特許第6819490号(P6819490)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

特許6819490産業車両用遠隔操作システム、産業車両、遠隔操作装置、産業車両用遠隔操作プログラム及び産業車両用遠隔操作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819490
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】産業車両用遠隔操作システム、産業車両、遠隔操作装置、産業車両用遠隔操作プログラム及び産業車両用遠隔操作方法
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20210114BHJP
   B66F 9/20 20060101ALI20210114BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   B66F9/24 R
   B66F9/24 Z
   B66F9/20 A
   G05D1/00 B
【請求項の数】20
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2017-133751(P2017-133751)
(22)【出願日】2017年7月7日
(65)【公開番号】特開2018-123000(P2018-123000A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年10月17日
(31)【優先権主張番号】特願2017-17595(P2017-17595)
(32)【優先日】2017年2月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知典
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 孝治
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】楫屋 宣敏
(72)【発明者】
【氏名】後藤 新矢
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−013336(JP,A)
【文献】 特開2009−109038(JP,A)
【文献】 特開平02−162928(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3179822(JP,U)
【文献】 国際公開第96/024120(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/036750(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 − 11/04
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両通信部を有する産業車両と、
前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、を備えた産業車両用遠隔操作システムであって、
前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、
前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であり、
前記把握部は、前記受信電波強度を予め定められた特定周期で定期的に把握するものであり、
前記可否判定部は、前記把握部によって前記受信電波強度が把握される度に、当該把握部によって把握された前記受信電波強度と、前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度とを比較する比較部を備え、
前記第1判定期間及び前記第2判定期間は、前記特定周期の2倍以上に設定されていることを特徴とする産業車両用遠隔操作システム。
【請求項2】
前記操作装置通信部は、前記信号として遠隔操作に関する遠隔操作信号を、前記車両通信部に向けて前記特定周期で送信するものであり、
前記把握部は、前記産業車両に設けられており、前記車両通信部にて受信された前記遠隔操作信号の受信電波強度を把握するものである請求項に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項3】
前記操作装置通信部は、前記信号として遠隔操作に関する遠隔操作信号を、前記車両通信部に向けて前記特定周期で送信するものであり、
前記車両通信部は、前記遠隔操作信号を受信したことに基づいて返信信号を前記操作装置通信部に向けて送信するものであり、
前記把握部は、前記遠隔操作装置に設けられており、前記操作装置通信部にて受信された前記返信信号の受信電波強度を把握するものである請求項に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項4】
前記操作装置通信部は、前記可否判定によって前記産業車両が前記禁止範囲内に配置されていると判定された後であっても、前記遠隔操作信号を、前記車両通信部に向けて定期的に送信するものである請求項又は請求項に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項5】
車両通信部を有する産業車両と、
前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、を備えた産業車両用遠隔操作システムであって、
前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、
前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であり、
前記車両通信部は、第1アンテナ及び第2アンテナを有し、
前記産業車両は、前記第1アンテナ又は前記第2アンテナのいずれかを選択するアンテナ選択部を備え、
前記車両通信部は、前記アンテナ選択部によって選択された選択アンテナを用いて、前記信号の送受信を行うものであり、
前記把握部は、前記選択アンテナで受信された前記信号の受信電波強度を把握するものであり、
前記アンテナ選択部は、前記可否判定中に、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第2閾値強度未満となった場合には、前記選択アンテナを切り替え、
前記産業車両用遠隔操作システムは、前記可否判定中に前記選択アンテナの切り替えが予め定められた規定回数だけ行われた場合には、当該可否判定が終了するまでは、前記選択アンテナの切り替えを禁止する切替禁止部を備えている産業車両用遠隔操作システム。
【請求項6】
前記産業車両は、運転席と当該運転席を上方から覆う屋根とを有するフォークリフトであり、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナは、前記屋根に離間させて配置されている請求項に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項7】
車両通信部を有する産業車両と、
前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、を備えた産業車両用遠隔操作システムであって、
前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、
前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であり、
前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作モードには、
前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可されている許可モード及び猶予モードと、
前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止されている禁止モードと、が含まれており、
前記産業車両用遠隔操作システムは、
前記遠隔操作モードが前記許可モードである状況において前記可否判定によって前記産業車両が前記禁止範囲内に配置されていると判定されたことに基づいて、前記遠隔操作モードを、前記許可モードから前記猶予モードに移行させる遠隔操作モード制御部を備え、
前記遠隔操作モード制御部は、
前記遠隔操作モードが前記猶予モードである状況において予め定められた禁止モード移行条件が成立したことに基づいて、前記遠隔操作モードを、前記猶予モードから前記禁止モードに移行させる一方、前記遠隔操作モードが前記猶予モードである状況において予め定められた許可モード移行条件が成立したことに基づいて、前記遠隔操作モードを、前記猶予モードから前記許可モードに移行させる産業車両用遠隔操作システム。
【請求項8】
前記可否判定部は、前記遠隔操作モードが前記猶予モードである状況において前記可否判定を少なくとも1回は実行するものであり、
前記許可モード移行条件は、前記遠隔操作モードが前記猶予モードである状況下における前記可否判定によって前記産業車両が前記許可範囲内に配置されていると判定されることを含む請求項に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項9】
前記禁止モード移行条件は、前記遠隔操作モードが前記許可モードから前記猶予モードに移行してから、前記許可モード移行条件が成立することなく、前記第1判定期間及び前記第2判定期間よりも長い猶予期間が経過したことを含む請求項に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項10】
前記遠隔操作装置は、現在の前記遠隔操作モードを報知する報知部を備えている請求項7〜9のうちいずれか一項に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項11】
前記可否判定部は、前記遠隔操作モードが前記許可モード、前記猶予モード及び前記禁止モードのいずれの場合にも前記可否判定を行うものであり、
前記産業車両用遠隔操作システムは、前記遠隔操作モードに応じて、前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度を変更する変更部を備えている請求項7〜10のうちいずれか一項に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項12】
前記遠隔操作モード制御部は、前記遠隔操作モードが前記禁止モードである状況における前記可否判定によって前記産業車両が前記許可範囲内に配置されていると判定されたことに基づいて、前記遠隔操作モードを前記禁止モードから前記許可モードに移行させるものであり、
前記変更部は、前記禁止モード中の前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度を、前記許可モード中の前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度よりも高くする請求項11に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項13】
前記変更部は、前記猶予モード中の前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度を、前記許可モード中の前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度に維持する請求項11又は請求項12に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項14】
車両通信部を有する産業車両と、
前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、を備えた産業車両用遠隔操作システムであって、
前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、
前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であり、
前記産業車両は、前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度に関する閾値情報が記憶された記憶部を備え、
前記可否判定部は、前記産業車両に設けられ、前記記憶部に記憶された前記閾値情報を読み出し、当該閾値情報に設定されている前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度に基づいて前記可否判定を行うものであり、
前記遠隔操作装置は、当該遠隔操作装置に対して予め定められた更新要求操作が行われたことに基づいて、前記操作装置通信部を用いて、前記閾値情報の更新を指示する更新指示信号を前記車両通信部に向けて送信する更新指示処理を実行する更新指示処理実行部を備え、
前記産業車両は、前記車両通信部によって前記更新指示信号が受信されたことに基づいて、前記閾値情報を更新する閾値情報更新処理を実行する閾値情報更新処理実行部を備えている産業車両用遠隔操作システム。
【請求項15】
前記許可範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が可能な通信範囲よりも狭い範囲である請求項1〜14のうちいずれか一項に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項16】
前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信方式はWi−Fiであり、
前記遠隔操作装置は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、又はヴァーチャルリアリティ端末である請求項15に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【請求項17】
操作装置通信部を有する遠隔操作装置によって遠隔操作される産業車両であって、
前記操作装置通信部と無線通信を行う車両通信部と、
前記車両通信部にて受信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、
前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であり、
前記把握部は、前記受信電波強度を予め定められた特定周期で定期的に把握するものであり、
前記可否判定部は、前記把握部によって前記受信電波強度が把握される度に、当該把握部によって把握された前記受信電波強度と、前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度とを比較する比較部を備え、
前記第1判定期間及び前記第2判定期間は、前記特定周期の2倍以上に設定されていることを特徴とする産業車両。
【請求項18】
車両通信部を有する産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置であって、
前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部と、
前記操作装置通信部にて受信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、
前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であり、
前記把握部は、前記受信電波強度を予め定められた特定周期で定期的に把握するものであり、
前記可否判定部は、前記把握部によって前記受信電波強度が把握される度に、当該把握部によって把握された前記受信電波強度と、前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度とを比較する比較部を備え、
前記第1判定期間及び前記第2判定期間は、前記特定周期の2倍以上に設定されていることを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項19】
車両通信部を備えた産業車両を、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を備えた遠隔操作装置を用いて遠隔操作するための産業車両用遠隔操作プログラムであって、
前記産業車両又は前記遠隔操作装置を、
前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、
前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部として機能させるものであり、
前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であり、
前記把握部は、前記受信電波強度を予め定められた特定周期で定期的に把握するものであり、
前記可否判定部は、前記把握部によって前記受信電波強度が把握される度に、当該把握部によって把握された前記受信電波強度と、前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度とを比較する比較部を備え、
前記第1判定期間及び前記第2判定期間は、前記特定周期の2倍以上に設定されていることを特徴とする産業車両用遠隔操作プログラム。
【請求項20】
車両通信部を備えた産業車両を、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を備えた遠隔操作装置を用いて遠隔操作する産業車両用遠隔操作方法であって、
前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握ステップと、
前記把握ステップによって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、
前記把握ステップによって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定ステップと、を備え、
前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であり、
前記把握ステップは、前記受信電波強度を予め定められた特定周期で定期的に把握するものであり、
前記可否判定ステップは、前記把握ステップによって前記受信電波強度が把握される度に、当該把握ステップによって把握された前記受信電波強度と、前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度とを比較する比較ステップを備え、
前記第1判定期間及び前記第2判定期間は、前記特定周期の2倍以上に設定されていることを特徴とする産業車両用遠隔操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両用遠隔操作システム、産業車両、遠隔操作装置、産業車両用遠隔操作プログラム及び産業車両用遠隔操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、産業車両としてのフォークリフトを遠隔操作する遠隔操作装置としての遠隔制御装置が、フォークリフトに対して離れた位置からフォークリフトの荷役作業を遠隔操作する点について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−104800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、産業車両と遠隔操作装置とは、互いに無線通信を行うことが考えられる。この場合、両者の無線通信の範囲によっては、操作者が十分に視認可能な適切な範囲に対して過度に離れた位置から、走行に関する遠隔操作を行うことが可能となる場合がある。この場合、産業車両の走行に関する遠隔操作について誤操作等が生じ得る。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は操作者が遠隔操作装置を用いて過度に離れた位置から産業車両の走行に関する遠隔操作を行うことを抑制できる産業車両用遠隔操作システム、産業車両、遠隔操作装置、産業車両用遠隔操作プログラム及び産業車両用遠隔操作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する産業車両用遠隔操作システムは、車両通信部を有する産業車両と、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、を備えたものであって、前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、受信電波強度に基づいて、産業車両が許可範囲内又は禁止範囲内のいずれに配置されているのか判定される。遠隔操作装置による走行に関する遠隔操作が禁止される禁止範囲は、走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲よりも離れた範囲である。これにより、操作者が遠隔操作装置を用いて過度に離れた位置から産業車両の走行に関する遠隔操作を行うことを抑制できる。
【0008】
特に、禁止範囲は、両通信部の無線通信が行われる状況下であっても遠隔操作装置による走行に関する遠隔操作が禁止される範囲である。これにより、両通信部の通信範囲が広い場合であっても、走行に関する遠隔操作が可能な範囲を適切な範囲にできる。
【0009】
また、可否判定では、受信電波強度と両閾値強度との比較に加えて、第1判定期間及び第2判定期間を条件としている。これにより、受信電波強度の誤差に起因して受信電波強度と両閾値強度との比較において誤判定が生じた場合であっても、可否判定結果が誤った結果になりにくい。したがって、受信電波強度の誤差がある条件下であっても、可否判定結果の精度向上を図ることができる。よって、受信電波強度の誤差に起因する可否判定結果の誤りを抑制できる。
【0010】
なお、禁止範囲とは、当該禁止範囲内に産業車両が配置された場合に、直ちに走行に関する遠隔操作が禁止される範囲でもよいし、所定の猶予期間の経過後に走行に関する遠隔操作が禁止される範囲でもよい。また、第1判定期間と第2判定期間とは同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0011】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記把握部は、前記受信電波強度を予め定められた特定周期で定期的に把握するものであり、前記可否判定部は、前記把握部によって前記受信電波強度が把握される度に、当該把握部によって把握された前記受信電波強度と、前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度とを比較する比較部を備え、前記第1判定期間及び前記第2判定期間は、前記特定周期の2倍以上に設定されているとよい。
【0012】
かかる構成によれば、受信電波強度と両閾値強度との比較結果が、複数回に亘って同一結果である場合に、可否判定結果が得られる。これにより、可否判定結果の精度向上を図ることができる。
【0013】
なお、第1閾値強度と第2閾値強度とが同一である場合には、「前記受信電波強度と、前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度とを比較する」とは、受信電波強度と、同一値の閾値強度とを比較することを意味する。
【0014】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記操作装置通信部は、前記信号として遠隔操作に関する遠隔操作信号を、前記車両通信部に向けて前記特定周期で送信するものであり、前記把握部は、前記産業車両に設けられており、前記車両通信部にて受信された前記遠隔操作信号の受信電波強度を把握するものであるとよい。
【0015】
かかる構成によれば、可否判定を行うための専用の信号を送受信することなく、受信電波強度に基づく可否判定を行うことができる。これにより、専用の信号を送受信することに起因して両通信部間の信号の送受信が複雑化することを抑制できる。
【0016】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記操作装置通信部は、前記信号として遠隔操作に関する遠隔操作信号を、前記車両通信部に向けて前記特定周期で送信するものであり、前記車両通信部は、前記遠隔操作信号を受信したことに基づいて返信信号を前記操作装置通信部に向けて送信するものであり、前記把握部は、前記遠隔操作装置に設けられており、前記操作装置通信部にて受信された前記返信信号の受信電波強度を把握するものであるとよい。
【0017】
かかる構成によれば、返信信号を受信することによって、遠隔操作信号が送信できたことを確認できる。また、当該返信信号を用いて可否判定を行うことにより、専用の信号を用いることなく受信電波強度に基づく可否判定を行うことができる。
【0018】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記操作装置通信部は、前記可否判定によって前記産業車両が前記禁止範囲内に配置されていると判定された後であっても、前記遠隔操作信号を、前記車両通信部に向けて定期的に送信するものであるとよい。
【0019】
かかる構成によれば、可否判定によって産業車両が禁止範囲内に配置されていると判定された後であっても、遠隔操作信号の送信が継続されるため、遠隔操作装置による走行に関する遠隔操作が禁止された後であっても可否判定を行うことができる。これにより、産業車両の位置を確認できる。
【0020】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記車両通信部は、第1アンテナ及び第2アンテナを有し、前記産業車両は、前記第1アンテナ又は前記第2アンテナのいずれかを選択するアンテナ選択部を備え、前記車両通信部は、前記アンテナ選択部によって選択された選択アンテナを用いて、前記信号の送受信を行うものであり、前記把握部は、前記選択アンテナで受信された前記信号の受信電波強度を把握するものであり、前記アンテナ選択部は、前記可否判定中に、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第2閾値強度未満となった場合には、前記選択アンテナを切り替えるとよい。
【0021】
かかる構成によれば、両アンテナのうちいずれか一方が、受信電波強度が局所的に小さくなるヌル点に配置された場合であっても、他方のアンテナを用いることによって可否判定を精度よく行うことができる。
【0022】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記可否判定中に前記選択アンテナの切り替えが予め定められた規定回数だけ行われた場合には、当該可否判定が終了するまでは、前記選択アンテナの切り替えを禁止する切替禁止部を備えているとよい。
【0023】
かかる構成によれば、選択アンテナの切り替えが過度に行われることに起因して可否判定に要する期間が長くなることを抑制できる。
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記産業車両は、運転席と当該運転席を上方から覆う屋根とを有するフォークリフトであり、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナは、前記屋根に離間させて配置されているとよい。
【0024】
かかる構成によれば、両アンテナ間の距離を確保することができ、これを通じて両アンテナが同時にヌル点に配置されたり、両アンテナ同士で干渉したりすることを抑制できる。また、両アンテナは、産業車両において比較的高い位置にある屋根に設けられているため、電波を受信し易い。これにより、遠隔操作装置との無線通信を好適に行うことができる。
【0025】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作モードには、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可されている許可モード及び猶予モードと、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止されている禁止モードと、が含まれており、前記産業車両用遠隔操作システムは、前記遠隔操作モードが前記許可モードである状況において前記可否判定によって前記産業車両が前記禁止範囲内に配置されていると判定されたことに基づいて、前記遠隔操作モードを、前記許可モードから前記猶予モードに移行させる遠隔操作モード制御部を備え、前記遠隔操作モード制御部は、前記遠隔操作モードが前記猶予モードである状況において予め定められた禁止モード移行条件が成立したことに基づいて、前記遠隔操作モードを、前記猶予モードから前記禁止モードに移行させる一方、前記遠隔操作モードが前記猶予モードである状況において予め定められた許可モード移行条件が成立したことに基づいて、前記遠隔操作モードを、前記猶予モードから前記許可モードに移行させるとよい。
【0026】
かかる構成によれば、産業車両が許可範囲内から禁止範囲内に移動した場合には、直ちに走行に関する遠隔操作が禁止される禁止モードに移行せず、一旦猶予モードに移行する。これにより、操作者としては、猶予モード中に産業車両を許可範囲内に移動させることにより、走行に関する遠隔操作が禁止されることを回避できる。したがって、過度に離れた位置からの走行に関する遠隔操作を抑制しつつ、直ちに走行に関する遠隔操作が禁止されることに起因する利便性の低下を抑制できる。
【0027】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記可否判定部は、前記遠隔操作モードが前記猶予モードである状況において前記可否判定を少なくとも1回は実行するものであり、前記許可モード移行条件は、前記遠隔操作モードが前記猶予モードである状況下における前記可否判定によって前記産業車両が前記許可範囲内に配置されていると判定されることを含むとよい。
【0028】
かかる構成によれば、猶予モード中に可否判定が行われ、当該可否判定の結果が許可範囲内であれば、遠隔操作モードが猶予モードから許可モードに移行する。これにより、遠隔操作モードが猶予モードに移行した後に産業車両が許可範囲内に移動した場合には、遠隔操作モードが猶予モードから許可モードに移行する。したがって、産業車両が許可範囲内に移動したにも関わらず、猶予モードが継続されることを抑制できる。
【0029】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記禁止モード移行条件は、前記遠隔操作モードが前記許可モードから前記猶予モードに移行してから、前記許可モード移行条件が成立することなく、前記第1判定期間及び前記第2判定期間よりも長い猶予期間が経過したことを含むとよい。
【0030】
かかる構成によれば、産業車両を禁止範囲内から許可範囲内に移動させるための時間を操作者に対して安定して付与することができる。これにより、利便性の更なる向上を図ることができる。
【0031】
また、猶予期間は、両判定期間よりも長く設定されているため、猶予期間中に少なくとも1回は可否判定が行われることが想定される。これにより、猶予期間中に可否判定結果が1回も得られることなく、遠隔操作モードが猶予モードから禁止モードに移行することを抑制できる。
【0032】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記遠隔操作装置は、現在の前記遠隔操作モードを報知する報知部を備えているとよい。
かかる構成によれば、操作者が現在の遠隔操作モードを確認できる。これにより、例えば遠隔操作モードが許可モードから猶予モードに移行した場合には、産業車両を近づける操作を行ったり、操作者が産業車両に近づいたりすることが想定される。よって、走行に関する遠隔操作が禁止されることを抑制でき、利便性の向上を図ることができる。
【0033】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記可否判定部は、前記遠隔操作モードが前記許可モード、前記猶予モード及び前記禁止モードのいずれの場合にも前記可否判定を行うものであり、前記産業車両用遠隔操作システムは、前記遠隔操作モードに応じて、前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度を変更する変更部を備えているとよい。
【0034】
かかる構成によれば、遠隔操作モードに応じて、第1閾値強度及び第2閾値強度を変更することにより、遠隔操作モードに応じて許可範囲及び禁止範囲を変更できる。
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記遠隔操作モード制御部は、前記遠隔操作モードが前記禁止モードである状況における前記可否判定によって前記産業車両が前記許可範囲内に配置されていると判定されたことに基づいて、前記遠隔操作モードを前記禁止モードから前記許可モードに移行させるものであり、前記変更部は、前記禁止モード中の前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度を、前記許可モード中の前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度よりも高くするとよい。
【0035】
かかる構成によれば、禁止モード時における許可範囲は、許可モード時における許可範囲よりも狭くなり易い。これにより、遠隔操作モードが禁止モードに移行した後、再度遠隔操作モードを禁止モードから許可モードに移行させるためには、遠隔操作装置と産業車両とを、許可モード時よりも近づける必要がある。したがって、操作者としては、遠隔操作を再度行う際には、産業車両をより視認し易い位置である産業車両の近くに移動することが想定される。よって、操作者を産業車両に近づくように誘導させることができるため、再度の遠隔操作時における安全性の向上を図ることができる。
【0036】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記変更部は、前記猶予モード中の前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度を、前記許可モード中の前記可否判定に用いられる前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度に維持するとよい。
【0037】
かかる構成によれば、遠隔操作モードが許可モードから猶予モードに移行しても許可範囲は変動しにくい。これにより、猶予モード中に遠隔操作装置と産業車両とを近づけることにより、可否判定結果が許可範囲内となり易い。したがって、猶予モード中に遠隔操作装置と産業車両とを近づけようとしているにも関わらず、可否判定結果が禁止範囲内となることを抑制できる。
【0038】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度に関する閾値情報が記憶された記憶部を備え、前記可否判定部は、前記記憶部に記憶された前記閾値情報を読み出し、当該閾値情報に設定されている前記第1閾値強度及び前記第2閾値強度に基づいて前記可否判定を行うものであり、前記閾値情報は、予め定められた更新条件が成立した場合には更新されるとよい。
【0039】
かかる構成によれば、閾値情報が更新されることにより、産業車両の設置環境等に起因した受信電波強度の変動に対応できる。これにより、受信電波強度の変動に起因した可否判定結果の誤りを抑制できる。
【0040】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記記憶部は、前記産業車両に設けられており、前記更新条件は、前記遠隔操作装置に対して予め定められた更新要求操作が行われることであり、前記遠隔操作装置は、前記更新要求操作が行われたことに基づいて、前記操作装置通信部を用いて、前記閾値情報の更新を指示する更新指示信号を前記車両通信部に向けて送信する更新指示処理を実行する更新指示処理実行部を備え、前記産業車両は、前記車両通信部によって前記更新指示信号が受信されたことに基づいて、前記閾値情報を更新する閾値情報更新処理を実行する閾値情報更新処理実行部を備えているとよい。
【0041】
かかる構成によれば、遠隔操作装置に対する更新要求操作によって閾値情報を更新することができる。これにより、遠隔操作装置を用いて第1閾値強度及び第2閾値強度を所望の値に変更できるため、両閾値強度を変更するための専用の装置などが必要なく、比較的容易に両閾値強度を変更できる。
【0042】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記許可範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が可能な通信範囲よりも狭い範囲であるとよい。
かかる構成によれば、両通信部の通信範囲に関わらず、走行に関する遠隔操作を許可範囲内に制限できる。また、無線通信による上記遠隔操作を安定して実行することができ、それを通じて安全性の向上を図ることができる。
【0043】
上記産業車両用遠隔操作システムについて、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信方式はWi−Fiであり、前記遠隔操作装置は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、又はヴァーチャルリアリティ端末であるとよい。
【0044】
かかる構成によれば、一般的な無線通信方式と汎用品とを用いつつ、許可範囲内で産業車両の走行に関する遠隔操作を実行できる。
上記目的を達成する産業車両は、操作装置通信部を有する遠隔操作装置によって遠隔操作されるものであって、前記操作装置通信部と無線通信を行う車両通信部と、前記車両通信部にて受信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であることを特徴とする。
【0045】
かかる構成によれば、上述した産業車両用遠隔操作システムと同様に、操作者が遠隔操作装置を用いて過度に離れた位置から産業車両の走行に関する遠隔操作を行うことを抑制できる。
【0046】
上記目的を達成する遠隔操作装置は、車両通信部を有する産業車両を遠隔操作するのに用いられるものであって、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部と、前記操作装置通信部にて受信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であることを特徴とする。
【0047】
かかる構成によれば、上述した産業車両用遠隔操作システムと同様に、操作者が遠隔操作装置を用いて過度に離れた位置から産業車両の走行に関する遠隔操作を行うことを抑制できる。
【0048】
上記目的を達成する産業車両用遠隔操作プログラムは、車両通信部を備えた産業車両を、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を備えた遠隔操作装置を用いて遠隔操作するためのものであって、前記産業車両又は前記遠隔操作装置を、前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、前記把握部によって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定部として機能させるものであり、前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であることを特徴とする。
【0049】
かかる構成によれば、上述した産業車両用遠隔操作システムと同様に、操作者が遠隔操作装置を用いて過度に離れた位置から産業車両の走行に関する遠隔操作を行うことを抑制できる。
【0050】
上記目的を達成する産業車両用遠隔操作方法は、車両通信部を備えた産業車両を、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を備えた遠隔操作装置を用いて遠隔操作する方法であって、前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握ステップと、前記把握ステップによって把握された前記受信電波強度が予め定められた第1閾値強度以上である状態が、予め定められた第1判定期間に亘って継続された場合に、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する一方、前記把握ステップによって把握された前記受信電波強度が前記第1閾値強度以下に設定された第2閾値強度未満である状態が、予め定められた第2判定期間に亘って継続された場合に、前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内に前記産業車両が配置されていると判定する可否判定を実行する可否判定ステップと、を備え、前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であることを特徴とする。
【0051】
かかる構成によれば、上述した産業車両用遠隔操作システムと同様に、操作者が遠隔操作装置を用いて過度に離れた位置から産業車両の走行に関する遠隔操作を行うことを抑制できる。
【発明の効果】
【0052】
この発明によれば、操作者が遠隔操作装置を用いて過度に離れた位置から産業車両の走行に関する遠隔操作を行うことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】産業車両用遠隔操作システムの概要図。
図2】各範囲を模式的に示す上面図。
図3】第1実施形態における産業車両用遠隔操作システムの電気的構成を示すブロック図。
図4】受信電波強度と距離との関係を示すグラフ。
図5】遠隔操作モードを説明するための説明図。
図6】遠隔操作開始処理を示すフローチャート。
図7】信号変換制御処理を示すフローチャート。
図8】遠隔操作モード制御処理の一部を示すフローチャート。
図9】遠隔操作モード制御処理の主要な部分を示すフローチャート。
図10】遠隔操作モードの相関関係を説明するための説明図。
図11】フォークリフトが許可範囲内に配置されている場合の遠隔操作装置とフォークリフトとを模式的に示す概要図。
図12】許可モード中の操作画面が表示された遠隔操作装置の正面図。
図13】フォークリフトが禁止範囲内に配置されている場合の遠隔操作装置とフォークリフトとを模式的に示す概要図。
図14】禁止モード中の操作画面が表示された遠隔操作装置の正面図。
図15】(a)フォークリフトの位置を示すタイムチャート、(b)受信電波強度を示すタイムチャート、(c)可否判定結果を示すタイムチャート、(d)遠隔操作モードを示すタイムチャート、(e)遠隔操作の許可/禁止を示すタイムチャート。
図16】(a)フォークリフトの位置を示すタイムチャート、(b)受信電波強度を示すタイムチャート、(c)可否判定結果を示すタイムチャート、(d)遠隔操作モードを示すタイムチャート、(e)遠隔操作の許可/禁止を示すタイムチャート。
図17】第2実施形態における産業車両用遠隔操作システムの電気的構成を示すブロック図。
図18】第3実施形態における産業車両用遠隔操作システムの電気的構成を示すブロック図。
図19】更新指示処理を示すフローチャート。
図20】更新用画面が表示された遠隔操作装置の正面図。
図21】(a),(b)異なる環境下にフォークリフトが設置された場合の受信電波強度と距離との関係を示すグラフ。
図22】第4実施形態の閾値情報を説明するための模式図。
図23】第4実施形態の遠隔操作モード制御処理の一部を示すフローチャート。
図24】第4実施形態の更新指示処理を示すフローチャート。
図25】第4実施形態の更新用画面が表示された遠隔操作装置の正面図。
図26】(a)デッドスポット及びホットスポットが発生している場合における受信電波強度の変化と初期モード閾値との関係を示すグラフ、(b)デッドスポット及びホットスポットが発生している場合における受信電波強度の変化と許可モード閾値との関係を示すグラフ、(c)デッドスポット及びホットスポットが発生している場合における受信電波強度の変化と禁止モード閾値との関係を示すグラフ。
図27】別例の産業車両用遠隔操作システムの電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
(第1実施形態)
以下、産業車両用遠隔操作システムの第1実施形態について説明する。なお、図示の都合上、図2等においては、各範囲A0〜A3を、実際の範囲とは異ならせて示す。
【0055】
図1及び図2に示すように、産業車両用遠隔操作システム10は、産業車両としてのフォークリフト20と、フォークリフト20を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置50と、を備えている。
【0056】
図1及び図2に示すように、フォークリフト20は、運転席21が形成されたボディ22と、車輪23と、荷物の積み上げ又は積み降ろしを行う荷役装置として上下方向に移動可能なフォーク24と、を備えている。
【0057】
ボディ22は、運転席21を囲むように立設されたフレーム22aと、運転席21を上方から覆う屋根22bとを有している。本実施形態のフォークリフト20は、運転者が運転席21に着座して操作することが可能に構成されている。
【0058】
なお、フォークリフト20は、例えばエンジンが搭載されたエンジンタイプであってもよいし、蓄電装置及び電動モータが搭載されたEVタイプであってもよいし、燃料電池及び電動モータが搭載されたFCVタイプであってもよい。また、フォークリフト20は、例えばエンジンと蓄電装置と電動モータとを有するHVタイプでもよい。
【0059】
図1,3に示すように、フォークリフト20は、走行アクチュエータ25と、荷役アクチュエータ26と、これら走行アクチュエータ25及び荷役アクチュエータ26を制御する車両CPU27と、車両メモリ28と、車両通信部としての車両通信ユニット30と、を備えている。
【0060】
走行アクチュエータ25は、フォークリフト20を走行させるものである。走行アクチュエータ25は、車輪23を回転駆動させるとともに、フォークリフト20の進行方向を変更する。なお、例えばフォークリフト20がエンジンタイプであれば、走行アクチュエータ25はエンジン及びステアリング装置等であり、例えばフォークリフト20がEVタイプであれば、走行アクチュエータ25は車輪23を回転駆動させる電動モータ及びステアリング装置等である。
【0061】
荷役アクチュエータ26は、フォーク24を駆動させるものである。例えば、荷役アクチュエータ26は、荷役用モータと、当該荷役用モータの駆動力を用いてフォーク24を上下方向に移動させる機構とを含む。
【0062】
車両CPU27は、制御信号SGaが入力されるように構成されており、当該制御信号SGaが入力された場合には、車両メモリ28に記憶されている制御プログラムを読み出し且つ当該制御プログラムを実行することにより、走行アクチュエータ25及び荷役アクチュエータ26を制御する。車両CPU27は、車両ECUとも車両MPUとも言える。
【0063】
なお、制御信号SGaは、フォークリフト20内のネットワークで用いられる信号であり、例えばCAN通信形式の信号である。但し、制御信号SGaの信号形式は、これに限られず、任意である。
【0064】
車両通信ユニット30は、無線通信機能を有する遠隔操作装置50と無線通信を行うためのものである。車両通信ユニット30は、遠隔操作装置50から送信される遠隔操作信号SGbを受信したり、遠隔操作装置50に向けて車両情報に関する信号である送信用検知信号を送信したりする。
【0065】
図2及び図3に示すように、車両通信ユニット30は、遠隔操作装置50から送信された遠隔操作信号SGbを受信するための第1アンテナ31及び第2アンテナ32と、遠隔操作信号SGbを制御信号SGaに変換可能に構成された信号変換部33と、信号変換部33にて変換された制御信号SGaを出力するインターフェース34と、を備えている。
【0066】
図2に示すように、第1アンテナ31及び第2アンテナ32は、互いに離間して配置されている。本実施形態では、両アンテナ31,32は、屋根22bの上面に取り付けられており、フォークリフト20の左右方向に離間して配置されている。
【0067】
なお、両アンテナ31,32の設置位置は、上記に限られず、任意である。例えば、第1アンテナ31が、屋根22bのうちフォークリフト20の前方部分に配置され、第2アンテナ32が屋根22bのうちフォークリフト20の後方部分に配置されてもよい。また、両アンテナ31,32は、左右方向及び前後方向の双方にずれて配置されてもよい。
【0068】
また、両アンテナ31,32の少なくとも一方がフレーム22aに設置されてもよい。両アンテナ31,32の離間距離は、両アンテナ31,32が同時にヌル点に配置されないように十分に離間していればよい。
【0069】
車両通信ユニット30は、両アンテナ31,32のうちいずれか一方を選択し、その選択されたアンテナを用いて、遠隔操作装置50に設けられたリモート通信ユニット53と信号の送受信を行う。詳細には、車両通信ユニット30は、リモート通信ユニット53から、遠隔操作に関する遠隔操作データが含まれた遠隔操作信号SGbを受信する。また、車両通信ユニット30は、受信された遠隔操作信号SGbが信号変換部33に入力されるように構成されている。
【0070】
ここで、遠隔操作信号SGbの信号形式は、無線通信に対応した形式であり、制御信号SGaの信号形式とは異なっている。信号変換部33は、信号形式(換言すれば信号形態)が異なる遠隔操作信号SGbと制御信号SGaとの信号変換を行う。なお、遠隔操作信号SGbは無線通信形式の信号とも言える。
【0071】
なお、遠隔操作信号SGbと制御信号SGaとは、信号形式については異なる一方、信号に含まれているデータ内容、詳細にはフォークリフト20の具体的な動作態様を決定付ける遠隔操作データについては同一となっている。すなわち、信号変換部33は、両通信ユニット30,53間でやり取りされる通信形式の信号であって遠隔操作に関する情報(遠隔操作データ)が設定された遠隔操作信号SGbを、車両CPU27が認識可能な通信形式の信号であって遠隔操作信号SGbに設定されていた上記遠隔操作に関する情報を有する制御信号SGaに変換するものとも言える。
【0072】
信号変換部33によって変換された制御信号SGaは、インターフェース34から車両CPU27に向けて出力される。これにより、車両CPU27には、遠隔操作信号SGbに対応する制御信号SGaが入力される。そして、車両CPU27が上記制御信号SGaに基づいて走行アクチュエータ25を駆動することにより、フォークリフト20は遠隔操作信号SGbに対応した走行を行う。
【0073】
ちなみに、本実施形態では、フォークリフト20は、遠隔操作が行われる場合には、走行速度が制限されるように構成されている。詳細には、フォークリフト20は、遠隔操作時の最大速度が、運転席21から直接操作される場合の最大速度と比較して低くなるように構成されている。
【0074】
図3に示すように、車両通信ユニット30は、車両無線メモリ35と、車両無線CPU36とを備えている。
車両無線メモリ35には、遠隔操作プログラム40が記憶されている。遠隔操作プログラム40には、各種処理を実行するための実行プログラム41〜43と、各種情報記憶部44とが含まれている。本実施形態では、遠隔操作プログラム40が「産業車両用遠隔操作プログラム」に対応する。
【0075】
車両無線CPU36は、車両無線メモリ35に記憶されている実行プログラム41〜43を読み出して各種処理を実行することにより、信号変換部33を制御する。この場合、車両無線CPU36は、遠隔操作モードに応じて、信号変換部33による信号変換を許可したり禁止したりする。車両無線CPU36の処理内容等については後述する。
【0076】
遠隔操作装置50は、無線通信機能を有する操作端末である。遠隔操作装置50は、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、又はヴァーチャルリアリティ端末等といった汎用品である。但し、これに限られず、遠隔操作装置50は、遠隔操作のための専用品であってもよい。
【0077】
遠隔操作装置50は、リモートCPU51と、リモートメモリ52と、操作装置通信部としてのリモート通信ユニット53と、タッチパネル54と、を備えている。
リモートCPU51は、リモートメモリ52に記憶されている各種プログラムを用いて各種処理を実行するものである。リモートCPU51は、リモート通信ユニット53及びタッチパネル54と電気的に接続されており、これらと信号のやり取りが可能となっている。
【0078】
リモート通信ユニット53は、車両通信ユニット30と無線通信が可能に構成されている。これにより、遠隔操作装置50とフォークリフト20との間で信号の送受信が可能となる。
【0079】
本実施形態では、車両通信ユニット30及びリモート通信ユニット53間の通信形式は、Wi−Fi(換言すればIEEE802.11規格の無線LAN)である。両通信ユニット30,53は、パケット通信によって信号の送受信を行う。すなわち、リモート通信ユニット53は、パケット通信によって、車両通信ユニット30に対して、Wi−Fiに対応した信号形式の信号である遠隔操作信号SGbを送信する。
【0080】
なお、Wi−Fiには、IEEE802.11aやIEEE802.11ac等といった複数の規格が存在するが、車両通信ユニット30及びリモート通信ユニット53間の通信形式は、上記複数の規格のうちいずれでもよい。また、両通信ユニット30,53の信号の送受信は、パケット通信に限られず任意である。
【0081】
図1に示すように、タッチパネル54は、遠隔操作装置50の一面に形成されている。タッチパネル54は、タッチセンサを有する表示画面で構成されている。タッチパネル54は、当該タッチパネル54に対する入力操作(タッチ)に関する信号をリモートCPU51に出力する。これにより、リモートCPU51は、タッチパネル54に対する各種入力操作、例えばタッチパネル54にアイコンが表示されている場合には当該アイコンがタッチされたか否か等を把握できる。すなわち、本実施形態のタッチパネル54は、操作者によって操作される入力部とも言えるし、入力操作を受け付ける受付部とも言える。
【0082】
リモートCPU51は、タッチパネル54の表示制御を行う。例えば、リモートCPU51は、フォークリフト20の遠隔操作を行う場合には、遠隔操作を行うための操作画面G0を表示する。これにより、操作者が遠隔操作に関する各種入力操作を行うことが可能となる。
【0083】
ちなみに、図1に示すように、操作画面G0には、例えば、フォークリフト20を前進させる前進アイコンIc1と、フォークリフト20を後退させる後退アイコンIc2と、フォークリフト20を左に曲げる左アイコンIc3と、フォークリフト20を右に曲げる右アイコンIc4と、が表示される。
【0084】
また、本実施形態では、操作画面G0には、現在の遠隔操作モードが表示される。遠隔操作モードについては後述する。タッチパネル54が「報知部」に対応する。但し、操作画面G0の表示内容としては、これに限られず、任意であり、例えばハンドル形状のアイコンが表示されてもよい。
【0085】
リモートメモリ52には、フォークリフト20を遠隔操作するための各種プログラムが記憶されている。例えば、リモートメモリ52には、遠隔操作信号SGbを生成し当該遠隔操作信号SGbを送信する遠隔操作信号送信処理を実行するための実行プログラムが記憶されている。
【0086】
リモートCPU51は、タッチパネル54に操作画面G0が表示されている状況において、リモートメモリ52に記憶されている上記実行プログラムを読み出し、遠隔操作信号送信処理を実行する。本実施形態では、遠隔操作信号送信処理は、予め定められた特定周期Taで定期的に実行される。すなわち、本実施形態の遠隔操作装置50は、遠隔操作信号SGbを特定周期Taで定期的に送信している。
【0087】
遠隔操作信号送信処理について説明する。
まず、リモートCPU51は、タッチパネル54への入力操作態様を把握する。例えば、操作画面G0に各アイコンIc1〜Ic4が表示されている場合には、リモートCPU51は、各アイコンIc1〜Ic4のいずれに対して入力操作(タッチ)が行われたのかを把握する。そして、リモートCPU51は、タッチパネル54の各アイコンIc1〜Ic4への入力操作態様に応じた遠隔操作信号SGbを生成する。
【0088】
遠隔操作信号SGbは、操作画面G0への入力操作態様に対応した内容の操作データを含む。例えば、リモートCPU51は、前進アイコンIc1が操作(タッチ)されたと把握した場合には、フォークリフト20の前進に対応した操作データが設定された遠隔操作信号SGbを生成する処理を実行する。一方、リモートCPU51は、右アイコンIc4が操作(タッチ)されたと把握した場合には、フォークリフト20の右折に対応した操作データが設定された遠隔操作信号SGbを生成する処理を実行する。その後、リモートCPU51は、リモート通信ユニット53を用いて遠隔操作信号SGbを送信する。
【0089】
ここで、本実施形態のリモートCPU51は、操作画面G0に対する入力操作がない場合、すなわち操作者が操作をしていない場合には、入力操作がないことを示す操作データ(例えばnullデータ)が設定された遠隔操作信号SGbを生成し、当該遠隔操作信号SGbを送信する。すなわち、本実施形態の遠隔操作装置50は、操作画面G0に対する入力操作の有無に関わらず、特定周期Taで遠隔操作信号SGbを送信するように構成されている。これにより、フォークリフト20(詳細には車両通信ユニット30)は、遠隔操作信号SGbを特定周期Taで定期的に受信する。
【0090】
ちなみに、リモート通信ユニット53は、遠隔操作信号SGbを一定の電波強度で送信する。このため、遠隔操作信号SGbの送信電波強度は、変動しないようになっている。
遠隔操作装置50から送信される遠隔操作信号SGbを用いてフォークリフト20の遠隔操作を行う構成においては、図2に示すように、遠隔操作信号SGbの送受信範囲である両通信ユニット30,53の通信範囲A0内にフォークリフト20が配置されていれば、遠隔操作装置50を用いた遠隔操作が可能となる。換言すれば、通信範囲A0は、遠隔操作装置50の遠隔操作可能範囲と言える。この場合、通信範囲A0によっては、遠隔操作装置50を操作する操作者が視認しにくい位置にフォークリフト20が配置されている場合であっても、フォークリフト20の遠隔操作が可能となるため、フォークリフト20の誤操作等が懸念される。
【0091】
特に、本実施形態では、両通信ユニット30,53の通信形式としてWi−Fiが採用されている。一般的に、Wi−Fiの通信範囲A0は、数十m〜百数十mの範囲となる場合がある。このため、操作者が視認しにくい過度に離れた位置でもフォークリフト20の遠隔操作を行うことが可能となる。
【0092】
これに対して、本実施形態の産業車両用遠隔操作システム10は、上記のような過度に離れた位置にフォークリフト20が配置されている場合には、遠隔操作装置50による遠隔操作が禁止されるように構成されている。詳細には、本実施形態の産業車両用遠隔操作システム10は、遠隔操作信号SGbの受信電波強度RSに基づいてフォークリフト20の位置を把握し、当該フォークリフト20の位置に基づいて、遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作を許可するか禁止するかを判定するように構成されている。
【0093】
図4を用いて受信電波強度RSについて説明する。図4は、受信電波強度RSと両通信ユニット30,53間の距離との関係を示すグラフであり、実線は理想曲線(又は複数のデータから導出される近似曲線)を示し、破線及び一点鎖線は、同一条件下で測定した実際の受信電波強度RSのグラフである。
【0094】
受信電波強度RSとは、リモート通信ユニット53から送信された遠隔操作信号SGbの強度と、車両通信ユニット30(詳細には両アンテナ31,32のいずれか一方)によって受信された遠隔操作信号SGbの強度との比率に基づいて算出されるパラメータである。
【0095】
図4に示すように、受信電波強度RSは、両通信ユニット30,53間の距離が大きくなるほど小さくなる。このため、車両通信ユニット30にて受信される遠隔操作信号SGbの受信電波強度RSに基づいて、両通信ユニット30,53間の距離を推定できる。
【0096】
かかる構成において、本実施形態の産業車両用遠隔操作システム10は、受信電波強度RSに基づいてフォークリフト20が許可範囲A1内に配置されているか、許可範囲A1よりも遠隔操作装置50から離れた禁止範囲A2内に配置されているかを判定する。そして、産業車両用遠隔操作システム10は、フォークリフト20が許可範囲A1内に配置されている場合には遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作を許可する一方、フォークリフト20が禁止範囲A2内に配置されている場合には遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作を禁止するように構成されている。なお、フォークリフト20は、走行中に遠隔操作が禁止された場合には、その場で停止する。
【0097】
図2に示すように、遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲A1は、遠隔操作装置50(リモート通信ユニット53)を中心とする範囲である。許可範囲A1は、禁止範囲A2と比較して、遠隔操作装置50に近い範囲であり、操作者がフォークリフト20を視認し易い適切な範囲であると想定される。本実施形態では、許可範囲A1は、障害物等がない状況において、遠隔操作装置50(リモート通信ユニット53)を中心とし第1距離L1を半径とする円の範囲を少なくとも含む。
【0098】
一方、遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作が禁止される禁止範囲A2は、許可範囲A1よりも外側に配置された範囲である。このため、禁止範囲A2は、許可範囲A1と比較して、操作者がフォークリフト20を視認しにくい範囲であると想定される。本実施形態では、禁止範囲A2は、遠隔操作装置50(リモート通信ユニット53)に対して少なくとも第2距離L2以上離れた範囲を含む。第2距離L2は、第1距離L1よりも長く設定されている。なお、第1距離L1及び第2距離L2の具体的な数値は、操作者の視認し易さを考慮して適宜設定されていればよい。例えば第1距離L1は5m以上且つ10m未満であってもよいし、第2距離L2は10m以上であってもよい。
【0099】
許可範囲A1及び禁止範囲A2は、通信範囲A0内に設定されている。詳細には、第1距離L1及び第2距離L2は、両通信ユニット30,53の通信可能距離よりも短く設定されている。
【0100】
また、第2距離L2は第1距離L1よりも長く設定されている関係上、許可範囲A1と禁止範囲A2との間には誤差対応範囲A3が設定されている。誤差対応範囲A3とは、受信電波強度RSの誤差を考慮して設定されている範囲である。本実施形態では、フォークリフト20が誤差対応範囲A3内に配置されている場合には、遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作が許可される場合もあるし、禁止される場合もある。
【0101】
受信電波強度RSと各範囲A1〜A3との関係について説明する。
本実施形態の産業車両用遠隔操作システム10は、受信電波強度RSが予め定められた閾値強度RSth以上である状態が第1判定期間T1に亘って継続された場合に、フォークリフト20が許可範囲A1内に配置されていると判定するように構成されている。一方、産業車両用遠隔操作システム10は、受信電波強度RSが閾値強度RSth未満である状態が第2判定期間T2に亘って継続された場合に、フォークリフト20が禁止範囲A2内に配置されていると判定するように構成されている。上記のような受信電波強度RSと両判定期間T1,T2とに基づいて、フォークリフト20が許可範囲A1内に配置されているか禁止範囲A2内に配置されているかを判定することを可否判定という。
【0102】
ここで、図4の破線や一点鎖線に示すように、受信電波強度RSには、誤差が大きいという特性がある。このため、実際に把握(検出)される受信電波強度RSは、理想曲線からずれる場合がある。
【0103】
本実施形態において、閾値強度RSthとは、例えば、受信電波強度RSの誤差に関わらず、第2距離L2に対応した受信電波強度RSよりも高くなるように設定されている。詳細には、閾値強度RSthは、理想曲線において第2距離L2に対応する受信電波強度RSに対して、想定される最大誤差又は標準偏差を加算した値よりも高く設定されている。これにより、受信電波強度RSに誤差が発生している条件下であっても、両通信ユニット30,53が第2距離L2よりも離れた場合には、受信電波強度RSが閾値強度RSth未満となる状態が第2判定期間T2以上に亘って継続され易いため、フォークリフト20が禁止範囲A2内に配置されていると判定され易い。
【0104】
また、本実施形態では、閾値強度RSthは、例えば理想曲線において第1距離L1に対応する受信電波強度RSに対して、想定される最大誤差又は標準偏差を減算した値よりも低く設定されている。これにより、受信電波強度RSに誤差が発生している条件下であっても、両通信ユニット30,53の距離が第1距離L1よりも短い場合には、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上となる状態が第1判定期間T1以上に亘って継続され易いため、フォークリフト20が許可範囲A1内に配置されていると判定され易い。なお、上記関係性に着目すれば、第1距離L1は、理想曲線において、閾値強度RSthに対して最大誤差又は標準偏差を加算した受信電波強度RSに対応する距離であるとも言える。
【0105】
ちなみに、本実施形態では、上記受信電波強度RSの誤差とは、測定誤差や高周波成分の誤差等を想定しており、フォークリフト20の設置環境の要因によって生じる受信電波強度RSの変動は含まれない。フォークリフト20の設置環境の要因によって生じる受信電波強度RSの変動とは、例えば受信電波強度RSが全体的に上下にシフトすることや、通信範囲A0内における特定の範囲(デッドスポットAx及びホットスポットAy)において局所的な変化が生じることである。これらフォークリフト20の設置環境に起因する受信電波強度RSの変動については第3実施形態及び第4実施形態にて説明する。
【0106】
許可範囲A1と禁止範囲A2との間に設けられている誤差対応範囲A3は、受信電波強度RSの誤差に対応する範囲であり、当該誤差対応範囲A3内にフォークリフト20が配置されている場合、受信電波強度RSの誤差に応じて、受信電波強度RSと閾値強度RSthとの比較結果が変わり得る。このため、フォークリフト20が誤差対応範囲A3内に配置されている場合には、フォークリフト20が許可範囲A1内に配置されていると判定される場合もあるし、禁止範囲A2内に配置されていると判定される場合もある。
【0107】
次に、図5を用いて遠隔操作装置50を用いたフォークリフト20の遠隔操作モードについて説明する。なお、フォークリフト20が通信範囲A0内に存在しない場合、すなわち両通信ユニット30,53が無線通信を行うことができない場合には、そもそも遠隔操作装置50による遠隔操作ができない。このため、以降の説明においては、フォークリフト20は、通信範囲A0内に存在しているものとする。
【0108】
本実施形態の産業車両用遠隔操作システム10は、遠隔操作装置50によるフォークリフト20の走行に関する遠隔操作モードを複数備えている。複数の遠隔操作モードには、初期モード、許可モード、警告モード及び禁止モードが含まれている。
【0109】
初期モードとは、遠隔操作の開始時に設定される遠隔操作モードである。遠隔操作の開始時とは、例えば遠隔操作装置50の電源ON時(起動時)や、遠隔操作に関するアプリケーションの起動時や、遠隔操作装置50とフォークリフト20との通信開始時や、遠隔操作装置50とフォークリフト20とのペアリング完了時等が考えられる。初期モードが上記のような状況にて設定される遠隔操作モードである関係上、初期モードでは、フォークリフト20の位置、すなわち、フォークリフト20が許可範囲A1内又は禁止範囲A2内のいずれに配置されているのかは不定である。そして、初期モードでは、遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作が禁止されている。
【0110】
許可モードは、フォークリフト20が許可範囲A1内に配置されていることを想定している遠隔操作モードである。許可モードは、走行に関する遠隔操作が許可されている遠隔操作モードである。
【0111】
警告モードは、フォークリフト20が許可範囲A1内から禁止範囲A2内に移動したことを想定している遠隔操作モードである。警告モードは、走行に関する遠隔操作が許可されている遠隔操作モードである。警告モードが「猶予モード」に対応する。
【0112】
禁止モードは、フォークリフト20が禁止範囲A2内に配置されていることを想定している遠隔操作モードである。
ここで、既に説明した通り、禁止範囲A2は通信範囲A0に含まれているため、フォークリフト20が禁止範囲A2内に配置されている場合であっても、両通信ユニット30,53の無線通信は可能となっている。この点、本実施形態の禁止モードは、両通信ユニット30,53の無線通信が行われる状況下であっても走行に関する遠隔操作が禁止されている遠隔操作モードである。すなわち、禁止モードとは、両通信ユニット30,53の無線通信を行うことができないことに起因して遠隔操作が行われない状態ではなく、両通信ユニット30,53の無線通信が行われる状況下において積極的に遠隔操作装置50による遠隔操作が禁止している遠隔操作モードであると言える。同様に、禁止範囲A2とは、両通信ユニット30,53の無線通信が行われる状況下であっても走行に関する遠隔操作が禁止される範囲である。なお、両通信ユニット30,53の無線通信が行われる状況下とは、遠隔操作信号SGb等の信号が正常に送受信できる状況であり、データ通信が可能となっている状況である。
【0113】
本実施形態では、車両無線CPU36が、遠隔操作モードの初期設定に係る遠隔操作開始処理と、遠隔操作モードに応じて信号変換部33による信号変換を許可又は禁止する信号変換制御処理と、可否判定及びその結果(可否判定結果)に基づいて遠隔操作モードを制御する遠隔操作モード制御処理と、を実行するように構成されている。
【0114】
以下、各処理の具体的な内容について説明する。
車両無線CPU36は、遠隔操作装置50による遠隔操作の開始時に、遠隔操作プログラム40に記憶されている遠隔操作開始処理実行プログラム41を読み出し、遠隔操作開始処理を実行する。
【0115】
図6を用いて遠隔操作開始処理について説明する。
まず、車両無線CPU36は、ステップS101にて、遠隔操作モードを初期モードに設定する。詳細には、遠隔操作プログラム40の各種情報記憶部44には、現在の遠隔操作モードを特定するための遠隔操作モード特定情報が含まれている。車両無線CPU36は、遠隔操作モード特定情報を、初期モードに対応した情報に更新する。
【0116】
その後、ステップS102にて、車両無線CPU36は、使用するアンテナとして第1アンテナ31を選択する。この場合、第1アンテナ31が選択アンテナとなり、車両無線CPU36は、選択アンテナの切り替えが行われるまで、第1アンテナ31を用いて信号の送受信を行う。
【0117】
続くステップS103では、車両無線CPU36は、遠隔操作モードが初期モードであることを通知するための初期モード通知処理を実行する。詳細には、車両無線CPU36は、第1アンテナ31を用いて初期モードに対応する情報が設定された通知信号をリモート通信ユニット53に送信する。そして、車両無線CPU36は、遠隔操作開始処理を終了する。
【0118】
リモートCPU51は、リモート通信ユニット53にて上記通知信号が受信された場合には、タッチパネル54を用いて初期モードであることを報知する。例えば、リモートCPU51は、操作画面G0に初期モードである旨を表示させる。
【0119】
車両無線CPU36は、遠隔操作開始処理の実行後、遠隔操作信号SGbを受信する度に遠隔操作プログラム40の信号変換制御処理実行プログラム42を読み出し、信号変換部33を制御する信号変換制御処理を実行する。
【0120】
図7を用いて信号変換制御処理について説明する。
図7に示すように、車両無線CPU36は、まずステップS201にて、遠隔操作モード特定情報を参照することにより、現在の遠隔操作モードを把握する。
【0121】
続くステップS202では、車両無線CPU36は、第1アンテナ31又は第2アンテナ32(換言すれば選択アンテナ)を用いて、今回の信号変換制御処理の実行契機となった遠隔操作信号SGbが受信できたことを示す返信信号SGcをリモート通信ユニット53に送信する。
【0122】
リモートCPU51は、リモート通信ユニット53にて返信信号SGcが受信されたことに基づいて、遠隔操作信号SGbの送信が正常に完了したことを確認する。すなわち、遠隔操作の実行中、両通信ユニット30,53間では、遠隔操作信号SGbと返信信号SGcとの送受信が定期的に行われている。
【0123】
ステップS203では、車両無線CPU36は、ステップS201にて把握された現在の遠隔操作モードが許可モード又は警告モードであるか否かを判定する。
車両無線CPU36は、現在の遠隔操作モードが許可モード又は警告モードである場合には、ステップS204に進み、遠隔操作信号SGbを制御信号SGaに変換するように信号変換部33を制御して、本信号変換制御処理を終了する。これにより、インターフェース34を介して、制御信号SGaが車両CPU27に出力される。
【0124】
一方、車両無線CPU36は、現在の遠隔操作モードが初期モード又は禁止モードである場合には、ステップS203を否定判定し、ステップS205に進む。そして、車両無線CPU36は、ステップS205にて、信号変換部33による信号変換を禁止する信号変換禁止処理を実行して、本信号変換制御処理を終了する。信号変換制御処理では、車両CPU27に向けて制御信号SGaが出力されない。
【0125】
かかる構成によれば、遠隔操作モードが許可モード又は警告モードである場合には、遠隔操作信号SGbに対応した制御信号SGaが車両CPU27に出力され、車両CPU27によって制御信号SGaに対応した各アクチュエータ25,26の制御が行われる。これにより、遠隔操作装置50によるフォークリフト20の遠隔操作が行われる。
【0126】
一方、遠隔操作モードが初期モード又は禁止モードである場合には、遠隔操作信号SGbに対応した制御信号SGaが車両CPU27に出力されない。このため、遠隔操作装置50によるフォークリフト20の遠隔操作が行われない。
【0127】
ちなみに、本実施形態では、遠隔操作モードが初期モード又は禁止モードである場合には、遠隔操作信号SGbから制御信号SGaへの変換が行われないため、走行を含む全ての動作の遠隔操作が禁止されている。このため、遠隔操作モードが初期モード又は禁止モードである場合には、フォーク24の遠隔操作なども禁止されている。
【0128】
また、車両無線CPU36は、遠隔操作信号SGbを受信する度に、遠隔操作プログラム40の遠隔操作モード制御処理実行プログラム43を読み出し、遠隔操作モード制御処理を実行する。遠隔操作信号SGbが特定周期Taで定期的に送信されることに対応させて、当該遠隔操作モード制御処理は、特定周期Taで定期的に実行される。すなわち、車両無線CPU36は、遠隔操作信号SGbを受信することに基づいて、信号変換制御処理と遠隔操作モード制御処理との双方を実行する。
【0129】
図8及び図9を用いて遠隔操作モード制御処理について説明する。
図8に示すように、車両無線CPU36は、まずステップS301にて、現在、可否判定中であるか否かを判定する。詳細には、各種情報記憶部44には、可否判定中であるか否かを特定するための判定中フラグが記憶される判定中フラグ記憶領域が設けられている。車両無線CPU36は、判定中フラグ記憶領域に判定中フラグが記憶されている場合には、可否判定中であると判定する一方、判定中フラグが記憶されていない場合には、可否判定中でないと判定する。なお、判定中フラグは、初期状態においてOFFである。
【0130】
車両無線CPU36は、可否判定中である場合には、ステップS304に進む一方、可否判定中でない場合には、ステップS302及びステップS303にて、可否判定を開始するための初期設定を実行し、ステップS304に進む。
【0131】
詳細には、車両無線CPU36は、ステップS302にて、判定中フラグをONに設定し、各種情報記憶部44に設けられているアンテナ切替フラグ記憶領域におけるアンテナ切替フラグをOFFに設定する。アンテナ切替フラグは、可否判定中に選択アンテナの切り替えが行われたか否かを判定するためのフラグである。
【0132】
続くステップS303では、車両無線CPU36は、各種情報記憶部44に設けられている第1カウンタC1及び第2カウンタC2を「0」に設定する。第1カウンタC1は、第1判定期間T1をカウントするのに用いられるカウンタであり、第2カウンタC2は、第2判定期間T2をカウントするのに用いられるカウンタである。
【0133】
図9に示すように、車両無線CPU36は、ステップS304では、今回の遠隔操作モード制御処理の実行契機となった遠隔操作信号SGbの受信電波強度RSを把握する。詳細には、車両無線CPU36は、選択アンテナにて受信された遠隔操作信号SGbの強度(換言すれば受信電力)を検出する。また、各種情報記憶部44には、遠隔操作信号SGbの送信強度(換言すれば送信電力)に関する情報が記憶されている。車両無線CPU36は、これらの値から受信電波強度RSを算出する。ステップS304の処理が「把握ステップ」に対応し、ステップS304の処理を実行する車両無線CPU36が「把握部」に対応する。
【0134】
なお、車両通信ユニット30は、車両無線CPU36とは別に、受信電波強度RSを算出する専用のハード回路を有する構成でもよい。この場合、車両無線CPU36は、上記ハード回路からの信号に基づいて受信電波強度RSを把握する。
【0135】
その後、ステップS305では、車両無線CPU36は、ステップS304にて把握された受信電波強度RSが閾値強度RSth以上であるか否かを判定する。
詳細には、図3に示すように、各種情報記憶部44には、閾値強度RSthに関する情報である閾値情報D1が記憶された記憶部としての閾値情報記憶部44aが設けられている。ステップS305では、車両無線CPU36は、閾値情報記憶部44aに記憶されている閾値情報D1を読み出し、当該閾値情報D1に設定されている閾値強度RSthを用いて可否判定を行う。詳細には、車両無線CPU36は、ステップS304にて把握された受信電波強度RSが閾値情報D1に設定されている閾値強度RSth以上であるか否かを判定する。閾値強度RSthについては上述したとおりである。
【0136】
本実施形態では、閾値情報D1は、閾値強度RSthの数値データそのものである。但し、これに限られず、閾値情報D1は、閾値強度RSthを一義的に導出することができる情報であれば任意であり、所定の関数データなどでもよい。
【0137】
また、本実施形態では、閾値情報記憶部44aに記憶されている閾値情報D1は、更新可能なデータであってもよいし、更新不能なデータであってもよい。すなわち、本実施形態の閾値強度RSthは、可変値でもよいし、固定値でもよい。
【0138】
車両無線CPU36は、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上である場合には、ステップS306に進む。
ステップS306では、車両無線CPU36は、第1カウンタC1をカウントアップ(インクリメント)する。詳細には、車両無線CPU36は、第1カウンタC1を「1」加算する。そして、車両無線CPU36は、第2カウンタC2を「0」に設定する。
【0139】
続くステップS307では、車両無線CPU36は、第1カウンタC1が予め定められた第1規定値Cth1以上であるか否かを判定する。第1規定値Cth1は、第1判定期間T1に対応させて設定されており、詳細には第1判定期間T1を特定周期Taで除算した値である。第1規定値Cth1は、「2」以上の数値である。このため、第1判定期間T1は、特定周期Taの2倍以上となっている。
【0140】
ここで、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上である場合には、1回の遠隔操作モード制御処理にて第1カウンタC1がインクリメントされることを鑑みれば、ステップS307の処理は、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上である状態が第1判定期間T1以上継続しているか否かを判定する処理とも言える。
【0141】
車両無線CPU36は、第1カウンタC1が第1規定値Cth1未満である場合には、ステップS322に進む。一方、第1カウンタC1が第1規定値Cth1以上である場合には、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上である状態が第1判定期間T1に亘って継続されたことを意味する。この場合、車両無線CPU36は、フォークリフト20が許可範囲A1内に配置されている、すなわち今回の可否判定結果は許可範囲A1内であると判定し、ステップS308〜ステップS310にて、許可モードに対応する処理を実行する。
【0142】
詳細には、ステップS308では、車両無線CPU36は、遠隔操作モードを許可モードに設定する処理を実行する。例えば、現在の遠隔操作モードが初期モード、警告モード又は禁止モードである場合には、車両無線CPU36は、遠隔操作モードを、これらのモードから許可モードに移行させる。詳細には、車両無線CPU36は、遠隔操作モード特定情報を、許可モードに対応した情報に更新する。なお、車両無線CPU36は、遠隔操作モードが許可モードである場合、ステップS308にて許可モードを維持する処理を実行する。
【0143】
続くステップS309では、車両無線CPU36は、今回の可否判定が終了したことを示すために、判定中フラグをOFFに設定する。そして、車両無線CPU36は、ステップS310にて、遠隔操作モードが許可モードであることを通知するための許可モード通知処理を実行して、本遠隔操作モード制御処理を終了する。詳細には、車両無線CPU36は、選択アンテナを用いて、許可モードに対応する情報が設定された通知信号をリモート通信ユニット53に送信する。
【0144】
リモートCPU51は、リモート通信ユニット53にて上記通知信号が受信された場合には、タッチパネル54を用いて許可モードであることを報知する。例えば、リモートCPU51は、操作画面G0に許可モードである旨を表示させる。
【0145】
図9に示すように、車両無線CPU36は、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上ではない場合、すなわち受信電波強度RSが閾値強度RSth未満である場合には、ステップS305を否定判定し、ステップS311に進む。
【0146】
ステップS311では、車両無線CPU36は、選択アンテナが切り替え済みであるか否かを判定する。詳細には、車両無線CPU36は、アンテナ切替フラグがON(セット)されているか否かを判定する。
【0147】
アンテナ切替フラグがOFFである場合、今回の可否判定において選択アンテナの切り替えは未だ行われていないことを意味する。この場合、車両無線CPU36は、ステップS312にて、選択アンテナを切り替えるアンテナ切替処理を実行する。詳細には、車両無線CPU36は、現在選択アンテナとして第1アンテナ31が選択されている場合には、選択アンテナを、第1アンテナ31から第2アンテナ32に切り替える。一方、車両無線CPU36は、現在選択アンテナとして第2アンテナ32が選択されている場合には、選択アンテナを、第2アンテナ32から第1アンテナ31に切り替える。これにより、今回の遠隔操作モード制御処理の実行契機となった遠隔操作信号SGbに対して次以降の遠隔操作信号SGbは、切替先の選択アンテナを用いて受信されることとなる。
【0148】
その後、ステップS313では、車両無線CPU36は、アンテナ切替フラグをONに設定して、ステップS322に進む。これにより、今回の可否判定において、選択アンテナの切り替えが行われたことが特定できる。すなわち、本実施形態では、1回の可否判定において、選択アンテナの切り替えが行われる規定回数は「1回」である。
【0149】
一方、アンテナ切替フラグがONである場合には、今回の可否判定において既に選択アンテナの切り替えが行われたことを意味する。すなわち、切り替え済みの選択アンテナで受信した遠隔操作信号SGbの受信電波強度RSが閾値強度RSth未満であることを意味する。この場合、車両無線CPU36は、ステップS311を肯定判定し、ステップS314に進む。
【0150】
ステップS314では、車両無線CPU36は、第2カウンタC2をカウントアップ(インクリメント)する。詳細には、車両無線CPU36は、第2カウンタC2を「1」加算する。
【0151】
また、ステップS314では、車両無線CPU36は、第1カウンタC1を「0」に設定する。すなわち、車両無線CPU36は、第1カウンタC1が第1規定値Cth1に到達する前に、受信電波強度RSが閾値強度RSth未満となった場合には、第1カウンタC1を「0」にリセットする。これにより、第1カウンタC1が断続的にカウントアップされて第1規定値Cth1に到達することが回避されている。第2カウンタC2についても同様である。
【0152】
続くステップS315では、車両無線CPU36は、第2カウンタC2が予め定められた第2規定値Cth2以上であるか否かを判定する。第2規定値Cth2は、第2判定期間T2に対応させて設定されており、詳細には第2判定期間T2を特定周期Taで除算した値である。第2規定値Cth2は、「2」以上の数値である。このため、第2判定期間T2は、特定周期Taの2倍以上となっている。
【0153】
なお、本実施形態では、第1規定値Cth1と第2規定値Cth2とは同一である。但し、これに限られず、両者は異なる値であってもよい。すなわち、第1判定期間T1と第2判定期間T2とは、同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0154】
車両無線CPU36は、第2カウンタC2が第2規定値Cth2未満である場合には、ステップS322に進む。一方、第2カウンタC2が第2規定値Cth2以上である場合には、受信電波強度RSが閾値強度RSth未満である状態が第2判定期間T2に亘って継続されたことを意味する。この場合、車両無線CPU36は、フォークリフト20が禁止範囲A2内に配置されている、すなわち今回の可否判定結果は禁止範囲A2内であると判定し、ステップS316以降の処理を実行する。
【0155】
ステップS316では、車両無線CPU36は、今回の可否判定が終了したことを示すために、判定中フラグをOFFに設定する。その後、車両無線CPU36は、ステップS317にて、遠隔操作モード特定情報を参照することにより、現在の遠隔操作モードが許可モードであるか否か(すなわち許可モード中であるか否か)を判定する。
【0156】
車両無線CPU36は、現在の遠隔操作モードが許可モードである場合には、ステップS318〜ステップS320にて、遠隔操作モードを、許可モードから警告モードに移行させるための処理を実行する。
【0157】
詳細には、車両無線CPU36は、ステップS318にて、遠隔操作モードを警告モードに設定する処理を実行する。詳細には、車両無線CPU36は、遠隔操作モード特定情報を、警告モードに対応した情報に更新する。続くステップS319では、車両無線CPU36は、猶予期間T3をカウントするための第3カウンタC3を「0」にセットし、猶予期間T3のカウントをスタートさせる。そして、車両無線CPU36は、ステップS320にて、遠隔操作モードが警告モードであることを通知するための警告モード通知処理を実行して、本遠隔操作モード制御処理を終了する。詳細には、車両無線CPU36は、選択アンテナを用いて、警告モードに対応する情報が設定された通知信号をリモート通信ユニット53に送信する。
【0158】
リモートCPU51は、リモート通信ユニット53にて上記通知信号が受信された場合には、タッチパネル54を用いて警告モードであることを報知する。例えば、リモートCPU51は、操作画面G0に警告モードである旨を表示させる。
【0159】
図9に示すように、車両無線CPU36は、現在の遠隔操作モードが許可モードではない場合には、ステップS317を否定判定し、ステップS321にて、遠隔操作モード特定情報を参照することにより、現在の遠隔操作モードが初期モードであるか否か(すなわち初期モード中であるか否か)を判定する。
【0160】
車両無線CPU36は、現在の遠隔操作モードが初期モードである場合には、ステップS325に進む一方、現在の遠隔操作モードが初期モードでない場合、すなわち現在の遠隔操作モードが警告モード又は禁止モードである場合には、ステップS322に進む。
【0161】
ステップS322では、車両無線CPU36は、遠隔操作モード特定情報を参照することにより、現在の遠隔操作モードが警告モードであるか否か(すなわち警告モード中であるか否か)を判定する。
【0162】
車両無線CPU36は、現在の遠隔操作モードが警告モードでない場合には、そのまま本遠隔操作モード制御処理を終了する一方、現在の遠隔操作モードが警告モードである場合には、ステップS323に進み、第3カウンタC3をカウントアップ(インクリメント)する。
【0163】
その後、車両無線CPU36は、ステップS324にて、第3カウンタC3が猶予規定値Cth3以上であるか否かを判定する。猶予規定値Cth3は、予め定められた猶予期間T3を特定周期Taで除算した値である。猶予期間T3は、警告モードの実行期間である。
【0164】
猶予期間T3は、例えば第1判定期間T1及び第2判定期間T2よりも長く設定されている。詳細には、猶予期間T3は、第1判定期間T1及び第2判定期間T2に対して複数倍以上に設定されている。このため、警告モード中に可変判定が複数回実行され得る。
【0165】
なお、例えば、猶予期間T3は、閾値強度RSthに対応する距離Lxと第2距離L2との差を、遠隔操作時のフォークリフト20の最大速度で除算した値よりも短く設定されていてもよい。
【0166】
車両無線CPU36は、第3カウンタC3が猶予規定値Cth3未満である場合には、そのまま本遠隔操作モード制御処理を終了して、警告モードを継続する。一方、車両無線CPU36は、第3カウンタC3が猶予規定値Cth3以上である場合には、ステップS325及びステップS326にて、遠隔操作モードを、警告モードから禁止モードに移行させるための処理を実行する。
【0167】
詳細には、車両無線CPU36は、ステップS325にて、遠隔操作モードを禁止モードに設定する処理を実行する。詳細には、車両無線CPU36は、遠隔操作モード特定情報を、禁止モードに対応した情報に更新する。
【0168】
なお、ステップS325では、車両無線CPU36は、停止に対応した制御信号SGaがインターフェース34を介して車両CPU27に送信されるように信号変換部33を制御する。車両CPU27は、上記停止に対応した制御信号SGaが入力されることに基づいて、停止するように走行アクチュエータ25を制御する。これにより、フォークリフト20は、移動中に遠隔操作モードが警告モードから禁止モードに移行した場合には、走行に関する遠隔操作が禁止された状態でその場で停止する。
【0169】
そして、車両無線CPU36は、ステップS326にて、遠隔操作モードが禁止モードであることを通知するための禁止モード通知処理を実行して、本遠隔操作モード制御処理を終了する。詳細には、車両無線CPU36は、選択アンテナを用いて、禁止モードに対応する情報が設定された通知信号をリモート通信ユニット53に送信する。
【0170】
リモートCPU51は、リモート通信ユニット53にて上記通知信号が受信された場合には、タッチパネル54を用いて禁止モードであることを報知する。例えば、リモートCPU51は、操作画面G0に禁止モードである旨を表示させる。
【0171】
ちなみに、既に説明した通り、遠隔操作モード制御処理は、特定周期Taで定期的に実行されるため、車両無線CPU36は、特定周期Taで定期的に受信電波強度RSを把握し、受信電波強度RSが把握される度にその把握された受信電波強度RSと閾値強度RSthとを比較している。そして、両判定期間T1,T2は、特定周期Taの2倍以上に設定されているため、1回の可否判定結果が得られるまでに、受信電波強度RSの把握と、受信電波強度RS及び閾値強度RSthの比較とが複数回に亘って行われる。
【0172】
本実施形態では、ステップS305、ステップS307及びステップS315の処理が「可否判定」又は「可否判定ステップ」に対応し、ステップS305、ステップS307及びステップS315の処理を実行する車両無線CPU36が「可否判定部」に対応する。ステップS305の処理を実行する車両無線CPU36が「比較部」に対応する。そして、ステップS101、ステップS308、ステップS318及びステップS325の処理を実行する車両無線CPU36が「遠隔操作モード制御部」に対応する。ステップS102及びステップS312の処理を実行する車両無線CPU36が「アンテナ選択部」に対応し、ステップS311及びステップS313の処理を実行する車両無線CPU36が「切替禁止部」に対応する。すなわち、本実施形態では、フォークリフト20が、「把握部」及び「可否判定部」等を備えている。
【0173】
また、本実施形態では、閾値強度RSthが「第1閾値強度」及び「第2閾値強度」に対応する。換言すれば、本実施形態では、「第1閾値強度」と「第2閾値強度」とは同一である。
【0174】
ちなみに、遠隔操作装置50(詳細にはリモート通信ユニット53)は、遠隔操作の実行中、遠隔操作モードに関わらず、特定周期Taで遠隔操作信号SGbを送信し続ける。例えば、リモート通信ユニット53は、遠隔操作モードが禁止モードである場合であっても遠隔操作信号SGbの送信を定期的に実行する。このため、遠隔操作モードが禁止モードである状況においても、遠隔操作装置50とフォークリフト20との間では信号の送受信が行われる。
【0175】
そして、車両無線CPU36は、遠隔操作信号SGbを受信する度に遠隔操作モード制御処理を実行するため、遠隔操作モードが禁止モードである場合であっても、遠隔操作モード制御処理が実行される。
【0176】
なお、現在の遠隔操作モードが禁止モードである場合には、車両無線CPU36は、遠隔操作モード制御処理にて定期的に可否判定を行う。すなわち、車両無線CPU36は、遠隔操作モードに関わらず定期的に可否判定を行う。
【0177】
そして、車両無線CPU36は、可否判定結果が禁止範囲A2内である場合には、そのまま禁止モードを維持する一方、可否判定結果が許可範囲A1内である場合には、遠隔操作モードを、禁止モードから許可モードに移行させる。すなわち、本実施形態における禁止モードから許可モードへの移行条件は、遠隔操作モードが禁止モードである状況下において可否判定結果が許可範囲A1内となることである。但し、これに限られず、禁止モードから許可モードへの移行条件は任意である。
【0178】
また、可否判定が終了することによって可否判定フラグがOFFとなった場合、当該可否判定フラグがOFFとなった遠隔操作モード制御処理に対して次の遠隔操作モード制御処理から、再度可否判定が行われる。当該可否判定は、遠隔操作モードに関わらず繰り返し実行される。すなわち、産業車両用遠隔操作システム10は、遠隔操作モードがいずれであっても、可否判定が繰り返し実行されるように構成されている。
【0179】
図10を用いて上記遠隔操作モード制御処理から導出される各遠隔操作モードの相関関係について説明する。
図10に示すように、許可モード中である状況において、可否判定結果が禁止範囲A2内となったことに基づいて、遠隔操作モードが許可モードから警告モードに移行する。
【0180】
警告モード中である状況において可否判定結果が許可範囲A1内となることに基づいて、遠隔操作モードが警告モードから許可モードに移行する。すなわち、本実施形態において遠隔操作モードが警告モードから許可モードに移行するための許可モード移行条件は、警告モード中に可否判定結果が許可範囲A1内になることである。
【0181】
また、警告モード中である状況において、可否判定結果が許可範囲A1内になることなく猶予期間T3が経過した場合には、遠隔操作モードが警告モードに禁止モードに移行する。すなわち、本実施形態における警告モードから禁止モードへの移行する条件である禁止モード移行条件は、(A)許可モードから警告モードに移行してから猶予期間T3が経過すること、及び、(B)猶予期間T3が経過するまでに可否判定結果が許可範囲A1内にならなかったことである。(B)の条件は、猶予期間T3中に行われた可否判定の結果が全て禁止範囲A2内であったこととも言える。
【0182】
なお、既に説明した通り、可否判定は禁止モード中にも実行され、禁止モード中に可否判定結果が許可範囲A1内となった場合には、遠隔操作モードが禁止モードから許可モードに移行する。
【0183】
遠隔操作モードが初期モードである状況においては、最初の可否判定結果によって遠隔操作モードの移行先が異なる。詳細には、可否判定結果が許可範囲A1内である場合には、遠隔操作モードが初期モードから許可モードに移行する一方、可否判定結果が禁止範囲A2内である場合には、遠隔操作モードが初期モードから禁止モードに移行する。なお、本実施形態の産業車両用遠隔操作システム10は、許可モード、警告モード又は禁止モードから、初期モードへの移行は発生しないように構成されている。
【0184】
次に本実施形態の作用について説明する。
まず、遠隔操作モードが許可モードである状況と、遠隔操作モードが禁止モードである状況とについて説明する。
【0185】
図11に示すように、フォークリフト20が遠隔操作装置50に対して比較的近くに配置されている場合、詳細にはフォークリフト20が許可範囲A1内に配置されている場合、遠隔操作モードが許可モードに設定される。この場合、遠隔操作装置50によるフォークリフト20の遠隔操作が可能となっている。また、図12に示すように、遠隔操作モードが許可モードである場合には、操作画面G0には、許可モードである旨の表示が存在している。これにより、操作者は、許可モード中であり、本遠隔操作装置50を用いた遠隔操作が許可されていることを認識できる。
【0186】
一方、図13に示すように、フォークリフト20が遠隔操作装置50に対して比較的遠くに配置されている場合、詳細にはフォークリフト20が禁止範囲A2内に配置されている場合、遠隔操作モードは、警告モードを介して、許可モードから禁止モードに移行する。この場合、遠隔操作装置50によるフォークリフト20の遠隔操作が禁止される。また、図14に示すように、遠隔操作モードが禁止モードである場合には、操作画面G0には、禁止モードである旨の表示が存在している。これにより、操作者は、禁止モード中であり、本遠隔操作装置50を用いた遠隔操作が禁止されていることを認識できる。
【0187】
以上のことから、遠隔操作装置50を用いたフォークリフト20の遠隔操作は、操作者が視認し易い比較的近い範囲(許可範囲A1又は誤差対応範囲A3)内に限られ、上記範囲から離れた位置(禁止範囲A2内)から行うことができないように制限されている。すなわち、産業車両用遠隔操作システム10は、遠隔操作装置50によるフォークリフト20の遠隔操作を、両通信ユニット30,53の通信範囲A0よりも狭い範囲に制限しているとも言える。
【0188】
次に図15及び図16を用いて遠隔操作モードの移行態様について説明する。図15及び図16は、フォークリフト20の位置変動に伴う各要素の変化態様を示すタイムチャートである。図15及び図16において、(a)はフォークリフト20の位置を示し、(b)は受信電波強度RSと閾値強度RSthとの比較結果を示し、(c)は可否判定結果を示し、(d)遠隔操作モードを示し、(e)は遠隔操作の可否(許可/禁止)を示す。なお、図示の都合上、各期間T1〜T3及び特定周期Taについては実際の比率とは異ならせて示す。
【0189】
まず、図15を用いて第1のパターンについて説明する。第1のパターンは、図15(a)に示すように、フォークリフト20が許可範囲A1内から禁止範囲A2内に移動し、そのまま禁止範囲A2内に配置されているパターンである。
【0190】
まず、図15(a)に示すように、t1のタイミングでは、フォークリフト20は許可範囲A1内に配置されている。この場合、図15(b)及び図15(c)に示すように、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上であり、可否判定結果が許可範囲A1内となったとする。すると、図15(d)に示すように、遠隔操作モードは許可モードに維持される。このため、図15(e)に示すように、遠隔操作が許可されている。
【0191】
その後、図15(a)及び図15(b)に示すように、受信電波強度RSの誤差によって、t2のタイミングにて、フォークリフト20が許可範囲A1内に配置されているにも関わらず、受信電波強度RSが閾値強度RSth未満となったとする。これにより、第1カウンタC1がリセットされ、第2カウンタC2のカウントがスタートする。
【0192】
ここで、可否判定には、継続期間(第1判定期間T1及び第2判定期間T2)が判定条件に含まれているため、図15(c)に示すように、直ちに可否判定結果が禁止範囲A2内になることはない。このため、図15(d)及び図15(e)に示すように、遠隔操作モードは許可モードに維持されるとともに、遠隔操作装置50を用いた遠隔操作も許可された状態を維持する。
【0193】
その後、t2のタイミングに対して特定周期Taが経過した後であるt3のタイミングにて、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上となったとする。すなわち、受信電波強度RSが閾値強度RSth未満という判定結果が得られた遠隔操作モード制御処理に対して次の遠隔操作モード制御処理では、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上という判定結果が得られたとする。この場合、t3のタイミングから、再度第1カウンタC1のカウントがスタートする。そして、t3のタイミングから第1判定期間T1が経過したt4のタイミングにて、許可範囲A1内である可否判定結果が得られる。
【0194】
その後、図15(a)に示すように、t5のタイミングにて、フォークリフト20が許可範囲A1内から禁止範囲A2内に移動したとする。この場合、図15(b)に示すように、受信電波強度RSが閾値強度RSth未満となる。これにより、第2判定期間T2のカウントがスタートする。
【0195】
そして、図15(c)に示すように、t5のタイミングから第2判定期間T2が経過したt6のタイミングにて、禁止範囲A2内という可否判定結果が得られる。これにより、図15(d)に示すように、遠隔操作モードが許可モードから警告モードに移行する。この場合、図15(e)に示すように、遠隔操作は許可された状態を維持する。
【0196】
その後、図15(c)に示すように、t7のタイミングにて、警告モード中において1回目の可否判定結果が得られる。当該可否判定結果は、禁止範囲A2内である。このため、遠隔操作モードは、許可モードに移行することなく、警告モードを維持する。
【0197】
図15(b)に示すように、t8のタイミングにて、受信電波強度RSの誤差に起因して受信電波強度RSが一旦閾値強度RSth以上となり、t8タイミングから特定周期Taが経過したt9のタイミングにて、再度受信電波強度RSが閾値強度RSth未満となったとする。この場合、t8のタイミングにて、第2カウンタC2のカウントがリセットされ、第1カウンタC1のカウントがスタートする。その後、t9のタイミングにて、第1カウンタC1のカウントがリセットされ、第2カウンタC2のカウントがスタートする。
【0198】
ここで、可否判定には、継続期間(第1判定期間T1及び第2判定期間T2)が判定条件に含まれているため、図15(c)に示すように、t8のタイミングにて、直ちに可否判定結果が許可範囲A1内になることはない。このため、図15(d)に示すように、遠隔操作モードは警告モードに維持される。
【0199】
そして、t9のタイミングから第2判定期間T2が経過したt10のタイミングにて、禁止範囲A2内に対応した可否判定結果が得られる。この場合、遠隔操作モードは、許可モードに移行することなく、警告モードを維持する。
【0200】
その後、図15(d)に示すように、遠隔操作モードが警告モードに移行してから、猶予期間T3が経過したt11のタイミングにて、遠隔操作モードが警告モードから禁止モードに移行する。これにより、図15(e)に示すように、遠隔操作が禁止される。
【0201】
すなわち、本実施形態では、フォークリフト20が許可範囲A1内から禁止範囲A2内に移動した場合、所定の猶予期間T3が付与された後に、遠隔操作が禁止される。換言すれば、本実施形態の禁止範囲A2とは、当該禁止範囲A2内にフォークリフト20が配置されていることによって直ちに遠隔操作が禁止される範囲ではなく、所定の猶予期間T3が付与された後に遠隔操作が禁止される範囲と言える。
【0202】
次に図16を用いて第2のパターンについて説明する。第2のパターンは、図16(a)に示すように、フォークリフト20が許可範囲A1内から禁止範囲A2内に移動し、その後猶予期間T3中に禁止範囲A2内から許可範囲A1内に移動したパターンである。
【0203】
図16(a)〜図16(e)に示すように、t21のタイミング〜t27のタイミングまでの動作は、t1のタイミング〜t7のタイミングまでの動作と同様である。
第2のパターンでは、遠隔操作モードが警告モードとなったことに基づいて、操作者がフォークリフト20を遠隔操作装置50に近づけるように操作したとする。この場合、図16(a)及び図16(d)に示すように、遠隔操作モードが警告モードに移行してから猶予期間T3が経過する前のタイミングであるt28のタイミングにて、フォークリフト20が禁止範囲A2内から許可範囲A1内に移動する。これに伴い、図16(b)に示すように、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上となる。
【0204】
そして、t28のタイミングから第1判定期間T1が経過したt29のタイミングにて、可否判定結果が許可範囲A1内となる。これにより、図16(d)に示すように、遠隔操作モードが警告モードから許可モードに移行する。このため、遠隔操作が禁止されることが回避される。
【0205】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)産業車両用遠隔操作システム10は、車両通信ユニット30を有するフォークリフト20と、リモート通信ユニット53を有し、フォークリフト20を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置50とを備えている。産業車両用遠隔操作システム10の車両無線CPU36は、両通信ユニット30,53間で無線通信が行われる遠隔操作信号SGbの受信電波強度RSを把握し、その把握結果に基づいて可否判定を行う。可否判定は、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上である状態が第1判定期間T1に亘って継続した場合に許可範囲A1内にフォークリフト20が存在すると判定する一方、受信電波強度RSが閾値強度RSth未満である状態が第2判定期間T2に亘って継続した場合に禁止範囲A2内にフォークリフト20が存在すると判定する処理である。許可範囲A1は、遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作が許可されている範囲であり、禁止範囲A2は、両通信ユニット30,53の無線通信が行われる状況下であっても遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作が禁止される範囲である。
【0206】
かかる構成によれば、受信電波強度RSに基づいて、フォークリフト20が許可範囲A1内又は禁止範囲A2内のいずれに配置されているかが判定される。禁止範囲A2は、許可範囲A1よりも離れた範囲である。これにより、遠隔操作装置50を操作する操作者がフォークリフト20を視認しにくい過度に離れた位置から当該フォークリフト20の走行に関する遠隔操作を行うことを抑制できる。したがって、フォークリフト20の走行に関する誤操作を抑制でき、安全性の向上を図ることができる。
【0207】
特に、禁止範囲A2は、両通信ユニット30,53の無線通信が行われる状況下であっても遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作が禁止される範囲である。これにより、通信範囲A0が適切な範囲(例えば操作者がフォークリフト20を十分に視認しながら走行に関する遠隔操作を行うことができる範囲)よりも広い場合であっても、遠隔操作装置50による走行に関する遠隔操作ができる範囲を適切な範囲に制限できる。よって、安全性の向上を図ることができる。
【0208】
また、本実施形態の可否判定は、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上である状態が第1判定期間T1に亘って継続することと、受信電波強度RSが閾値強度RSth未満である状態が第2判定期間T2に亘って継続することとを採用している。これにより、受信電波強度RSの誤差に起因して受信電波強度RSと閾値強度RSthとの比較において誤判定が生じた場合であっても、可否判定結果が誤った結果になりにくい。したがって、受信電波強度RSの誤差がある条件下であっても、可否判定結果の精度向上を図ることができる。よって、受信電波強度RSの誤差に起因する可否判定結果の誤り、すなわちフォークリフト20が許可範囲A1内に配置されているにも関わらず可否判定結果が禁止範囲A2内となったり、フォークリフト20が禁止範囲A2内に配置されているにも関わらず可否判定結果が許可範囲A1内となったりすることを抑制できる。
【0209】
(2)また、遠隔操作装置50とフォークリフト20との距離を把握するパラメータとして受信電波強度RSが採用されている。受信電波強度RSは、両通信ユニット30,53間の距離だけでなく、障害物がある場合にも減衰する。となると、操作者とフォークリフト20との間に障害物が存在する場合にも、フォークリフト20が禁止範囲A2内に配置されていると判定され、フォークリフト20の走行に関する遠隔操作が禁止され得る。これにより、例えば、障害物等によってフォークリフト20が操作者の死角に入った場合においても、走行に関する遠隔操作を禁止できる。これにより、走行に関する遠隔操作の誤操作を抑制できる。
【0210】
なお、上記の観点に着目すれば、許可範囲A1とは、受信電波強度RSが閾値強度RSth以上である強電波範囲であり、禁止範囲A2とは、受信電波強度RSが閾値強度RSthよりも小さい弱電波範囲とも言える。
【0211】
(3)許可範囲A1は、両通信ユニット30,53の無線通信が可能な通信範囲A0よりも狭く設定されている。かかる構成によれば、通信範囲A0の広さに関わらず、走行に関する遠隔操作を許可範囲A1内に制限できる。
【0212】
また、無線通信を用いて、走行に関する遠隔操作を、安定して実行することができ、それを通じて安全性の向上を図ることができる。詳述すると、例えば通信範囲A0の全体を許可範囲A1とし、通信範囲A0外を禁止範囲A2とすることも考えられる。この場合、通信範囲A0の外縁部分においては通信状態が不安定になり易いため、フォークリフト20が上記外縁部分に配置されている状況においては、フォークリフト20の応答性の低下等が懸念される。これに対して、本実施形態では、許可範囲A1が通信範囲A0よりも狭く設定されているため、遠隔操作時における通信状態の安定性の向上を図ることができる。これにより、フォークリフト20の走行に関する遠隔操作を好適に実行できる。
【0213】
(4)両通信ユニット30,53の無線通信方式はIEEE802.11規格を満たす無線LAN方式(換言すればWi−Fi方式)であり、遠隔操作装置50は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、又はヴァーチャルリアリティ端末である。かかる構成によれば、一般的な無線通信方式と既存の汎用品とを用いてフォークリフト20の走行に関する遠隔操作を実現できる。
【0214】
ここで、例えば遠隔操作を行う範囲を適切な範囲にすることに着目すれば、通信範囲A0を上記適切な範囲に設定することも考えられる。しかしながら、上記のような一般的な無線通信方式と汎用品とを用いる場合には、通信範囲A0が上記適切な範囲よりも広くなり易い。かといって、通信範囲A0が上記適切な範囲となるように設計された専用品を遠隔操作に用いることは、コスト等の観点から好ましくない。この点、本実施形態によれば、一般的な無線通信方式と汎用品とを用いつつ、走行に関する遠隔操作が可能な範囲を、適切に設定できる。
【0215】
(5)車両通信ユニット30の車両無線CPU36は、受信電波強度RSを特定周期Taで定期的に把握し、受信電波強度RSが把握される度にその把握された受信電波強度RSと閾値強度RSthとの比較を行う。両判定期間T1,T2は、特定周期Taの2倍以上に設定されている。かかる構成によれば、受信電波強度RSと閾値強度RSthとの比較結果が、複数回に亘って同一結果である場合に、可否判定結果が得られる。これにより、可否判定結果の精度向上を図ることができる。
【0216】
(6)遠隔操作装置50のリモート通信ユニット53は、遠隔操作信号SGbを特定周期Taで送信するものである。フォークリフト20に設けられている車両無線CPU36は、車両通信ユニット30にて遠隔操作信号SGbが受信される度に、その受信された遠隔操作信号SGbの受信電波強度RSを把握する。かかる構成によれば、専用の信号を送受信することなく、受信電波強度RSに基づく可否判定を行うことができる。これにより、専用の信号を送受信することに起因して両通信ユニット30,53間の信号の送受信の複雑化を抑制できる。
【0217】
(7)リモート通信ユニット53は、禁止範囲A2内に対応した可否判定結果が得られた後であっても、遠隔操作信号SGbを、車両通信ユニット30に向けて特定周期Taで送信する。
【0218】
既に説明したとおり、可否判定結果が禁止範囲A2内である場合には遠隔操作装置50による遠隔操作が禁止されるため、遠隔操作信号SGbを送信することが無意味となり易い。このため、通常であれば、リモート通信ユニット53は、可否判定結果が禁止範囲A2内となった場合に、遠隔操作信号SGbの送信を停止する。すると、受信電波強度RSに基づく可否判定を行うことができなくなり、操作者が移動してフォークリフト20が許可範囲A1内に配置されたとしても、可否判定が行われず遠隔操作ができないという不都合が生じる。
【0219】
これに対して、本実施形態によれば、可否判定結果が禁止範囲A2内であった後も、遠隔操作信号SGbの送信が継続されるため、遠隔操作装置50による遠隔操作が禁止された後であっても可否判定を行うことができる。これにより、フォークリフト20の位置を確認できる。
【0220】
(8)車両通信ユニット30は、第1アンテナ31及び第2アンテナ32を備えている。車両無線CPU36は、両アンテナ31,32のいずれかを選択し、その選択されたアンテナ(選択アンテナ)を用いて、信号(遠隔操作信号SGb及び返信信号SGc)の送受信を行う。車両無線CPU36は、選択アンテナで受信された遠隔操作信号SGbの受信電波強度RSを把握する。
【0221】
かかる構成において、車両無線CPU36は、可否判定中に受信電波強度RSが閾値強度RSth未満となった場合には、選択アンテナを切り替える。例えば、車両無線CPU36は、第1アンテナ31が選択されている条件下において受信電波強度RSが閾値強度RSth未満となった場合には、選択アンテナを第1アンテナ31から第2アンテナ32に切り替え、第2アンテナ32を用いて以降の遠隔操作信号SGbを受信する。かかる構成によれば、両アンテナ31,32のうちいずれか一方が、受信電波強度RSが局所的に小さくなるヌル点に配置された場合であっても、他方のアンテナを用いることによって可否判定を精度よく行うことができる。
【0222】
(9)車両無線CPU36は、可否判定中に選択アンテナの切り替えが予め定められた規定回数(本実施形態では「1回」)だけ行われた場合には、当該可否判定が終了するまでは、選択アンテナの切り替えを禁止する。かかる構成によれば、選択アンテナの切り替えに起因して可否判定に要する期間が長くなることを抑制できる。
【0223】
特に、本実施形態では、可否判定結果の精度向上を図るため、可否判定の条件として両判定期間T1,T2が設定されている。このため、可否判定に要する期間が長くなり易い。かかる構成において、選択アンテナの切り替えが過度に行われると、可否判定に要する期間が更に長くなり易く、可否判定結果がフォークリフト20の移動に追従できなくなるといった不都合が生じ得る。これに対して、本実施形態によれば、選択アンテナの切り替えが過度に行われることを回避できるため、可否判定の条件として両判定期間T1,T2を設定したことによって生じる上記不都合を抑制できる。
【0224】
(10)フォークリフト20は、運転席21と、運転席21を上方から覆う屋根22bとを有しており、第1アンテナ31と第2アンテナ32とは、屋根22bに離間させて配置されている。かかる構成によれば、両アンテナ31,32間の距離を確保することができ、これを通じて両アンテナ31,32が同時にヌル点に配置されたり、両アンテナ31,32同士で干渉したりすることを抑制できる。また、両アンテナ31,32がフォークリフト20において比較的高い位置にある屋根22bに設けられているため、電波を受信しやすい。これにより、遠隔操作装置50との無線通信を好適に行うことができる。
【0225】
(11)産業車両用遠隔操作システム10(換言すれば遠隔操作装置50又はフォークリフト20)は、遠隔操作装置50を用いた遠隔操作モードを複数有している。遠隔操作装置50を用いた複数の遠隔操作モードは、走行に関する遠隔操作が許可された許可モード及び警告モード(換言すれば猶予モード)と、両通信ユニット30,53の無線通信が行われる状況下であっても走行に関する遠隔操作が禁止されている禁止モードと、を含む。
【0226】
かかる構成において、車両無線CPU36は、遠隔操作モードが許可モードである状況において可否判定結果が禁止範囲A2内となったことに基づいて、遠隔操作モードを、許可モードから警告モードに移行させる。そして、車両無線CPU36は、警告モード中に予め定められた禁止モード移行条件が成立したことに基づいて、遠隔操作モードを、警告モードから禁止モードに移行させる一方、警告モード中に予め定められた許可モード移行条件が成立したことに基づいて、遠隔操作モードを、警告モードから許可モードに移行させる。かかる構成によれば、フォークリフト20が許可範囲A1内から禁止範囲A2内に移動した場合には、直ちに走行に関する遠隔操作が禁止される禁止モードに移行せず、一旦警告モードに移行する。これにより、操作者としては、警告モード中にフォークリフト20を許可範囲A1内に移動させることにより、走行に関する遠隔操作が禁止されることを回避できる。したがって、過度に離れた位置からの走行に関する遠隔操作を抑制しつつ、直ちに走行に関する遠隔操作が禁止されることに起因する利便性の低下を抑制できる。
【0227】
(12)車両無線CPU36は、警告モード中に可否判定を少なくとも1回は実行する。許可モード移行条件は、警告モード中の可否判定結果が許可範囲A1内となることである。かかる構成によれば、警告モード中に再度可否判定が行われ、当該可否判定の結果が許可範囲A1内であれば、遠隔操作モードが警告モードから許可モードに移行する。これにより、遠隔操作モードが警告モードに移行した後にフォークリフト20が許可範囲A1内に移動した場合には、遠隔操作モードが警告モードから許可モードに移行する。したがって、フォークリフト20が許可範囲A1内に移動したにも関わらず、警告モードが継続されることを抑制できる。
【0228】
(13)禁止モード移行条件は、遠隔操作モードが許可モードから警告モードに移行してから、上記許可モード移行条件が成立することなく、猶予期間T3が経過することである。猶予期間T3は、両判定期間T1,T2よりも長く設定されている。かかる構成によれば、フォークリフト20を禁止範囲A2内から許可範囲A1内に移動させるための時間を操作者に対して安定して付与することができる。これにより、利便性の更なる向上を図ることができる。
【0229】
詳述すると、例えば禁止モード移行条件として、例えば、受信電波強度RSが閾値強度RSthよりも小さい第2の閾値強度よりも低くなった場合も考えられる。しかしながら、この場合、フォークリフト20の移動速度や受信電波強度RSの誤差等によって、警告モードの期間が変動する。すると、警告モードの期間が過度に短くなる場合が生じる。この場合、操作者としては、フォークリフト20を許可範囲A1内に移動させようとしている途中で走行に関する遠隔操作が禁止される不都合が生じ得る。この点、本実施形態によれば、禁止モード移行条件として猶予期間T3を採用することにより、上記不都合を抑制できる。
【0230】
また、猶予期間T3は、両判定期間T1,T2よりも長く設定されているため、猶予期間T3中に少なくとも1回は可否判定が行われることが想定される。これにより、猶予期間T3中に可否判定結果が1回も得られることなく、遠隔操作モードが警告モードから禁止モードに移行することを抑制できる。
【0231】
(14)遠隔操作装置50は、現在の遠隔操作モードを報知するタッチパネル54を備えている。かかる構成によれば、操作者が現在の遠隔操作モードを確認できる。これにより、例えば遠隔操作モードが許可モードから警告モードに移行した場合には、フォークリフト20を近づける操作を行ったり、操作者がフォークリフト20に近づいたりすることが想定される。よって、走行に関する遠隔操作が禁止されることを抑制でき、利便性の向上を図ることができる。
【0232】
(15)受信電波強度RSは、両通信ユニット30,53間の距離が大きくなるほど小さくなるものであり、禁止範囲A2は、遠隔操作装置50に対して、第2距離L2以上離れた範囲を少なくとも含む。かかる構成において、閾値強度RSthは、第2距離L2に対応する受信電波強度RSよりも高く設定されており、猶予期間T3は、閾値強度RSthに対応する距離と第2距離L2との差を、遠隔操作時のフォークリフト20の最大速度で除算した値よりも短く設定されている。
【0233】
かかる構成によれば、遠隔操作モードが警告モードに移行してから猶予期間T3が経過する前に、フォークリフト20が遠隔操作装置50に対して第2距離L2以上離れた位置に移動することを抑制できる。
【0234】
詳述すると、仮にフォークリフト20が閾値強度RSthに対応する距離だけ離れた場合に遠隔操作モードが警告モードに移行したとする。この場合、フォークリフト20が、遠隔操作時において許容される最大速度で、遠隔操作装置50から離れるように走行したとしても、フォークリフト20が第2距離L2以上離れる前に猶予期間T3が経過し、遠隔操作モードが禁止モードとなり易い。これにより、猶予期間T3中の移動によって、より視認しにくい位置までフォークリフト20が移動し、且つ、当該位置にて走行に関する遠隔操作が行われるという不都合を抑制できる。よって、警告モード中に走行に関する遠隔操作を許可することによって生じ得る上記不都合を抑制できる。
【0235】
(16)車両通信ユニット30は、遠隔操作プログラム40が記憶されている車両無線メモリ35と、車両無線CPU36とを有している。車両無線CPU36は、遠隔操作モードに基づいて走行に関する遠隔操作を許可又は禁止する信号変換制御処理と、可否判定及び遠隔操作モードの設定を行う遠隔操作モード制御処理とを実行するように構成されている。かかる構成によれば、フォークリフト20の車両CPU27や車両メモリ28に対して特別な処理を施すことなく、通信ユニットの追加又は変更といった比較的簡単な作業によって、(1)等の効果を得ることができる。
【0236】
(第2実施形態)
本実施形態では、遠隔操作モード制御処理の実行主体が、遠隔操作装置50となっている。この点について、リモート通信ユニットの詳細な構成とともに以下に説明する。
【0237】
図17に示すように、本実施形態の遠隔操作装置50のリモート通信ユニット100は、リモート無線CPU101と、遠隔操作プログラム110が記憶されたリモート無線メモリ102と、信号変換部103と、インターフェース104と、アンテナ105と、を備えている。
【0238】
信号変換部103は、インターフェース104を介してリモートCPU51と電気的に接続されているとともにアンテナ105に接続されている。信号変換部103は、リモートCPU51から入力される遠隔操作に関する制御信号を、無線通信に対応した遠隔操作信号SGbに変換する。遠隔操作信号SGbは、アンテナ105によって送信される。また、アンテナ105にて受信された返信信号SGcは、信号変換部103によって制御信号に変換される。
【0239】
リモート無線CPU101は、信号変換部103を制御するものであり、アンテナ105にて受信された返信信号SGcの受信電波強度RSを把握可能に構成されている。また、リモート無線CPU101は、リモートCPU51と電気的に接続されており、両者は信号のやり取りが可能となっている。
【0240】
本実施形態のリモートCPU51は、遠隔操作の開始時に、タッチパネル54に操作画面G0が表示され且つ当該操作画面G0に初期モードである旨が表示されるようにタッチパネル54の表示制御を行う。また、本実施形態のリモートCPU51は、遠隔操作を開始することを示す開始信号をリモート無線CPU101に出力する。
【0241】
リモート無線CPU101は、上記開始信号を受信したことに基づいて、遠隔操作プログラム110に記憶されている遠隔操作開始処理実行プログラム111を読み出して、遠隔操作開始処理を実行する。当該遠隔操作開始処理では、リモート無線CPU101は、初期モードに対応した情報が設定された通知信号を車両通信ユニット30に向けて送信する。車両通信ユニット30は、上記通知信号を受信したことに基づいて、車両無線メモリ35に設けられている遠隔操作モード特定情報120を、初期モードに対応した情報となるように更新する。
【0242】
本実施形態のリモートCPU51は、遠隔操作が開始されると、遠隔操作に関する信号であってタッチパネル54の入力操作態様に対応した制御信号を、リモート通信ユニット100に向けて特定周期Taで送信する。このため、リモート通信ユニット100は、第1実施形態と同様に、特定周期Taで定期的に遠隔操作信号SGbを送信する。
【0243】
車両通信ユニット30は、リモート通信ユニット100から遠隔操作信号SGbを受信したことに基づいて信号変換制御処理を実行する。これにより、遠隔操作モードが許可モード又は警告モードである場合には、フォークリフト20は、遠隔操作装置50の操作態様に対応した動作を行う。また、信号変換制御処理が実行される度に返信信号SGcが送信される。このため、リモート通信ユニット100は、特定周期Taで返信信号SGcを受信する。
【0244】
ここで、本実施形態のリモート無線CPU101は、返信信号SGcを受信する度に、遠隔操作プログラム110に記憶されている遠隔操作モード制御処理実行プログラム112を読み出し、各種情報記憶部113に記憶されている各種情報を用いながら遠隔操作モード制御処理を実行する。すなわち、本実施形態では、リモート通信ユニット100のリモート無線CPU101が「把握部」、「可否判定部」及び「遠隔操作モード制御部」等に対応する。換言すれば、本実施形態では、遠隔操作装置50が「把握部」及び「可否判定部」等を有している。
【0245】
リモート無線CPU101による遠隔操作モード制御処理は、基本的には、第1実施形態と同様である。
なお、ステップS304の処理では、リモート無線CPU101は、リモート通信ユニット100にて受信された返信信号SGcの受信電波強度RSを把握する。つまり、リモート無線CPU101は、返信信号SGcの受信電波強度RSを定期的に把握し、その把握結果に基づいて可否判定を行う。この場合、リモート無線CPU101は、返信信号SGcの送信強度を予め把握しておくとよい。
【0246】
リモート無線CPU101は、ステップS312のアンテナ切替処理では、アンテナの切替要求信号を送信する。車両無線CPU36は、選択アンテナによって切替要求信号が受信されたことに基づいて、選択アンテナを切り替える。
【0247】
また、リモート無線CPU101は、ステップS308の処理に代えて、許可モードに対応する情報が設定された通知信号を車両通信ユニット30に送信する処理を実行する。車両無線CPU36は、リモート通信ユニット100にて上記通知信号が受信された場合には、遠隔操作モード特定情報120を、許可モードに対応した情報となるように更新する。
【0248】
リモート無線CPU101は、ステップS310の処理に代えて、操作画面G0に許可モードである旨が表示されるようにリモートCPU51に対して指示を出す処理を実行する。リモートCPU51は、上記指示に基づいて、操作画面G0の表示制御を行う。
【0249】
ステップS318及びステップS320の処理と、ステップS325及びステップS326の処理とについても、対象となる遠隔操作モードが異なる点を除き、上記と同様に変更する。
【0250】
以上詳述した本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
(17)車両通信ユニット30を有するフォークリフト20を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置50は、車両通信ユニット30と無線通信を行うリモート通信ユニット100を備えている。リモート通信ユニット100のリモート無線CPU101は、リモート通信ユニット100にて受信された返信信号SGcの受信電波強度RSを把握し、その把握結果に基づいて可否判定を実行する。かかる構成においても、(1)等の効果を奏する。
【0251】
(18)リモート通信ユニット100は、遠隔操作信号SGbを、車両通信ユニット30に向けて特定周期Taで送信する。車両通信ユニット30は、遠隔操作信号SGbを受信したことに基づいて、返信信号SGcを送信する。遠隔操作装置50に設けられているリモート無線CPU101は、返信信号SGcの受信電波強度RSを把握し、その把握結果に基づいて可否判定を行う。かかる構成によれば、返信信号SGcを受信することによって、遠隔操作信号SGbが正常に送信できたことを確認できる。また、当該返信信号SGcを用いて可否判定を行うことにより、専用の信号を用いることなく受信電波強度RSに基づく可否判定を行うことができる。
【0252】
(第3実施形態)
本実施形態の閾値情報D1は、予め定められた更新条件が成立した場合には更新されるものである。すなわち、本実施形態の産業車両用遠隔操作システム10は、更新条件の成立に基づいて、閾値情報D1を更新可能に構成されている。この点について以下に詳細に説明する。
【0253】
図18に示すように、本実施形態のリモートメモリ52には、閾値強度RSthの更新を指示する更新指示処理を実行するための更新指示処理実行プログラム200が記憶されている。リモートCPU51は、更新条件が成立したことに基づいて、更新指示処理実行プログラム200を読み出し、更新指示処理を実行する。更新指示処理は、リモート通信ユニット53を用いて、閾値情報D1の更新を指示する更新指示信号を、車両通信ユニット30に向けて送信するための処理である。更新指示信号は、遠隔操作信号SGbと同様に、無線通信形式の信号である。
【0254】
更新条件とは、例えば産業車両用遠隔操作システム10の導入時(初期起動時)や遠隔操作装置50に対して更新要求操作が行われた場合等が考えられる。更新要求操作とは、例えば遠隔操作装置50において更新用アプリケーションを起動させる起動操作が行われた場合、例えば操作画面G0に閾値情報D1の更新アイコンが表示される構成において当該更新アイコンがタッチされる場合などが考えられる。
【0255】
図19及び図20を用いて更新指示処理について説明する。
図19に示すように、リモートCPU51は、まずステップS401にて、タッチパネル54に更新用画面G1を表示させる。
【0256】
図20に示すように、更新用画面G1には、閾値強度RSthと、当該閾値強度RSthに対応する変更アイコンIc10と、終了アイコンIcxとが表示される。これにより、操作者は、変更アイコンIc10を操作(タッチ)することにより閾値強度RSthを変更できることが直感的に理解できる。
【0257】
図19に示すように、リモートCPU51は、ステップS402にて、変更アイコンIc10への操作があったか否かを判定し、変更アイコンIc10への操作を検知した場合には、ステップS403に進み、閾値強度RSthの変更量を設定する。その後、ステップS404にて、リモートCPU51は、変更量が設定された更新指示信号を生成し、その生成された更新指示信号を、リモート通信ユニット53を用いて車両通信ユニット30に向けて送信して、本更新指示処理を終了する。これにより、車両通信ユニット30が更新指示信号を受信する。この場合、車両通信ユニット30は、更新指示信号が入力される入力部とも言える。
【0258】
なお、変更アイコンIc10が操作された場合における閾値強度RSthの変更量の具体的な設定態様は任意である。例えば、変更量は、変更アイコンIc10が1度タッチされることに基づいて予め定められた規定量だけ増加又は減少するように設定される構成でもよいし、変更アイコンIc10がタッチされている期間に応じて変化する構成でもよいし、所望の値を直接入力できるように構成されていてもよい。また、リモートメモリ52に、使用頻度が高い規定値が予め複数記憶されており、リモートCPU51は、上記複数の規定値のうちいずれかを選択できるように構成されていてもよい。また、変更量は、操作者の操作に関わらず、予め定められていてもよい。要は、変更量の設定について、操作者の操作は必須ではない。
【0259】
一方、リモートCPU51は、変更アイコンIc10への操作が検知されない場合には、ステップS405に進み、終了アイコンIcxへの操作があったか否かを判定する。リモートCPU51は、終了アイコンIcxへの操作を検知した場合には、更新指示信号を送信することなく、本更新指示処理を終了する。一方、リモートCPU51は、終了アイコンIcxへの操作が行われていない場合には、ステップS402に戻る。すなわち、リモートCPU51は、変更アイコンIc10又は終了アイコンIcxのいずれかが操作されるまで待機する。
【0260】
本実施形態の車両無線CPU36は、車両通信ユニット30(詳細には両アンテナ31,32)によって更新指示信号が受信されたことに基づいて閾値情報D1を更新する閾値情報更新処理を実行するように構成されている。なお、本実施形態の閾値情報記憶部44aは、書き換え可能な状態で閾値情報D1を記憶している。
【0261】
図18に示すように、遠隔操作プログラム40は、閾値情報D1を更新するための閾値情報更新処理実行プログラム201を含む。車両無線CPU36は、車両通信ユニット30によって更新指示信号が受信されたことに基づいて、閾値情報更新処理実行プログラム201を読み出し、閾値情報更新処理を実行する。
【0262】
閾値情報更新処理では、まず車両無線CPU36は、今回の閾値情報更新処理の実行契機となった更新指示信号に設定されている変更量を把握する。具体的には、車両無線CPU36は、信号変換部33を用いて、受信された更新指示信号を車両無線CPU36が認識可能な信号に変換し、その信号変換された信号から変更量を把握する。そして、車両無線CPU36は、閾値強度RSthが変更量の分だけ変更するように閾値情報記憶部44aに記憶されている閾値情報D1を更新する。更新指示処理を実行するリモートCPU51が「更新指示処理実行部」に相当し、閾値情報更新処理を実行する車両無線CPU36が「閾値情報更新処理実行部」に相当する。
【0263】
次に図21を用いて本実施形態の作用について説明する。図21(a),(b)は、異なる環境下にフォークリフト20が配置されている場合における両通信ユニット30,53間の距離に対する受信電波強度RSの変化と、それに対応させて更新されることが想定される閾値強度RSthとを示すグラフである。なお、以降の説明及び図21では、説明の都合上、受信電波強度RSの誤差及びそれに起因する誤差対応範囲A3については省略する。
【0264】
図21に示すように、両通信ユニット30,53間の距離に対する受信電波強度RSの減衰曲線は、フォークリフト20の設置環境によって全体的に上下にシフトする場合がある。なお、フォークリフト20の設置環境とは、両通信ユニット30,53間でやり取りされる電波の伝搬又は反射に影響を与える要因を含み、例えばフォークリフト20が設置される敷地の広さや、当該敷地に積載されている荷物の高さ又は種類等が考えられる。
【0265】
このように減衰曲線が上下にシフトし得る場合において、閾値強度RSthが一律に固定されていると、許可範囲A1内であると判定される距離の上限値が変動してしまい、可否判定結果の精度が低下し得る。
【0266】
この点、本実施形態では、操作者は、受信電波強度RSに対応させて、閾値強度RSthを調整することができる。例えば、操作者は、本産業車両用遠隔操作システム10の導入時又は定期的なメンテナンス時において、予め定められた規定距離が許可範囲A1の上限値となるように、両通信ユニット30,53間の実際の距離を確認しながら閾値情報D1を更新する。仮に、図21(b)の環境下では、図21(a)の環境下と比較して、受信電波強度RSが全体的にシフト量αだけ上昇しているとすると、それに対応させて、閾値強度RSthは、図21(a)の環境下で設定される値よりもシフト量αだけ大きく設定される。これにより、フォークリフト20の設置環境の違いに関わらず、許可範囲A1の上限値を一定にすることができる。
【0267】
なお、上記作用の説明では、受信電波強度RSの減衰曲線が全体的にシフトする場合を示したが、設置環境によっては、受信電波強度RSの減衰率が変動する場合もあり得る。この場合であっても、操作者が両通信ユニット30,53間の距離を確認しながら、閾値強度RSthを設定することにより、許可範囲A1を適切な範囲に設定できる。
【0268】
以上詳述した本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
(19)フォークリフト20の車両無線メモリ35は、閾値情報D1が記憶されている閾値情報記憶部44aを有しており、車両無線CPU36は、閾値情報記憶部44aに記憶されている閾値情報D1を読み出し、当該閾値情報D1に設定されている閾値強度RSthに基づいて可否判定を行う。閾値情報D1は、予め定められた更新条件が成立した場合に更新される。
【0269】
かかる構成によれば、閾値情報D1が更新されることにより、フォークリフト20の設置環境に起因した受信電波強度RSの変動に対応できる。例えば、フォークリフト20の設置環境に応じて、両通信ユニット30,53間の距離に対する受信電波強度RSの減衰曲線は上下にシフトする場合には、閾値情報D1を更新することによって、上記シフトに対応させて閾値強度RSthを調整できる。これにより、フォークリフト20の設置環境等に起因する受信電波強度RSの減衰曲線の変動に対応でき、可否判定結果の誤りを抑制できる。
【0270】
(20)リモートCPU51は、遠隔操作装置50に対して予め定められた更新要求操作が行われたことに基づいて、リモート通信ユニット53を用いて、閾値情報D1の更新を指示する更新指示信号を送信する更新指示処理を実行する。車両無線CPU36は、車両通信ユニット30によって更新指示信号が受信されたことに基づいて、閾値情報記憶部44aに記憶されている閾値情報D1を更新する閾値情報更新処理を実行する。かかる構成によれば、遠隔操作装置50に対する更新要求操作によって、閾値情報D1を更新することができる。これにより、遠隔操作装置50を用いて閾値強度RSthを所望の値に変更できるため、遠隔操作装置50とは別に閾値強度RSthを変更するための専用の装置等を用意する必要がなく、閾値強度RSthの変更に係る利便性の向上を図ることができる。
【0271】
(第4実施形態)
本実施形態では、閾値情報D2の構造、及び、可否判定で用いられる閾値強度RSthが遠隔操作モードに応じて変更される点等が第3実施形態と異なっている。その異なる点について以下に詳細に説明する。
【0272】
図22に示すように、本実施形態の閾値情報D2には、複数の遠隔操作モードに対応させて複数のモード閾値RStha〜RSthdが設定されている。詳細には、閾値情報D2は、初期モードに対応させて設定された初期モード閾値RSthaと、許可モードに対応させて設定された許可モード閾値RSthbと、警告モードに対応させて設定された警告モード閾値RSthcと、禁止モードに対応させて設定された禁止モード閾値RSthdとを含む。
【0273】
ここで、本実施形態では、初期モード閾値RStha、許可モード閾値RSthb及び禁止モード閾値RSthdはそれぞれ異なっている。詳細には、初期モード閾値RSthaは、許可モード閾値RSthb及び禁止モード閾値RSthdよりも高く設定されている。禁止モード閾値RSthdは、許可モード閾値RSthbよりも高く設定されている。警告モード閾値RSthcは、許可モード閾値RSthbと同一に設定されている。つまり、本実施形態では、RStha>RSthd>RSthb=RSthcとなっている。
【0274】
次に、図23を用いて本実施形態の遠隔操作モード制御処理について説明する。
図23に示すように、本実施形態の遠隔操作モード制御処理では、車両無線CPU36は、ステップS304の処理の実行後、ステップS501にて、遠隔操作モード特定情報に基づいて、現在の遠隔操作モードを把握する。
【0275】
続くステップS502では、車両無線CPU36は、閾値強度RSthを、現在の遠隔操作モードに対応した値に設定する。詳細には、車両無線CPU36は、閾値情報D2を参照して、ステップS501にて把握された遠隔操作モードに対応したモード閾値を読み出し、その読み出されたモード閾値を閾値強度RSthとして設定する。
【0276】
その後ステップS503では、車両無線CPU36は、上記ステップS304にて把握された受信電波強度RSと、ステップS502にて設定された閾値強度RSthとを比較する。
【0277】
かかる構成によれば、可否判定に用いられる閾値強度RSthは、現在の遠隔操作モードに応じて変更されている。本実施形態では、ステップS501及びステップS502の処理を実行する車両無線CPU36が「変更部」に相当する。なお、ステップS503の処理よりも後の処理は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0278】
次に、図24及び図25を用いて本実施形態の更新指示処理について説明する。
図24に示すように、リモートCPU51は、まずステップS601にて更新用画面G2を表示させる。
【0279】
図25に示すように、本実施形態の更新用画面G2には、各モード閾値RStha〜RSthdと、4つのモード閾値RStha〜RSthdに対応させて4つの変更アイコンIca〜Icdとが表示されるとともに、終了アイコンIcxが表示される。
【0280】
図24に示すように、リモートCPU51は、ステップS602及びステップS605にて、4つの変更アイコンIca〜Icd又は終了アイコンIcxのうちいずれかが操作されるまで待機する。
【0281】
リモートCPU51は、4つの変更アイコンIca〜Icdのいずれかが操作された場合には、ステップS602を肯定判定し、ステップS603に進み、当該操作された変更アイコンに対応するモード閾値を更新対象として設定し、且つ、変更量を設定する。そして、リモートCPU51は、ステップS604にて、更新対象のモード閾値と変更量とが設定された更新指示信号を生成し、当該更新指示信号を、リモート通信ユニット53を用いて車両通信ユニット30に向けて送信して、本更新指示処理を終了する。
【0282】
例えば、許可モード閾値RSthbに対応する変更アイコンIcbが操作された場合には、リモートCPU51は、許可モード閾値RSthbを更新対象とし且つ所定の変更量が設定された更新指示信号を車両無線CPU36に向けて送信する。
【0283】
なお、変更アイコンIca〜Icdが操作された場合におけるモード閾値RStha〜RSthdの変更量の具体的な設定態様は任意である。例えば、変更量は、変更アイコンIca〜Icdが1度タッチされることに基づいて予め定められた規定量だけ増加又は減少するように設定される構成でもよいし、変更アイコンIca〜Icdがタッチされている期間に応じて変化する構成でもよいし、所望の値を直接入力できるように構成されていてもよい。また、リモートメモリ52に、使用頻度が高い各モード閾値RStha〜RSthdの組み合わせが予め複数記憶されており、リモートCPU51は、上記複数の組み合わせのうちいずれかを選択できるように構成されていてもよい。
【0284】
一方、リモートCPU51は、終了アイコンIcxが操作された場合には、ステップS605を肯定判定し、更新指示信号を送信することなく、本更新指示処理を終了する。
本実施形態の閾値情報更新処理では、まず車両無線CPU36は、今回の閾値情報更新処理の実行契機となった更新指示信号に基づいて、更新対象及び変更量を把握する。詳細には、車両無線CPU36は、信号変換部33を用いて更新指示信号を車両無線CPU36が認識可能な信号に変換し、その変換された信号に基づいて更新対象及び変更量を把握する。その後、車両無線CPU36は、閾値情報D2における更新対象のモード閾値を変更量の分だけ変更する更新を行う。
【0285】
例えば、車両無線CPU36は、更新対象が許可モード閾値RSthbに設定された更新指示信号を受信した場合には、閾値情報D2の許可モード閾値RSthbを、更新指示信号に設定されている変更量だけ変更する更新を行う。すなわち、車両無線CPU36は、更新指示信号を受信することに基づいて、当該更新指示信号に設定された内容に対応させて閾値情報D2を更新する。
【0286】
次に図26を用いて本実施形態の作用について説明する。図26(a)〜(c)は、遠隔操作モードごとの閾値強度RSthの変化を説明するためのグラフである。図26(a)〜(c)における受信電波強度RSの曲線は同一である。
【0287】
ここで、遠隔操作対象のフォークリフト20が設置されている環境によっては、電波の反射などの影響に起因して、両通信ユニット30,53間の距離に対する受信電波強度RSの減衰曲線に特異点が生じ得る。すなわち、通信範囲A0内に、受信電波強度RSが理想曲線から大きく外れるホットスポットAy及びデッドスポットAxが形成される場合がある。
【0288】
この点を考慮して、図26(a)〜(c)では、ホットスポットAy及びデッドスポットAxの影響を模式的に示す。図26(a)〜(c)に示すように、デッドスポットAxは、通常想定される値(理想値)よりも局所的に受信電波強度RSが低くなる範囲であり、ホットスポットAyは、通常想定される値よりも局所的に受信電波強度RSが高くなる範囲である。
【0289】
なお、説明の便宜上、本実施形態では、デッドスポットAxは、本来許可範囲A1内と判定されるべき位置、例えば遠隔操作装置50(詳細にはリモート通信ユニット53)を中心とし第1距離L1を半径とする円の範囲内に存在しているとする。また、ホットスポットAyは、本来禁止範囲A2内と判定されるべき位置、例えば遠隔操作装置50を中心とし第2距離L2を半径とする円の範囲外に存在しているとする。そして、少なくともホットスポットAyの受信電波強度RSの最大値は、デッドスポットAxの受信電波強度RSの最小値よりも高くなっているとする。また、以降の説明及び図26では、説明の都合上、受信電波強度RSの誤差及びそれに起因する誤差対応範囲A3については省略する。
【0290】
図26(a)〜(c)に示すように、遠隔操作モードが初期モードである場合に設定される初期モード閾値RSthaは、許可モード閾値RSthb及び禁止モード閾値RSthdよりも高く設定されている。このため、初期モード時における許可範囲A1は、他の遠隔操作モード時と比較して狭くなっている。
【0291】
図26(a),(b)に示すように、遠隔操作モードが許可モードである場合に設定される許可モード閾値RSthbは、初期モード閾値RSthaよりも低く設定されている。このため、許可モード時における許可範囲A1は、初期モード時よりも広い。
【0292】
ここで、本実施形態では、操作者は、デッドスポットAxの受信電波強度RSが局所的に低くなっていることに対応させて、許可モード閾値RSthbを低く設定することが想定される。例えば、操作者は、本産業車両用遠隔操作システム10の導入時又は定期的なメンテナンス時において、許可モード閾値RSthbをデッドスポットAxの受信電波強度RSよりも低くする更新指示処理を実行させることが想定される。これにより、車両無線CPU36にて閾値更新処理が実行されて、フォークリフト20がデッドスポットAxに配置されている場合に可否判定結果が禁止範囲A2内となることを抑制できる。
【0293】
また、図26(a),(c)に示すように、遠隔操作モードが禁止モードである場合に設定される禁止モード閾値RSthdは、初期モード閾値RSthaよりも低く設定されている。このため、禁止モード時における許可範囲A1は、初期モード時よりも広くなっている。
【0294】
ここで、本実施形態では、操作者は、ホットスポットAyの受信電波強度RSが局所的に高くなっていることに対応させて、禁止モード閾値RSthdを高く設定することが想定される。例えば、操作者は、本産業車両用遠隔操作システム10の導入時又は定期的なメンテナンス時において、禁止モード閾値RSthdをホットスポットAyの受信電波強度RSよりも高くする更新指示処理を実行させることが想定される。これにより、車両無線CPU36にて閾値更新処理が実行されて、フォークリフト20がホットスポットAyに配置されている場合に可否判定結果が許可範囲A1内となることを抑制できる。
【0295】
特に、本実施形態では、禁止モード閾値RSthdは、許可モード閾値RSthbよりも高く設定されている。このため、禁止モード時における許可範囲A1は、許可モード時における許可範囲A1よりも狭くなっている。したがって、遠隔操作装置50を所持する操作者としては、遠隔操作モードを禁止モードから許可モードに移行させようとする場合には、フォークリフト20に対してより近づく必要がある。
【0296】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(21)車両無線CPU36は、遠隔操作モードが許可モード、警告モード及び禁止モードのいずれの場合であっても可否判定を実行する。そして、車両無線CPU36は、遠隔操作モードに応じて、可否判定に用いられる閾値強度RSthを変更する処理(ステップS501及びステップS502)を実行する。かかる構成によれば、許可モード時の可否判定に用いられる許可モード閾値RSthbと、禁止モード時の可否判定に用いられる禁止モード閾値RSthdとを異ならせることができる。これにより、遠隔操作モードに応じて、許可範囲A1及び禁止範囲A2を変更できる。
【0297】
また、遠隔操作モードに応じて閾値強度RSthを変更することにより、受信電波強度RSの局所的な変化(両スポットAx,Ay)に起因した遠隔操作モードの誤移行を抑制できる。
【0298】
詳述すると、例えばフォークリフト20の設置環境によっては、上述したように、遠隔操作装置50に対して比較的近い位置にデッドスポットAxが発生したり、遠隔操作装置50に対して比較的遠い位置にホットスポットAyが発生したりする場合があり得る。
【0299】
かかる環境では、仮に遠隔操作モードが許可モードである場合にフォークリフト20がデッドスポットAxに配置されていると、可否判定結果が許可範囲A1内と判定されるべきにも関わらず禁止範囲A2内と誤判定され、遠隔操作モードが許可モードから警告モードに移行する場合があり得る。同様に、仮に遠隔操作モードが禁止モードである場合にフォークリフト20がホットスポットAyに配置されていると、可否判定結果が禁止範囲A2内と判定されるべきにも関わらず許可範囲A1内と誤判定され、遠隔操作モードが禁止モードから許可モードに移行する場合があり得る。このような遠隔操作モードの誤移行は、操作性や安全性に悪影響を与え得る。
【0300】
この点、本実施形態によれば、デッドスポットAxに起因する誤判定が生じないようにデッドスポットAxの受信電波強度RSに対応させて許可モード閾値RSthbを設定し、ホットスポットAyに起因する誤判定が生じないようにホットスポットAyに対応させて禁止モード閾値RSthdを設定できる。これにより、両スポットAx,Ayに起因して遠隔操作モードが誤って移行することを抑制できる。
【0301】
(22)車両無線CPU36は、遠隔操作モードが禁止モードである状況における可否判定によってフォークリフト20が許可範囲A1内に配置されていると判定されたことに基づいて、遠隔操作モードを禁止モードから許可モードに移行させる。この場合、車両無線CPU36は、禁止モード閾値RSthdを許可モード閾値RSthbよりも高く設定する。かかる構成によれば、本来禁止範囲A2内と判定されるべき範囲内にホットスポットAyが発生している場合に、当該ホットスポットAyに起因する可否判定結果の誤りを抑制できる。
【0302】
また、禁止モード時における許可範囲A1は、許可モード時における許可範囲A1よりも狭くなり易い。これにより、遠隔操作モードが禁止モードに移行した後、再度遠隔操作モードを禁止モードから許可モードに移行させるためには、遠隔操作装置50とフォークリフト20とを、許可モード時よりも近づける必要がある。したがって、操作者としては、遠隔操作を再度行う際には、フォークリフト20をより視認しやすい位置に移動することが想定されるため、再遠隔操作時における安全性の向上を図ることができる。
【0303】
(23)警告モード中の可否判定に用いられる警告モード閾値RSthcは、許可モード閾値RSthbと同一に設定されている。すなわち、車両無線CPU36は、警告モード中の可否判定に用いられる閾値強度RSthである警告モード閾値RSthcを、許可モード中の可否判定に用いられる許可モード閾値RSthbに維持する。仮に、禁止モード閾値RSthdが許可モード閾値RSthbよりも高く設定されている構成において警告モード閾値RSthcが禁止モード閾値RSthdと同一に設定されている場合、遠隔操作モードが許可モードから警告モードに移行することに伴って許可範囲A1が狭くなる。すると、警告モード中に操作者が遠隔操作装置50とフォークリフト20とを互いに近づけようとしているにも関わらず、可否判定結果が禁止範囲A2内となり易く、その結果、遠隔操作モードが警告モードから禁止モードに移行し易くなり、利便性が低下するという不都合が生じ易い。
【0304】
これに対して、本実施形態では、警告モード閾値RSthcが許可モード閾値RSthbと同一に設定されているため、遠隔操作モードが許可モードから警告モードに移行しても許可範囲A1は変動しにくい。これにより、警告モード中に操作者が遠隔操作装置50とフォークリフト20とを互いに近づけようとすることにより、可否判定結果が許可範囲A1内となり易い。したがって、上記不都合を抑制できる。
【0305】
(24)遠隔操作開始時に設定される初期モードでは、閾値強度RSthは初期モード閾値RSthaに設定される。初期モード閾値RSthaは、許可モード閾値RSthb及び禁止モード閾値RSthdよりも高く設定されている。かかる構成によれば、遠隔操作開始時における遠隔操作の安全性の向上を図ることができる。
【0306】
詳述すると、遠隔操作開始時は、操作者が十分に安全確認を行える位置から遠隔操作を行うことが好ましい。特に、遠隔操作開始時における遠隔操作装置50に対するフォークリフト20の位置は不定であるため、高い安全性が求められる。
【0307】
この点、本実施形態では、初期モード閾値RSthaが高く設定されているため、操作者が十分に安全確認を行える位置まで近づかない限り、遠隔操作モードが初期モードから許可モードに移行しにくい。このため、遠隔操作開始時において操作者をフォークリフト20の近くまで誘導させることができ、安全性の向上を図ることができる。
【0308】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 各実施形態では、遠隔操作モードが初期モード又は禁止モードである場合には、走行を含む全ての遠隔操作が禁止されていたが、これに限られず、走行以外の所定の遠隔操作は許可されていてもよい。要は、遠隔操作モードが初期モード又は禁止モードである場合に、少なくとも走行に関する遠隔操作が禁止されていればよい。
【0309】
○ 各実施形態では、遠隔操作信号SGb又はその返信信号SGcを用いて可否判定が行われる構成であったが、これに限られず、専用の信号を用いて可否判定が行われる構成でもよい。
【0310】
○ 各実施形態では、許可範囲A1内か否かの判定に用いられる第1閾値強度と、禁止範囲A2内か否かの判定に用いられる第2閾値強度とが同一であり、共通の閾値強度RSthが用いられていたが、異なっていてもよい。例えば、車両無線CPU36又はリモート無線CPU101は、受信電波強度RSが第1閾値強度未満であった場合には、受信電波強度RSが第1閾値強度よりも小さい第2閾値強度未満であるか否かを判定し、受信電波強度RSが第2閾値強度未満である場合にステップS311以降の処理を実行する構成でもよい。この場合、受信電波強度RSが第2閾値強度未満である状態が第2判定期間T2に亘って継続した場合に禁止範囲A2内にフォークリフト20が存在すると判定される。つまり、第2閾値強度は、第1閾値強度以下に設定されていればよい。
【0311】
なお、第2閾値強度が第1閾値強度よりも小さい場合、受信電波強度RSが第1閾値強度未満であって第2閾値強度以上となる第3の比較結果が生じ得る。この場合、車両無線CPU36又はリモート無線CPU101は、例えば現状の遠隔操作モードを維持しつつ、可否判定を継続してもよい。詳細には、車両無線CPU36又はリモート無線CPU101は、上記第3の比較結果となった場合には、遠隔操作モードを変更することなく、両カウンタC1,C2をリセットして遠隔操作モード制御処理を終了してもよい。また、車両無線CPU36又はリモート無線CPU101は、上記第3の比較結果が所定期間だけ継続された場合には、許可範囲A1と禁止範囲A2との間の中間範囲に配置されていることを報知する処理を実行してもよい。
【0312】
○ 第1閾値強度及び第2閾値強度は、固定値であってもよいし、状況に応じて適宜変更される可変値であってもよい。同様に、第1判定期間T1及び第2判定期間T2は、固定値であってもよいし可変値であってもよい。
【0313】
なお、第4実施形態において第1閾値強度及び第2閾値強度が異なる場合、遠隔操作モードに応じて第1閾値強度が異なっているとともに遠隔操作モードに応じて第2閾値強度が異なっていればよい。例えば、禁止モード時の第1閾値強度が許可モード時の第1閾値強度よりも高く、かつ、禁止モード時の第2閾値強度が許可モード時の第2閾値強度よりも高くてもよい。また、両閾値情報のうち少なくとも一方が遠隔操作モードに応じて異なる構成でもよい。
【0314】
○ 第1実施形態において、車両無線CPU36は、ステップS304の処理の前に、受信電波強度RSの平滑化処理やオフセット補正処理を実行してもよい。この場合、車両無線CPU36は、より誤差が小さい受信電波強度RSを把握できるため、可否判定の精度向上を図ることができる。第2実施形態についても同様である。
【0315】
○ 第1実施形態において、リモート通信ユニット53は、禁止モード中は、遠隔操作信号SGbを定期的に送信しない構成であってもよい。この場合、例えば、リモート通信ユニット53は、遠隔操作を再開する場合に再開起動信号を送信する。そして、車両無線CPU36は、再開起動信号の受信電波強度RSに基づいて可否判定と遠隔操作モードの制御とを実行するとよい。第2実施形態についても同様である。
【0316】
○ 車両通信ユニット30とリモート通信ユニット53,100との双方が両アンテナ31,32を有する構成でもよい。
○ 両アンテナ31,32のいずれか一方を省略してもよい。この場合、選択アンテナの切り替えを省略できる。
【0317】
○ 1回の可否判定において、選択アンテナの切り替えが行われる規定回数は「1回」に限られず、複数回であってもよいし、制限なく選択アンテナの切り替えが行われてもよい。但し、可否判定に要する期間の短縮化を図る観点に着目すれば、規定回数は少ない方が好ましく、例えば1回であるとよい。
【0318】
○ 猶予期間T3は、各実施形態にて設定された期間に限られず、両判定期間T1,T2よりも長ければ任意である。
○ 禁止モード移行条件は任意である。例えば、禁止モード移行条件は、受信電波強度RSが閾値強度RSthよりも小さい閾値未満である状態が、所定期間だけ継続したことでもよいし、可否判定が予め定められた特定回数行われ、そのいずれの可否判定結果が禁止範囲A2内と判定された場合でもよい。
【0319】
○ 遠隔操作モードの報知態様は任意である。例えば、リモートCPU51は、操作画面G0の背景色を遠隔操作モードに応じて変更してもよい。
○ 各実施形態では、報知部としてタッチパネル54が用いられていたが、これに限られず、報知部は任意である。例えば、報知部は、スピーカや発光部などでもよい。また、報知部は、遠隔操作装置50に代えて(又は加えて)フォークリフト20に設けられていてもよい。
【0320】
○ 車両通信ユニット30とリモート通信ユニット53,100との間の通信形式については、Wi−Fiに限られず、任意であり、例えばBluetooth(登録商標)及びZigbee(登録商標)等であってもよい。
【0321】
○ 誤差対応範囲A3は必須ではない。例えば、閾値強度RSthは、第2距離L2に対応した受信電波強度RSに設定されていてもよい。
○ 遠隔操作を禁止する具体的な制御は、各実施形態に限られず任意である。例えば、遠隔操作モードに関わらず車両通信ユニット30にて信号変換が行われてもよい。この場合、車両CPU27が、遠隔操作モードに応じて、入力される制御信号SGaに基づく制御を行うか否かを判定すればよい。
【0322】
○ 警告モードが省略されてもよい。すなわち、車両無線CPU36は、走行に関する遠隔操作が許可されている状況下において可否判定結果が禁止範囲A2内となったことに基づいて、直ちに走行に関する遠隔操作を禁止してもよい。換言すれば、禁止範囲A2は、当該禁止範囲A2内にフォークリフト20が配置された場合には直ちに走行に関する遠隔操作が禁止される範囲でもよいし、所定の猶予期間T3が付与された後に走行に関する遠隔操作が禁止される範囲でもよい。
【0323】
○ 産業車両は、フォークリフト20に限られず任意である。また、産業車両は、予め定められた走行パターンで走行する自動運転機能を有していてもよい。
○ 各実施形態では、タッチパネル54が、操作者から操作される入力部として機能していたが、これに限られず、入力部の具体的な構成は任意である。例えば、遠隔操作装置50に、遠隔操作用のレバー等が設けられていてもよい。また、遠隔操作装置50が、有線又は無線にて電気的に接続された操作コントローラを備えていてもよい。この場合、上記操作コントローラが入力部に相当する。
【0324】
○ 第1実施形態において、車両CPU27が、遠隔操作モード制御処理等を実行する構成でもよい。同様に、第2実施形態において、リモートCPU51が、遠隔操作モード制御処理等を実行する構成でもよい。
【0325】
○ 第1実施形態において、閾値強度RSthは、デッドスポットAx及びホットスポットAyの少なくとも一方を考慮して設定されていてもよい。例えば、閾値強度RSthは、デッドスポットAxに起因する受信電波強度RSの低下、及び、ホットスポットAyに起因する受信電波強度RSの上昇の少なくとも一方を受信電波強度RSの誤差として含めて設定されていてもよい。
【0326】
○ 第3実施形態及び第4実施形態では、更新条件は、遠隔操作装置50に対して更新要求操作が行われたことであったが、これに限られない。
例えば、図27に示すように、フォークリフト20に、外部から信号が入力される入力部210が設けられている構成においては、更新条件は、入力部210に対して更新指示信号が入力されることでもよい。
【0327】
詳細には、入力部210は閾値情報記憶部44aに接続されており、閾値情報記憶部44aは、入力部210を介して直接外部からアクセスできるようになっている。
閾値情報記憶部44aに記憶されている閾値情報D1は、入力部210に接続可能な外部制御装置220を用いて更新される。詳細には、外部制御装置220は、閾値情報更新処理を実行するためのプログラムである閾値情報更新処理実行プログラム221を有している。外部制御装置220は、入力部210に接続されることにより、閾値情報記憶部44aにアクセス可能となる。外部制御装置220は、入力部210に接続された状態で、閾値情報更新処理実行プログラム221を読み出し、閾値情報更新処理を実行することにより、閾値情報D1を更新する。
【0328】
すなわち、閾値情報記憶部44aを有するフォークリフト20としては、閾値情報D1が更新可能な状態となっていればよく、当該閾値情報D1を更新する処理を実行するためのプログラムを有していることは必須ではない。
【0329】
なお、入力部210の具体的な構成は任意であるが、例えばコネクタやインターフェース等であってもよい。また、入力部210は、インターネット上にあるサーバ等と接続可能な機器等でもよい。つまり、閾値情報D1は、サーバ等から送信される更新指示信号に基づいて更新される構成でもよい。
【0330】
○ 第4実施形態において、許可モード閾値RSthbが禁止モード閾値RSthdよりも高く設定されていてもよい。
○ 第4実施形態において、初期モード閾値RSthaは、許可モード閾値RSthb又は禁止モード閾値RSthdと同一でもよいし、許可モード閾値RSthb又は禁止モード閾値RSthdよりも小さくてもよい。同様に、警告モード閾値RSthcは、禁止モード閾値RSthdと同一でもよいし、許可モード閾値RSthbと禁止モード閾値RSthdとの間の値であってもよい。
【0331】
○ 更新指示処理を実行する制御主体は、リモートCPU51に限られず任意であり、遠隔操作装置50に専用の制御回路が別途設けられていてもよい。同様に、閾値情報更新処理を実行する制御主体は、車両無線CPU36に限られず、車両CPU27でもよいし、専用の回路が別途設けられている構成でもよい。
【0332】
○ 上記各実施形態及び別例を適宜組み合わせてもよい。例えば、第3実施形態と第4実施形態とを組み合わせてもよい。詳細には、閾値情報記憶部44aには、各モード閾値RStha〜RSthdとシフト量との双方が設定された閾値情報が記憶されていてもよい。この場合、車両無線CPU36は、遠隔操作モードに対応したモード閾値に対してシフト量を加算した値を閾値強度RSthに設定し、当該閾値強度RSthを用いて可否判定を行ってもよい。例えば、現在の遠隔操作モードが許可モードである場合には、車両無線CPU36は上記閾値情報を参照して許可モード閾値RSthb及びシフト量を読み出し、当該許可モード閾値RSthbに対してシフト量を加算した値を閾値強度RSthとして設定してもよい。なお、シフト量は負の値も含む。
【0333】
そして、産業車両用遠隔操作システム10は、各モード閾値RStha〜RSthdとシフト量とを更新可能に構成されているとよい。例えば、リモートCPU51は、更新用画面G2にシフト量及び当該シフト量に対応する変更アイコンを表示させ、当該変更アイコンが操作された場合には更新対象としてシフト量が設定された更新指示信号を送信するとよい。そして、車両無線CPU36は、上記更新指示信号を受信したことに基づいて、上記閾値情報に記憶されているシフト量を更新するとよい。これにより、各モード閾値RStha〜RSthdの相対的な関係は維持しつつ、フォークリフト20の設置環境に起因する受信電波強度RSの減衰曲線の上下のシフトに対応できる。
【0334】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)車両通信部を有する産業車両と、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、を備えた産業車両用遠隔操作システムであって、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作モードには、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可されている許可モード及び猶予モードと、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止されている禁止モードと、が含まれており、前記産業車両用遠隔操作システムは、前記車両通信部と前記操作装置通信部との距離に関する物理量を把握する把握部と、前記把握部によって把握された前記物理量に基づいて、前記産業車両が第1範囲内又は前記第1範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた第2範囲内のいずれに配置されているのかを判定する可否判定を実行する可否判定部と、前記遠隔操作モードが前記許可モードである状況において前記可否判定によって前記産業車両が前記第2範囲内に配置されていると判定されたことに基づいて、前記遠隔操作モードを、前記許可モードから前記猶予モードに移行させる遠隔操作モード制御部と、前記遠隔操作モードを報知する報知部と、を備え、前記遠隔操作モード制御部は、前記遠隔操作モードが前記猶予モードである状況において予め定められた許可モード移行条件が成立したことに基づいて、前記遠隔操作モードを、前記猶予モードから前記許可モードに移行させる一方、前記遠隔操作モードが前記許可モードから前記猶予モードに移行してから、前記許可モード移行条件が成立することなく、予め定められた猶予期間が経過したことに基づいて、前記遠隔操作モードを、前記猶予モードから前記禁止モードに移行させることを特徴とする産業車両用遠隔操作システム。
【0335】
(ロ)前記可否判定部は、前記可否判定では、前記把握部によって把握された前記物理量と予め定められた閾値との比較に基づいて、前記産業車両が第1範囲内又は前記第2範囲内のいずれに配置されているのかを判定するものであり、前記産業車両用遠隔操作システムは、前記遠隔操作モードに応じて前記閾値を変更する変更部を備えている(イ)に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【0336】
上記(イ),(ロ)に着目すれば、可否判定において両判定期間T1,T2を設定することは必須ではない。すなわち、産業車両用遠隔操作システム10(換言すれば遠隔操作装置50又はフォークリフト20)は、受信電波強度RSと閾値強度RSthとの1回の比較結果に基づいて、フォークリフト20が許可範囲A1内又は禁止範囲A2内のいずれに配置されているかを判定してもよい。
【0337】
また、産業車両用遠隔操作システム10は、受信電波強度RSに代えて、遠隔操作装置50及びフォークリフト20間の距離を検出する距離センサの検出結果等に基づいて、可否判定を行ってもよい。
【0338】
なお、(イ),(ロ)は「産業車両用遠隔操作システム」であったが、(イ),(ロ)が示す主要な技術的思想は、「産業車両用遠隔操作システム」に限られず、「産業車両」、「遠隔操作装置」、「産業車両用遠隔操作プログラム」及び「産業車両用遠隔操作方法」に対しても適用できる。下記(ハ),(ニ)についても同様である。
【0339】
(ハ)車両通信部を有する産業車両と、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、を備えた産業車両用遠隔操作システムであって、前記車両通信部と前記操作装置通信部との間で無線通信される信号の受信電波強度を把握する把握部と、前記受信電波強度の閾値である閾値強度に関する閾値情報が記憶された記憶部と、前記把握部によって把握された前記受信電波強度と、前記閾値情報に設定されている前記閾値強度との比較に基づいて、前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が許可される許可範囲内又は前記許可範囲よりも前記遠隔操作装置から離れた禁止範囲内のいずれに前記産業車両が配置されているのかを判定する可否判定を実行する可否判定部と、を備え、前記禁止範囲は、前記車両通信部と前記操作装置通信部との無線通信が行われる状況下であっても前記遠隔操作装置による前記産業車両の走行に関する遠隔操作が禁止される範囲であり、前記閾値情報は、予め定められた更新条件が成立した場合には更新されることを特徴とする産業車両用遠隔操作システム。
【0340】
(ニ)外部から信号が入力される入力部を備え、前記更新条件は、前記入力部から前記閾値情報の更新指示信号が入力された場合である(ハ)に記載の産業車両用遠隔操作システム。
【符号の説明】
【0341】
10…産業車両用遠隔操作システム、20…フォークリフト(産業車両)、21…運転席、22b…屋根、30…車両通信ユニット(車両通信部)、31…第1アンテナ、32…第2アンテナ、33…信号変換部、36…車両無線CPU、40,110…遠隔操作プログラム(産業車両用遠隔操作プログラム)、50…遠隔操作装置、53,100…リモート通信ユニット(操作装置通信部)、54…タッチパネル(報知部)、SGb…遠隔操作信号、SGc…返信信号、RS…受信電波強度、RSth…閾値強度(第1閾値強度、第2閾値強度)、Ta…特定周期、T1…第1判定期間、T2…第2判定期間、T3…猶予期間、A0…通信範囲、A1…許可範囲、A2…禁止範囲。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27