(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1方向において、前記第1板状部(31a)、前記第3板状部(34a)、前記第5板状部(35a)、前記第4板状部(36a)、前記第2板状部(37a)の順に並んでいる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱交換器。
前記第1方向において、前記第1板状部(31a)、前記第4板状部(134a)、前記第5板状部(135a)、前記第3板状部(136a)、前記第2板状部(37a)の順に並んでいる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本開示の熱交換器が採用された空気調和装置の実施形態について説明する。
【0067】
(1)空気調和装置の構成
空気調和装置1について図面を参照しながら説明する。
【0068】
図1は、本開示の一実施形態に係る熱交換器を室外熱交換器11として有する空気調和装置1の概略構成図である。
【0069】
空気調和装置1(ヒートポンプ装置の一例)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことにより、空調対象空間の冷房および暖房を行う装置である。空調対象空間は、例えば、オフィスビル、商業施設、住居等の建物内の空間である。なお、空気調和装置は、冷媒サイクル装置の一例に過ぎず、本開示の熱交換器は、他の冷媒サイクル装置、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、給湯器、床暖房装置等に使用されるものであってもよい。
【0070】
空気調和装置1は、
図1のように、主として、室外ユニット2と、室内ユニット9と、液冷媒連絡管4およびガス冷媒連絡管5と、室外ユニット2および室内ユニット9を構成する機器を制御する制御部3と、を有する。液冷媒連絡管4およびガス冷媒連絡管5は、室外ユニット2と室内ユニット9とを接続する冷媒連絡管である。空気調和装置1では、室外ユニット2と室内ユニット9とが、液冷媒連絡管4およびガス冷媒連絡管5を介して接続されることで、冷媒回路6が構成される。
【0071】
なお、
図1では、空気調和装置1は室内ユニット9を1台有するが、空気調和装置1は、液冷媒連絡管4およびガス冷媒連絡管5によって室外ユニット2に対して互いに並列に接続される複数の室内ユニット9を有してもよい。また、空気調和装置1は複数の室外ユニット2を有してもよい。また、空気調和装置1は、室外ユニット2と室内ユニット9とが一体に形成されている、一体型の空気調和装置であってもよい。
【0072】
(1−1)室外ユニット
室外ユニット2は、空調対象空間外、例えば、建物の屋上や建物の壁面近傍等に設置される。
【0073】
室外ユニット2は、主として、アキュムレータ7、圧縮機8、四路切換弁10、室外熱交換器11、膨張機構12、液側閉鎖弁13およびガス側閉鎖弁14、および室外ファン16を有している(
図1参照)。
【0074】
室外ユニット2は、冷媒回路6を構成する各種機器を接続する冷媒管として、吸入管17、吐出管18、第1ガス冷媒管19、液冷媒管20、および第2ガス冷媒管21を主に有する(
図1参照)。吸入管17は、四路切換弁10と圧縮機8の吸入側とを接続する。吸入管17には、アキュムレータ7が設けられている。吐出管18は、圧縮機8の吐出側と四路切換弁10とを接続する。第1ガス冷媒管19は、四路切換弁10と室外熱交換器11のガス側とを接続する。液冷媒管20は、室外熱交換器11の液側と液側閉鎖弁13とを接続する。液冷媒管20には、膨張機構12が設けられている。第2ガス冷媒管21は、四路切換弁10とガス側閉鎖弁14とを接続する。
【0075】
圧縮機8は、吸入管17から冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、図示しない圧縮機構で冷媒を圧縮して、圧縮した冷媒を吐出管18へと吐出する機器である。
【0076】
四路切換弁10は、冷媒の流向を切り換えることで、冷媒回路6の状態を、冷房運転の状態と、暖房運転の状態との間で変更する機構である。冷媒回路6が冷房運転の状態にある時には、室外熱交換器11が冷媒の放熱器(凝縮器)として機能し、室内熱交換器91が冷媒の蒸発器として機能する。冷媒回路6が暖房運転の状態にある時には、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能し、室内熱交換器91が冷媒の凝縮器として機能する。四路切換弁10が冷媒回路6の状態を冷房運転の状態とする場合には、四路切換弁10は、吸入管17を第2ガス冷媒管21と連通させ、吐出管18を第1ガス冷媒管19と連通させる(
図1の四路切換弁10内の実線参照)。四路切換弁10が冷媒回路6の状態を暖房運転の状態とする場合には、四路切換弁10は、吸入管17を第1ガス冷媒管19と連通させ、吐出管18を第2ガス冷媒管21と連通させる(
図1中の四路切換弁10内の破線参照)。
【0077】
室外熱交換器11(熱交換器の一例)は、内部を流れる冷媒と室外ユニット2の設置場所の空気(熱源空気)との間で熱交換を行わせる機器である。室外熱交換器11の詳細については後述する。
【0078】
膨張機構12は、冷媒回路6において室外熱交換器11と室内熱交換器91との間に配置される。本実施形態では、膨張機構12は、室外熱交換器11と液側閉鎖弁13との間の液冷媒管20に配置されている。なお、本空気調和装置1では、膨張機構12が室外ユニット2に設けられているが、これに代えて、膨張機構12は後述する室内ユニット9に設けられていてもよい。膨張機構12は、液冷媒管20を流れる冷媒の圧力や流量の調節を行う機構である。本実施形態では、膨張機構12は開度可変の電子膨張弁であるが、膨張機構12は感温筒式の膨張弁やキャピラリチューブであってもよい。
【0079】
アキュムレータ7は、流入する冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する気液分離機能を有する容器である。また、アキュムレータ7は、運転負荷の変動等に応じて発生する余剰冷媒の貯留機能を有する容器である。
【0080】
液側閉鎖弁13は、液冷媒管20と液冷媒連絡管4との接続部に設けられている弁である。ガス側閉鎖弁14は、第2ガス冷媒管21とガス冷媒連絡管5との接続部に設けられている弁である。液側閉鎖弁13およびガス側閉鎖弁14は、空気調和装置1の運転時には開かれている。
【0081】
室外ファン16(ファンの一例)は、図示しない室外ユニット2のケーシング内に外部の熱源空気を吸入して室外熱交換器11に供給し、室外熱交換器11において冷媒と熱交換した空気を室外ユニット2のケーシング外に排出するためのファンである。室外ファン16は、例えばプロペラファンである。
【0082】
(1−2)室内ユニット
室内ユニット9は、空調対象空間に設置されるユニットである。室内ユニット9は、例えば天井埋込式のユニットであるが、天井吊下式、壁掛式、または床置式のユニットであってもよい。また、室内ユニット9は、空調対象空間の外に設置されてもよい。例えば、室内ユニット9は、屋根裏、機械室、ガレージ等に設置されてもよい。この場合、室内熱交換器91において冷媒と熱交換した空気を、室内ユニット9から空調対象空間へと供給する空気通路が設置される。空気通路は、例えばダクトである。
【0083】
室内ユニット9は、室内熱交換器91および室内ファン92を主に有する(
図1参照)。
【0084】
室内熱交換器91では、室内熱交換器91を流れる冷媒と、空調対象空間の空気との間で熱交換が行われる。室内熱交換器91は、タイプを限定するものではないが、例えば、図示しない複数の伝熱管とフィンとを有するフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器91の一端は、冷媒配管を介して液冷媒連絡管4と接続される。室内熱交換器91の他端は、冷媒配管を介してガス冷媒連絡管5と接続される。
【0085】
室内ファン92は、室内ユニット9のケーシング(図示せず)内に空調対象空間内の空気を吸入して室内熱交換器91に供給し、室内熱交換器91において冷媒と熱交換した空気を空調対象空間へと吹き出す機構である。室内ファン92は、例えばターボファンである。ただし、室内ファン92のタイプは、ターボファンに限定されるものではなく適宜選択されればよい。
【0086】
(1−3)制御部
制御部3は、空気調和装置1を構成する各種機器の動作を制御する機能部である。
【0087】
制御部3は、例えば、室外ユニット2の室外制御ユニット(図示せず)と、室内ユニット9の室内制御ユニット(図示せず)とが、伝送線(図示せず)を介して通信可能に接続されて構成されている。室外制御ユニットおよび室内制御ユニットは、例えば、マイクロコンピュータや、マイクロコンピュータが実施可能な、空気調和装置1の制御用の各種プログラムが記憶されているメモリ等を有するユニットである。なお、
図1では、便宜上、室外ユニット2および室内ユニット9とは離れた位置に制御部3を描画している。
【0088】
なお、制御部3の機能は、室外制御ユニットおよび室内制御ユニットが協働することで実現される必要はない。例えば、制御部3の機能は、室外制御ユニットおよび室内制御ユニットのいずれか一方により実現されてもよいし、室外制御ユニットおよび室内制御ユニットとは異なる図示しない制御装置が制御部3の機能の一部または全部を実現してもよい。
【0089】
制御部3は、
図1に示されるように、圧縮機8、四路切換弁10、膨張機構12、室外ファン16および室内ファン92を含む、室外ユニット2および室内ユニット9の各種機器と電気的に接続されている。また、制御部3は、室外ユニット2および室内ユニット9に設けられた図示しない各種センサと電気的に接続されている。また、制御部3は、空気調和装置1のユーザが操作する図示しないリモコンと通信可能に構成されている。
【0090】
制御部3は、各種センサの計測信号や、図示しないリモコンから受信する指令等に基づいて、空気調和装置1の運転および停止や、空気調和装置1を構成する各種機器の動作を制御する。
【0091】
(2)室外熱交換器の構成
図面を参照しながら、室外熱交換器11の構成について説明する。
【0092】
図2は、室外熱交換器11の概略斜視図である。
図3は、室外熱交換器11の、後述する熱交換部27の部分拡大図である。
図4は、熱交換部27における後述するフィン29の扁平管28に対する取付状態を示す概略図である。
図5は、室外熱交換器11の概略構成図である。
図5に示した熱交換部27の矢印は、暖房運転時(室外熱交換器11が蒸発器として機能する時)の冷媒の流れを示している。
【0093】
なお、以下の説明において、向きや位置を説明するために、「上」、「下」、「左」、「右」、「前(前面)」、「後(背面)」等の表現を用いる場合がある。これらの表現は、特に断りの無い限り、
図2中に描画した矢印の方向に従う。なお、これらの方向や位置を表す表現は、説明の便宜上用いられるものであって、特記無き場合、室外熱交換器11全体や室外熱交換器11の各構成の向きや位置を記載の表現の向きや位置に特定するものではない。
【0094】
室外熱交換器11は、内部を流れる冷媒と空気との間で熱交換を行わせる機器である。
【0095】
室外熱交換器11は、分流器22と、複数の扁平管28を含む扁平管群28Gと、複数のフィン29と、液ヘッダ30(ヘッダの一例)と、ガスヘッダ70と、を主に有している(
図4および
図5参照)。本実施形態では、分流器22、扁平管28、フィン29、液ヘッダ30およびガスヘッダ70は、全て、アルミニウム製、または、アルミニウム合金製である。
【0096】
後述するように扁平管28と扁平管28に固定されるフィン29とは、熱交換部27を形成する(
図2および
図3参照)。室外熱交換器11は、1列の熱交換部27を有するものであり、空気流れ方向に複数の扁平管28が並んだものではない。室外熱交換器11では、熱交換部27の扁平管28とフィン29とにより形成される通風路を空気が流れることで、扁平管28を流れる冷媒と、通風路を流れる空気との間で熱交換が行われる。熱交換部27は、上下方向に並んだ、第1熱交換部27aと、第2熱交換部27bと、第3熱交換部27cと、第4熱交換部27dと、第5熱交換部27eと、に区画される(
図2参照)。
【0097】
(2−1)分流器
分流器22は、冷媒を分流させる機構である。また、分流器22は、冷媒を合流させる機構でもある。分流器22には、液冷媒管20が接続される。分流器22は、複数の分流管22a〜22eを有する。分流器22は、液冷媒管20から分流器22流入した冷媒を複数の分流管22a〜22e(冷媒配管の一例)に分流させて、液ヘッダ30内に形成されている複数の空間に導く機能を有する。また、分流器22は、液ヘッダ30から分流管22a〜22eを介して流入した冷媒を合流させて液冷媒管20へと導く機能を有する。具体的には、各分流管22a〜22eと、液ヘッダ30内の複数の空間とは、それぞれ、分岐液冷媒接続管49a〜49eを介して接続されている。
【0098】
(2−2)扁平管群
扁平管群28Gは、伝熱管群の例である。扁平管群28Gは、複数の伝熱管として、複数の扁平管28を含む。扁平管28は、
図3のように伝熱面となる扁平面28aを上下に有する扁平な伝熱管である。扁平管28には、
図3のように、冷媒が流れる冷媒通路28bが複数形成されている。例えば、扁平管28は、冷媒が流れる通路断面積が小さな冷媒通路28bが多数形成されている扁平多穴管である。これらの複数の冷媒通路28bは、本実施形態では空気流れ方向に並んで設けられている。なお、扁平管28の冷媒通路28bに垂直な断面における最大幅は、主ガス冷媒管接続部19aの外径の70%以上であってよく、85%以上であってもよい。
【0099】
室外熱交換器11では、
図5のように、液ヘッダ30側とガスヘッダ70側との間を水平方向に延びる扁平管28が、上下に並べて複数段配置されている。なお、本実施形態では、液ヘッダ30側とガスヘッダ70側との間を延びる扁平管28は、2箇所で曲げられて、扁平管28により構成される熱交換部27は平面視において略U字状に形成されている(
図2参照)。本実施形態では、複数の扁平管28は、上下に一定の間隔をあけて配置されている。
【0100】
(2−3)フィン
複数のフィン29は、室外熱交換器11の伝熱面積を増大するための部材である。各フィン29は、扁平管28の並べられている段方向に延びる板状の部材である。室外熱交換器11は、複数の水平方向に延びる扁平管28が上下方向に並べて配置される態様で使用される。したがって、室外熱交換器11が室外ユニット2に設置された状態では、各フィン29は上下方向に延びる。
【0101】
各フィン29には、複数の扁平管28を差し込めるように、
図4のように、扁平管28の差し込み方向に沿って延びる切り欠き29aが複数形成されている。切り欠き29aは、フィン29の延びる方向、および、フィン29の厚み方向と直交する方向に延びる。室外熱交換器11が室外ユニット2に設置された状態では、各フィン29に形成された切り欠き29aは水平方向に延びる。フィン29の切り欠き29aの形状は、扁平管28の断面の外形の形状にほぼ一致している。切り欠き29aは、フィン29に、扁平管28の配列間隔に対応する間隔を開けて形成されている。室外熱交換器11において、複数のフィン29は、扁平管28の延びる方向に沿って並べて配置される。複数のフィン29の、複数の切り欠き29aのそれぞれに扁平管28が差し込まれることで、隣り合う扁平管28の間が、空気が流れる複数の通風路に区画される。
【0102】
各フィン29は、扁平管28に対して空気流れ方向の上流側または下流側において、上下方向に連通した連通部29bを有している。本実施形態では、扁平管28に対して風上側にフィン29の連通部29bが位置している。
【0103】
(2−4)ガスヘッダおよび液ヘッダ
ガスヘッダ70および液ヘッダ30は、中空の部材である。
【0104】
図5に示すように、液ヘッダ30には各扁平管28の一方側の端部が接続され、ガスヘッダ70には各扁平管28の他方側の端部が接続される。室外熱交換器11は、液ヘッダ30およびガスヘッダ70の長手方向が鉛直方向(第2方向の一例)と概ね一致するように室外ユニット2の図示しないケーシング内に配置される。本実施形態では、室外熱交換器11の熱交換部27は、
図2のように平面視U字形状に形成されている。液ヘッダ30は、室外ユニット2の図示しないケーシングの左前方角の近傍に配置される(
図2参照)。ガスヘッダ70は、室外ユニット2の図示しないケーシングの右前方角の近傍に配置される(
図2参照)。
【0105】
(2−4−1)ガスヘッダ
ガスヘッダ70には、第1ガス冷媒管19におけるガスヘッダ70側の端部を構成する主ガス冷媒管接続部19aおよび分岐ガス冷媒管接続部19bが接続されている(
図5参照)。なお、特に限定されないが、主ガス冷媒管接続部19aの外径は、例えば、分岐ガス冷媒管接続部19bの外径の3倍以上であってよく、5倍以上であってもよい。
【0106】
主ガス冷媒管接続部19aの一端は、ガスヘッダ70の高さ方向における中間位置においてガス側内部空間25と連通するように、ガスヘッダ70に接続されている。
【0107】
分岐ガス冷媒管接続部19bの一端は、ガスヘッダ70の高さ方向における下端近傍においてガス側内部空間25と連通するように、ガスヘッダ70に接続されている。分岐ガス冷媒管接続部19bの他端は、主ガス冷媒管接続部19aに接続されている。分岐ガス冷媒管接続部19bは、主ガス冷媒管接続部19aよりも細い内径で、主ガス冷媒管接続部19aよりも下方においてガスヘッダ70に接続されることで、ガスヘッダ70の下端近傍に滞留している冷凍機油を、主ガス冷媒管接続部19aに引き込むことが可能であり、圧縮機8に戻すことが可能になっている。
【0108】
(2−4−2)液ヘッダ
液ヘッダ30の液側内部空間23は、複数のサブ空間23a〜23eに区画されている(
図5参照)。
【0109】
これらの複数のサブ空間23a〜23eは、上下方向に並んでいる。各サブ空間23a〜23eは、液ヘッダ30の液側内部空間23においては非連通状態となっている。
【0110】
各サブ空間23a〜23eには、分流器22が有する各分流管22a〜22eに接続された各分岐液冷媒接続管49a〜e(液冷媒配管の一例)が、1対1に接続されている。これにより、冷房運転状態では、各サブ空間23a〜23eに到達した冷媒は、各分岐液冷媒接続管49a〜eおよび各分流管22a〜22eを流れることで分流器22において合流する。また、暖房運転状態では、分流器22において分流された冷媒は、各分流管22a〜22eおよび各分岐液冷媒接続管49a〜eを流れることで、各サブ空間23a〜23eに供給されることになる。
【0111】
(3)室外熱交換器における冷媒の流れ
空気調和装置1が暖房運転を行うことで室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合には、液冷媒管20から分流器22に到達した気液二相状態の冷媒は、分流管22a〜22eを経て、液ヘッダ30の液側内部空間23を構成する各サブ空間23a〜23eに流入する。具体的には、分流管22aを流れた冷媒はサブ空間23aに、分流管22b流れた冷媒はサブ空間23bに、分流管22cを流れた冷媒はサブ空間23cに、分流管22dを流れた冷媒はサブ空間23dに、分流管22eを流れた冷媒はサブ空間23eに、それぞれ流れる。液側内部空間23のサブ空間23a〜23eに流入した冷媒は、各サブ空間23a〜23eに接続されている各扁平管28を流れる。各扁平管28を流れる冷媒は、空気と熱交換することで蒸発し、気相の冷媒となってガスヘッダ70のガス側内部空間25に流入することで、合流する。
【0112】
空気調和装置1が冷房運転またはデフロスト運転を行う際には、冷媒回路6を暖房運転時とは逆向きに冷媒が流れる。具体的には、第1ガス冷媒管19の主ガス冷媒管接続部19aおよび分岐ガス冷媒管接続部19bを介してガスヘッダ70のガス側内部空間25に高温の気相の冷媒が流入する。ガスヘッダ70のガス側内部空間25に流入した冷媒は、分流されて各扁平管28に流入する。各扁平管28に流入した冷媒は、各扁平管28を通過して、液ヘッダ30の液側内部空間23のサブ空間23a〜23eに流入する。液側内部空間23のサブ空間23a〜23eに流入した冷媒は、分流器22で合流し、液冷媒管20へと流出する。
【0113】
(4)液ヘッダの詳細
図6に、液ヘッダ30に対して分岐液冷媒接続管49a〜eが接続されている様子を示す側面視外観構成図を示す。
図7に、液ヘッダ30の分解斜視図を示す(なお、図中、二点鎖線の矢印は、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合の冷媒流れを示している。)。
図8に、液ヘッダ30の平面視断面図を示す。
図9に、液ヘッダ30に対して分岐液冷媒接続管49a〜eおよび扁平管28が接続されている様子を示す平面視断面図を示す。
図10に、液ヘッダ30の上端近傍部分における断面斜視図を示す。
【0114】
また、
図11に、第1液側部材31を後ろ側から見た概略図を示す。
図12に、第2液側部材32を後ろ側から見た概略図を示す。
図13に、第3液側部材33を後ろ側から見た概略図を示す。
図14に、第4液側部材34を後ろ側から見た概略図を示す。
図15に、第5液側部材35を後ろ側から見た概略図を示す。
図16に、第6液側部材36を後ろ側から見た概略図を示す。
図17に、第7液側部材37を後ろ側から見た概略図を示す。なお、これらの各図には、隣り合って配置される部材が有する各開口の位置関係を投影しつつ破線等で示している。
【0115】
液ヘッダ30は、第1液側部材31と、第2液側部材32と、第3液側部材33と、第4液側部材34と、第5液側部材35と、第6液側部材36と、第7液側部材37と、を有している。液ヘッダ30は、第1液側部材31と、第2液側部材32と、第3液側部材33と、第4液側部材34と、第5液側部材35と、第6液側部材36と、第7液側部材37とが互いにロウ付けにより接合されて構成されている。
【0116】
なお、第1液側部材31と、第3液側部材33と、第4液側部材34と、第5液側部材35と、第6液側部材36と、第7液側部材37とは、いずれも板厚が3mm以下で構成されていることが好ましい。また、第1液側部材31と、第2液側部材32と、第3液側部材33と、第4液側部材34と、第5液側部材35と、第6液側部材36と、第7液側部材37とは、いずれも、板厚方向の厚みが、鉛直方向の長さよりも短く、左右方向の長さよりも短い部材であることが好ましい。また、第1液側部材31と、第3液側部材33と、第4液側部材34と、第5液側部材35と、第6液側部材36と、第7液側部材37とは、板厚方向である積層方向(第1方向の一例)に積層されている。
【0117】
液ヘッダ30は、平面視における外形が、扁平管28の接続箇所を1つの辺として有する略四角形状となるように構成されている。
【0118】
(4−1)第1液側部材
第1液側部材31は、主に、後述する第7液側部材37と共に液ヘッダ30の外形の周囲を構成する部材である。第1液側部材31は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0119】
第1液側部材31は、液側扁平管接続板31a(第1板状部の一例)と、第1液側外壁31bと、第2液側外壁31cと、第1液側爪部31dと、第2液側爪部31eと、を有している。
【0120】
特に限定されないが、本実施形態の第1液側部材31は、圧延により得られる1枚の板金を液ヘッダ30の長手方向を折り目とした折り曲げ加工により形成することができる。この場合、第1液側部材31の各部分の板厚は、一様である。
【0121】
液側扁平管接続板31aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状の部分である。液側扁平管接続板31aには、上下方向に並んで配置された複数の液側扁平管接続開口31xが形成されている。各液側扁平管接続開口31xは、液側扁平管接続板31aの厚み方向に貫通した開口である。この液側扁平管接続開口31xには、扁平管28の一端が完全に通過するように扁平管28が挿入された状態で、扁平管28がロウ付けにより接合される。ロウ付け接合された状態では、液側扁平管接続開口31xの内周面の全体と扁平管28の外周面の全体とは互いに接した状態となる。ここで、液側扁平管接続板31aを含む第1液側部材31の厚みは、例えば、1.0mm以上2.0mm以下程度に比較的薄く形成されているため、ガス側扁平管接続開口71xの内周面の板厚方向における長さを短くすることができている。このため、ロウ付けによる接合の前段階において、扁平管28を液側扁平管接続開口31xに挿入する作業を行う際に、液側扁平管接続開口31xの内周面と扁平管28の外周面との間で生じる摩擦を小さく抑え、挿入作業を容易にすることが可能となっている。
【0122】
第1液側外壁31bは、液側扁平管接続板31aの左側(室外ユニット2の外側、ガスヘッダ70とは反対側)の端部の前側の面から、前側に向けて延び出した平面形状部分である。
【0123】
第2液側外壁31cは、液側扁平管接続板31aの右側(室外ユニット2の内側、ガスヘッダ70側)の端部の前側の面から、前側に向けて延び出した平面形状部分である。
【0124】
第1液側爪部31dは、第1液側外壁31bの前側端部から、右側に向けて延びだした部分である。第2液側爪部31eは、第2液側外壁31cの前側端部から、左側に向けて延びだした部分である。
【0125】
第1液側爪部31dと第2液側爪部31eとは、平面視における第1液側部材31の内側に第2液側部材32、第3液側部材33、第4液側部材34、第5液側部材35、第6液側部材36、第7液側部材37を配置させる前の状態では、それぞれ第1液側外壁31bと第2液側外壁31cの延長上に延びた状態となっている。そして、平面視における第1液側部材31の内側に第2液側部材32、第3液側部材33、第4液側部材34、第5液側部材35、第6液側部材36、第7液側部材37を配置させた状態で、第1液側爪部31dと第2液側爪部31eとを互いに近づくように折り曲げることで、第2液側部材32と第3液側部材33と第4液側部材34と第5液側部材35と第6液側部材36と第7液側部材37とが第1液側部材31によってカシメられることで、互いに固定される。そして、この状態で、炉中等でロウ付けが行われることで、互いの部材がロウ付けによる接合されて完全に固定される。
【0126】
(4−2)第2液側部材
第2液側部材32は、板状のベース部32a、および、ベース部32aから液側扁平管接続板31a側に突出した凸部32bを複数有している。第2液側部材32は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されていないものであってよい。
【0127】
ベース部32aは、液側扁平管接続板31aと平行に広がっており、扁平管28が延びる方向を板厚方向とする板状の形状を有している。ベース部32aの左右方向の幅は、液側扁平管接続板31aの左右方向の幅のうち両端部を除いた部分の幅と同じである。ベース部32aには、凸部32bが設けられている位置以外の位置において、扁平管28と1対1に対応するように、上下方向に並んで設けられた複数の連通穴32xが形成されている。連通穴32xは、後ろ側から見た場合に、扁平管28の端部と概ね重複する形状となっている。
【0128】
凸部32bは、ベース部32aのうち、隣り合う連通穴32xの間から後ろ側に向けて、液側扁平管接続板31aの前側の面に当たるまで水平方向に伸び出している。これにより、第1液側部材31の液側扁平管接続板31aの前側の面と、第1液側部材31の第1液側外壁31bおよび第2液側外壁31cと、第2液側部材32において上下に隣り合う凸部32bと、第2液側部材32のベース部32aの後ろ側の面のうちの連通穴32x以外の部分と、によって囲まれた挿入スペース32sが形成されている。この挿入スペース32sは、液ヘッダ30の長手方向に複数並ぶようにして設けられている。挿入スペース32sには、扁平管28の端部が位置する。なお、凸部32bの前後方向の長さは、液ヘッダ30を構成する第1液側部材31、第3液側部材33、第4液側部材34、第5液側部材35、第6液側部材36、第7液側部材37のいずれの板厚よりも長くなるように調節されている。これにより、液ヘッダ30に対する扁平管28の挿入程度に誤差が生じたとしても、凸部32bの前後方向の長さの範囲内であれば、液ヘッダ30として完成させた際の冷媒の流れにおいて閉塞箇所や冷媒が流れ難い箇所が生じる等といった問題が生じにくい。また、ロウ付け接合時にロウ材が毛細管現象により移動して扁平管28の冷媒通路28bを塞いでしまうことを抑制することも可能になる。
【0129】
(4−3)第3液側部材
第3液側部材33は、第2液側部材32のベース部32aの前側(分岐液冷媒接続管49a〜eと液ヘッダ30との接続位置側)の面に面して接するように積層された部材である。この第3液側部材33の左右の長さは、第2液側部材32の左右の長さと同様である。第3液側部材33は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0130】
第3液側部材33(第6部材の一例)は、第3内部板33a(第6板状部の一例)と、複数の分流開口33x(第5開口の一例)と、を有している。
【0131】
第3内部板33aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。
【0132】
複数の分流開口33xは、上下方向に並んで配置されており、第3内部板33aの板厚方向に貫通した開口である。各分流開口33xは、本実施形態では、第3内部板33aにおける左右方向の中央近傍に形成されている。また、各分流開口33xは、後ろ側から見た場合に、第2液側部材32の各連通穴32xと重複しており、互いに連通した状態となっている。これにより、後述する上昇空間34zを流れる冷媒を、各分流開口33xに向けて分岐して流し、各分流開口33xに対応するように接続された各扁平管28に対して冷媒を分流させることが可能になっている。
【0133】
なお、第3内部板33aの前側の面のうち分流開口33xが形成されている部分以外の面は、後述する上昇空間34zの輪郭を形成している。
【0134】
(4−4)第4液側部材
第4液側部材34は、第3液側部材33の第3内部板33aの前側(分岐液冷媒接続管49a〜eと液ヘッダ30との接続位置側)の面に面して接するように積層された部材である。この第4液側部材34の左右の長さは、第3液側部材33の左右の長さと同様である。第4液側部材34は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されていないものであってよい。
【0135】
第4液側部材34(第3部材の一例)は、第4内部板34a(第3板状部の一例)と、第1貫通部分34o(第1開口の一例)と、を有している。
【0136】
第4内部板34aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。
【0137】
第1貫通部分34oは、第4内部板34aにおいて板厚方向に貫通するように形成された開口であり、導入空間34x(第1領域の一例)と、ノズル34y(第2領域の一例)と、上昇空間34z(第3領域の一例)と、を有している。導入空間34xとノズル34yと上昇空間34zとは、本実施形態では、下から順に鉛直方向に並ぶようにして設けられている。本実施形態では、導入空間34xとノズル34yと上昇空間34zの前後方向の幅は同じである。
【0138】
導入空間34xとノズル34yと上昇空間34zとは、第3液側部材33の第3内部板33aの前側の面と、後述する第5液側部材35の第5内部板35aの後ろ側の面と、で前後方向に挟まれた空間である。
【0139】
導入空間34xは、第3液側部材33の第3内部板33aのうちの壁部33aaに面しており、後ろ側から見た場合に分流開口33xとは重複しておらず、分流開口33xとは連通していない。なお、後ろ側から見た場合に、導入空間34xは、後述する第5液側部材35の第2連絡開口35xと重複しており、第2連絡開口35xと連通している。このように、導入空間34xの後側は、第3内部板33aの壁部33aaで覆われているため、導入空間34xに流入した気相冷媒と液相冷媒とは、壁部33aaに当たることで混合され、ノズル34yには気相冷媒と液相冷媒とが混合した状態の冷媒を送ることが可能になっている。
【0140】
ノズル34yは、第3液側部材33の第3内部板33aに面しており、後ろ側から見た場合に分流開口33xとは重複しておらず、分流開口33xとは連通していない。なお、ノズル34yは、後述する第5液側部材35の第5内部板35aに面しており、後ろ側から見た場合に、第2連絡開口35x、戻り流路35y、往き流路35zとは重複しておらず、これらとは互いに連通していない。
【0141】
上昇空間34zは、第3液側部材33の第3内部板33aと面しており、後ろ側から見た場合に複数の分流開口33xと重複しており、複数の分流開口33xと連通している。なお、上昇空間34zは、後述する第5液側部材35の第5内部板35aに面しており、後ろ側から見た場合に、第2連絡開口35xとは重複しておらず、戻り流路35yおよび往き流路35zとは重複している。また、上昇空間34zは、第2連絡開口35xとは連通しておらず、戻り流路35yおよび往き流路35zとは連通している。なお、上昇空間34zにおける液ヘッダ30の長手方向の長さは、導入空間34xにおける液ヘッダ30の長手方向の長さよりも長く、ノズル34yにおける液ヘッダ30の長手方向の長さよりも長い。これにより、上昇空間34zを介して連通する扁平管28の本数を増大させることが可能になっている。
【0142】
なお、上昇空間34zは、液ヘッダ30の長手方向に沿って吹き上がるように流れる冷媒流路を、第3液側部材33の第3内部板33aの前側の面と、後述する第5液側部材35の第5内部板35aの後ろ側の面と、第4液側部材34の第4内部板34aの第1貫通部分34oの左右の縁の厚み部分と、によって構成することができている。このため、製造に伴う流路断面積の誤差が生じにくく、安定的に上昇して冷媒を流すことが可能な液ヘッダ30を得やすい構造となっている。
【0143】
ここで、左右方向(液ヘッダ30の長手方向に垂直であり、扁平管28が延び出す方向にも垂直である方向(第3方向の例))におけるノズル34yの長さは、導入空間34xにおける左右方向の長さよりも短く、且つ、上昇空間34zにおける左右方向の長さよりも短くなるように構成されている。これにより、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として用いられる場合に、導入空間34xに送られた冷媒は、ノズル34yを通過する際に流速が高められ、上昇空間34zの上方にまで到達させやすくなっている。なお、上昇空間34zの左右方向の幅は、導入空間34xの左右方向の幅よりも狭く、上昇空間34zにおける冷媒の通過断面積を小さくすることができているため、上昇空間34zを上方に向けて流れる冷媒の流速を高く維持することが可能になっている。
【0144】
ここで、ノズル34yは、第4内部板34aにおける左右方向の中心近傍に設けられている。また、液ヘッダ30の長手方向に垂直であって第4内部板34aの板厚方向にも垂直な方向である左右方向において、ノズル34yの幅は、第4内部板34aの板厚よりも長くなるように設けられている。これにより、板厚に対する開口幅の大きさを大きくすることができる。このため、例えば、第4内部板34aにおいて第1貫通部分34oをパンチ加工により形成する場合に、ノズル34yに対応するパンチ部分にかかる負荷を軽減し、当該パンチ部分の破損を抑制させることが可能になっている。
【0145】
また、前後方向から見た場合に、分岐液冷媒接続管49a〜49eは、導入空間34xの左右方向における中心に接続されている。そして、前後方向から見た場合に、導入空間34xと対応する分岐液冷媒接続管49a〜49eとの接続箇所と、ノズル34yと、上昇空間34zとは、鉛直方向に並んで配置されている。このため、分岐液冷媒接続管49a〜49eを流れた冷媒は、後述の外部液管接続開口37xと第1連絡開口36xと第2連絡開口35xとを介して導入空間34xの左右方向における中心に流入し、左右方向への移動を伴うことなくまたは左右方向にあまり移動しないで、導入空間34xからノズル34yを介して上昇空間34zに向けて鉛直上方に向けて吹き上がることができる。なお、例えば、導入空間34xの左寄りの領域冷媒が流入する構造であれば、ノズル34yを通過する冷媒は右上方に向けて偏って流れてしまい、導入空間34xの右寄りの領域冷媒が流入する構造であれば、ノズル34yを通過する冷媒は左上方に向けて偏って流れてしまうおそれがあるが、本実施形態の構造では、このような偏りを抑制することが可能になっている。
【0146】
なお、後ろ側から見た場合において、第3液側部材33の複数の分流開口33xは、いずれも、ノズル34yを液ヘッダ30の長手方向に仮想的に延ばして得られる仮想領域(
図14に記載の仮想線VLで左右方向から挟まれた領域)の範囲内において重なるように位置している。室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合に、ノズル34yを通過した冷媒は、流速が高まり、上方に向けて流れるが、上昇空間34zのうちノズル34yよりも僅かに上方の左右の空間では、液冷媒が滞留しがちになる。これに対して、複数の分流開口33xとノズル34yの配置関係を上記のようにすることで、ある上昇空間34zと連通している分流開口33xのうち最も下に位置する分流開口33xに対して、液冷媒が集中的に流れることを避けることが可能となる。
【0147】
(4−5)第5液側部材
第5液側部材35は、第4液側部材34の第4内部板34aの前側(分岐液冷媒接続管49a〜eと液ヘッダ30との接続位置側)の面に面して接するように積層された部材である。この第5液側部材35の左右の長さは、第4液側部材34の左右の長さと同様である。第5液側部材35は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0148】
第5液側部材35(第5部材の一例)は、第5内部板35a(第5板状部の一例)と、第2連絡開口35x(第7開口の一例)と、戻り流路35y(第4開口の一例)と、往き流路35z(第3開口の一例)と、を有している。
【0149】
第5内部板35aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。
【0150】
第2連絡開口35xと、戻り流路35yと、往き流路35zとは、下から順に並んで配置された独立した開口であり、いずれも第5内部板35aの板厚方向に貫通した開口である。
【0151】
第2連絡開口35xは、後ろ側から見た場合に、第4液側部材34の第1貫通部分34oのうちの導入空間34xと重複しており、互いに連通した状態となっている。また、第2連絡開口35xは、後ろ側から見た場合に、後述する第6液側部材36の第1連絡開口36xと重複しており、互いに連通した状態となっている。第2連絡開口35xは、後ろ側から見た場合に、第4液側部材34の第1貫通部分34oのうちのノズル34yや上昇空間34zとは重複しておらず、連通もしていない。また、第2連絡開口35xは、後ろ側から見た場合に、後述する第6液側部材36の下降空間36yとは重複しておらず、連通もしていない。
【0152】
戻り流路35yは、後ろ側から見た場合に、第4液側部材34の第1貫通部分34oのうちの上昇空間34zの下端近傍部分と重複しており、上昇空間34zの下端近傍部分と互いに連通した状態となっている。なお、戻り流路35yは、後ろ側から見た場合に、ノズル34yとは重複しておらず、ノズル34yとは連通していない。
【0153】
往き流路35zは、後ろ側から見た場合に、第4液側部材34の第1貫通部分34oのうちの上昇空間34zの上端近傍部分と重複しており、上昇空間34zの上端近傍部分と互いに連通した状態となっている。なお、本実施形態では、液ヘッダ30を各部材の積層方向から見た場合に、往き流路35zの面積は、戻り流路35yの面積よりも大きく形成されている。具体的には、本実施形態では、往き流路35zにおける液ヘッダ30の長手方向の幅が、戻り流路35yにおける液ヘッダ30の長手方向の幅よりも長く形成されている。これにより、上昇空間34zを上昇して上端近傍まで到達した冷媒が、往き流路35zを通過しやすくなっている。また、本実施形態では、液ヘッダ30を各部材の積層方向から見た場合に、戻り流路35yの面積は、往き流路35zの面積よりも小さく形成されている。具体的には、本実施形態では、戻り流路35yにおける液ヘッダ30の長手方向の幅が、往き流路35zにおける液ヘッダ30の長手方向の幅よりも短く形成されている。これにより、上昇空間34zから戻り流路35yへ冷媒が逆流することを抑制できている。
【0154】
(4−6)第6液側部材
第6液側部材36は、第5液側部材35の第5内部板35aの前側(分岐液冷媒接続管49a〜eと液ヘッダ30との接続位置側)の面に面して接するように積層された部材である。この第6液側部材36の左右の長さは、第5液側部材35の左右の長さと同様である。第6液側部材36は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されていないものであってよい。
【0155】
第6液側部材36(第4部材の一例)は、第6内部板36a(第4板状部の一例)と、第1連絡開口36x(第6開口の一例)と、下降空間36y(第2開口の一例)と、を有している。
【0156】
第6内部板36aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。
【0157】
第1連絡開口36xと、下降空間36yとは、下から順に並んで配置された独立した開口であり、いずれも第6内部板36aの板厚方向に貫通した開口である。
【0158】
第1連絡開口36xは、後ろ側から見た場合に、第5液側部材35の第2連絡開口35xと重複しており、互いに連通した状態となっている。また、第1連絡開口36xは、後ろ側から見た場合に、後述する第7液側部材37の外部液管接続開口37xと重複しており、互いに連通した状態となっている。
【0159】
下降空間36yは、後ろ側から見た場合に、第5液側部材35の第5内部板35aの一部と戻り流路35yと往き流路35zと重複しており、戻り流路35yおよび往き流路35zと互いに連通した状態となっている。なお、下降空間36yは、後ろ側から見た場合に、後述する第7液側部材37の外部液管接続開口37xとは重複しておらず、互いに連通もしていない。
【0160】
液ヘッダ30の長手方向において、下降空間36yの長さは、上昇空間34zの長さと同じであり、上端近傍において往き流路35zを介して連通し、下端近傍において戻り流路35yを介して連通している。なお、下降空間36yの左右方向の幅は、上昇空間34zにおける左右方向の幅よりも大きい。これにより、上昇空間34zにおいては冷媒が上昇して流れる際の流速の低下を抑制しつつ、下降空間36yにおいては冷媒が通過する際の圧力損失を低減させることが可能になっている。
【0161】
(4−7)第7液側部材
第7液側部材37は、第6液側部材36の第6内部板36aの前側(分岐液冷媒接続管49a〜eと液ヘッダ30との接続位置側)の面に面して接するように積層された部材である。この第7液側部材37の左右の長さは、第6液側部材36の左右の長さと同様である。第7液側部材37は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0162】
第7液側部材37(第2部材の一例)は、液側外部板37a(第2板状部の一例)と、外部液管接続開口37xと、を有している。
【0163】
液側外部板37aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。
【0164】
外部液管接続開口37xは、液側外部板37aの板厚方向に貫通した開口である。外部液管接続開口37xは、後ろ側から見た場合に、第6液側部材36の第1連絡開口36xの一部と重複しており、互いに連通した状態となっている。なお、外部液管接続開口37xは、後ろ側から見た場合に、第6液側部材36の下降空間36yとは重複しておらず、連通もしていない。
【0165】
外部液管接続開口37xは、各分岐液冷媒接続管49a〜eのいずれか1つが挿入されて接続される円形の開口である。これにより、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合に、各分岐液冷媒接続管49a〜eを流れる冷媒は、第1連絡開口36xと第2連絡開口35xとを介して、第1貫通部分34oのうちの導入空間34xに送られる。
【0166】
なお、第7液側部材37は、前側の面が、第1液側部材31の第1液側爪部31dおよび第2液側爪部31eと接してカシメられている。
【0167】
(4−8)サブ空間の形状の繰り返しについて
なお、上記では、液ヘッダ30の液側内部空間23を構成する複数のサブ空間23a〜23eのうち、分岐液冷媒接続管49a〜49eのうちの1本が接続された1つのサブ空間23a〜23eに着目して説明している。
【0168】
したがって、例えば、第7液側部材37においては、各分岐液冷媒接続管49a〜49eに対応した各外部液管接続開口37xが、1枚の液側外部板37aにおいて液ヘッダ30の長手方向に並んで形成されていることになる。同様に、第4液側部材34においては、導入空間34xとノズル34yと上昇空間34zを含む第1貫通部分34oが、1枚の第4内部板34aにおいて液ヘッダ30の長手方向に並んで形成されていることになる。
【0169】
(5)液ヘッダにおける冷媒の流れ
以下では、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合の液ヘッダ30における冷媒の流れを説明する。なお、室外熱交換器11が冷媒の凝縮器または放熱器として機能する場合には、蒸発器として機能する場合とは概ね逆の流れになる。
【0170】
まず、分流器22において複数の分流管22a〜22eに分流して流れた液冷媒または気液二相状態の冷媒は、分岐液冷媒接続管49a〜eを流れることで、第7液側部材37の液側外部板37aの外部液管接続開口37xを通過して、液ヘッダ30の各サブ空間23a〜23eに流入する。
【0171】
具体的には、各サブ空間23a〜23eにおける第1連絡開口36xに流入する。
【0172】
第1連絡開口36xに流入した冷媒は、第2連絡開口35xを介して、第4液側部材34の第1貫通部分34oのうちの導入空間34xに流入する。
【0173】
導入空間34xに流入した冷媒は、ノズル34yを通過する際に流速が高められて、上昇空間34zを上昇する。なお、上昇空間34zの左右方向の幅は導入空間34xよりも狭められていることにより、圧縮機8の駆動周波数が小さい場合等のように冷媒回路6の冷媒循環量が少ない状態であっても、上昇空間34zに流入した冷媒を、上昇空間34zの上端近傍に位置する分流開口33xにまで到達させやすくなっている。ここで、上昇空間34zに流入した冷媒は、各分流開口33xに向けて分流して流れながら、上昇空間34zの上端近傍に向かう。なお、圧縮機8の駆動周波数が大きい場合等のように冷媒回路6の冷媒循環量が多い状態では、上昇空間34zの上端近傍に到達する冷媒が多くなり、往き流路35zを介して下降空間36yにまで冷媒が到達する。下降空間36yに到達した冷媒は、下降し、戻り流路35yを介して再度、上昇空間34zの下方近傍であって、ノズル34yの上方の空間に戻される。ここで、上昇空間34zでは、ノズル34yを通過することで冷媒の流速が増すため、上昇空間34zの戻り流路35y近傍部分は、下降空間36yの戻り流路35y近傍部分よりも静圧が小さくなる。このため、下降空間36yを下降した冷媒は、戻り流路35yを介して上昇空間34zに戻されやすくなっている。このようにして、上昇空間34zと往き流路35zと下降空間36yと戻り流路35yにより冷媒を循環させることが可能になっているため、上昇空間34zを上昇して流れる際にいずれかの分流開口33xに分岐して流れなかった冷媒が生じたとしても、再度、往き流路35zと下降空間36yと戻り流路35yを介して上昇空間34zに戻すことができるため、いずれかの分流開口33xに流しやすくなっている。
【0174】
以上のようにして、分流開口33xに分流して流れた冷媒は、分流された状態を維持したままで、挿入スペース32sを介して、各扁平管28に流入する。
【0175】
(6)実施形態の特徴
(6−1)
本実施形態の室外熱交換器11の液ヘッダ30では、ノズル34yの左右方向の長さが、導入空間34xの左右方向の長さよりも短く、上昇空間34zの左右方向の長さよりも短い。このため、液ヘッダ30の長手方向である冷媒通過方向に対する流路断面積は、ノズル34yが、導入空間34xよりも小さく、上昇空間34zよりも小さい。
【0176】
このため、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合において、ノズル34yを通過する冷媒は、流速を高めて上昇空間34zに流入する。これにより、上昇空間34zに連通する複数の分流開口33xのうち、ノズル34yからより遠く上方に離れて位置する分流開口33xに対しても、十分に冷媒を導くことが可能になる。これにより、同じ上昇空間34zに連通している複数の扁平管28同士の間での冷媒の偏流を小さく抑えることが可能になる。
【0177】
しかも、以上のように、扁平管28が並ぶ方向である液ヘッダ30の長手方向に沿って冷媒を吹き上げるための流路を狭める構造を、1枚の第4液側部材34によって実現させることが可能になっている。したがって、従来の液ヘッダのように、内部空間を、液ヘッダの長手方向の一方側と他方側とに仕切りつつ、ノズルが形成されている板状部材を、内部空間を形成するための部材とは別の新たな部材として設ける必要が無くなる。
【0178】
また、本実施形態の液ヘッダ30では、各部材を単に板厚方向に積層させるだけで、上記構造を実現させることができるため、製造が容易である。
【0179】
(6−2)
本実施形態の室外熱交換器11の液ヘッダ30では、ノズル34yから上昇空間34zに流れた冷媒は、上方に向かう冷媒の流速が高められているため、上昇空間34zの上方において連通している分流開口33xに対しても冷媒を供給することが可能になる。さらに、上昇空間34zの左右方向の幅が、導入空間34xの左右方向の幅よりも狭く、上昇空間34zの冷媒通過面積が小さくされていることから、冷媒回路6における冷媒の循環量が少ない場合においても、上昇空間34zを流れる冷媒の上方の冷媒流速の低下が抑制され、上方の分流開口33xに対しても十分に冷媒を供給することが可能になっている。
【0180】
そして、上昇空間34zは、上端近傍において、往き流路35zを介して下降空間36yと連通している。さらに、下降空間36yは、下端近傍において、戻り流路35yを介して上昇空間34zと連通している。このため、冷媒回路6における冷媒の循環量が多く、上昇空間34zの上端近傍に冷媒が多く供給される状況においても、往き流路35zと下降空間36yと戻り流路35yを介して、再び、上昇空間34zに冷媒を戻し、分流開口33xに冷媒を導くことが可能になっている。
【0181】
以上により、室外熱交換器11の施工時の液ヘッダ30の長手方向が鉛直方向である場合であっても、上下方向における扁平管28の間での冷媒の偏流を抑制することができる。
【0182】
(6−3)
本実施形態の室外熱交換器11の液ヘッダ30では、扁平管28は、下降空間36yに近い側ではなく、上昇空間34zに近い側に接続されている。このため、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合において、上昇空間34zを流れる冷媒は、複数の分流開口33x側に引き込まれるように流れやすいため、戻り流路35yにおける冷媒の逆流(上昇空間34zから戻り流路35yを介して下降空間36yに向かう流れ)を抑制させることができる。
【0183】
(6−4)
本実施形態の室外熱交換器11の液ヘッダ30では、分岐液冷媒接続管49a〜49eと、導入空間34xとが、第6液側部材36の第1連絡開口36xと第5液側部材35の第2連絡開口35xとを介して連通している。
【0184】
このため、液ヘッダ30内での冷媒の循環を実現させるために設けられている、往き流路35zと戻り流路35yが形成されている第5液側部材35と、下降空間36yが形成されている第6液側部材36と、を流用して、分岐液冷媒接続管49a〜49eと導入空間34xとを連通させることが可能になっている。
【0185】
(6−5)
本実施形態の室外熱交換器11の液ヘッダ30では、第1液側部材31と、第3液側部材33と、第4液側部材34と、第5液側部材35と、第6液側部材36と、第7液側部材37とは、いずれも板厚が3mm以下である。このため、各部材における板厚方向に貫通した開口を、プレス加工により容易に形成することができる。
【0186】
(6−6)
従来の円筒形状のヘッダでは、扁平形状の伝熱管である扁平管の端部の全体をヘッダの内部空間に位置させると、円筒形状のヘッダ内に扁平管が大きく入り込むことになり、扁平管のうち円筒形状のヘッダ内に位置する部分の上下において冷媒が滞留しがちな無駄なスペースが生じてしまっている。また、円筒形状のヘッダの内径は、少なくとも扁平管の端部の全体を包含する大きさであることが必要になるため、円筒形状のヘッダ内の空間が大きくなりがちであり、ヘッダ内において軸方向に冷媒を流す場合における通過断面積が大きくなり、冷媒の流速を上げることが難しい。この傾向は、特に、扁平管の断面の長手方向の長さを長く形成した場合に顕著になってしまう。
【0187】
これに対して、本実施形態の液ヘッダ30は、扁平管28の接続箇所が扁平管28の長手方向に垂直な方向に広がった面となっており、平面視において略矩形に構成されている。このため、円筒形状のヘッダにおける上記問題が生じにくい形状とすることができている。また、扁平管28が挿入される挿入スペース32sと上昇空間23zとは、第2液側部材32が有する板状のベース部32aと第3液側部材33が有する第3内部板33aとによって、仕切られていることから、冷媒が滞留してしまうような無駄なスペースを生じにくい。また、液ヘッダ30の長手方向に冷媒を流す上昇空間34zの流路断面積大きさは、板状の部材の板厚や開口の大きさを調節するだけで容易に調節することが可能であり、冷媒の通過断面積を小さくして冷媒の流速を上げることも可能になっている。
【0188】
(7)変形例
(7−1)変形例A
上記実施形態では、上昇空間34zに対して、往き流路35zと下降空間36yと戻り流路35yとが、扁平管28が接続されている側とは反対側である液ヘッダ30を例に挙げて説明した。
【0189】
これに対して、液ヘッダとしては、例えば、
図18に示すように、上昇空間136zに対して、往き流路135yと下降空間134xと戻り流路135xとが、扁平管28が接続されている側に設けられた液ヘッダ130としてもよい。
【0190】
なお、液ヘッダ130(ヘッダの一例)において、第1液側部材31、第2液側部材32、第3液側部材33、第7液側部材37については、上記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0191】
液ヘッダ130は、上記実施形態の第4液側部材34、第5液側部材35、第6液側部材36の代わりに、第8液側部材134(第4部材の一例)、第9液側部材135(第5部材の一例)、第10液側部材136(第3部材の一例)を有している。
【0192】
第8液側部材134は、第3液側部材33に接するように配置されており、第8内部板134a(第4板状部の一例)と、下降空間134x(第2開口の一例)と、を有している。下降空間134xは、複数の分流開口33xと連通している。
【0193】
第9液側部材135は、第8液側部材134に接するように配置されており、第9内部板135a(第5板状部の一例)と、戻り流路135x(第4開口の一例)と、往き流路135y(第3開口の一例)と、を有している。なお、往き流路135yと戻り流路135xとの形状や関係は、上記実施形態における往き流路35zと戻り流路35yの形状や関係と同様であり、往き流路135yは、上昇空間136zの上端近傍と下降空間134xの上端近傍とを連通させており、戻り流路135xは、上昇空間136zの下端近傍と下降空間134xの下端近傍とを連通させている。
【0194】
第10液側部材136は、第9液側部材135に接するように配置されており、第10内部板136a(第3板状部の一例)と、第1貫通部分136o(第1開口の一例)と、を有している。第1貫通部分136oは、下方から順に、導入空間136x(第1領域の一例)と、ノズル136y(第2領域の一例)と、上昇空間136z(第3領域の一例)と、を有している。なお、導入空間136xとノズル136yと上昇空間136zの形状や関係は、上記実施形態における導入空間34xとノズル34yと上昇空間34zの形状や関係と同様である。ここで、導入空間34xは、第7液側部材37の外部液管接続開口37xと連通している。
【0195】
以上の構造において、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合において、分岐液冷媒接続管49a〜49eを介して液ヘッダ130に流入した冷媒は、導入空間136xに流入する。導入空間136xに送られた冷媒は、ノズル136yにおいて流速を高められて、上昇空間136zを上昇する。上昇空間136zの上端近傍に到達した冷媒は、往き流路135yを介して下降空間134xに到達する。下降空間134xに到達した冷媒は、下降しながら、複数の分流開口33xに分岐して流れる。分流開口33xに流れることなく下降空間134xの下端近傍に到達した冷媒は、戻り流路135xを介して再度上昇空間136zに導かれ、循環する。
【0196】
以上の液ヘッダ130においても、上記実施形態と同様に、複数の扁平管28が並ぶ方向に冷媒を流すことが可能である。
【0197】
(7−2)変形例B
上記実施形態では、室外熱交換器11の液ヘッダ30では、往き流路35zと下降空間36yと戻り流路35yが設けられることで、液ヘッダ30内部で冷媒が循環して流れるように構成されている場合を例に挙げて説明した。
【0198】
これに対して、液ヘッダは、内部において冷媒を循環させるものに限られず、例えば、
図19に示すように、上記実施形態の第5液側部材35と第6液側部材36とが省略され、積層された第2液側部材32と第3液側部材33と第4液側部材34と第7液側部材37とが第1液側部材31によってカシメられた液ヘッダ230であってもよい。
【0199】
ここでは、第7液側部材37の外部液管接続開口37xと、第4液側部材34の導入空間34xとが直接連通し、上昇空間34zの前側は第7液側部材37の液側外部板37aによって覆われることになる。
【0200】
この形態では、液ヘッダ230内で冷媒が循環することは無いものの、第4液側部材34の第1貫通部分34oにおいて、扁平管28が並ぶ方向に冷媒を流すことが可能になる点は、上記実施形態と同様である。
【0201】
(7−3)変形例C
上記実施形態では、液ヘッダ30を構成する第3液側部材33と第4液側部材34と第5液側部材35からなる複数の板状部で冷媒を循環して流す構造が形成されている場合を例に挙げて説明した。
【0202】
これに対して、上記液ヘッダ30の代わりに、複数の板状部ではなく1枚の板状部内で冷媒が循環可能な構造を採用した液ヘッダ40を採用してもよい。
【0203】
図20に、液ヘッダ40の分解斜視図を示す(なお、図中、二点鎖線の矢印は、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合の冷媒流れを示している。)。
図21に、液ヘッダ40の平面視断面図を示す。
図22に、液ヘッダ40に対して分岐液冷媒接続管49a〜eおよび扁平管28が接続されている様子を示す平面視断面図を示す。
【0204】
また、
図23に、第11液側部材41を後ろ側から見た概略図を示す。
図24に、第12液側部材42を後ろ側から見た概略図を示す。
図25に、第13液側部材43を後ろ側から見た概略図を示す。
図26に、第14液側部材44を後ろ側から見た概略図を示す。
図27に、第15液側部材45を後ろ側から見た概略図を示す。
図28に、第16液側部材46を後ろ側から見た概略図を示す。なお、これらの各図には、隣り合って配置される部材が有する各開口の位置関係を投影しつつ破線等で示している。
【0205】
液ヘッダ40(ヘッダの一例)は、第11液側部材41(第1部材の一例)と、第12液側部材42と、第13液側部材43と、第14液側部材44と、第15液側部材45(第3部材の一例)と、第16液側部材46(第2部材の一例)と、を有している。液ヘッダ40は、第16液側部材46と第11液側部材41と第15液側部材45と第14液側部材44と第13液側部材43と第12液側部材42とが互いにロウ付けにより接合されて構成されている。
【0206】
液ヘッダ40は、平面視における外形が、扁平管28の接続箇所を1つの辺として有する略四角形状となるように構成されている。
【0207】
(7−3−1)第11液側部材
第11液側部材41は、主に、後述する第16液側部材46と共に液ヘッダ40の外形の周囲を構成する部材である。第11液側部材41は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0208】
第11液側部材41は、液側扁平管接続板41a(第1板状部の一例)と、第1液側外壁41bと、第2液側外壁41cと、第1液側爪部41dと、第2液側爪部41eと、を有している。
【0209】
特に限定されないが、本実施形態の第11液側部材41は、圧延により得られる1枚の板金を液ヘッダ40の長手方向を折り目とした折り曲げ加工により形成することができる。この場合、第11液側部材41の各部分の板厚は、一様である。
【0210】
液側扁平管接続板41aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状の部分である。液側扁平管接続板41aには、上下方向に並んで配置された複数の液側扁平管接続開口41xが形成されている。各液側扁平管接続開口41xは、液側扁平管接続板41aの厚み方向に貫通した開口である。この液側扁平管接続開口41xには、扁平管28の一端が完全に通過するように扁平管28が挿入された状態で、扁平管28がロウ付けにより接合される。ロウ付け接合された状態では、液側扁平管接続開口41xの内周面の全体と扁平管28の外周面の全体とは互いに接した状態となる。
【0211】
第1液側外壁41bは、液側扁平管接続板41aの左側(室外ユニット2の外側、ガスヘッダ70とは反対側)の端部から、前側に向けて延び出した平面形状部分である。
【0212】
第2液側外壁41cは、液側扁平管接続板41aの右側(室外ユニット2の内側、ガスヘッダ70側)の端部から、前側に向けて延び出した平面形状部分である。
【0213】
第1液側爪部41dは、第1液側外壁41bの前側端部から、右側に向けて延びだした部分である。第2液側爪部41eは、第2液側外壁41cの前側端部から、左側に向けて延びだした部分である。
【0214】
第1液側爪部41dと第2液側爪部41eとは、平面視における第11液側部材41の内側に第12液側部材42、第13液側部材43、第14液側部材44、第15液側部材45、第16液側部材46を配置させる前の状態では、それぞれ第1液側外壁41bと第2液側外壁41cの延長上に延びた状態となっている。そして、平面視における第11液側部材41の内側に第12液側部材42、第13液側部材43、第14液側部材44、第15液側部材45、第16液側部材46を配置させた状態で、第1液側爪部41dと第2液側爪部41eとを互いに近づくように折り曲げることで、第12液側部材42と第13液側部材43と第14液側部材44と第15液側部材45と第16液側部材46とが第11液側部材41によってカシメられることで、互いに固定される。そして、この状態で、炉中等でロウ付けが行われることで、互いの部材がロウ付けによる接合されて完全に固定される。
【0215】
(7−3−2)第12液側部材
第12液側部材42は、第11液側部材41の液側扁平管接続板41aの前側(分岐液冷媒接続管49a〜eと液ヘッダ40との接続位置側)の面に面して接するように積層された部材である。この第12液側部材42の左右の長さは、第11液側部材41の液側扁平管接続板41aの左右の長さと同様である。第12液側部材42は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0216】
第12液側部材42は、第12内部板42aと、複数の第12開口42xと、を有している。第12内部板42aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。複数の第12開口42xは、上下方向に並んで配置されており、第12内部板42aの板厚方向に貫通した開口である。
【0217】
各第12開口42xは、第11液側部材41の液側扁平管接続板41aに形成された各液側扁平管接続開口41xよりも大きな開口である。第12液側部材42が第11液側部材41の液側扁平管接続板41aに積層された状態では、各第12開口42xの外縁は、各部材の積層方向において、より具体的には前後方向において、第11液側部材41の液側扁平管接続板41aに形成された各液側扁平管接続開口41xの外縁の外側に位置するように構成されている。これにより、ロウ付け接合時にロウ材が毛細管現象により移動して扁平管28の冷媒通路28bを塞いでしまうことを抑制することができている。この観点から、各第12開口42xの外縁の上下の部分は、液側扁平管接続板41aの各液側扁平管接続開口41xの外縁の上下の部分から、2mm以上離れていてよく、3mm以上離れていることが好ましい。
【0218】
なお、液側扁平管接続板41aを含む第11液側部材41を薄く形成した場合であっても、液側扁平管接続板41aには板厚方向にさらに第12液側部材42が積層されている。このため、液ヘッダ40の扁平管28が接続される側の部分の耐圧強度を高めることが可能になっている。
【0219】
なお、第12内部板42aの板厚を薄く構成するだけで、並んで配置されている扁平管28同士の間において冷媒が滞留してしまうような無駄なスペースを小さくすることが可能な構造となっている。
【0220】
(7−3−3)第13液側部材
第13液側部材43は、第12液側部材42の前側(分岐液冷媒接続管49a〜eと液ヘッダ40との接続位置側)の面に面して接するように積層された部材である。この第13液側部材43の左右の長さは、第12液側部材42の左右の長さと同様である。第13液側部材43は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0221】
第13液側部材43は、第13内部板43a(板状部の一例)と、複数の第13開口43x(開口の一例)と、を有している。第13内部板43aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。複数の第13開口43xは、上下方向に並んで配置されており、第13内部板43aの板厚方向に貫通した開口である。
【0222】
各第13開口43xにおける左右の縁は、積層方向視において、第12液側部材42の第12開口42xよりも内側に位置し、第11液側部材41の液側扁平管接続板41aに形成された各液側扁平管接続開口41xよりも内側に位置し、扁平管28の左右の幅よりも内側に位置する開口である。なお、各第13開口43xの上下の縁は、積層方向視において、第12液側部材42の第12開口42xよりも内側に位置し、第11液側部材41の液側扁平管接続板41aに形成された各液側扁平管接続開口41xよりも外側に位置する開口である。
【0223】
これにより、液ヘッダ40に挿入される各扁平管28の先端の左右の両端近傍を、第13液側部材43の各第13開口43xの縁に当てることができるため、扁平管28の液ヘッダ40における挿入程度を規制することができている。
【0224】
(7−3−4)第14液側部材
第14液側部材44は、第13液側部材43の前側(分岐液冷媒接続管49a〜eと液ヘッダ40との接続位置側)の面に面して接するように積層された部材である。この第14液側部材44の左右の長さは、第13液側部材43の左右の長さと同様である。第14液側部材44は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0225】
第14液側部材44は、第14内部板44a(板状部の一例)と、複数の第14上昇側開口44x(開口の一例)と、複数の第14下降側開口44yと、を有している。
【0226】
第14内部板44aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。なお、前後方向(積層方向)から見た場合に、第14内部板44aは後述の導入空間51を後側から覆う壁部44aaを有している。これにより、導入空間51に流入した冷媒は、気相冷媒と液相冷媒が壁部44aaに当たることで混合され、ノズル52には気相冷媒と液相冷媒が混合された冷媒を送ることが可能になっている。
【0227】
複数の第14上昇側開口44xは、上下方向に並んで配置されており、第14内部板44aの板厚方向に貫通した開口である。各第14上昇側開口44xは、各第14下降側開口44yよりも、室外ファン16により生じる空気流れ方向における上流側に配置されている。なお、
図24、25では、室外ファン16により生じる空気流れを点線の矢印で示している。各第14上昇側開口44xの縁は、積層方向視において、第13液側部材43の第13開口43xの縁よりも内側に位置している。これにより、後述する上昇空間53を流れる冷媒が、各第14上昇側開口44xに向けて分岐して流れることで、各第14上昇側開口44xに対応するように接続された各扁平管28に対して冷媒を分流させることが可能になっている。ここで、各第14上昇側開口44xは、室外ファン16により生じる空気流れ方向において、平面視における扁平管28の中心よりも、上流側に配置されている。このため、室外熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する場合において、各第14上昇側開口44xを通過した冷媒を、各扁平管28の風上側に多く導くことが可能になる。これにより、空気と冷媒の温度差をより確保しやすい風上側に多くの冷媒が導かれることで、熱交換性能を向上させることができている。
【0228】
複数の第14下降側開口44yは、上下方向に並んで配置されており、第14内部板44aの板厚方向に貫通した開口である。各第14下降側開口44yは、積層方向視において、第13液側部材43の第13開口43xとは重複しない位置に設けられている。具体的には、各第14下降側開口44yは、積層方向視において、後述する第15液側部材45の連絡部45cと重なる位置であり、第13液側部材43の互いに上下に隣り合う第13開口43xの上下方向の間の位置に配置されている。これにより、第13液側部材43の各第13開口43x内の空間と、第14液側部材44の第14下降側開口44y内の空間とは、積層方向には連通しておらず、直接は連通していない。このため、後述する下降空間55を流れる冷媒が、前側に移動することで第13液側部材43の各第13開口43xに到達することは無い。なお、積層方向視において、第14下降側開口44yの上端は、重なるように対応した連絡部45cの上端よりもさらに上方に位置しており、第14下降側開口44yの下端は、重なるように対応した連絡部45cの下端よりもさらに下方に位置している。
【0229】
なお、各第14上昇側開口44xの上下方向の間には、第14内部板44aの板状部分が広がっている。同様に、複数の第14下降側開口44yの上下方向の間には、第14内部板44aの板状部分が広がっている。
【0230】
(7−3−5)第15液側部材
第15液側部材45は、第14液側部材44の前側(分岐液冷媒接続管49a〜eと液ヘッダ40との接続位置側)の面に面して接するように積層された部材である。この第15液側部材45の左右の長さは、第14液側部材44の左右の長さと同様である。第15液側部材45は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0231】
第15液側部材45は、第15内部板45a(第3板状部の一例)と、複数の第1貫通部分45x(第1開口の一例)と、複数の第2貫通部分45yと、を有している。
【0232】
第15内部板45aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。第15内部板45aは、各第1貫通部分45xの上下方向の端部との間に隙間が生じさせつつ、左右の空間を仕切るように、液ヘッダ40の長手方向に延びている仕切部45bを、各第1貫通部分45xに対応するようにして有している。このように、上昇空間53は、仕切部45bが形成されることで左右方向の幅を狭くすることができている。したがって、液ヘッダ40に送られる冷媒の量が少ない等のように冷媒回路6における冷媒の循環量が少ない状態であっても、上昇空間53を上昇するように流れる冷媒を、上昇空間53の上端近傍に接続されている扁平管28にも十分に供給することが可能となる。
【0233】
また、第15内部板45aは、室外ファン16により形成される空気流れ方向の下流側である右側の縁部近傍から、仕切部45bに至るまで延びている連絡部45cを有している。本実施形態では、1つの仕切部45bからは、上下に並んだ2つの連絡部45cが延びだしている。ここで、第15内部板45aの各部分の板厚方向の厚みは、仕切部45bも連絡部45cも含めて一様となっている。このように、第15内部板45aは、仕切部45bと連絡部45cとを一体化させて有している。このため、第15液側部材45の板厚内において冷媒を循環させて流す流路を形成する場合であっても、部材を複数に分けることなく、1つの部材で実現させることができている。なお、積層方向視において、連絡部45cと第14下降側開口44yとは、一部のみが重複するように位置している。具体的には、積層方向視において、第14下降側開口44yのうちの上方領域には連絡部45cの上側において板厚方向に貫通した上方迂回開口44pが生じ、第14下降側開口44yのうちの下方領域には連絡部45cの下側において板厚方向に貫通した下方迂回開口44qが生じるように、第15液側部材45と第14液側部材44とが配置されている。これにより、第15内部板45aが仕切部45bと連絡部45cとを一体化させて有しつつも、連絡部45cが循環する冷媒流れを阻害することを防いでいる。
【0234】
複数の第1貫通部分45xは、上下方向に並んで配置されており、第14内部板44aの板厚方向に貫通した開口である。1つの第1貫通部分45xには、積層方向視において、複数の第14上昇側開口44xが重なっている。
【0235】
1つの第1貫通部分45xには、1つの導入空間51(第1領域の一例)と、1つのノズル52(第2領域の一例)と、1つの上昇空間53(第3領域の一例)と、1つの往き流路54と、1つの下降空間55の一部と、1つの戻り流路56と、が含まれている。なお、第14液側部材44の第14下降側開口44yが、下降空間55の他の一部を構成している。なお、ノズル52は、当該ノズル52が設けられている第1貫通部分45xに対して連通しているいずれの第14液側部材44よりも下方に位置している。
【0236】
ここで、ノズル52と往き流路54と戻り流路56とは、いずれも、後述する第16液側部材46の液側外部板46aの後ろ側の面と、第14液側部材44の第14内部板44aの前側の面と、によって囲まれた空間となっている。そして、導入空間51については、後ろ側は、第14液側部材44の第14内部板44aの前側の面によって覆われており、前側は、後述する第16液側部材46の液側外部板46aの外部液管接続開口46xに接続された分岐液冷媒接続管49a〜49eが連通している。また、上昇空間53については、前側は、後述する第16液側部材46の液側外部板46aの後ろ側の面で覆われており、後ろ側は、第14液側部材44の第14上昇側開口44xが設けられている箇所以外が、第14液側部材44の第14内部板44aの前側の面によって覆われている。このため、液ヘッダ40における各扁平管28の差し込み程度とは無関係に、冷媒を上昇して流すための上昇空間53の流路断面積を安定的に確保することが可能になっている。なお、第14液側部材44の第14上昇側開口44xは、第15液側部材45における上昇空間53と連通しており、第15液側部材45における導入空間51やノズル52や往き流路54や下降空間55や戻り流路56とは連通していない。
【0237】
また、下降空間55については、前側は、後述する第16液側部材46の液側外部板46aの後ろ側の面と、第14液側部材44の連絡部45cによって覆われている。そして、下降空間55の後ろ側については、第14下降側開口44yが設けられていない箇所については第14液側部材44の第14内部板44aの前側の面で覆われており、第14液側部材44の第14下降側開口44yが設けられている箇所については第13液側部材43の第13内部板43aの前側の面によって覆われている。
【0238】
以上のようにして、液ヘッダ40では、第16液側部材46と第13液側部材43とによって積層方向に挟まれた空間において、一組の導入空間51とノズル52と上昇空間53と往き流路54と下降空間55と戻り流路56とからなる循環流路構造が構成されている。なお、循環流路構造は、各分岐液冷媒接続管49a〜eに1対1に対応するようにして、上下方向に並んで設けられている。
【0239】
導入空間51とノズル52と上昇空間53とは、液ヘッダ40の長手方向に並んでいる。本実施形態では、導入空間51とノズル52と上昇空間53とは、下から順に並んでいる。ノズル52の左側の縁は、導入空間51の左側の縁よりも右側に位置し、上昇空間53の左側の縁よりも右側に位置している。また、ノズル52の右側の縁は、導入空間51の右側の縁よりも左側に位置し、上昇空間53の右側の縁よりも左側に位置している。ノズル52の左右方向の幅は、導入空間51の左右方向の幅よりも短く、且つ、上昇空間53の左右方向の幅よりも短い。これにより、導入空間51から上昇空間53に向かう冷媒は、通過面積が狭小化されたノズル52を通過する際に流速を高めることが可能になっている。そして、流速が高められて上昇空間53に流入した冷媒は、ノズル52から上方に遠く離れて位置する第14上昇側開口44xにも到達させることが可能になっている。なお、上昇空間53の流路断面積は、第15内部板45aの板厚や開口の大きさを調節するだけで容易に調節することが可能であり、冷媒の通過断面積を小さくして冷媒の流速を上げることが容易な構造となっている。
【0240】
また、前後方向から見た場合に、分岐液冷媒接続管49a〜49eは、導入空間51の左右方向における中心に接続されている。そして、前後方向から見た場合に、導入空間51と対応する分岐液冷媒接続管49a〜49eとの接続箇所と、ノズル52と、上昇空間53とは、鉛直方向に並んで配置されている。このため、分岐液冷媒接続管49a〜49eを流れた冷媒は、後述の外部液管接続開口46xを介して導入空間51の左右方向における中心に流入し、左右方向への移動を伴うことなくまたは左右方向にあまり移動しないで、導入空間51からノズル52を介して上昇空間53に向けて鉛直上方に向けて吹き上がることができる。なお、例えば、導入空間51の左寄りの領域冷媒が流入する構造であれば、ノズル52を通過する冷媒は右上方に向けて偏って流れてしまい、導入空間51の右寄りの領域冷媒が流入する構造であれば、ノズル52を通過する冷媒は左上方に向けて偏って流れてしまうおそれがあるが、本実施形態の構造では、このような偏りを抑制することが可能になっている。
【0241】
上昇空間53の上方端部と下降空間55の上方端部とは、往き流路54によって連通している。また、上昇空間53の下方端部と下降空間55の下方端部とは、戻り流路56によって連通している。このように、第1貫通部分45xには、液ヘッダ40の長手方向に延びた上昇空間53に対して、液ヘッダ40の長手方向とは異なる方向である左右方向に延びた往き流路54と戻り流路56が連なっている。このため、液ヘッダ40では、内部で冷媒が流れる向きの変更を、1枚の板状部材の貫通部分の形状によって実現することができている。このため、液ヘッダ40内で冷媒が流れる向きを変えるために必要となる板状部材の枚数を少なく抑えることが可能になっている。このように、目的とする冷媒流路設計を行うために必要となる板状部材の枚数を削減することで、ロウ付け時において、比較的内側に位置する部材に対しても十分な入熱を行いやすくなり、ロウ付け性能を高めることも可能になっている。さらに、1枚の板状部材の貫通部分の形状を変えるだけで冷媒が流れる向きを変えることができるため、液ヘッダ40内における流路設計の自由度を高めることが可能になる。そして、特に、液ヘッダ40に送られる冷媒の量が多い等のように冷媒回路6における冷媒の循環量が多い状態であっても、扁平管28に送られることなく上昇空間53の上端に到達した冷媒を、往き流路54、下降空間55、戻り流路56を経て再び扁平管28に送ることが可能になる。
【0242】
なお、本実施形態では、液ヘッダ40を左右方向(積層方向および液ヘッダの長手方向の両方に直交する方向)から見た場合に、往き流路54の面積は、戻り流路56の面積よりも大きく形成されている。具体的には、本実施形態では、往き流路54における液ヘッダ40の長手方向の幅が、戻り流路56における液ヘッダ40の長手方向の幅よりも長く形成されている。これにより、上昇空間53を上昇して上端近傍まで到達した冷媒が、往き流路54を通過しやすくなっている。また、本実施形態では、液ヘッダ40を左右方向(積層方向および液ヘッダの長手方向の両方に直交する方向)から見た場合に、戻り流路56の面積は、往き流路54の面積よりも小さく形成されている。具体的には、本実施形態では、戻り流路56における液ヘッダ40の長手方向の幅が、往き流路54における液ヘッダ40の長手方向の幅よりも短く形成されている。これにより、上昇空間53から戻り流路56へ冷媒が逆流することを抑制できている。
【0243】
複数の第2貫通部分45yは、室外ファン16により形成される空気流れ方向の下流側である右側において、上下方向に並んで配置されており、第14内部板44aの板厚方向に貫通した開口である。1つの第2貫通部分45yは、1つの仕切部45bと、当該1つの仕切部45bから延びだした2つの連絡部45cと、第15内部板45aの右側端部近傍の縁部分と、によって囲まれた開口である。
【0244】
(7−3−6)第16液側部材
第16液側部材46は、第15液側部材45の第15内部板45aの前側の面に対して面して接するように積層された部材である。この第16液側部材46の左右の長さは、第15液側部材45、第14液側部材44、第13液側部材43、第12液側部材42の左右の長さと同様であり、第11液側部材41の液側扁平管接続板41aの左右の長さと同様である。
【0245】
第16液側部材46は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0246】
第16液側部材46は、液側外部板46a(第2板状部の一例)を有している。
【0247】
液側外部板46aは、上下方向でかつ左右方向に広がった平板形状を有している。
【0248】
液側外部板46aには、各分岐液冷媒接続管49a〜eが挿入されて接続される外部液管接続開口46xが複数設けられている。外部液管接続開口46xは、液側外部板46aの板厚方向に貫通した開口である。複数の外部液管接続開口46xは、液ヘッダ40の長手方向に沿って並んでいる。各外部液管接続開口46xは、積層方向視において、導入空間51のうちノズル52が設けられている側とは反対側に位置している。なお、本実施形態では、各外部液管接続開口46xは、液側外部板46aの風上側に偏って配置されており、積層方向視においてノズル52の直下に中心が位置するように配置されている。
【0249】
これにより、各分岐液冷媒接続管49a〜eは、第16液側部材46の外部液管接続開口46xと、第15液側部材45の第1貫通部分45xと、第14液側部材44の第14上昇側開口44xと、第13液側部材43の第13開口43xと、を介して、複数の扁平管28と連通した状態となっている。
【0250】
第16液側部材46は、前側の面が、第11液側部材41の第1液側爪部41dおよび第2液側爪部41eと接してカシメられている。
【0251】
(7−3−7)液ヘッダにおける冷媒の流れ
以下では、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合の液ヘッダ40における冷媒の流れを説明する。なお、室外熱交換器11が冷媒の凝縮器または放熱器として機能する場合には、蒸発器として機能する場合とは概ね逆の流れになる。
【0252】
まず、分流器22において複数の分流管22a〜22eに分流して流れた液冷媒または気液二相状態の冷媒は、分岐液冷媒接続管49a〜eを流れることで、第11液側部材41の液側外部板46aの外部液管接続開口46xを通過して、液ヘッダ40の各サブ空間23a〜23eに流入する。
【0253】
具体的には、各サブ空間23a〜23eにおける第15液側部材45の導入空間51に流入する。
【0254】
導入空間51に流入した冷媒は、流路が狭く構成されているノズル52を通過する際に流速が高められ、上昇空間53に流れ込む。なお、仕切部45bにより上昇空間53の左右方向の幅を狭くできていることにより、圧縮機8の駆動周波数が小さい場合等のように冷媒回路6の冷媒循環量が少ない状態であっても、上昇空間53に流入した冷媒を、上昇空間53の上端近傍に位置する第14上昇側開口44xにまで到達させやすくなっている。ここで、上昇空間53に流入した冷媒は、各第14上昇側開口44xに向けて分流して流れながら、上昇空間53の上端近傍に向かう。なお、圧縮機8の駆動周波数が大きい場合等のように冷媒回路6の冷媒循環量が多い状態では、上昇空間53の上端近傍に到達する冷媒が多くなり、往き流路54を介して下降空間55にまで冷媒が到達する。下降空間55に到達した冷媒は、下降し、戻り流路56を介して再度、上昇空間53の下方近傍であって、ノズル52の上方の空間に戻される。ここで、上昇空間53では、ノズル52を通過することで冷媒の流速が増すため、上昇空間53の戻り流路56近傍部分は、下降空間55の戻り流路56近傍部分よりも静圧が小さくなる。このため、下降空間55を下降した冷媒は、戻り流路56を介して上昇空間53に戻されやすくなっている。このようにして、上昇空間53と往き流路54と下降空間55と戻り流路56により冷媒を循環させることが可能になっているため、上昇空間53を上昇して流れる際にいずれかの第14上昇側開口44xに分岐して流れなかった冷媒が生じたとしても、再度、往き流路54と下降空間55と戻り流路56を介して上昇空間53に戻すことができるため、いずれかの第14上昇側開口44xに流しやすくなっている。
【0255】
なお、下降空間55を下降する冷媒は、主として、第15液側部材45の第15内部板45aに設けられた第1貫通部分45xの右側の領域と第2貫通部分45yとを下降するように流れる。より具体的には、下降空間55を下降する冷媒は、連絡部45cが無い部分では、第16液側部材46の液側外部板46aの後ろ側の面と第14液側部材44の第14内部板44aの前側の面との間の領域を下降して流れ、連絡部45cが有る部分では、連絡部45cを迂回するように流れる。連絡部45cを迂回する際には、冷媒は、上方迂回開口44pを介して第14液側部材44の第14下降側開口44yに流入した後、下方迂回開口44qを介して第15液側部材45の第1貫通部分45xまたは第2貫通部分45yに戻るように流れる。
【0256】
以上のようにして、第14液側部材44の各第14上昇側開口44xに分流して流れた冷媒は、分流された状態を維持したままで、第13液側部材43の第13開口43xを通過し、各扁平管28に流入する。
【0257】
以上の液ヘッダ40においても、上記実施形態と同様に、扁平管28が並ぶ方向である液ヘッダ40の長手方向に沿って冷媒を吹き上げるための流路を狭める構造を、1枚の第15液側部材45によって実現させることが可能になっている。
【0258】
(7−4)変形例D
上記変形例Cでは、室外熱交換器11の液ヘッダ40では、第15液側部材45において冷媒を循環させながら、第14液側部材44の各第14上昇側開口44xに分流させる形態を例に挙げて説明した。
【0259】
これに対して、室外熱交換器11の液ヘッダ40としては、例えば、
図29に示すように、上記実施形態について、第14下降側開口44yを省略して第14内部板44aが平坦に広がるように形成された第14液側部材44と、上昇空間153から風上側に向かうにつれて冷媒流路が分岐するような貫通部分145xが形成された第15液側部材45と、を備えるものであってもよい。
図29では、第15液側部材45を後ろ側から見た概略図であり、後ろ側に積層されている第14液側部材44が有する第4開口144xと、前側に積層されている第16液側部材46が有する外部液管接続開口46xとの位置関係を合わせて示している。
【0260】
貫通部分145x(第1開口の一例)は、導入空間151(第1領域の一例)と、ノズル152(第2領域の一例)と、上昇空間153(第3領域の一例)と、第1分岐空間154と、第1分流空間155と、第2分岐空間155aと、第3分岐空間155bと、第2分流空間156と、第3分流空間157と、第1端部156aと、第2端部156bと、第3端部157aと、第4端部157bと、を有している。
【0261】
導入空間151は、第15液側部材45の空気流れ方向における中心から、上記実施形態の導入空間51とは反対側である空気流れの下流側に向けて延びている部分である。導入空間151の一部は、第16液側部材46が有する外部液管接続開口46xと連通している。
【0262】
ノズル152は、導入空間151の空気流れ方向の下流側の上方に設けられている。
【0263】
上昇空間153は、ノズル152の上方に設けられており、さらに上方に向けて延びている。上記実施形態と同様に、分岐液冷媒接続管49a〜49eから導入空間151に流入した冷媒は、ノズル152を通過する際に流速を高めて、上昇空間153を上昇する。
【0264】
第1分岐空間154は、上昇空間153の上下方向の途中に設けられており、上昇空間153が延びている方向とは異なる方向である空気流れ方向の上流側に向けて延びている。
【0265】
第1分流空間155は、第1分岐空間154を流れた冷媒を、上方と下方に導く流路である。
【0266】
第2分岐空間155aと第3分岐空間155bとは、それぞれ、第1分流空間155の上端と下端から空気流れ方向の上流側に向けて延びている。
【0267】
第2分流空間156は、第2分岐空間155aを流れた冷媒を、上方と下方に導く流路である。第3分流空間157は、第3分岐空間155bを流れた冷媒を、上方と下方に導く流路である。
【0268】
第1端部156aと第2端部156bとは、それぞれ、第2分流空間156の上端と下端から空気流れ方向の上流側に向けて延びている。また、第3端部157aと第4端部157bとは、それぞれ、第3分流空間157の上端と下端から空気流れ方向の上流側に向けて延びている。
【0269】
そして、第1端部156aと第2端部156bと第3端部157aと第4端部157bとは、それぞれ、第4開口144xと積層方向に連通している。
【0270】
以上の第3液側部材145では、上昇空間153から空気流れ方向上流側に向かうにつれて枝分かれする形状を有する貫通部分145xにより、1つの冷媒流れを複数の冷媒流れに分流させることが可能になっている。
【0271】
(7−5)変形例E
上記実施形態では、伝熱管として、流路に垂直な断面形状における水平方向の長さが鉛直方向よりも長い扁平形状である扁平管28を用いた場合を例に挙げて説明した。
【0272】
これに対して、伝熱管としては、特に限定されるものではなく、例えば、流路に垂直な断面形状が円形である円筒形状のものを用いてもよい。
【0273】
(7−6)変形例F
上記実施形態および各変形例では、空気流れ方向に交差する方向に複数の伝熱管が並んで構成される伝熱管群が、空気流れ方向に1つだけ設けられている場合について、例に挙げて説明した。
【0274】
これに対して、熱交換器の伝熱管はこれに限定されるものではなく、例えば、空気流れ方向に交差する方向に複数の伝熱管が並んで構成される伝熱管群が、空気流れ方向に複数並ぶように設けられていてもよい。この場合には、液ヘッダ内に形成される各冷媒流路も空気流れ方向に複数並んで設けられることが好ましい。
【0275】
(7−7)変形例G
上記実施形態では、例えば、上昇空間34zについて、ヘッダ(液ヘッダ)の長手方向および積層方向の両方に垂直な方向(上記実施形態における左右方向)における幅が、ノズル34yよりも長いものについて説明した。
【0276】
これに対して、上昇空間34zは、ヘッダの長手方向および積層方向の両方に垂直な方向における幅Wfと、積層方向における幅Tfと、の関係が、Wf/Tf≦2.5を満たすものとするとよい。これにより、冷媒の流速が早い条件、具体的には、上昇空間34zを上に向けて流れる冷媒の流速が比較的早い状態で熱交換器が用いられる場合であっても、複数の伝熱管28の間での偏りを小さく抑えて冷媒を分流することが可能となる。
【0277】
このような構造は、例えば、
図30に示す熱交換器11aにおいて実装してもよい。
【0278】
この熱交換器11aは、出入口ヘッダ60と、折り返しヘッダ80と、これらを連絡する複数の伝熱管28と、を有している。
【0279】
出入口ヘッダ60は、出入口下部ヘッダ61と、出入口上部ヘッダ62と、出入口下部ヘッダ61と出入口上部ヘッダ62とを上下に仕切る仕切板63と、を有している。出入口下部ヘッダ61は、内部空間を有しており、液冷媒管20と複数の伝熱管28が接続される。出入口上部ヘッダ62は、内部空間を有しており、ガス冷媒管19と複数の伝熱管28が接続される。
【0280】
折り返しヘッダ80は、折り返し下部ヘッダ81と、折り返し上部ヘッダ82と、折り返し下部ヘッダ81と折り返し上部ヘッダ82とを上下に仕切る仕切板83と、連絡配管84と、を有している。折り返し下部ヘッダ81は、内部空間を有しており、一端が出入口下部ヘッダ61に接続されている複数の伝熱管28の他端が接続される。折り返し上部ヘッダ82は、内部空間を有しており、一端が出入口上部ヘッダ62に接続されている複数の伝熱管28の他端が接続される。連絡配管84は、折り返し下部ヘッダ81の内部空間と、折り返し上部ヘッダ82の内部空間と、を接続する。
【0281】
この熱交換器11aでは、冷媒の蒸発器として機能する場合には、
図30の点線矢印で示すように冷媒が流れる。すなわち、液冷媒管20から出入口下部ヘッダ61に流入した冷媒は、複数の伝熱管28に分かれて流れながら空気との間で熱交換をした後、折り返し下部ヘッダ81に集合し、連絡配管84を介して、折り返し上部ヘッダ82に送られる。折り返し上部ヘッダ82に送られた冷媒は、折り返し上部ヘッダ82に接続された複数の伝熱管28に分かれて流れながら空気との間でさらに熱交換をした後、出入口上部ヘッダ62に集合し、ガス冷媒管19を介して流出する。ここで、折り返し上部ヘッダ82に到達した冷媒は、熱交換器11aに流入した後に既に空気との熱交換が行われたものであるため、その乾き度が、熱交換器11aに流入する冷媒よりも大きい。熱交換器11aは、冷媒の蒸発器として機能する場合において、例えば、折り返し上部ヘッダ82に到達する冷媒の乾き度が、0.4以上0.6以下となるようにして用いられる。なお、熱交換器11aが冷媒の凝縮器として機能する場合には、これとは逆の流れになる。
【0282】
以上の熱交換器11aにおいて、折り返し上部ヘッダ82では、
図31に示すように、上記実施形態で述べた液ヘッダ30と同様の構造を採用することができる。具体的には、折り返し上部ヘッダ82は、上記実施形態の分岐液冷媒接続管49a−eの代わりに連絡配管84が用いられる構造となる。ここでは、折り返し上部ヘッダ82は、第1液側部材31、第2液側部材32、第3液側部材33、第4液側部材34、第5液側部材35、第6液側部材36、第7液側部材37をそれぞれ有しており、前後方向と左右方向とが異なるだけであり、各部材も同様の構造を有しているため、説明を割愛する。
【0283】
以上の折り返し上部ヘッダ82では、熱交換器11aが冷媒の蒸発器として機能する際に、上昇空間34zには、ノズル34yを介してに吹き上げられた冷媒が流れる。この上昇空間34zは、折り返し上部ヘッダ82の長手方向(ここでは上下方向)と、折り返し上部ヘッダ82を構成する複数の部材が積層される積層方向(ここでは左右方向)と、の両方に垂直な方向(ここでは前後方向)における幅Wfと、折り返し上部ヘッダ82を構成する複数の部材が積層される積層方向(ここでは左右方向)における幅Tfと、の関係がWf/Tf≦2.5を満たしている。
【0284】
これにより、上昇空間34zを上昇する冷媒流速が比較的早い状態で熱交換器11aが用いられる場合であっても、複数の伝熱管28の間での偏りを小さく抑えて冷媒を分流することが可能となる。特に、上昇空間34zを流れる冷媒の乾き度が0.4以上0.6以下となる場合であっても、複数の伝熱管28の間での偏りを小さく抑えて冷媒を分流することが可能となる。
【0285】
以下、Wf/Tfを規定することの技術的意義を説明する。
【0286】
上記折り返し上部ヘッダ82の構造を有しつつ、Wf/Tfの値を違えた各サンプルを用いて、上昇空間34zを冷媒が上昇するように流した場合における熱交換器11aの能力の違いを確認した。なお、ここでの能力は、分流性能に起因しているものと考えられる。
【0287】
熱交換器11aに関する試験条件は、高さ寸法が133.1mm、有効長が1740mmであり、DB/WB=7℃/6℃、冷媒は二酸化炭素、空気の風量Va=0.6〜3.2m/s、蒸発温度Te=−0.5℃、熱交換器11aの流入冷媒の乾き度が0.4、熱交換器11aから流出する冷媒の乾き度が0.98とした。Wf/Tfの値が2.2の場合、1.5の場合、0.9の場合のそれぞれについて、各能力比(乾き度が0.08の冷媒が供給された場合の能力を100%とした場合の能力)を、
図32に示す。なお、
図32の二点鎖線は、乾き度が0.08の冷媒が供給された場合の能力(Wf/Tfの値によらない)を示している。
【0288】
図32から明らかなように、熱交換器11aに供給される冷媒の乾き度が高いほど、能力が低下しがちであることが確認された。また、Wf/Tfの値によらず、吹上流速の値が高まるにつれて能力比が減少する傾向にあることが確認された。
【0289】
以上をふまえて、各Wf/Tfについて、乾き度が0.08の冷媒が供給された場合の能力と同等の能力を担保できる限界値(同等の分流性能を担保できる限界値)となる限界吹上流速Vmaxを求め、Wf/Tfに対してプロットしたグラフを
図33に示す。なお、プロットから得られるグラフは、限界吹上流速Vmax≦−4.84(Wf/Tf)+12.9となることが確認された。ここで、熱交換器11aは、吹上流速が1.0m/sを下回る場合には能力比が低下する傾向があることから(
図32参照)、上昇空間34zにおける冷媒の最低吹上流速Vminが1.0m/sとなるように用いられる。これをふまえると、1.0m/s≦吹上流速V≦−4.84(Wf/Tf)+12.9の関係が成立し、これをまとめることで、Wf/Tf≦2.5の関係が成立することとなる。
【0290】
以上によれば、Wf/Tf≦2.5の関係を満たすように上昇空間34zを設計することにより、乾き度が0.4以上のような比較的乾き度が高い冷媒が高い流速で流れる場合であっても、折り返し上部ヘッダ82における各扁平管28に対する分流性能を高めて、熱交換器11aの能力を高めることが可能となることが分かる。
【0291】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【解決手段】液ヘッダを備える室外熱交換器であって、液ヘッダは、複数の扁平管が接続される液側扁平管接続板を含む第1液側部材と、扁平管側とは反対側に位置する液側外部板を含む第7液側部材と、これらの間に位置する第4内部板34aを含む第4液側部材34と、を有し、第4内部板34aは、複数の扁平管が並ぶ方向に延びた第1貫通部分を有しており、第1貫通部分は、複数の扁平管が並ぶ方向に順に並んだ導入空間34xとノズル34yと上昇空間34zとを含み、ノズル34yの幅は、導入空間34xの幅よりも短く、且つ、上昇空間34zの幅よりも短い。