特許第6819679号(P6819679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819679
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20210114BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60K35/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-517010(P2018-517010)
(86)(22)【出願日】2017年5月8日
(86)【国際出願番号】JP2017017417
(87)【国際公開番号】WO2017195740
(87)【国際公開日】20171116
【審査請求日】2020年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-94073(P2016-94073)
(32)【優先日】2016年5月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山村 彩子
(72)【発明者】
【氏名】波田野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小飯田 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸一
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/060119(WO,A1)
【文献】 特開昭62−275846(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102011075205(DE,A1)
【文献】 特開平07−234374(JP,A)
【文献】 特開平02−308120(JP,A)
【文献】 特開2016−103008(JP,A)
【文献】 特開2013−214008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を出射する表示器と、この表示器で出射された表示光を反射する第1ミラーと、この第1ミラーで反射された表示光を反射する第2ミラーと、前記表示器、前記第1・第2ミラーを収納し上面が開口したケースと、を備えるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記第1ミラーは、反射された表示光を前記第2ミラーに到達する前に上下でクロスさせる曲率を有した凹面鏡であり、
前記第2ミラーは、受けた表示光を反射する鏡であり、
前記ケースは、前記第1・第2ミラー間の光路を挟むように、且つ前記クロスするクロス点の近傍まで延びる第1遮蔽部及び第2遮蔽部を備えており、
前記第1遮蔽部は、前記開口の下方において前記ケースの後部から前部に向かって延び、
前記第2遮蔽部は、前記開口の下方において前記ケースの前部から後部に向かって延び、
前記第1遮蔽部の先端部は、前記第2遮蔽部の先端部よりも前方に位置し、
前記表示器は、前記第1遮蔽部の先端部及び前記第2遮蔽部の先端部を結んだ線よりも前方、且つ、前記第2遮蔽部の下方に配置され、
前記ケース外からケース内に侵入し前記第2ミラーで反射され前記第1ミラーに向かう外光、及び、前記開口の上方からの外光を、前記第1・第2遮蔽部で遮蔽するようにし
前記第1遮蔽部は、前記第2ミラーの反射領域の下端において反射される光に平行に設けられていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記表示器は、前記第1遮蔽部の先端部及び前記第2遮蔽部の先端部を結んだ線に沿って設けられていることを特徴とする請求項記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
表示光を出射する表示器と、この表示器で出射された表示光を反射する第1ミラーと、この第1ミラーで反射された表示光を反射する第2ミラーと、前記表示器、前記第1・第2ミラーを収納し上面が開口したケースと、を備えるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記第1ミラーは、反射された表示光を前記第2ミラーに到達する前に上下でクロスさせる曲率を有した凹面鏡であり、
前記第2ミラーは、受けた表示光を反射する鏡であり、
前記ケースは、前記第1・第2ミラー間の光路を挟むように、且つ前記クロスするクロス点の近傍まで延びる第1遮蔽部及び第2遮蔽部を備えており、
前記第1遮蔽部は、前記開口の下方において前記ケースの後部から前部に向かって延び、
前記第2遮蔽部は、前記開口の下方において前記ケースの前部から後部に向かって延び、
前記第1遮蔽部の先端部は、前記第2遮蔽部の先端部よりも前方に位置し、
前記表示器は、前記第1遮蔽部の先端部及び前記第2遮蔽部の先端部を結んだ線よりも前方、且つ、前記第2遮蔽部の下方に配置され、
前記ケース外からケース内に侵入し前記第2ミラーで反射され前記第1ミラーに向かう外光、及び、前記開口の上方からの外光を、前記第1・第2遮蔽部で遮蔽するようにし、
前記表示器は、前記第1遮蔽部の先端部及び前記第2遮蔽部の先端部を結んだ線に沿って設けられていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光対策を施したヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者は、フロントガラスを通して前方を注視すると共に、インストルメントパネル上の計器類を目視しながら運転を実施する。すなわち、視線が前方と下方の計器類とへ移動する。前方を見たままで、計器類を見ることができれば、視線の移動がなく、運転性の向上が期待できる。この知見からヘッドアップディスプレイ装置が開発され、実用に供されるようになってきた。ヘッドアップディスプレイ装置に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1の図1に示されるように、HUD表示器(2)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)から上へ出射された画像光線は、フロントガラス(5)の内面に当たり、反射され運転者の前方に結像される(特許文献1、段落番号[0012])。不使用時は、シャッタ(4)で光路を遮断することで、外光(太陽光)がHUD表示器(2)に到達しないようにする。これで、HUD表示器(2)の損傷を防止することができる(特許文献1、段落番号[0006])。
【0004】
シャッタ(4)及びこのシャッタ(4)を駆動する駆動手段が必要であるため、ヘッドアップディスプレイ装置が高価になると共に大型になる。その上、不使用時でないとき、すなわち運転中は、シャッタ(4)が開いているため、このときには太陽光の入射を防ぐことができない。運転中を含め、常時、太陽光の入射を防ぐことができる構造が求められる。
【0005】
そこで、本発明者らは、先に、シャッタを用いることなく太陽光対策を講じたヘッドアップディスプレイ装置を提案した。太陽光対策を講じたヘッドアップディスプレイ装置に関する従来技術として、特許文献2に開示される技術がある。
【0006】
特許文献2の図1に示されるように、光路に反射型偏光フィルム(21)(括弧付き数字は、特許文献2に記載された符号を示す。以下同様)を介在させる。反射型偏光フィルム(21)の存在により、太陽光(b)が入射しても液晶シェル(16)の温度は上昇しない(特許文献2、段落番号[0013])。なお、反射型偏光フィルム(21)はガラス基板(22)の上面に貼着されている。
【0007】
特許文献2によれば、常時、太陽光対策を講じることができる。しかし、反射型偏光フィルム(21)及びガラス基板(22)が必須であるため、ヘッドアップディスプレイ装置が高価になると共に大型になる心配がある。
【0008】
ヘッドアップディスプレイ装置の小型化及び低コスト化が求められる中、シャッタや反射型偏光フィルムを用いないで、太陽光対策を講じることができる装置が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−237411号公報
【特許文献2】特許第4114194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、シャッタや反射型偏光フィルムを用いないで、太陽光対策を講じることができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、本発明者らが先に提案した特許文献2の図1に記載されるヘッドアップディスプレイ装置に、次に述べる改良を試みた。改良した装置100を図1に基づいて説明する。
【0012】
図1に示すヘッドアップディスプレイ装置100は、一次改良型装置であり、特許文献2に記載された装置に対して、凹面鏡101と平面鏡102との間において、光路103のごく近傍まで遮蔽板104及び遮蔽板105を延ばした。太陽光106は、凹面鏡101で反射され、遮蔽板104に当たって止まり、表示器107に到達する心配はない。
【0013】
ところで、近年、表示像の大型化が求められ、結果、ケース108の上部に開けた開口109が大きくなり、凹面鏡101が大型化し、光路103の幅が増大する。表示像が大型化するほど、太陽光が侵入し易くなり、その対策が求められる。
【0014】
本発明者らは、さらに改良を進め、二次改良型装置を完成し、良好な太陽光対策を講じることに成功した。すなわち、図2に示すヘッドアップディスプレイ装置10が、二次改良装置の基本構成図である。
【0015】
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置10は、光源11の上に配置され表示光12a,12bを出射する表示器13と、この表示器13で出射された表示光12a,12bを反射し凹面鏡によって構成された第1ミラー14と、この第1ミラー14で反射された表示光15a,15bを反射し凹面鏡によって構成された第2ミラー16と、光源11、表示器13、第1・第2ミラー14、16を収納するケース20と、を備えている。
【0016】
さらには、第1ミラー14は、反射された表示光15a,15bを第2ミラー16に到達する前に上下でクロスさせる曲率(半径の逆数)を有し、第2ミラー16は、受けた表示光を反射する役割を果たす。即ち、第1ミラー14は、第1ミラー14と第2ミラー16との間に第1ミラー14の焦点が位置するような曲率を有する。さらに換言すれば、第1ミラー14から第2ミラー16までの距離は、第1ミラー14の焦点距離よりも長く設定されている。
【0017】
ケース20は、第1・第2ミラー14、16間の光路21を挟むように、且つクロスするクロス点22の近傍まで延びる第1遮蔽部23及び第2遮蔽部24を備えている。ケース20外からケース20内に侵入し第2ミラー16で反射され第1ミラー14に向かう外光25を、第1・第2遮蔽部23、24で遮蔽することができる。
【0018】
第1遮蔽部23の下端(先端部23a)は、少なくとも、第1ミラー14における表示光12a,12bの反射領域の上端部P1、及び、第2ミラー16における表示光15a,15bの反射領域の上端部P2を結んだ線分L1よりもクロス点22側(下側)に位置している。
【0019】
第2遮蔽部24の上端(先端部24a)は、少なくとも、第1ミラー14における表示光12a,12bの反射領域の下端部P3、及び、第2ミラー16における表示光15a,15bの反射領域の下端部P4を結んだ線分L2よりもクロス点22側(上側)に位置している。
【0020】
なお、第1・第2遮蔽部23、24は、その先端が互いに近づくように延びている。その先端が互いに近いほど外光25の遮蔽性が高く、望ましい。即ち、互いの先端がクロス点22(焦点)に近接していることが望ましい。
【0021】
なお、一般に、反射領域の端部とは、凹状に形成された鏡面の端部に一致する。仮に、鏡面上にマスキングテープ等が設けられている場合には、鏡面のうち、露出している部位の端部が反射領域の端部ということができる。
【0022】
以上の知見から、請求項1による発明によれば、表示光を出射する表示器と、この表示器で出射された表示光を反射する第1ミラーと、この第1ミラーで反射された表示光を反射する第2ミラーと、前記表示器、前記第1・第2ミラーを収納し上面が開口したケースと、を備えるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記第1ミラーは、反射された表示光を前記第2ミラーに到達する前に上下でクロスさせる曲率を有した凹面鏡であり、
前記第2ミラーは、受けた表示光を反射する鏡であり、
前記ケースは、前記第1・第2ミラー間の光路を挟むように、且つ前記クロスするクロス点の近傍まで延びる第1遮蔽部及び第2遮蔽部を備えており、
前記第1遮蔽部は、前記開口の下方において前記ケースの後部から前部に向かって延び、
前記第2遮蔽部は、前記開口の下方において前記ケースの前部から後部に向かって延び、
前記第1遮蔽部の先端部は、前記第2遮蔽部の先端部よりも前方に位置し、
前記表示器は、前記第1遮蔽部の先端部及び前記第2遮蔽部の先端部を結んだ線よりも前方、且つ、前記第2遮蔽部の下方に配置され、
前記ケース外からケース内に侵入し前記第2ミラーで反射され前記第1ミラーに向かう外光、及び、前記開口の上方からの外光を、前記第1・第2遮蔽部で遮蔽するようにし
前記第1遮蔽部は、前記第2ミラーの反射領域の下端において反射される光に平行に設けられていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置が提供される。
【0023】
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記表示器は、前記第1遮蔽部の先端部及び前記第2遮蔽部の先端部を結んだ線に沿って設けられている
【0024】
請求項3による発明によれば表示光を出射する表示器と、この表示器で出射された表示光を反射する第1ミラーと、この第1ミラーで反射された表示光を反射する第2ミラーと、前記表示器、前記第1・第2ミラーを収納し上面が開口したケースと、を備えるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記第1ミラーは、反射された表示光を前記第2ミラーに到達する前に上下でクロスさせる曲率を有した凹面鏡であり、
前記第2ミラーは、受けた表示光を反射する鏡であり、
前記ケースは、前記第1・第2ミラー間の光路を挟むように、且つ前記クロスするクロス点の近傍まで延びる第1遮蔽部及び第2遮蔽部を備えており、
前記第1遮蔽部は、前記開口の下方において前記ケースの後部から前部に向かって延び、
前記第2遮蔽部は、前記開口の下方において前記ケースの前部から後部に向かって延び、
前記第1遮蔽部の先端部は、前記第2遮蔽部の先端部よりも前方に位置し、
前記表示器は、前記第1遮蔽部の先端部及び前記第2遮蔽部の先端部を結んだ線よりも前方、且つ、前記第2遮蔽部の下方に配置され、
前記ケース外からケース内に侵入し前記第2ミラーで反射され前記第1ミラーに向かう外光、及び、前記開口の上方からの外光を、前記第1・第2遮蔽部で遮蔽するようにし、
前記表示器は、前記第1遮蔽部の先端部及び前記第2遮蔽部の先端部を結んだ線に沿って設けられていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置が提供される
【発明の効果】
【0025】
請求項1及び3に係る発明では、第1ミラーは、反射された表示光を第2ミラーに到達する前に上下でクロスさせる曲率を有した凹面鏡である。クロスするクロス点では、光路の幅は小さくなる。このクロス点の近傍へ第1遮蔽部及び第2遮蔽部を延ばし、これらの第1遮蔽部及び第2遮蔽部で太陽光などの外光を遮蔽するようにした。外光の殆どが第1・第2遮蔽部で遮蔽され、第1ミラーや表示部に到達することを抑制する。よって、本発明によれば、シャッタや反射型偏光フィルムを用いないで、太陽光対策を講じることができるヘッドアップディスプレイ装置が提供される。
【0026】
加えて、後部から前方に延びる第1遮蔽部の先端部は、前部から後方に延びる第2遮蔽部の先端部よりも前方に位置している。このため、第1遮蔽部及び第2遮蔽部は、一部が上下において重なることとなる。これにより、上方からの外光は開口を通過しつつも、第1・第2遮蔽部で遮断され、第1・第2遮蔽部の下方に到達しない。開口を大きく確保することにより、大きな像を投射可能にし、外光から表示部を保護することができる。
【0027】
請求項に係る発明では、第1遮蔽部は、第2ミラーの反射領域の下端において反射される光に平行に設けられている。平行に設けられているため、第1遮蔽部が反射された光に干渉することを防止できる。これにより、より大きな開口を設けることができ、大きな像を投射することができる。
【0028】
請求項2及び3に係る発明では、表示器は、第1遮蔽部の先端部及び第2遮蔽部の先端部を結んだ線に沿って設けられている。表示器を線に近接させて配置することができる。表示器を線に近接させて配置することにより、デッドスペースの発生を抑制し、ヘッドアップディスプレイ装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1改良装置の原理図である。
図2】第2改良品、すなわち本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置の基本構成図である。
図3】本発明の実施例によるヘッドアップディスプレイ装置の分解図である。
図4図3に示されたヘッドアップディスプレイ装置の断面図である。
図5図4に示された第1・第2遮蔽部の遮蔽作用を説明する図である。
図6図4に示された第1・第2遮蔽部のさらなる遮蔽作用を説明する図である。
図7図4に示されたヘッドアップディスプレイ装置の変更例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
<実施例>
【0031】
図3に示すように、このヘッドアップディスプレイ装置10では、ケース20は、第1・第2ミラー14、16を支えると共に第2遮蔽部24を備えるセンターフレーム30と、このセンターフレーム30の上に取付けられ第1遮蔽部23を備える上カバー50と、センターフレーム30の下に取付けられる下カバー55と、からなる。第1遮蔽部23は、開口20aの下方においてケース20の後部から前部に向かって延びている。
【0032】
センターフレーム30は、取付けフランジ31、31を外周に備え、内部に斜め上に延びる第2遮蔽部24を備えるアルミニウムダイカスト品である。第2遮蔽部24は、開口20aの下方においてケース20の前部から後部に向かって延びている。
【0033】
例えば、センターフレーム30にステイ32を溶接し、このステイ32に接着層33を介して第1ミラー14を固定する。また、センターフレーム30の内面に溶接されたステイ34〜36に接着層37〜39で第2ミラー16を固定する。
【0034】
センターフレーム30の下部からステイ41を延ばす。一方、光源11と表示器13を筒形ブラケット42に嵌め、この筒形ブラケット42から延ばしたブラケット片43をステイ41にビス44、44で固定する。
【0035】
センターフレーム30は、アルミニウムダイカスト品であれば、樹脂成形品より格段に強度が高く、剛性に富む。剛性に富むセンターフレーム30に、第1・第2ミラー14、16や表示器13を一括して取付けるため、これらの光軸調整が狂い難くなる。さらに、剛性に富むセンターフレーム30は、取付けフランジ31、31で車両に取付けられる。カバーが全体的に樹脂で構成されている場合は、剛性が不足して光軸の再調整が必要になりうる。一方、実施例のヘッドアップディスプレイ装置10は、剛性に富むためその心配が小さい。
【0036】
上カバー50は、例えば、ポリカーボネート成形品であり、上面にカバーガラス51を備え、斜め下へ延びる第1遮蔽部23を一体的に備えている。カバーガラス51は、ケース20の上面に形成された開口20aを覆っている。
【0037】
下カバー55は、上に開口する有底筒体であり、例えば、ABS樹脂成形品であり、プリント基板56を内蔵している。
【0038】
センターフレーム30に、下からビス57、57で下カバー55を取付け、上からビス52で上カバー50を取付ける。
【0039】
図4に示すヘッドアップディスプレイ装置10が完成する。このとき、第1遮蔽部23の先端部23aは、第2遮蔽部24の先端部24aよりも前方に位置している。加えて、表示器13は、第1遮蔽部23の先端部23a及び第2遮蔽部24の先端部24aを結んだ線L2よりも前方、且つ、第2遮蔽部24の下方に配置されている。
【0040】
表示器13から出射された表示光12a,12bは第1ミラー14で反射され、この第1ミラー14で反射された表示光15a,15bは、第1・第2遮蔽部23、24の間を通過して、第2ミラー16に至る。第2ミラー16で反射された表示光17a,17bは上昇し、車両のフロントガラス66(反射された表示光17a,17bが投射される投射部66)に至る。
【0041】
図5(a)に示すように、太陽58の高度が低い場合、太陽光に代表される外光25は、カバーガラス51を通過し、第2ミラー16で反射され、第1遮蔽部23で遮蔽される。第1遮蔽部23は、耐熱性に優れるポリカーボネートであるため、熱に対する強度が高い。
【0042】
太陽58の高度が高い場合、図5(b)に示すように、外光25は、カバーガラス51を通過し、第2ミラー16で反射され、第2遮蔽部24で遮蔽される。第2遮蔽部24は、耐熱性にさらに優れるアルミニウムであるため、熱に対する強度がさらに高い。
【0043】
図6を参照する。後部から前方に延びる第1遮蔽部23の先端部23aは、前部から後方に延びる第2遮蔽部24の先端部24aよりも前方に位置している。このため、第1遮蔽部23及び第2遮蔽部24は、一部が上下において重なることとなる。これにより、上方からの外光25は開口20aを通過しつつも、第1・第2遮蔽部23,24で遮断され、第1・第2遮蔽部23,24の下方に到達しない。即ち、開口20aの上方からの外光25を、第1・第2遮蔽部23,24で遮蔽する。開口20aを大きく確保することにより、大きな映像を表示可能としつつ、外光から表示器13を保護することができる。
【0044】
表示器13は、第1遮蔽部23の先端部23a及び第2遮蔽部24の先端部24aを結んだ線L2よりも前側(内側)に配置される。第1・2遮蔽部23,24の間から外光が侵入するのを防ぎ、外光が表示器13へ直接当たることを防ぐことができる。
【0045】
図4を参照する。第1遮蔽部23は、第2ミラー16の反射領域の下端において反射される表示光17bに平行に設けられている。平行に設けられているため、第1遮蔽部23が反射された表示光17bに干渉することを防止できる。これにより、より大きな開口20aを設けることができ、大きな像を投射することができる。
【0046】
図7を参照する。図7には、変更例によるヘッドアップディスプレイ装置10Aが示されている。ヘッドアップディスプレイ装置10Aは、表示器13Aは、第1遮蔽部23の先端部23a及び第2遮蔽部24の先端部24aを結んだ線L2に沿って設けられている。その他の基本的な構成については、実施例1によるヘッドアップディスプレイ装置10と共通する。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0047】
このように構成したヘッドアップディスプレイ装置10Aにおいても、本発明所定の効果を得ることができる。
【0048】
さらに、表示器13Aを線L2に近接させて配置することができる。表示器13Aを線L2に近接させて配置することにより、デッドスペースの発生を抑制し、ヘッドアップディスプレイ装置10Aを小型化することができる。
【0049】
尚、本発明のヘッドアップディスプレイ装置は、乗用車に好適であるが、一般の車両、船舶、航空機に適用することは差し支えない。即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のヘッドアップディスプレイ装置は、フロントガラスを備える車両に好適である。
【符号の説明】
【0051】
10,10A…ヘッドアップディスプレイ装置
13,13A…表示器
14…第1ミラー
16…第2ミラー
20…ケース
20a…開口
21…光路
22…クロス点
23…第1遮蔽部
23a…(第1遮蔽部の)先端部
24…第2遮蔽部
24a…(第2遮蔽部の)先端部
L2…第1遮蔽部の先端部及び第2遮蔽部の先端部を結んだ線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7