(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
[作業支援システムSの構成の概要]
図1は、第1の実施形態の作業支援システムSの構成を示す図である。作業支援システムSは、撮像装置1と、携帯端末2と、サーバ3と、を備える。撮像装置1、携帯端末2及びサーバ3は、ネットワークNを介して互いに情報を送受信できる。ネットワークNは、例えばインターネット及び携帯電話網を含む。
【0015】
撮像装置1は、監視用に用いられるカメラであり、所定の撮像範囲内の被写体を撮影し、撮影した被写体を含む撮像画像を生成する。撮像装置1は、レンズの向きを左右に動かすパン動作と、カメラのレンズの向きを上下方向に動かすチルト動作と、撮影領域を拡大又は縮小するズーム動作とを行うことができる。撮像装置1は、所定のフレームレートで撮像画像を順次生成し、ネットワークNを介して、生成した撮像画像を携帯端末2又はサーバ3に送信する。
【0016】
携帯端末2は、例えばスマートフォン又はタブレット端末であり、撮像装置1の設置作業者(以下、ユーザという)が操作する操作端末である。携帯端末2は、撮像装置1又はサーバ3から送信された撮像画像を表示する。携帯端末2の画面にはタッチパネルが設けられており、ユーザは、画面に触れることにより、サーバ3に伝える指示を入力することができる。携帯端末2は、ユーザにより入力された指示の内容を示す指示情報を撮像装置1又はサーバ3に送信する。
【0017】
サーバ3は、撮像装置1から取得した撮像画像、及び携帯端末2から取得した指示情報に基づいて、撮像装置1による撮影領域が適切な範囲になるように撮像装置1の設置位置を調整するための情報を撮像装置1及び携帯端末2の少なくともいずれかに出力する撮像制御装置である。サーバ3は、撮像装置1が設置された事業所内に設置されたサーバであってもよく、クラウド上のサーバであってもよい。
【0018】
[作業支援システムSにおける処理の流れの概要]
図2は、作業支援システムSにおける処理の流れの概要を説明するための図である。
まず、撮像装置1が、撮像装置1が撮影可能な領域の全領域を撮像した全領域撮像画像を生成する。撮像装置1は、生成した全領域撮像画像をサーバ3に送信し、サーバ3は全領域撮像画像を取得する(
図2における(1))。サーバ3は、全領域撮像画像を携帯端末2に表示させる(
図2における(2))。ユーザは、携帯端末2に対し、携帯端末2に表示された全領域撮像画像から撮影したい位置である監視対象位置の指示を入力する。携帯端末2は、全領域撮像画像に対する監視対象位置の指示を取得し(
図2における(3))、取得した監視対象位置の指示を示す情報をサーバ3に送信する。
【0019】
続いて、サーバ3は、携帯端末2から送信された監視対象位置を受け付ける(
図2における(4))。サーバ3は、監視対象位置が含まれる位置を撮影するべく撮像装置1の撮像領域を制御することにより、撮像画像を取得する(
図2における(5))。サーバ3は、取得した撮像画像を携帯端末2に表示させる(
図2における(6))。
【0020】
このように、サーバ3が全領域撮像画像を取得し、携帯端末2から監視対象位置を取得することにより、撮像装置1の撮影領域を設定することができる。したがって、ユーザは、全領域撮像画像に対して任意の監視対象位置の指示を入力することにより、一人でも撮像装置1の撮影領域の設定を行うことができる。
【0021】
[撮像装置1の構成]
以下、撮像装置1の詳細な構成について説明する。
図3は、撮像装置1の構成を示す図である。撮像装置1は、撮像部11と、駆動部12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。
【0022】
撮像部11は、レンズを含む光学系部品と、レンズを介して入射した光を電気信号に変換する撮像素子とを有する。駆動部12は、制御部15の制御に基づいて撮像部11の光軸の向きとズーム率を変化させるアクチュエータを有する。通信部13は、携帯端末2又はサーバ3との間で情報を送受信するための無線又は有線の通信インターフェースである。通信部13は、例えば、サーバ3から駆動部12を制御するための制御情報を受信する。
【0023】
記憶部14は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有しており、制御部15が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部14は、制御部15の制御に基づいて、撮像部11が生成した撮像画像を一時的に記憶する。
【0024】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、駆動部12を制御して撮像部11の光軸の向きを変化させたり、撮像部11に撮像画像を生成させたりする。
【0025】
[サーバ3の構成]
以下、サーバ3の詳細な構成について説明する。
図4は、サーバ3の構成を示す図である。サーバ3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。通信部31は、ネットワークNを介して情報を送受信するための通信インターフェースであり、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを含んでいる。通信部31は、撮像装置1又は携帯端末2から受信した情報を制御部33に通知する。また、通信部31は、制御部33から入力された情報を撮像装置1又は携帯端末2に送信する。
【0026】
記憶部32は、情報を記憶する記憶媒体であり、例えばハードディスク、ROM、及びRAMを含んでいる。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部32は、全領域撮像画像に含まれる画素の位置と、撮像装置1の水平方向の位置及び垂直方向の位置とを関連付けた制御情報を記憶する。記憶部32は、例えば、撮像装置1の撮影領域の中心の画素の位置と、撮像装置1の水平方向の位置及び垂直方向の位置とを関連付けた制御情報を記憶する。撮像装置1が水平方向及び垂直方向に移動可能な最小角度に複数の画素が含まれている場合、記憶部32は、複数の画素の位置を、同一の撮像装置1の水平方向及び垂直方向の位置に関連付けて記憶してもよい。
【0027】
制御部33は、例えばCPUであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、撮像画像取得部331、指示受付部332、及び撮影制御部333として機能する。
【0028】
撮像画像取得部331は、撮像装置1が送信した撮像画像を取得する。例えば、撮像画像取得部331は、撮像装置1が撮影可能な領域の全領域撮像画像を取得する。撮像画像取得部331が全領域撮像画像を取得する具体的な方法については後述する。
【0029】
指示受付部332は、携帯端末2から指示情報を受け付ける。例えば、指示受付部332は、撮像画像取得部331が取得した全領域撮像画像における監視対象位置の指示を受け付ける。さらに、指示受付部332は、複数の監視対象位置の指示を受け付けてもよい。具体的には、指示受付部332は、監視対象位置の指示として、全領域撮像画像に対する監視対象位置の座標データを取得する。
【0030】
撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を制御する。例えば、撮影制御部333は、駆動部12を移動する指示を送信することにより撮影領域を制御する。また、撮影制御部333は、制御した撮影領域を撮影した撮像画像を撮像装置1に生成させる。具体的には、撮影制御部333が、撮像装置1に撮像画像を生成する指示を送信することにより撮像画像を生成させる。撮影制御部333は、記憶部32に記憶された制御情報に基づいて撮影領域を制御し、撮像装置1に撮影可能領域Aの全領域を順次撮影させることで、全領域撮像画像を生成させる。撮像画像取得部331は、生成された全領域撮像画像を取得する。以下、撮像画像取得部331が、撮影可能領域Aの全領域を撮像した全領域撮像画像を取得する方法を具体的に説明する。
【0031】
図5は、撮像画像取得部331が全領域撮像画像を取得する方法を説明するための図である。
図5(a)は、撮像画像取得部331が全領域撮像画像を取得する際の撮像装置の1の動作について説明するための図である。撮像装置1の制御部15は、サーバ3から受信した制御情報に基づいて駆動部12に右向きにパンさせることで撮影領域を右向きに移動させることができる。また同様に、制御部15は、サーバ3から受信した制御情報に基づいて駆動部12に下向きにチルトさせることで撮影領域を下向きに移動させることができる。このようにすることで、制御部15は、撮像装置1の撮影領域を上下左右に移動させることができる。
【0032】
図5(b)は、撮像画像取得部331が、撮影可能領域Aの全領域を撮像した全領域撮像画像を取得する方法を説明するための図である。まず、撮影制御部333が、撮像装置1の撮影領域を撮影可能領域Aの左上隅の位置(
図5(b)における撮影領域R11の位置)に移動させる。続いて、撮影制御部333が、撮像装置1の撮像部11に撮影領域R11の位置における撮像画像を生成させる。撮像装置1の通信部13は、生成した撮像画像をサーバ3に送信する。そして、撮像画像取得部331が、送信された撮像画像を取得する。
【0033】
次に、撮影制御部333が、撮像装置1の撮影領域を撮影領域R11に隣接する撮影領域R21の位置に移動させる。撮影制御部333が、撮影領域R21の位置における撮像画像を撮像部11に生成させる。撮像装置1の通信部13は、生成した撮像画像をサーバ3に送信する。そして、撮像画像取得部331が、送信された撮像画像を取得する。
【0034】
撮影制御部333は、撮影領域を右に移動させ、撮影領域を移動させた位置における撮像画像を撮像部11に生成させる処理を、撮影領域が撮影可能領域Aの右上隅に移動するまで繰り返す。撮影制御部333は、撮影可能領域Aの右上隅の位置を撮影した撮像画像を生成させると、撮影領域を撮影可能領域Aの左上隅に移動する。撮影制御部333は、撮影領域を撮影可能領域Aの左上隅の位置から下方向の撮影領域R12の位置に移動させ、撮影領域R12の位置における撮像画像を撮像部11に生成させる。
【0035】
撮影制御部333は、撮影領域を右に移動させ、撮影領域を移動させた位置における撮像画像を撮像部11に生成させる処理を、撮影領域が撮影可能領域Aの右端に移動するまで繰り返す。このように、撮影制御部333は、撮影領域を順次移動し、移動した位置における撮像画像を撮像部11に生成させる。撮像装置1の通信部13は、生成した撮像画像を順次サーバ3に送信する。そして、撮像画像取得部331が、送信された撮像画像を順次取得する。撮像画像取得部331は、取得した撮像画像を結合することにより全領域撮像画像を生成する。このようにして、撮像画像取得部331は、全領域撮像画像を取得することができる。撮像画像取得部331は、取得した全領域撮像画像を撮影制御部333に通知する。
【0036】
なお、撮像装置1において、
図5(b)に示した各撮影領域の撮像画像を結合した全領域撮像画像を生成し、撮像画像取得部331は、撮像装置1が生成した全領域撮像画像を取得してもよい。
【0037】
撮影制御部333は、指示受付部332が受け付けた指示が示す監視対象位置を撮影するべく、撮像装置1の撮影領域を制御する。具体的には、撮影制御部333は、記憶部32に記憶された制御情報に基づいて監視対象位置に対応する撮像装置1の水平方向の位置及び垂直方向の位置を特定することにより、撮像装置1の撮影領域を制御する。以下、撮影制御部333が、撮像装置1の撮影領域を制御する具体的な方法について説明する。
【0038】
(監視対象位置を撮像する処理)
図6は、受け付けた監視対象位置を撮影するべく撮像装置の撮影領域を制御する方法を説明するための図である。
図6(a)は、撮像装置1が全領域撮影領域の左上付近の撮影領域を撮影している状態を示す図である。
図6(a)において、撮影領域の中心Оを白丸で示す。また、
図6(a)において、指示受付部332が、黒丸で示す監視対象位置P1を受け付けたことを示している。
【0039】
撮影制御部333は、指示受付部332が監視対象位置P1を受け付けると、全領域撮像画像における監視対象位置P1の位置を特定する。撮影制御部333は、監視対象位置P1が撮影領域の中心となるように、撮像領域を移動させる。具体的には、撮影制御部333は、監視対象位置P1の位置と、全領域撮像画像における撮影領域の中心Оの位置とを用いて、撮像装置1の水平方向の移動量X及び垂直方向の移動量Yを算出する。撮影制御部333は、撮影領域を水平方向に移動量Xだけ移動させ、垂直方向に移動量Yだけ移動させることにより、監視対象位置P1が撮影領域に含まれ、撮影領域の中心となるように制御することができる。
図6(b)は、撮影制御部333が撮影領域を移動させ、監視対象位置P1が撮影領域に含まれ、撮影領域の中心となるように制御された状態を示す図である。以下、
図7を用いて、監視対象位置を撮像する処理シーケンスについて説明する。
【0040】
図7は、ユーザが撮像装置の撮像範囲を調整する際の作業支援システムSにおける処理シーケンスの一例を示す図である。まず、撮像装置1は、全領域撮像画像を生成し(S11)、生成した全領域撮像画像をサーバ3に送信する。サーバ3は、受信した全領域撮像画像を携帯端末2に転送する。
【0041】
携帯端末2は、受信した全領域撮像画像を画面に表示させ、表示した全領域撮像画像においてユーザから撮影領域の中心にしたい位置の入力を受けることにより、監視対象位置を取得する(S12)。携帯端末2は、取得した監視対象位置を示す情報をサーバ3に送信する。
【0042】
サーバ3の撮影制御部333は、監視対象位置を中心とする撮影領域を設定する(S13)。撮影制御部333は、設定した撮影領域を撮影するための制御情報を撮像装置1に送信する。撮像装置1は、撮影領域を撮像した撮像画像を生成し(S14)、生成した撮像画像をサーバ3に送信する。サーバ3は、受信した撮像画像を携帯端末2に転送する。携帯端末2は、受信した撮像画像を画面に表示させる。
【0043】
このようにすることで、ユーザは、全領域撮像画像において任意の監視対象位置を選択するだけで監視対象位置を含む撮影領域を設定することができるので、撮像装置1を一人で設置できるようになり、作業員の数を低減することができる。
【0044】
(複数の監視対象位置を含む撮影領域を撮像する方法)
撮影制御部333は、指示受付部332が複数の監視対象位置を受け付けた場合、複数の監視対象位置が撮影領域に含まれるように撮影領域を制御してもよい。
図8は、複数の監視対象位置が撮影領域に含まれるように撮影領域を制御する方法について説明するための図である。
図8(a)は、指示受付部332が、全領域撮像画像において、監視対象位置P1〜P3の3点の監視対象位置を受け付けたことを示す図である。撮影制御部333は、監視対象位置P1〜P3の位置を特定し、白丸で示す3点の監視対象位置の重心Gの位置を算出する。撮影制御部333は、重心Gの位置が撮影領域の中心となるように撮像装置1を制御する。
図8(b)は、撮影制御部333が、3点の監視対象位置が撮像領域に含まれるように撮影領域を制御した状態を示す図である。
【0045】
撮影制御部333は、複数の監視対象位置が含まれる撮像領域を特定した後に、撮像領域の大きさを変更してもよい。例えば、撮影制御部333は、撮影領域に含まれる複数の監視対象位置が、より大きく撮影されるように撮影領域を制御する。
図8(c)は、撮影制御部333が、撮影領域に含まれる複数の監視対象位置が、より大きく撮影されるように撮影領域を制御したことを示す図である。撮影制御部333は、ズーム範囲を調整することにより、複数の監視対象位置を大きく撮影することができる。このようにすることで、ユーザは、複数の監視対象位置を撮影したい場合に、全領域撮像画像において任意の複数の監視対象位置を選択するだけで、複数の監視対象位置を含む撮影領域を設定することができるので、撮影領域を簡単に設定することができる。
【0046】
なお、撮影制御部333は、最もズームアウトした状態においても複数の監視対象位置を撮像装置1が撮影可能な撮影領域に含めることができない場合、撮影可能な撮影領域に含めることができないことを示すエラー情報を携帯端末2に送信する。ユーザは、エラー情報を受けることで、複数の監視対象位置を含む撮影領域を再度設定することができるので、設置後に監視対象位置を撮影できないということを防止できる。なお、以上の説明においては、複数の監視対象位置として3点の監視対象位置を受け付けたが、受け付ける監視対象位置の数は4点以上でもよく、特に限定されない。
【0047】
(監視対象位置を選択可能な領域を表示する処理)
上記のように、ユーザが指定する複数の監視対象位置が、撮像装置1が最もズームインした状態においても一つの撮像画像に含まれない場合がある。そこで、撮影制御部333は、第1の監視対象位置が選択された場合、第1の監視対象位置と異なる第2の監視対象位置を選択可能な領域を示す情報を監視対象位置の指示を入力する携帯端末2に表示させてもよい。例えば、撮影制御部333は、撮像装置1が撮影可能な撮影領域に基づいて選択可能な領域を示す情報を携帯端末2に表示させる。具体的には、撮影制御部333は、指示受付部332が第1の監視対象位置P1を受け付けると、第1の監視対象位置P1を撮影可能な複数の撮影領域を特定し、複数の撮影領域に基づいて選択可能な領域を特定する。
図9は、撮影制御部333が選択可能な領域を特定する方法について説明するための図である。
【0048】
図9においては、指示受付部332が第1の監視対象位置P1を受け付け、撮影制御部333が全領域撮像画像における第1の監視対象位置を特定したことを想定しいている。撮影制御部333は、第1の監視対象位置を含む複数の撮影領域として、撮影領域a〜dを特定する。破線で示す撮影領域aは、第1の監視対象位置P1を撮影領域の右下隅において撮影可能な撮影領域である。二点破線で示す撮影領域bは、第1の監視対象位置P1を撮影領域の左下隅において撮影可能な撮影領域である。一点鎖線で示す撮影領域cは、第1の監視対象位置P1を撮影領域の右上隅において撮影可能な撮影領域である。点線で示す撮影領域dは、第1の監視対象位置P1を撮影領域の左上隅において撮影可能な撮影領域である。
【0049】
撮影制御部333は、特定した撮影領域a〜dを含む選択可能な領域を特定する。撮影制御部333は、特定した選択可能な領域を示す情報を携帯端末2に表示させる。撮影制御部333は、例えば全領域撮像画像に選択可能な領域を示す枠を重畳して携帯端末2に表示させる。このようにすることで、ユーザは、複数の監視対象位置の指示をする場合に、第1の監視対象位置の指示をした後に第2の監視対象位置の指示が可能な範囲を確認することができる。したがって、ユーザは、第1の監視対象位置と同時に撮影領域に含めることができない監視対象位置を選択してしまうことを防止できる。
【0050】
(調整枠を表示させて撮影領域を設定する処理)
撮影制御部333は、撮像装置1が撮像可能な撮影領域を示す領域情報を監視対象位置の指示を入力する携帯端末2に表示させ、領域情報に対する縮小指示又は移動指示に基づいて撮影領域を制御してもよい。例えば、撮影制御部333は、全領域撮像画像と、領域情報として撮像装置1が撮影可能な最大の大きさの撮影領域を示す移動又は縮小可能な調整枠を、携帯端末2に表示させる。ユーザは、携帯端末2に表示された、全領域撮像画像に重畳された調整枠に対して移動指示又は縮小指示を入力することができる。指示受付部332は、調整枠に対する移動指示又は縮小指示を受け付ける。撮影制御部333は、指示受付部332が受付けた移動指示又は縮小指示に基づいて撮影領域を制御する。
図10は、移動又は縮小することができる調整枠を表示させる方法について説明するための図である。
【0051】
図10(a)は、全領域撮像画像に調整枠aが重畳されて、携帯端末2の表示部に表示されたことを模式的に示す図である。
図10(a)においては、ユーザが調整枠aを縮小して調整枠bにする指示を入力したことを想定している。撮影制御部333は、指示受付部332が受付けた調整枠に対する縮小指示により縮小された枠と同一の大きさになるように撮影領域を制御する。
図10(b)は、撮影制御部333が、縮小された枠と同一の大きさになるように撮影領域を制御した状態を示す図である。
【0052】
図10(c)は、
図10(a)と同様に、全領域撮像画像に調整枠aが重畳されて、携帯端末2の表示部に表示されたことを模式的に示す図である。
図10(c)においては、ユーザが調整枠aの位置を調整枠bの位置に移動する指示を入力したことを想定している。撮影制御部333は、指示受付部332が受付けた調整枠に対する移動指示により移動された枠の位置と同一の位置になるように撮影領域を制御する。以下、
図11を用いて、調整枠を表示させて撮影領域を設定する処理シーケンスについて説明する。
【0053】
図11は、ユーザが撮像装置の撮像範囲を調整する際の作業支援システムSにおける処理シーケンスの一例を示す図である。まず、撮像装置1は、全領域撮像画像を生成し(S11)、生成した全領域撮像画像をサーバ3に送信する。
【0054】
撮影制御部333は、全領域撮像画像を受信すると調整枠を生成し(S21)、全領域撮像画像と調整枠を示す情報とを携帯端末2に送信する。携帯端末2は、受信した全領域撮像画像と調整枠を示す情報とを画面に表示させ、調整枠に対する移動指示又は縮小指示の入力を受けることにより、移動指示又は縮小指示を取得する(S22)。携帯端末2は、取得した移動指示又は縮小指示をサーバ3に送信する。
【0055】
サーバ3の撮影制御部333は、移動指示又は縮小指示に基づいて撮影領域を設定する(S23)。撮影制御部333は、設定した撮影領域を撮影するための制御情報を撮像装置1に送信する。撮像装置1は、撮影領域を撮像した撮像画像を生成し(S24)、生成した撮像画像をサーバ3に送信する。サーバ3は、受信した撮像画像を携帯端末2に転送する。携帯端末2は、受信した撮像画像を画面に表示させる。
【0056】
このようにすることで、ユーザは、撮影領域を確認しながら撮影領域に対する移動指示又は縮小指示を入力することができるので、監視対象位置と、監視対象位置の周辺とをどのように撮影するかを簡単に設定することができる。
【0057】
(複数の撮影領域を切り替えて撮像する処理)
撮影制御部333は、指示受付部332が受け付けた複数の監視対象位置と関連付けられた複数の撮影領域を切り替えて撮影するように撮像装置1を制御してもよい。例えば、撮影制御部333は、複数の監視対象位置と関連付けて、複数の調整枠を携帯端末2に表示させる。例えば、撮影制御部333は、複数の監視対象位置それぞれが中心となるような複数の撮影領域を設定する。撮影制御部333は、複数の調整枠それぞれに対する移動指示又は縮小指示に基づいて、複数の監視対象位置と関連付けて複数の撮影領域を設定してもよい。撮影制御部333は、複数の撮影領域を切り替えて撮影するように撮像装置1を制御する。例えば、撮影制御部333は、指示受付部332が撮影領域を切り替える切替指示を受け付けた場合に、撮影領域を切り替えて撮影するように撮像装置1を制御する。
【0058】
図12は、複数の撮影領域を切り替えて撮影する方法について説明するための図である。
図12においては、撮影制御部333が撮影領域R1〜R3を設定したことを想定している。撮影領域R1は、監視対象位置P1を中心とする撮影領域である。撮影領域R2は、監視対象位置P2及びP3の重心位置を中心とする撮影領域R1より大きい撮影領域である。撮影領域R3は、監視対象位置P3を中心とする撮影領域R1より小さい撮影領域である。このように、撮影制御部333は、撮影領域ごとに異なる撮影領域の大きさを設定してもよい。また、撮影制御部333は、撮影領域ごとに異なるズーム倍率を設定してもよい。
【0059】
撮影制御部333は、撮影領域R1を撮影するべく撮像装置1を制御する。撮影制御部333は、撮像装置1の撮像部11が撮影領域R1を撮影した撮像画像PCT1を携帯端末2に送信する。
【0060】
携帯端末2は、受信した撮像画像PCT1を画面に表示する。ユーザは、携帯端末2の画面に表示された撮像画像PCT1を確認し、携帯端末2に撮影領域を切り替える切替指示を入力することができる。そして、撮影制御部333は、指示受付部332が撮影領域を切り替える切替指示を受け付けると、撮影領域R2を撮影するべく撮像装置1を制御する。そして、撮影制御部333は、撮像装置1の撮像部11が撮影領域R2を撮影した撮像画像PCT2を携帯端末2に送信する。以下、
図13を用いて、複数の撮影領域を切り替えて撮像する処理シーケンスについて説明する。
【0061】
図13は、ユーザが撮像装置の撮像範囲を調整する際の作業支援システムSにおける処理シーケンスの一例を示す図である。まず、撮像装置1は、全領域撮像画像を生成し(S11)、生成した全領域撮像画像をサーバ3に送信する。サーバ3は、受信した全領域撮像画像を携帯端末2に転送する。
【0062】
携帯端末2は、受信した全領域撮像画像を画面に表示させ、表示した全領域撮像画像においてユーザから複数の監視対象位置の入力を受けることにより、複数の監視対象位置を取得する(S30)。携帯端末2は、取得した複数の監視対象位置を示す情報をサーバ3に送信する。
【0063】
サーバ3の撮影制御部333は、複数の監視対象位置と関連付けて複数の撮影領域を設定する(S31)。撮影制御部333は、複数の撮影領域のうち一つの撮影領域である第1撮影領域を設定する(S32)。撮影制御部333は、設定した第1撮影領域を撮影するための制御情報を撮像装置1に送信する。撮像装置1は、第1撮影領域を撮像した第1撮像画像を生成し(S33)、生成した第1撮像画像をサーバ3に送信する。サーバ3は、受信した第1撮像画像を携帯端末2に転送する。携帯端末2は、受信した第1撮像画像を画面に表示させる。
【0064】
携帯端末2は、ユーザから撮影領域を切り替える切替指示の入力を受けることにより、撮影領域の切替指示を取得する(S35)。携帯端末2は、取得した切替指示を示す情報をサーバ3に送信する。
【0065】
サーバ3の撮影制御部333は、切替指示を受信すると、第1撮影領域と異なる第2撮影領域を新たに設定する(S36)。撮影制御部333は、新たに設定した第2撮影領域を撮影するための制御情報を撮像装置1に送信する。撮像装置1は、第2撮影領域を撮像した第2撮像画像を生成し(S37)、生成した第2撮像画像をサーバ3に送信する。サーバ3は、受信した第2撮像画像を携帯端末2に転送する。携帯端末2は、受信した第2撮像画像を画面に表示させる。
【0066】
このようにすることで、ユーザは、複数の撮影領域を撮影した撮像画像を順次確認することができるので、撮像装置1の設置作業を簡単に行うことができる。なお、以上の説明においては、撮影制御部333は、切替指示に基づいて順次撮影領域を切り替えたが、これに限らず、指示受付部332が受け付けた複数の撮影領域のいずれか一つを選択する切替指示に基づいて撮影領域を切り替えてもよい。このようにすることで、ユーザは、複数の撮影領域のうちから任意の一つを選んで撮像画像を確認することができるので、作業性が向上する。また、ユーザは、選択した撮影領域を移動又は縮小することができるので、それぞれの撮影領域を調整しやすくなり設置作業の作業性が向上する。
【0067】
撮影制御部333は、複数の撮影領域を、所定の撮影時間が経過するごとに切り替えてもよい。まず、撮影制御部333は、撮影領域R1を撮影するべく撮像装置1を制御する。次に、撮影制御部333は、所定の撮影時間が経過すると、撮影領域R2を撮影するべく撮像装置1を制御する。続いて、撮影制御部333は、所定の撮影時間が経過すると、撮影領域R3を撮影するべく撮像装置1を制御する。そして、撮影制御部333は、所定の撮影時間が経過すると、再び撮影領域R1を撮影するべく撮像装置1を制御する。ここで、所定の撮影時間は、ユーザが撮像画像を確認するために必要な確認可能時間であり、例えば10秒であるが、これに限らず、ユーザが任意に設定することができる。
【0068】
撮影制御部333は、撮影領域R1〜R3を自動的に切り替えるように制御することにより、複数の撮影領域を撮影させることができる。このようにすることで、ユーザは、設定した複数の撮影領域を切り替える切替指示を入力しなくても、複数の撮像画像を確認することができるので、例えば片手で携帯端末2を持ちながら、もう一方の手で作業を行う場合に好適である。
【0069】
(変形例)
以上の説明においては、指示受付部332が監視対象位置を受け付け、撮影制御部333が監視対象位置を撮影するべく撮影領域を制御した。しかし、これに限らず、指示受付部332が撮影禁止位置を受け付け、撮影制御部333が撮影禁止位置を撮影しないように撮影領域を制御してもよい。例えば、撮影制御部333は、撮影禁止位置を撮影しないマスク領域を設定し、撮影領域にマスク領域が含まれる場合に、エラー情報を携帯端末2に送信する。このようにすることで、サーバ3は、ユーザが撮影してはいけない領域を誤って撮影領域に設定してしまうことを防止できる。
【0070】
[第1の実施形態の作業支援システムSによる効果]
以上説明したように、第1の実施形態の作業支援システムSにおいては、撮影制御部333が、全領域撮像画像に対して指示受付部332が受け付けた指示が示す監視対象位置を撮影するべく、撮像装置1の撮影領域を制御する。このようにすることで、ユーザは、全領域撮像画像において任意の監視対象位置を指示するだけで、容易に撮像装置1の撮影領域を調整することができる。
【0071】
<第2の実施形態>
第1の実施形態の作業支援システムSにおいては、サーバ3が制御情報を生成するものとしたが、第2の実施形態の作業支援システムSにおいては、携帯端末2において制御情報を生成する点で異なる。例えば、携帯端末2のCPUがプログラムを実行することにより、第1の実施形態のサーバ3における撮像画像取得部331、指示受付部332及び撮影制御部333と同等の機能を実行する。
【0072】
撮像装置1は、全領域撮像画像を生成し、生成した全領域撮像画像を携帯端末2に送信する。携帯端末2は、受信した全領域撮像画像を画面に表示させ、表示した全領域撮像画像においてユーザから撮影領域の中心にしたい位置の入力を受けることにより、監視対象位置を取得する。携帯端末2は、監視対象位置を中心とする撮影領域を設定し、設定した撮影領域を撮影するための制御情報を撮像装置1に送信する。撮像装置1は、撮影領域を撮像した撮像画像を生成し、生成した撮像画像を携帯端末2に送信する。携帯端末2は、受信した撮像画像を画面に表示させる。
【0073】
[第2の実施形態の作業支援システムSによる効果]
以上説明したように、第2の実施形態の作業支援システムSによれば、サーバ3を用いることなく、撮像装置1及び携帯端末2を用いることにより、一人のユーザが撮像装置1の撮像範囲を容易に調整することができる。
【0074】
<第3の実施形態>
第1及び第2の実施形態の作業支援システムSにおいては、予め全領域撮像画像に含まれる画素の位置と、撮像装置1の水平方向の位置及び垂直方向の位置とを関連付けた制御情報をサーバ3の記憶部32に記憶していた。第3の実施形態の作業支援システムSにおいては、サーバ3の撮影制御部333が、撮像装置1を制御して全領域撮像画像を生成させるとともに、制御情報をサーバ3の記憶部32に記憶させる点で異なる。
【0075】
図14は、撮影制御部333が撮像装置1に全領域撮像画像を生成させるとともに、制御情報を記憶させる方法について説明するための図である。まず、撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を撮影可能領域Aの左上隅に移動させる。撮影制御部333は、撮像装置1に撮影可能領域Aの左上隅において撮像画像A1を生成させる。撮影制御部333は、撮像装置1の水平方向及び垂直方向の位置と、撮像画像A1の中心の画素の位置とを関連付けて記憶部32に記憶させる。
【0076】
次に、撮影制御部333は、撮像画像A1から水平方向右側に、水平方向の移動量の最小単位θだけ撮像装置1の撮影領域を移動させる。撮影制御部333は、移動させた撮影領域において撮像装置1に撮像画像Atを生成させる。
図14(a)は、撮影制御部333が、撮像装置1に撮像画像A1と撮像画像Atとを生成させた状態を模式的に示す図である。
図14(a)において、斜線で示す領域は、撮像画像A1と撮像画像Atとの共通画像Rsである。
【0077】
撮影制御部333は、撮像画像A1と撮像画像Atとの共通画像Rsを除いた画像A2を撮像画像A1に結合する。
図14(b)は、撮影制御部333が撮像画像A1に画像A2を結合した状態を模式的に示す図である。撮影制御部333は、水平方向の移動量の最小単位θと、画像A2の中心の画素の位置とを関連付けて記憶させる。
【0078】
撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を水平方向右側に水平方向の移動量の最小単位θごとに移動させ、移動させた撮影領域において撮像装置1に新たに撮像画像Atを生成させる。撮影制御部333は、新たに生成された撮像画像Atと、すでに撮影されて結合された撮像画像との共通画像を除いた画像Axを、すでに撮影されて結合された撮像画像に結合させる。撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を撮像画像A1の位置から水平方向に移動させた移動量θxと、画像Axの中心の画素の位置とを関連付けて記憶させる。撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を水平方向右側に移動できなくなるまで以上の動作を繰り返す。
【0079】
撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を水平方向右側に移動できなくなると、撮像装置1の撮影領域を撮影可能領域Aの左上端に移動させる。撮影制御部333は、撮影可能領域Aの左上端から垂直方向下側に、垂直方向の移動量の最小単位φだけ撮像装置1の撮影領域を移動させる。撮影制御部333は、移動させた撮影領域において撮像装置1に撮像画像Btを生成させる。撮影制御部333は、撮像画像Btと、すでに撮影されて結合された撮像画像との共通画像を除いた画像B1を、すでに撮影されて結合された撮像画像に結合させる。撮影制御部333は、垂直方向の移動量の最小単位φと、画像B1の中心の画素の位置とを関連付けて記憶させる。
【0080】
撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を水平方向右側に水平方向の移動量の最小単位θだけ移動させる。撮影制御部333は、移動させた撮影領域において撮像装置1に新たに撮像画像Btを生成させる。撮影制御部333は、新たに生成させた撮像画像Btと、すでに撮影されて結合された撮像画像との共通画像を除いた画像B2を、すでに撮影されて結合された撮像画像に結合させる。
【0081】
撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を水平方向右側に水平方向の移動量の最小単位θごとに移動させ、移動させた撮影領域において撮像装置1に新たに撮像画像Btを生成させる。撮影制御部333は、新たに生成された撮像画像Btと、すでに撮影されて結合された撮像画像との共通画像を除いた画像Byを、すでに撮影されて結合された撮像画像に結合させる。撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を撮像画像A1の位置から水平方向に移動させた移動量θxと、撮像画像A1の位置から垂直方向に移動させた移動量φyと、画像Byに含まれる画素の位置とを関連付けて記憶させる。撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を水平方向右側に移動できなくなるまで以上の動作を繰り返す。
【0082】
撮影制御部333は、撮像装置1の撮影領域を、水平方向及び垂直方向に移動させることができなくなるまで以上の動作を繰り返す。
図14(c)は、撮影制御部333が撮像装置1の撮影可能領域Aの全領域において撮像画像を生成させた状態を模式的に示す図である。以上のようにすることで、撮影制御部333は、撮像装置1に全領域撮像画像を生成させることができる。また、撮影制御部333は、全領域撮像画像に含まれる画素の位置と、撮像装置1の水平方向の位置及び垂直方向の位置とを関連付けた制御情報を記憶部32記憶させることができる。
【0083】
なお、以上の説明においては、撮影制御部333は全領域撮像画像を生成させる処理を、左上端から開始したが、これに限らず、撮像装置1の撮影可能領域Aの右上端、左下端、又は右下端から開始しても構わない。撮影制御部333は、撮像装置1の撮影可能領域Aの四隅の位置のいずれかから、対角の位置に向かうように撮影領域を移動しながら撮像画像を生成することにより全領域撮像画像を生成させる。
【0084】
[第3の実施形態の効果]
以上説明したように、第3の実施形態の作業支援システムSにおいては、サーバ3の撮影制御部333が、撮像装置1を制御して全領域撮像画像を生成させるとともに、制御情報をサーバ3の記憶部32に記憶させる。このようにすることで、第3の実施形態の作業支援システムSは、撮像装置1の製造時のばらつきによる個体差を補正することができるので、精度の高い監視対象位置及び撮影領域を設定する必要がある場合に好適である。
【0085】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。