(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1配線部材と前記第2配線部材との少なくとも一方は、一部が前記ケースに埋め込まれて保持される、請求項1から11のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ10は、ケース11と、第1中心軸J1の軸方向に延びるモータシャフト21を有するモータ20と、制御部24と、コネクタ部80と、減速機構30と、出力部40と、回転検出装置60と、第1配線部材91および第2配線部材92と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、ブッシュ54と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。第1中心軸J1の軸方向は、上下方向と平行である。
【0011】
以下の説明においては、第1中心軸J1の軸方向を単に「軸方向」と呼び、軸方向における
図1の上側を単に「上側」と呼び、軸方向における
図1の下側を単に「下側」と呼ぶ。また、第1中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、第1中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。なお、上側は、軸方向他方側に相当し、下側は、軸方向一方側に相当する。
【0012】
ケース11は、モータ20および減速機構30を収容する。ケース11は、モータ20を収容するモータケース12と、減速機構30を収容する減速機構ケース13と、を有する。モータケース12は、第1ケースに相当する。減速機構ケース13は、第2ケースに相当する。モータケース12は、ケース筒部12aと、上蓋部12gと、ケースフランジ部12bと、円環板部12dと、ベアリング保持部12eと、制御基板収容部12fと、端子保持部12cと、第1配線保持部14と、を有する。
【0013】
ケース筒部12aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。ケース筒部12aは、下側に開口する第1開口部12hを有する。すなわち、モータケース12は、第1開口部12hを有する。ケース筒部12aは、モータ20の径方向外側を囲む。円環板部12dは、ケース筒部12aの上端部の内周面から径方向内側に拡がる円環板状である。円環板部12dは、モータ20の後述するステータ23の上側を覆う。ベアリング保持部12eは、円環板部12dの下面から下側に突出する円筒状である。ベアリング保持部12eは、第1中心軸J1を中心とし、下側に開口する。ベアリング保持部12eの内周面には、第3ベアリング53が固定されて保持される。
【0014】
ケースフランジ部12bは、ケース筒部12aの下端部から径方向外側に拡がる円環板状である。制御基板収容部12fは、後述する制御基板70を収容する部分である。制御基板収容部12fは、ケース筒部12aの上側に位置する。制御基板収容部12fの底面の一部は、円環板部12dの上面である。制御基板収容部12fは、上側に開口する。上蓋部12gは、制御基板収容部12fの上端開口を塞ぐ板状の蓋である。
【0015】
端子保持部12cは、ケース筒部12aから径方向外側に突出する。より詳細には、端子保持部12cは、ケース筒部12aの上端部における外周面から径方向外側に延びる。端子保持部12cは、ケース筒部12aから径方向外側に突出する基部12iと、基部12iの径方向外端部に繋がる先端部12jと、を有する。先端部12jは、径方向外側に開口する矩形筒状である。端子保持部12cは、後述する端子81を保持する。
【0016】
図1および
図2に示すように、第1配線保持部14は、ケース筒部12aから径方向外側に突出する。
図2に示すように、第1配線保持部14は、基部12iにおける径方向内側の部分の下側に配置される。第1配線保持部14は、略直方体状である。第1配線保持部14の上端部は、基部12iの下端部に繋がる。
図1に示すように、第1配線保持部14の下面は、ケースフランジ部12bの下面と繋がり、ケースフランジ部12bの下面と軸方向に直交する同一平面上に配置される。
【0017】
第1配線保持部14は、下側から上側に窪む第1凹部14aを有する。すなわち、モータケース12は、第1凹部14aを有する。図示は省略するが、第1凹部14aを下側から視た外形は、例えば、矩形状である。
【0018】
減速機構ケース13は、蓋部13aと、筒部13bと、突出筒部13cと、第2配線保持部15と、を有する。蓋部13aは、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。蓋部13aの径方向外端は、ケース筒部12aよりも径方向外側に位置する。蓋部13aは、減速機構30の下側を覆う。蓋部13aは、蓋部13aの上側の面から下側に窪む収容凹部13dを有する。収容凹部13dは、周方向に延びる環状である。
【0019】
筒部13bは、蓋部13aの径方向外縁部から上側に突出する円筒状である。筒部13bは、上側に開口する第2開口部13hを有する。すなわち、減速機構ケース13は、第2開口部13hを有する。筒部13bの上端部は、ケースフランジ部12bの下面の径方向外縁部に接触して固定される。突出筒部13cは、蓋部13aの径方向内縁部から下側に突出する円筒状である。突出筒部13cは、下側に開口する。
【0020】
突出筒部13cの内部は、第1大径部13eと、小径部13fと、第2大径部13gと、を有する。第1大径部13eは、突出筒部13cの内部の上端部であり、上側に開口して、筒部13bの内部と繋がる。小径部13fは、第1大径部13eの下側において、第1大径部13eの下端と繋がる。小径部13fの内径は、第1大径部13eの内径よりも小さい。第2大径部13gは、小径部13fの下側において、小径部13fの下端に繋がる。第2大径部13gは、突出筒部13cの内部の下端部であり、下側に開口して、ケース11の外部と繋がる。第2大径部13gの内径は、小径部13fの内径よりも大きい。第2大径部13gの内径は、例えば、第1大径部13eの内径と同じである。なお、第2大径部13gの内径は、第1大径部13eの内径より小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0021】
突出筒部13cの内部には、軸方向に延びる円筒状のブッシュ54が配置される。ブッシュ54は、小径部13fに嵌め合わされて、突出筒部13c内に固定される。ブッシュ54の下端は、小径部13fの下端よりも上側に位置する。ブッシュ54は、上端部に径方向外側に突出するフランジ部を有する。ブッシュ54のフランジ部は、第1大径部13eと小径部13fとの間の段差に上側から接触する。これにより、ブッシュ54が小径部13fから下側に抜けることが抑制される。
【0022】
図1および
図2に示すように、第2配線保持部15は、筒部13bから径方向外側に突出する。
図2に示すように、第2配線保持部15は、第1配線保持部14の下側に配置される。第2配線保持部15は、略直方体状である。
図1に示すように、第2配線保持部15の上面は、筒部13bの上端と軸方向において同じ位置に配置される。第2配線保持部15の下面は、蓋部13aの下面と繋がり、蓋部13aの下面と軸方向に直交する同一平面上に配置される。
【0023】
第2配線保持部15は、上側から下側に窪む第2凹部15aを有する。すなわち、減速機構ケース13は、第2凹部15aを有する。図示は省略するが、第2凹部15aを上側から視た外形は、例えば、矩形状である。第2凹部15aは、第1凹部14aと軸方向に重なる。第2凹部15aの軸方向の寸法は、第1凹部14aの軸方向の寸法よりも小さい。
【0024】
モータケース12の下側の端部と減速機構ケース13の上側の端部とは、第1開口部12hと第2開口部13hとが軸方向に対向した状態で互いに固定される。本実施形態においてモータケース12の下側の端部は、ケースフランジ部12bの下側の端部および第1配線保持部14の下側の端部を含む。本実施形態において減速機構ケース13の上側の端部は、筒部13bの上側の端部および第2配線保持部15の上側の端部を含む。モータケース12と減速機構ケース13とが互いに固定された状態において、第1開口部12hの内部と第2開口部13hの内部とは、互いに繋がる。
【0025】
モータ20は、モータシャフト21と、ロータ22と、ステータ23と、を有する。モータシャフト21は、第1ベアリング51と第2ベアリング52と第3ベアリング53とによって、第1中心軸J1周りに回転可能に支持される。モータシャフト21は、第1軸部21aと、第2軸部21bと、第3軸部21cと、を有する。
【0026】
第1軸部21aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。第1軸部21aは、ロータ固定軸部21dと、上側軸部21eと、下側軸部21fと、を有する。ロータ固定軸部21dの外周面には、ロータ22が固定される。上側軸部21eは、ロータ固定軸部21dの上側において、ロータ固定軸部21dの上端と繋がる。上側軸部21eは、第1軸部21aの上端部であり、モータシャフト21の上端部である。上側軸部21eの外径は、ロータ固定軸部21dの外径よりも小さい。上側軸部21eは、第3ベアリング53に支持される。
【0027】
下側軸部21fは、ロータ固定軸部21dの下側において、ロータ固定軸部21dの下端と繋がる。下側軸部21fは、第1軸部21aの下端部である。下側軸部21fの外径は、ロータ固定軸部21dの外径よりも小さく、上側軸部21eの外径よりも大きい。下側軸部21fの外径は、第2ベアリング52の内輪の内径よりも大きい。下側軸部21fは、第2ベアリング52の内輪の上側において、第2ベアリング52の内輪と軸方向に対向する。
【0028】
第2軸部21bは、第1軸部21aの下側において、第1中心軸J1に対して偏心した第2中心軸J2を中心として延びる。第2中心軸J2は、第1中心軸J1と平行である。
図1では、第2中心軸J2は、第1中心軸J1に対して左側に偏心する。第2軸部21bは、第1軸部21aの下端と繋がる。第2軸部21bの外径は、下側軸部21fの外径よりも小さい。第2軸部21bは、第2ベアリング52に支持される。
【0029】
第3軸部21cは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。第3軸部21cは、第2軸部21bの下側において、第2軸部21bの下端と繋がる。第3軸部21cの外径は、第2軸部21bの外径よりも小さい。第3軸部21cは、モータシャフト21の下端部である。第3軸部21cは、第1ベアリング51に支持される。
【0030】
ロータ22は、ロータ固定軸部21dの外周面に固定される円筒状のロータコアと、ロータコアの外周面に固定されるマグネットと、を有する。ステータ23は、ロータ22の径方向外側を囲む環状のステータコアと、ステータコアに装着される複数のコイルと、を有する。ステータ23は、ケース筒部12aの内周面に固定される。これにより、モータ20は、モータケース12に保持される。
【0031】
制御部24は、制御基板70と、第2取付部材73と、第2マグネット74、第2回転センサ71と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、制御基板70と、第2取付部材73と、第2マグネット74、第2回転センサ71と、を備える。
【0032】
制御基板70は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。制御基板70は、モータケース12に収容される。より詳細には、制御基板70は、制御基板収容部12f内に収容され、円環板部12dの上面に固定される。制御基板70は、モータ20と電気的に接続される第1基板である。図示は省略するが、制御基板70には、ステータ23のコイルが電気的に接続される。制御基板70は、例えば、モータ20に供給される電流を制御する。すなわち、制御基板70には、例えば、インバータ回路が搭載される。
【0033】
第2取付部材73は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。第2取付部材73の内周面は、ロータ固定軸部21dにおけるロータ22よりも上側の部分の外周面に固定される。第2取付部材73の径方向外縁部は、上側に突出した位置に配置される。第2取付部材73の径方向外縁部は、第3ベアリング53およびベアリング保持部12eの径方向外側を囲む。第2取付部材73は、例えば、非磁性体製である。なお、第2取付部材73は、磁性体製であってもよい。
【0034】
第2マグネット74は、第1中心軸J1を中心とし、軸方向と直交する平面に拡がる円環板状である。第2マグネット74は、第2取付部材73の径方向外縁部の上端面に固定される。第2マグネット74の第2取付部材73への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤等である。第2取付部材73と第2マグネット74とは、モータシャフト21とともに回転する。第2マグネット74は、第3ベアリング53およびベアリング保持部12eの径方向外側を囲み、第3ベアリング53と径方向に重なる位置に配置される。第2マグネット74は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。
【0035】
第2回転センサ71は、モータ20の回転を検出するセンサである。第2回転センサ71は、制御基板70の下面に取り付けられる。第2回転センサ71は、円環板部12dを軸方向に貫通する孔部の内側に配置される。第2回転センサ71は、第2マグネット74と隙間を介して軸方向に対向する。第2回転センサ71は、第2マグネット74によって生じる磁界を検出する。第2回転センサ71は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第2回転センサ71は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第2回転センサ71用いて、モータシャフト21とともに回転する第2マグネット74によって生じる磁界の変化を検出することで、モータシャフト21の回転を検出することができる。
【0036】
コネクタ部80は、ケース11外の電気的配線との接続が行われる部分である。コネクタ部80は、ケース11に設けられる。より詳細には、コネクタ部80は、モータケース12に設けられる。コネクタ部80は、上述した端子保持部12cと、端子81と、を有する。端子81は、端子保持部12cの基部12iに埋め込まれて保持される。端子81の一端は、制御基板70の上面に固定される。端子81の他端は、基部12iの径方向外端部から先端部12jの内部に突出し、ケース11の外部に露出する。本実施形態において端子81は、例えば、バスバーである。
【0037】
コネクタ部80には、図示しない電気的配線を介して外部電源が接続される。より詳細には、先端部12jに外部電源が取り付けられ、外部電源が有する電気的配線が先端部12j内に突出した端子81の部分と電気的に接続される。これにより、端子81は、制御基板70と電気的配線とを電気的に接続する。したがって、本実施形態では、端子81および制御基板70を介して、外部電源からステータ23のコイルに電源が供給される。
【0038】
減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分の径方向外側に配置される。より詳細には、減速機構30は、第2軸部21bおよび第3軸部21cの径方向外側に配置される。減速機構30は、減速機構ケース13の内部に収容される。減速機構30は、蓋部13aとケースフランジ部12bとの軸方向の間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア33と、接続部34と、を有する。
【0039】
外歯ギア31は、第2中心軸J2を中心として、軸方向と直交する平面に拡がる略円環板状である。
図3に示すように、外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられる。
図1および
図3に示すように、外歯ギア31は、第2軸部21bに第2ベアリング52を介して接続される。すなわち、第2軸部21bは、第2ベアリング52を介して、減速機構30接続され、減速機構30は、モータシャフト21に連結される。外歯ギア31は、第2ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第2ベアリング52はモータシャフト21と外歯ギア31とを、第2中心軸J2周りに相対的に回転可能に連結する。なお、
図3においては、後述する円筒部34bの図示を省略している。
【0040】
外歯ギア31は、複数のピン32を有する。
図1に示すように、ピン32は、下側に突出する円柱状である。
図3に示すように、複数のピン32は、第2中心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
図3では、ピン32は、例えば、8つ設けられる。
【0041】
内歯ギア33は、外歯ギア31の径方向外側を囲んで固定され、外歯ギア31と噛み合う。
図1および
図3に示すように、内歯ギア33は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。
図1に示すように、内歯ギア33の径方向外縁部は、筒部13bの内周面に設けられた径方向外側に窪む凹部内に配置されて固定される。これにより、減速機構30は、減速機構ケース13に保持される。
図3に示すように、内歯ギア33の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合う。より詳細には、内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と一部(
図3では左側部分)において噛み合う。
【0042】
図1に示すように、接続部34は、外歯ギア31の下側に配置される。接続部34は、円環部34aと、円筒部34bと、を有する。円環部34aは、第1中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。円環部34aは、円環部34aを軸方向に貫通する複数の孔34cを有する。すなわち、接続部34は、複数の孔34cを有する。
【0043】
図3に示すように、複数の孔34cは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
図3では、孔34cは、例えば、8つ設けられる。孔34cの軸方向に沿って視た形状は、円形状である。孔34cの内径は、ピン32の外径よりも大きい。
図1および
図3に示すように、複数の孔34cには、外歯ギア31に設けられた複数のピン32がそれぞれ通される。ピン32の外周面は、孔34cの内周面と内接する。孔34cの内周面は、ピン32を介して、外歯ギア31を第1中心軸J1周りに揺動可能に支持する。
【0044】
図1に示すように、円筒部34bは、円環部34aの内縁から下側に延びる円筒状である。円筒部34bは、軸方向両側に開口する円筒状の円筒部本体34dと、円筒部本体34dの下端部から径方向内側に突出し、周方向に延びる円環板状の円環底板部34eと、を有する。円筒部本体34dの上端部における内周面には、第1ベアリング51が固定される。円筒部本体34dの下端部および円環底板部34eは、第1大径部13eに挿入される。円環底板部34eの下面は、ブッシュ54のフランジ部の上面と接触する。本実施形態において接続部34は、単一の部材である。
【0045】
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部40は、上述した減速機構30の接続部34と、出力シャフト部41と、を有する。上述したように、接続部34の円筒部本体34dの上端部における内周面には、モータシャフト21を支持する第1ベアリング51が固定される。これにより、第1ベアリング51は、モータシャフト21と出力部40とを互いに相対回転可能に連結する。
【0046】
出力シャフト部41は、軸方向に延び、モータシャフト21の下側に配置される。本実施形態において出力シャフト部41は、第1中心軸J1を中心とする多段の円柱状である。出力シャフト部41は、被支持部41aと、フランジ部41bと、被取付部41cと、を有する。
【0047】
被支持部41aは、ブッシュ54の径方向内側に挿入される。被支持部41aは、ブッシュ54に、第1中心軸J1周りに回転可能に支持される。被支持部41aの下端は、第2大径部13g内に位置する。フランジ部41bは、被支持部41aの上端部から径方向外側に拡がる。フランジ部41bは、円筒部本体34dの径方向内側に位置する。フランジ部41bの下面は、円環底板部34eの上面と接触する。被取付部41cは、被支持部41aの下側において、被支持部41aの下端と繋がる。被取付部41cは、突出筒部13cよりも下側に突出する。被取付部41cには、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が取り付けられる。
【0048】
出力シャフト部41は、接続部34に固定されて接続される。より詳細には、出力シャフト部41は、例えば、被支持部41aまたはフランジ部41bが円環底板部34eと溶接されることで、接続部34に固定される。これにより、出力シャフト部41は、円筒部34bの下側の端部に接続される。
【0049】
出力部40は、上側から下側に窪む出力凹部40aを有する。本実施形態において出力凹部40aは、円筒部本体34dの内周面と出力シャフト部41の上端面とによって構成される。より具体的には、出力凹部40aの径方向内側面は、円筒部本体34dの内周面の上側部分であり、出力凹部40aの下側の底面は、出力シャフト部41の上端面である。すなわち、本実施形態において出力凹部40aの内側面の少なくとも一部は、円筒部34bの内側面である。このように、本実施形態では、出力部40が、互いに別部材の接続部34と出力シャフト部41とによって構成されるため、出力凹部40aを設けやすく、出力部40を作りやすい。
【0050】
上述したように、第1ベアリング51は円筒部本体34dの上端部における内周面に固定されるため、第1ベアリング51は、出力凹部40aの径方向内側面に固定される。また、第1ベアリング51に支持される第3軸部21c、すなわちモータシャフト21の下側の端部は、出力凹部40a内に収容される。
【0051】
出力凹部40aの下側の底面、すなわち本実施形態では出力シャフト部41の上端面と、モータシャフト21の下側の端面、すなわち本実施形態では第3軸部21cの下端面との間には、隙間DPが設けられる。
【0052】
モータシャフト21が第1中心軸J1周りに回転されると、第2軸部21b(第2中心軸J2)は、第1中心軸J1を中心として周方向に公転する。第2軸部21bの公転は第2ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、孔34cの内周面とピン32の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア33の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア33に外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0053】
ここで、本実施形態では、内歯ギア33は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア33に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が第2中心軸J2周りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の第2中心軸J2周りの回転は、孔34cとピン32とを介して、接続部34に伝達される。これにより、接続部34が第1中心軸J1周りに回転し、出力部40が第1中心軸J1周りに回転する。このようにして、出力部40には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
【0054】
出力部40の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30の構成では、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rは、R=−(N2−N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転する向きに対して、減速される出力部40の回転の向きが逆向きとなることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア33の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア33の歯数N2が60の場合、減速比Rは、−1/60となる。
【0055】
このように、本実施形態の減速機構30によれば、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rを比較的大きくできる。そのため、出力部40の回転トルクを比較的大きくできる。
【0056】
回転検出装置60は、出力部40の回転を検出する。回転検出装置60の少なくとも一部は、出力凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。出力部40とモータシャフト21とが連結される第1ベアリング51が配置される出力凹部40aは、本実施形態の電動アクチュエータ10のように出力シャフト部41がモータシャフト21の軸方向一方側に配置されて、軸方向に連結される構成の場合、必然的に設けられる。そのため、回転検出装置60の少なくとも一部を出力凹部40aと径方向に重ねて配置することで、出力部40の回転を検出する回転検出装置60を設けても、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。これにより、回転検出装置60によって出力部40の回転を精度よく検出でき、大型化を抑制できる構造を有する電動アクチュエータ10が得られる。
【0057】
回転検出装置60は、減速機構ケース13に収容される。回転検出装置60は、回路基板61と、第1取付部材64と、第1マグネット63と、第1回転センサ62と、を有する。回路基板61には、第1回転センサ62が取り付けられる。回路基板61は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。本実施形態において回路基板61は、円筒部本体34dの径方向外側を囲む円環板状である。回路基板61の少なくとも一部は、出力凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。そのため、本実施形態のように回転検出装置60が回路基板61を有する構成であっても、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0058】
また、第1回転センサ62が取り付けられる回路基板61が設けられることで、第1回転センサ62を配置しやすい。本実施形態では、回路基板61のほぼ全体が、出力凹部40a内における隙間DPと径方向に重なる位置に配置される。回路基板61の下面は、出力シャフト部41の上端部、すなわちフランジ部41bと径方向に重なる位置に配置される。
【0059】
回路基板61は、収容凹部13d内に配置される。そのため、例えば、収容凹部13dが設けられずに回路基板61が蓋部13aの上面に配置されるような場合に比べて、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ10をより小型化できる。回路基板61は、収容凹部13dの底面に固定される。
【0060】
第1取付部材64は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。第1取付部材64は、出力部40に固定される。より詳細には、第1取付部材64は、接続部34に固定される。第1取付部材64は、円筒部本体34dの径方向外側に嵌め合わされる。第1取付部材64の上面は、円環部34aの下面と接触する。第1取付部材64を接続部34に固定する方法は、特に限定されず、例えば、接着剤等である。
【0061】
第1取付部材64の径方向外縁部は、下側に突出する位置に配置される。第1取付部材64の径方向外縁部は、円環部34aの下面よりも下側に間隔を空けて配置される。第1取付部材64の径方向外縁部の上面は、ピン32よりも下側に位置する。そのため、例えば、ピン32が
図1に示す位置よりも径方向内側の位置に配置されても、ピン32が第1取付部材64と接触することを抑制できる。第1取付部材64は、例えば、非磁性体製である。なお、第1取付部材64は、磁性体製であってもよい。
【0062】
第1マグネット63は、第1中心軸J1を中心とし、軸方向と直交する平面に拡がる円環板状である。第1マグネット63は、第1取付部材64の径方向外縁部の下端面に固定される。これにより、第1マグネット63は、第1取付部材64を介して出力部40に固定される。そのため、第1マグネット63を直接的に出力部40に固定するような場合に比べて、第1マグネット63を出力部40に対して固定しやすい。
【0063】
また、上述したように、第1取付部材64の径方向外縁部を円環部34aから下側に離して配置することによって、第1マグネット63がピン32と干渉することを抑制しやすい。第1マグネット63の第1取付部材64への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤等である。第1取付部材64と第1マグネット63とは、出力部40とともに回転する。第1マグネット63は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。
【0064】
本実施形態において第1取付部材64および第1マグネット63は、出力凹部40aの径方向外側を囲み、それぞれ全体が出力凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。より詳細には、第1取付部材64および第1マグネット63は、モータシャフト21における出力凹部40a内に収容された部分、すなわち本実施形態では第3軸部21cと径方向に重なる位置に配置される。また、第1取付部材64および第1マグネット63は、第1ベアリング51と径方向に重なる位置に配置される。本実施形態では、第1取付部材64および第1マグネット63は、それぞれ全体がモータシャフト21における出力凹部40a内に収容された部分および第1ベアリング51と径方向に重なる位置に配置される。
【0065】
また、出力部40を支持する第1ベアリング51と径方向に重なる位置に回転検出装置60の少なくとも一部を配置することで、出力部40を支持するために必要な軸方向の空間を利用して回転検出装置60を配置できる。したがって、出力部40が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0066】
また、第1マグネット63が第1ベアリング51の径方向外側を囲む円環状であるため、第1マグネット63の周方向位置を第1回転センサ62によって精度よく検出しやすい。また、第1マグネット63を第1取付部材64に接着剤等で固定する際に、接着面積を大きくしやすく、第1マグネット63を強固に固定できる。
【0067】
第1回転センサ62は、回路基板61の上面に取り付けられる。第1回転センサ62は、第1マグネット63と隙間を介して軸方向に対向する。第1回転センサ62は、第1マグネット63によって生じる磁界を検出する。第1回転センサ62は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第1回転センサ62は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第1回転センサ62用いて、出力部40とともに回転する第1マグネット63によって生じる磁界の変化を検出することで、回転検出装置60は、出力部40の回転を検出することができる。
【0068】
第1回転センサ62の少なくとも一部は、出力凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。例えば、回転検出装置60の構成を最小限にする場合であっても、回転を検出する第1回転センサ62等のセンサは、必須の構成要素である。そのため、第1回転センサ62の少なくとも一部を出力凹部40aと径方向に重ねて配置することで、より電動アクチュエータ10を軸方向に小型化しやすい。本実施形態では、第1回転センサ62の全体が、出力凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。
【0069】
また、本実施形態において第1回転センサ62の少なくとも一部は、隙間DPと重なる位置に配置される。すなわち、回転検出装置60の少なくとも一部は、隙間DPと径方向に重なる位置に配置される。本実施形態の電動アクチュエータ10のように出力シャフト部41がモータシャフト21の軸方向一方側に配置されるような構成の場合、モータシャフト21と出力シャフト部41との軸方向の間には必然的に隙間DPが設けられる。そのため、回転検出装置60の少なくとも一部を隙間DPと径方向に重ねて配置することで、回転検出装置60を設けても、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することをより抑制しやすい。
【0070】
また、本実施形態では、第1回転センサ62の少なくとも一部、および回路基板61の少なくとも一部が、隙間DPと径方向に重なる位置に配置されるため、回路基板61を設けて第1回転センサ62を配置しやすくしつつ、より電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制しやすい。本実施形態において第1回転センサ62は、全体が隙間DPと径方向に重なる位置に配置される。
【0071】
本実施形態において第1回転センサ62は、収容凹部13d内に配置される。そのため、第1回転センサ62が収容凹部13dの上側に突出して配置されるような場合に比べて、電動アクチュエータ10を軸方向に小型化しやすい。
【0072】
第1配線部材91および第2配線部材92は、回転検出装置60に電気的に接続される。本実施形態において第1配線部材91および第2配線部材92は、回転検出装置60の回路基板61と制御部24の制御基板70とを繋ぐための配線部材である。第1配線部材91は、第1バスバー91aを有する。本実施形態において第1配線部材91は、第1バスバー91aからなる。
【0073】
第1バスバー91aは、細長で板状の部材である。本実施形態において第1バスバー91aの板面は、軸方向および端子保持部12cが延びる径方向の両方と平行である。第1バスバー91aは、基板接続部91bと、第1延伸部91cと、第2延伸部91dと、第1接続部93と、を有する。すなわち、第1配線部材91は、基板接続部91bと、第1延伸部91cと、第2延伸部91dと、第1接続部93と、を有する。
【0074】
基板接続部91bは、制御基板70に接続される部分である。基板接続部91bは、軸方向に延びる。基板接続部91bの下部は、端子保持部12cに埋め込まれる。基板接続部91bの上端部は、制御基板収容部12f内に突出する。基板接続部91bの上端部は、制御基板70を軸方向に貫通して制御基板70に接続される。これにより、第1配線部材91は、制御基板70に電気的に接続される。基板接続部91bの上端部は、端子81よりも径方向内側において制御基板70に接続される。第1配線部材91は、少なくとも間接的に、コネクタ部80を介してケース11外の電気的配線と電気的に接続される。
【0075】
なお、本明細書において「第1配線部材が、少なくとも間接的に、コネクタ部を介してケース外の電気的配線と電気的に接続される」とは、第1配線部材が、コネクタ部に接続される電気的配線と電気的に繋がるならば、特に限定されない。本実施形態では、第1配線部材91は、コネクタ部80の端子81が電気的に接続される制御基板70に電気的に接続されることで、間接的にコネクタ部80を介して電気的配線と電気的に接続される。なお、第1配線部材91は、直接的にコネクタ部80を介してケース11外の電気的配線と電気的に接続されてもよい。この場合、第1配線部材91は、制御基板70と電気的に接続されずに、コネクタ部80の端子81に接続される、あるいは第1配線部材91の一部が端子として端子保持部12cに保持される。
【0076】
第1延伸部91cは、基板接続部91bの下端から径方向外側に延びる。第1延伸部91cは、全体が端子保持部12cに埋め込まれる。第2延伸部91dは、第1延伸部91cの径方向外端から下側に延びる。第2延伸部91dの上部は、第1配線保持部14に埋め込まれる。第2延伸部91dの下部は、第1凹部14aの底面から下側に突出する。第2延伸部91dは、端子保持部12cと軸方向に重なる位置に配置される。すなわち、第1配線部材91の少なくとも一部は、コネクタ部80と軸方向に重なる位置に配置される。
【0077】
第1接続部93は、第2延伸部91dの下端部に設けられる。すなわち、第2延伸部91dは、第1接続部93に繋がる。本実施形態において第1接続部93は、第1バスバー91aの制御基板70に接続される側と逆側の端部である。第1接続部93は、第1凹部14aの内側面のうちの底面から第1凹部14a内に突出する。第1接続部93は、第1凹部14aの下側の開口に位置する。第1接続部93は、モータケース12の下側に露出する。
【0078】
本明細書において「第1接続部がモータケースの下側に露出する」とは、第1接続部が保持され、かつ減速機構ケースと分離された状態のモータケースを下側から視たときに、第1接続部の少なくとも一部が視認可能であることを含む。
【0079】
図4に示すように、第1接続部93は、下側に開口するスリット93aを有する。スリット93aによって第1接続部93の先端は、二股に分かれる。第1バスバー91aの一部がモータケース12に埋め込まれて保持されることで、第1接続部93は、モータケース12に保持される。
【0080】
図1に示すように、第2配線部材92は、第2バスバー92aを有する。本実施形態において第2配線部材92は、第2バスバー92aからなる。第2バスバー92aは、細長で板状の部材である。本実施形態において第2バスバー92aの板面は、第1バスバー91aの板面と直交する。第2バスバー92aは、基板接続部92bと、延伸部92cと、第2接続部94と、を有する。すなわち、第2配線部材92は、基板接続部92bと、延伸部92cと、第2接続部94と、を有する。
【0081】
基板接続部92bは、回路基板61に接続される部分である。基板接続部92bは、径方向に延びる。基板接続部92bの径方向外側の部分は、蓋部13aおよび第2配線保持部15に埋め込まれる。基板接続部92bの径方向内端部は、収容凹部13dの径方向内側面から収容凹部13d内に突出する。基板接続部92bの径方向内端部は、回路基板61の上面における径方向外縁部に接続される。
【0082】
延伸部92cは、基板接続部92bの径方向外端部から上側に延びる。延伸部92cの下部は、第2配線保持部15に埋め込まれる。延伸部92cの上部は、第2凹部15aの底面から上側に突出する。延伸部92cは、端子保持部12cと軸方向に重なる位置に配置される。すなわち、第2配線部材92の少なくとも一部は、コネクタ部80と軸方向に重なる位置に配置される。
【0083】
第2接続部94は、延伸部92cの上端部に設けられる。すなわち、延伸部92cは、第2接続部94に繋がる。本実施形態において第2接続部94は、第2バスバー92aの回路基板61に接続される側と逆側の端部である。第2接続部94は、第2凹部15aの内側面のうちの底面から第2凹部15a内に突出する。第2接続部94は、第2凹部15aの上側の開口よりも上側に突出して配置される。第2接続部94は、減速機構ケース13の上側に露出する。
【0084】
本明細書において「第2接続部が減速機構ケースの上側に露出する」とは、第2接続部が保持され、かつモータケースと分離された状態の減速機構ケースを上側から視たときに、第2接続部の少なくとも一部が視認可能であることを含む。
【0085】
第2接続部94は、第2バスバー92aの一部が減速機構ケース13に埋め込まれて保持されることで、減速機構ケース13に保持される。第1接続部93と第2接続部94とは、モータケース12と減速機構ケース13とが固定された状態で軸方向に重なる位置に配置され、互いに電気的に接続される。これにより、第2バスバー92aは、第1バスバー91aと電気的に接続され、第1配線部材91と第2配線部材92とが電気的に接続される。
【0086】
本実施形態によれば、
図5に示すようにして、モータケース12と減速機構ケース13とを軸方向に近づけて固定することで、モータケース12の下側に露出する第1接続部93と、減速機構ケース13の上側に露出する第2接続部94とを互いに接続することができる。これにより、第1配線部材91を第2配線部材92に電気的に接続することができるため、別途配線部材同士を繋ぐ作業が不要となり、モータケース12に保持される第1配線部材91を容易に回転検出装置60と電気的に接続することが可能である。
【0087】
したがって、例えば本実施形態のように制御基板70に第1配線部材91が電気的に接続される場合に、モータケース12と減速機構ケース13とを互いに固定するのみで、第1配線部材91および第2配線部材92を介して回転検出装置60を制御基板70に電気的に接続できる。以上のように、本実施形態によれば、電動アクチュエータ10の組み立ての手間および製造コストを低減できる。
【0088】
また、本実施形態によれば、回転検出装置60の電源を制御基板70に接続されるモータ20の電源から得ることができ、電動アクチュエータ10に接続される外部電源を1つにすることができる。そのため、電動アクチュエータ10の構成を簡単化できる。具体的には、本実施形態の場合、コネクタ部80を介して制御基板70に接続される外部電源から、回転検出装置60の電源を得ることで、電動アクチュエータ10に接続される外部電源を一つにできる。
【0089】
また、本実施形態では、モータシャフト21と出力部40とを連結する第1ベアリング51が配置される出力凹部40aに、回転検出装置60の少なくとも一部が径方向に重なる位置に配置される。そのため、例えば、回転検出装置60が出力シャフト部41の下側部分と径方向に重なるような場合に比べて、回転検出装置60をモータ20に近づけて配置できる。したがって、回転検出装置60と制御基板70とを繋ぐ第1配線部材91および第2配線部材92を短くすることができる。
【0090】
また、本実施形態では、回転検出装置60の少なくとも一部が、モータシャフト21における出力凹部40a内に収容された部分、あるいは第1ベアリング51と径方向に重なる位置に配置される。したがって、回転検出装置60をよりモータ20に近い位置に配置することができ、回転検出装置60と制御基板70とを繋ぐ第1配線部材91および第2配線部材92をより短くすることができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、各配線部材がバスバーを有するため、各配線部材の剛性を比較的大きくしやすい。これにより、各ケースに対して各配線部材を安定して保持させることができる。また、各バスバー同士の一部を各接続部とすることで、各ケース同士を固定する際に、各接続部同士の位置が安定しやすく、各接続部同士を接続することが容易である。また、例えば、金型に各配線部材を挿入して各ケースをインサート成形によって製造することができ、各ケースの製造を容易にできる。
【0092】
本実施形態では、スリット93aに第2接続部94が挿入されて、第1接続部93と第2接続部94とが接続される。本実施形態によれば、第1バスバー91aの端部にスリット93aを設けることのみによって、第1接続部93を作製できるため、第1接続部93の作製が容易である。
【0093】
また、本実施形態によれば、第1接続部93は、第1凹部14a内に突出するため、第1凹部14a内の範囲で位置を微調整可能である。そのため、第1接続部93と第2接続部94とが保持される相対的な位置がずれた場合であっても、第1接続部93の位置を微調整することで、第1接続部93と第2接続部94とを互いに接続しやすい。
【0094】
また、本実施形態によれば、第2接続部94は、第2凹部15a内に突出するため、第2凹部15a内の範囲で位置を微調整可能である。そのため、第1接続部93と第2接続部94とが保持される相対的な位置がずれた場合であっても、第2接続部94の位置を微調整することで、第1接続部93と第2接続部94とをより互いに接続しやすい。
【0095】
また、本実施形態によれば、第1基板としての制御基板70および制御基板70に取り付けられた第2回転センサ71が設けられるため、モータ20の回転数を第2回転センサ71によって検出できる。また、第1基板としての制御基板70がモータケース12内に収容されるため、例えば本実施形態のようにモータケース12にコネクタ部80を設けることで、コネクタ部80を介して制御基板70および第1配線部材91の両方を外部電源と電気的に接続させることが容易である。
【0096】
また、モータケース12に収容される第1基板がモータ20に供給される電流を制御する制御基板70であるため、モータ20の制御部24をケース11内に収容して、電動アクチュエータ10と一体的に構成することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、第1配線部材91の少なくとも一部がコネクタ部80と軸方向に重なる位置に配置されるため、第1配線保持部14の周方向位置をコネクタ部80の周方向位置に合わせることができる。これにより、ケース筒部12aから径方向外側に突出する部分を周方向の同じ位置にまとめて配置することができ、モータケース12におけるコネクタ部80および第1配線保持部14が設けられる部分以外の部分を径方向に小型化できる。
【0098】
また、本実施形態によれば、第1接続部93に繋がる第2延伸部91dが端子保持部12c、すなわちコネクタ部80と軸方向に重なる位置に配置されるため、第1接続部93を端子保持部12cと軸方向に重なる位置に配置しやすい。これにより、第1接続部93に接続される第2接続部94もコネクタ部80と軸方向に重なる位置に配置しやすい。したがって、第2配線部材92が保持される第2配線保持部15の周方向位置をコネクタ部80の周方向位置に合わせることができる。そのため、筒部13bから径方向外側に突出する第2配線保持部15を、ケース筒部12aから径方向外側に突出する部分と周方向において同じ位置にまとめて配置することができる。これにより、ケース11におけるコネクタ部80、第1配線保持部14および第2配線保持部15が設けられる部分以外の部分を径方向に小型化できる。
【0099】
また、本実施形態によれば、第1配線部材91と第2配線部材92との少なくとも一方は、一部がケース11に埋め込まれて保持される。そのため、第1配線部材91の一部がモータケース12に埋め込まれて保持される場合には、金型に第1配線部材91を挿入するインサート成形によってモータケース12を製造することで、モータケース12に対して第1配線部材91を容易かつ安定して保持させることができる。また、第2配線部材92の一部が減速機構ケース13に埋め込まれて保持される場合には、金型に第2配線部材92を挿入するインサート成形によって減速機構ケース13を製造することで、減速機構ケース13に対して第2配線部材92を容易かつ安定して保持させることができる。本実施形態では、第1配線部材91と第2配線部材92との両方が、一部がケース11に埋め込まれて保持される。そのため、インサート成形を用いることで各配線部材を各ケースに対して容易かつ安定して保持させることができる。
【0100】
また、本実施形態によれば、モータ20がモータケース12に保持されるため、外部電源が接続されるコネクタ部80をモータケース12に設けることで、モータ20に外部電源からの電源を供給しやすい。また、本実施形態によれば、減速機構30が減速機構ケース13に保持されるため、減速機構ケース13内に収容される回転検出装置60によって、減速機構30によってモータシャフト21の回転が伝達される出力部40の回転を検出しやすい。
【0101】
図示は省略するが、第1配線部材91と第2配線部材92とは、例えば、端子保持部12cが延びる方向および軸方向の両方と直交する方向に沿って複数並んで配置される。第1配線部材91と第2配線部材92とは、例えば、3つずつ設けられる。
【0102】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。第1配線部材91は、制御基板70に接続されなくてもよい。この場合、例えば、第1配線部材91の第1接続部93と逆側の端部は、先端部12jの内部に突出し、ケース11の外部に露出してもよい。これにより、コネクタ部80に接続された外部電源の電気的配線を直接的に第1配線部材91に接続することができる。
【0103】
また、第1配線部材91は、コネクタ部80と軸方向に重ならなくてもよい。また、第1配線部材91の一部および第2配線部材92の一部は、いずれか一方が、ケース11に埋め込まれなくてもよいし、両方がケース11に埋め込まれなくてもよい。また、第1凹部14aは、設けられなくてもよい。この場合、第1接続部93は、モータケース12の下面に露出する、またはモータケース12の下面から下側に突出する。また、第2凹部15aは、設けられなくてもよい。この場合、第2接続部94は、減速機構ケース13の上面に露出する、または減速機構ケース13の上面から上側に突出する。
【0104】
また、第1接続部93と第2接続部94との少なくとも一方は、第1バスバー91aと第2バスバー92aとを繋ぐジョイント部材であってもよい。
図6に示す電動アクチュエータ110において第1配線部材191は、第1バスバー191aと、第1バスバー191aの端部に接続された第1接続部としてのジョイント部材193と、を有する。ジョイント部材193には、第2接続部94が接続される部分が設けられており、第2接続部94を安定かつ容易にジョイント部材193に接続できる。したがって、ジョイント部材193によって、第1バスバー191aと第2バスバー92aとを安定かつ容易に接続できる。
【0105】
図6の構成では、第1配線保持部114は、第1凹部を有していない。ジョイント部材193は、第1配線保持部114に埋め込まれて保持される。これにより、ジョイント部材193は、ケース11に固定される。したがって、ジョイント部材193の位置を安定させることができ、第2接続部94をジョイント部材193に対して接続しやすい。ジョイント部材193の下面は、第1配線保持部114の下面に露出する。ジョイント部材193の下面は、例えば、第1配線保持部114の下面と軸方向に直交する同一平面上に配置される。ジョイント部材193は、第1バスバー191aを介してモータケース112に固定されるならば、ケース11に直接的に固定されなくてもよい。
【0106】
なお、
図6の構成において、第2接続部94は、ジョイント部材193と接続されるジョイント部材であってもよい。また、第1配線部材と第2配線部材とのうちの第2配線部材のみがジョイント部材を有してもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、各配線部材は、各バスバーのみからなる構成としたがこれに限られない。上述した
図6の構成のように、配線部材は、バスバーに接続されたジョイント部材を有してもよいし、バスバーと接続されるその他の部材を有してもよい。また、第1配線部材91は第1バスバー91aを有しなくてもよいし、第2配線部材92は第2バスバー92aを有しなくてもよい。各配線部材は、例えば、バスバーの代わりに、リード線を有してもよい。また、各配線部材がバスバーを有しない場合であっても、各配線部材同士を接続するジョイント部材を各配線部材の少なくとも一方が有していてもよい。
【0108】
また、制御基板70は、設けられなくてもよい。この場合、端子81は、直接的に、ステータ23のコイルと電気的に接続される。また、モータケース12に収容される第1基板は、制御基板でなくてもよい。この場合、インバータ回路等は、電動アクチュエータ10の外部に設けられる。
【0109】
また、接続部34と出力シャフト部41とは、互いに相対的に回転しなければ、どのように固定されてもよい。例えば、ピン等を用いて接続部34と出力シャフト部41との相対的な回転を抑制する構成であってもよいし、接続部34にDカットされた孔が設けられ、その孔に出力シャフト部41が挿入される構成であってもよい。また、出力部40を単一の部材として、接続部34と出力シャフト部41とを、それぞれ一つの単一部材の部分としてもよい。
【0110】
また、回転検出装置60の構成は、出力部40の回転を検出でき、減速機構ケース13に収容されるならば、特に限定されない。例えば、回路基板61は、設けられなくてもよい。また、第1回転センサ62は、出力部40の回転を検出できるならば特に限定されず、磁気抵抗素子であってもよい。また、第2回転センサ71についても同様に、磁気抵抗素子であってもよい。また、減速機構30の構成は、モータシャフト21の回転を減速できるならば、特に限定されない。また、第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、モータシャフト21を支持できるならば、特に限定されず、例えば、滑り軸受等であってもよい。
【0111】
また、本発明の電動アクチュエータの用途は限定されず、本発明の電動アクチュエータは、いかなる機器に搭載されてもよい。また、上述した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。