(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記区分け部材は、前記排紙トレイに載置される用紙の大きさ及び向きにかかわらず少なくとも一部が用紙と上下に重なる形状及び大きさを有している請求項1に記載の区分け装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は複合機の主要構成を示す機能ブロック図である。
図2は複合機の一例の概略構成を示す図である。なお、以下の説明では、
図2に示す複合機100を基準として上下、左右を定義する。また、前方(正面側)又は後方(背面側)についても、
図2に示す複合機100を基準とする。
【0011】
(複合機100)
複合機100は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能及びFAX機能等の複数の機能を兼ね備えた画像形成装置の一例である。
【0012】
図1、
図2に示すように、複合機100には、制御部1、印刷部2、画像読取部31、原稿搬送部32、操作入力部4及び通信部5が備えられている。また、複合機100には、印刷部2で印刷されて排出された用紙をタスクごとに区分けする区分け装置200が備えられている。
【0013】
(制御部1)
制御部1は、複合機100の全体制御を司る。制御部1は、CPU11、及び記憶部12を含む。CPU11は演算処理回路を含む電子部品であり、制御部1に接続された機器から受信した信号を処理するための処理部である。CPU11が行う処理としては、コピーや送信のようなジョブのときに行われるスキャン、印刷、送信、画像データの記憶の制御を挙げることができる。これ以外にも、印刷する画像に対して拡大縮小、回転等の処理を施す場合もある。制御部1は、記憶部12に記憶されたプログラムやデータをCPU11で動作させて上述した各部を制御する。
【0014】
記憶部12は、ROM、HDDやフラッシュROMのような不揮発性メモリーとRAMのような揮発性のメモリーを含む。記憶部12には、制御に関するプログラム、各種データ等が記憶される。各種データには、画像読取部31で読み取られた画像データ、複合機100の設定データ、通信部5に接続された機器のデータ等が記憶されている。なお、本実施形態にかかる複合機100において、記憶部12が制御部1と一体(
図1では、制御部1に含まれる)としているが、これに限定されない。例えば、記憶部12は、制御部1と別に設けられていてもよい。
【0015】
(印刷部2)
印刷部2は、給紙部2a、搬送部2b、画像形成部2c、定着部2d及び用紙排出部2eを含む。給紙部2aは、用紙を供給する。搬送部2bは、印刷前の用紙及び印刷済み用紙を搬送する。画像形成部2cは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。定着部2dは、転写されたトナー像を用紙に定着させる。制御部1は印刷部2の動作を制御する。
【0016】
図2に示すように、給紙部2aは、複数の給紙カセット21を備える。複数の給紙カセット21には用紙が収容されている。複数の給紙カセット21のそれぞれに収容された用紙は、互いに大きさ又は方向の少なくとも一方が異なる。制御部1は、使用者の指示に基づいて用紙の適切な大きさ、方向等を選択する。そして、適切な用紙が収容された給紙カセット21を選択する。そして、給紙部2aは、制御部1からの指示に従って、選択された給紙カセット21から用紙を繰り出す。給紙カセット21から繰り出された用紙は、搬送部2bにて、画像形成部2cに搬送され、画像が形成される。そして、定着部2dが画像を用紙に定着させたのち、印刷済みとなった用紙は、搬送部2bにて用紙排出部2eに搬送する。用紙排出部2eは、搬送された印刷済みの用紙を外部に設けられた後述の排紙トレイ22に排出する。
【0017】
(画像読取部31)
画像読取部31は、制御部1の制御に基づいて、画像読取部筐体の上面に装着された、原稿の画像を読み取り、画像データを生成する。
図2に示すように、画像読取部31は、原稿を載置するためのコンタクトガラス311(原稿台)を備えている。画像読取部31は、さらに、コンタクトガラス311に載置された原稿を押える開閉自在の原稿押えカバー312と、コンタクトガラス311に載置された原稿又はコンタクトガラス311へ搬送される原稿の各画像を読み取る読取機構313とを備えている。
【0018】
(原稿搬送部32)
原稿搬送部32は、制御部1の制御に基づいて、原稿を画像読取部31のコンタクトガラス311に搬送する。原稿搬送部32は、原稿が載置される原稿載置台321と、画像読み取り済みの原稿が排出される原稿排出部322と、原稿搬送機構323と、を備える(
図2参照)。原稿搬送機構323は、図略の給紙ローラー及び搬送ローラー等を備える。原稿搬送機構323は、給紙ローラー及び搬送ローラーの駆動により、原稿載置台321に載置された原稿を1枚ずつ繰り出してコンタクトガラス311へ搬送する。コンタクトガラス311に搬送された原稿は読取機構313によって読み取られた後、原稿排出部322に排出される。
【0019】
さらに原稿搬送部32は、
図2の紙面奥側にヒンジ(不図示)を備えている。原稿搬送部32は、ヒンジを中心として前方がコンタクトガラス311に対して接近又は離間するように回動する。原稿搬送部32の前方側を上方に移動させてコンタクトガラス311上面を開放することにより、コンタクトガラス311の上面に原稿を使用者が載置できるようになっている。また、コンタクトガラス311の上面に原稿を載置した状態で、原稿搬送部32の前方をコンタクトガラス311に接近させる。これにより、原稿をコンタクトガラス311に押し付けることができ、画像読取部31は正確に原稿を読み取ることができる。
【0020】
複合機100では、原稿搬送部32により搬送された原稿又はコンタクトガラス311に載置された原稿を画像読取部31が光学的に読み取り、画像データを生成する。画像読取部31により生成された画像データは内蔵の記憶部12又はネットワーク接続されたコンピューター300等に保存される。
【0021】
(操作入力部4)
操作入力部4は、表示パネル41、タッチパネル42及びハードキー43を含む。表示パネル41は、画像を表示可能である。タッチパネル42は、使用者のタッチ位置を検知するためのものである。タッチパネル42は表示パネル41とかさねてはいちされ制御部1は、タッチパネル42の出力に基づき、表示パネル41に表示されたキーやボタンのような操作画像のうち、操作されたものを認識する。ハードキー43は、ジョブの実行開始を指示するためのスタートキーや、数字を入力するためのテンキーを含む。制御部1は、操作入力部4の状態や各種メッセージや設定用画面を表示パネル41に表示させる。また、操作入力部4は、スキャンやコピーのようなジョブに関し、タッチパネル42、ハードキー43に対する設定操作を受け付ける。
【0022】
(通信部5)
通信部5は、PCのようなコンピューター300、サーバー400及びFAX装置500等と、有線及び(又は)無線ネットワーク、公衆回線等を介して通信可能に接続される。また、これら以外の機器であって、画像データのやり取りを行う機器が接続される場合もある。
【0023】
(区分け装置200)
区分け装置200について図面を参照して説明する。
図3は、区分け装置の概略構成を示す斜視図である。
図4は、
図3に示す区分け装置の平面図である。
図5は、区分け部材収納部の断面図である。
図6は、ガイド部材にガイドされた区分け部材の概略構成を示す斜視図である。
図7は、区分け部材のガイド用孔にガイド部材が挿入されている状態を示す平面図である。
図8は、ワイヤーの取り付け状態を示す図である。
【0024】
区分け装置200は、印刷済み用紙をタスクごとに区分けする。そして、本実施形態の複合機100では、印刷部2と画像読取部31との間の隙間に用紙が排出される。そのため、区分け装置200は、印刷部2と画像読取部31との間に配置されるものであるが、説明が煩雑になるのを避けるために、
図3、
図4では、区分け装置200の構成部分だけを模式的に表示している。
【0025】
区分け装置200は、印刷済みの用紙をタスクごとに区分けする。ここで、「タスク」とは、PCからのデータの印刷、コピー、受信したFAXの印刷等、複合機100で用紙に印刷する一連の処理を指す。例えば、複数のユーザーのPCが複合機100に接続されて複合機100で印刷を行う場合、ユーザーごとに印刷する情報が異なる。例えば、印刷する枚数が異なる等の場合が考えられる。そして、複合機100では、各ユーザーの印刷物が混在しないように、ユーザーごとにまとめて処理を行う。このユーザーことにまとめて行われる印刷処理がタスクの一例である。
【0026】
区分け装置200は、排紙トレイ22と、区分け部材6と、区分け部材収納部7と、ガイド部材8と、駆動部9とを備える。排紙トレイ22には、画像が印刷されて印刷部2から排出された用紙が積載される。すなわち、排紙トレイ22は、印刷済みの用紙を積載するための収容部分である。
【0027】
排紙トレイ22の上面から、上方に向かってガイド部材8が立設されている。ガイド部材8は、柱状の部材である。ガイド部材8は、区分け部材6の移動をガイドする。ガイド部材8の上端には、区分け部材収納部7が備えられている。ガイド部材8の上端部は、区分け部材収納部7の開口から区分け部材収納部7の内部に挿入されている。そして、区分け部材収納部7は、下部に開口を有しており、ガイド部材8にてガイドされた区分け部材6を内部に収納可能である。なお、区分け部材収納部7は、ガイド部材8によって支持されていてもよいし、複合機100の筐体等に支持されていてもよい。
【0028】
区分け部材6は、板状の部材である。
図4に示すとおり、ガイド部材8に沿う方向に見たとき、排紙トレイ22に載置された用紙Pと少なくとも一部が重なる。区分け装置200において、区分け部材6は、複数個、ここでは、4個備えられている。なお、区分け部材6は4個に限定されない。区分け部材6は、排紙トレイ22に積載された複数枚の用紙Pの間に挟まれて、印刷済みの用紙を区分けする、すなわち、タスクの切り替わり部分を示す役割がある。
【0029】
図2に示すように、ガイド部材8は、用紙Pが排出される用紙排出部2eの近傍で、用紙Pの排紙の邪魔にならない部分に配置される。すなわち、区分け装置200において、区分け部材6は、排紙トレイ22に排紙された用紙Pの排紙方向の後側と重なる。
【0030】
複合機100では、大きさが異なる複数種類の用紙が用いられる(例えば、
図4に示すサイズS1〜S3)。そのため、排紙トレイ22には、排紙方向の寸法(「長さ」とする)及び排紙方向に直交する方向の寸法(「幅」とする)が異なる用紙が排紙される場合がある。また、印刷部2では、用紙の向きを90°回転させて印刷を行う場合(
図4に示すサイズSL1)もあり、その場合も、回転しないものに対して、「長さ」も「幅」も異なる。このような構成において、ガイド部材8、区分け部材収納部7を用紙排紙部2eの近傍に配置することで、異なる長さ及び(又は)幅の用紙が排紙された場合であっても、区分け部材6を排紙トレイ22上に積載された用紙Pと重ねることができる。
【0031】
なお、以下の説明において、区分け装置200の説明では、排紙トレイ22を水平で図示しているが、実際には、
図2に示す如く、用紙Pの排紙方向の下流側が上に向かう傾斜を有していてもよい。これにより、排紙トレイ22に排紙された用紙Pが、用紙排出部2e側に寄せられる。そのため、用紙Pと区分け部材6とがガイド部材8に沿う方向に確実に重ねることが可能である。なお、ガイド部材8は、排紙トレイ22の傾斜に合わせて傾斜していてもよいし、傾斜にかかわらず、鉛直方向に延びるように設けられていてもよい。
【0032】
図6に示すように、区分け部材6には、上面に載置されている用紙Pを検知する紙検知センサー60が設けられている。紙検知センサー60は、静電センサー等を用いて、用紙Pとの接触を検知してもよいし、光学センサー等を用いて、区分け部材6の上面から一定の範囲にある用紙を検出してもよい。紙検知センサー60は、区分け部材6の上面に用紙Pが載置されていることを検知できれば、検知方式を特に限定するものではない。詳細は後述するが、制御部1は、紙検知センサー60による用紙Pの検知結果に基づいて、区分け装置200の動作を決定する。
【0033】
紙検知センサー60は、制御部1と有線接続されており、信号線Caが延びている。区分け装置200では、紙検知センサー60の信号線Caは、区分け部材6の内部に配置されて、ガイド部材8に設けられた後述の凹部81を通って制御部1に接続される。また、
図3に示すように、紙検知センサー60は、区分け部材6に加えて、排紙トレイ22の上面にも設けられている。排紙トレイ22に設けられている紙検知センサー60は、載置検知部の一例である。そのため、載置トレイ22には、紙検知センサー60でなくてもよい。例えば、印刷済みの用紙の重量によって作動するスイッチ等、印刷済みの用紙が載置されたことを検知できる構成広く採用することが可能である。
【0034】
区分け部材6には、ガイド用孔61が設けられており、ガイド用孔61をガイド部材8が貫通する。 区分け部材6のガイド用孔61は、ガイド部材8よりも大きい貫通孔であり、ガイド用孔61とガイド部材8との間には隙間が形成されている。このように形成することで、区分け部材6は、ガイド部材8との摩擦が無い又はほとんどない状態でガイド部材8に沿って移動可能である。
【0035】
区分け部材6とガイド部材8との取り付け部分の詳細について説明する。
図6及び7に示すように、ガイド部材8は、断面矩形状の柱体である。なお、
図7に示すように、ガイド部材8は断面正方形状であるが、これに限定されない。区分け部材6の上下方向の摺動をガイドできる形状を広く採用することが可能である。ガイド部材8は、凹部81と、ガイド溝82とを備える。凹部81は、ガイド部材8の一側面から内側に凹んでいるとともに、内側が開口部よりも大きくなっている。そして、凹部81の内部には、区分け部材6に配されている紙検知センサー60の信号線Caが配線される。また、ガイド溝82は、凹部81の開口が形成されている面と隣り合う両側面に設けられている。ガイド溝82は、ガイド部材8の軸方向、換言すると、長手方向に延びている。
【0036】
ガイド用孔61は、ガイド溝82に収まるように設けられた凸部611を備えている。ガイド溝82に凸部611が収まることで、区分け部材6の姿勢のブレを抑制できる。そして、凸部611には、ガイド溝82と接触するとともに回転可能に支持されたガイドローラー63が設けられている。区分け部材6がガイド部材8に沿って移動するときに、ガイドローラー63がガイド部材8と接触して回転する。これにより、区分け部材6は、ガイド部材8に沿って移動するときのがたつきや振動を抑制できる。なお、区分け部材6とガイド部材8との摩擦が小さく、区分け部材6が移動時にぶれたり、振動したりしない場合には、ガイド溝82、凸部611及びガイドローラー63を省いてもよい。つまり、内部に空間を有する断面矩形の柱状のガイド部材と、ガイド部材が摺動可能に貫通するガイド用孔を備えた区分け部材とを備えた構成であってもよい。また、ガイド溝82及び凸部611を備えているとともに、ガイドローラー63を省略した構成であってもよい。
【0037】
図5に示すように、区分け部材6は、駆動部9によって、ガイド部材8に沿って移動する。駆動部9は、駆動モーター90(
図1参照)、ワイヤー91、駆動プーリー92、従動プーリー93とを備えている。駆動モーター90は、制御部1に制御されており、正転又は逆転可能なモーターである。駆動モーター90は、駆動プーリー92を回転させる。駆動モーター90は、出力軸に直接駆動プーリー92が固定されていてもよいし、減速機等のギアを用いた動力伝達機構を介して、駆動プーリー92を回転するようにしてもよい。駆動プーリー92には、ワイヤー91が巻きつけられており、回転することでワイヤー91を巻き取ったり、送り出したりする。
【0038】
ワイヤー91は、一方の端部が駆動プーリー92に固定されており、他方の端部が区分け部材6に固定されている。ワイヤー91が巻き取られると、区分け部材6が上方に、すなわち、排紙トレイ22から遠ざかる方向に移動する。また、ワイヤー91が送り出されると、区分け部材6は自重によって下降する、すなわち、排紙トレイ22に接近する方向に移動する。なお、本実施形態では、駆動プーリー92でワイヤー91を巻き取る構成としているが、これに限定されない。例えば、従来公知のカウンターウェイトを用いた駆動方式を採用してもよい。
【0039】
区分け装置200では、複数のタスクが時系列で重なって発生する場合がある。そのため、区分け装置200では、4個の区分け部材6を備えている。そして、4個の区分け部材6は、いずれも、ガイド用孔61を備えており、区分け部材6がガイド部材8を貫通している。そして、区分け装置200は、4個の区分け部材6それぞれを移動させるために、4本のワイヤー91を備えている。
【0040】
図7に示すように、区分け部材6には、ワイヤー91を挿通するための挿通孔62が設けられている。挿通孔62はワイヤー91の外径よりも大きい内径を有している。ここで、説明を容易にするため、区分け部材6について、最も下から区分け部材6A、区分け部材6B、区分け部材6Cとし、最も上の区分け部材6Dとする。また、
図8において、ワイヤー91を、右からワイヤー91A、ワイヤー91B、ワイヤー91Cとし、最も左をワイヤー91Dとする。
【0041】
図8に示すように、最も右のワイヤー91Aは、区分け部材6B、6C、6Dに設けられた挿通孔62を貫通している。そして、最も右のワイヤー91Aは、最も下の区分け部材6Aの挿通孔62を貫通するとともに、固定具を用いて、区分け部材6Aに固定されている。このように固定することで、最も右のワイヤー91Aを巻き取る又は送り出すことでは、最も下の区分け部材6Aを移動させることができるが、他の区分け部材6B、6C、6Dを動作させない。同様に、右から2番目のワイヤー91Bは、下から2番目の区分け部材6Bに固定され、その上の区分け部材6C、6Dの挿通孔62に接触しないように挿通されている。このように、区分け装置200では、4個のワイヤー91A、91B、91C、91Dが各々異なる区分け部材6A、6B、6C、6Dと接続されている。そして、ワイヤー91A、91B、91C、91Dが各々送り出されたり、巻き取られたりすることで、区分け部材6A、6B、6C、6Dを別々に移動させることが可能である。
【0042】
また、区分け装置200の区分け部材6は、いずれも、挿通孔62を4個備えている。そして、挿通孔62に挿通されたワイヤーが固定具で固定されている。このようにすることで、4個の区分け部材6をすべて同じ形状とすることができるため、製造が容易であるとともに組み立てが容易である。しかしながら、これに限定されず、必要な数の挿通孔62が形成されている構成としてもよい。
【0043】
4本のワイヤー91A、91B、91C、91Dは、各々、異なる駆動プーリー92及び従動プーリー93に巻き回されている。そして、4本のワイヤー91A、91B、91C、91Dは、各々、異なる駆動モーターで巻き取り/送りだしされる構成であってもよい。また、各ワイヤー91A、91B、91C、91Dが取り付けられている駆動プーリー92と駆動モーター90との動力の伝達を切り替える機構を備えて、区分け部材6A、6B、6C、6Dを駆動する毎に動力の伝達を切り替えるようにしてもよい。
【0044】
また、実施形態では、ワイヤーで区分け部材6を上方に引き上げる構成を採用しているが、これに限定されない。例えば、ラックアンドピニオン或いはウォームギア等の歯車を用いて、区分け部材6A、6B、6C、6Dの各々をガイド部材8に沿って移動させる構成であってもよい。また、これら以外にも、駆動部の駆動機構としては、直線移動を可能とするアクチュエーター(リニアアクチュエーター)を広く採用することが可能である。
【0045】
(区分け動作)
以上示したような、区分け装置200を用いて、印刷済みの用紙の区分けを行う。以下に、区分け装置200による、印刷済みの用紙Pの区分けの動作について図面を参照して説明する。まず、区分けされていない状態で印刷のタスクが開始され、タスクが終了するまでの区分け装置200の動作について説明する。
図9は、印刷のタスクが終了された直後の区分け装置を示す図である。
図10は、印刷のタスクが終了されて区分け動作が終了した後の区分け装置を示す図である。
【0046】
複合機100で印刷のタスク(第1タスクt1とする)が実行されると、印刷部2で印刷された印刷済みの用紙Pは、排紙トレイ22に排紙される。第1タスクt1が実行されている間、制御部1は、区分け部材6を区分け部材収納部7に収納させた状態で、駆動モーター90を動作させずに待機する。
【0047】
そして、一定枚数(ここでは、4枚)の印刷が終了し(第1タスクt1が終了し)、最終の用紙Pが排紙トレイ22に排紙されると、排紙トレイ22には、第1タスクt1にかかる印刷済みの用紙Pが4枚まとまった印刷済みの用紙束Pb1として載置される。制御部1は、駆動モーター90を駆動させてワイヤー91Aを送り出す。なお、「用紙束」は、タスク毎の印刷済みの用紙の集まりであり、区分けされた用紙を指す場合もある。これにより、ワイヤー91Aが固定された区分け部材6Aがガイド部材8に沿って下方に移動する(
図9参照)。そして、区分け部材6Aが、用紙束Pb1の最も上に載置された用紙Pと接触することで、区分け装置200による区分けが終了する(
図10参照)。
【0048】
なお、制御部1は、排紙トレイ22に設けられた紙検知センサー60が用紙Pを検知しているときに、区分け部材を送り出すことが可能である。また、制御部1は、排紙トレイ22に設けられた紙検知センサー60が用紙Pを検知しておらず区分け部材6が区分け部材7から放出されている場合には、区分け部材6を区分け部材収納部7の内部に収納する。
【0049】
第1タスクt1が終了した後、最後の印刷済みの用紙Pが排紙されたことの確認には、第1タスクt1の終了後、一定時間経過したときとしてもよいし、用紙排出部2eに不図示のセンサーを取り付けておき、センサーが検知した情報に基づいて決定してもよい。以下、同様である。
【0050】
また、第1タスクt1にかかる印刷済みの用紙束Pb1が取り除かれる場合がある。このとき、排紙トレイ22に配されている紙検知センサー60が、用紙が無いことを検知する。排紙トレイ22の紙検知センサー60が、用紙が無いことを検知すると、制御部1は、駆動モーター90を駆動させてワイヤー91Aを巻き取る。これにより、ワイヤー91Aが固定された区分け部材6Aがガイド部材8に沿って上方に移動し、区分け部材収納部7に収納される。
【0051】
次に、第1タスクt1で印刷されて排紙トレイ22に載置された用紙束Pb1の上に、次のタスク(3枚の印刷:第2タスクt2とする)が実行される場合について説明する。
図11は、第2タスクが実行されているときの区分け装置を示す図である。
図12は、第2タスクが終了された直後の区分け装置を示す図である。
図13は、第2タスクが終了されて区分け動作が終了した後の区分け装置を示す図である。
図11に示すように、第2タスクt2が開始されたとき、排紙トレイ22には、第1タスクt1にかかる用紙束Pb1が載置されている。そして、用紙束Pb1の上には、区分け部材6Aが配置されている。このとき、残りの区分け部材6B、6C、6Dは、区分け部材収納部7の内部に収納されている。
【0052】
そして第2タスクt2が終了し、最後の印刷積み用紙Pが排紙トレイ22に載置されたことを確認した後、区分け部材6Aの上には、3枚の用紙Pを含む第2タスクt2にかかる印刷済みの用紙束Pb2が載置される。制御部1は、駆動モーター90を駆動して、ワイヤー91Bを送り出す。これにより、区分け部材6Bは、自重によって下方に、すなわち、排紙トレイ22に接近する方向にガイド部材8に沿って移動する(
図12参照)。そして、区分け部材6Bが、用紙束Pb2の最も上にある用紙Pと接触することで、区分け装置200による区分けが終了する(
図13参照)。
図13に示すように、第1タスクt1にかかる印刷済みの用紙束Pb1の上に区分け部材6Aが配置されており、さらに区分け部材6Aの上に第2タスクt2にかかる印刷済みの用紙束Pb2が配置される。さらに第2タスクt2にかかる印刷済みの用紙束Pb2の上に、区分け部材6Bが配置される。
【0053】
区分け装置200では、各タスクにかかる印刷済みの用紙束の間に、区分け部材6が配置される。これにより、ユーザーは、用紙束の中身(印刷された文字、画像等の情報)を確認することなく、自分が複合機100に対して命令したジョブにかかる印刷済みの用紙束を選ぶことが可能である。
【0054】
本実施形態では、第1タスクt1は4枚の印刷で、第2タスクt2は3枚の印刷である。そのため、タスクが切り替わった部分に区分け部材6を配置することで、ユーザーは、自分が実行したタスクにかかる印刷済みの用紙束を選択することが可能である。しかしながら、多量に印刷を行うタスクが実行された場合や、同じ枚数のタスクが存在する場合には、自分が実行したタスクにかかる印刷済みの用紙束を識別するのは困難である。そこで、例えば、4個の区分け部材6A、6B、6C、6Dをそれぞれ異なる色で彩色しておく。そして、複合機100に接続された機器(例えば、コンピューター300等)に自分が実行したタスクにかかる印刷済みの用紙束と隣り合う区分け部材の色を表示することで、ユーザーは、自分が印刷した用紙束を迅速に選ぶことが可能である。なお、区分け部材は、表面全体を着色してもよいし、用紙と重なったときに視認可能な部分、例えば、ガイド部材8に沿う方向に見て、用紙の投影面の外側に位置している部分に着色してもよい。着色している部分が識別部の一例である。
【0055】
また、近距離通信機能等を用いて、ユーザーが持っている携帯電話、スマートフォン、通信機能付きの時計等と通信し、ユーザーが複合機100に接近したときに情報を送信して自分が印刷した用紙束と隣り合う区分け部材6の色を送信するようにしてもよい。この場合、表示パネル41に位置を表示するようにしてもよいし、区分け部材6A、6B、6C、6DにLED等の識別部を備えておき、接近したユーザーに対して、識別部から通知するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザーは、簡単に自分が印刷した用紙Pを取得することができ、ユーザーの利便性を高めることが可能である。
【0056】
(下の用紙束が取り除かれたときの動作)
次に、複数のタスクにかかる印刷済みの用紙束が排紙トレイ22に配置されている状態から、下に配置されたタスクにかかる用紙束が取り除かれたときの区分け装置の動作について説明する。
図14は、第1タスクにかかる印刷済み用紙束が取り除かれたことを示す図である。
図15は、区分け装置の動作を示す図である。
図16は、動作完了後の区分け装置を示す図である。
【0057】
最初に排紙トレイ22には、
図13に示すように、第1タスクt1にかかる印刷済みの用紙束Pb1と第2タスクt2にかかる印刷済みの用紙束Pb2が載置されているものとする。なお、
図13に示すように、第1タスクt1にかかる印刷済みの用紙束Pb1が第2タスクt2にかかる印刷済みの用紙束Pb2の下方に位置しているものとする。
【0058】
排紙トレイ22に、第1タスクt1にかかる印刷済みの用紙束Pb1と、第2タスクt2にかかる印刷済みの用紙束Pb2が載置されている状態から用紙束Pb1が取り除かれたとする。排紙トレイ22から用紙束Pb1が取り除かれたため、排紙トレイ22に配されている紙検知センサー60から検知無しの情報が制御部1に送られる。制御部1は、検知無しの情報を受信すると、最も下に配置されていた用紙束Pb1(ここでは、第1タスクt1にかかる印刷済みの用紙束Pb1)が取り除かれたと判断する。用紙束Pb1が取り除かれると、用紙束Pb2は区分け部材6Aによって、一端(ここでは、用紙排出部2eに近い端部)が持ち上げられた状態になる。このような状態で放置すると、印刷済みの用紙Pがばらけてしまったり、変形してしまったりする。
【0059】
そこで、制御部1は排紙トレイ22の紙検知センサー60が用紙(用紙束)を検知しなくなったときには、駆動モーター90を駆動させて、ワイヤー91A、91Bを送り出す。これにより、区分け部材6A、区分け部材6Bが下方に移動する(
図6参照)。区分け部材6Aが排紙トレイ22に接触したとき、制御部1は、駆動モーター90の動作を停止させ、区分け部材6A及び区分け部材6Bの移動を終了する(
図16参照)。なお、区分け部材6Aが排紙トレイ22と接触したことの確認は、ワイヤー91Aの送り量によって行ってもよいし、排紙トレイ22の紙検知センサー60が、区分け部材6Aを検知したことに基づいて行ってもよい。
【0060】
区分け装置200では、区分け部材6A及び6Bを排紙トレイ22に近づくように移動させることで、タスクごとに区分けされた用紙束がばらけたり、用紙束が変形した形がついてしまったりするのを抑制することができる。
【0061】
(上の用紙束が取り除かれたときの動作)
次に、複数のタスクにかかる印刷済みの用紙束が排紙トレイ22に配置されている状態から、上に載置されている印刷済み用紙束Pb1が取り除かれたときの区分け装置の動作について説明する。
図17は、第2タスクにかかる印刷済み用紙束が取り除かれたことを示す図である。
図18は、区分け装置の動作を示す図である。
【0062】
図13に示す状態から、第2タスクt2にかかる印刷済みの用紙束Pb2が取り除かれた場合(
図17参照)、区分け部材6Aに備えられた紙検知センサー60は、用紙(用紙束)が検出されなくなった旨の情報を制御部1に送信する。制御部1は、第2タスクt2にかかる印刷済みの用紙束Pb2が取り除かれたと判断する。このとき、区分け部材6Bは、区分け部材6Aから離間した位置にある。この状態で、次のタスクにかかる印刷が実行されて、印刷済みの用紙Pが排出されると、用紙Pは、区分け部材6Bの上に載置される。区分け部材6Aと6Bとの間は一定の間隔(第タスクt2にかかる印刷済みの用紙束Pb2の厚み)離れている。この状態で、印刷済みの用紙Pが排出されると、用紙Pがずれてしまったり、用紙Pが変形した形がついてしまったりする。
【0063】
そこで、区分け部材6Aに配された紙検知センサー60が用紙Pを検知しなくなったとき、制御部1は、駆動モーター90を駆動してワイヤー91Bを巻き取り、区分け部材6Bを上方に引き上げる(
図18参照)。そして、区分け部材6Bが区分け部材収納部7に収納された後、制御部1は、駆動モーター90の駆動を終了する。なお、区分け部材6Bが引き上げられている最中に、すなわち、区分け部材収納部7に収納される前に次のタスクが実行される場合がある。このような場合、制御部1は、印刷部2の動作を遅延させて、区分け部材6Bが区分け部材収納部7に収納完了した後に、印刷済みの用紙Pが排紙トレイ22に排出されるようにしてもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、2つのタスク(第1タスクt1と第2タスクt2)にかかる印刷済みの用紙束が配置されている場合で、最も下又は最も上に配置された印刷済みの用紙束が取り除かれたときの動作について説明したがこれに限定されない。制御部1は、排紙トレイ22上に、取り除かれた印刷済みの用紙束の上に他のタスクにかかる印刷済みの用紙Pが載置されている場合でも同様の制御を行う。
【0065】
制御部1は、紙検知センサー60が用紙無しの情報を送信してきたとき、その紙検知センサー60が配置されている区分け部材6よりも上の区分け部材6の紙検知センサー60から用紙の有無の情報を取得する。上の区分け部材6の紙検知センサー60から用紙有りの情報を取得した場合には、制御部1は、最初に用紙無しを検知した紙検知センサー60が配置されている区分け部材6よりも上の区分け部材6を下方に移動させる。一方で、上の区分け部材から用紙有りの情報を取得しなかった場合には、制御部1は、用紙無しを検知した紙検知センサー60が配置されている区分け部材6の直上の区分け部材及びさらにその上の区分け部材6を区分け部材収納部7に収納された状態にする。なお、「区分け部材6を区分け部材収納部7に収納された状態にする」とは、区分け部材収納部7に収納されている区分け部材6はそのままで、区分け部材収納部7外にある区分け部材6については、区分け部材収納部7に収納するように移動させることを指す。
【0066】
本発明にかかる区分け装置の一例は、排出された用紙が載置される排紙トレイと、少なくとも一部が前記排紙トレイに載置された前記用紙と上下に重なるとともに前記用紙をタスク毎に区分けする複数個の区分け部材と、前記排紙トレイの上方に配置されて前記区分け部材を収納可能な区分け部材収納部と、前記区分け部材をガイドするガイド部材と、前記区分け部材を前記排紙トレイに対して上下方向に移動させる駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部が、前記タスクに含まれるすべての用紙の排出終了ごとに前記区分け部材収納部から前記排紙トレイに載置されている用紙の上に前記区分け部材を放出し、前記排紙トレイから前記用紙が取り除かれたときに前記用紙の上に載置されていた区分け部材を前記区分け部材収納部に戻すように前記駆動部の制御を行うことを特徴とする。
【0067】
この構成によると、タスクごとに区分け部材を移動させる構成であるため、印刷内容(例えば、枚数等)が異なるタスクの印刷済みの用紙が共通の排紙トレイに排出されても正確に区分けすることができる。例えば、複数のユーザーによる印刷済みの用紙が共通の排紙トレイに排出される使用環境であっても、ユーザーごとに印刷済みの用紙を区分けすることができる。これにより、別のユーザーの印刷済み用紙が紛れ込むことを抑制できるので、ユーザーの煩わしさを解消できる。また、区分け部材を区分け部材収納部に自動的に戻す動作を行うため、ユーザーが手動で区分け部材を区分け部材収納部に戻さなくてもよく、この点からもユーザーの煩わしさを解消できる。
【0068】
上記構成において、前記区分け部材は、前記排紙トレイに載置される用紙の大きさ及び向きにかかわらず少なくとも一部が用紙と上下に重なる形状及び大きさを有していてもよい。このように構成することで、用紙のサイズ、向きにかかわらず、区分け部材でタスクごとに区分けすることが可能である。
【0069】
上記構成において、前記ガイド部材及び前記区分け部材収納部が前記用紙が排出される用紙排出部に近接した部分に配置されてもよい。
【0070】
上記構成において、前記排紙トレイは、載置されている用紙を検知できる載置検知部を備えており、前記制御部は、前記載置検知部によって前排紙トレイ上の用紙の有無を検知しており、前記制御部は、前記排紙トレイ上に用紙が検知されているときに前記区分け部材を前記区分け部材収納部から放出可能とし、前記排紙トレイ上に用紙が検知されていないときに前記区分け部材を前記区分け部材収納部に戻す。このように構成することで、排紙トレイに用紙が無いときには、区分け部材を区分け部材収納部に収納した状態に維持することが可能である。これにより、多くのタスクで区分けが可能である。また、用紙が無いときに区分け部材を放出しないようにすることで誤作動を抑制できる。
【0071】
上記構成において、前記制御部は、区分けされた用紙が取り除かれたとき、取り除かれた区分けされた用紙の上面と接触していた区分け部材の上方に、用紙が検知されないとき、取り除かれた区分けされた用紙の上面と接触していた区分け部材及びその上方の区分け部材を区分け部材収納部に収納された状態にし、取り除かれた区分けされた用紙の上部と接触していた区分け部材の上方に用紙が検知された場合、取り除かれた区分けされた用紙の上面と接触していた区分け部材を直下の区分け部材又は排紙トレイの上面に接触させるとともに取り除かれた区分けされた用紙の上面と接触していた区分け部材の上方で用紙と接触している区分け部材を同期して移動させてもよい。このように構成することで、区分け部材によって用紙の一部が持ち上げられ、区分けされた用紙がばらけたり、曲がってしまったりするのを抑制することができる。
【0072】
上記構成において、複数個の前記区分け部材は、ユーザーが各々の区分け部材を識別できる識別部を備えており、前記識別部は、前記用紙の上下方向の投影面の外側に位置している。このようにすることで、タスクごとの区分けされた用紙がわかりやすい。また、ユーザーが実行したタスクによって印刷された用紙を区分けしている区分け部材の情報をユーザーに対して送信するようにしてもよい。このようにすることで、各ユーザーは、自分が取得すべき区分けされた用紙を容易に判別でき、ユーザーの利便性を高めることが可能である。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。