(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベースプレートは、前記制御回路用ケース内の端子が前記ハウジング本体の外部に設けられる部材と前記ハウジング本体の外部で接続するための第2の貫通孔を有し、前記第2の貫通孔の内縁に沿って、前記シーリング部材が収容される環状の段差部が設けられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動オイルポンプ装置。
前記電動オイルポンプは、前記バスバーアッシーの前記軸方向一方側に接続され、前記制御回路と繋がるターミナルを有し、径方向において、前記ベースプレートが前記ターミナルの少なくとも一部と重複する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電動オイルポンプ装置。
前記制御回路用ケースは、前記軸方向と直交する任意の方向に延びる開口部を有し、前記第3の貫通孔のうちの前記開口部側の一部は、前記第4の貫通孔のうちの前記開口部側の一部よりも、前記中心軸側に設けられる請求項8又は9に記載の電動オイルポンプ装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動オイルポンプ装置について説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図2に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、
図2に示すバスバー64の延びる方向と平行な方向、すなわち、
図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0011】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「フロント側」と記し、Z軸方向の負の側(−Z側)を「リア側」と記す。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。
【0012】
なお、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0013】
<全体構成>
図1は、本実施形態に係る電動オイルポンプ装置を示す斜視図である。
本実施形態の電動オイルポンプ装置10は、モータ部20と、ポンプ部30と、制御回路部60と、ベースプレート部70と、ポンプカバー部80と、ソレノイド部90と、を有する。モータ部20とポンプ部30とは、共にハウジング21内に設けられる。モータ部20とポンプ部30とポンプカバー部80とは、軸方向に沿って並べて設けられる。ポンプカバー部80は、オイルの出入口となる、吸入口84、第1吐出口85及び第2吐出口86を有する。
【0014】
図2は、本実施形態に係る電動オイルポンプ装置の部分断面図である。
モータ部20は、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転可能に支持されたシャフト41を有し、シャフト41を回転させてポンプを駆動する。ポンプ部30は、モータ部20のフロント側(+Z側)に位置し、モータ部20によってシャフト41を介して駆動され、オイルを吐出する。制御回路部60は、モータ部20のリア側(−Z側)に位置し、モータ部20の駆動を制御する。ベースプレート部70は、制御回路部60のフロント側(+Z側)で、ハウジング21の周方向外側に位置し、モータ部20、ポンプ部30及び制御回路部60をシーリングする。ポンプカバー部80は、ポンプ部30のフロント側(+Z側)に位置し、モータ部20とポンプ部30とを収容したボディ本体及びソレノイド部90の各部品を装着する。ソレノイド部90は、ポンプ部30内を循環するオイル圧力を検出してオイルの量を調整する。
以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0015】
<モータ部20>
モータ部20は、
図2に示すように、ハウジング21と、ロータ40と、シャフト41と、ステータ50と、ベアリング部55と、バスバーアッシー56と、を有する。
モータ部20は、例えば、インナーロータ型のモータであり、ロータ40がシャフト41の外周面に固定され、ステータ50がロータ40の径方向外側に位置する。また、ベアリング部55は、ロータ40のリア側(−Z側)でシャフト41の径方向外側に配置され、シャフト41を回転可能に支持する。バスバーアッシー56は、ベアリング部55の径方向外側に配置され、ベアリング部55を径方向から固定する。また、バスバーアッシー56は、ステータ50と電気的に接続される。
【0016】
(ハウジング21)
ハウジング21は、
図2に示すように、有底の薄肉円筒状であり、モータ部20とポンプ部30と制御回路部60とを収容する。ハウジング21の材質としては、例えば、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム系合金等を用いることができ、具体的には、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板及び鋼帯を用いることができる。ハウジング21は、底面部21aと、制御回路保持部21bと、ステータ保持部21cと、ポンプボディ保持部21dと、フランジ部21e、21fと、を有する。底面部21aは有底部分をなす。制御回路保持部21b、ステータ保持部21c及びポンプボディ保持部21dは、中心軸Jを中心とする円筒形状の側壁面をなす。本実施形態においては、制御回路保持部21bの内径は、ステータ保持部21cの内径よりも大きく、ステータ保持部21cの内径は、ポンプボディ保持部21dの内径よりも大きい。
【0017】
底面部21aのフロント側(+Z側)及び制御回路保持部21bの内側には、後述する制御回路用ケース61が収容される。ステータ保持部21cの内側面には、ステータ50の外側面、すなわち、後述するコアバック部51の外側面が嵌め合わされる。これにより、ハウジング21にステータ50が収容される。ポンプボディ保持部21dの内側面には、後述するポンプボディ31の外側面が嵌め合わされる。これにより、ハウジング21にポンプボディ31が収容される。
【0018】
フランジ部21eは、制御回路保持部21bのフロント側(+Z側)の端部から径方向外側に拡がる。一方、フランジ部21fは、ステータ保持部21cのリア側(−Z側)の端部から径方向外側に拡がる。
フランジ部21e及びフランジ部21fは、互いに対向され、締結手段23によって締結される。これにより、ハウジング21内にモータ部20とポンプ部30と制御回路部60とがシールして固定される。
なお、底面部21a、制御回路保持部21b及びフランジ部21eは、合わせて制御回路用カバーをなす。
【0019】
(ロータ40)
ロータ40は、ロータコア43と、ロータマグネット44と、を有する。ロータコア43は、シャフト41を軸周り(θ方向)に囲んで、シャフト41に固定される。ロータマグネット44は、ロータコア43の軸周り(θ方向)に沿った外側面に固定される。ロータコア43及びロータマグネット44は、シャフト41と共に回転する。
【0020】
(ステータ50)
ステータ50は、ロータ40を軸周り(θ方向)に囲み、ロータ40を中心軸J周りに回転させる。ステータ50は、コアバック部51と、ティース部52と、コイル53と、インシュレータ(ボビン)54と、を有する。
【0021】
コアバック部51の形状は、シャフト41と同心の円筒状である。ティース部52は、コアバック部51の内側面からシャフト41に向かって延びる。ティース部52は、複数設けられ、コアバック部51の内側面の周方向に均等な間隔で配置される。コイル53は、インシュレータ(ボビン)54の周囲に設けられ、導電線53aが巻回されてなる。インシュレータ(ボビン)54は、各ティース部52に装着される。
【0022】
(ベアリング部55)
ベアリング部55は、ロータ40及びステータ50のリア側(−Z側)に配置され、シャフト41を支持する。ベアリング部55は、バスバーアッシー56によって周方向外方から保持される。ベアリング部55の形状、構造等は、特に限定されず、いかなる公知のベアリングも用いることができる。
【0023】
(バスバーアッシー56)
バスバーアッシー56は、ターミナル57を介して後述する制御回路62と接続される。また、バスバーアッシー56は、外部電源およびステータ50と電気的に接続され、ステータ50に電流を供給する。
【0024】
<制御回路部60>
制御回路部60は、モータ部20のリア側(−Z側)に配置され、モータ部20の駆動を制御する。
制御回路部60は、制御回路用ケース61と、制御回路62と、電源用開口部63と、バスバー64と、配線部材65と、を有する。モータ部20は、制御回路部60を介して、外部電源と接続される。
制御回路用ケース61は、制御回路62を収容する。
【0025】
バスバー64及び配線部材65は、制御回路用ケース61内で径方向+X側に延び、それぞれの先端部が電源用開口部63内で突出する。外部電源は、バスバー64及び配線部材65と電気的に接続される。これにより、バスバー64及び配線部材65を介して、ステータ50のコイル53及び回転センサ(不図示)に駆動電流が供給される。コイル53に供給される駆動電流は、例えば、回転センサによって計測されるロータ40の回転位置に応じて制御される。コイル53に駆動電流が供給されると、磁場が発生し、この磁場によってロータ40が回転する。このようにして、モータ部20は、回転駆動力を得る。
【0026】
<ポンプ部30>
ポンプ部30は、モータ部20の軸方向一方側、詳細にはフロント側(+Z側)に設けられる。ポンプ部30は、モータ部20と同一の回転軸を有し、モータ部20によってシャフト41を介して駆動される。ポンプ部30は、密閉された空間(油室)の容積が拡大および縮小されることでオイルを圧送する容積型ポンプを有する。容積型ポンプとしては、例えば、トロコイドポンプが用いられる。ポンプ部30は、ポンプボディ31と、ポンプロータ35とを有する。
【0027】
(ポンプボディ31)
ポンプボディ31は、モータ部20のフロント側(+Z側)に位置する。ポンプボディ31は、ポンプボディ本体31bと、ポンプボディ本体31bの内部を中心軸Jの軸方向に沿って貫通する貫通孔31aと、ポンプボディ本体31bからフロント側(+Z側)に円筒状に突出する突出部31cと、を有する。突出部31cの内径は、貫通孔31aの内径よりも大きい。突出部31cとポンプボディ本体31bとによって、ポンプカバー部80側に開口する凹部33をなす。貫通孔31aは、リア側(−Z側)では、モータ部20側に開口し、フロント側(+Z側)では凹部33に開口する。貫通孔31aは、シャフト41が挿入され、シャフト41を回転可能に支持する軸受部材として機能する。凹部33は、ポンプロータ35が収容され、ポンプ室として機能する(以下、ポンプ室33とも記載する)。
【0028】
ポンプボディ31は、モータ部20のフロント側(+Z側)において、ポンプボディ保持部21d内に固定される。ポンプボディ本体31bの外周面とポンプボディ保持部21dの内周面との径方向の間にはOリング71が設けられる。これにより、ポンプボディ31の外周面とハウジング21の内周面との径方向の間がシールされる。
ポンプボディ31の材質としては、例えば、鋳鉄等を用いることができる。
【0029】
(ポンプロータ35)
ポンプロータ35は、シャフト41のフロント側(+Z側)の端部に取り付けられ、ポンプ室33に収容される。ポンプロータ35は、シャフト41に取り付けられるインナーロータ37と、インナーロータ37の径方向外側を囲むアウターロータ38と、を有する。
【0030】
インナーロータ37は、径方向外側面に歯を有する円環状の歯車である。インナーロータ37は、その内側にシャフト41のフロント側(+Z側)の端部が圧入されることによって、シャフト41に固定される。インナーロータ37は、シャフト41と共に軸周り(θ方向)に回転する。
【0031】
アウターロータ38は、インナーロータ37の径方向外側を囲み、径方向内側面に歯を有する円環状の歯車である。アウターロータ38は、ポンプ室33に回転自在に収容される。アウターロータ38には、インナーロータ37を収容するインナー収容室(不図示)が、例えば、星形状に形成される。アウターロータ38の内歯数は、インナーロータ37の外歯数より多い。
【0032】
インナーロータ37とアウターロータ38とは互いに噛み合い、シャフト41によりインナーロータ37が回転すると、インナーロータ37の回転に伴いアウターロータ38が回転する。インナーロータ37とアウターロータ38とが回転することで、インナーロータ37とアウターロータ38との間に形成された空間の容積が、その回転位置に応じて変化する。ポンプロータ35は、容積変化を利用することで、後述する吸入ポート82からオイルを吸入し、吸入したオイルを加圧して吐出ポート83から吐出する。本実施形態では、インナーロータ37とアウターロータ38との間に形成された空間において、容積が増加する(即ち、オイルが吸入される)領域を負圧領域とする。
【0033】
<ベースプレート部70>
ベースプレート部70は、制御回路部60のフロント側(+Z側)で、ハウジング21の周方向外側に位置し、モータ部20、ポンプ部30及び制御回路部60をシーリングする。ベースプレート部70の具体的な構造については、後述する。
【0034】
<ポンプカバー部80>
ポンプカバー部80は、ポンプボディ31のフロント側(+Z側)に位置する。ポンプカバー部80は、ポンプカバー本体81と、吸入ポート82と、吐出ポート83と、吸入口84と、第1吐出口85と、第2吐出口86と、第1油路87と、第2油路88と、封止部材89と、を有する。
【0035】
(ポンプカバー本体81)
ポンプカバー本体81は、ポンプボディ31のフロント側(+Z側)に取り付けられる。ポンプカバー本体81は、通常、アルミニウム合金などの金属が用いられ、熱容量が大きく、表面積が大きいため、放熱効果が高い。また、ポンプカバー本体81の内部を一定温度(例えば、120℃)以下の油が流れるため、ポンプカバー本体81の温度上昇が抑えられる。
【0036】
(吸入ポート82、吐出ポート83)
吸入ポート82は、ポンプカバー部80のフロント側(+Z側)から見て、三日月形状の溝である。吸入ポート82は、インナーロータ37とアウターロータ38との間に形成された空間の容積が増大するに従い、容積の増大に連動した程度でポンプロータ35と連通する。同様に、吐出ポート83も、ポンプカバー部80のフロント側(+Z側)から見て、三日月形状の溝である。吐出ポート83は、インナーロータ37とアウターロータ38との間に形成された空間の容積が減少するに従い、容積の減少に連動した程度でポンプロータ35と連通する。
【0037】
(吸入口84、第1吐出口85、第2吐出口86)
吸入口84は、
図1に示すように、フロント側(+Z側)から見て、三日月型の形状を有する。吸入口84は、図示しない流通管を通してオイルパン(不図示)と繋がっており、オイルパンに貯留されたオイルが吸入口84に吸入される。
第1吐出口85は、中空円筒状であり、第1吐出口85の底部では、シャフト41の先端部が底部を突き抜けて、フロント側(+Z側)に一部突出する。第1吐出口85は、コトロールバルブのメイン流路(不図示)と接続され、メイン流路は例えば、クラッチ側と接続される。すなわち、第1吐出口85から吐出したオイルはクラッチ側へと供給される。
第2吐出口86は、
図1に示すように、フロント側(+Z側)から見て、円形状である。第2吐出口86は、オイルパン(不図示)と接続される。即ち、第2吐出口86から排出されたオイルはオイルパンへと送出される。
【0038】
(第1油路87、第2油路88)
第1油路87は、リア側(−Z側)の端部が吐出ポート83と繋がり、フロント側(+Z側)の端部が第1吐出口85と繋がる。第2油路88は、ポンプカバー本体81内を径方向に延びる。第2油路88の−X側の端部は第1油路87と繋がり、+X側の端部がポンプカバー本体81の外周部まで繋がる。すなわち、第2油路88は、第1油路87から分岐して設けられる。第2油路88の+X側端部は、ネジ等の封止部材89によって、封止される。
【0039】
吸入口84及び第1吐出口85は、それぞれ吸入ポート82、吐出ポート83を経由してポンプ室33と繋がる。これにより、ポンプ室33へのオイルの吸入およびポンプ室33からのオイルの吐出が可能になる。
【0040】
<ソレノイド部90>
ソレノイド部90は、ハウジング21の径方向の+X側に配置され、ポンプカバー本体81によって支持される。ソレノイド部90は、ソレノイドバルブ91と、圧力センサ92と、を有する。ソレノイドバルブ91は、ポンプカバー本体81内を循環するオイルの量を調整する。圧力センサ92は、ポンプカバー本体81内を循環するオイルの圧力を検出する。
【0041】
(ソレノイドバルブ91)
ソレノイドバルブ91は、円筒形状を有し、ハウジング21の径方向の+X側において、例えば長手方向が中心軸Jと平行に配置される。ソレノイドバルブ91側へと流れるオイルの量は、ソレノイドバルブ91内の電磁弁によって調節される。
【0042】
(圧力センサ92)
圧力センサ92もソレノイドバルブ91と同様に、ハウジング21の径方向の+X側に配置される。ただし、圧力センサ92は、
図1及び後述する
図9に示すように、ソレノイドバルブ91よりも+Y側に配置される。圧力センサ92は、棒状の形状を有し、例えば長手方向が中心軸Jと平行に配置される。
【0043】
<組立工程>
次に、本実施形態に係る電動オイルポンプ装置10の組立工程について
図3から
図10に従って説明する。
図3は、本実施形態に係る電動オイルポンプ装置全体の分解斜視図である。
本実施形態に係る電動オイルポンプ装置10の組立は、例えば、(1)本体部MBの組立工程、(2)本体部MBに対してベースプレートBPを組付ける工程、(3)本体部MBに対して制御回路用カバーCCを組付ける工程、(4)本体部MBに対してポンプカバーPCを取付ける工程に分けられる。以下、順に説明する。
【0044】
((1)本体部MBの組立工程)
図3に示すように、予め、モータ部20及び所定のポンプ部30が収容されたハウジング21に対して、ポンプ部30側からアウターロータ38を取付ける。モータ部20側からは、ターミナル57を設けたバスバーアッシー56をハウジング21内に装着し、次に、制御回路部60を取付ける。制御回路部60は、制御回路用カバーCCに対して、ネジ66により制御回路62を取付け、本体部MB側の端部の外周面に、シーリング部材としてのOリング68を配置し、底面部21aと対向する面に、シーリング部材としてのOリング67を配置して組立てられる。
【0045】
((2)本体部MBに対してベースプレートBPを組付ける工程)
図4、
図5は、本体部に対してベースプレート部を取付ける工程を示す斜視図である。
この工程を説明する前に、まずベースプレート部70の構造について説明する。
ベースプレート部70は、
図4に示すように、環状の本体部70aと、周方向に沿って径方向外方に突出する複数の突出部75と、第1貫通孔76と、第2貫通孔77と、を有する。第1貫通孔76の内径は、ハウジング21の外径よりも大きく、かつフランジ部21fの外径よりも小さい。本体部70aにおいて、制御回路部60側と対向する面の第1貫通孔76の内縁には、シーリング部材としてのOリング72を配置するための段差部72aが設けられる。一方、制御回路部60側と対向する面の第2貫通孔77の内縁には、シーリング部材としてのOリング73を配置するための段差部73aが設けられる。また、本体部70aにおいて、非対向面(即ち、
図3のポンプカバー部80側の面)には、脱落防止突起付シーリング部材74を配置するための溝部(不図示)が設けられる。
【0046】
突出部75には、ベースプレートBPが本体部MB及び制御回路用カバーCCと締結されるための第3貫通孔78a,78b,78c,78d,78eと、ベースプレートBPが例えば変速機側(不図示)の接続面と締結されるための第4貫通孔79a,79b,79c,79d,79eと、が交互に設けられる。ここで、第3貫通孔78a,78b,78c,78d,78eのうち、電源用開口部63に一番隣接した位置にある78a及び78eは、第4貫通孔79a,79b,79c,79d,79eのうち、電源用開口部63に一番隣接した位置にある79a及び79eよりも、中心軸J寄りに設けられる。他方、第3貫通孔78b,78c,78d及び第4貫通孔79b,79c,79dは、中心軸Jを中心とした同心円状に配置される。
さらに、ハウジング21のフランジ部21fにも周方向に沿って貫通孔22a,22b,22c,22d,22eが順に設けられる(22d,22eについては、後述する
図8参照)。
【0047】
ベースプレート部70の段差部72aにOリング72を配置するとともに、段差部73aにOリング73を配置し、第1貫通孔76内にハウジング21を通して、ベースプレート部70のOリング72及びOリング73を配した面をハウジング21のフランジ部21fと対向させる。この状態では、ベースプレート部70の第3貫通孔78a,78b,78c,78d,78eが、それぞれフランジ部21fの貫通孔22a,22b,22c,22d,22eと対向した位置にくる(
図5及び
図8参照)。
【0048】
((3)本体部MBに対して制御回路用カバーCCを組付ける工程)
図6、
図7は、本体部に対して制御回路用カバーCCを取付ける工程を示す斜視図である。また、
図8は、本実施形態に係る電動オイルポンプ装置の底面図である。
底面部21a、制御回路保持部21b及びフランジ部21eは、合わせて制御回路用カバーCCをなす。フランジ部21eには、周方向に沿って貫通孔24a,24b,24c,24d,24eが順に設けられる(24d,24eについては、後述する
図8参照)。
【0049】
制御回路用カバーCCを制御回路用ケース61の開口部に被せ、フランジ部21eをハウジング21のフランジ部21fと対向させる。この状態では、制御回路用カバーCCの貫通孔24a,24b,24c,24d,24eが、それぞれフランジ部21fの貫通孔22a,22b,22c,22d,22eと対向した位置にくる(
図7及び
図8参照)。
【0050】
次に、制御回路用カバーCCのフランジ部21eの貫通孔24aと、ハウジング21のフランジ部21fの貫通孔22aと、ベースプレート部70の第3貫通孔78aとに、ネジ23aを挿入して締結する(
図8参照)。
ネジ23b,ネジ23c,ネジ23d,ネジ23eについても、ネジ23aと同様に、それぞれ、制御回路用カバーCCのフランジ部21eの貫通孔24b,24c,24d,24e、ハウジング21のフランジ部21fの貫通孔22b,22c,22d,22e、及びベースプレート部70の第3貫通孔78b,78c,78d,78eに挿入して締結する(
図8参照)。
なお、締結の順序は上記のように、ネジ23a,ネジ23b,ネジ23c,ネジ23d,ネジ23eの順番だけでなく、ネジ23aの次にネジ23dまたはネジ23c、ネジ23eの次にネジ23bまたはネジ23cのように、対角線上にある位置のネジを順番に締結しても良い。
【0051】
((4)本体部MBに対してポンプカバーPCを取付ける工程)
図9、
図10は、本体部に対してポンプカバーPCを取付ける工程を示す斜視図である。
先ず、ソレノイドバルブ91の端子と、ソレノイドバルブ91よりも+Y側にある圧力センサ92の端子とにコネクタ93を被せたソレノイド部90を予め装着したポンプカバー部80を用意する。このポンプカバー部80をハウジング21に被せ、コネクタ93をベースプレート部70の図示しないカプラ部に挿入する。これにより、電源用開口部63と接続される電源が配線部材65(
図2参照)及びコネクタ93を介してソレノイド部90と導通する。
最後に、ベースプレート部70のポンプカバー部80側の面に予め設けられた溝部に、
図10に示すように、脱落防止突起付シーリング部材74を埋め込む。脱落防止突起付シーリング部材74は、径方向に突起を有しており、溝部に埋め込まれた際に、張力及び突起の作用で強固に固定される。なお、溝部の形状としては、段差部及び凹部等の様々な形状を含めることができる。
第4貫通孔79a,79b,79c,79d,79e(79d,79eについては、
図8参照)は、例えば変速機側(不図示)の接続面との締結用に用いることができる。この際、
図10のように、制御回路部60を上側にしても、脱落防止突起があるため、溝部から脱落することを防止できる。
【0052】
<本実施形態の効果>
(1)本実施形態では、本体部MBに対してベースプレート部70を締結させるため、簡易な構造でシーリングを実現できる。具体的には、締結手段23によって、フランジ部21e、フランジ部21f、ハウジング21の側面及びベースプレート部70を押圧して固定できるため、オイルの漏れを防止することができる。
【0053】
(2)本実施形態では、Oリングを収容する段差部をハウジン部本体に設ける必要がない。具体的には、ベースプレート部70にOリング72を収容する段差部72a、Oリング73を収容する段差部73aを設けるので、ハウジング21にOリングを挿入する凹部を成形する必要がない。このため、ハウジング21を通常のプレス成形品で成型したものを汎用的に用いることができる。従って、通常の手法でプレス成形したハウジングを用いてシーリング効果を向上できる電動オイルポンプを提供できる。
【0054】
(3)本実施形態では、ベースプレート部70のポンプカバー部80側の面に設けられた凹部に脱落防止突起付シーリング部材74を埋め込んでいるので、例えば変速機に取付ける際に凹部を下側に向けても、シーリング部材の脱落を防止できる。
【0055】
(4)本実施形態では、径方向において、ベースプレート部70がバスバーアッシー56の少なくとも一部と重複する。このため、ベースプレート部70によって、オイルの漏れを防止しつつ、ベースプレートの厚み分を効率的に活用することができ、ベースプレート部70を取り付けた電動オイルポンプの軸方向の小型化も実現できる。
【0056】
(5)本実施形態では、径方向において、ベースプレート部70がターミナル57の少なくとも一部と重複する。このため、ベースプレート部70によって、オイルの漏れを防止しつつ、ベースプレートの厚み分を効率的に活用することができ、ベースプレート部70を取り付けた電動オイルポンプの軸方向の小型化も実現できる。
【0057】
(6)本実施形態では、ベースプレート部70において、制御回路用カバーCCを締結する第3貫通孔78a,78b,78c,78d,78eと、例えば変速機側の接続面を締結する第4貫通孔79a,79b,79c,79d,79eと、が交互に設けられる。このため、制御回路用カバーCC及び変速機側をバランス良く強固に固定することができる。
【0058】
(7)本実施形態では、第3貫通孔78a,78b,78c,78d,78eのうち、電源用開口部63に一番隣接した位置にある78a及び78eは、第4貫通孔79a,79b,79c,79d,79eのうち、電源用開口部63に一番隣接した位置にある79a及び79eよりも、中心軸J寄りに設けられる。このため、電源用開口部63のような突出部分があっても、ぐらつきを防止し、強固に固定することができる。
【0059】
(8)本実施形態では、モータ部20、ポンプ部30及び制御回路部60を軸方向に沿って並べて設けており、円筒状のコンパクトな形状を有するため、様々なトランスミッションにおいても汎用的に使用することができる。
【0060】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
例えば、第3貫通孔及び第4貫通孔の個数、配置場所、形状等、段差部72a及び段差部73aの形状等は必要に応じて適宜変更可能である。