(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
[全体構成と概要]
最初に、本発明の一実施形態に係る情報処理システム100の全体構成と概要について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム100の全体構成図である。
【0019】
情報処理システム100は、ネットワーク接続された、管理サーバー10と1以上の画像形成装置20を含んで構成される。管理サーバー10はクラウド上に設置されている。画像形成装置20の各々は、顧客サイトに設置されている。
【0020】
各顧客サイトに設置されている画像形成装置20は、定期的にステータス情報などを管理サーバー10に送信し、管理サーバー10が保持している画像形成装置DB17a内の各種情報を更新する。
【0021】
なお、図では3台の画像形成装置20が管理サーバー10に接続されているが、実際には数千台の画像形成装置20が管理サーバー10と接続されている。
【0022】
そして、ネットワーク障害が発生し、障害が回復すると、障害前に管理サーバー10と通信中だった全ての画像形成装置20が一斉に再接続要求(以下、処理要求とも呼ぶ)を出してくる。
【0023】
そのため、何も対策を講じないと管理サーバー10が過負荷となり、情報処理システム100のユーザーに対して適切なサービスを行えなくなる。
【0024】
そこで、情報処理システム100では、ネットワーク障害が回復した際、一斉に送られてくる数多くの再接続要求に対して各種条件に基づいて優先順位を付け、優先順位の高い要求内容の処理を行うと共に、優先順位が低いと判断された要求に対しては、その要求を送信した画像形成装置20に対し、時間を置いて再度要求を出すように依頼する。
【0025】
そのため、ネットワーク障害回復時の管理サーバーの過負荷を防止できる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態に係る情報処理システム100の全体構成と概要について説明した。
【0027】
[管理サーバーの構成]
次に、管理サーバー10の構成について説明する。管理サーバー10は、専用のハードウェアやソフトウェアにより構成されていてもよいし、一般的なコンピューターにより構成されてもよい。管理サーバー10が一般的なコンピューターにより構成される場合の構成図を
図2に示す。
【0028】
同図に示すように、管理サーバー10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、操作入力部14、通信部15(第1の通信部)、表示部16、および記憶部17を有し、これら各ブロックがバス18を介して接続されている。
【0029】
ROM12は、各種の処理を実行するためのファームウェア等の複数のプログラムやデータを記憶する。RAM13は、CPU11の作業用領域として用いられ、OS(Operating System)、実行中の各種アプリケーション、処理中の各種データを一時的に保持する。
【0030】
記憶部17は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリー、その他の不揮発性メモリーである。記憶部17には、OSや各種アプリケーション、各種データ、画像形成装置DB(データベース)17a(後述)が記憶される。
【0031】
通信部15は、ネットワーク上の画像形成装置20等と情報のやりとりを行う為のネットワークと結ばれている。
【0032】
CPU11は、ROM12や記憶部17に格納された複数のプログラムのうち、操作入力部14から与えられる命令に対応するプログラムをRAM13に展開し、この展開されたプログラムにしたがって、表示部16及び記憶部17を適宜制御する。
【0033】
操作入力部14は、例えばマウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、その他の操作装置である。
【0034】
表示部16は、例えば液晶ディスプレイ、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等である。
【0035】
次に、CPU11においてプログラムが実行されることにより実現される機能ブロックについて説明する。
【0036】
管理サーバー10のCPU11において実現される機能ブロックは、要求受付部11a、過負荷検知部11b、優先度決定部11c、要求処理部11d、および遅延要求依頼部11eである。
【0037】
要求受付部11aは、画像形成装置20からの処理要求を受け付ける。
【0038】
過負荷検知部11bは、管理サーバー10の負荷が過負荷になっているか否かを検知する。
【0039】
優先度決定部11cは、管理サーバー10の負荷が過負荷になっているとき、要求受付部11aが受け付けた画像形成装置20からの処理要求に含まれる画像形成装置20のシリアルナンバーに基づいて画像形成装置DB17aを検索し、処理要求を出している画像形成装置20のロケーション、過去の稼働状況、およびカウンター情報の締め日を取得し、取得したロケーション、過去の稼働状況、およびカウンター情報の締め日に基づいて、処理要求を処理する優先度を決定する。
【0040】
要求処理部11dは、優先度決定部11cにより、優先度が高いと決定された処理要求に対する処理、主に画像形成装置DB17a内のステータス情報等の更新を行う。
【0041】
遅延要求依頼部11eは、優先度決定部11cにより、優先度が低いと決定された処理要求を送ってきた画像形成装置20に対し、時間を置いて再度処理要求を出すように依頼する。
【0042】
以上、管理サーバー10の構成について説明した。
【0043】
[画像形成装置DBについて]
次に、画像形成装置DB17aについて説明する。
図3は、画像形成装置DB17aの構成例を示す図である。
【0044】
画像形成装置DB17aには、画像形成装置20のシリアルナンバーをキーとして、画像形成装置20のステータス情報、オンライン/オフライン情報、カウンター情報、カウンター値履歴、カウンター情報の締め日などが登録されている。
【0045】
ステータス情報は、画像形成装置20のエラー状態などを示す情報である。
【0046】
ロケーション情報は、画像形成装置20の設置されている場所(地域)を示す。ロケーション情報に基づいて画像形成装置20の設置されている場所におけるワークタイムを割り出すことが出来る。
【0047】
オンライン/オフライン情報は、画像形成装置20がオンライン状態であるか、オフライン状態であるかを示す情報である。
【0048】
カウンター情報は、画像形成装置20のカウンター値を示す情報である。
【0049】
カウンター値履歴は、過去のカウンター値が記録されている履歴であり、この履歴を用いることにより、画像形成装置20の過去の稼働状況を知ることが出来る。
【0050】
カウンター情報の締め日は、画像形成装置20の使用量に応じてディーラーが顧客に課金するためのカウンター情報の締め切り日である。毎月10日とか、毎月20日とかに設定される。
上記の情報は、各画像形成装置20からの更新要求により更新される。
【0051】
以上、画像形成装置DB17aについて説明した。
【0052】
[画像形成装置の構成]
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置20の構成について説明する。
図4は画像形成装置20の構成を概略的に示す構成図である。
【0053】
画像形成装置20は、制御部21を備える。制御部21は、CPU、RAM、ROM、および専用のハードウェア回路等から構成され、画像形成装置20の全体的な動作制御を司る。
【0054】
制御部21は、原稿読取部22、画像処理部23、画像メモリー24、画像形成部25、操作部26、表示部26a、ファクシミリ通信部27、通信部28(第2の通信部)、記憶部29等と接続されている。制御部21は、接続されている上記各部の動作制御や、各部との間での信号又はデータの送受信を行う。
【0055】
制御部21は、ユーザーから、操作部26またはネッワーク接続されたPC等を通じて入力されるジョブの実行指示に従って、スキャナ機能、印刷機能、コピー機能、およびファクシミリ送受信機能などの各機能についての動作制御を実行するために必要な機構の駆動及び処理を制御する。
【0056】
また、制御部21は、更新要求部21aを有している。更新要求部21aは、ROMなどからRAMにロードされたプログラムがCPUにより実行されることで実現される機能ブロックである。
【0057】
更新要求部21aは、画像形成装置20のステータス情報、カウンター情報などの更新を管理サーバー10に要求する。管理サーバー10との通信中にネットワーク障害が発生した場合は、ネットワーク回復後に処理要求を再送する。
【0058】
また、更新要求部21aは、管理サーバー10から時間を置いて再送することを依頼する遅延要求依頼を受信した場合、指定された時間だけ待機した後、処理要求を再送する。
【0059】
原稿読取部22は、原稿から画像を読み取る。
【0060】
画像処理部23は、原稿読取部22で読み取られた画像の画像データを必要に応じて画像処理する。例えば、画像処理部23は、原稿読取部22により読み取られた画像が画像形成された後の品質を向上させるために、シェーディング補正等の画像処理を行う。
【0061】
画像メモリー24は、原稿読取部22による読み取りで得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部25での印刷対象となるデータを一時的に記憶したりする領域である。
【0062】
画像形成部25は、原稿読取部22で読み取られた画像データ等の画像形成を行う。
【0063】
操作部26は、画像形成装置20が実行可能な各種動作及び処理についてユーザーからの指示を受け付けるタッチパネル部および操作キー部を備える。タッチパネル部は、タッチパネルが設けられたLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部26aを備えている。
【0064】
ファクシミリ通信部27は、図示しない符号化/復号化部、変復調部、およびNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行う。
【0065】
通信部28は、LANボード等の通信モジュールから構成され、通信部28に接続されたLAN等を介して、ネットワーク上の装置(管理サーバー10等)と種々のデータの送受信を行う。
【0066】
記憶部29は、原稿読取部22によって読み取られた原稿画像および管理サーバーのアドレス29aなどを記憶する。記憶部29は、HDDなどの大容量の記憶装置である。
【0067】
管理サーバーのアドレス29aは、画像形成装置20が管理サーバー10と通信する際に参照される。
【0068】
以上、画像形成装置20の構成について説明した。
【0069】
[全体的な処理の流れ]
次に、情報処理システム100における全体的な処理の流れについて説明する。
図5は、情報処理システム100における全体的な処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
【0070】
まず、画像形成装置20の更新要求部21aが、管理サーバー10に対し、ステータス等の更新要求(処理要求)を送信する(ここでの送信には、ネットワーク障害から回復後の再接続要求も含む)(ステップS1)。
【0071】
次に、管理サーバー10の要求受付部11aが、画像形成装置20からの処理要求を受け付ける(ステップS2)。
【0072】
次に、管理サーバー10の過負荷検知部11bが、現在、管理サーバー10が過負荷状態にあるか否かを検知する(ステップS3)。
【0073】
管理サーバー10が過負荷状態にない場合(ステップS3のN)、管理サーバー10の要求処理部11dが、画像形成装置20から要求された処理を行い、処理を完了する(ステップS4)。
【0074】
管理サーバー10が過負荷状態にある場合(ステップS3のY)、管理サーバー10の優先度決定部11cが、処理要求の優先度を決定する(ステップS5)。優先度決定方法については後述する。
【0075】
次に、管理サーバー10の優先度決定部11cは、処理要求の決定された優先度が高いか否かを判断する(ステップS6)。
【0076】
処理要求の優先度が高い場合(ステップS6のY)、管理サーバー10の要求処理部11dが、画像形成装置20から要求された処理を行い、処理を完了する(ステップS7)。
【0077】
処理要求の優先度が低い場合(ステップS6のN)、管理サーバー10の遅延要求依頼部11eが、要求を出した画像形成装置20に対し、指定された時間を置いて再度処理要求を出すように依頼し、処理を完了する(ステップS8)。
【0078】
以上、情報処理システム100における全体的な処理の流れについて説明した。
【0079】
[優先度決定処理の流れ]
次に、管理サーバー10の優先度決定部11cで行われる処理要求の優先度決定処理の流れについて説明する。
図6は、管理サーバー10の優先度決定部11cで行われる処理要求の優先度決定処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
【0080】
まず、優先度決定部11cが、処理要求の優先度を「低」に設定する(ステップS51)。
【0081】
次に、優先度決定部11cは、画像形成装置DB17aからロケーション情報を取得する(ステップS52)。
【0082】
次に、優先度決定部11cは、取得したロケーション情報から処理要求を出している画像形成装置20の設置されているサイトの現在時刻がワークタイム内(例えば日本であれば午前9時から午後5時までの間)であるか否かを判断する(ステップS53)。ワークタイム外の時間帯にある画像形成装置20に対しては、優先度を低くし、時間を置いての再要求を依頼しても問題が無いと考えられるからである。
【0083】
ワークタイム内である場合(ステップS53のY)、優先度決定部11cは、処理要求の優先度を「高」に変更する(ステップS54)。
【0084】
ワークタイム内ではない場合(ステップS53のN)、優先度決定部11cは、何もせず、次の処理(ステップS55)に進む。
【0085】
次に、優先度決定部11cは、画像形成装置DB17aからカウンター値履歴を取得する(ステップS55)。
【0086】
次に、優先度決定部11cは、取得したカウンター値履歴から処理要求を出している画像形成装置20の使用頻度を算出し、使用頻度が高いか(使用頻度が第1のしきい値以上か)否かを判断する(ステップS56)。使用頻度が低い画像形成装置20については、優先度を低くし、時間を置いての再要求を依頼しても問題が無いと考えられるからである。
【0087】
使用頻度が第1のしきい値以上である場合(ステップS56のY)、優先度決定部11cは、処理要求の優先度を「高」に変更する(ステップS57)。
【0088】
使用頻度が第1のしきい値未満である場合(ステップS56のN)、優先度決定部11cは、何もせず、次の処理(ステップS58)に進む。
【0089】
次に、優先度決定部11cは、画像形成装置DB17aからカウンター情報の締め日を取得する(ステップS58)。
【0090】
次に、優先度決定部11cは、取得したカウンター情報の締め日から、締め日が近いか(現在から締め日までの日数が第2のしきい値以下であるか)否かを判断する(ステップS59)。カウンター情報は課金のために最も重要な情報であり、締め日が近い画像形成装置20では優先的にカウンター情報を収集しなければならない。
【0091】
締め日までの日数が第2のしきい値以下である場合(ステップS59のY)、優先度決定部11cは、処理要求の優先度を「高」に変更し、メインルーチンに戻る(ステップS60)。
【0092】
締め日までの日数が第2のしきい値を超える場合(ステップS59のN)、優先度決定部11cは、何もせず、メインルーチンに戻る。
【0093】
以上、管理サーバー10の優先度決定部11cで行われる処理要求の優先度決定処理の流れについて説明した。
【0094】
[補足事項]
以上のように、本発明の情報処理システム100は、ネットワーク接続された管理サーバー10と1以上の画像形成装置20とを含み、前記管理サーバー10は、前記1以上の画像形成装置20と通信可能な第1の通信部15と、前記1以上の画像形成装置20の各々のシリアルナンバーをキーとして、前記1以上の画像形成装置20の各々の情報が格納された画像形成装置データベース17aが記憶されている記憶部17と、前記1以上の画像形成装置20の各々からの処理要求を受け付ける要求受付部11aと、自サーバー10の負荷が過負荷になっているか否かを検知する過負荷検知部11bと、自サーバー10の負荷が過負荷になっているとき、前記要求受付部11aが受け付けた前記処理要求に含まれる前記シリアルナンバーに基づいて前記画像形成装置データベース17aを検索し、前記処理要求を出している画像形成装置20の前記情報を取得し、取得した前記情報に基づいて、前記処理要求を処理する優先度を決定する優先度決定部11cと、前記優先度決定部11cにより、優先度が高いと決定された前記処理要求に対する処理を行う要求処理部11dと、前記優先度決定部11cにより、優先度が低いと決定された前記処理要求を送ってきた画像形成装置20に対し、時間を置いて再度処理要求を出すように依頼する遅延要求依頼を送信する遅延要求依頼部11eとを備え、前記1以上の画像形成装置20の各々は、前記管理サーバー10と通信可能な第2の通信部28と、自装置20の前記情報の更新を前記管理サーバー10に前記処理要求として要求し、前記管理サーバー10から前記遅延要求依頼を受信したとき、指定された時間だけ待機した後、前記処理要求を再送する更新要求部21aとを備える。
【0095】
そのため、ネットワーク障害回復時の管理サーバーの過負荷を防止できる。
【0096】
その他、本発明は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。