特許第6819556号(P6819556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819556
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20210114BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20210114BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20210114BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   H04N1/00 002A
   H04N1/04 101
   G03G21/00 510
   G03G15/20 555
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-226647(P2017-226647)
(22)【出願日】2017年11月27日
(65)【公開番号】特開2019-97093(P2019-97093A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 安良
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−083123(JP,A)
【文献】 特開2005−114998(JP,A)
【文献】 特開2008−040072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04− 1/207
G03G15/20
G03G21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトガラスに向けて光を照射する光源を含み、前記コンタクトガラスを読み取って画像データを生成する画像読取部と、
前記コンタクトガラスに対して開閉可能に支持された原稿カバーと、
用紙搬送路に給紙した用紙を搬送し、搬送中の用紙に画像を印刷する印刷部と、
前記画像読取部および前記印刷部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記原稿カバーが開けられ、かつ、前記コンタクトガラス上に原稿が載置されていないとき、前記印刷部に印刷動作を実行させることなく、前記光源を点灯せずに前記コンタクトガラスを読み取る第1テスト読取を前記画像読取部に実行させ、前記第1テスト読取の終了後、前記印刷部に前記印刷動作を実行させるとともに、前記光源を点灯せずに前記コンタクトガラスを読み取る第2テスト読取を前記画像読取部に実行させ、
前記制御部は、前記第1テスト読取で得られた第1画像データに基づき、画像形成装置の設置場所に設置された照明機器の照明光の明るさを示す第1比較値を求めるとともに、前記第2テスト読取で得られた第2画像データに基づき、前記照明機器の照明光の明るさを示す第2比較値を求め、前記第1比較値と前記第2比較値とに基づき、前記照明機器の照明光のちらつきの大きさを示すちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かを判定し、
前記制御部は、前記第1画像データに含まれる複数の画素の画素値の平均値である第1平均値を前記第1比較値とし、前記第2画像データに含まれる複数の画素の画素値の平均値である第2平均値を前記第2比較値とし、
前記画像読取部は、前記第2テスト読取を複数回実行することによって複数の前記第2画像データを生成し、
前記制御部は、複数の前記第2画像データにそれぞれ対応する複数の前記第2平均値のうち最小値を前記第2比較値とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
コンタクトガラスに向けて光を照射する光源を含み、前記コンタクトガラスを読み取って画像データを生成する画像読取部と、
前記コンタクトガラスに対して開閉可能に支持された原稿カバーと、
用紙搬送路に給紙した用紙を搬送し、搬送中の用紙に画像を印刷する印刷部と、
前記画像読取部および前記印刷部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記原稿カバーが開けられ、かつ、前記コンタクトガラス上に原稿が載置されていないとき、前記印刷部に印刷動作を実行させることなく、前記光源を点灯せずに前記コンタクトガラスを読み取る第1テスト読取を前記画像読取部に実行させ、前記第1テスト読取の終了後、前記印刷部に前記印刷動作を実行させるとともに、前記光源を点灯せずに前記コンタクトガラスを読み取る第2テスト読取を前記画像読取部に実行させ、
前記制御部は、前記第1テスト読取で得られた第1画像データに基づき、画像形成装置の設置場所に設置された照明機器の照明光の明るさを示す第1比較値を求めるとともに、前記第2テスト読取で得られた第2画像データに基づき、前記照明機器の照明光の明るさを示す第2比較値を求め、前記第1比較値と前記第2比較値とに基づき、前記照明機器の照明光のちらつきの大きさを示すちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かを判定し、
前記制御部は、前記画像読取部に前記第2テスト読取を実行させるときに前記印刷部に実行させる前記印刷動作では、前記用紙搬送路に用紙を給紙させないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1比較値と前記第2比較値との差の絶対値が予め定められた閾値以上であるか否かを判断し、前記絶対値が前記閾値以上であれば、前記ちらつきレベルが前記許容レベルを超えていると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷部は、前記印刷動作の実行時に交流電力の供給を受けて発熱するヒーターを含み、
前記制御部は、前記ヒーターへの電力供給のオンオフを制御する通電制御を行い、
前記制御部は、前記ちらつきレベルが前記許容レベルを超えていると判定すると、前記通電制御を半波制御方式で行う通常モードから、前記通電制御を位相制御方式で行うちらつき軽減モードに移行することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取部を備える画像形成装置が知られている。このような画像形成装置は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の画像形成装置(画像読取装置)は、蛍光ランプを光源とする画像読取部を備える。そして、画像読取部の光源のちらつきを検知することが可能に構成される。特許文献1の画像形成装置は、画像読取部の光源のちらつきを検知し、当該検知した結果に基づき光源の異常検知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−151917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、画像形成装置は室内に設置され、画像形成装置の設置場所(たとえば、室内の天井)には蛍光ランプなどの照明機器が設置される。このような環境下では、画像形成装置が印刷動作を実行すると、照明機器の照明光に大きなちらつき(照明光がちらついているとユーザーが感じるほどのちらつき)が発生するという不都合が生じ得る。照明機器の照明光に大きなちらつきが発生する場合には、照明機器の照明光のちらつきを軽減するための調整が画像形成装置に対して行われるのが好ましい。
【0006】
しかし、従来の画像形成装置には、特許文献1のように画像読取部の光源のちらつきを検知する機能が搭載されたものはあるが、画像形成装置の設置場所に設置された照明機器の照明光のちらつきを検知する機能を搭載するものはない。
【0007】
このため、たとえば、画像形成装置のメンテナンス業者により、照明機器の照明光のちらつきレベル(ちらつきの大きさを示すレベル)の判定が行われる。そして、照明機器の照明光のちらつきレベルが大きい(許容レベルを超えている)とメンテナンス業者が判定した場合には、照明機器の照明光のちらつきを軽減するための調整が行われる。一方で、照明機器の照明光のちらつきが小さい(許容レベルを超えていない)とメンテナンス業者が判定した場合には、当該調整は行われない。
【0008】
ここで、照明機器の照明光のちらつきの感じ方は人によって異なる。したがって、画像形成装置のユーザーが照明機器の照明光のちらつきが大きいと感じていても、ちらつきレベルが小さいとメンテナンス業者が判定する場合がある。この場合には、照明機器の照明光のちらつきを軽減するための調整が行われない。逆に、画像形成装置のユーザーが照明機器の照明光のちらつきをほとんど感じていなくても、照明機器の照明光のちらつきを軽減するための調整が不必要に行われる場合がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、画像形成装置の設置場所に設置された照明機器の照明光のちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かを定量的に判定することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、コンタクトガラスに向けて光を照射する光源を含み、コンタクトガラスを読み取って画像データを生成する画像読取部と、コンタクトガラスに対して開閉可能に支持された原稿カバーと、用紙搬送路に給紙した用紙を搬送し、搬送中の用紙に画像を印刷する印刷部と、画像読取部および印刷部を制御する制御部と、を備える。制御部は、原稿カバーが開けられ、かつ、コンタクトガラス上に原稿が載置されていないとき、印刷部に印刷動作を実行させることなく、光源を点灯せずにコンタクトガラスを読み取る第1テスト読取を画像読取部に実行させ、第1テスト読取の終了後、印刷部に印刷動作を実行させるとともに、光源を点灯せずにコンタクトガラスを読み取る第2テスト読取を画像読取部に実行させる。そして、制御部は、第1テスト読取で得られた第1画像データに基づき、画像形成装置の設置場所に設置された照明機器の照明光の明るさを示す第1比較値を求めるとともに、第2テスト読取で得られた第2画像データに基づき、照明機器の照明光の明るさを示す第2比較値を求め、第1比較値と第2比較値とに基づき、照明機器の照明光のちらつきの大きさを示すちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かを判定する。
【0011】
本発明の構成では、原稿カバーが開けられ、かつ、コンタクトガラス上に原稿が載置されていないとき、第1テスト読取および第2テスト読取が実行される。そして、第1テスト読取で得られた第1画像データに基づき第1比較値が求められるとともに、第2テスト読取で得られた第2画像データに基づき第2比較値が求められる。ここで、第1テスト読取の実行時には印刷部は印刷動作を実行せず、第2テスト読取の実行時には印刷部は印刷動作を実行する。このため、印刷部が印刷動作を実行したことによって照明機器の照明光に大きなちらつき(照明光がちらついているとユーザーが感じるほどのちらつき)が発生した場合には、当該大きなちらつきが発生しなかった場合に比べて、第1比較値と第2比較値との差が大きくなる。これにより、第1比較値と第2比較値とを求めることにより、ちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かを定量的に判定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成では、画像形成装置の設置場所に設置された照明機器の照明光のちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かを定量的に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による複合機の構成を示す概略図
図2】本発明の一実施形態による複合機の画像読取部の構成を示す図
図3】本発明の一実施形態による複合機に設置された原稿カバーが閉状態から開状態に変化するときの図
図4】本発明の一実施形態による複合機の構成を示すブロック図
図5】本発明の一実施形態による複合機の制御部により行われる処理の流れを示すフローチャート
図6】本発明の一実施形態による複合機の操作パネルに表示される報知画面を示す図
図7】本発明の一実施形態による複合機の画像読取部が第1テスト読取および第2テスト読取を行うときの読取位置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態による画像形成装置について、スキャン機能やプリント機能など複数種の機能が搭載された複合機を例にとって説明する。
【0015】
<複合機の構成>
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、画像読取部1および印刷部2を備える。また、複合機100には、操作パネル3が設置される。
【0016】
画像読取部1は、図2に示すように、コンタクトガラスCGを備える。コンタクトガラスCGは、画像読取部1の筐体10の上面に形成された開口に設置される。画像読取部1は、コンタクトガラスCGを読み取って画像データを生成する。コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置されている場合には、コンタクトガラスCG上に載置された原稿Dの画像データが生成される。
【0017】
画像読取部1は、光源11、イメージセンサー12、ミラー13およびレンズ14を備える。これら画像読取部1の各部材は、画像読取部1の筐体10の内部に収容される(コンタクトガラスCGの上面側とは反対の下面側に配置される)。
【0018】
光源11は、複数のLED素子(図示せず)を有する。複数のLED素子は、主走査方向(図2の紙面に対して垂直な方向)にライン状に配列される。光源11は、コンタクトガラスCGに向けて光を照射する。コンタクトガラスCGに向かう光はコンタクトガラスCGを透過する。コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置されている場合には、コンタクトガラスCGを透過した光は原稿Dで反射される。コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置されていなくても、後述する原稿カバー101が閉じられている場合には、コンタクトガラスCGを透過した光は原稿カバー101で反射される。
【0019】
イメージセンサー12は、主走査方向にライン状に並ぶ複数の光電変換素子を有する。イメージセンサー12は、コンタクトガラスCGからの光を受光する。コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置されている場合や、原稿カバー101が閉じられている場合には、原稿Dや原稿カバー101で反射された光がイメージセンサー12に向かって進行する。コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置されておらず、かつ、原稿カバー101が開けられている場合には、複合機100の設置場所に設置された照明器具200(図4および図7参照)の照明光がコンタクトガラスCGからイメージセンサー12に向かって進行する。イメージセンサー12は、読取実行中にコンタクトガラスCGからの光を受光すると、ライン単位で画素毎に光電変換して電荷を蓄積するとともに、蓄積電荷に応じたアナログ信号を出力する。
【0020】
ミラー13は、コンタクトガラスCGからの光をレンズ14に向けて反射する。レンズ14は、ミラー13で反射された光を集光し、イメージセンサー12に導く。
【0021】
光源11およびミラー13は、主走査方向と直交する副走査方向に移動可能な移動枠15に設置される。移動枠15はワイヤー16に連結される。ワイヤー16は巻取ドラム17に巻回される。巻取ドラム17が回転すると、移動枠15が副走査方向に移動する。すなわち、光源11およびミラー13が副走査方向に移動する。
【0022】
また、図3に示すように、筐体10には原稿カバー101が取り付けられる。原稿カバー101は、筐体10の上面(コンタクトガラスCGの上面)に対して開閉する。原稿カバー101を開閉可能にするため、筐体10の背面側に回転軸10aが設けられる。そして、原稿カバー101は、筐体10の回転軸10aに回動可能に支持される。
【0023】
原稿カバー101の開閉はユーザーにより手動で行われる。通常では、原稿Dの読み取りを伴うジョブ(コピージョブなど)を複合機100に実行させるときに、コンタクトガラスCG上に原稿Dを載置するため、ユーザーは原稿カバー101を開閉する開閉作業を行う。すなわち、原稿カバー101を開けた後、コンタクトガラスCG上に原稿Dを載置してから、原稿カバー101を閉じる作業がユーザーによって行われる。
【0024】
原稿カバー101の開閉を検知するため、筐体10には開閉センサー111が設けられる。たとえば、開閉センサー111は、発光部および受光部を有する光センサーである。開閉センサー111は、発光部と受光部との間を上下方向に移動可能なアクチュエーター112を検知対象とする。なお、図示しない付勢部材により、アクチュエーター112は常に上方に向けて付勢される。
【0025】
原稿カバー101が完全に閉じられているとき(図3の上図参照)、アクチュエーター112はコンタクトガラスCGの上面よりも上方には突出しない。このとき、開閉センサー111の光路がアクチュエーター112により遮られる。たとえば、開閉センサー111の光路が遮られると、開閉センサー111の出力値は第1レベル(HレベルおよびLレベルの一方)となる。
【0026】
原稿カバー101が完全に閉じられた状態から、原稿搬送ユニット101が開けられていくと、それに伴い、アクチュエーター112が上方に移動する。そして、原稿カバー101の傾斜角度(コンタクトガラスCGの上面との間の角度)が所定角度になるまで原稿カバー101が開けられると(図3の下図参照)、開閉センサー111の光路からアクチュエーター112が外れる。これにより、開閉センサー111の出力値が第1レベルから第2レベル(HレベルおよびLレベルの他方)に変化する。
【0027】
その後、原稿カバー101が完全に開けられると、図示しないが、アクチュエーター112はさらに上方に移動する(開閉センサー111の出力値は第2レベルのまま維持される)。なお、原稿カバー101が完全に開けられた状態から、原稿カバー101の傾斜角度が所定角度になるまで原稿カバー101が閉じられると、開閉センサー111の出力値が第2レベルから第1レベルに変化する。
【0028】
原稿Dの読み取りを伴うジョブでは、まず、ユーザーが原稿カバー101の開閉作業を行う。その結果、図2に示すように、コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置され、原稿カバー101が閉じられた状態となる。ジョブが開始されると、移動枠15が副走査方向(正面から見て左から右に向かう方向)に移動する。そして、移動枠15が副走査方向に移動しているとき、光源11がコンタクトガラスCGに向けて光を照射する。また、原稿Dで反射された反射光の光電変換をイメージセンサー12が連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの読み取りがライン単位で行われる。
【0029】
なお、原稿Dを搬送する原稿搬送ユニットを原稿カバー101として用いてもよい。この場合には、原稿搬送ユニットにより自動搬送される原稿Dを読み取る搬送読取を画像読取部1に実行させることができる。
【0030】
図1に戻り、印刷部2は、印刷を伴うジョブ(コピージョブなど)の実行時に、用紙Pを搬送するとともに、印刷すべき画像の画像データに基づきトナー像(画像)を形成する。そして、印刷部2は、搬送中の用紙Pにトナー像を転写(印刷)する。印刷ジョブの実行中に搬送されていた用紙Pは排出トレイETに排出される。たとえば、印刷部2は、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データに基づき印刷を行う。
【0031】
印刷部2は、用紙搬送路20(図1では、破線矢印で示す)を備えるとともに、用紙搬送路20に沿って用紙Pを搬送するための搬送ローラー対21を複数備える。また、印刷部2は、給紙部22、画像形成部23および定着部24を備える。
【0032】
給紙部22は、用紙カセットCAに収容された用紙Pを用紙搬送路20に給紙する。用紙搬送路20に給紙された用紙Pは転写ニップ(印刷位置)に向けて搬送される。
【0033】
画像形成部23は、感光体ドラム231および転写ローラー232を備える。また、図示しないが、画像形成部23は、感光体ドラム231の周面を帯電させる帯電装置、感光体ドラム231の周面上に静電潜像を形成する露光装置、および、感光体ドラム231の周面上の静電潜像をトナー像に現像する現像装置、などを備える。感光体ドラム231および転写ローラー232は、互いに圧接し、転写ニップを形成する(当該転写ニップの位置が印刷位置となる)。
【0034】
画像形成部23は、転写ニップを通過する用紙Pにトナー像を転写する。なお、感光体ドラム231と転写ローラー232とを含むローラー対は、用紙搬送路20での用紙Pの搬送も担う。
【0035】
定着部24は、加熱ローラー241および加圧ローラー242を備える。加熱ローラー241は、ヒーター243を内蔵する。たとえば、ヒーター243はハロゲンヒーターである。ヒーター243は、交流電力の供給を受けて発熱し、加熱ローラー241を加熱する。加圧ローラー242は、加熱ローラー241に圧接し、加熱ローラー241との間で定着ニップを形成する(当該定着ニップの位置が定着位置となる)。
【0036】
定着部24は、定着ニップを通過する用紙P(トナー像が転写された用紙P)を加熱および加圧することにより、用紙Pにトナー像を定着させる。なお、加熱ローラー241と加圧ローラー242とを含むローラー対は、用紙搬送路20での用紙Pの搬送も担う。
【0037】
操作パネル3は、タッチスクリーン31およびハードウェアボタン32を含む。タッチスクリーン31は、ソフトウェアボタンを配した設定画面を表示し、ユーザーから各種設定を受け付ける。さらに、タッチスクリーン31は、メッセージを表示し、ユーザーに対して各種報知を行う。ハードウェアボタン32は、操作パネル3に複数設けられる。たとえば、ハードウェアボタン32としては、ジョブの実行指示をユーザーから受け付けるためのスタートボタンなどがある。
【0038】
また、図4に示すように、複合機100は、制御部4および記憶部5を備える。制御部4は、CPUを含む。制御部4は、制御用のプログラムおよびデータに基づき動作し、複合機100の各部を制御するための処理を行う。記憶部5は、不揮発性メモリー(ROM)および揮発性メモリー(RAM)を含む。制御用のプログラムおよびデータは、ROMに記憶され、RAMに展開される。
【0039】
画像読取部1は制御部4に接続される。制御部4は画像読取部1の制御を行う。制御部4は、光源11の点消灯動作やイメージセンサー12の読取動作を制御する。また、制御部4は、巻取ドラム17を回転させるための巻取モーターMTを制御し、巻取ドラム17の回転と回転停止とを切り替え、光源11およびミラー13が装着された移動枠15を副走査方向に適切に移動させる。
【0040】
また、制御部4は、画像読取部1による読み取りで得られた画像データ(イメージセンサー12のアナログ出力)を増幅する処理や、画像データをアナログデータからデジタルデータに変換する処理などを行う。なお、これら処理を行うデータ処理部が制御部4とは別に設けられてもよい。
【0041】
また、制御部4は、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データに対して、種々の画像処理(拡大縮小処理や回転処理、濃度変換処理など)を行う。このような画像処理を制御部4に行わせるため、たとえば、制御部4には画像処理用回路や画像処理用メモリーが搭載される。
【0042】
また、制御部4には開閉センサー111が接続される。制御部4は、開閉センサー111の出力値に基づき、原稿カバー101の開閉を検知する。制御部4は、開閉センサー111の出力値が第1レベルから第2レベルに変化したことを検知すると、すなわち、開閉センサー111の光路が遮光状態から非遮光状態に変化すると、原稿カバー101が閉状態から開状態になったと判断する。一方で、制御部4は、開閉センサー111の出力値が第2レベルから第1レベルに変化したことを検知すると、すなわち、開閉センサー111の光路が非遮光状態から遮光状態に変化すると、原稿カバー101が開状態から閉状態になったと判断する。
【0043】
印刷部2は制御部4に接続される。制御部4は印刷部2の制御を行う。制御部4は、給紙部22の給紙動作、画像形成部23の画像形成動作および定着部24の定着動作を制御する。また、制御部4は、用紙Pの搬送を担う各種回転体を回転させるためのモーターを制御する(印刷部2による用紙Pの搬送動作を制御する)。当該モーターとしては、たとえば、搬送ローラー対21を回転させるための搬送モーターM1、感光体ドラム231を回転させるためのドラムモーターM2、および、加熱ローラー241を回転させるための定着モーターM3などがある。
【0044】
操作パネル3は制御部4に接続される。制御部4は、操作パネル3の表示動作を制御するとともに、操作パネル3に対して行われた操作(タッチパネルディスプレイ31に対するタッチ操作およびハードウェアボタン32に対する押下操作)を検知する。
【0045】
また、複合機100は、商用電源PS(交流電源)と接続される電源部6を備える。電源部6は、複合機100の被電力供給部(電力供給を受けて動作する部分)を動作させるのに必要な電圧を生成する。被電力供給部に相当する部分は、画像読取部1、印刷部2、操作パネル3、制御部4および記憶部5である。なお、複合機100の設置場所に設置された照明機器200は、商用電源PSから電力供給を受けて動作する。
【0046】
電源部6は制御部4に接続される。制御部4は、電源部6から被電力供給部への電力供給を制御する。ヒーター243へは、商用電源PSからの交流電力が電源部6を経て供給される。
【0047】
ここで、制御部4は、ヒーター243への電力供給のオンオフを制御する通電制御を行う。このため、図示しないが、電源部6には通電制御回路が設けられる。電源部6の通電制御回路は、ヒーター243への通電のオンオフを切り替えるためのスイッチング素子を含む。制御部4は、電源部6の通電制御回路に通電制御信号を出力し、ヒーター243への通電のオンオフを切り替える。制御部4は、ヒーター243の通電制御を行うことにより、加熱ローラー241の温度を予め定められた定着制御温度に昇温させるとともに、加熱ローラー241の温度を定着制御温度に維持する。
【0048】
なお、後述するように、制御部4は、ヒーター243の通電制御として、半波制御および位相制御を選択的に行う。半波制御では、交流波形の半波を単位として通電のオンオフが切り替えられる。一方で、位相制御では、交流波形の半波内の任意の位相角で通電のオンオフが切り替えられるとともに、オン時間が徐々に長くされる。
【0049】
<ちらつき軽減モード>
ヒーター243の通電制御が位相制御方式で行われた場合には、半波制御方式に比べ、加熱ローラー241の温度が定着制御温度に達するまでの時間が長くなる。このため、通電制御の制御方式に関するモードが通常モードに設定されている場合には、制御部4は半波制御方式で通電制御を行う。しかし、制御部4による通電制御が半波制御方式で行われた場合には、位相制御方式に比べ、消費電力の変化に起因する電源電圧の変動によるフリッカー(照明機器200の照明光のつらつき)が発生し易くなる。
【0050】
このため、通電制御の制御方式に関するモードには、通常モードに加え、ちらつき軽減モードがある。ちらつき軽減モードは照明機器200の照明光のちらつきを軽減するモードである。通常モードからちらつき軽減モードに移行すると、制御部4による通電制御が半波制御方式から位相制御方式に切り替わる。
【0051】
ここで、複合機100には、ちらつき判定機能が搭載される。ちらつき判定機能を利用する旨の指示(当該指示は操作パネル3が受け付ける)をユーザーが複合機100に与えると、複合機100がちらつき判定モードに入る。
【0052】
制御部4は、ちらつき判定モードに入ると、ちらつき判定処理を行う。制御部4によるちらつき判定処理では、照明機器200の照明光のちらつきの大きさ(ちらつきの目立ち易さ)を示すちらつきレベルの判定が行われる。そして、制御部4は、照明機器200の照明光のちらつきレベルが予め定められた許容レベルを超えていれば(照明機器200の照明光のちらつきが大きければ)、通常モードからちらつき軽減モードに移行する。制御部4は、ちらつき軽減モードに移行して以降はヒーター243の通電制御を位相制御方式で行う。
【0053】
以下に、図5に示すフローチャートを参照し、制御部4が行うちらつき判定処理の流れを説明する。図5に示すフローチャートは、ちらつき判定機能を利用する旨の指示を操作パネル3がユーザーから受け付けたときにスタートする。なお、図5に示すフローチャートのスタート時点では、通電制御の制御方式に関するモードが通常モードに設定されているとする。
【0054】
ステップS1において、制御部4は、図6に示すような報知画面300の表示を操作パネル3に指示する。報知画面300には、報知メッセージMSが配される。このような報知画面300が操作パネル3に表示されると、ユーザーは原稿カバー101を開け、その後、コンタクトガラスCG上に原稿Dを載置せずに、操作パネル3のスタートボタンを押下するスタート操作を行う。
【0055】
なお、制御部4は、開閉センサー111の出力値に基づき原稿カバー101の開閉検知を行う。また、制御部4は、コンタクトガラスCG上における原稿Dの有無検知を行う。制御部4に原稿Dの有無検知を行わせるため、コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置されているときと載置されていないときとで出力値を変化させるセンサーを筐体10に設置し、当該センサーを制御部4に接続してもよい。あるいは、画像読取部1にコンタクトガラスCGの読み取りを行わせてもよい。
【0056】
そして、制御部4は、原稿カバー101が開けられ、かつ、コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置されていない状態で行われたスタート操作を有効とする。そして、この場合に、ステップS1からステップS2に移行する。仮に、スタート操作が行われた時点で、原稿カバー101が閉じられていた場合や、コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置されていた場合には、ステップS2に移行しない。
【0057】
ステップS2に移行すると、制御部4は、準備処理を実行する。このとき、図7に示すように、制御部4は、画像読取部1による読取位置が所定位置となるよう光源11を副走査方向に移動させる。たとえば、コンタクトガラスCGの副走査方向の中央位置が所定位置に設定される。
【0058】
ステップS3において、制御部4は、第1テスト読取(画像データの生成)の実行を画像読取部1に指示する。画像読取部1は、コンタクトガラスCGの所定位置での主走査1ライン分の読み取りを第1テスト読取として実行する。なお、画像読取部1が読み取る主走査1ライン分に含まれる画素数は7500画素である。たとえば、画像読取部1は、第1テスト読取を実行するとき、通常の読み取り(コピージョブなど通常ジョブの実行時の読み取り)を実行するときよりも、イメージセンサー12の各画素への電荷の蓄積時間を長くする。
【0059】
ステップS4において、制御部4は、第1テスト読取で得られた画像データである第1画像データに基づき、照明機器200の照明光の明るさを示す第1比較値を求める。このとき、制御部4は、第1画像データに含まれる複数の画素の画素値(階調値)を平均した平均値である第1平均値を第1比較値とする。なお、第1比較値の求め方は特に限定されない。たとえば、第1画像データに含まれる複数の画素の画像値のうち最小値を判別し、当該判別した最小値を第1比較値としてもよい。
【0060】
ステップS5において、制御部4は、印刷部2にテスト印刷動作の実行を指示する。制御部4は、テスト印刷動作として、通常の印刷動作(コピージョブなど通常ジョブの実行時の印刷動作)と略同じ印刷動作を印刷部2に実行させる。すなわち、制御部4は、搬送モーターM1、ドラムモーターM2および定着モーターM3をそれぞれ回転させる。これにより、複数の搬送ローラー対21、感光体ドラム231、および、加熱ローラー241がそれぞれ回転する。また、制御部4は、ヒーター243に電力を供給する。このときの通電制御方式は半波制御方式である。
【0061】
なお、制御部4は、印刷部2にテスト印刷動作を実行させるとき、用紙搬送路20に用紙Pを給紙させない。すなわち、制御部4は、給紙部22を駆動させない。このため、印刷部2によるテスト印刷動作では、用紙Pは搬送されない。
【0062】
また、ステップS5において、制御部4は、第2テスト読取(画像データの生成)の実行を画像読取部1に指示する。画像読取部1は、コンタクトガラスCGの所定位置(第1テスト読取の読取位置と同じ位置)での主走査1ライン分の読み取りを第2テスト読取として実行する。たとえば、画像読取部1は、第2テスト読取を実行するとき、通常の読み取りを実行するときよりも、イメージセンサー12の各画素への電荷の蓄積時間を長くする(第1テスト読取と同じ蓄積時間とする)。
【0063】
ここで、画像読取部1は、第2テスト読取を複数回実行する。たとえば、画像読取部1は、第2テスト読取を一定間隔(たとえば、10ms間隔)で繰り返し、1回目の第2テスト読取から所定時間(たとえば、5秒)が経過した時点で第2テスト読取を終了する。画像読取部1による第2テスト読取が複数回実行されることにより、複数回分の第2テスト読取にそれぞれ対応する複数の画像データが生成される。
【0064】
ステップS6において、制御部4は、第2テスト読取で得られた画像データである第2画像データに基づき、照明機器200の照明光の明るさを示す第2比較値を求める。このとき、制御部4は、複数回分の第2テスト読取で得られた複数の第2画像データのそれぞれについて、第2画像データに含まれる複数の画素の画素値(階調値)を平均した平均値である第2平均値を求める。そして、制御部4は、複数の第2画像データにそれぞれ対応する複数の第2平均値のうち最小値を第2比較値とする。なお、複数の第2画像データに含まれる全ての画素の画像値から最小値を判別し、当該判別した最小値を第2比較値としてもよい。
【0065】
ステップS7において、制御部4は、第1比較値と第2比較値とに基づき、照明機器200の照明光のちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かを判定する。
【0066】
ここで、印刷部2がテスト印刷動作を実行しても照明機器200の照明光に大きなちらつき(照明光がちらついているとユーザーが感じるほどのちらつき)が発生しなかった場合には、第1比較値と第2比較値との差の絶対値が小さくなる。
【0067】
一方で、印刷部2がテスト印刷動作を実行したことによって照明機器200の照明光に大きなちらつきが発生した場合には、当該大きなちらつきが発生したとき(一瞬暗くなったとき)の第2テスト読取で得られた第2画像データに対応する第2平均値が他の第2平均値よりも小さくなる。なぜなら、当該大きなちらつきが発生したときには、コンタクトガラスCGを透過してイメージセンサー12に入射する光が減少するからである。この場合には、当該大きなちらつきが発生したときの第2テスト読取で得られた第2画像データに対応する第2平均値が第2比較値となる。したがって、照明機器200の照明光に大きなちらつきが発生しなかった場合に比べて、第1比較値と第2比較値との差の絶対値が大きくなる。
【0068】
そこで、制御部4は、照明機器200の照明光のちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かを判定するとき、第1比較値と第2比較値との差の絶対値を求める。そして、制御部4は、第1比較値と第2比較値との差(絶対値)が予め定められた閾値以上であるか否かを判断する。その結果、第1比較値と第2比較値との差(絶対値)が閾値以上であれば、制御部4は、照明機器200の照明光のちらつきレベルが許容レベルを超えていると判定する。一方で、第1比較値と第2比較値との差(絶対値)が閾値未満であれば、制御部4は、照明機器200の照明光のちらつきレベルが許容レベルを超えていないと判定する。
【0069】
一例として、第1テスト読取および第2テスト読取では1画素当り8ビット256階調の画像データが生成され、画素値の最低値(真黒)が「0」になり、画素値の最高値(真白)が「255」になるとする。この例では、たとえば、閾値は「25」に設定される。なお、閾値は任意に変更可能であり、当該変更は操作パネル3が受け付ける。
【0070】
この例において、第1テスト読取で得られた第1画像データに基づき求められた第1平均値が「250」であったとする。この場合には、第1比較値は「250」となる。
【0071】
また、複数回分の第2テスト読取で得られた複数の第2画像データのうち、或る第2画像データの第2平均値が「220」であり、残りの第2画像データの各第2平均値が「220」よりも大きい値であったとする。この場合には、第2比較値は「220」となる。
【0072】
第1比較値が「250」であり、第2比較値が「220」である場合、第1比較値と第2比較値との差の絶対値は「30」となる。すなわち、閾値よりも大きくなる。したがって、この例では、制御部4は、照明機器200の照明光のちらつきレベルが許容レベルを超えていると判定する。
【0073】
ステップS7において、ちらつきレベルが許容レベルを超えていると制御部4が判断した場合には、ステップS8に移行する。一方で、ちらつきレベルが許容レベルを超えていないと制御部4が判断した場合には、ステップS9に移行する。
【0074】
ステップS8に移行した場合、制御部4は、通電制御に関するモードを通常モードからちらつき軽減モードに移行する。ステップS9に移行した場合、制御部4は、通電制御に関するモードを通常モードのまま維持する。
【0075】
本実施形態の構成では、原稿カバー101が開けられ、かつ、コンタクトガラスCG上に原稿Dが載置されていないとき、第1テスト読取および第2テスト読取が実行される。そして、第1テスト読取で得られた第1画像データに基づき第1比較値が求められるとともに、第2テスト読取で得られた第2画像データに基づき第2比較値が求められる。ここで、第1テスト読取の実行時には印刷部2は印刷動作を実行せず、第2テスト読取の実行時には印刷部2は印刷動作を実行する。このため、印刷部2が印刷動作を実行したことによって照明機器200の照明光に大きなちらつき(照明光がちらついているとユーザーが感じるほどのちらつき)が発生した場合には、当該大きなちらつきが発生しなかった場合に比べて、第1比較値と第2比較値との差が大きくなる。これにより、第1比較値と第2比較値とを求めることにより、ちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かを定量的に判定することができる。
【0076】
また、本実施形態の構成では、上記のように、画像読取部1は、第2テスト読取を複数回実行することによって複数の第2画像データを生成する。そして、制御部4は、複数の第2画像データにそれぞれ対応する複数の第2平均値のうち最小値を第2比較値とする。これにより、照明機器200の照明光に大きなちらつきが発生したとき(一瞬暗くなったとき)の第2テスト読取で得られた第2画像データに対応する第2平均値が第2比較値となるので、ちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かの判定を正確に行うことができる。
【0077】
また、本実施形態の構成では、上記のように、制御部4は、第1比較値と第2比較値との差の絶対値が閾値以上であるか否かを判断し、絶対値が閾値以上であれば、ちらつきレベルが許容レベルを超えていると判定する。ここで、照明機器200の照明光に大きなちらつきが発生した場合には、第1比較値と第2比較値との差が大きくなる。一方で、照明機器200の照明光にちらつきが発生しても当該発生したちらつきが小さい場合には、第1比較値と第2比較値との差が小さくなる。これにより、第1比較値と第2比較値との差が閾値以上であるか否かに基づきちらつきレベルが許容レベルを超えているか否かの判定が行われるよう構成することにより、照明機器200の照明光のちらつきが小さいにもかかわらず、ちらつきレベルが許容レベルを超えていると判定されるのを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態の構成では、上記のように、制御部4は、ちらつきレベルが許容レベルを超えていると判定すると、通電制御を半波制御方式で行う通常モードから、通電制御を位相制御方式で行うちらつき軽減モードに移行する。これにより、ちらつきレベルが許容レベルを超えていると制御部4が判定して以降は、照明機器200の照明光に大きなちらつきが発生するのを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、画像読取部1に第2テスト読取を実行させるときに印刷部2に実行させるテスト印刷動作では、用紙搬送路20に用紙Pを給紙させない。これにより、印刷部2がテスト印刷動作を実行しているときに用紙Pが搬送されないようにすることができる。なお、印刷部2がテスト印刷動作を実行しているときに用紙Pが搬送されてもよい。ただし、用紙Pを搬送するとジャムが発生する可能性がある。仮に、ジャムが発生すると、ジャム用紙Pを取り除くジャム作業を行わなければならない。そして、場合によっては、ジャム作業によってジャム用紙Pが破損する恐れがある。また、ジャムが発生しなくても、テスト印刷動作の実行時に搬送されていた用紙P(排出トレイETに排出された用紙P)を用紙カセットCAに戻す作業が必要となる。このため、印刷部2がテスト印刷動作を実行しているときには用紙Pが搬送されないようにするのが好ましい。
【0080】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1 画像読取部
2 印刷部
3 操作パネル(報知部)
4 制御部
20 用紙搬送路
101 原稿カバー
243 ヒーター
CG コンタクトガラス
D 原稿
P 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7