向部246と、チップコンデンサ20を把持する上部アーム部241及び下部アーム部と、電極対向部246の下端に接続する実装部248とを有する。第2金属端子部240は、第1金属端子部230に対して対称に配置されており、チップコンデンサ20に対する配置が第1金属端子部230とは異なる。しかし、第2金属端子部240は、配置が異なるだけで、第1金属端子部230と同様の形状を有するため、詳細については説明を省略する。
【0103】
第3実施形態に係るセラミックコンデンサ210も、第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10と同様の効果を奏する。また、セラミックコンデンサ210の第1金属端子部230及び第2金属端子部240に形成される貫通孔やスリットの数は、実施形態に示すものに限定されない。
【0104】
第4実施形態
図13は、本発明の第4実施形態に係るセラミックコンデンサ310の概略斜視図である。図13に示すように、セラミックコンデンサ310は、3つのチップコンデンサ20を有している点と、第1金属端子部330及び第2金属端子部340及びその上部アーム部331、341が有する連続アーム部331a、341aの幅方向の長さと、第1金属端子部330及び第2金属端子部340の下部アーム部333が有する分割アーム部333a〜333cの数が異なる他は、第2実施形態に係るセラミックコンデンサ110と同様である。したがって、セラミックコンデンサ310については、セラミックコンデンサ110との相違点のみ説明を行い、セラミックコンデンサ110と同様の部分については、説明を省略する。
【0105】
セラミックコンデンサ310に含まれる第1金属端子部330は、第1端子電極22に対向する電極対向部336と、チップコンデンサ20を把持する上部アーム部331及び下部アーム部333と、電極対向部336の下端に接続する実装部338とを有する。
【0106】
セラミックコンデンサ310における第1金属端子部330の上部アーム部331は、1つの連続アーム部331aを有している。連続アーム部331aは、3つのチップコンデンサ20の情報の側面である第3側面20eに接触している。これにより、連続アーム部331aは、3つのチップコンデンサ20の上方の側面である第3側面20eを、X軸方向に沿って整列させる。
【0107】
第1金属端子部330の下部アーム部333は、3つの分割アーム部333a、333b、333cを有している。各分割アーム部333a、333b、333cは、1つのチップコンデンサ20のみに接触する。第1金属端子部330の電極対向部336には、2つの第2貫通孔136cが、チップコンデンサ20に対応して形成されている。各分割アーム部333a、333b、333cは、それぞれ別の第2貫通孔136cの周縁部に接続している。
【0108】
図13に示すように、第2金属端子部340は、第2端子電極24に対向する電極対向部346と、チップコンデンサ20を把持する上部アーム部341及び下部アーム部と、電極対向部346の下端に接続する実装部348とを有する。第2金属端子部340は、第1金属端子部330に対して対称に配置されており、チップコンデンサ20に対する配置が第1金属端子部330とは異なる。しかし、第2金属端子部340は、配置が異なるだけで、第1金属端子部330と同様の形状を有するため、詳細については説明を省略する。
【0109】
第4実施形態に係るセラミックコンデンサ310も、第2実施形態に係るセラミックコンデンサ110と同様の効果を奏する。
【0110】
その他の実施形態
以上のように、本発明を実施形態を挙げて説明してきたが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明には他の多くの変形例が含まれることは言うまでもない。たとえば、図1に示す第1金属端子部30には、突起36a、第1貫通孔36b、第2貫通孔36cおよびスリット36dが全て形成されているが、第1金属端子部としてはこれに限定されず、これらのうち1つ又は複数の部分が形成されていない変形例も、本発明に係る第1金属端子部に含まれる。
【0111】
また、図1図13では、第1金属端子部30、130、230、330又は第2金属端子部40、140、240、240、340とチップコンデンサ20とを接続する接続部材については図示していないが、はんだ等の接続部材の形状、大きさ及び種類は、セラミックコンデンサ10、110、210、310の大きさや、セラミックコンデンサ10、110、210、310の用途等に応じて、適宜調整される。
【0112】
以下に、実施例を挙げて詳細に説明を行うが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0113】
実施例に係るセラミックコンデンサについて、インピーダンスZと抵抗成分Rsを測定した。実施例に係るセラミックコンデンサは、図1に示すセラミックコンデンサ100と同じ形状を有する。インピーダンスZと抵抗成分Rsの測定は、セラミックコンデンサの実装部を実装基板にはんだ付けした状態で行った。実施例に係るセラミックコンデンサのサイズ及び実施例の測定条件は以下の通りである。
実施例
<セラミックコンデンサ全体サイズ>
5.0×6.0×6.4mm
<チップ部品>
サイズ:(L3×L1×L2)5.7×5.0×2.5mm
静電容量:15μF
<金属端子>
材質:3層クラッド材 Cu−NiFe−Cu
電極対向部36サイズ:(Z軸方向(端子第1辺36g)×X軸方向(端子第2辺36ha)×板厚)6.3×5.0×0.1mm
アーム33aサイズ:(X方向×Y方向)0.9×0.9mm
実装部サイズ:(Y方向)1.2mm
<測定条件>
周波数:100Hz〜10MHz
温度:25℃
【0114】
比較例
比較例に係るセラミックコンデンサについて、実施例と同様にしてインピーダンスZと抵抗成分Rsを測定した。図14に示すように、比較例に係るセラミックコンデンサ500は、L字形状の金属端子501、502を用いている。セラミックコンデンサ500が有するチップコンデンサ20は、実施例に係るセラミックコンデンサが有するチップコンデンサ20と同様である。しかし、セラミックコンデンサ500において、チップコンデンサ20は、チップ端面を構成する長方形の長辺であるチップ第1辺20gが、実装面に対して水平になるように配置されており、2つのチップコンデンサ20が、実装面と垂直な方向(Z軸方向)に重ねて配置されている。チップコンデンサ20は、金属端子501、502の電極対向部510に、はんだで固定されている。
<セラミックコンデンサ全体サイズ>
5.0×6.0×6.5mm
<チップ部品>
実施例と同様
<金属端子>
材質:3層クラッド材 Cu−NiFe−Cu
電極対向部サイズ:(Z軸方向×X軸方向×板厚)6.3×5.0×0.1mm
アームなし
実装部サイズ:(Y方向)1.6mm
【0115】
実施例と比較例に係るセラミックコンデンサを用いて測定されたインピーダンスZと抵抗成分Rsをグラフにしたものを、図15に示す。図15に示すグラフにおいて、縦軸はインピーダンスZ及び抵抗成分Rsであり、横軸は周波数である。実施例に係るセラミックコンデンサで測定されたインピーダンスZは、共振点で1つの極値(極小値)を有するのに対して、比較例に係るセラミックコンデンサで測定されたインピーダンスZは、共振点より高い領域にも、他の複数の極値が現れた。インピーダンスZにESLの影響が現れる共振点より高い領域では、実施例に係るセラミックコンデンサの方が、比較例に係るセラミックコンデンサに比べてインピーダンスZの値が小さく、実施例に係るセラミックコンデンサは、比較例に比べて低ESLであることが理解できる。
【符号の説明】
【0116】
10、110、210、310…セラミックコンデンサ
20…チップコンデンサ
20a…第1端面
20b…第2端面
20c…第1側面
20d…第2側面
20e…第3側面
20f…第4側面
20g…チップ第1辺
20h…チップ第2辺
20j…チップ第3辺
22…第1端子電極
24…第2端子電極
26…内部電極層
28…誘電体層
30、130、230…第1金属端子部
40、140、240…第2金属端子部
31、131、231、331、141、241、341…上部アーム部
33、133、233、333、43、143…下部アーム部
31a、31b、41a、41b、133a、133b、143b、231a、231b、231c、333a、333b、333c…分割アーム部
33a、43a、131a、141a、331a…連続アーム部
36、136、236、336、46、146、246、346…電極対向部
36a、46a…突起
36b…第1貫通孔
36c、136c、236c…第2貫通孔
36d、46d…スリット
36g、46g…端子第1辺
36ha、36hb、46ha…端子第2辺
38、238、338、48、248、348…実装部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15