(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の制御システムでは、携帯POS端末が特定のプリンターに対して無線LANにより印刷データを送信している間であっても、他の携帯POS端末がビーコン信号を受信することで、特定のプリンターを含め複数のプリンターの中から最も近くにあるプリンターを検出できるため、最も近くにあるプリンターを確実に検出できる。
【0006】
ところで、特許文献1の制御システムでは、無線LANにより、携帯POS端末からプリンターに印刷データを送信することで、プリンターによる印刷データの出力が可能となるものの、たとえばスマートフォン等の携帯端末が有するアドレス帳のアドレス情報をプリンターに送信して登録したり、表示させたり、削除したりする場合、たとえばプリンター側のパネル部を介しての操作が必要となる。
【0007】
この場合、アドレス情報の登録、表示、削除のそれぞれにおいての操作が必要となり、操作の煩わしさからユーザーの利便性が低下するという問題がある。しかも、プリンター側に登録したアドレス情報の削除をし忘れると、アドレス情報が漏洩してしまうおそれがあり、情報漏洩に対する安全性が低下するという問題もある。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解消することができるアドレス帳表示システム、電子機器、アドレス帳表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のアドレス帳表示システムは、電波を一定出力で送信する携帯端末と、前記電波を受信し、前記携帯端末との距離に応じた前記受信した電波の強度の変化に合わせ、前記携帯端末から受け取ったアドレス帳のアドレス情報の登録と、表示と、削除とを実行する電子機器とを備え、前記電子機器は、前記受信した電波の強度の変化を、第1のレベル〜第3のレベル(第1のレベル>第2のレベル>第3のレベル)の3段階で判断し、前記第3のレベルのとき、前記携帯端末に対して前記アドレス情報の登録を促すメッセージを通知し、前記第2のレベルのとき、前記携帯端末から受け取った前記アドレス情報を記憶デバイスに登録し、前記第1のレベルのとき、前記記憶媒体に登録したアドレス情報をパネル部に表示させ、前記第1のレベルから前記第2のレベルに変化したとき、前記記憶デバイスに登録したアドレス情報を削除することを特徴とする。
本発明の電子機器は、携帯端末が一定出力で送信する電波を受信する受信部と、前記携帯端末との距離に応じて変化する前記受信した電波の強度を検出する強度検出部と、前記携帯端末から受け取ったアドレス帳のアドレス情報を登録する記憶デバイスと、前記アドレス情報を表示するパネル部と、前記強度検出部が検出した前記受信した電波の強度の変化に合わせ、前記記憶デバイスへの前記アドレス情報の登録と、前記パネル部への前記アドレス情報の表示と、前記記憶デバイスに登録した前記アドレス情報の削除とを制御するシステム制御部とを備え、前記システム制御部は、前記受信した電波の強度の変化を、第1のレベル〜第3のレベル(第1のレベル>第2のレベル>第3のレベル)の3段階で判断し、前記第3のレベルのとき、前記携帯端末に対して前記アドレス情報の登録を促すメッセージを通知し、前記第2のレベルのとき、前記携帯端末から受け取った前記アドレス情報を前記記憶デバイスに登録し、前記第1のレベルのとき、前記記憶媒体に登録したアドレス情報をパネル部に表示させ、前記第1のレベルから前記第2のレベルに変化したとき、前記記憶デバイスに登録したアドレス情報を削除することを特徴とする。
本発明のアドレス帳表示プログラムは、
携帯端末が一定出力で送信する電波を受信する
受信部、
前記携帯端末との距離に応じて変化する前記受信した電波の強度を検出する
強度検出部、
前記携帯端末から受け取ったアドレス帳のアドレス情報を登録する
記憶デバイス、
前記アドレス情報を表示する
パネル部、および前記強度検出部が検出した前記受信した電波の強度の変化に合わせ、前記記憶デバイスへの前記アドレス情報の登録と、前記パネル部への前記アドレス情報の表示と、前記記憶デバイスに登録した前記アドレス情報の削除とを制御する
システム制御部としてコンピューターを機能させ、前記システム制御部は、前記受信した電波の強度の変化を、第1のレベル〜第3のレベル(第1のレベル>第2のレベル>第3のレベル)の3段階で判断し、前記第3のレベルのとき、前記携帯端末に対して前記アドレス情報の登録を促すメッセージを通知し、前記第2のレベルのとき、前記携帯端末から受け取った前記アドレス情報を前記記憶デバイスに登録し、前記第1のレベルのとき、前記記憶媒体に登録したアドレス情報をパネル部に表示させ、前記第1のレベルから前記第2のレベルに変化したとき、前記記憶デバイスに登録したアドレス情報を削除することを特徴とする。
本発明のアドレス帳表示システム、電子機器、及びアドレス帳表示プログラムでは、携帯端末によりたとえば位置情報を示す電波を一定出力で送信し、電子機器により携帯端末との距離に応じた電波の強度の変化に合わせ、携帯端末から受け取ったアドレス帳のアドレス情報の登録と、表示と、削除とを実行する。
このように、電子機器が携帯端末からの電波を受信し、距離に応じた携帯端末からの電波の強度の変化に合わせ、携帯端末から受け取ったアドレス帳のアドレス情報の登録と、表示と、削除とを実行することで、ユーザーによるアドレス情報の登録、表示、削除に関わるそれぞれの操作を無くすことができる。また、電子機器が距離に応じた携帯端末からの電波の強度の変化に合わせ、登録したアドレス帳のアドレス情報を削除することで、アドレス情報の漏洩を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアドレス帳表示システム、電子機器、アドレス帳表示プログラムによれば、ユーザーによるアドレス情報の登録、表示、削除に関わるそれぞれの操作を無くすことができ、併せてアドレス情報の漏洩を確実に防止できるので、ユーザーの利便性と情報漏洩に対する安全性とを共に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のアドレス帳表示システムの一実施形態を、
図1〜
図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明においての電子機器の一例としては、たとえば印刷機能、コピー機能、FAX機能、ネットワーク経由でのデータ送受信機能等を搭載した複合的な周辺機器であるMFP(Multifunction Peripheral)であるものとする。また、以下に説明する携帯端末からのアドレス帳のアドレス情報は、たとえばMFPのFAX機能やデータ送信等を利用するとき、相手先の設定に用いることを想定している。
【0013】
まず、
図1に示すMFP100は、スマートフォン等の携帯端末200が発信するBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy:以下、ビーコン信号という)を受信し、携帯端末200の位置を判断する。ここで、携帯端末200からのビーコン信号は、一定間隔(たとえば1秒間隔)且つ一定出力で発信されるものとする。また、MFP100側では、一定間隔(たとえば1秒間隔)で携帯端末200から受信したビーコン信号の強度(dBm)を検出し、携帯端末200の位置を判断するものとする(以下、「ビーコン信号の強度」とは、MFP100が携帯端末200から受信したビーコン信号の強度を示す。)。また、MFP100は、携帯端末200が発信するビーコン信号の強度(dBm)の検出結果に応じて、携帯端末200に対しアドレス帳の登録を促すメッセージの通知に加え、携帯端末200から受け取ったアドレス帳のアドレス情報の登録、表示、削除の処理を実行する。なお、携帯端末200に対してアドレス帳の登録を促すメッセージの通知に加え、アドレス帳のアドレス情報の登録、表示、削除の処理を実行する際のタイミングは、たとえば第1のレベル〜第3のレベル(第1のレベル>第2のレベル>第3のレベル)の3段階に分けたビーコン信号の強度(dBm)に基づくものとする。また、携帯端末200が発信するビーコン信号の受信可能な距離を、たとえば半径20mとする。携帯端末200が発信するビーコン信号の受信可能な距離については、半径20mに限定されるものではなく、半径20m未満であってもよいし、半径20mを超えてもよい。また、上述のメッセージの通知に加え、アドレス帳のアドレス情報の登録、表示、削除の処理を実行する際のタイミングについては、第1のレベル〜第3のレベルの3段階に分けたビーコン信号の強度(dBm)に基づくものに限定するものではなく、レベルを4段階以上、又は2段階としてもよい。
【0014】
ここで、第1のレベルは、ビーコン信号の強度(dBm)が最も高いものとし、たとえば−30dBm(
図3参照)とする。また、この第1のレベルは、発信元の携帯端末200からたとえば1mの位置で検出できるものとする。第2のレベルは、ビーコン信号の強度(dBm)が第1のレベルの次に高いものとし、たとえば−63dBm(
図3参照)とする。また、この第2のレベルは、発信元の携帯端末200からたとえば12mの位置で検出できるものとする。第3のレベルは、ビーコン信号の強度(dBm)が第2のレベルの次に高いものとし、たとえば−67dBm(
図3参照)とする。また、この第3のレベルは、発信元の携帯端末200からたとえば20mの位置で検出できるものとする。
【0015】
MFP100は、携帯端末200からのビーコン信号の強度(dBm)の第1のレベルを検出すると、携帯端末200が最も接近していると判断できる。また、MFP100は、携帯端末200からのビーコン信号の強度(dBm)の第2のレベルを検出すると、携帯端末200が遠いことを判断できる。また、MFP100は、携帯端末200からのビーコン信号の強度(dBm)の第3のレベルを検出すると、携帯端末200が最も遠いことを判断できる。
【0016】
携帯端末200が発信するビーコン信号には、携帯端末200に接続するための接続情報と、MFP100でのログイン処理に必要なユーザーID等のユーザー識別情報とが含まれている。そして、MFP100は、詳細については後述するが、携帯端末200からのビーコン信号の強度(dBm)の第3のレベルを検出すると、携帯端末200に対してアドレス帳の登録を促すメッセージを通知する。なお、携帯端末200に対してアドレス帳の登録を促すメッセージの通知のタイミングのレベルは、第3のレベルに限定されるものではない。第3のレベルより一定レベルだけ高い値、又は低い値を基準としてもよい。また、メッセージには、MFP100の識別情報(たとえば、MACアドレス、及びIPアドレス)が含まれている。
【0017】
MFP100は、携帯端末200によってアドレス帳の登録が指示されると、指定されたアドレス帳のアドレス情報を受け取り、後述の
図2に示すHDD105に登録する。なお、HDD105に対するアドレス帳のアドレス情報の登録は、アドレス帳のアドレス情報を受け取った時点としてもよいし、第3のレベルを検出した後の第2のレベルを検出した時点で行ってもよい。HDD105に対するアドレス帳のアドレス情報の登録を第2のレベルを検出した時点とすると、第3のレベルを検出した時点でユーザーがMFP100にアドレス帳のアドレス情報を送信したにも関わらず、MFP100から離れてしまうことで、第3のレベルを検出した後の第2のレベルが検出されないことによる情報の漏洩防止の処理を実行できる。すなわち、第3のレベルを検出した後、一定時間経過しても、第2のレベルを検出できなければHDD105へのアドレス帳のアドレス情報の登録が行われないようにすると、MFP100側にはアドレス帳のアドレス情報が残らないことになり、アドレス情報の漏洩を防止できる。
【0018】
また、MFP100は、携帯端末200からのビーコン信号の強度(dBm)の第1のレベルを検出すると、携帯端末200が最も接近していると判断し、後述の
図2に示すパネル部104にHDD105に登録したアドレス帳のアドレス情報を表示する。なお、MFP100は、携帯端末200が発信するビーコン信号に含まれているログイン処理に必要なユーザーID等のユーザー識別情報を取得することで、取得したユーザー識別情報の実行により、パネル部104を介して行うログイン時での認証処理を省略できる。これにより、携帯端末200を使用するユーザーによるパネル部104を介してのユーザーID等の入力によるログイン操作が不要となる。
【0019】
また、MFP100は、携帯端末200からのビーコン信号の強度(dBm)の第1のレベルを検出した後、第2のレベルを検出した場合、ユーザーが離れたと判断し、後述の
図2に示すHDD105に登録したアドレス帳のアドレス情報を削除する。なお、HDD105に登録したアドレス帳のアドレス情報の削除のタイミングとなるレベルは、第2のレベルに限定されるものではなく、第3のレベルであってもよい。このように、ユーザーがMFP100から離れた場合、HDD105に登録したアドレス帳のアドレス情報を削除することで、アドレス情報の漏洩を防止できる。
【0020】
次に、
図2を参照し、MFP100及び携帯端末200の構成の一例について説明する。まず、MFP100は、プリンター部101、I/F(インターフェース)102、ビーコン受信器103、パネル部104、HDD105を制御する制御部110を備えている。なお、MFP100は、スキャナー部、FAX部等を備えていてもよい。
【0021】
プリンター部101は、制御部110から出力される印刷データに基づき、図示しない用紙上に画像を印刷するデバイスである。I/F102は、ネットワークを介し、携帯端末200との通信を受け持つ。なお、I/F102は、コンテンツサーバーやウェブサーバーなどとの通信を受け持ってもよい。また、I/F102は、図示しない送受信部を介し、無線LANのWi-Fi(登録商標)、Wi-Fi Direct(登録商標)、近距離通信のBluetooth(登録商標)等のそれぞれの通信方式により、携帯端末200との通信を受け持ってもよい。
【0022】
ビーコン受信器103は、携帯端末200が発信するビーコン信号を受信する。パネル部104は、MFP100の印刷機能、コピー機能、FAX機能、ネットワーク経由でのデータ送受信機能や、各種設定のための表示を行うタッチパネル等のデバイスである。
【0023】
HDD105は、MFP100の種々の機能を提供するためのアプリケーションプログラム等を記憶している記憶デバイスである。また、HDD105は、たとえば携帯端末200や図示しないユーザー端末から登録された印刷ジョブを記憶するユーザーボックスを有している。また、HDD105は、携帯端末200から送信されるアドレス帳のアドレス情報を登録する。
【0024】
制御部110は、画像形成プログラムや制御プログラム等を実行してMFP100全体の動作を制御するプロセッサーである。制御部110は、プリンター制御部111、通信制御部112、ビーコン制御部113、RAM(Random Access Memory)114、ROM(Read-Only Memory)115、信号強度検出部116、画像処理部117、パネル操作制御部118、HDD制御部119、システム制御部120を備えている。また、これらは、データバス121に接続されている。プリンター制御部111は、プリンター部101の印刷動作を制御する。通信制御部112は、I/F102を介し、ネットワーク経由でのデータ等の送受信の制御を行う。
【0025】
ビーコン制御部113は、ビーコン受信器103の動作を制御する。RAM114は、プログラムを実行するためのワークメモリーである。ROM115には、各部の動作チェック等を行う制御プログラムが記憶されている。信号強度検出部116は、携帯端末200が発信するビーコン信号の強度(dBm)を検出する。画像処理部117は、たとえばHDD105のユーザーボックスに登録された印刷ジョブに対する画像処理(ラスタライズ)を行う。なお、システム制御部120は、画像処理部117が画像処理した印刷データを、一旦、RAM114に記憶させる。
【0026】
パネル操作制御部118は、パネル部104の表示動作を制御する。また、パネル操作制御部118は、パネル部104を介し、印刷、コピー、FAX、ネットワーク経由でのデータ送受信等の開始の設定等を受け付ける。HDD制御部119は、HDD105に対するデータの読み込み及び書き込み等を制御する。
【0027】
システム制御部120は、各部の連携動作を制御する。また、システム制御部120は、パネル部104、又は携帯端末200からのたとえば印刷指示を受け付けると、画像処理部117に対する画像処理の指示、プリンター制御部111に対するプリンター部101による印刷の指示等を行う。また、システム制御部120は、詳細については後述するが、信号強度検出部116が検出したビーコン信号の強度(dBm)を元に、上述した第1のレベル〜第3のレベルの変化を確認し、携帯端末200に対しアドレス帳の登録を促すメッセージの通知に加え、携帯端末200から受け取ったアドレス帳のアドレス情報の登録、表示、削除の処理を実行する。
【0028】
携帯端末200は、アンテナ201、パネル部202を制御する制御部210を備えている。アンテナ201は、図示しない無線基地局との間での電波を送受信する。また、アンテナ201は、後述のビーコン発生部214が発生させたビーコン信号を一定出力で送信する。また、アンテナ201は、次の通信方式により、MFP100からのアドレス帳の登録を促すメッセージを受信したり、後述のアドレス帳管理部215が管理しているアドレス情報を送信したりする。すなわち、通信方式がWi-Fi(登録商標)の場合、図示しない無線LANルーターを介し、MFP100との間で電波を送受信する。また、アンテナ201は、通信方式がP2P(Peer to Peer)(例えば、Wi-Fi Direct(登録商標)、Bluetooth(登録商標))の場合、MFP100の図示しない送受信部との間で電波を送受信する。
【0029】
制御部210は、制御プログラム等を実行して携帯端末200全体の動作を制御するプロセッサーである。制御部210は、通信制御部211、RAM212、ROM213、ビーコン発生部214、アドレス帳管理部215、パネル操作制御部216、システム制御部217を備えている。また、これらは、データバス218に接続されている。
【0030】
通信制御部211は、アンテナ201を介し、ネットワーク経由でのデータ等の送受信の制御を行う。また、通信制御部211は、ビーコン発生部214が発生させたビーコン信号をアンテナ201を介し送信する。また、通信制御部211は、アンテナ201を介しMFP100からのアドレス帳の登録を促すメッセージを受信したり、アドレス帳管理部215が管理しているアドレス情報を送信したりする。RAM212は、プログラムを実行するためのワークメモリーである。ROM213には、各部の動作チェック等を行う制御プログラムが記憶されている。ビーコン発生部214は、ビーコン信号を発生させる。アドレス帳管理部215は、たとえばパネル部202を介して登録されたアドレス情報を管理する。パネル操作制御部216は、パネル部202の表示動作を制御する。
【0031】
システム制御部217は、各部の連携動作を制御する。また、システム制御部217は、ビーコン発生部214が発生させたビーコン信号を通信制御部211を介して送信させる。また、システム制御部217は、通信制御部211を介してビーコン信号を送信させる際、ビーコン信号にユーザーID等のユーザー識別情報を含ませる。また、システム制御部217は、MFP100からのアドレス帳の登録を促すメッセージを受け取った場合、パネル部202を介してアドレス帳の登録指示があると、アドレス帳管理部215が管理しているアドレス帳のアドレス情報を、メッセージに含まれる識別情報(たとえば、MACアドレス、及びIPアドレス)を元に、通信制御部211を介してメッセージを通知したMFP100に送信する。この場合、システム制御部217は、パネル部202を介してアドレス帳の指定、又はアドレス帳のリストの選択等の指示があると、指定されたアドレス帳のアドレス情報又は選択されたアドレス帳のリストを通信制御部211を介してメッセージを通知したMFP100に送信する。
【0032】
次に、
図3を参照し、携帯端末200が発信するビーコン信号の強度(dBm)について説明する。
図3は、MFP100のシステム制御部120が信号強度検出部116の検出したビーコン信号の強度(dBm)に基づき、携帯端末200の位置を判断する際に参照する距離判断グラフの一例を示している。
図3に示す距離判断グラフ130は、横軸に携帯端末200までの距離(m)を示し、縦軸に携帯端末200が発信するビーコン信号の強度(dBm)を示している。
【0033】
すなわち、携帯端末200が発信するビーコン信号の強度(dBm)は、距離の2乗に反比例して減衰する。ここで、システム制御部120は、信号強度検出部116がビーコン信号の強度(dBm)をたとえば−30dBm(0.001mW)と検出した場合、距離判断グラフ130から携帯端末200までの距離をたとえば1mと判断する。また、システム制御部120は、信号強度検出部116がビーコン信号の強度(dBm)をたとえば−63dBm(0.00000005mW)と検出した場合、距離判断グラフ130から携帯端末200までの距離をたとえば12mと判断する。また、システム制御部120は、信号強度検出部116がビーコン信号の強度(dBm)をたとえば−67dBm(0.00000001mW)と検出した場合、距離判断グラフ130から携帯端末200までの距離をたとえば20mと判断する。
【0034】
なお、システム制御部120は、信号強度検出部116が検出したビーコン信号の強度(dBm)を、上述したように、たとえば第1のレベル〜第3のレベルの3段階に分け、それぞれのレベルで、携帯端末200に対しアドレス帳の登録を促すメッセージの通知に加え、携帯端末200から受け取ったアドレス帳のアドレス情報の登録、表示、削除の処理を実行する。
【0035】
次に、
図4を参照し、MFP100側での処理について説明する。なお、以下の説明では、HDD105に対するアドレス帳のアドレス情報の登録は、第3のレベルを検出した後、第2のレベルを検出した時点で行うものとする。また、以下の説明では、携帯端末200からのビーコン信号は、一定間隔(たとえば1秒間隔)で発信されるものとする。また、MFP100の信号強度検出部116は、一定間隔(たとえば1秒間隔)でビーコン信号の強度(dBm)を検出するものとする。また、第1のレベルは、ビーコン信号の強度(dBm)が最も高いものとし、たとえば−30dBmであり、発信元の携帯端末200からたとえば1mの位置で検出できるものとする。また、第2のレベルは、ビーコン信号の強度(dBm)が第1のレベルの次に高いものとし、たとえば−63dBmであり、発信元の携帯端末200からたとえば12mの位置で検出できるものとする。また、第3のレベルは、ビーコン信号の強度(dBm)が第2のレベルの次に高いものとし、たとえば−67dBmであり、発信元の携帯端末200からたとえば20mの位置で検出できるものとする。
【0036】
(ステップS101)
システム制御部120は、ビーコン信号を受信したかどうかを判断する。
この場合、システム制御部120は、ビーコン制御部113からビーコン信号を受信したことを知らせる通知が無ければビーコン信号を受信していないと判断する(ステップS101:No)。
これに対し、システム制御部120は、ビーコン制御部113からビーコン信号を受信したことを知らせる通知が有ればビーコン信号を受信したと判断し(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。
【0037】
(ステップS102)
システム制御部120は、ビーコン信号の強度(dBm)を検出させる。
この場合、システム制御部120は、信号強度検出部116に対し、ビーコン信号の強度(dBm)を検出させる。
このとき、信号強度検出部116は、携帯端末200から一定間隔(たとえば1秒間隔)で発信されるビーコン信号の強度(dBm)を、一定間隔(たとえば1秒間隔)で検出し、システム制御部120に通知する。
【0038】
(ステップS103)
システム制御部120は、検出結果を受け取ったかどうかを判断する。
この場合、システム制御部120は、信号強度検出部116からの通知が無ければ検出結果を受け取っていないと判断する(ステップS103:No)。
これに対し、システム制御部120は、信号強度検出部116からの通知が有れば検出結果を受け取ったと判断し(ステップS103:Yes)、ステップS104に移行する。
このとき、システム制御部120は、ビーコン信号に含まれている携帯端末200に接続するための接続情報と、MFP100でのログイン処理に必要なユーザーID等のユーザー識別情報とを取得する。
【0039】
(ステップS104)
システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第3のレベルかどうかを判断する。
この場合、システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第3のレベルであると判断すると(ステップS104:Yes)、ステップS105に移行する。
これに対し、システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第3のレベルでないと判断すると(ステップS104:No)、ステップS106に移行する。
【0040】
(ステップS105)
システム制御部120は、アドレス帳の登録を促すメッセージを送信する。
この場合、システム制御部120は、通信制御部112を介し、ビーコン信号に含まれている接続情報を元に、携帯端末200に対してアドレス帳の登録を促すメッセージを送信する。
【0041】
(ステップS106)
システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第2のレベルかどうかを判断する。
この場合、システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第2のレベルであると判断すると(ステップS106:Yes)、ステップS107に移行する。
これに対し、システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第2のレベルでないと判断すると(ステップS106:No)、ステップS110に移行する。
【0042】
(ステップS107)
システム制御部120は、第1のレベルが検出済みかどうかを判断する。
この場合、システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第3のレベルのみである場合、第1のレベルが検出済みでないと判断し(ステップS107:No)、ステップS108に移行する。
これに対し、システム制御部120は、信号強度検出部116から第1のレベルのビーコン信号の強度(dBm)を受け取っている場合、第1のレベルが検出済みと判断し(ステップS107:Yes)、ステップS113に移行する。
【0043】
(ステップS108)
システム制御部120は、アドレス帳のアドレス情報を受け取ったかどうかを判断する。
この場合、システム制御部120は、通信制御部112からアドレス帳のアドレス情報を受け取ったことを示す通知が無ければアドレス帳のアドレス情報を受け取っていないと判断する(ステップS108:No)。
これに対し、システム制御部120は、通信制御部112からアドレス帳のアドレス情報を受け取ったことを示す通知が有ればアドレス帳のアドレス情報を受け取ったと判断し(ステップS108:Yes)、ステップS109に移行する。
【0044】
(ステップS109)
システム制御部120は、アドレス帳のアドレス情報を登録させる。
この場合、システム制御部120は、HDD制御部119に対し、HDD105にアドレス帳のアドレス情報を登録させる。
【0045】
(ステップS110)
システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第1のレベルかどうかを判断する。
この場合、システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第1のレベルでないと判断すると(ステップS110:No)、第1のレベルが検出されるまで待機する。
これに対し、システム制御部120は、信号強度検出部116から受け取ったビーコン信号の強度(dBm)が第1のレベルであると判断すると(ステップS110:Yes)、ステップS111に移行する。
【0046】
(ステップS111)
システム制御部120は、アドレス帳のアドレス情報を表示させる。
この場合、システム制御部120は、既に取得しているMFP100でのログイン処理に必要なユーザーID等のユーザー識別情報を元に、認証処理を実行し、パネル操作制御部118を介し、パネル部104にHDD105に登録したアドレス帳のアドレス情報を表示させる。
これにより、携帯端末200を使用するユーザーによるパネル部104を介してのユーザーID等の入力によるログイン操作が不要となる。また、パネル部104を介してのアドレス帳のアドレス情報の表示の操作も不要となる。
また、HDD105に登録したアドレス帳のアドレス情報に、ユーザーID等のユーザー識別情報を含ませておくことで、認証処理に成功したユーザーに該当するアドレス情報を確実にパネル部104に表示させることができる。
なお、システム制御部120は、信号強度検出部116が第1のレベルのビーコン信号を検出している期間のみパネル部104へのアドレス帳のアドレス情報の表示を継続させ、信号強度検出部116が第1のレベルより小さいレベルのビーコン信号を検出したらパネル部104へのアドレス帳のアドレス情報の表示を解除してもよい。
これにより、ユーザーがMFP100から離れてもパネル部104でのアドレス帳のアドレス情報の表示が解除されるため、情報漏洩が防止される。
ここで、ユーザーは、パネル部104を介し、たとえばFAX機能を選択したとき、パネル部104に表示されているアドレス帳のアドレス情報から選択することで、相手先の接続情報の設定を容易に行える。
【0047】
(ステップS112)
システム制御部120は、機能の利用が終了したかどうかを判断する。
この場合、システム制御部120は、たとえばFAX機能が選択されているとき、図示しないFAX制御部からの送信完了を示す通知が無ければ機能の利用が終了していないと判断すると(ステップS112:No)、FAX制御部からの送信完了を示す通知が有るまで待機する。
これに対し、システム制御部120は、たとえばFAX機能が選択されているとき、図示しないFAX制御部からの送信完了を示す通知が有れば機能の利用が終了したと判断し(ステップS112:Yes)、ステップS103に戻る。
【0048】
(ステップS113)
システム制御部120は、アドレス帳のアドレス情報を削除させる。
ここで、ユーザーがMFP100でたとえばFAX送信を行った後、MFP100から離れると、信号強度検出部116によるビーコン信号の強度(dBm)が低下する。
そして、システム制御部120は、ステップS106で信号強度検出部116による検出結果が第2のレベルと判断すると、ステップS107で第1のレベルが検出済みであるため、HDD制御部119に対し、HDD105の登録されているアドレス帳のアドレス情報を削除させる。
これにより、HDD105には、ユーザーから受け取ったアドレス帳のアドレス情報が残っていないため、情報漏洩を防止できる。
【0049】
このように、本実施形態では、携帯端末200により位置情報を示すビーコン信号(電波)を一定出力で送信し、携帯端末200からのビーコン信号(電波)を受信するMFP100(電子機器)により携帯端末200との距離に応じたビーコン信号(電波)の強度の変化に合わせ、携帯端末200から受け取ったアドレス帳のアドレス情報の登録と、表示と、削除とを実行する。
【0050】
すなわち、MFP100(電子機器)が距離に応じた携帯端末200からのビーコン信号(電波)の強度の変化に合わせ、携帯端末200から受け取ったアドレス帳のアドレス情報の登録と、表示と、削除とを実行することで、ユーザーによるアドレス情報の登録、表示、削除に関わるそれぞれの操作を無くすことができる。また、MFP100(電子機器)が距離に応じた携帯端末200からのビーコン信号(電波)の強度の変化に合わせ、登録したアドレス帳のアドレス情報を削除することで、アドレス情報の漏洩を確実に防止できる。このように、ユーザーによるアドレス情報の登録、表示、削除に関わるそれぞれの操作を無くし、併せてアドレス情報の漏洩を防止することで、ユーザーの利便性と情報漏洩に対する安全性とを共に高めることができる。
【0051】
また、本実施形態では、電子機器としてMFP100を適用したが、これに限らず、プリンターや多機能プリンターに適用してもよい。