(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プリセット情報登録部は、前記ラベル領域抽出部が同一の前記ラベル領域を前記カメラの複数の撮影位置において抽出した場合には、抽出した複数の前記ラベル領域のうち、当該ラベル領域の形状または当該ラベル領域に含まれる図形の形状の歪が最小のラベル領域に含まれる目標位置に基づいて、前記プリセット情報を登録する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本願発明の実施形態の概要]
最初に本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1)本発明の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、カメラで所定の撮影対象領域を撮影した画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部が取得した前記画像の中から、所定の特徴を有するラベル領域を抽出するラベル領域抽出部と、前記ラベル領域抽出部が抽出した前記ラベル領域に含まれる目標位置に基づいて、前記カメラによる撮影箇所に係るプリセット情報を記憶装置に登録するプリセット情報登録部として機能させる。
【0014】
この構成によると、画像からラベル領域を抽出し、ラベル領域に含まれる目標位置に基づいて、カメラが当該目標位置を撮影ための、カメラのプリセット情報を登録することができる。このため、ユーザは、監視対象の設備にラベルを貼り付けるだけで、自動的にカメラのプリセット情報を登録することができる。これにより、簡易な方法でカメラのプリセット情報を登録することができる。
【0015】
(2)好ましくは、前記プリセット情報は、前記カメラの位置、前記カメラのパン角、前記カメラのチルト角および前記カメラのズーム倍率のうちの1以上の情報を含む。
【0016】
この構成によると、プリセット情報登録部は、目標位置の画像を撮影することのできる、カメラの位置、パン角、チルト角またはズーム倍率を、カメラのプリセット情報として登録することができる。
【0017】
(3)また、前記ラベル領域は、さらに、前記目標位置の補正情報を含み、前記プリセット情報登録部は、前記ラベル領域抽出部が抽出した前記ラベル領域に含まれる前記目標位置および前記補正情報に基づいて、前記プリセット情報を登録してもよい。
【0018】
この構成によると、ラベル領域に含まれる目標位置を補正情報で補正した位置をカメラで撮影するためのプリセット情報を登録することができる。これにより、カメラで撮影したい位置にラベルを貼ることができない場合であっても、当該位置を撮影するためのプリセット情報を登録することができる。
【0019】
(4)また、前記補正情報は、前記目標位置からの移動方向および移動距離の情報を含んでもよい。
【0020】
この構成によると、目標位置を基準として、補正情報に示される移動方向に、補正情報に示される移動距離だけ移動させた位置を撮影するためのプリセット情報を登録することができる。
【0021】
(5)また、前記ラベル領域は、さらに、前記カメラのズーム倍率を決定するためのズーム倍率情報を含み、前記プリセット情報登録部は、さらに、前記ラベル領域抽出部が抽出した前記ラベル領域に含まれるズーム倍率情報に基づいて、前記プリセット情報としての前記ズーム倍率を登録してもよい。
【0022】
この構成によると、目標位置または目標位置を補正情報で補正した位置を適切な大きさで撮影するためのズーム倍率を、カメラのプリセット情報として登録することができる。
【0023】
(6)また、前記プリセット情報登録部は、前記ラベル領域抽出部が同一の前記ラベル領域を前記カメラの複数の撮影位置において抽出した場合には、抽出した複数の前記ラベル領域のうち、当該ラベル領域の形状または当該ラベル領域に含まれる図形の形状の歪が最小のラベル領域に含まれる目標位置に基づいて、前記プリセット情報を登録してもよい。
【0024】
この構成によると、カメラが複数の撮影位置から同一のラベルを撮影することにより、複数のラベル領域の画像が得られた場合に、上述の歪が最小となるラベル領域の画像に基づいて、プリセット情報を登録することができる。歪が最小となるラベル領域の画像を用いることにより、正確な目標位置を取得することができる。これにより、正確なプリセット情報を登録することができる。
【0025】
(7)また、前記ラベル領域は、前記所定の特徴を符号化したコード領域を含み、前記ラベル領域抽出部は、当該コード領域を抽出することにより、前記ラベル領域を抽出してもよい。
【0026】
この構成によると、例えば、バーコードなどのコード領域の中心位置を目標位置とすることができる。また、コード領域に撮像対象の設備の設備番号等の情報を含めることができる。このため、プリセット情報に付随する情報を簡易な方法で取得しながら、プリセット情報を登録することができる。
【0027】
(8)本発明の他の実施形態に係るプリセット情報登録方法は、カメラで所定の撮影対象領域を撮影した画像を取得するステップと、取得された前記画像の中から、所定の特徴を有するラベル領域を抽出するステップと、抽出された前記ラベル領域に含まれる目標位置に基づいて、前記カメラによる撮影箇所に係るプリセット情報を記憶装置に登録するステップとを含む。
【0028】
このプリセット情報登録方法は、上述のコンピュータプログラムによってコンピュータが機能する処理部に対応するステップを含む。このため、上述のコンピュータプログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
【0029】
(9)本発明の他の実施形態に係るプリセット情報登録装置は、カメラで所定の撮影対象領域を撮影した画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部が取得した前記画像の中から、所定の特徴を有するラベル領域を抽出するラベル領域抽出部と、前記ラベル領域抽出部が抽出した前記ラベル領域に含まれる目標位置に基づいて、前記カメラによる撮影箇所に係るプリセット情報を記憶装置に登録するプリセット情報登録部とを備える。
【0030】
このプリセット情報登録装置は、上述のコンピュータプログラムによってコンピュータが機能する処理部を構成として備える。このため、上述のコンピュータプログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0032】
また、同一の構成要素には同一の符号を付す。それらの機能および名称も同様であるため、それらの説明は適宜省略する。
【0033】
(実施の形態1)
[設備監視システムの全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る設備監視システムの全体構成を示す図である。
【0034】
設備監視システム1は、工場30に設置された設備31の画像を撮影することにより、設備31を監視するためのシステムである。例えば、設備監視システム1は、設備31で故障や火災等の異常が発生した場合に、異常発生箇所の設備31の画像を撮影して、記憶装置に記憶するためのシステムである。
【0035】
設備監視システム1は、工場30の天井等に設置されたPTZカメラ20Aおよび20Bと、PTZカメラ20Aおよび20Bとネットワーク35を介して接続された設備監視装置10とを備える。なお、PTZカメラ20Aおよび20B(これらを区別しない場合はPTZカメラ20という)と設備監視装置10とは有線により接続されていてもよいし、無線により接続されていてもよい。つまり、ネットワーク35は、例えば、有線LAN(Local Area Network)または無線LAN等により構成することができる。
【0036】
なお、PTZカメラ20の代わりにズーム機能を備えないPT(Pan-Tilt)カメラを用いることもできる。
【0037】
図1では、工場30内の設備31およびPTZカメラ20の配置を模式的に示している。
【0038】
PTZカメラ20による監視対象の設備31には、後述するラベル40が貼り付けられている。設備31にラベル40を貼り付けることにより、設備監視装置10は、後述する処理により、監視対象の設備31を撮影するためのプリセット情報を登録することができる。
【0039】
PTZカメラ20は、工場30内の設備31を監視するために、例えば、工場30の天井に設置され、設備31を上方から撮影することができる。ただし、PTZカメラ20の設置位置は、工場30の天井に限定されるものではなく、工場30の壁面等のように設備31を監視可能な位置であれば他の位置に設置されていてもよい。
【0040】
PTZカメラ20は、ズームレンズの向きを第1方向(例えば、
図1の左右方向)に動かすパン機能、ズームレンズの向きを第1方向に直交する第2方向(例えば、
図1の上下方向)に動かすチルト機能、およびズームレンズにより画像を拡大または縮小するズーム機能の3つの機能を備えている。
【0041】
PTZカメラ20Aは、ズームレンズを、パン、チルトおよびズームさせることにより撮影対象領域34A内を撮影することができる。同様に、PTZカメラ20Bは、ズームレンズを、パン、チルトおよびズームさせることにより撮影対象領域34B内を撮影することができる。
【0042】
PTZカメラ20Aは、パン、チルトおよびズームを固定させた状態において、例えば、撮影対象領域34Aの画像を撮影することができる。PTZカメラ20Aは、パンまたはチルトを変化させることにより、撮影対象領域を撮影対象領域34A→撮影対象領域34B→撮影対象領域34Cのように移動させることができる。これにより、PTZカメラ20Aは、監視対象エリア33Aを走査しながら各撮影対象領域の画像を撮影することができる。PTZカメラ20Bについても、同様に監視対象エリア33Bを走査しながら各撮影対象領域の画像を撮影することができる。
【0043】
設備監視装置10は、PTZカメラ20が撮像した撮像対象領域の画像を取得し、当該画像からラベル40を抽出する。設備監視装置10は、抽出したラベル40に基づいて、PTZカメラ20のプリセット情報を登録する。プリセット情報の登録処理については、後述する。
【0044】
図2は、設備31に貼り付けられるラベル40の一例を示す図である。
ラベル40は、例えば、予め定められた特定の色(例えば青色)の背景色を有する。ラベル40には、目標マーク41と、設備番号42と、補正情報43と、距離情報44と、ズーム倍率情報45とが示されている。
【0045】
目標マーク41は、PTZカメラ20による撮像の目標位置を示すマークである。つまり、設備31に異常が発生した場合に、目標位置を撮像するようにパン角およびチルト角がPTZカメラ20に設定される。なお、パン角は、例えば、真北を0°として、時計回りの方向を正の角度と定義し、反時計回りの方向を負の角度と定義することができる。また、チルト角は、水平方向を0°として、上向きを正の角度と定義し、下向きを負の角度と定義することができる。
【0046】
設備番号42は、ラベル40が貼り付けられる設備31を識別するための設備番号を示す情報である。ただし、設備番号42の代わりに、設備名などの設備を特定することのできる情報がラベル40に示されていてもよい。
【0047】
補正情報43は、目標マーク41で示される目標位置を補正するための情報である。例えば、補正情報43に「目標位置から左に30cm」と示されていることより、目標位置を左に30cmに移動させた位置が補正後の目標位置とされる。なお、例えば、ラベル40の長手方向を左右方向と定義し、ラベル40の短手方向を上下方向と定義することにより、左方向を特定することができる。また、ラベル40の左下隅に予め定められたマーク47を付けることにより、ラベル40とマーク47との位置関係から左方向を特定することもできる。なお、マーク47の位置は、ラベル40の左下隅に限定されるものではなく、ラベル40の右上隅など他の位置であってもよい。
【0048】
なお、目標マーク41で示される目標位置を補正する必要が無い場合には、補正情報43はラベル40に示される必要はない。
【0049】
距離情報44は、距離の実寸を示す情報である。例えば、距離情報44には、5cmの実寸の線分が示されている。ただし、線分の長さは5cmに限定されるものではなく、それ以外の長さであってもよい。例えば、距離情報44に示される5cmの線分に基づいて、補正情報43に示される30cmの長さを特定することができる。つまり、距離情報44に示される5cmの線分の長さの6倍の長さを30cmの長さとして特定することができる。
【0050】
なお、目標マーク41で示される目標位置を補正する必要が無い場合には、距離情報44はラベル40に示される必要はない。
【0051】
ズーム倍率情報45は、PTZカメラ20のズーム倍率を示す情報である。例えば、ズーム倍率情報45に示される円形状をPTZカメラ20で撮影した場合に、円形状がPTZカメラ20の画角一杯に収まるときのズーム倍率を、ズーム倍率情報45が示すズーム倍率としてもよい。また、PTZカメラ20で円形状を撮影した場合に、画像全体に占める円形状の像の割合が所定の割合(例えば、画像全体の30%)になるときのズーム倍率を、ズーム倍率情報45が示すズーム倍率としてもよい。
【0052】
なお、PTZカメラ20の代わりにPTカメラを用いる場合には、ズーム倍率情報45はラベル40に示される必要はない。
【0053】
[設備監視装置の構成]
図3は、本発明の実施の形態1に係る設備監視装置10の構成を示すブロック図である。
【0054】
設備監視装置10は、プリセット情報登録装置として機能し、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を備える一般的なコンピュータにより構成することができる。設備監視装置10は、通信I/F(Interface)部11と、記憶装置12と、画像取得部13と、ラベル領域抽出部14と、プリセット情報登録部15と、カメラ制御部16と、異常処理部17とを備える。
【0055】
通信I/F部11は、ネットワーク35を介して設備監視装置10とPTZカメラ20とを接続するための通信インタフェースであり、例えば、通信I/F部11は、有線LANモジュールや無線LANモジュールなどを含む。
【0056】
記憶装置12は、各種情報を記憶するための記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やRAMなどから構成される。
【0057】
画像取得部13は、通信I/F部11を介してPTZカメラ20から画像を取得する。つまり、画像取得部13は、PTZカメラ20が
図1に示す撮影対象領域34A等の撮像対象領域を撮影した画像を取得する。
【0058】
ラベル領域抽出部14は、画像取得部13が取得した画像の中から、所定の特徴を有するラベル領域を抽出する。例えば、ラベル領域抽出部14は、ラベル40の背景色を手掛かりとして、当該背景色を有する長方形の領域をラベル領域として抽出する。
【0059】
図4は、PTZカメラ20が撮影した画像の一例を示す図である。画像60には、ラベル40に対応するラベル領域が含まれる。なお、
図4に示される目標位置48および中心位置49は、画像60には含まれない。
【0060】
例えば、ラベル領域抽出部14は、PTZカメラ20が撮影した画像60の中から、青色の長方形の領域を抽出することにより、ラベル40のラベル領域を抽出する。
【0061】
図3を参照して、プリセット情報登録部15は、ラベル領域抽出部14が抽出したラベル領域に含まれる目標位置に基づいて、PTZカメラ20による撮影箇所に係るプリセット情報を記憶装置12に登録する。
【0062】
図4を参照して、プリセット情報登録部15によるプリセット情報登録処理の一例を説明する。例えば、プリセット情報登録部15は、画像60の中から抽出されたラベル40のラベル領域から、目標マーク41の位置の画像上での座標を特定する。また、プリセット情報登録部15は、目標マーク41の位置を補正情報43に基づいて左に30cm移動させた目標位置48の画像上での座標を算出する。30cmの距離は、上述したように、ラベル40の距離情報44から算出することができる。
【0063】
プリセット情報登録部15は、目標位置48と画像60の中心位置49とのx軸方向およびy軸方向のそれぞれの差分画素数から、目標位置48を画像60の中心位置49に映すためのパン角およびチルト角の補正量を算出する。なお、画素数とパン角およびチルト角との関係は予め分かっているものとする。
【0064】
プリセット情報登録部15は、画像60の撮影時のPTZカメラ20のパン角およびチルト角と、算出したパン角およびチルト角の補正量とから、目標位置48を画像60の中心位置49に映すためのパン角およびチルト角を算出する。プリセット情報登録部15は、算出したパン角およびチルト角をプリセット情報として記憶装置12に登録する。
【0065】
また、プリセット情報登録部15は、
図2のズーム倍率情報45に基づいて、PTZカメラ20のズーム倍率を決定する。例えば、プリセット情報登録部15は、ラベル領域に示されるズーム倍率情報45の中心位置を画像処理により特定し、後述するカメラ制御部16に指示情報を送信することにより、PTZカメラ20に当該中心位置を画像の中心で撮影させる。プリセット情報登録部15は、撮影された画像を画像取得部13を経由して取得し、上述した方法(例えば、ズーム倍率情報45の円形状がPTZカメラ20の画角一杯に収まるときのズーム倍率を、プリセット情報として決定)に従い、ズーム倍率を決定する。プリセット情報登録部15は、決定したズーム倍率をプリセット情報として記憶装置12に登録する。
【0066】
図5は、記憶装置12に登録されるプリセット情報の一例を示す図である。
プリセット情報50は、プリセット情報を識別するための番号(No.)と、ラベル40に示された監視対象の設備31の設備番号と、パン角、チルト角およびズーム倍率とを含む。例えば、No.1のプリセット情報により監視対象とされる設備31の設備番号は「AN5541」であり、プリセット情報であるパン角、チルト角およびズーム倍率は、それぞれ、「−20°」、「+30°」および「1.5倍」である。なお、プリセット情報50は、PTZカメラ20ごとに設けられていてもよい。
【0067】
図3を参照して、カメラ制御部16は、通信I/F部11を介して、PTZカメラ20のパン角、チルト角およびズーム倍率を制御する。例えば、カメラ制御部16は、PTZカメラ20に対して、パン角、チルト角およびズーム倍率を示す情報を送信することにより、PTZカメラ20のパン角、チルト角およびズーム倍率を制御する。
【0068】
異常処理部17は、いずれかの設備31で異常が発生した場合に、設備31または各設備31の異常を監視する監視サーバ等から、異常が発生した設備31を特定するための情報(ここでは、設備番号)を取得する。異常処理部17は、設備番号に基づいて、異常が発生した設備31のプリセット情報を記憶装置12から読出し、カメラ制御部16に提供する。カメラ制御部16は、異常処理部17から提供されたプリセット情報を、PTZカメラ20に送信することにより、PTZカメラ20に異常が発生した設備31の目標位置の画像を撮影させる。画像取得部13は、撮影された画像を記憶装置12に録画する。
【0069】
なお、上述した処理部13〜17は、ROM等に記憶されたコンピュータプログラムをRAMに読み出して、CPU上で当該コンピュータプログラムを実行することにより実現される機能的な処理部である。ただし、処理部13〜17の一部または全部がハードウェアにより実現されていてもよい。
【0070】
[設備監視装置によるプリセット情報登録処理]
図6は、本発明の実施の形態1に係る設備監視装置10が実行するプリセット情報登録処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6に示す処理手順は、プリセット情報の登録のために行われる処理である。
【0071】
ここでは、監視対象エリア33A内の各撮影箇所におけるPTZカメラ20Aのプリセット情報を登録する場合について説明する。なお、PTZカメラ20Bのプリセット情報を登録する場合についても、同様の処理が実行される。
【0072】
図6を参照して、カメラ制御部16は、PTZカメラ20Aに、監視対象エリア33A内の撮影対象領域の初期位置(例えば、撮影対象領域34A)の画像を撮影させる。また、画像取得部13は、通信I/F部11を介して、PTZカメラ20Aから、PTZカメラ20Aが撮影した撮影対象領域34Aの画像を取得する(S1)。つまり、カメラ制御部16は、PTZカメラ20Aのズームレンズを監視対象エリア33Aの方向に向かせるためのパン角およびチルト角の情報を、通信I/F部11を介してPTZカメラ20Aに送信する。PTZカメラ20Aは、カメラ制御部16から、パン角およびチルト角の情報を受信し、受信した情報に従って、ズームレンズのパン角およびチルト角を制御し、制御後に画像を撮影する。これにより所望の撮影対象領域の画像が撮影される。
【0073】
ラベル領域抽出部14は、画像取得部13が取得した画像の中から、ラベル領域を抽出する(S2)。ラベル領域の抽出方法については上述した通りであり、例えば、ラベル40の背景色を手掛かりとしてラベル領域が抽出される。例えば、撮影対象領域34Aの画像からは、1つのラベル40のラベル領域が抽出される。
【0074】
ラベル領域抽出部14がラベル領域を抽出することができた場合には(S3でYES)、プリセット情報登録部15は、ラベル領域抽出部14が抽出したラベル領域の画像を読み取る(S4)。
【0075】
ラベル領域の画像読み取りについては、上述した通りである。つまり、プリセット情報登録部15は、
図2に示すようなラベル40から目標マーク41を画像処理により抽出し、設備番号42、補正情報43および距離情報44を文字認識により認識する。プリセット情報登録部15は、目標マーク41の画像上での座標と補正情報43および距離情報44とに基づいて、目標マーク41の位置を補正情報43で補正した目標位置を撮影するためのPTZカメラ20Aのパン角およびチルト角を算出する。また、プリセット情報登録部15は、ラベル40からズーム倍率情報45を画像処理により特定し、ズーム倍率情報45のサイズと画像のサイズとの関係から、目標位置を撮影するときのズーム倍率を算出する。
【0076】
プリセット情報登録部15は、ステップS4の処理でラベル領域の画像を読み取ることにより算出されたプリセット情報(パン角、チルト角、ズーム倍率)を、設備番号42とともに、記憶装置12に登録する(S5)。記憶装置12に登録されたプリセット情報の一例は
図5に示した通りである。
【0077】
プリセット情報登録処理(ステップS5)の後、またはラベル領域抽出部14がラベル領域を抽出することができなかった場合には(S3でNO)、カメラ制御部16は、PTZカメラ20Aが監視対象エリア33A内のすべての撮影対象領域をスキャンして画像を撮影したか否かを判断する(S6)。
【0078】
画像を撮影していない撮影対象領域がある場合には(S6でNO)、カメラ制御部16は、撮影対象領域を、画像を未撮影の撮像対象領域に変更する(S7)。例えば、PTZカメラ20Aが直近に撮影した撮影対象領域が撮影対象領域34Aの場合には、カメラ制御部16は、撮影対象領域を、撮影対象領域34Aから、撮影対象領域34Aに隣接する撮影対象領域34Bに変更する。その後、ステップS1において、撮影対象領域34Bを撮影する処理が実行され、順次ステップS2以降の処理が実行される。
【0079】
すべての撮影対象領域を撮影済みであれば(S6でYES)、設備監視装置10は処理を終了する。
【0080】
以上説明した
図6のフローチャートに従った処理を実行することにより、
図5に示すようなプリセット情報50が記憶装置12に登録される。プリセット情報登録処理(
図6)は、定期的(例えば、毎日)に行ってもよいし、外部からの指示に従って行ってもよい。
【0081】
[設備監視装置による設備監視処理]
次に、設備監視装置10による工場30内の設備31の監視処理について説明する。以下の説明では、PTZカメラ20Aが監視対象エリア33A内の設備31の画像を撮影する場合について説明するが、PTZカメラ20Bが監視対象エリア33B内の設備31の画像を撮影する場合についても、同様の処理が実行される。
【0082】
図7は、本発明の実施の形態1に係る設備監視装置10が実行する設備監視処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0083】
異常処理部17は、設備31または各設備31の異常を監視する監視サーバから、通信I/F部11を介して、定期的に、または設備31での異常発生時に、設備31に運転状態に関する情報を取得する。異常処理部17は、取得した情報に基づいて、いずれかの設備31で異常が発生しているか否かを判断する(S11)。例えば、当該情報に異常を発生することを示す情報が含まれている場合に、異常処理部17は、異常が発生していると判断する。
【0084】
異常処理部17は、異常が発生していなければ(S11でNO)、ステップS11の処理を繰り返すことにより、異常が発生するまで待機する。
【0085】
いずれかの設備31で異常が発生した場合には(S11でYES)、異常処理部17は、設備31または監視サーバから取得した情報から、異常が発生した設備31の設備番号を取得する(S12)。なお、設備番号は、当該情報に含まれていてもよい。また、異常処理部17が、情報の送信元を示すアドレス情報に基づいて、アドレス情報と設備番号との対応関係を示すテーブルを参照することにより、設備番号を特定してもよい。
【0086】
異常処理部17は、取得した設備番号に基づいて、当該設備番号に対応するプリセット情報を取得する(S13)。例えば、ステップS12の処理で設備番号「AN5541」が取得されたとする。この場合、異常処理部17は、
図5に示すプリセット情報50から、設備番号「AN5541」のレコードに含まれる、パン角「−20°」、チルト角「+30°」およびズーム倍率「1.5倍」を、設備番号「AN5541」のプリセット情報として取得する。異常処理部17は、取得したプリセット情報を、カメラ制御部16に提供する。
【0087】
カメラ制御部16は、異常処理部17から提供されたプリセット情報を、通信I/F部11を介してPTZカメラ20Aに送信することにより、PTZカメラ20Aを制御する(S14)。つまり、PTZカメラ20Aは、設備監視装置10からプリセットを受信し、受信したプリセット情報に基づいて、PTZカメラ20Aのズームレンズを制御する。これにより、PTZカメラ20Aは、異常が発生した設備31の目標位置の画像を撮影することができる。
【0088】
画像取得部13は、PTZカメラ20Aが撮影した画像の録画を開始する(S15)。つまり、画像取得部13は、PTZカメラ20Aが撮影した画像を、通信I/F部11を介して所定間隔で取得し、取得した画像を記憶装置12に書き込むことにより、録画を行う。なお、録画は予め定められた一定時間行うことにしてもよいし、設備31または監視サーバ等からの終了指示があるまで行うことにしてもよい。
【0089】
以上説明した
図7のフローチャートに従った処理を実行することにより、設備31において異常が発生した場合に、設備31の目標位置の画像を録画することができる。録画された画像は、異常の原因究明等に役立てることができる。
【0090】
[実施の形態1の効果]
以上説明したように、本発明の実施の形態1によると、PTZカメラ20が撮影した画像からラベル領域を抽出し、ラベル領域に含まれる目標位置に基づいて、PTZカメラ20のプリセット情報を登録することができる。このため、ユーザは、監視対象の設備31にラベル40を貼り付けるだけで、自動的にPTZカメラ20のプリセット情報を登録することができる。これにより、簡易な方法でPTZカメラ20のプリセット情報を登録することができる。
【0091】
特に、プリセット情報登録部15は、目標位置の画像を撮影することのできる、PTZカメラ20のパン角、チルト角またはズーム倍率を、プリセット情報として登録することができる。
【0092】
また、ラベル40には、目標位置を補正するための補正情報43が含まれている。このため、プリセット情報登録部15は、ラベル領域に含まれる目標位置を補正情報で補正した位置を撮影するためのプリセット情報を登録することができる。これにより、PTZカメラ20で撮影したい位置にラベル40を貼ることができない場合であっても、当該位置を撮影するためのプリセット情報を登録することができる。
【0093】
具体的には、補正情報43は、目標位置からの移動方向および移動距離の情報を含む。このため、プリセット情報登録部15は、目標位置を基準として、補正情報43に示される移動方向に、補正情報43に示される移動距離だけ移動させた位置を撮影するためのプリセット情報を登録することができる。
【0094】
また、ラベル40は、ズーム倍率情報45を含んでいる。このため、プリセット情報登録部15は、目標位置または目標位置を補正情報43で補正した位置を適切な大きさで撮影するためのズーム倍率を、プリセット情報として登録することができる。
【0095】
(実施の形態2)
実施の形態1では、PTZカメラ20を備える設備監視システム1について説明した。実施の形態2では、移動式カメラを備える設備監視システムについて説明する。
【0096】
図8は、本発明の実施の形態2に係る設備監視システムの全体構成を示す図である。
【0097】
設備監視システム1Aが
図1に示した設備監視システム1と異なる点は、PTZカメラ20Aおよび20Bの代わりに、移動式カメラ21Aおよび21Bを備える点である。
【0098】
移動式カメラ21Aは、工場30Aの天井に設置されたレール22Aを走行することができる。同様に、移動式カメラ21Bは、工場30Aの天井に設置されたレール22Bを走行することができる。ただし、レール22Aおよび22Bの設置位置は、天井に限定されるものではなく、工場30Aの壁面等のように、移動式カメラ21Aおよび21Bが設備31を監視可能な位置であれば、他の位置に設置されていてもよい。ここでは、移動式カメラ21Aおよび21Bは、PTZカメラ20であるものとする。
【0099】
レール22Aには、複数の撮影箇所23A〜23Gが設けられており、移動式カメラ21Aは、いずれかの撮影箇所まで移動し、当該撮影箇所において画像を撮影する。例えば、移動式カメラ21Aは、撮影箇所23Aに移動し、撮影箇所23Aにおいて、撮影対象領域24A内を撮影する。また、移動式カメラ21Aは、撮影箇所23Bに移動し、撮影箇所23Bにおいて、撮影対象領域24B内を撮影する。ここで、撮影対象領域同士は重なり合いを有しているものとする。例えば、撮影対象領域24Aおよび24B内に、それぞれ、ラベル40Gが含まれるものとする。このため、撮影対象領域24Aを撮影した画像および撮影対象領域24Bを撮影した画像の両方の画像に、ラベル40Gのラベル領域が含まれることになる。
【0100】
レール22Bにも同様に複数の撮影箇所が設けられており、移動式カメラ21Bは、各撮影箇所において画像を撮影することができる。
【0101】
次に、設備監視装置10によるプリセット情報の登録処理について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る設備監視装置10が実行するプリセット情報登録処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0102】
ここでは、監視対象エリア33A内の各撮影箇所における移動式カメラ21Aのプリセット情報を登録する場合について説明する。なお、移動式カメラ21Bのプリセット情報を登録する場合についても、同様の処理が実行される。
【0103】
図9を参照して、カメラ制御部16は、移動式カメラ21Aに、監視対象エリア33A内の撮像対象領域の初期位置(例えば、撮影対象領域24A)の画像を撮影させ、画像取得部13は、通信I/F部11を介して、移動式カメラ21Aから、移動式カメラ21Aが撮影した画像を取得する(S21)。つまり、カメラ制御部16は、移動式カメラ21Aを撮影箇所23Aに移動させる指示情報を、移動式カメラ21Aに送信する。移動式カメラ21Aは、設備監視装置10から受信した指示情報に従って、移動式カメラ21Aを撮影箇所23Aに移動させ、移動後に画像を撮影する。
【0104】
ラベル領域抽出部14は、画像取得部13が取得した画像の中から、ラベル領域を抽出する(S22)。ステップS22の処理は、
図6のステップS2の処理と同様の処理である。
【0105】
ラベル領域抽出部14がラベル領域を抽出することができた場合には(S23でYES)、プリセット情報登録部15は、ラベル領域抽出部14が抽出したラベル領域の画像を記憶装置12に記憶させる(S24)。つまり、プリセット情報登録部15は、画像取得部13が取得した画像の中から、ラベル領域を切り取った画像を記憶装置12に記憶させる。ただし、プリセット情報登録部15は、画像取得部13が取得した画像とラベル領域の位置を特定するための情報とを記憶装置12に記憶させてもよい。
【0106】
ラベル領域画像記憶処理(ステップS24)の後、またはラベル領域抽出部14がラベル領域を抽出することができなかった場合には(S23でNO)、カメラ制御部16は、移動式カメラ21Aが監視対象エリア33A内のすべての撮影対象領域をスキャンして画像を撮影したか否かを判断する(S25)。つまり、カメラ制御部16は、レール22A上の全ての撮影箇所において、移動式カメラ21Aが画像を撮影したか否かを判断する。
【0107】
画像を撮影していない撮影対象領域がある場合には(S25でNO)、カメラ制御部16は、撮影対象領域を、画像を未撮影の撮像対象領域に変更する(S26)。例えば、移動式カメラ21Aが直近に撮影した撮影対象領域が撮影対象領域24Aの場合には、カメラ制御部16は、撮影対象領域を、撮影対象領域24Aから、撮影対象領域24Aに隣接する撮影対象領域24Bに変更する。その後、ステップS21において、移動式カメラ21Aは撮影箇所23Bに移動し、撮影対象領域24Bを撮影する処理が実行され、順次ステップS22以降の処理が実行される。
【0108】
撮影対象領域24A内のすべての撮影対象領域を撮影済みであれば(S25でYES)、プリセット情報登録部15は、記憶装置12に記憶されているラベル領域の画像を読み取る(S27)。ステップS27の処理は、
図6のステップS4の処理と同様である。
【0109】
プリセット情報登録部15は、プリセット情報登録部15が読み取った画像の中に、重複するラベル領域の画像があるか否かを判断する(S29)。具体的には、複数のラベル領域の画像から同じ設備番号42が読み取られた場合には、プリセット情報登録部15は、重複するラベル領域の画像があると判断する。例えば、撮影対象領域24Aを撮影した画像と、撮影対象領域24Bを撮影した画像には、ラベル40Gが含まれる。このため、ラベル40Gに対応するラベル領域の画像からは、同じ設備番号42が読み取られ、重複するラベル領域の画像があると判断される。
【0110】
重複するラベル領域の画像があると判断された場合には(S28でYES)、プリセット情報登録部15は、複数のラベル領域の画像のうち、歪が最小のラベル領域の画像を選択する(S29)。例えば、ラベル領域の長方形からの変形度合いを、歪を表す数値とすることもできるし、ラベル40に含まれるズーム倍率情報45の真円からの変形度合いを、歪を表す数値とすることもできる。例えば、画像中でのズーム倍率情報45の長径と短径の比率を、歪を表す数値とすれば、当該数値が1に近いほど歪が小さく、1から離れるほど歪が大きいと判断することができる。歪が最小のラベル領域の画像を選択することにより、選択したラベル領域の画像から正確な情報を読み取ることができる。
【0111】
プリセット情報登録部15は、ステップS27の処理でラベル領域の画像を読み取ることにより算出されたプリセット情報(パン角、チルト角、ズーム倍率)を、設備番号42とともに、記憶装置12に登録する(S30)。なお、ラベル領域の画像が重複している場合には、プリセット情報登録部15は、歪が最小のラベル領域の画像に基づいて算出されたプリセット情報を、記憶装置12に登録する。
【0112】
図10は、記憶装置12に登録されるプリセット情報の一例を示す図である。
プリセット情報50Aには、
図5に示したプリセット情報50に加え、「カメラ位置」として、移動式カメラ21Aおよび21Bの位置を示す座標が示されている。カメラ位置は、レール22Aおよび22B上の撮影箇所の位置を示す座標である。ただし、撮影箇所の番号等の識別子により、レール22Aおよび22B上の撮影箇所の位置を特定することのできる場合には、カメラ位置として、撮影箇所の識別子を用いることができる。
【0113】
以上説明した
図9のフローチャートに従った処理を実行することにより、プリセット情報50Aが記憶装置12に登録される。プリセット情報登録処理(
図9)は、定期的(例えば、毎日)に行ってもよいし、外部からの指示に従って行ってもよい。
【0114】
設備監視装置10は、工場30A内の設備31の監視処理を実行する。設備監視処理の詳細は、
図7に示した通りである。ただし、
図7のステップS13において、読み出すプリセット情報が異なる。例えば、設備番号「AN5541」の設備で異常が発生した場合には、異常処理部17は、
図10に示すプリセット情報50Aから、設備番号「AN5541」のレコードに含まれる、パン角「−20°」、チルト角「+30°」、ズーム倍率「1.5倍」およびカメラ位置(300,600)を、移動式カメラ21Aのプリセット情報として取得する。異常処理部17は、取得したプリセット情報を、カメラ制御部16に提供する。
【0115】
カメラ制御部16は、異常処理部17から提供されたプリセット情報を、通信I/F部11を介して移動式カメラ21Aに送信することにより、移動式カメラ21Aを制御する(S14)。つまり、移動式カメラ21Aは、設備監視装置10からプリセットを受信し、受信したプリセット情報に基づいて、移動式カメラ21Aを、カメラ位置(300,600)まで移動させ、ズームレンズのパン角、チルト角およびズーム倍率を、それぞれ、−20°、+30°および1.5倍に設定する。これにより、移動式カメラ21Aは、異常が発生した設備31の目標位置の画像を撮影することができる。移動式カメラ21Bについても同様の制御が行われる。
【0116】
これにより、設備監視装置10は、設備31に異常が発生した場合に、当該設備31を撮影可能な撮影位置に移動式カメラ21Aおよび21Bを移動させ、目標位置の画像を録画することができる。
【0117】
以上説明したように、本発明の実施の形態2によると、実施の形態1の効果に加え、プリセット情報登録部15は、目標位置の画像を撮影することのできる、移動式カメラ21Aまたは21Bの位置を、プリセット情報として登録することができる。
【0118】
また、移動式カメラ21Aまたは21Bが複数の撮影位置から同一のラベルを撮影することにより、複数のラベル領域の画像が得られた場合に、上述の歪が最小となるラベル領域の画像に基づいて、プリセット情報を登録することができる。歪が最小となるラベル領域の画像を用いることにより、正確な目標位置を取得することができる。これにより、正確なプリセット情報を登録することができる。なお、実施の形態1に示したPTZカメラ20においても、撮影対象領域同士が重複している場合には、同様の処理により、プリセット情報の登録を行うことができる。
【0119】
(変形例1)
実施の形態2では、移動式カメラ21Aおよび21Bが、PTZカメラ20であるとしたが、移動式カメラ21Aおよび21Bは、パン、チルトおよびズーム機能を有していなくてもよい。
【0120】
この場合には、設備監視装置10は、パン角、チルト角およびズーム角を除いたプリセット情報を記憶装置12に登録する。
【0121】
図11は、変形例1に係る設備監視装置10が記憶装置12に登録するプリセット情報の一例を示す図である。
【0122】
プリセット情報50Bは、プリセット情報の識別番号(No.)と、監視対象の設備31の設備番号と、移動式カメラのカメラ位置とを含む。
【0123】
設備監視装置10は、プリセット情報50Bに基づいて、設備31の異常が発生した場合に、当該設備31の設備番号に対応するカメラ位置に、移動式カメラ21Aまたは21Bを移動させ、画像を録画する。
【0124】
なお、
図11のプリセット情報50Bが示すカメラ位置には、高さの情報が含まれていてもよい。例えば、ドローン等に搭載されたカメラによって設備31を監視する際に、設備監視装置10は、プリセット情報50Bに従って、監視対象の設備31の近傍までドローンを移動させ、設備31を撮影させることができる。
【0125】
(変形例2)
図2に、設備監視装置10が読み取る対象のラベル40を示したが、ラベル40は
図2に示したものに限定されない。
【0126】
図12は、設備31に貼り付けられるラベルの他の一例を示す図である。
図12に示すように、ラベル40Aは、ラベル40の補正情報43の代わりに補正情報43Aを含んでいてもよい。補正情報43Aは、移動方向が矢印により示されている。これにより、設備監視装置10は、目標マーク41が示す目標位置を、補正情報43Aの矢印が示す方向に、補正情報43Aが示す距離(ここでは、30cm)だけ移動させることにより、目標位置を更新することができる。
【0127】
図13は、設備31に貼り付けられるラベルの他の一例を示す図である。
図13に示すように、ラベル40Bの長手方向または短手方向の長さが既知の場合には、ラベル40Bには、ラベル40の距離情報44が含まれていなくてもよい。例えば、設備監視装置10が、ラベル40Bの長手方向の長さ60cmを知っている場合には、設備監視装置10は、補正情報43が示す距離30cmが、ラベル40Bの長手方向の長さ60cmの半分であると知ることができる。
【0128】
なお、
図12等に示す他のラベル40Aにおいても、ラベル40Aの長手方向または短手方向の長さが既知の場合には、当該長さから、補正情報43Aが示す距離(ここでは、30cm)の長さを知ることができる。
【0129】
図14は、設備31に貼り付けられるラベルの他の一例を示す図である。
図14に示すように、ラベル40Cは、ラベル40のズーム倍率情報45の代わりに、ズーム倍率情報45Aを含んでいてもよい。ズーム倍率情報45Aは、ズーム倍率を文字で示す情報である。このため、設備監視装置10は、ズーム倍率情報45Aを文字認識することにより、ズーム倍率を読み取ることができる。
【0130】
図15は、設備31に貼り付けられるラベルの他の一例を示す図である。
図15に示すように、ラベル40Dは、設備番号42および補正情報43の代わりに、これらの情報を符号化したバーコード46を含んでいてもよい。これにより、設備監視装置10は、バーコード46から、設備番号および補正情報を正確に読み取ることができる。なお、バーコード46の代わりに、QRコード(登録商標)等の、情報をコード化した画像を用いることができる。また、ラベル領域抽出部14は、バーコード46の領域を抽出することにより、ラベル40Dのラベル領域を抽出することもできる。
【0131】
図16は、設備31に貼り付けられるラベルの他の一例を示す図である。
図16に示すように、ラベル40Eは、QRコード(登録商標)から構成される。また、ラベル40Eのサイズ(10cm×10cm)は、既知であるものとする。さらに、ラベル40Eの所定位置(例えば、中心位置)を目標位置とする。また、QRコード(登録商標)は、設備番号42および補正情報43の情報をコードすることにより構成されているものとする。
【0132】
ラベル40Eを用いることにより、ラベル40Eにより目標位置を設備監視装置10に教えることができる。また、距離情報44の代わりに、ラベル40Eの辺の長さ(10cm)を用いることもできる。さらに、ズーム倍率情報45が示す円形状の代わりに、ラベル40Eが示す四角形形状を用いることで、設備監視装置10は、円形状を用いる場合と同様にして、ズーム倍率を決定することができる。なお、QRコード(登録商標)には、3つのコーナー部に位置決め用のマーク70を含む。設備監視装置10は、マーク70の位置関係から、ラベル40Eの左右方向および上下方向を知ることもできる。また、ラベル領域抽出部14は、QRコード(登録商標)を抽出することにより、ラベル40Eのラベル領域を抽出することもできる。
【0133】
なお、ラベル40Eは、QRコード(登録商標)の代わりに、バーコード等の、情報をコード化した画像を含んでいてもよい。
【0134】
[付記]
上述の実施の形態では、設備31を監視する設備監視装置10について説明した。本発明の監視対象は設備31に限定されるものではなく、それ以外の監視対象を監視する監視装置にも本発明を適用することができる。例えば、進入禁止エリアの入口等にラベル40を貼り付けることにより、設備監視装置10が当該入口を監視するようにしてもよい。
【0135】
設備監視装置10を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSIから構成されているとしてもよい。
【0136】
また、本発明は、設備監視装置10をコンピュータにより実現するためのコンピュータプログラムであるとしてもよい。上記コンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体、例えば、HDD、CD−ROM、半導体メモリなどに記録することができる。
【0137】
また、上記コンピュータプログラムを、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、設備監視装置10は、複数のコンピュータにより実現されてもよい。
【0138】
また、設備監視装置10の一部または全部の機能がクラウドコンピューティングによって提供されてもよい。つまり、設備監視装置10の一部または全部の機能がクラウドサーバにより実現されていてもよい。例えば、設備監視装置10において、ラベル領域抽出部14がクラウドサーバにより実現され、設備監視装置10は、クラウドサーバに対して画像を送信し、クラウドサーバから当該画像に含まれるラベル領域の画像を取得する構成であってもよい。
さらに、上記実施の形態および上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0139】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。