(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、用紙等の記録媒体に形成されたトナー像を定着させる定着装置を備える。定着装置は、トナー像を加熱する加熱部材と、記録媒体に対してトナー像を加圧する加圧部材とを備える。加熱部材は、例えば、円柱状の定着ローラー又は円筒状の定着ベルトからなり、外部に設けられたハロゲンランプやIHコイル又は内部に設けられたハロゲンランプ等の熱源によって加熱されるように構成される。熱源は、加熱部材の周方向の一部分を加熱するように設けられ、加熱部材が回転することで加熱部材の加熱部分が周方向に変位する。そのため、加熱部材の回転が停止していると、加熱部材の周方向の一部分が局所的に加熱され続けて熱膨張等により破損するおそれがある。従って、定着装置では、加熱部材の回転を検出して、加熱部材の回転が停止したときに、熱源による加熱を停止するように制御する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1の定着装置は、回転方向に沿って等間隔に複数の貫通穴が形成された無端状の定着部材(加熱部材)と、定着部材の内周面に対向する赤外線ヒータ(熱源)と、赤外線ヒータの外周面の一部を覆う反射板と、赤外線ヒータから射出されて定着部材に形成された複数の貫通穴をそれぞれ通過した光を検知する検知手段とを備える。そして、定着装置は、検知手段によって検知される光の検知間隔から定着部材の回転速度を求める。
【0004】
また、特許文献2の画像形成装置における定着装置は、コイル(熱源)からの磁束により発熱する被加熱金属で構成される発熱部材を内包する回転体(加熱部材)と、回転体に表面温度の差異のある領域を形成する磁束遮蔽部材等の差異領域形成手段と、差異のある領域の表面温度を検知する温度検知手段と、回転体の回転の有無を判断する判断手段とを有する。この判断手段は、温度検知手段が検知した回転体の表面温度の差異に基づいて、回転体の回転の有無を判断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、反射板や光を検知する検知手段等の部品を備えた定着装置では、これらの部品を追加するためにコストが上昇し、これらの部品の配置を確保するために装置が大型化するおそれがある。また、加熱部材に接触して加熱部材の温度を検知する温度検知部を備えた構成の場合には、加熱部材に複数の貫通穴を形成されていると、加熱部材の回転によって回転する貫通穴に温度検知部が接触することで、加熱部材や温度検知部が破損するおそれがある。
【0007】
また、磁束遮蔽部材等の差異領域形成手段を加熱部材に備えた定着装置では、加熱部材を加熱し続けることで加熱部材の温度が周方向に亘って上昇してしまい、熱源としてのコイルからの磁束に拘らず、磁束遮蔽部材等の差異領域形成手段の温度が上昇することがある。これにより、温度検知手段が加熱部材の表面温度の差異を検知できなくなるおそれがある。なお、このような定着装置は、コイル以外の熱源を適用した場合には、加熱部材の回転を検出することができない。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、熱源の種類に拘らず、部品の配置及びコストを抑制し、加熱部材の回転を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の定着装置は、回転可能に設けられ、トナー像が形成された記録媒体に接触して前記トナー像を加熱する加熱部材と、回転可能に設けられ、前記加熱部材との間を通過する前記記録媒体を加圧する加圧部材と、前記加熱部材の周面に接触して前記加熱部材の温度を検知する温度検知部と、前記加熱部材の周面上の周方向の一部で、且つ前記温度検知部に対応する位置に取り付けられていて、前記加熱部材と共に回転して前記温度検知部に接触することで前記加熱部材と前記温度検知部との接触を解除する接触解除部材と、を備え、前記温度検知部は、前記加熱部材が回転及び加熱されている場合、前記接触解除部材との接触により周期的な温度降下を検知し、前記加熱部材は、前記温度検知部が周期的な温度降下を検知しない場合、回転を停止していると判定されて加熱を停止するように制御されることを特徴とする。
【0010】
前記接触解除部材は、前記温度検知部に接触することで前記加熱部材と前記温度検知部との接触を解除する断熱部材で構成されているとよい。
【0011】
前記温度検知部は、導電部材と、前記導電部材の先端に接続されていて前記加熱部材に接触することで前記加熱部材の温度を検知する温度検知素子とからなり、前記接触解除部材は、前記温度検知素子に接触することなく前記導電部材に接触することで前記温度検知素子を前記加熱部材から離間させるスペーサで構成されてもよい。
【0012】
前記接触解除部材は、前記加熱部材の周方向に2つ以上設けられてもよい。
【0013】
前記温度検知部は、円柱状の前記加熱部材の外側で外周面に接触するように構成され、前記接触解除部材は、前記加熱部材の外周面上に取り付けられるとよい。
【0014】
前記接触解除部材は、スポンジ状の材料で形成されるとよい。
【0015】
前記加熱部材は、前記記録媒体が通過する通紙領域と、回転軸方向において前記通紙領域の外側の非通紙領域とを有し、前記温度検知部及び前記接触解除部材は、前記加熱部材の非通紙領域に配置されるとよい。
【0016】
前記加熱部材は、回転軸方向において前記加圧部材よりも長く形成されていて、前記温度検知部及び前記接触解除部材は、前記加熱部材の回転軸方向において前記加圧部材よりも外側に配置されてもよい。
【0017】
前記温度検知部は、円筒状の前記加熱部材の内側で内周面に接触するように構成され、前記接触解除部材は、前記加熱部材の内周面上に取り付けられてもよい。
【0018】
本発明の画像形成装置は、上記した何れかの定着装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、熱源の種類に拘らず、部品の配置及びコストを抑制し、加熱部材の回転を検出することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
先ず、本発明の実施形態に係るプリンター1(画像形成装置)の全体の構成について
図1を参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、
図1における紙面手前側をプリンター1の前側とする。各図に適宜付される矢印L、R、U、Lo、Fr、Rrは、それぞれプリンター1の左側、右側、上側、下側、前側、後側を示している。
【0022】
プリンター1は、略箱型形状のプリンター本体2を備え、プリンター本体2の下部には用紙(記録媒体)を収納する給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられる。
【0023】
プリンター本体2内の上部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器5が排紙トレイ4の下方に配置され、露光器5の下方には、画像形成部6が設けられる。画像形成部6には、像担持体である感光体ドラム7が回転可能に設けられ、感光体ドラム7の周囲には、帯電器と、トナーコンテナに接続された現像装置と、転写ローラーと、クリーニング装置とが、感光体ドラム7の回転方向に沿って配置される。
【0024】
また、プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路10が設けられる。搬送経路10の上流端には給紙部11が給紙カセット3の近傍に設けられ、搬送経路10の中流部には、感光体ドラム7と転写ローラーによって構成される転写部12が設けられる。搬送経路10の下流部には定着装置13が設けられ、搬送経路10の下流端には排紙部14が排紙トレイ4の近傍に設けられる。また、プリンター本体2の内部には、定着装置13を制御する制御装置15が備えられる。
【0025】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1は、外部のコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、画像形成動作を開始する。先ず、画像形成部6の帯電器によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器5からのレーザー光により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、画像形成部6の現像器がトナーを用いてトナー像に現像する。
【0026】
一方、給紙カセット3に収納された用紙は、給紙部11によって取り出されて搬送経路10上を搬送される。搬送経路10上の用紙は、所定のタイミングで転写部12へと搬送され、転写部12によって感光体ドラム7上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置13へと搬送され、定着装置13によって用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部14から排紙トレイ4に排出される。
【0027】
次に、定着装置13の構成について
図2を参照しながら説明する。定着装置13は、
図2に示すように、定着フレーム20と、定着ローラー21(加熱部材)と、加圧ローラー22(加圧部材)と、熱源23と、温度検知部24と、接触解除部材25とを備える。
【0028】
定着フレーム20は、略箱型状に形成され、用紙の導入口及び導出口をそれぞれ左側及び右側に備える。定着フレーム20は、搬送経路10が導入口及び導出口を通って定着フレーム20を貫通するように、プリンター本体2に取り付けられる。定着フレーム20内では、定着ローラー21及び加圧ローラー22が、搬送経路10を挟んで上側及び下側にそれぞれ配置される。
【0029】
定着ローラー21は、用紙の搬送方向(左右方向)と交差する用紙の幅方向(前後方向)に長い略円柱状に形成される。定着ローラー21は、前後方向に延びた回転軸の周りを回転可能に定着フレーム20に取り付けられ、即ち、前後方向が定着ローラー21の回転軸方向である。また、定着ローラー21は、熱源23によって加熱されることで、トナー像が形成された用紙に接触してトナー像を加熱する。定着ローラー21は、
図3に示すように、用紙が通過する通紙領域と、回転軸方向において通紙領域の外側の非通紙領域とを有する。定着ローラー21は、例えば、円筒状の芯金と、芯金に周設される弾性層と、弾性層を被覆する離型層とによって構成される。例えば、芯金は、アルミニウム等の金属で形成され、弾性層は、シリコンゴム等で形成され、離型層は、PFA等のフッ素樹脂で形成される。
【0030】
加圧ローラー22は、前後方向に長い略円柱状に形成されると共に、回転可能に定着フレーム20に取り付けられる。加圧ローラー22が定着ローラー21の外周面に対して加圧されることで、定着ローラー21と加圧ローラー22との間に定着ニップが形成される。そして、加圧ローラー22は、定着ローラー21との間の定着ニップを通過する用紙を加圧する。加圧ローラー22の後端部には、駆動ギア(図示せず)が同軸に固定される。加圧ローラー22は、この駆動ギアを介してモーター等の駆動源(図示せず)に接続されていて、この駆動源によって回転駆動される。加圧ローラー22が定着ローラー21に接触しつつ回転することで、定着ローラー21が加圧ローラー22に従動して回転する。加圧ローラー22は、例えば、円柱状の芯材と、この芯材に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層とから構成される。例えば、芯材は、金属によって形成され、弾性層は、シリコンゴム等によって形成され、離型層は、PFA等のフッ素樹脂によって形成される。
【0031】
熱源23は、定着ローラー21を覆うような外包形状を有し、定着ローラー21の外側(上側)に配置される。換言すれば、熱源23は、定着ローラー21を挟んで加圧ローラー22とは反対側で、定着ローラー21から所定間隔を空けて配置される。熱源23は、例えば、コイル26に電流を流すことで磁束を生成し、この磁束を定着ローラー21に作用させることで定着ローラー21を誘導加熱(IH:Induction Heating)させるIH定着ユニットで構成される。
【0032】
温度検知部24は、定着ローラー21に接触して定着ローラー21の温度を検知するサーミスタ等で構成される。温度検知部24は、搬送経路10における用紙の搬送方向において定着ローラー21(定着ニップ)よりも上流側に配置される。また、温度検知部24は、例えば、
図3に示すように、定着ローラー21の回転軸方向において用紙の非通紙領域に対応する位置に配置される。温度検知部24は、制御装置15に接続されていて、定着ローラー21の検知温度を制御装置15へと送信する。なお、温度検知部24は、接触して定着ローラー21の温度を検知できれば、サーミスタに限定されず、サーモパイル等の他の温度センサで構成されてもよい。
【0033】
例えば、温度検知部24は、
図3等に示すように、回路基板30と、2つの導電部材31と、サーミスタ素子32(温度検知素子)と、保護フィルム33とから構成される。回路基板30は、制御装置15に接続されている。各導電部材31は、長尺状の板ばねで形成され、長尺方向の基端が回路基板30に接続されていて、回路基板30から延設されている。サーミスタ素子32は、2つの導電部材31の先端に接続されている。保護フィルム33は、例えば、耐熱性や絶縁性を有する材料で形成され、2つの導電部材31の先端及びサーミスタ素子32を覆って貼付されている。そして、回路基板30が定着ローラー21から離間して配置され、2つの導電部材31が定着ローラー21の回転方向に沿って回路基板30から延設されるように温度検知部24が配置される。2つの導電部材31の先端は回路基板30に対して定着ローラー21の外周面側に付勢されていて、サーミスタ素子32は保護フィルム33に保護された状態で定着ローラー21の外周面に接触する。
【0034】
接触解除部材25は、スポンジ状の材料等によって形成されるシリコンスポンジシート等の断熱部材25aで構成される。接触解除部材25は、例えば、定着ローラー21の周方向の一部の長さを有し、温度検知部24の2つの導電部材31の先端及びサーミスタ素子32に亘る面積の表面を有する板状の断熱部材25aで構成される。接触解除部材25は、定着ローラー21の回転軸方向において温度検知部24に対応する位置、例えば、用紙の非通紙領域に対応する位置に配置され、定着ローラー21の外周面上に取り付けられる。
【0035】
制御装置15は、定着ローラー21が加熱されている場合に温度検知部24による検知温度を入力し、定着ローラー21の回転周期毎に、温度検知部24による検知温度の変化に基づいて、定着ローラー21が回転しているか否かを判定する。例えば、温度検知部24の先端のサーミスタ素子32が定着ローラー21の外周面に接触していれば、温度検知部24は、熱源23で加熱された定着ローラー21の温度を検知する。一方、温度検知部24の先端のサーミスタ素子32が接触解除部材25に接触して、定着ローラー21の外周面との接触が解除されると、温度検知部24は、断熱効果により加熱されない接触解除部材25の温度を検知する。
【0036】
従って、定着ローラー21が回転しつつ加熱されていれば、温度検知部24は、定着ローラー21の回転周期毎に、接触解除部材25に起因する温度降下を検知する。そのため、制御装置15は、接触解除部材25に起因する温度降下を定着ローラー21の回転周期毎に検出できれば、定着ローラー21が回転していると判定することができる。一方、制御装置15は、接触解除部材25に起因する温度降下を定着ローラー21の回転周期毎に検出できなければ、定着ローラー21が停止していると判定することができる。なお、制御装置15は、定着ローラー21が停止していると判定すると、熱源23による定着ローラー21の加熱を停止するように制御する。
【0037】
なお、上記した実施形態では、熱源23としてコイル26を備えたIH定着ユニットを適用する場合について説明したが、熱源23はこれに限定されず、例えば、ハロゲンヒーターやセラミックヒーターを適用してもよい。また、ハロゲンヒーターやセラミックヒーターからなる熱源23は、定着ローラー21の加熱部材の外部に設けられてもよいが、内部に設けられてもよい。
【0038】
本実施形態によれば、上述のように、プリンター1(画像形成装置)の定着装置13は、定着ローラー21(加熱部材)と、加圧ローラー22(加圧部材)と、温度検知部24と、接触解除部材25とを備える。定着ローラー21は、回転可能に設けられ、トナー像が形成された用紙(記録媒体)に接触してトナー像を加熱する。加圧ローラー22は、回転可能に設けられ、定着ローラー21との間を通過する用紙を加圧する。温度検知部24は、定着ローラー21の周面に接触して定着ローラー21の温度を検知する。接触解除部材25は、定着ローラー21の周面上の周方向の一部で、且つ温度検知部24に対応する位置に取り付けられていて、定着ローラー21と共に回転して温度検知部24に接触することで定着ローラー21の回転周期毎に定着ローラー21と温度検知部24との接触を解除する。そして、温度検知部24は、定着ローラー21が回転及び加熱されている場合、接触解除部材25との接触により周期的な温度降下を検知する。定着ローラー21は、温度検知部24が周期的な温度降下を検知しない場合、制御装置15によって、回転を停止していると判定されて加熱を停止するように制御される。
【0039】
これにより、接触式の温度検知部24及び接触解除部材25を用いた簡易な構成により、定着ローラー21が回転しつつ加熱されている場合に周期的な温度降下を検知することができる。そして、温度検知部24が周期的な温度降下を検知しない場合には、定着ローラー21が停止していると判定することができる。そのため、熱源23の種類に依存することなく、部品の配置及びコストを抑制し、定着ローラー21の回転を確実に検出することができる。そして、定着ローラー21が停止している場合に、熱源23による定着ローラー21の加熱を停止するので、定着ローラー21の周方向の局所的な加熱を抑制して、定着ローラー21の破損を回避することができる。なお、温度検知部24は、定着ローラー21の回転検知に特有の部品に限定されず、定着ローラー21の定着温度の制御のために定着ローラー21の温度を検知する装置を適用することもできる。
【0040】
また、接触解除部材25は、温度検知部24に接触することで定着ローラー21と温度検知部24との接触を解除する断熱部材25aで構成されるとよい。これにより、定着ローラー21が加熱されている場合でも、断熱部材25aの表面は、断熱効果により定着ローラー21よりも温度が低くすることができ、断熱部材25aという簡易な構成で、周期的な温度降下を実現することが可能となる。 また、回転する定着ローラー21を加熱し続けることで定着ローラー21の温度が周方向に亘って上昇する場合でも、断熱部材25aはその断熱効果により温度上昇が抑制されるため、周期的な温度降下を実現することが可能となる。
【0041】
また、温度検知部24は、円柱状の定着ローラー21の外側で外周面に接触するように構成され、接触解除部材25は、定着ローラー21の外周面上に取り付けられるとよい。これにより、部品の配置及びコストを抑制し、定着ローラー21の温度検知における周期的な温度降下を実現することが可能となる。
【0042】
また、接触解除部材25は、スポンジ状の材料で形成されているとよい。これにより、接触解除部材25は、高い断熱効果を有することができる。更に、接触解除部材25は、定着ローラー21と加圧ローラー22との間の定着ニップを通過する場合には定着ローラー21や加圧ローラー22に負荷をかけることなく縮む一方、温度検知部24の定着ローラー21との接触を解除する場合には容易に元の形状に戻ることができる。
【0043】
また、定着ローラー21は、用紙が通過する通紙領域と、回転軸方向において通紙領域の外側の非通紙領域とを有し、温度検知部24及び接触解除部材25は、定着ローラー21の非通紙領域に配置されるとよい。これにより、定着ローラー21に対する用紙の通過や定着処理を妨げることなく、接触解除部材25を配置することができる。
【0044】
上記した実施形態では、定着装置13が、温度検知部24の2つの導電部材31の先端及びサーミスタ素子32に亘る面積の表面を有する板状の断熱部材25aを接触解除部材25として備える構成を説明したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、
図4に示すように、接触解除部材25は、2つの導電部材31のそれぞれに対応する2つのスペーサ25bで構成されてもよい。
【0045】
各スペーサ25bは、例えば、スポンジ状の材料によって、各導電部材31の先端に亘る面積の表面を有する板状に形成される。2つのスペーサ25bは、定着ローラー21の回転軸方向において2つの導電部材31のそれぞれに対応する位置で、即ち、温度検知部24のサーミスタ素子32に対応する位置の空間を挟んで配置される。そして、2つのスペーサ25bは、サーミスタ素子32に接触することなく2つの導電部材31に接触することでサーミスタ素子32を定着ローラー21の外周面から離間させるので、定着ローラー21の回転周期毎に定着ローラー21と温度検知部24との接触を解除することができる。これにより、各スペーサ25bによって、サーミスタ素子32を定着ローラー21の外周面から浮かせた非接触の状態を生じさせるため、接触解除部材25に起因する温度降下を大きくすることができる。従って、定着ローラー21の温度検知における周期的な温度降下をより確実に検出して、定着ローラー21の回転をより確実に判定することが可能となる。
【0046】
図2では、定着装置13が定着ローラー21(加熱部材)の周方向に1つの接触解除部材25を備える構成を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、2つ以上の接触解除部材25が、定着ローラー21の周方向に所定の間隔を空けて設けられてもよい。これにより、加熱された定着ローラー21が回転している場合、温度検知部24は、定着ローラー21の一回転周期において2回以上の接触解除部材25に起因する温度降下を検知することができる。そのため、制御装置15は、接触解除部材25に起因する温度降下をより速い間隔で検出することができ、定着ローラー21の回転不良をより速く判定することができる。従って、定着ローラー21の回転不良による温度上昇を迅速に防止することができる。
【0047】
上記した実施形態では、温度検知部24及び接触解除部材25が定着ローラー21の回転軸方向において用紙の非通紙領域に対応する位置に配置される構成を説明したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、定着装置13は、
図5に示すように、定着ローラー21が、回転軸方向において加圧ローラー22よりも長く形成されている場合がある。この場合、定着ローラー21は、加圧ローラー22に接触して定着ニップが形成されるニップ形成領域と、加圧ローラー22と接触せずに定着ニップが形成されないニップ非形成領域とを有する。ニップ非形成領域は、定着ローラー21の回転軸方向において加圧ローラー22よりも外側の領域である。そして、このような他の実施形態では、温度検知部24及び接触解除部材25を、定着ローラー21のニップ非形成領域に対応する位置に配置してもよい。これにより、接触解除部材25が定着ニップに進入しないので、接触解除部材25がニップ形成領域に配置される場合に比べて、定着ローラー21に対する局所的な加圧の上昇を抑制することができる。また、接触解除部材25が加圧ローラー22に接触しないため、接触解除部材25の破損を抑制することもできる。なお、接触解除部材25は、定着ローラー21の非通紙領域に設けられる場合には比較的軟らかい素材で形成されることが望ましいが、定着ローラー21のニップ非形成領域に設けられる場合には比較的硬い素材で形成することができる。
【0048】
上記した実施形態では、定着装置13が加熱部材として定着ローラー21を備える構成を説明したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、
図6に示すように、定着装置13は、定着ローラー21に代えて加熱部材として定着ベルト40を備えて構成されてもよい。以下、上記した実施形態の定着装置13と同じ構成については説明を省略する。また、定着ベルト40を備えた定着装置13は、支持部材41と押圧部材42とを備え、更に、摺動シート(図示せず)やベルトガイド(図示せず)を備えてもよい。
【0049】
定着ベルト40は、前後方向に長い略円筒状に形成される。定着ベルト40は、前後方向に延びた回転軸の周りを回転可能に定着フレーム20に取り付けられる。なお、定着ベルト40は、加圧ローラー22の回転に伴って摺動して回転する摺動ベルトである。また、定着ベルト40は、熱源23によって誘導加熱される発熱用ベルトも兼ねる。定着ベルト40は、可撓性を有していて、例えば、円筒状の基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層とから構成される。例えば、基材層は、金属によって形成され、弾性層は、シリコンゴム等によって形成され、離型層は、PFA等のフッ素樹脂によって形成される。
【0050】
支持部材41は、例えば、金属によって、前後方向に長い略四角筒状に形成され、定着ベルト40の内部で略中央に配置されて、前後方向の両端が定着フレーム20に支持されている。
【0051】
押圧部材42は、例えば、耐熱性樹脂によって、前後方向に長い略角柱状に形成される。押圧部材42は、定着ベルト40の内部において支持部材41よりも加圧ローラー22側(下側)で支持部材41に取り付けられる。押圧部材42は、定着ベルト40の内周面を加圧ローラー22側(下側)に向かって押圧するように配置されている。換言すれば、押圧部材42は、定着ベルト40を介して加圧ローラー22を押圧することで、定着ベルト40と加圧ローラー22との間に定着ニップを形成する。
【0052】
摺動シートは、定着ベルト40の内周面と押圧部材42との間に挿入される。摺動シートは、定着ベルト40の内周面と押圧部材42の摺動面との摺動抵抗を低減すると共に、定着ベルト40の内周面と押圧部材42の摺動面との磨耗も抑制する。
【0053】
ベルトガイドは、定着ベルト40の内周面に沿う断面円弧形状を有して、円弧形状の外周面が定着ベルト40の内周面に沿うように配置される。ベルトガイドは、定着ベルト40に内接されることで、定着ベルト40の回転軌道を補助すると共に安定させる機能を有する。また、ベルトガイドは、定着ベルト40を透過した漏洩磁束を吸収して発熱を補助すると共に、定着ベルト40の内部への漏洩磁束を低減する機能も有する。
【0054】
更に、円筒状の定着ベルト40を加熱部材として備えた定着装置13は、温度検知部24及び接触解除部材25を定着ベルト40の内側に備えることができる。温度検知部24は、支持部材41に取り付けられ、接触解除部材25は、定着ベルト40の回転軸方向において温度検知部24に対応する位置に配置され、定着ベルト40の内周面上に取り付けられる。例えば、回路基板30が定着ベルト40から離間して支持部材41に取り付けられ、2つの導電部材31が回路基板30から定着ベルト40の内周面に向かって延設され、サーミスタ素子32が定着ベルト40の内周面に接触するように温度検知部24が配置される。なお、サーミスタ素子32が取り付けられる各導電部材31の先端は、定着ベルト40の内周面の回転に引き込まれずに追従するように、定着ベルト40の回転方向に沿って折り曲げられていてよい。
【0055】
上記のように、温度検知部24及び接触解除部材25を定着ベルト40の内部に備えることにより、温度検知部24及び接触解除部材25の設置スペースを容易に確保すると共に、定着ベルト40の外部における部品の設置スペースを低減することが可能となる。
【0056】
本実施形態では、モノクロのプリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、カラープリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。