特許第6819406号(P6819406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819406
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】情報設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20210114BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20210114BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20210114BHJP
【FI】
   H04W76/10
   H04W92/18
   H04W84/12
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-63807(P2017-63807)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-166311(P2018-166311A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2020年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】本多 孝高
(72)【発明者】
【氏名】三枝木 政義
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 伸行
(72)【発明者】
【氏名】深井 伸晃
【審査官】 野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−038124(JP,A)
【文献】 特開2015−154130(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/026124(WO,A1)
【文献】 特開2015−154490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信端末に、前記複数の通信端末がアクセスする親機の第1識別情報を設定する情報設定方法であって、
同一の第2識別情報が予め記憶された複数の通信端末のうち一台の第1通信端末が、前記第1通信端末のユーザが前記第1通信端末に入力した前記第1識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記第1通信端末が、前記複数の通信端末の少なくとも一部の通信端末に固有の複数の端末情報が含まれており、前記第1通信端末のユーザが前記第1通信端末に入力した第1リストを取得するリスト取得ステップと、
前記複数の通信端末のうち前記第1通信端末と異なる第2通信端末が、前記第2識別情報を用いて前記第1通信端末にアクセスするアクセスステップと、
前記第1通信端末が、アクセスしてきた、前記第1リストに含まれている前記複数の端末情報のうち少なくとも一つの端末情報に対応する前記第2通信端末に前記第1識別情報を通知する通知ステップと、
前記第2通信端末が前記第1識別情報を記憶する記憶ステップと、
を有する情報設定方法。
【請求項2】
前記第1通信端末が、前記第1リストに含まれている前記複数の端末情報の一部の端末情報を含む第2リストを作成するステップと、
前記第2リストを前記第2通信端末に通知するステップと、
前記第2通信端末が、前記第2リストに前記端末情報が含まれている第3通信端末に前記第1識別情報を通知するステップと、
をさらに有する、
請求項に記載の情報設定方法。
【請求項3】
前記複数の通信端末は、複数の前記第2識別情報を記憶しており、
前記アクセスステップにおいて、前記複数の第2識別情報から選択した一つの第2識別情報を用いて前記第1通信端末にアクセスする、
請求項1又は2に記載の情報設定方法。
【請求項4】
複数の通信端末に、前記複数の通信端末がアクセスする親機の第1識別情報を設定する情報設定方法であって、
同一の第2識別情報が予め記憶された複数の通信端末のうち一台の第1通信端末が、前記第1通信端末のユーザが前記第1通信端末に入力した前記第1識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記複数の通信端末のうち前記第1通信端末と異なる第2通信端末が、前記第2識別情報を用いて前記第1通信端末にアクセスするアクセスステップと、
前記第1通信端末が、アクセスしてきた前記第2通信端末に前記第1識別情報を通知する通知ステップと、
前記第2通信端末が前記第1識別情報を記憶する記憶ステップと、
を有し、
前記アクセスステップの前に、
前記第1通信端末が親機モードでの動作を開始するステップと、
前記第1通信端末のユーザが前記第1通信端末に入力した、前記第1識別情報を通知する対象となる通信端末の数である通知対象数を取得するステップと、
を有し、
前記第1通信端末が、前記通知対象数に等しい数の前記第2通信端末に前記第1識別情報を通知した後に、前記第1通信端末を子機モードに切り替えるステップをさらに有する、
情報設定方法。
【請求項5】
複数の通信端末に、前記複数の通信端末がアクセスする親機の第1識別情報を設定する情報設定方法であって、
同一の第2識別情報が予め記憶された複数の通信端末のうち一台の第1通信端末が、前記第1通信端末のユーザが前記第1通信端末に入力した前記第1識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記複数の通信端末のうち前記第1通信端末と異なる第2通信端末が、前記第2識別情報を用いて前記第1通信端末にアクセスするアクセスステップと、
前記第1通信端末が、アクセスしてきた前記第2通信端末に前記第1識別情報を通知する通知ステップと、
前記第2通信端末が前記第1識別情報を記憶する記憶ステップと、
前記アクセスステップの前に、
前記第1通信端末が親機モードでの動作を開始するステップと、
前記第1通信端末が前記第2通信端末に前記第1識別情報を通知した場合に、前記第1通信端末を子機モードに切り替えるステップと、
前記第2通信端末が前記第1識別情報を受信した後に、前記第2通信端末を親機モードに切り替えるステップと、
前記複数の通信端末のうち前記第2通信端末と異なる第3通信端末が、前記第2識別情報を用いて前記第2通信端末にアクセスするアクセスステップと、
前記第2通信端末が、アクセスしてきた前記第3通信端末に前記第1識別情報を通知する通知ステップと、
を有する、
情報設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信に用いる識別情報を設定するための情報設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信端末が無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントに接続するために、通信端末においてアクセスポイントのSSID(Service Set Identifier)を設定し、設定されたSSIDを通信端末からアクセスポイントに送信する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−139032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、ユーザが、アクセスポイントに接続する対象となる通信端末に一台ずつアクセスポイントのSSIDを設定する必要があった。通信端末の数が少ない場合は、一台ずつSSIDを設定することも困難とはいえない。しかしながら、通信端末の数が多い場合、一台ずつSSIDを設定するには長時間を要し、設定ミスが生じて通信の不具合が生じた場合、原因を特定することは困難を極める。例えば、パチンコ店のような遊技場において、数百台の遊技機がアクセスポイントを介してサーバにアクセスできるようにするために、数百回にわたってSSIDを設定することは、困難な作業であった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、無線通信で用いられる設定情報の設定時間を短縮するための情報設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報設定方法は、複数の通信端末に、前記複数の通信端末がアクセスする親機の第1識別情報を設定する情報設定方法であって、予め同一の第2識別情報が記憶された複数の通信端末のうち一台の第1通信端末が前記第1識別情報を取得する識別情報取得ステップと、前記複数の通信端末のうち前記第1通信端末と異なる第2通信端末が、前記第2識別情報を用いて前記第1通信端末にアクセスするアクセスステップと、前記第1通信端末が、アクセスしてきた前記第2通信端末に前記第1識別情報を通知する通知ステップと、前記第2通信端末が前記第1識別情報を記憶する記憶ステップと、を有する。
【0007】
上記の情報設定方法は、第1通信端末が、前記複数の通信端末の少なくとも一部の通信端末に固有の複数の端末情報が含まれている第1リストを取得するリスト取得ステップをさらに有し、前記通知ステップにおいて、前記第1通信端末が、前記第1リストに含まれている前記複数の端末情報のうち少なくとも一つの端末情報に対応する前記第2通信端末に前記第1識別情報を通知してもよい。
【0008】
上記の情報設定方法は、前記第1通信端末が、前記第1リストに含まれている前記複数の端末情報の一部の端末情報を含む第2リストを作成するステップと、前記第2リストを前記第2通信端末に通知するステップと、前記第2通信端末が、前記第2リストに前記端末情報が含まれている第3通信端末に前記第1識別情報を通知するステップと、をさらに有してもよい。
【0009】
前記複数の通信端末は、複数の前記第2識別情報を記憶しており、前記アクセスステップにおいて、前記複数の第2識別情報から選択した一つの第2識別情報を用いて前記第1通信端末にアクセスしてもよい。
【0010】
また、上記の情報設定方法は、前記アクセスステップの前に、前記第1通信端末が親機モードでの動作を開始するステップと、前記第1識別情報を通知する対象となる通信端末の数である通知対象数を取得するステップと、をさらに有し、前記第1通信端末が、前記通知対象数に等しい数の前記第2通信端末に前記第1識別情報を通知した後に、前記第1通信端末を子機モードに切り替えるステップをさらに有してもよい。
【0011】
上記の情報設定方法は、前記アクセスステップの前に、前記第1通信端末が親機モードでの動作を開始するステップと、前記第1通信端末が前記第2通信端末に前記第1識別情報を通知した場合に、前記第1通信端末を子機モードに切り替えるステップと、前記第2通信端末が前記第1識別情報を受信した後に、前記第2通信端末を親機モードに切り替えるステップと、前記複数の通信端末のうち前記第2通信端末と異なる第3通信端末が、前記第2識別情報を用いて前記第2通信端末にアクセスするアクセスステップと、前記第2通信端末が、アクセスしてきた前記第3通信端末に前記第1識別情報を通知する通知ステップと、をさらに有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線通信で用いられる設定情報の設定時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態の通信システムの概要を説明するための図である。
図2】通信端末の構成を示す図である。
図3】親機モードに設定された通信端末の動作のフローチャートである。
図4】親機モードに設定された通信端末以外の複数の通信端末1それぞれの動作のフローチャートである。
図5】複数の通信端末にAP−IDを設定する際の通信シーケンスを示す図である。
図6】第2の実施形態の通信システムにおける情報設定方法の概要を説明するための図である。
図7】親機モードに設定した通信端末が取得するリストの一例を示す図である。
図8】通信端末が第2リストを作成した後の第1リスト及び第2リストを示す図である。
図9】第3の実施形態の通信システムにおける通信シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態の通信システムSの概要を説明するための図である。通信システムSは、複数の通信端末1(1−1〜1−n、nは自然数)と、無線LANのアクセスポイント2と、サーバ3とを有する。図1(a)は、複数の通信端末1がアクセスポイント2と通信できない初期状態において、アクセスポイント2のSSID(以下AP−IDという)を設定する処理を実行している状態を示している。AP−IDは、無線LANの親機として機能する装置の第1識別情報である。図1(b)は、複数の通信端末1がAP−IDを取得し、それぞれがアクセスポイント2との間でデータを送受信している状態を示している。
【0015】
通信端末1は、無線LANの通信チャネルを用いてアクセスポイント2を介してサーバ3との間でデータを送受信する端末である。通信端末1は、例えば、遊技場の遊技機を制御するための台間装置であり、遊技機で使用可能な玉数をサーバ3から受信し、受信した玉数を払い出すことで、その玉で遊技を可能とする。
【0016】
複数の通信端末1のそれぞれには、初期状態ではAP−IDを認識しておらず、工場出荷時に、同一の設定用SSIDが内部の不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に予め書き込まれている。設定用SSIDは、複数の通信端末1が設置される場所において、複数の通信端末1が通信するアクセスポイント2のAP−IDを設定するために用いられる第2識別情報である。複数の通信端末1を設置する作業者(以下、ユーザという)は、複数の通信端末1を設置する際に、複数の通信端末1のうちの一台(例えば通信端末1−1)を親機モードに設定し、AP−IDを入力する。
【0017】
他の複数の通信端末1が起動すると、他の複数の通信端末1は子機モードで動作を開始し、内部の不揮発性メモリに記憶された設定用SSIDを用いて親機モードに設定された通信端末1−1にアクセスする。他の複数の通信端末1は、通信端末1−1に対して、AP−IDを要求するメッセージ(以下、AP−ID要求という)を送信し、通信端末1−1は、他の複数の通信端末1に対してAP−IDを送信する。通信端末1−1は、アクセスしてきた他の複数の通信端末1に対してAP−IDを通知する。複数の通信端末1は、通信端末1−1からAP−IDを取得して、取得したAP−IDを記憶する。その後、複数の通信端末1は、アクセスポイント2と通信可能な状態になる。
【0018】
アクセスポイント2は、複数の通信端末1がAP−IDを取得した後に、複数の通信端末1との間でデータを送受信する。また、アクセスポイント2は、LANのインターフェースを有しており、LANを介してサーバ3との間でデータを送受信する。
サーバ3は、通信端末1が遊技機を制御するために用いる各種のデータを記憶しており、通信端末1からの要求に応じて通信端末1にデータを提供する。
【0019】
[通信端末1の構成]
図2は、通信端末1の構成を示す図である。通信端末1は、通信部11と、表示部12と、操作部13と、外部接続部14と、記憶部15と、制御部16とを有する。
【0020】
通信部11は、通信端末1との間でデータを送受信するための通信インターフェースである。通信部11は、高周波回路及び無線通信コントローラを含んでいる。通信部11は、操作部13から入力されたデータを含む電波を送信し、通信端末1から受信した電波に含まれているデータを抽出して制御部16に入力する。
【0021】
表示部12は、例えば液晶ディスプレイ及び発光ダイオードにより構成されている。表示部12は、ユーザに通知する各種の情報を表示する。表示部12は、例えば、通信端末1を親機モードとして動作させるか子機モードとして動作させるかを設定するためのモード設定画面を表示する。また、表示部12は、接続先のアクセスポイントのSSIDを設定するためのID入力画面を表示する。
【0022】
操作部13は、ユーザが通信端末1の動作モードを設定するための情報を入力するためのデバイスであり、例えばリモコンの赤外線受信デバイス又はタッチパネルである。ユーザは、リモコンを操作したり、表示部12に表示されたモード設定画面における親機モード選択用画像にタッチしたりすることで通信端末1を親機モードに設定することができる。また、ユーザは、リモコンを操作したり、ID入力画面内のキーボード画像にタッチしたりすることで、AP−ID、及びAP−IDを設定する対象となる他の通信端末1の台数を入力することができる。
【0023】
外部接続部14は、外部の機器と接続するためのインターフェースである。外部接続部14は、例えばUSB(Universal Serial Bus)インターフェースであり、ケーブルを介してコンピュータとの間でデータを送受信することができる。外部接続部14は、外部の機器から入力されたデータを制御部16に通知する。
【0024】
記憶部15は、EEPROM及びRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。記憶部15は、制御部16が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部15は、工場出荷時に設定された設定用SSIDを記憶している。
【0025】
制御部16は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部16は、記憶部15に記憶されたプログラムを実行することにより、通信端末1の各部を制御する。制御部16は、通信端末1に電源が投入された直後は子機モードで動作し、記憶部15に記憶された設定用SSIDを読み出して、設定用SSIDを含むAP−ID要求を送信する。制御部16は、親機モードに設定された通信端末1(図1における通信端末1−1)からAP−IDを受信すると、その後、制御部16は、親機のSSIDとしてAP−IDを用いてアクセスポイント2との間でデータを送受信する。制御部16は、他の通信端末1と同時にAP−ID要求を送信する確率を減らすために、動作を開始してからランダムな時間が経過した後にAP−ID要求を送信してもよい。
【0026】
制御部16は、操作部13を用いて親機モードに設定されると、記憶部15に記憶された設定用SSIDを読み出して、設定用SSIDを自身のSSIDとする親機として動作する。具体的には、制御部16は、子機モードに設定された他の通信端末1から、設定用SSIDを含むAP−ID要求メッセージを受信すると、操作部13を用いて入力されたAP−IDを読み出して、通信部11を介して、AP−ID要求を送信した通信端末1にAP−IDを送信する。
【0027】
制御部16は、操作部13を用いて設定された台数の他の通信端末1に対してAP−IDを送信すると、自身のモードを子機モードに切り替える。その後、制御部16は、AP−IDを用いてアクセスポイント2との間でデータを送受信する。
【0028】
[通信端末1−1の動作のフローチャート]
図3は、親機モードに設定された通信端末1−1の動作のフローチャートである。
通信端末1−1の制御部16は、ユーザにより親機モードに設定変更されると(S11)、アクセスポイント2のAP−IDを入力するための画面を表示部12に表示させて、操作部13を介してAP−IDを取得する(S12)。また、制御部16は、AP−IDを設定する対象となる他の通信端末1の台数を入力するための画面を表示部12に表示させて、操作部13を介して設定台数を取得する(S13)。また、制御部16は、AP−IDを通知した通信端末1の台数である送信台数をカウントするために用いられる送信台数変数を初期化する(S14)。
【0029】
続いて、制御部16は、記憶部15に記憶された設定用SSIDを読み出して、設定用SSIDを含むビーコンの送信を開始する(S15)。制御部16は、他の通信端末1からAP−ID要求を受信すると(S16においてYES)、AP−ID要求を送信した他の通信端末1に対してAP−IDを送信し(S17)、送信台数変数に1を加算することにより送信台数を更新する(S18)。
【0030】
続いて、制御部16は、ステップS18で更新した送信台数が、ステップS13で取得した設定台数と一致するか否かを判定する(S19)。制御部16は、送信台数が設定台数に達していない場合(S19においてNO)、ステップS16に戻って、送信台数変数が示す送信台数が設定台数と一致するまで、ステップS16からステップS19までを繰り返す。
【0031】
制御部16は、ステップS19において、送信台数が設定台数と一致すると判定した場合(S19においてYES)、ビーコンの送信を停止して、子機モードに変更する(S20)。その後、制御部16は、AP−IDを用いてアクセスポイント2との通信を開始する。
【0032】
[通信端末1−1以外の通信端末1の動作のフローチャート]
図4は、親機モードに設定された通信端末1−1以外の複数の通信端末1それぞれの動作のフローチャートである。通信端末1は、電源が投入された時点では子機モードで動作し、制御部16は、予め記憶部15に記憶された設定用SSIDを読み出して(S21)、設定用SSIDを含むビーコンの検出を開始する(S22)。
【0033】
続いて、制御部16は、設定用SSIDを含むビーコンを検出したか否かを判定する(S22)。制御部16は、設定用SSIDを含むビーコンを検出したと判定した場合(S22においてYES)、設定用SSIDを含むAP−ID要求を送信する(S23)。制御部16は、通信端末1−1が送信したAP−IDを受信すると(S24)、受信したAP−IDを記憶部15に記憶させる(S25)。その後、制御部16は、AP−IDを用いてアクセスポイント2との通信を開始する。
【0034】
制御部16は、ステップS22において設定用SSIDを含むビーコンを検出しない場合、ビーコンの検出を開始してから所定の時間が経過したかを判定する(S27)。通常、通信端末1を設置する際は、親機モードに設定する通信端末1−1を起動してから他の通信端末1を起動するので、所定の時間は、親機モードに通信端末1−1を設定してから通信端末1−1がビーコンの送信を開始するまでの遅延時間以上であればよい。
【0035】
制御部16は、ステップS27において所定の時間が経過していないと判定した場合(S27においてNO)、ステップS22に戻って設定用SSIDを含むビーコンの監視を継続する。制御部16は、ステップS27において所定の時間が経過したと判定した場合(S27においてYES)、表示部12にエラーが発生したことを示す情報を表示させる(S28)。
【0036】
[通信システムSの通信シーケンス]
図5は、複数の通信端末1にAP−IDを設定する際の通信シーケンスを示す図である。図5においては、図3と同じ処理に対して同じ符号を付している。
通信端末1−1は、親機モードに設定を変更し(S11)、AP−IDを取得すると(S12)、設定用SSIDを含むビーコンの送信を開始する(S15)。
【0037】
続いて、通信端末1−2がAP−ID要求を送信すると、通信端末1−1は、AP−IDを通信端末1−2に送信し、通信端末1−2はアクセスポイント2とのデータ通信を開始する。また、通信端末1−3がAP−ID要求を送信すると、通信端末1−1は、AP−IDを通信端末1−3に送信し、通信端末1−3はアクセスポイント2とのデータ通信を開始する。
【0038】
その後、通信端末1−2及び通信端末1−3以外の通信端末1もAP−ID要求を送信し、通信端末1−1は、それぞれの通信端末1に対してAP−IDを送信し、各通信端末1がアクセスポイント2とのデータ通信を開始する。通信端末1−1は、設定台数に等しい数の通信端末1に対してAP−IDを送信した場合(S19においてYES)、自身のモードを子機モードに変更し(S20)、アクセスポイント2とのデータ通信を開始する。
【0039】
[変形例]
上記の説明においては、ユーザが通信端末1−1に設定する対象となる通信端末1の台数を入力し、通信端末1−1は、入力された台数の他の通信端末1に対してAP−IDを送信したか否かを確認したが、ユーザが設定する対象となる通信端末1の台数を入力しないようにしてもよい。この場合、通信端末1−1は、AP−ID要求を受信してから、AP−ID要求を受けない状態が所定の時間(例えば他の全ての通信端末1の電源の投入に要する時間)が経過した時点で子機モードに切り替わってもよい。また、通信端末1−1は、ユーザが子機モードに設定を変更するまでの間、親機モードで動作を継続してもよい。
【0040】
[第1の実施形態の情報設定方法による効果]
以上説明したように、第1の実施形態の情報設定方法においては、まず、ユーザの操作により、通信端末1−1が、アクセスポイント2のAP−ID(第1識別情報)を取得する。続いて、通信端末1−1の他の複数の通信端末1が、予め記憶した設定用SSID(第2識別情報)を用いて通信端末1−1にアクセスする。そして、通信端末1−1が、アクセスしてきた他の複数の通信端末1のそれぞれにAP−IDを通知する。他の複数の通信端末1は、通知されたAP−IDを記憶し、それ以降アクセスポイント2にアクセスできるようになる。
【0041】
ユーザは、上記の情報設定方法を用いることで、通信端末1−1にAP−IDを入力することにより、他の全ての通信端末1にAP−IDを設定することができるので、設定作業時間を大幅に短縮することができる。また、ユーザが通信端末1−1に設定したAP−IDが正しければ、他の全ての通信端末1にも正しいAP−IDを設定することができるので、設定ミスが発生する確率も下げることができる。
【0042】
<第2の実施形態>
第1の実施形態においては、通信端末1−1が親機モードに設定され、通信端末1−1が他の通信端末1にAP−IDを通知した。これに対して、第2の実施形態においては、複数の通信端末1が親機モードに設定され、複数の通信端末1が並行して他の通信端末1にAP−IDを通知するという点で、第1の実施形態と異なる。
【0043】
図6は、第2の実施形態の通信システムSにおける情報設定方法の概要を説明するための図である。図6においては、通信端末1−1及び通信端末1−2が親機モードに設定されている状態を示している。通信端末1−1は、第1設定用SSIDを含むビーコンを送信し、通信端末1−2は、第2設定用SSIDを含むビーコンを送信する。
【0044】
各通信端末1の記憶部15には、予め第1設定用SSID及び第2設定用SSIDが記憶されている。通信端末1−1及び通信端末1−2以外の複数の通信端末1は、第1設定用SSID及び第2設定用SSIDから選択した一つの設定用SSIDを含むAP−ID要求を送信することにより、通信端末1−1又は通信端末1−2のいずれかからAP−IDの通知を受ける。
【0045】
複数の通信端末1が第1設定用SSIDを使用するか第2設定用SSIDを使用するかは任意であるが、例えば、複数の通信端末1は、自身の記憶部15に記憶された製造番号が奇数か偶数かによって、第1設定用SSID又は第2設定用SSIDのいずれか一方を選択する。複数の通信端末1は、乱数を生成し、生成した乱数が奇数か偶数かによって、第1設定用SSID又は第2設定用SSIDのいずれか一方を選択してもよい。このようにすることで、親機モードに設定された複数の通信端末1(図6においては通信端末1−1及び通信端末1−2)の負荷を分散させ、AP−IDの設定時間を短縮することができる。
【0046】
また、複数の通信端末1は、第1設定用SSID及び第2設定用SSIDの一方を含むAP−ID要求を送信した後に、所定の時間(例えば10秒)が経過してもAP−IDを受信できない場合、他方の設定用SSIDを含むAP−ID要求を送信してもよい。このようにすることで、通信端末1−1及び通信端末1−2のいずれかの負荷が高い場合に、負荷を分散させることができる。
【0047】
なお、以上の説明においては、通信端末1−1及び通信端末1−2の2台が親機モードに設定されるものとしたが、親機モードに設定される通信端末1の台数、及び予め記憶部15に記憶しておく設定用SSIDの数は任意である。親機モードに設定される通信端末1の台数が3台以上の場合にも、図6を参照しながら説明した方法と同様の方法で全ての通信端末1にAP−IDを設定できることは、当業者に明らかである。
【0048】
[第2の実施形態の情報設定方法による効果]
第2の実施形態の情報設定方法においては、複数の通信端末1を親機モードに設定し、複数の通信端末1が並行して他の複数の通信端末1にAP−IDを通知することができる。このような構成により、全ての通信端末1にAP−IDを設定するまでに要する時間を短縮することができる。例えば、図6に示した例のように、2台の通信端末1を親機モードに設定した場合、図1に示した例に対して約半分の時間で全ての通信端末1にAP−IDを設定することができる。
【0049】
<第3の実施形態>
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、ユーザが、一部の通信端末1を親機モードに設定し、親機モードに設定した通信端末1にAP−ID、及びAP−IDを設定する対象となる通信端末1の台数を入力した。第3の実施形態においては、親機モードに設定された通信端末1が、AP−IDを設定する対象となる複数の通信端末1の少なくとも一部の通信端末1に固有の端末情報(以下、端末IDという)を含むリストを取得し、リストを取得した通信端末1が、リストに含まれている複数の端末IDのうち少なくとも一つの端末IDに対応する通信端末1にAP−IDを通知するという点で、第1の実施形態と異なる。
【0050】
図7は、親機モードに設定した通信端末1が取得するリストの一例を示す図である。図7に示すリストには、複数の通信端末1それぞれの端末IDが含まれている。図7のリストにおいては、端末IDに暗号化キーが関連付けられているが、リストは暗号化キーを含まなくてもよい。
【0051】
図7(a)に示すリストは、例えばコンピュータによりユーザが作成し、親機モードに設定した通信端末1−1の外部接続部14を介して通信端末1−1に入力される第1リストである。通信端末1−1は、第1リストを取得すると、第1リストに含まれる他の通信端末1からのAP−ID要求を監視する。通信端末1−1は、AP−ID要求を受信すると、AP−ID要求を送信した通信端末1にAP−IDを送信するとともに、AP−IDの送信が完了した通信端末1を第1リストから削除する。通信端末1−1は、第1リストに含まれていた全ての通信端末1の削除が完了した時点で、子機モードに設定を変更する。
【0052】
通信端末1−1は、取得した第1リストのうち一部の通信端末1の端末IDを含む第2リストを作成し、作成した第2リストを他の通信端末1(例えば通信端末1−2)に送信してもよい。通信端末1−1は、例えば、第1リストに端末IDが含まれる複数の通信端末1のうち半分を抽出し、抽出した端末IDを含む第2リストを作成する。また、通信端末1−1は、抽出した端末IDを第1リストから削除することにより第1リストを更新する。
【0053】
通信端末1−1は、更新後の第1リストに含まれている端末IDを有する他の通信端末1に対してAP−IDを通知する。通信端末1−1は、更新後の第1リストに含まれている全ての端末IDに対応する通信端末1にAP−IDを通知すると、子機モードに切り替わり、アクセスポイント2との間でのデータ通信を開始する。通信端末1−1は、例えば、アクセスポイント2を介して、第1リストに含まれている全ての通信端末1へのAP−IDの送信が完了したことをサーバ3に通知する。このようにすることで、ユーザは、離れたところにいても、サーバ3を介してAP−IDの設定の進捗状況を確認することができる。
【0054】
図8は、通信端末1−1が第2リストを作成した後の第1リスト及び第2リストを示す図である。図8(a)は、図7に示した第1リストから通信端末1−1自身の端末IDであるsks01230001、及び末尾が偶数の端末IDを削除することにより作成された第1リストである。図8(b)は、図7に示した第1リストから、末尾が偶数の端末IDを抽出することにより作成された第2リストである。
【0055】
図9は、第3の実施形態の通信システムSにおける通信シーケンスを示す図である。図9において、図5と同一の処理には同一の符号を付している。
【0056】
通信端末1−1の制御部16は、親機モードに変更した後に(S11)、AP−IDを取得するとともに(S12)、第1リストを取得する(S41)。続いて、通信端末1−1の制御部16は、第2リストを作成し(S42)、通信端末1−2からAP−IDの要求があると、AP−IDと第2リストを通信端末1−2に送信する。その後、通信端末1−1は、他の通信端末1からAP−ID要求を受信すると、AP−ID要求を送信した通信端末1にAP−IDを送信するとともに、当該通信端末1を第1リストから削除する。
【0057】
通信端末1−2の制御部16は、第2リストを受信すると、親機モードに変更し(S51)、第2リストに含まれている端末IDのうち少なくとも一部に対応する通信端末1(例えば通信端末1−3)からAP−ID要求を受信すると、AP−ID要求を送信してきた通信端末1にAP−IDを通知する。また、通信端末1−2の制御部16は、第2リストに含まれる端末IDのうちの少なくとも一部の端末IDを含む第3リストを作成し、第3リストに入れた端末IDを第2リストから削除する(S52)。
【0058】
通信端末1−2の制御部16は、作成した第3リストを通信端末1−1及び通信端末1−2以外の他の通信端末1である通信端末1−3にAP−IDを送信する。通信端末1−2は、第2リストに含まれている端末IDを有する全ての通信端末1にAP−IDを送信すると、子機モードに切り替わって、アクセスポイント2との間で通信を開始する。
【0059】
なお、最初に親機モードに設定された通信端末1−1は、記憶部15に記憶されている設定用SSIDの数に基づいて取得したリストを分割してもよい。例えば、通信端末1−1の制御部16は、記憶部15に記憶されている設定用SSIDの数に相当する数のリストを作成する。具体的には、設定対象の端末台数が400台であり、設定用SSIDが4個ある場合、通信端末1−1の制御部16は、100個の端末IDを含む第2リスト、第3リスト及び第4リストを作成し、それぞれを通信端末1−2、通信端末1−3及び通信端末1−4に送信する。そして、通信端末1−2、通信端末1−3及び通信端末1−4が親機モードに変更して、それぞれが第2リスト、第3リスト及び第4リストに含まれる端末IDの通信端末1からのAP−ID要求に応じてAP−IDを送信する。
【0060】
[変形例]
以上の説明においては、親機モードで動作する通信端末1からリストを受信した通信端末1が親機モードに切り替わるという例を説明したが、子機モードで動作する通信端末1は、リストを受信せず、AP−IDを受信したことに応じて親機モードに切り替わってもよい。この場合、親機モードで動作した通信端末1は、例えば1台の他の通信端末1にAP−IDを通知した時点で子機モードに切り替わり、アクセスポイント2との間でのデータ通信を開始する。このように、複数の通信端末1が順次親機モードに切り替わってAP−IDを送信することで、1台の通信端末1が全ての通信端末1との間で通信をできない電波環境にある場合であっても、近くの通信端末1にAP−IDを順次伝達することで、全ての通信端末1にAP−IDを設定することができる。
【0061】
[第3の実施形態の情報設定方法による効果]
第3の実施形態の情報設定方法においては、親機モードに設定された通信端末1がリストを取得して、リストを分割して他の通信端末1に送信することで、親機モードになってAP−IDを送信する通信端末1を増やすことができる。このようにすることで、複数の通信端末1が並行してAP−IDを送信するので、全ての通信端末1にAP−IDを通知するまでの時間を短縮することができる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0063】
例えば、上記の説明においては、通信端末1が、遊技場の遊技機と接続される台間装置であることを例示したが、通信端末1は、無線通信機能を有する任意の端末であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 通信端末
2 アクセスポイント
3 サーバ
11 通信部
12 表示部
13 操作部
14 外部接続部
15 記憶部
16 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9