特許第6819544号(P6819544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819544
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20210114BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20210114BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   H04N1/387
   G03G21/00 376
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-210122(P2017-210122)
(22)【出願日】2017年10月31日
(65)【公開番号】特開2019-83430(P2019-83430A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2019年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】島田 陽
【審査官】 野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−167796(JP,A)
【文献】 特開2007−208391(JP,A)
【文献】 特開2007−334794(JP,A)
【文献】 特開平05−022533(JP,A)
【文献】 特開2010−102153(JP,A)
【文献】 特開2013−098604(JP,A)
【文献】 特開2009−27381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる複数の処理を実行可能な複数の処理実行部と、
複数の原稿の画像を読み取り、前記複数の原稿の画像を示す読取画像データを出力する画像読取部と、
前記読取画像データから、処理対象の対象画像データと、前記複数の原稿のうち、前記対象画像データに実行すべき特定処理が示される処理シート、及び当該特定処理を実行するときの条件である処理条件が示される処理条件シートの画像であって、予め定められた様式を有する様式画像データとを抽出する抽出部と、
前記様式画像データから、前記対象画像データに実行すべき前記特定処理を示す処理情報と、当該特定処理を実行するときの条件である前記処理条件を示す条件情報とを認識する認識部と、
前記条件情報に基づく前記処理条件で前記対象画像データに前記処理情報に基づく前記特定処理を実行することを、前記処理情報に対応する前記処理実行部に指示する処理制御部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、複数の前記様式画像データを抽出し、
前記認識部は、前記複数の前記様式画像データから、前記処理情報と、前記条件情報とを認識する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記処理制御部は、前記処理情報と、前記条件情報とが予め定められた禁則関係を有する場合、前記処理情報に対応する前記処理実行部に指示しない、
求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記対象画像データ及び前記様式画像データの抽出、前記処理情報及び前記条件情報の認識、又は、前記処理情報に対応する前記処理実行部への指示ができない場合、前記対象画像データに対する前記特定処理が実行できないことを示す通知情報を出力する通知制御部を、
さらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の原稿は、前記処理対象とされるべき対象画像を示す対象原稿と、前記対象画像に実行すべき前記特定処理を示す前記処理シート及び前記処理条件を示す前記処理条件シートを有する付加原稿とを含み、
前記画像読取部は、前記対象原稿及び前記付加原稿を載置可能な原稿台を有し、前記対象原稿及び前記付加原稿の画像を示す前記読取画像データを出力する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
数の原稿の画像が画像読取部により読み取られて生成される読取画像データから、処理対象の対象画像データと、前記複数の原稿のうち、前記対象画像データに実行されるべき特定処理が示される処理シート、及び当該特定処理が実行されるときの処理条件が示される処理条件シートの画像であって、予め定められた様式を有する様式画像データとを抽出するステップと、
前記様式画像データから、前記対象画像データに実行されるべき前記特定処理を示す処理情報と、当該特定処理が実行されるときの条件である前記処理条件を示す条件情報とを認識するステップと、
互いに異なる複数の処理を実行可能な複数の処理実行部のうち、前記処理情報に対応する前記処理実行部に、前記条件情報に基づく前記処理条件で、前記対象画像データに前記処理情報に基づく前記特定処理を実行させるステップと、
をコンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取部により生成される読取画像データに対し複数の処理を実行可能な画像処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置は、例えば、スキャン、コピー、電子メール送受信及びファクス送受信等の処理を実行可能な複数の処理実行部と、前記複数の処理実行部の処理を制御する制御部とを備える。
【0003】
前記制御部は、一般的には、ユーザー操作を受け付ける操作入力部から入力される情報に基づき、画像読取部から得られる読取画像データを処理すべき前記実行処理部と、処理条件とを特定する。前記制御部はさらに、特定された前記処理実行部に、前記処理条件に従って、前記読取画像データに対する処理を実行させる。
【0004】
一方、前記画像処理装置に対し、予め定められた4種類の処理のいずれかと、処理条件とをユーザーが簡易に指定し、前記画像処理装置が、ユーザーにより指定されている前記処理及び前記処理条件を認識する手法が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−131309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記画像処理装置は、前記読取画像データに対し様々な処理を実行可能である。そのため、前記様々な処理をユーザーが簡易に指定可能な前記画像処理装置が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、実行可能な様々な処理をユーザーが簡易に指定可能な画像処理装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る画像処理装置は、複数の処理実行部と、画像読取部と、抽出部と、認識部と、処理制御部と、を備える。前記複数の処理実行部は、互いに異なる複数の処理を実行可能である。前記画像読取部は、複数の原稿の画像を読み取り、前記複数の原稿の画像を表す読取画像データを出力する。前記抽出部は、前記読取画像データから、処理対象の対象画像データと、予め定められた様式を有する様式画像データとを抽出する。前記認識部は、前記様式画像データから、前記対象画像データに実行すべき処理を示す処理情報と、処理条件を示す条件情報とを認識する。前記処理制御部は、前記条件情報に基づく前記処理条件で前記対象画像データを処理することを、前記処理情報に対応する前記処理実行部に指示する。
【0009】
本発明の他の局面に係るプログラムは、前記複数の原稿の画像が画像読取部により読み取られて生成される読取画像データから、処理対象の対象画像データと、予め定められた様式を有する様式画像データとを抽出するステップと、前記様式画像データから、前記対象画像データに実行されるべき処理を示す処理情報と、処理条件を示す条件情報とを認識するステップと、互いに異なる複数の処理を実行可能な複数の処理実行部のうち、前記処理情報に対応する前記処理実行部に、前記条件情報に基づく前記処理条件で、前記対象画像データを処理させるステップと、をコンピューターに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、実行可能な様々な処理をユーザーが簡易に指定可能な画像処理装置、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の各実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図である。
図2図2は、図1の記憶部に格納されるアドレスリストを例示する図である。
図3A図3Aは、第1実施形態に係る付加原稿の第1例を示す図である。
図3B図3Bは、第1実施形態に係る付加原稿の第2例を示す図である。
図3C図3Cは、第1実施形態に係る付加原稿の第3例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る画像処理装置の処理を示すフローチャートである。
図5図5は、図1の画像読取部で生成される読取画像データを示す図である。
図6図6は、図1の記憶部に格納される禁則関係リストを例示する図である
図7図7は、図1の記憶部に格納される制御コマンドリストを例示する図である。
図8図8は、第2実施形態に係る付加原稿を例示する図である。
図9図9は、第2実施形態に係る画像処理装置の処理を示すフローチャートである。
図10図10は、第2実施形態に係る読取画像データを示す図である。
図11図11は、第3実施形態に係る付加原稿を示す図である。
図12図12は、第3実施形態に係る画像処理装置の処理を示すフローチャートである。
図13図13は、第3実施形態に係る付加原稿読取画像データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図1において、画像処理装置1は、複数の機能を備える複合機であって、例えば、スキャン処理、コピー処理、ファクス送信処理及び電子メール送信処理等、各種処理を実行可能である。
【0014】
画像処理装置1は、操作表示部10、画像読取部11と、複数の処理実行部12と、記憶部13及び制御部14等を備える。
【0015】
操作表示部10は、表示部と、操作部とを備える。前記表示部は、例えば、情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示装置である。前記操作部は、ユーザー操作に基づく情報入力を受け付けるタッチパネル及び操作ボタンなどを含む。
【0016】
画像読取部11は、板状の透明ガラス等を含む原稿台1101を備える。原稿台1101は、自身の上面に、複数の原稿を載置可能な矩形状の原稿載置エリアを有する。
【0017】
画像読取部11は、原稿台1101以外にも、光源、ミラー、光学レンズ及びCCD(Charge Coupled Device)等を備える。画像読取部11は、前記スキャン処理の実行時、原稿台1101に載置された原稿に向けて光を主走査方向及び副走査方向に走査する。
【0018】
画像読取部11は、前記原稿から反射光に基づき、前記複数の原稿の画像を読み取り、前記複数の原稿の画像を示す前記読取画像データを生成し出力する。
【0019】
複数の処理実行部12は、画像データに対し、互いに異なる複数の処理を実行可能である。複数の処理実行部12は、前記各種処理に対応して、画像形成部121、ファクス送信部122及び電子メール送信部123を備える。
【0020】
なお、複数の処理実行部12は、画像形成部121、ファクス送信部122及び電子メール送信部123から選ばれる1つ以上と、を備えていればよい。また、画像形成部121、ファクス送信部122及び電子メール送信部123以外の処理実行部が複数の処理実行部12として画像処理装置1に備わっていてもよい。
【0021】
画像形成部121は、前記コピー処理の実行時、後述の画像データを受け取る。
【0022】
画像形成部121は、前記画像データが示す画像を印刷用シート上に形成して、印刷物として画像処理装置1の外部に排出する。なお、画像形成の方式は、電子写真方式又はインクジェット方式のいずれでもよい。画像形成部121は、電子写真方式が採用される場合、感光体ドラム、帯電器、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置等を備える。
【0023】
ファクス送信部122は、前記ファクス送信処理の実行時、前記画像データを、所定のファクシミリ規格に従って、図示しない通信相手側のファクシミリに送信する。なお、ファクス受信処理は本発明の要部ではないため、前記ファクス受信処理の説明を控える。
【0024】
電子メール送信部123は、前記電子メール送信処理の実行時、前記画像データを含む電子メールを制御部14から受け取る、電子メール送信部123はさらに、前記電子メールを、所定の規格及び通信プロトコルに従って、図示しない受信側の情報処理装置に送信する。
【0025】
記憶部13は、例えば、不揮発性半導体メモリー又はハードディスクドライブ等を含み、制御部14により実行されるプログラム131、及び制御部14により使用される各種情報を予め格納可能である。
【0026】
前記各種情報は、図2に示すアドレスリスト132を含む。
【0027】
アドレスリスト132は、例えば、前記電子メールを受信可能な複数の受信者が使用する複数の電子メールアドレスを含む。なお、いくつかの図面ではメールアドレスと示されている。前記メールアドレスは電子メールアドレスと同義である。
【0028】
前記複数の電子メールアドレスは、後述の様式に従って、例えば、互いに重複しない色と紐づけられている。例えば、前記受信者としてのAにはオレンジが、前記受信者としてのBには青が紐づけられている。前記色は、前記受信者の特定に使用されるため、以下、特定色と称される。
【0029】
制御部14は、プロセッサーと、例えば揮発性半導体メモリー等を備える。
【0030】
ここで、本発明が解決すべき技術的課題について説明する。
【0031】
一般的に、画像処理装置は、読取画像データに対し様々な処理を実行可能である。そのため、前記様々な処理をユーザーが簡易に指定可能な前記画像処理装置が望まれている。
【0032】
本実施形態の目的は、画像処理装置が実行可能な様々な処理をユーザーが簡易に指定可能とすることである。
【0033】
前記目的を達成するために、制御部14は、前記プロセッサーがプログラム131を実行することにより、機能ブロックとして、抽出部141、認識部142、処理制御部143及び通知制御部144を備える。なお、機能ブロック141〜144の1つ又は複数は電子回路で構成されていてもよい。
【0034】
次に、制御部14による処理の説明に先立ち、本画像処理装置1のユーザーによる準備作業を説明する。
【0035】
前記ユーザーは、前記複数の原稿を準備する。前記複数の原稿は、対象原稿と、付加原稿とを含む。
【0036】
前記対象原稿は、画像処理装置1により処理対象とされるべき対象画像を示す。前記対象原稿は、例えば、前記印刷用シートに印刷されている文書である。
【0037】
前記付加原稿は、原稿台1101に前記対象原稿と並置可能なサイズを有する。前記付加原稿のサイズは、例えば前記対象原稿のサイズより小さい。前記付加原稿には、前記ユーザーによる画像形成装置1への処理要求を示す文字、数字または色などの情報が記されている。
【0038】
前記処理要求は、例えば前記印刷用シートより小さいサイズのシートに、前記様式に従う文字及び/又は記号を用いて記される。
【0039】
前記付加原稿は、前記処理要求として、前記対象画像に実行すべき前記処理と、処理条件とを、例えば複数のシートで示す。
【0040】
なお、以下、前記文字及び/又は記号を文字等と称する。また、前記シートのうち、前記処理が示されるシートを処理シートと、前記処理条件が示されるシートを処理条件シートと称する。
【0041】
前記処理シート及び前記処理条件シートは、後述の抽出処理のために、例えば、所定の形状又は所定のサイズを有する。
【0042】
また、前記文字等は、後述のOCR(Optical Character Recognition)処理を正しく実施可能な予め定められた色である推奨色で記録される。前記推奨色としては例えば黒色が考えられる。
【0043】
また、前記処理及び前記処理条件は色で表現されることも可能である。
【0044】
例えば、前記電子メールアドレスは、前記処理条件シートの読取面の色により特定可能である。即ち、前記読取面の色が前記特定色を表し、前記特定色もまた前記処理条件となりえる。なお、前記読取面は、画像読取部11により光が走査される面である。
【0045】
なお、前記電子メールアドレスは、前記処理条件シートの読取面が有する前記特定色で表される以外にも、前記文字等で前記処理条件シートに記録されうる。この場合、前記処理条件シートの読取面の色は、前記特定色以外の色である。前記非特定色もまた前記処理条件の一つを示す。
【0046】
なお、前記処理及び前記処理条件は、前記文字等又は前記色以外の表現方法で様式化されてもよい。
【0047】
前記他の表現方法としては、例えば、前記処理シート及び前記処理条件シートに記録された符号によって前記処理及び前記処理条件が表現されることが考えられる。前記符号としては、バーコードなどの1次元コード又はQRコード(登録商標)などの2次元コードが考えられる。
【0048】
また、前記処理及び前記処理条件は、前記処理シート及び前記処理条件シートにおける前記読取面側に示される。
【0049】
前記処理シート及び前記処理条件シートにおいて前記読取面の反対側の面、即ち非読取面には、前記読取面側と同じ前記処理及び前記処理条件が示されていてもよい。これにより、前記ユーザーは、原稿台1101に前記付加原稿を載置する際、前記非読取面を目視することで、前記読取面側の前記処理又は前記処理条件を容易に認識できる。
【0050】
なお、前記非読取面側の前記処理及び前記処理条件は、画像処理装置1の処理対象ではないので、前記様式に従ってしなくともよく、前記ユーザーが認識可能な文字等又は簡単な絵柄を用いて示されればよい。
【0051】
また、前記非読取面側の前記処理及び前記処理条件が前記様式に従っていれば、前記ユーザーは、前記読取面及び前記非読取面を気にすることなく、前記原稿台1101に載置することができる。
【0052】
さらに、前記処理及び前記処理条件の全てが1つの前記シートで示されてもよい。以下、前記処理及び前記処理条件の両方が示されるシートを、処理・処理条件シートと称する。
【0053】
ここで、図3A図3Cを参照して、前記様式に従う前記付加原稿の例を説明する。
【0054】
図3A図3Cには、前記付加原稿の例示としての付加原稿21a〜21cが示される。
【0055】
図3Aにおいて、付加原稿21aは、前記処理シート及び前記処理条件シートの一例としての処理シート211a及び処理条件シート212aを含む。
【0056】
処理シート211aの前記読取面には「コピー」という文字が記録される。前記文字「コピー」は、前記様式の一つであって、前記処理が前記コピー処理であることを示す。
【0057】
処理条件シート212aの前記読取面には、「3」という数字とが記録される。前記数字「3」は、前記様式の一つであって、前記文字「コピー」との組合せにより、印刷必要部数が3部であるという前記処理条件を示す。
【0058】
図3Bにおいて、付加原稿21bは、前記処理・処理条件シートの一例としての処理・処理条件シート211bを含む。
【0059】
処理・処理条件シート211bの前記読取面には「メール」という文字が記録される。また、前記読取面は前記特定色を有する。
【0060】
前記文字「メール」もまた、前記様式の一つであって、前記処理が前記電子メール送信処理であることを示す。
【0061】
前記特定色もまた、前記様式の一つである。前記特定色は、前記文字「メール」との組合せにより、前記処理条件としての前記電子メールの宛先を示す。前記宛先は、前記特定色で特定される前記電子メールアドレスである。具体的には、前記特定色がオレンジ、青色であれば、前記受信者はA,Bとなる。
【0062】
図3Cにおいて、付加原稿21cは、前記処理シート及び前記処理条件シートの一例としての処理シート211c及び処理条件シート212cを含む。
【0063】
処理シート211cの前記読取面には、処理・処理条件シート211bと同様、前記文字「メール」が記録される。
【0064】
また、処理条件シート212cの前記読取面には、1又は複数の電子メールアドレスが記録される。
【0065】
なお、処理条件シート212cの前記読取面は、前記処理条件としての前記電子メールアドレスが前記文字等で記される場合、前記非特定色を有する。
【0066】
前記電子メールアドレスが前記文字等で表現されることは、前記様式の一つである。前記文字等で表現される前記電子メールアドレスは、前記文字「メール」と組合せることで、前記処理条件としての前記電子メールの宛先を示す。
【0067】
なお、もし処理条件シート212cの前記読取面が前記特定色を有すると、前記文字等で表現される前記電子メールアドレスが前記宛先とされるのか、前記特定色で表現される前記電子メールアドレスを前記宛先とされるのか特定不能となる。よって、処理条件シート212cの前記読取面は前記非特定色を有する。
【0068】
前記処理及び前記処理条件は、図3A図3Cに例示した以外にも、画像処理装置1が実行可能な前記処理及び前記処理条件を網羅するように、画像処理装置1の開発段階で様々な前記様式が定められる。
【0069】
例えば、文字「FAX」が記された前記処理シートと、FAX番号が記された前記処理条件シートとの組合せは、前記FAX番号宛に前記画像データを示すファクシミリを送信する、という前記様式を示す。
【0070】
他にも例えば、文字「スキャン」が記された前記処理シートと、記憶部13に作成されたフォルダーが記された前記処理条件シートの組合せは、前記フォルダー名で特定される記憶領域へ前記画像データを保存する、という前記様式を示す。
【0071】
なお、後述の抽出処理のため、各前記シートには、前記読取面における前記文字等の位置を示す識別情報が付加される場合がある。
【0072】
具体的には、処理シート211a,211c及び処理条件シート212a,212cと、処理・条件シート211bとには、前記識別情報の一例としての識別情報213a,213b,213cが付加されている。
【0073】
識別情報213a〜213cのそれぞれは、例えば互いに異なる4個のマークを含む。
【0074】
前記4個のマークは、前記読取面に記される前記文字等の周囲に記録される。前記4個のマークは前記文字と重ならず、かつ、所定の位置関係を有する。
【0075】
具体例を挙げると、前記4個のマークは、黒塗りの正方形、三角形、菱形、丸であって、四角形をなすように配置される。本実施形態では、前記正方形、三角形、菱形、丸のマークは、例えば前記読取面の左上隅、右上隅、右下隅及び左下隅に記録される。
【0076】
なお、識別情報213a〜213cは、前記文字等の位置を特定できれば、前記4個のマークに限らず、他の態様で表現されてもよい。
【0077】
また、図3A図3Cの視認性を考慮し、参照符号213a〜213cは、前記4個のマークの1つにのみ付されている。
【0078】
前記ユーザーはさらに、画像処理装置1への処理要求のために、前記対象原稿と、所望の前記処理及び前記処理条件を示す前記付加原稿とを原稿台1101上に、前記読取面側を向けて載置する。
【0079】
前記対象原稿は、前記原稿載置エリアにおいて前記付加画像の左側に載置される。
【0080】
また、前記付加原稿が前記処理シート及び前記処理条件シートの組合せである場合、前記処理シート及び前記処理条件シートは前記主走査方向に並べられる。
【0081】
また、前記対象画像及び前記付加画像は、前記原稿載置エリアの外周から、前記主走査方向及び前記副走査方向に所定距離だけ離される。さらに、前記対象画像及び前記付加画像に含まれる各前記シートは、他の前記シートから、前記主走査方向及び前記副走査方向に所定距離だけ離される。
【0082】
前記ユーザーは、後述の抽出処理のために、図示しない原稿台カバーを閉じない。代替的に、黒一色の背景マットが、原稿台1101上の前記対象原稿及び前記付加原稿上に重ねられてもよい。これにより、画像読取部11で生成される前記読取画像データにおいて、前記複数の原稿の画像の色と、前記複数の原稿以外の背景画像の色とを明確に異ならせることができる。
【0083】
前記ユーザーはさらに、制御部14による前記処理を開始させるために操作表示部10を操作する。前記操作に応答して、制御部14はプログラム131を実行し始める。
【0084】
以下、図4を参照して、制御部14の処理を説明する。
【0085】
まず、制御部14は、前記スキャン処理を制御する(ステップS101)。
【0086】
具体的には、画像読取部11は、制御部14の制御下で、最大走査範囲内で前記光を前記主走査方向及び前記副走査方向に走査する。ここで、最大走査範囲は、例えば、前記原稿載置エリアの全域である。
【0087】
画像読取部11はさらに、原稿台1101上の前記対象原稿及び前記付加原稿の画像を一括的に読み取る。これにより、画像読取部11は、図5に示すように、前記対象原稿及び前記付加原稿の画像を示す読取画像データ3を生成し制御部14に出力する。
【0088】
読取画像データ3は、対象画像データ31と、複数の様式画像データ32と、複数の識別画像データ33と、背景画像データ34と、を含む。
【0089】
対象画像データ31は、前記対象画像を示し、処理実行部12による処理対象となる。
【0090】
複数の様式画像データ32はそれぞれ、前記様式に従う前記処理又は前記処理条件を示す画像である。
【0091】
複数の識別画像データ33はそれぞれ、前記識別情報を示す画像である。なお、後述の抽出処理のために、前記識別情報の特徴量は、前記各種情報の一つとして記憶部13に予め格納される。
【0092】
背景画像データ34は、前記背景画像を示す。
【0093】
具体的には、背景画像データ34は、読取画像データ3において、対象画像データ31、各様式画像データ32及び各識別画像データ33の周囲に存在する画素領域である。
【0094】
また、背景画像データ34は、前記主走査方向及び前記副走査方向に、前記所定距離に基づき定められた所定数以上の画素を含む。また、前記スキャン処理において前記原稿台カバーが閉じられないので、背景画像データ34に含まれる各画素の値は黒を示す。
【0095】
ステップS101の次に、制御部14は、抽出部141として機能して、抽出処理を実行する(ステップS102)。
【0096】
ステップS102において、抽出部141は、読取画像データ3から、前記処理対象の対象画像データ31と、予め定められた前記様式を有する各様式画像データ32とを抽出する。以下、前記抽出処理の具体例を説明する。
【0097】
抽出部141はまず、読取画像データ3から背景画像データ34が除去されている中間画像データを生成する。ここで、背景画像データ34は、前記主走査方向及び前記副走査方向において黒の画素値が前記所定数以上連続という特徴を有する。背景画像データ34の除去は前記特徴に基づき実行される。
【0098】
抽出部141はさらに、前記識別情報の特徴量等を用いた画像認識処理により、前記中間画像データに含まれる全ての識別画像データ33を抽出する。
【0099】
抽出部141はさらに、抽出した各識別画像データ33に対し所定の位置関係を有する画素領域のそれぞれを様式画像データ32として特定し抽出する。
【0100】
例えば、識別情報が識別情報213aの場合、各識別画像データ33は前記4個のマークを示す画像である。この場合、前記4個のマークを示す画像で囲まれる画素領域が様式画像データ32として抽出されればよい。
【0101】
なお、前記4個のマークは互いに異なると共に所定の位置関係を有する。従って、前記中間画像データに複数の識別画像データ33が存在していても、各識別画像データ33を正しく特定可能となる。
【0102】
抽出部141は、前記中間画像データにおいて、各識別画像データ33及び各様式画像データ32の抽出後に残った部分を対象画像データ31として扱う。
【0103】
抽出部141は、前記抽出処理が成功した場合、対象画像データ31及び各様式画像データ32を認識部142に渡す。
【0104】
抽出部141は、前記抽出処理が成功しなかった場合、前記抽出処理が失敗したことを示すメッセージ情報を通知制御部143に渡す。
【0105】
なお、抽出部141は、他の公知のマルチクロップ技術により、読取画像データ3から対象画像データ31及び各様式画像データ32を抽出してもよい。
【0106】
ステップS102の次に、制御部14は、認識部142として機能して、前記処理及び前記処理条件の認識処理を実行する(ステップS103)。
【0107】
具体的には、ステップS103において、認識部142は、抽出部141から受け取った各様式画像データ32に対してOCR処理を実行する。前記OCR処理により、認識部142は、各様式画像データ32から、対象画像データ31に実行すべき処理を示す処理情報と、前記処理条件を示す条件情報を認識する。
【0108】
OCR処理により、各様式画像データ32に含まれる文字を所定の文字コードで示すテキストデータが、前記処理情報及び前記条件情報として取得される。
【0109】
前記処理情報は、対象画像データ31に実行すべき前記処理を示す。
【0110】
また、前記条件情報は、前記処理条件を示す。
【0111】
なお、前記処理・処理条件シートが原稿台1101に載置される場合、1つの様式画像データ32から前記処理情報及び前記条件情報の双方が認識される。
【0112】
さらに、認識部142は、各様式画像データ32から前記推奨色を示す画素を除去する。認識部142は、前記推奨色の画素領域以外の画素領域の値を、各様式画像データ32の背景色を示す背景色情報として取得する。認識部142は、前記背景色情報も前記条件情報として扱う。
【0113】
認識部142は、前記認識処理が成功した場合、前記処理情報及び前記条件情報の組合せを、処理制御部143に渡す。
【0114】
認識部142は、前記認識処理が成功しなかった場合、前記認識処理が失敗したことを示すメッセージ情報を通知制御部144に渡す。
【0115】
ステップS103の次に、制御部14は、通知制御部144として機能する。
【0116】
通知制御部144は、抽出部141、認識部142及び処理制御部143のいずれかから前記メッセージ情報を受け取っているか否かを判断する(ステップS104)。
【0117】
通知制御部144は、前記メッセージ情報を受け取っていると判断した場合(ステップS104でYES)、処理をステップS105に進める。
【0118】
ステップS105において、通知制御部144は、対象画像データ31及び様式画像データ32の抽出、又は、前記処理情報及び前記条件情報の認識が成功しなかったとして、対象画像データ31に対する前記処理が実行できないことを画像又は音声で示す通知情報を生成し出力する。
【0119】
前記通知情報が画像の場合、前記通知情報は前記表示装置に出力される。前記表示装置は、入力された前記通知情報に基づく画像を表示する。
【0120】
前記通知情報が音声の場合、前記通知情報は、図示しないスピーカーに出力される、前記スピーカーは、入力された前記通知情報に基づき音声出力する。
【0121】
前記通知情報に基づく表示又は音声出力により、前記ユーザーは、対象画像データ31に対する前記処理が実行できないこと認識することができる。
【0122】
通知制御部144は、ステップS105の終了後、図4の処理を終了する。
【0123】
一方、通知制御部144は、前記メッセージを受け取っていないと判断した場合(ステップS104でNO)、処理をステップS106に進める。
【0124】
ところで、前記ユーザーによる処理要求は、例えば、前記処理及び前記処理条件の組合せにより行われる。前記処理及び前記処理条件の組合せが前記処理要求の時点で誤っている場合も考えられる。
【0125】
上記のような場合、前記処理情報が示す前記処理と、前記条件情報が示す前記処理条件の組合せは禁則関係にあり、画像処理装置1は、対象画像データ31に対し前記処理を正しく実行できなくなる。
【0126】
前記禁則関係としては、前記処理情報が前記文字「コピー」を示し、前記条件情報が文字等の前記電子メールアドレスを示す場合が考えられる。
【0127】
記憶部13には、前記禁則関係を記録した禁則関係リスト133が、前記各種情報の一つとして予め格納される。禁則関係リスト133には、図6に示すように、例えば、前記禁則関係にある前記処理情報及び前記条件情報の組合せが記録されている。
【0128】
ステップS106において、制御部14は、処理制御部143として機能する。
【0129】
処理制御部143はまず、認識部142から受け取る前記処理情報及び前記条件情報の組合せが、禁則関係リスト133に記録されているか否かを判断する(ステップS106)。
【0130】
処理制御部143は、前記処理情報及び前記条件情報の組合せが禁則関係リスト133に記録されている場合(ステップS106でYES)、前記処理情報及び前記条件情報の組合せが禁則関係にあることを示すメッセージ情報を通知制御部144に渡して、処理を前述のステップS105に進める。
【0131】
通知制御部144は、ステップS105において、前記処理情報に対応する処理実行部12への指示ができないとして、前記通知情報を出力する。
【0132】
ステップS106でYESの場合には、処理制御部143は、前記処理情報及び前記条件情報の組合せが予め定められた禁則関係にあるとして、前記処理情報に対応する処理実行部12に指示をしない。
【0133】
処理制御部143は、前記処理情報及び前記条件情報の組合せが禁則関係リスト133に記録されていない場合(ステップS106でNO)、処理をステップS107に進める。
【0134】
ステップS107において、処理制御部143は、前記条件情報に基づく前記処理条件で対象画像データ31を処理することを、前記処理情報に対応する処理実行部12に指示する。
【0135】
より具体的には、記憶部13には、図7に示すように、前記処理情報毎に、制御コマンドと、制御コマンドの出力先とを紐づけた制御コマンドリスト134が予め格納されている。
【0136】
処理制御部143は、認識部142から受け取る前記処理情報に対応する制御コマンドを制御コマンドリスト134から読み出す。
【0137】
処理制御部143は、読み出した制御コマンドに、前記条件情報が示す前記処理条件をパラメーターとして付加する。
【0138】
処理制御部143は、前記パラメーターを含む前記制御コマンドと、対象画像データ31とを、前記処理情報に対応する前記処理実行部に出力する。
指示する。
【0139】
例えば、前記処理情報が文字「コピー」を示す場合、処理制御部143は、画像形成部121への制御コマンドAを生成し、画像形成部121に出力する。
【0140】
制御コマンドAは、画像形成部121が解釈可能な記述言語で生成され、1又は複数のパラメーターを含む。
【0141】
各前記パラメーターにより、対象画像データ31が指定される共に、前記条件情報で示される印刷部数が指定される。前記条件情報が数字「3」を示す場合、印刷部数として3が指定される。
【0142】
画像形成部121は、前記制御コマンドAで指定された対象画像データ31に基づく画像を印刷用シート上に形成して印刷物として排出するという処理を、印刷コマンドAに含まれるパラメーターで指定された印刷部数に相当する回数だけ繰り返す。
【0143】
また、例えば、処理制御部143は、前記処理情報が文字「メール」を示し、かつ前記処理条件情報としての前記背景色情報が前記特定色と一致する場合、記憶部13のアドレスリスト132において前記特定色に対応する前記電子メールアドレスを読み出す。
【0144】
処理制御部143はさらに、前記所定の規格に従って、電子メール送信部123に出力すべき制御コマンドBを生成する。
【0145】
制御コマンドBにはパラメーターが含まれる。前記パラメーターにより、読み出された前記電子メールアドレスと、対象画像データ31とが指定される。
【0146】
また、前記処理情報が文字「メール」で、前記条件情報としての背景色情報が前記非特定色に一致しかつ前記条件情報が電子メールアドレスである場合、電子メール送信部123への制御コマンドBにおいて、前記パラメーターは、前記条件情報に示される前記電子メールアドレスを示す。
【0147】
電子メール送信部123は、上記のような制御コマンドBに従って、前記電子メール及び対象画像データ31を送信する。
【0148】
また、処理制御部143は、前記処理情報が文字「FAX」で、前記条件情報が前記FAX番号の場合、前記ファクシミリ規格に従って、ファクス送信部122への制御コマンドCを生成する。
【0149】
制御コマンドCにはパラメーターが含まれる。前記パラメーターにより、前記条件情報に示される前記FAX番号と、対象画像データ31とが指定される。
【0150】
ファクスメール送信部112は、制御コマンドCに従って、処理制御部143から受け取った対象画像データ31を、前記FAX番号で特定される前記通信相手側のファクシミリに送信する。
【0151】
また、前記処理情報及び前記条件情報の組合せが文字「スキャン」及び前記フォルダー名である場合、処理制御部143は、画像処理装置1のファイルシステムに従って、制御コマンドDを生成し、記憶部13に出力する。
【0152】
制御コマンドDはパラメーターを含む。前記パラメーターにより、対象画像データ31と、前記条件情報で示されるフォルダー名で特定される記録領域とが指定する。
【0153】
記憶部13は、入力された制御コマンドDに従って、処理制御部143から送られてくる対象画像データ31を前記記憶領域に保存する。
【0154】
なお、上述以外にも、アドレスリスト132において電子メールアドレスごとに一意な番号が付与されている場合には、下記のような処理の例も考えられる。
【0155】
「メール」と記される処理シートと、数字「2」と記される処理条件シートとを用いることで、本画像処理装置1は、アドレスリスト132において前記番号が「2」の前記電子メールアドレス宛に電子メールを送信する。
【0156】
上記制御コマンドA〜D以外にも、処理制御部143は、様々な制御コマンドを生成し出力可能であっても構わない。
【0157】
例えば、「メール」と記される前記処理シートと、「1」と記される前記処理条件シートと、「2」と記される前記処理条件シートとを用いることできる。この場合、本画像処理装置1は、前述のスキャン処理、抽出処理及び認識処理を経て、前記番号が「1」及び「2」の前記電子メールアドレス宛に前記電子メールを送信する。「メール」と記される前記処理シート、「1」と記される前記処理条件シート及び「2」と記される前記処理条件シートの組合せの場合、本画像処理装置1は、前記番号が「12」の前記電子メールアドレス宛に前記電子メールを送信することも考えられる。
【0158】
また、認識部142は、公知のOCR処理により、前記処理シートに示される前記文字等の向きを認識可能である。この場合、前記処理シートに示される文字等の向きが前記処理条件として用いられうる。
【0159】
より具体例には、前記処理シートにおける「メール」の3文字が前記副走査方向に沿って並んでいると認識部142が認識する場合、電子メール送信部123は、処理制御部143の制御下で、アドレスリスト132における1番目の前記電子メールアドレス宛に前記電子メールを送信する。
【0160】
逆に、前記3文字が前記主走査方向に沿って並んでいると認識される場合、電子メール送信部123は、処理制御部143の制御下で、アドレスリスト132における2番目の前記電子メールアドレス宛に前記電子メールを送信する。
【0161】
本実施形態によれば、下記の効果を奏する。
【0162】
前記付加原稿には、前記対象画像に実行すべき前記処理及び前記処理条件が記録可能である。また、前記ユーザーは、前記対象原稿と共に、本画像処理装置1への指示に応じた前記付加画像を原稿台1101に載置する。前記ユーザーは、前記様式に基づく様々な前記付加原稿を用いることで、複数の処理実行部12で実行可能な様々な前記処理及び前記処理条件を網羅的に指定することが可能となる。
【0163】
また、制御部14はプログラム131を実行して、画像読取部11は、原稿台1101上の前記対象原稿及び前記付加原稿を含む前記複数の原稿の画像を示す読取画像データ3を生成する(ステップS101)。
【0164】
抽出部141は、読取画像データ3から、対象画像データ31と、様式画像データ32とを抽出する(ステップS102)。
【0165】
認識部142は、様式画像データ32から、前記処理情報と、前記条件情報とを認識する(ステップS103)。
【0166】
処理制御部143は、前記条件情報に基づく前記処理条件で対象画像データ31を処理することを、前記処理情報に対応する前記処理実行部に指示する(ステップS107)。
【0167】
ステップS101〜S103,S107により、実行可能な様々な処理をユーザーが簡易に指定可能な画像処理装置1、及びプログラム131を提供することができる。
【0168】
[第2実施形態]
以下、本発明に係る第2実施形態について説明する。なお、以下に説明する第2実施形態において、前記第1実施形態と同様の構成には同一参照符号を付与し、それぞれの説明を控える。なお、この点は、第3実施形態でも同様である。
【0169】
前記第1実施形態では、1回の前記スキャン処理で、1つの処理実行部12への前記制御コマンドが出力されていた。
【0170】
前記第2実施形態は、1回の前記スキャン処理で、複数の処理実行部12に前記制御コマンド等を処理制御部143が出力可能にすることを目的とする。換言すると、1回の前記スキャン処理で、複数の前記処理を実質上同時並行で実行可能にすることが目的である。
【0171】
上記目的を達成するため、前記ユーザーはまず、図8に示すような付加原稿21d及び対象原稿22dを準備する。
【0172】
付加原稿21dは、処理シート211d及び処理条件シート212dの組を複数含み、これにより、同時並行で実行すべき前記複数の処理と、前記複数の処理条件とを示す。
【0173】
各処理シート211dは、前記複数の処理を個々に示す。
【0174】
各処理条件シート212dは、同じ組の処理シート211dに示される前記処理に対応する前記処理条件を個々に示す。
【0175】
図8の例では、1つの処理シート211dに「メール」と記され、別の処理シート211dに「FAX」と記される。
【0176】
また、1つの処理条件シート212dは、「メール」の処理シート211dと同じ組であって、電子メールアドレスを示す。
【0177】
また、別の処理条件シート212dは、「FAX」の処理シート211dと同じ組であって、FAX番号を示す。
【0178】
また、本第2実施形態でも、処理シート211d及び処理条件シート212dにも、識別情報213a等と同様の識別情報213dが付加される。
【0179】
前記ユーザーは、原稿台1101に複数の付加原稿21dを下記のように載置する。
【0180】
まず、前記ユーザーは、図8に示すように、各処理シート211dを、前記原稿載置エリアにおける所定の副走査ラインLに沿って、隣の処理シート211dから所定距離だけ離して並置する。前記所定の副走査ラインLは、例えばスキャン原点Oを含む副走査ラインとすることが考えられる。
【0181】
各処理条件シート212dは、同じ組の処理シート211dに対し前記主走査方向に前記所定距離だけ離される。また、各処理条件シート212dは、隣の処理条件シート212dと、前記副走査方向に前記所定距離だけ離される。
【0182】
前記ユーザーが制御部14による前記処理を開始させるために操作表示部10を操作すると、図9に示す画像処理装置1の処理が開始される。
【0183】
まず、前述のスキャン処理(ステップS101)により、図10に示すような読取画像データ4が生成される。
【0184】
図10には、説明の便宜のために、スキャン原点Oと、スキャン原点Oを基準とする直交座標系が示される。前記直交座標系において、x軸は主走査方向を示し、y軸は副走査方向を示す。
【0185】
読取画像データ4は、前記第1実施形態の読取画像データ3と比較すると、複数の様式画像データ32に代えて複数の様式画像データ41を含む点で異なる。
【0186】
複数の様式画像データ41は、前記様式に従う前記複数の処理及び前記複数の処理条件の画像を示す。
【0187】
次に、抽出部141は、前記第1実施形態と同様にして、読取画像データ4から、対象画像データ31を抽出すると共に、複数の様式画像データ41を抽出する(ステップS102)。
【0188】
第2実施形態では、抽出部141はさらに、各様式画像データ41の代表画素位置Ptypを導出する(ステップS201)。ここで、各画素位置は、前記座標系におけるx座標値Px及びy座標値Pyにより特定される。
【0189】
代表画素位置Ptypは、各様式画像データ41の構成する各画素位置のうち、最小のx座標値Pxmin及び最小のy座標値Pyminを含む。以下、代表画素位置Ptypを(Pxmin,Pymin)と記載する場合がある。
【0190】
なお、代表画素位置Ptypは、x座標値Pxmin及びy座標値Pyminではなく、最大のx座標値Pxmax及び最大のy座標値Pymaxと定義されてもよい。
【0191】
抽出部141は、前記抽出処理が成功した場合、複数の様式画像データ41及び対応する代表画素位置Ptypの組みと、対象画像データ31とを認識部142に渡す。
【0192】
認識部142は、前記第1実施形態と同様にして、複数の様式画像データ41それぞれから、前記処理情報又は前記条件情報を認識する(ステップS103)。
【0193】
第2実施形態では、通知制御部144が前記メッセージを受け取っていないと判断した場合(ステップS104でNO)、認識部142はさらに、ステップS202を実行する。
【0194】
認識部142は、抽出部141から受信している各前記処理情報に、各前記処理情報に対応する代表画素位置Ptypを付加して、前記処理情報及び前記代表画素位置Ptypの組合せを複数生成する(ステップS202)。
【0195】
認識部142は、ステップS202においてさらに、前記条件情報と代表画素位置Ptypとの組合せを複数生成する。
【0196】
認識部142は、対象画像データ31と、複数組の前記処理情報及び代表画素位置Ptypと、複数組の前記条件情報及び代表画素位置Ptyp、を処理制御部143に渡す。
【0197】
次に、処理制御部143は、受け取った全代表画素位置Ptypの中から、下記の条件を満たす複数の代表画素位置Ptypを選択する。
【0198】
前記条件は、x座標値Pxmin同士の差分値の絶対値が所定閾値以上で、かつy座標値Pymin同士の差分値の絶対値が所定閾値以下となること、である。
【0199】
処理制御部143は、前記条件を満たす代表画素位置Ptypに対応する前記処理情報及び前記条件情報を、前記処理情報及び前記条件情報の組として選択する(ステップS203)。
【0200】
処理制御部143は、前記処理情報及び前記条件情報の各組に対し、ステップS106以降の処理を実行する。その結果、処理制御部143は、複数の前記条件情報に基づく前記処理条件で対象画像データ31を処理することを、複数の前記処理情報に対応する処理実行部12に指示する。また、複数の処理実行部12は、処理制御部143からの指示に応答して、入力される対象画像データ31に対する処理を同時並行的に実行する。
【0201】
[第3実施形態]
以下、本発明に係る第3実施形態について説明する。
【0202】
前記第1実施形態では、対象原稿は1枚であるとして説明した。
【0203】
前記第2実施形態は、複数枚の対象原稿に対して処理を実行可能な画像処理装置1及びプログラム131を提供することを目的とする。
【0204】
上記目的を達成するため、画像読取部11はさらに、ADF(Automatic Document Feeder)及びADFガラスを備えている。
【0205】
ADFガラス上には、ADFにより原稿が搬送されてくる。画像読取部11はさらに、前記スキャン処理の実行時、ADFガラスの下方からADFガラスに向けて光を主走査方向に走査する。
【0206】
また、原稿は、ADFにより、ADFガラス上を前記副走査方向に搬送される。
【0207】
前記主走査方向及び前記副走査方向への走査により、画像読取部11は、原稿を光学的に走査して読み取り、原稿の内容を示す前記読取画像データを出力することが可能である。
【0208】
前記ユーザーはまず、図11に示すように、付加原稿21eと、複数枚の対象原稿22eと共に準備する。
【0209】
付加原稿21eは、処理シート211eと、複数の処理条件シート212eとを含む。
【0210】
処理シート211eは、前記処理を前記様式に従って示す。
【0211】
図11の例では、処理シート211eに「コピー」と示される。
【0212】
複数の処理条件シート212eは、前記処理に対応する前記処理条件を個々に前記様式に従って示す。図11の例では、複数の処理条件シート212eのそれぞれは、例えば、レイアウト指定シート2121e及び部数指定シート2122eの組合せを含み、前記処理条件の組を示す。
【0213】
図11の例では、レイアウト指定シート2121e及び部数指定シート2122eの組合せが3つ示されている。
【0214】
レイアウト指定シート2121eは、前記印刷用シート1枚にまとめて印刷すべき対象原稿22eの枚数を示し、より具体的には、前記処理条件の一例として「1in1」、「2in1」及び「4in1」という文字等が記録される。
【0215】
前記文字「1in1」は、前記文字「コピー」と組み合わせにより、1枚の印刷用シートに1枚の対象原稿22eを印刷することを示す。
【0216】
前記文字「2in1」及び前記文字「4in1」は、前記文字「コピー」と組み合わせにより、印刷用シート1枚に2枚及び4枚の対象原稿22eを印刷することを示す。
【0217】
部数指定シート2122eは、前記複数の対象原稿22eを含む印刷物の部数を示す。より具体的には、部数指定シート2122eには、前記処理条件の一例として「1」、「5」、「2」という数字が記録される。
【0218】
例えば、数字「1」は、前記文字列「1in1」と組み合わせにより、1in1で前記印刷物を1部生成することを示す。
【0219】
また、数字「5」は、前記文字「2in1」と組み合わせにより、2in1で前記印刷物を5部作成することを示す。
【0220】
また、数字「2」は、前記文字「4in1」と組み合わせにより、4in1で前記印刷物を2部作成することを示す。
【0221】
また、本第3実施形態でも、前記第1実施形態の識別情報213aと同様の識別情報213egが付加される。
【0222】
前記ユーザーは、複数の対象原稿22eをADFにセットする。
【0223】
前記ユーザーはさらに、原稿台1101に複数の付加原稿21eを下記のように載置する。
【0224】
まず、前記ユーザーは、処理シート211eを、複数の処理条件シート212eよりも前記副走査ラインL寄りに載置する。
【0225】
なお、処理シート211eは、複数の処理条件シート212eに対して前記主走査方向及び前記副走査方向に前記所定距離以上離される。
【0226】
または、各処理条件シート212eは、前記原稿載置エリアにおいて、下記条件を満たす位置に載置される。
【0227】
第1の条件は、同じ組のレイアウト指定シート2121e及び部数指定シート2122eが前記主走査方向に沿って並ぶことである。
【0228】
第2の条件は、同じ組のレイアウト指定シート2121e及び部数指定シート2122eが隣の組のレイアウト指定シート2121e及び部数指定シート2122eから前記副走査方向において前記所定距離以上離されること、である。
【0229】
前記ユーザーが制御部14による前記処理を開始させるために操作表示部10を操作すると、図12に示す画像処理装置1の処理が開始される。
【0230】
まず、制御部14は、前記スキャン処理を制御する(ステップS301)。
【0231】
画像読取部11は、制御部14の制御下で、原稿台1101上の付加原稿21eの画像を一括的に読み取り、図13に示すような付加原稿読取画像データ5を生成し制御部14に出力する。
【0232】
付加原稿読取画像データ5は、複数の様式画像データ51と、複数の識別画像データ52と、背景画像データ53と、を含む。
【0233】
複数の様式画像データ51はそれぞれ、前記様式に従う前記処理を示すと共に、前記様式に従う複数組の前記処理条件を示す画像である。
【0234】
複数の識別画像データ52はそれぞれ、各様式画像データ51を構成する画素領域の周囲に存在し、前記識別情報を示す画像である。
【0235】
背景画像データ53は、付加原稿読取画像データ5において、複数の様式画像データ51及び識別画像データ52以外の画素領域であって、背景画像を示す。
【0236】
なお、以下、複数の識別画像データ52及び背景画像データ53に対する処理の説明を控える。前記第2実施形態における複数の識別画像データ33及び背景画像データ34と同様の処理が実施されるためである。
【0237】
画像読取部11は、付加原稿21eの読み取りが完了すると、ADFガラス上を順次的にADFにより搬送されてくる対象原稿22eに、ADFガラスを介して光を走査して、複数の対象原稿22e順次読み取る。これにより、複数の対象原稿22eの内容をそれぞれ示す複数の対象画像データ6(図13を参照)が生成される。
【0238】
画像読取部11は、付加原稿読取画像データ5eを制御部14にまず送信し、その後、複数の対象画像データ6を送信する。
【0239】
次に、制御部14において、抽出部141は、前記第2実施形態の抽出処理と同じ要領で、付加原稿読取画像データ5から複数の様式画像データ51を抽出する(ステップS302)と共に、各様式画像データ51の代表画素位置Ptypを導出する(ステップS303)。
【0240】
抽出部141は、前記抽出処理が成功した場合、複数の対象画像データ6と、様式画像データ51及び代表画素位置Ptypの組みと、を認識部142に渡す。
【0241】
認識部142は、前述の認識処理と同じ要領で、受け取った様式画像データ51のそれぞれから、前記処理情報と、前記条件情報とを認識する(ステップS103)。
【0242】
通知制御部144が前記メッセージを受け取っていないと判断した場合(ステップS104でNO)、認識部142は、前記第2実施形態のステップS202と同じ要領で、前記処理情報又は前記条件情報と、前記代表画素位置Ptypの組合せを生成する(ステップS304)。
【0243】
認識部142は、複数の対象画像データ6と、前記処理情報及び代表画素位置Ptypと、複数組の前記条件情報及び代表画素位置Ptyp、を処理制御部143に渡す。
【0244】
処理制御部143は、受け取った全代表画素位置Ptypの中から、下記の条件を満たす代表画素位置Ptypを選択して、前記処理情報を示す様式画像データ51を抽出する(ステップS305)。
【0245】
前記条件は、代表画素位置Ptypに含まれるx座標値Pxminが最小であること、である。
【0246】
上記条件を満たす代表画素位置Ptypを有する様式画像データ51が、前記処理情報を示す様式画像データ51として、処理制御部143により扱われる。
【0247】
処理制御部143は、ステップS305においてさらに、ステップS303で選択されなかった代表画素位置Ptypの中から、所定の条件を満たす複数の代表画素位置Ptypを選択する。ここで、前記所定の条件は、前記第2実施形態のステップS203で用いられた前記条件と同様でよい。
【0248】
前記条件を満たす代表画素位置Ptypを有する様式画像データ51は、前記条件情報の組として、処理制御部143により扱われる。
【0249】
処理制御部143は、前記処理情報と、前記条件情報の各組とに対し、ステップS106以降の処理を実行する。その結果、処理制御部143は、複数の前記条件情報に基づく前記複数の処理条件で対象画像データ6を処理することを、前記処理情報に対応する処理実行部12に指示する。
【0250】
具体的には、処理制御部143は、図11に示す付加原稿21eを処理した場合、下記の制御コマンドを生成し、画像形成部121に出力する。
【0251】
前記制御コマンドでは、各種パラメーターにより、対象画像データ6が指定されると共に、前記条件情報で示される複数組のレイアウト及び印刷部数が指定される。
【0252】
処理実行部12は、処理制御部143からの指示に応答して、入力される対象画像データ6に対し、異なる処理条件で処理を実行する。
【0253】
上記の処理により、複数枚の対象原稿に対して処理を実行可能な画像処理装置1及びプログラム131を提供することができる。
【符号の説明】
【0254】
1 画像処理装置
11 画像読取部
12 複数の処理実行部
13 記憶部
14 制御部
141 抽出部
142 認識部
143 処理制御部
144 通知制御部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13