(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記かご側接点及び前記乗場側接点の少なくとも何れか一方は、前記かご側接点と前記乗場側接点との接触時における自身の弾性変形を可能にする弾性構造を有している、請求項1又は2に記載のエレベータの除電システム。
前記乗場には、前記閉塞部による前記隙間の閉塞時に前記かご側接点が進入する凹部が設けられており、当該凹部内に前記乗場側接点が配置されている、請求項1〜4の何れかに記載のエレベータの除電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した非接触給電方式のエレベータには、送電ケーブルがないため、乗りかごと建物とを繋ぐアース線を設けることができず、乗りかごに生じた不要な静電気を建物側へ逃がすことできないといった問題がある。
【0006】
この問題を対して、かごドアと乗場ドアとの係合装置を利用して、乗場への乗りかごの停止時に静電気を建物側へ逃がす除電技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、提案されている除電技術では、かごドアから乗場ドアへ通じるアース用の導電径路を確保するために、係合装置の構成部品に導電性を持った部品を用いなければならず、この制約により、係合装置の設計自由度が制限されたり、係合装置の構成が複雑になったりするおそれがある。
【0007】
そこで本発明の目的は、エレベータの乗りかごに対する除電を簡易な構成で実現する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る除電システムは、非接触給電方式のエレベータにおいて、乗場への乗りかごの停止時に当該乗りかごに対する除電を行うシステムであり、閉塞部と、かご側接点と、乗場側接点と、を備える。閉塞部は、乗りかごに設けられており、乗場への乗りかごの停止時にこれらの間に生じる隙間を塞ぐ。かご側接点は、アース用の接点であり、閉塞部の先端部に設けられている。乗場側接点は、乗場に設けられたアース用の接点であり、乗場側接点には、閉塞部による上記隙間の閉塞時にかご側接点が接触する。
【0009】
上記除電システムによれば、閉塞部の先端部は、当該閉塞部が上記隙間を塞いだときに乗場に近接又は接触することになる。従って、このような閉塞部の先端部に、アース用の接点であるかご側接点を設けることにより、乗場に近接又は接触する閉塞部を利用して、かご側接点を乗場側接点に接触させることができる。そして、それらの接触により、乗りかごと乗場との間にアース用の導電径路を形成できる。
【0010】
上記除電システムにおいて、閉塞部は、乗場への乗りかごの停止時に、上記隙間を開放した開放位置から当該隙間を塞いだ閉塞位置へ移動する可動部であり、閉塞位置への閉塞部の移動により、かご側接点が乗場側接点に接触してもよい。この構成によれば、乗場への乗りかごの停止時以外のときには閉塞部を開放位置へ移動させておくことで、乗りかごが乗場を通過するときにかご側接点が乗場側接点に接触することを回避できる。そして、乗場への乗りかごの停止時にのみ、かご側接点を、閉塞位置への閉塞部の移動によって乗場側接点に接触させることができる。よって、かご側接点と乗場側接点との不要な接触を避けることができ、従って閉塞部や接点の摩耗を防止できる。
【0011】
上記除電システムにおいて、かご側接点及び乗場側接点の少なくとも何れか一方は、かご側接点と乗場側接点との接触時における自身の弾性変形を可能にする弾性構造を有していてもよい。
【0012】
上記構成によれば、乗りかごが停止する乗場ごとに上記隙間の幅が異なるおそれがある場合において、その幅が最大になったときであってもかご側接点を乗場側接点に接触させることができるように弾性構造を構築することにより、何れの乗場でもかご側接点と乗場側接点とを確実に接触させることができる。しかも、何れの乗場であっても、その乗場で生じた隙間の幅に応じてかご側接点及び乗場側接点の少なくとも何れか一方を弾性変形させることができるため、かご側接点と乗場側接点との接触時に生じる衝撃やそれに伴う衝突音などを緩和(小さく)できる。また、かご側接点と乗場側接点との接触時には、かご側接点及び乗場側接点に対して、これらを圧接させる弾性力を付与できる。よって、かご側接点と乗場側接点との接触面積が増し、その結果として接触抵抗が低い良好な接続状態が得られる。
【0013】
上記除電システムにおいて、閉塞部は、乗りかごの乗降口の幅方向において長尺状であってもよい。また、かご側接点は、閉塞部の先端部のうちの上記幅方向における少なくとも2箇所に1つずつ設けられていてもよい。この構成によれば、閉塞部の移動量が、幅方向における異なる箇所で相違した場合でも、少なくとも何れか一方の箇所でかご側接点を、それに対応する乗場側接点に接触させることができる。
【0014】
上記除電システムにおいて、閉塞部による上記隙間の閉塞時にかご側接点が進入する凹部が乗場に設けられ、当該凹部内に乗場側接点が配置されていてもよい。この構成とは異なり、乗場の平坦面に乗場側接点を設け、当該乗場側接点にかご側接点を接触させた場合には、上記隙間の閉塞時に乗場と閉塞部との間にかご側接点が挟まってしまい、当該かご側接点の分だけ隙間が残ってしまう。一方、凹部を設けた上記構成によれば、上記隙間の閉塞時にかご側接点が凹部に進入して収納されるため、乗場と閉塞部との間に生じる隙間を小さくすること、或いは隙間がない状態にすることができる。
【0015】
上記除電システムにおいて、乗りかごが通る昇降路の内側へ向けられると共に斜め下方へ向けられた傾斜面が乗場に設けられ、当該傾斜面に乗場側接点が配置されていてもよい。この構成において、閉塞部は、乗りかごから乗場へ向かって並進移動することで上記隙間を塞ぐものであることが好ましい。これにより、閉塞部が上記隙間を塞ぐ過程で、閉塞部又はかご側接点が乗場側接点の表面に斜め方向から接触し、その後、当該表面に沿ってかご側接点が摺動する。この構成によれば、かご側接点と乗場側接点との接触時に、かご側接点が乗場側接点の表面上を摺動するため、その摺動を利用して接点表面の汚れや錆を落とすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エレベータの乗りかごに対する除電が簡易な構成で実現される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る除電システムの適用が可能な非接触給電方式のエレベータを例示した概念図である。非接触給電方式のエレベータは、乗りかご1と、非接触給電装置2と、乗りかご制御装置3と、を備える。
【0019】
乗りかご1は、その土台となる床部11と、乗降口を開閉するかごドア12と、を有する。床部11には、乗降口の底辺に沿ってかご側敷居13が設けられており(
図3参照)、当該かご側敷居13には、かごドア12の開閉方向を規定するガイド溝13a(
図2(A)参照)が形成されている。一方、乗場Hには、かごドア12と連動して乗降口を開閉する乗場ドア61が設けられている。また、乗場Hには、乗降口の底辺に沿って乗場側敷居62が設けられており、当該乗場側敷居62には、乗場ドア61の開閉方向を規定するガイド溝62a(
図2(A)参照)が形成されている。そして、乗場Hへの乗りかご1の停止時にこれらが互いに干渉することがないように、乗りかご1と乗場Hとの間(具体的には、かご側敷居13と乗場側敷居62との間)には隙間Gが設けられている。
【0020】
非接触給電装置2は、送電部Pcと、電磁誘導や電磁共鳴を利用して送電部Pcから電力を非接触で受け取る受電部Pdと、を含む。そして、昇降路R内に送電部Pcが設けられると共に乗りかご1に受電部Pdが設けられており、送電部Pcと受電部Pdとの間での電力の送受によって乗りかご1に電力が供給される。
【0021】
図1では、受電部Pdは、乗りかご1の天井裏に設置され、送電部Pcは、乗場Hへの乗りかご1の停止時に受電部Pdとの間での電力の送受が可能となる昇降路R内の位置(一例として、受電部Pdに対向する位置)に設置されている。尚、送電部Pcは、乗りかご1が停止する全ての乗場Hに対応する昇降路R内の位置に設けられてもよいし、1つ又は幾つかの乗場Hに対応する昇降路R内の位置にだけ設けられてもよい。或いは、送電部Pcは、乗りかご1の位置に拘らず、常に受電部Pdとの間での電力の送受が可能となるように昇降路R内に設けられてもよい。また、受電部Pdは、乗りかご1の天井裏に限らず、乗りかご1の床下に設置されてもよい。更に、送電部Pcの設置位置は、受電部Pdの設置位置や送受を行う位置などに応じて適宜変更されてもよい。
【0022】
乗りかご制御装置3は、かごドアの開閉、照明や空調の制御、操作盤(利用者が操作するボタンやタッチパネルなどを含んだインタフェース)の制御、エレベータ制御装置(不図示)との通信などを行う。尚、エレベータには、複数の乗りかご1が設けられていてもよい。このようなエレベータでは、複数の乗りかご1のそれぞれに1つずつ対応させて乗りかご制御装置3及びエレベータ制御装置が設けられ、また、複数のエレベータ制御装置を一元的に管理及び制御する群管理制御装置(不図示)が更に設けられる。
【0023】
次に、本発明に係る除電システムの実施形態について、具体的に説明する。
【0024】
[1]除電システムの構成
図2(A)及び(B)は、実施形態に係る除電システム5を示した概念図である。除電システム5は、上述した非接触給電方式のエレベータにおいて、乗場Hへの乗りかご1の停止時に当該乗りかご1に対する除電を行うシステムであり、閉塞部50と、かご側接点51と、乗場側接点52と、を備える。
【0025】
<閉塞部>
閉塞部50は、乗りかご1に設けられており、乗場Hへの乗りかご1の停止時にこれらの間に生じる隙間Gを塞ぐ。尚、
図2(A)は、閉塞部50が隙間Gを開放した状態を示し、
図2(B)は、閉塞部50が隙間Gを塞いだ状態を示す。
【0026】
本実施形態では、閉塞部50は、乗りかご1の乗降口の幅方向D1において長尺状に形成されている(
図3参照)。また、閉塞部50は、
図2(A)及び(B)に示されているように、乗りかご1から乗場Hへ向かう方向(以下、「移動方向D2」と称す。本実施形態では、水平方向)において並進移動する。具体的には、かご側敷居13に、移動方向D2へ向けて開口した長尺状の凹部13bが設けられており、閉塞部50は、凹部13b内に、当該凹部13bからの突出が可能な状態で収納されている。そして、閉塞部50が凹部13b内に収納されることで隙間Gが開放され、閉塞部50が凹部13bから突出することで隙間Gが塞がれる。このように、閉塞部50は、隙間Gを開放した開放位置P1と隙間Gを塞いだ閉塞位置P2との間を並進移動する。
【0027】
そして、乗場Hへの乗りかご1の停止時に、開放位置P1から閉塞位置P2へ閉塞部50が移動することにより、閉塞部50によって隙間Gが塞がれる。これにより、隙間Gから利用者の所持品などが昇降路R内に落下することが防止される。
【0028】
閉塞部50の移動は、当該閉塞部50に連結された駆動部(不図示)によって実行される。一例として、駆動部は、かごドア12を開閉する開閉機構である。そして、この開閉機構に閉塞部50が連結されることにより、かごドア12の開閉に連動して閉塞部50の移動が実行される。具体的には、閉塞部50は、かごドア12の戸開動作に連動して開放位置P1から閉塞位置P2へ移動し(
図2(B)参照)、かごドア12の戸閉動作に連動して閉塞位置P2から開放位置P1へ移動する(
図2(A)参照)。
【0029】
尚、閉塞部50の移動は、かごドア12の開閉などとは連動させずに、個別に制御されてもよい。また、閉塞部50は、長尺状に形成されたものに限らず、幅方向D1において複数に分割されていて、それらが一体となって並進移動するものであってもよい。
【0030】
<かご側接点>
かご側接点51は、アース用の接点であり、移動方向D2における閉塞部50の先端部50aに設けられている(
図2(A)及び(B)参照)。そして、かご側接点51には、乗りかご1に設置されている電気機器(乗りかご制御装置3や操作盤など)がアース線53Aを介して接続されている。
【0031】
本実施形態では、かご側接点51は、閉塞部50の先端部50aのうちの、閉塞位置P2へ向かう方向(移動方向D2に一致)を向いた先端面50bに設けられている(
図2(A)参照)。また、かご側接点51は、閉塞部50の先端部50aのうちの幅方向D1における2箇所に1つずつ設けられている(
図3参照)。より具体的には、かご側接点51は、幅方向D1における左右の両端に近い箇所に1つずつ設けられている。
【0032】
<乗場側接点>
乗場側接点52は、かご側接点51に対応させて乗場Hに設けられたアース用の接点であり、閉塞部50による隙間Gの閉塞時にかご側接点51が接触するように配置されている。そして、乗場側接点52は、アース線53Bを介してグランド(建物などを含む)に接続(接地)されている。
【0033】
本実施形態では、乗場側接点52は、閉塞部50が閉塞位置P2へ移動したときにかご側接点51が接触できるように配置されている。具体的には、乗場側接点52は、乗場側敷居62の内面62b(即ち、昇降路Rの内側を向いた面)のうちの、閉塞部50の先端面50bに設けられているかご側接点51と対向した位置に配置されている。
【0034】
上記除電システム5によれば、閉塞部50の先端部50a(本実施形態では、先端面50b)は、当該閉塞部50が上記隙間Gを塞いだときに乗場H(本実施形態では、乗場側敷居62の内面62b)に近接又は接触することになる。従って、このような閉塞部50の先端部50aに、アース用の接点であるかご側接点51を設けることにより、乗場Hに近接又は接触する閉塞部50を利用して、かご側接点51を乗場側接点52に接触させることができる。そして、それらの接触により、乗りかご1と乗場Hとの間にアース用の導電径路を形成できる。これにより、乗りかご1に設置されている電気機器が、アース線53A、かご側接点51、乗場側接点52、及びアース線53Bを通じて接地され、その結果として乗りかご1に対する除電が行われる。このように、上記除電システム5によれば、閉塞部50を利用した簡易な構成で、乗りかご1に対する除電が実現される。
【0035】
乗りかご1に対する除電は、乗場Hへの乗りかご1の到着後、利用者の乗降前(即ち、利用者が隙間Gを跨ぐことで、その利用者が、アース用の導電径路を形成してしまう前)に行われることが好ましい。例えば、閉塞部50の移動を、上述したようにかごドア12の開閉に連動させることで、乗りかご1に対する乗降前の除電を実現できる。なぜなら、かごドア12の戸開動作に連動してかご側接点51が乗場側接点52に接触するため、かごドア12が全開状態となって利用者が乗降を開始するときには、既にアース用の導電径路を通じて乗りかご1に対する除電が完了した状態になっているからである。
【0036】
また、本実施形態では、閉塞部50は、開放位置P1と閉塞位置P2との間を移動する可動部である。従って、乗場Hへの乗りかご1の停止時以外のときには閉塞部50を開放位置P1へ移動させておくことで、乗りかご1が乗場Hを通過するときにかご側接点51が乗場側接点52に接触することを回避できる。そして、乗場Hへの乗りかご1の停止時にのみ、かご側接点51を、閉塞位置P2への閉塞部50の移動によって乗場側接点52に接触させることができる。よって、かご側接点51と乗場側接点52との不要な接触を避けることができ、従って閉塞部50や接点(かご側接点51を乗場側接点52)の摩耗を防止できる。
【0037】
更に、本実施形態では、かご側接点51は、閉塞部50の先端部50aのうちの幅方向D1における2箇所に1つずつ設けられている。従って、閉塞部50の移動量が、幅方向D1における異なる箇所で相違した場合でも、少なくとも何れか一方の箇所でかご側接点51を、それに対応する乗場側接点52に接触させることができる。尚、かご側接点51は、2箇所に限らず、幅方向D1における3箇所以上に1つずつ設けられてもよい。また、閉塞部50の移動量が、幅方向D1における異なる箇所で殆ど相違しない場合には、かご側接点51は、閉塞部50の先端部50aの1箇所にだけ設けられてもよい。更に、閉塞部50が幅方向D1において複数に分割されている場合には、分割された各部にかご側接点51が設けられてもよい。
【0038】
[2]変形例
[2−1]第1変形例
図4(A)及び(B)は、第1変形例に係る除電システム5を示した概念図である。閉塞部50は、かご側敷居13の上面13cに設けられ、幅方向D1に延びた中心軸50c周りにおいて、開放位置P1と閉塞位置P2との間を回転移動するものであってもよい。尚、
図4(A)は、閉塞部50が隙間Gを開放した状態を示し、
図4(B)は、閉塞部50が隙間Gを塞いだ状態を示す。
【0039】
第1変形例では、閉塞部50は、閉塞位置P2へ移動したときに、先端部50aが乗場側敷居62の上面62cに重なるように構成されている。この場合、かご側接点51は、閉塞部50の先端部50aのうちの、乗場側敷居62の上面62cと重なる下面50dに設けられる。また、乗場側接点52は、乗場側敷居62の上面62cのうちの、閉塞部50が閉塞位置P2に移動したときにかご側接点51が重なる位置に配置される。
【0040】
第1変形例の除電システム5によれば、上記実施形態と同様、閉塞部50を利用したかご側接点51と乗場側接点52との接触により、乗りかご1と乗場Hとの間にアース用の導電径路を形成できる。よって、閉塞部50を利用した簡易な構成で、乗りかご1に対する除電が実現される。また、乗場Hへの乗りかご1の停止時以外のときには閉塞部50を開放位置P1へ移動させておくことができるため、閉塞部50や接点(かご側接点51を乗場側接点52)の摩耗を防止できる。
【0041】
[2−2]第2変形例
図5(A)及び(B)は、第2変形例として、かご側接点51の2つの例を示した概念図である。かご側接点51は、乗場側接点52との接触時における自身の弾性変形を可能にする弾性構造を有していてもよい。
図5(A)の例では、かご側接点51は、板バネで構成されている。また、
図5(B)の例では、かご側接点51は、乗場側接点52に接触する接触部511と、乗場側接点52への接触部511の接触時に当該接触部511を乗場側接点52へ向けて付勢する圧縮バネ512と、で構成されている。そして、接触部511にアース線53Aが接続されている。この場合、圧縮バネ512には、導電性がないものを使用できる。
【0042】
第2変形例によれば、乗りかご1が停止する乗場Hごとに隙間Gの幅が異なるおそれがある場合において、その幅が最大になったときであってもかご側接点51を乗場側接点52に接触させることができるように弾性構造を構築することにより(例えば、板バネの突出量や、圧縮バネ512の長さを調整することにより)、何れの乗場Hでもかご側接点51と乗場側接点52とを確実に接触させることができる。しかも、何れの乗場Hであっても、その乗場Hで生じた隙間Gの幅に応じてかご側接点51を弾性変形させることができるため、かご側接点51と乗場側接点52との接触時に生じる衝撃やそれに伴う衝突音などを緩和(小さく)できる。
【0043】
また、かご側接点51と乗場側接点52との接触時には、かご側接点51及び乗場側接点52に対して、これらを圧接させる弾性力を付与できる。よって、かご側接点51と乗場側接点52との接触面積が増し、その結果として接触抵抗が低い良好な接続状態が得られる。
【0044】
尚、かご側接点51は、上述した2つの例に限らず、乗場側接点52との接触時における自身の弾性変形を可能にする他の弾性構造を有していてもよい。また、
図5(B)の例において、圧縮バネ512に導電性を持たせ、且つ、当該圧縮バネ512にアース線53Aを接続することにより、接触部511とアース線53Aとを圧縮バネ512を介して電気的に接続してもよい。更に、上記弾性構造は、かご側接点51に代えて乗場側接点52に構築されてもよいし、かご側接点51及び乗場側接点52の両方に構築されてもよい。
【0045】
[2−3]第3変形例
第2変形例(弾性構造)に代えて、閉塞部50の動作(例えば、閉塞部50の移動量や移動速度、閉塞部50に付与する力など)を制御することにより、かご側接点51と乗場側接点52との接触時に生じる衝撃やそれに伴う衝突音などを緩和(小さく)してもよい。また、かご側接点51と乗場側接点52との接触後、閉塞部50に対して移動方向D2の力を更に付与することで、かご側接点51と乗場側接点52とを圧接させてもよい。これにより、かご側接点51と乗場側接点52との接触面積が増し、その結果として接触抵抗が低い良好な接続状態が得られる。
【0046】
[2−4]第4変形例
図6(A)及び(B)は、第4変形例に係る除電システム5を示した概念図である。閉塞部50が開放位置P1から閉塞位置P2へ並進移動する構成において、乗場側敷居62(即ち、乗場H)には、閉塞部50による隙間Gの閉塞時にかご側接点51が進入する凹部62dが設けられていてもよい。この場合、乗場側接点52は、凹部62d内に配置される。尚、
図6(A)は、閉塞部50が隙間Gを開放した状態を示し、
図6(B)は、閉塞部50が隙間Gを塞いだ状態を示す。
【0047】
第4変形例の構成とは異なり、乗場側敷居62の内面62bに乗場側接点52を設け、当該乗場側接点52にかご側接点51を接触させる構成(
図2(A)及び(B)参照)では、隙間Gの閉塞時に乗場側敷居62の内面62bと閉塞部50の先端面50bとの間(即ち、乗場Hと閉塞部50との間)にかご側接点51が挟まってしまい、当該かご側接点51の分だけ隙間が残ってしまう(
図2(B)参照)。一方、凹部62dを設けた第4変形例によれば、隙間Gの閉塞時にかご側接点51が凹部62dに進入して収納されるため、乗場Hと閉塞部50との間に生じる隙間を小さくすること、或いは隙間がない状態にすることができる。
【0048】
[2−5]第5変形例
図7(A)及び(B)は、第5変形例に係る除電システム5を示した概念図である。閉塞部50が開放位置P1から閉塞位置P2へ並進移動する構成において、乗場側敷居62(即ち、乗場H)には、昇降路Rの内側へ向けられると共に斜め下方へ向けられた傾斜面62eが設けられていてもよい。そして、この傾斜面62eに、乗場側接点52が配置されていてもよい。尚、
図7(A)は、閉塞部50が隙間Gを開放した状態を示し、
図7(B)は、閉塞部50が隙間Gを塞いだ状態を示す。
【0049】
このような第5変形例の構成において、かご側接点51は、閉塞部50が隙間Gを塞ぐ過程で、乗場側接点52の表面52aに斜め方向から接触し、その後、当該表面52aに沿って摺動することが好ましい。具体例として、閉塞部50は、可撓性を有した舌片状のものであり、閉塞位置P2へ移動したときに撓曲して乗場側接点52の表面52aと向き合うことになる表面50eに、かご側接点51が設けられる。そして、閉塞部50が閉塞位置P2へ移動する過程で、閉塞部50又はかご側接点51が傾斜面62e(乗場側接点52の表面52aを含む)に斜め方向から接触した後、閉塞部50が徐々に撓曲していくことで、かご側接点51は、閉塞部50の撓曲によって乗場側接点52の表面52aに押圧された状態で、当該表面52aに沿って摺動する。
【0050】
第5変形例によれば、かご側接点51と乗場側接点52との接触時に、かご側接点51が乗場側接点52の表面52a上を摺動するため、その摺動を利用して接点表面の汚れや錆を落とすことができる。
【0051】
[2−6]第6変形例
図8(A)及び(B)は、第6変形例に係る除電システム5を示した概念図である。閉塞部50は、開放位置P1から閉塞位置P2へ移動(並進移動又は回転移動)するものに限らず、かご側敷居13(即ち、乗りかご1)に固定されたものであってもよい。尚、
図8(A)は、乗場Hへの乗りかご1の到着前の状態を示し、
図8(B)は、乗場Hへの乗りかご1の到着時の状態を示す。
【0052】
具体例として、閉塞部50は、可撓性を有した舌片状のものであり、乗場Hへの乗りかご1の到着時に乗場側敷居62の内面62bに接触して撓曲できるように固定される。また、かご側接点51及び乗場側接点52は、閉塞部50及び乗場側敷居62のうちの、閉塞部50が撓曲したときに互いに向き合うことになる面にそれぞれ設けられる。
【0053】
第6変形例によれば、上記実施形態や他の変形例と同様、閉塞部50を利用したかご側接点51と乗場側接点52との接触により、乗りかご1と乗場Hとの間にアース用の導電径路を形成できる。よって、閉塞部50を利用した簡易な構成で、乗りかご1に対する除電が実現される。
【0054】
[2−7]他の変形例
上述した実施形態及び変形例において、乗場H側に閉塞部50を設け、当該閉塞部50の先端部50aに乗場側接点52を配置してもよい。この場合、乗場側接点52には、上述したかご側接点51の構成を適用できる。また、かご側接点51には、上述した乗場側接点52の構成を適用できる。この構成であっても、閉塞部50を利用したかご側接点51と乗場側接点52との接触により、乗りかご1と乗場Hとの間にアース用の導電径路を形成できる。よって、閉塞部50を利用した簡易な構成で、乗りかご1に対する除電が実現される。
【0055】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。