(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る防護管は、
筒状に組み合わされる一対の半割れ部材と、
両半割れ部材を筒状に固定する連結部材とを備え、
各半割れ部材は、
樋状の本体部と、前記本体部の周方向の各外縁から突出し、前記本体部の軸方向に沿って延設されるフランジ部とを備え、
前記連結部材は、
一端部側に前記フランジ部に対して回転自在に取り付けられる軸支部を有し、他端部側に重ね合わされた前記フランジ部に対して近接離反するように揺動される自由端部を有し、前記重ね合わされたフランジ部を跨いで嵌め込まれるクランプ部を備える。
【0014】
上記の防護管は、軸支部を中心としてクランプ部を回転させて、両半割れ部材における重ね合わされたフランジ部にクランプ部を嵌め込むことで、両半割れ部材を一体化することができる。このような上記の防護管は、上述の従来の構造に比較して、両半割れ部材を一体化するために使用するボルトの個数を格段に低減できる、好ましくはボルトを省略でき、ケーブル本体の外周に装着し易い。また、上記の防護管は、上述の従来の構造に比較して、ボルトの締結時間を格段に低減でき、装着時間を短縮できる。特に、連結部材のクランプ部の長さをある程度長くして、クランプ部におけるフランジ部の挟持長さを長くすれば、連結部材の個数を少なくしても、一体化した両半割れ部材の接続強度を高められる。この場合、連結部材の配置時間を短縮しつつ、より強固な防護管とすることができる。
【0015】
(2)上記の防護管の一例として、
前記本体部は、横断面が半円形状の直管部と、前記直管部の各端部に設けられ、別の防護管と回転自在に連結される半球帯状の接続部とを備え、
前記連結部材は、前記直管部に延設される直線フランジ部、及び前記接続部に延設される湾曲フランジ部の少なくとも一方に取り付けられる形態が挙げられる。
【0016】
上記形態は、ケーブル本体の外周に装着し易い上に、直線フランジ部に連結部材を備える場合には、連結部材の個数を多くし易く、両半割れ部材の接続強度を高め易い。湾曲フランジ部に連結部材を備える場合には、複数の上記の防護管が連結されてなる防護管群を構築する場合に隣り合う防護管同士の連結強度を高め易い。直線フランジ部と湾曲フランジ部との双方に連結部材を備える場合には、一体化された半割れ部材の接続強度をより高められる上に、防護管同士の連結強度もより高められる。また、上述の接続部を介して、連結される防護管同士を屈曲などさせることができる。そのため、接続部を備える上記形態の防護管群が装着された水中ケーブルは屈曲できる。
【0017】
(3)上記(2)の防護管の一例として、
前記連結部材は、前記湾曲フランジ部に取り付けられ、
更に、この連結部材における前記自由端部側に、この自由端部側の領域と前記湾曲フランジ部とを共に締め付ける締結部材を備える形態が挙げられる。
【0018】
ここで、上述の接続部を介して防護管群を屈曲させると、接続部に両半割れ部材が分離する方向の力が作用することで、接続部及びその近傍から、一体化された半割れ部材が分離され易いといえる。上記形態は、このような接続部から延設される湾曲フランジ部に連結部材が取り付けられているため、湾曲フランジ部が分離することを防止して、両半割れ部材が一体化された状態をより確実に保持できる。かつ、ボルトといった締結部材を備えるものの、上述の従来の構造に比較して、ボルトの使用数を低減できる。
【0019】
(4)上記の防護管の一例として、
前記連結部材は、前記一端部側に前記両半割れ部材のフランジ部に亘って差し込まれる連結ピンを備える形態が挙げられる。
【0020】
上記形態は、クランプ部だけでなく連結ピン自体も、両半割れ部材を一体化する部材として機能できる。従って、上記形態は、装着し易い上に、一体化された両半割れ部材の接続強度をより高められる。また、上記形態は、連結ピンを差し込むことで、半割れ部材と連結部材とを容易に一体化でき、作業性に優れる。
【0021】
(5)上記(4)の防護管の一例として、
前記クランプ部は、前記フランジ部に嵌め込まれるブラケット状のクランプ本体と、前記クランプ本体から突出し、前記連結ピンが差し込まれる連結片とを備える形態が挙げられる。
【0022】
上記形態は、連結片に連結ピンを差し込むことで、半割れ部材と連結部材とを容易に一体化できることから、装着し易い。
【0023】
(6)上記の防護管の一例として、
前記クランプ部の内面から、前記重ね合わされたフランジ部を圧接する方向に突出する突部を備える形態が挙げられる。
【0024】
上記形態は、突部によって上述の重ね合わされたフランジ部を圧接することで、一体化された両半割れ部材の接続強度をより高められる。また、上記形態は、このような圧接箇所をなす突部を局所的に備えるため、クランプ部をフランジ部に嵌め込み易いことから、装着し易い。
【0025】
(7)本発明の一態様に係る水中ケーブルは、
上記(1)から(6)のいずれか一つの防護管を備える。
【0026】
上記の水中ケーブルによれば、上述のように従来の構造に比較して、両半割れ部材を一体化するためのボルトの使用数を低減できる上記の防護管を備えるため、ケーブル本体に防護管を装着し易く、防護管の装着時間を短縮できる。また、上述のように上記の防護管は、連結部材によって両半割れ部材が一体化されているため接続強度に優れており、上記の水中ケーブルは、高強度な防護管を備える。
【0027】
(8)本発明の一態様に係る水中ケーブルの布設方法は、
ケーブル本体の外周に一対の半割れ部材を組み合わせてなる防護管を取り付けて、船上から水中に水中ケーブルを布設する水中ケーブルの布設方法であって、
上記(1)から(6)のいずれか一つの防護管を用意する準備工程と、
前記ケーブル本体の外周を前記両半割れ部材で覆うと共に、前記両半割れ部材のフランジ部を重ね合わせる配置工程と、
前記水中ケーブルをガイドローラで案内して前記水中に搬送する際、前記ガイドローラによって、重ね合わせた前記フランジ部に近づく方向に前記クランプ部を押圧して、前記重ね合わせたフランジ部に前記クランプ部を嵌め込む連結工程とを備える。
【0028】
上記の水中ケーブルの布設方法によれば、特に、連結部材のクランプ部を上述の重ね合わせたフランジ部に嵌め込むという作業を、布設時に水中ケーブルの走行案内に利用するガイドローラによって行う。そのため、上記の水中ケーブルの布設方法によれば、防護管の装着時間を短縮できる上に、嵌め込み作業を作業者が行う場合に比較して、作業者の負担も低減できる。
【0029】
(9)上記の水中ケーブルの布設方法の一例として、
前記準備工程では、前記半割れ部材に前記連結部材が取り付けられていないものを用意し、
前記配置工程では、前記重ね合わせたフランジ部と前記連結部材の一端部側とに連結ピンを差し込んで、前記半割れ部材に前記連結部材を取り付ける形態が挙げられる。
【0030】
上記形態は、防護管の装着時間を短縮できる上に、上述(4)のようにクランプ部に加えて連結ピン自体も両半割れ部材を一体化する部材とし、両半割れ部材の接続強度が高い防護管を備える水中ケーブルを布設できる。
【0031】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る防護管、水中ケーブル、及び水中ケーブルの布設方法を具体的に説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。
【0032】
[実施形態]
主に
図1〜
図7を参照して実施形態の防護管1、及び実施形態の防護管1を備える水中ケーブル100を説明し、
図8〜
図10を参照して実施形態の水中ケーブルの布設方法を説明する。
図3,
図6,
図8,
図9は、半割れ部材1u,1dを防護管1の軸方向に直交する平面で切断した横断面(横断面について以下同様)であり、半割れ部材1u,1dと連結部材2とが分かり易いように、接続部12を省略している。また、
図9の左側のクランプ部21は横断面、右側のクランプ部21は外観を示す。
【0033】
(防護管)
〈概要〉
実施形態の防護管1は、海底ケーブルなどの水中ケーブル100(
図7)において、ケーブル本体101(
図7)の外周を覆って、ケーブル本体101を保護する部材である。防護管1は、
図1に示すように筒状に組み合わされる一対の半割れ部材1u,1dと、両半割れ部材1u,1dを筒状に固定する連結部材2とを備える。各半割れ部材1u,1dは、樋状の本体部10と、本体部10の周方向の各外縁10e,10e(
図1では二点鎖線で仮想的に示す)から本体部10の軸方向に沿って延設されるフランジ部15,15とを備える。両半割れ部材1u,1dは、
図3に示すように、一方の半割れ部材1uの本体部10と他方の半割れ部材1dの本体部10とが円筒状となるように、かつ一方の半割れ部材1uに備えるフランジ部15,15の対と他方の半割れ部材1dに備えるフランジ部15,15の対とがそれぞれ重なり合うように組み合わされる。連結部材2は、
図5,
図6に示すように、両半割れ部材1u,1dにおける重なり合わされたフランジ部15,15(以下、フランジ組と呼ぶことがある)に取り付けられ、フランジ組が分離しないように固定する。
【0034】
実施形態の防護管1では、連結部材2が上述のフランジ組を跨いで嵌め込まれることでフランジ組の分離を防止し、両半割れ部材1u,1dを筒状に保持する。このような連結部材2を備える防護管1は、上述の鍔(フランジ部15に相当)同士をボルトで締め付ける従来の構造と比較して、両半割れ部材1u,1dを一体化するためのボルトの使用数を低減できる。また、後述するように、連結部材2におけるフランジ組への嵌め込み作業をガイドローラ500(
図9)によって行うことで、防護管1の装着に際して、作業者の負担を軽減できる。以下、より詳細に説明する。
【0035】
〈半割れ部材〉
各半割れ部材1u,1dは、両者を組み合わせた状態で円筒状となり、ケーブル本体101の収納空間を形成する本体部10と、両者の組み合わせ状態を保持する箇所として利用されるフランジ部15とを備える。この例の各半割れ部材1u,1dは、同一形状、同一の大きさであり、
図1の上側に示す一方の半割れ部材1uを上下ひっくり返すと、
図1の下側に示す他方の半割れ部材1dに一致する。
【0036】
《本体部》
本体部10は、その横断面が半円形状の部材である。この例の本体部10は、その全長に亘って同一径ではなく異なっており、本体部10の長手方向の中間部に対して両端部が肥大している。また、本体部10の一端部に比較して他端部は更に大径である。このような大きさが異なる端部を、複数の防護管1同士を連結する連結箇所として利用する。詳しくは、この例の本体部10は、横断面が半円形状の直管部11と、直管部11の各端部に設けられ、別の防護管1と回転自在に連結される半球帯状の接続部12,13とを備える。一端部側の接続部12は、他端部側の接続部13よりも小径である。両半割れ部材1u,1dを組み合わせた状態では、一端部側に小径の球帯を備え、他端部側に大径の球帯を備える。ある防護管1の一端部側の接続部12を、別の防護管1の他端部側の接続部13で覆って両防護管1,1を連結すると(
図7)、小径の球帯(接続部12,12)は、大径の球帯(接続部13,13)内に回転自在に保持される。その結果、軸方向に隣り合う防護管1,1は屈曲可能に連結される。
【0037】
その他、
図1に示すように、本体部10の外周面から、本体部10の径方向外方に突出するリブ110を備えると、強度に優れる防護管1とすることができる。
図1では、直管部11の外周面において、その周方向の中間部に、直管部11の軸方向の全長に亘って連続する一つのリブ110を備える場合を例示する(
図2〜
図6も参照)。その他、軸方向に離間して複数のリブ片群を備えたり、更に強度が求められる場合には複数のリブ(又はリブ片群)を周方向に並列して備えたりすることもできる(いずれも図示せず)。
図7〜
図9ではリブを省略している。
【0038】
直管部11や接続部12,13の大きさ(直径、軸方向の長さなど)は、収納するケーブル本体101の大きさ(外径など)に応じて適宜選択できる。
【0039】
《フランジ部》
この例のフランジ部15はいずれも、本体部10の各外縁10eから、本体部10の径方向外方に突出し、本体部10の軸方向に沿って設けられる長方形状の板材である。また、この例のフランジ部15は、
図1に示すように直管部11の全長に亘って、直管部11に延設される(以下、直線フランジ部151と呼ぶことがある)。この例のフランジ部15はいずれも、同じ形状、同じ大きさ(外縁10eからの突出長さ、上記軸方向に沿った長さ、直管部11に対する形成長さ、厚さなど)である。
【0040】
各半割れ部材1u,1dにおいて、本体部10の両側に突出するフランジ部15,15にはそれぞれ、少なくとも一つの連結部材2が取り付けられる。即ち、一つの半割れ部材に対して合計二つ以上の連結部材2が取り付けられる。そのため、各フランジ部15における連結部材2の配置位置には、後述する連結ピン20が差し込まれる貫通孔(以下、軸孔と呼ぶ)が設けられている。この例では各フランジ部15に、その軸方向に離間して合計二つの軸孔を備え、一つの半割れ部材に対して合計四つの軸孔を備える場合を示すが、軸孔の個数、形成位置などは、連結部材2の個数、配置位置などに応じて適宜変更できる。この例では、
図4,
図5に示すように一組のフランジ組(ここでは重ね合わされた直線フランジ部151,151の組)に対して、各接続部12,13寄りの位置にそれぞれ連結部材2を一つずつ、合計二つの連結部材2を取り付ける(一つの防護管1に対して合計四つの連結部材2を取り付ける)。この連結部材2の配置位置に対応して、各フランジ部15は、接続部12の近傍に一つの軸孔、軸方向の中間部に一つの軸孔を備える。
【0041】
各フランジ部15(ここでは直線フランジ部151)の形状、大きさ(上述参照)などは適宜変更できる。例えば、フランジ部15の形成長さを直管部11の軸方向の長さよりも短くすることができる。本例のように、フランジ部15の形成長さを直管部11の全長に及ぶ長さとすると、連結部材2の個数を多くしたり、長い連結部材2を配置したりし易く、両半割れ部材1u,1dの接続強度を高め易い。
【0042】
《構成材料》
半割れ部材1u,1dの構成材料には、代表的には鋳鉄などの金属が挙げられる。
【0043】
その他、半割れ部材1u,1dは、公知の構成(例、特許文献1の接続部を備える半割管など)を利用できる。
【0044】
〈連結部材〉
連結部材2は、両半割れ部材1u,1dを組み合わせた状態から分離しないように一体に保持する部材である。連結部材2は、一端部側に、フランジ部15に対して回転自在に取り付けられる軸支部を有し、他端部側に、フランジ組に対して近接離反するように揺動される自由端部を有し、フランジ組を跨いで嵌め込まれるクランプ部21を備える。この例の連結部材2は、一端部側に両半割れ部材1u,1dのフランジ部15,15に亘って差し込まれる連結ピン20を備える。また、この例のクランプ部21は、一端部側に連結ピン20が差し込まれる連結片23を備える。連結ピン20は、フランジ組の積層方向に
平行するようにフランジ部15とクランプ部21の一端部側(連結片23)とに差し込まれ(
図5,
図8)、連結部材2を軸支する。クランプ部21は、この連結ピン20を中心として回転可能であり(
図2の矢印参照)、連結ピン20を中心としてクランプ部21をフランジ組に近づく方向に回転させると、クランプ部21の自由端部側の領域(この例では連結片23を除く領域)は、フランジ組に嵌め込まれて、フランジ組を挟む(
図5)。クランプ部21がフランジ組を挟持することで、両半割れ部材1u,1dが組み合わせられた状態を保持する。
【0045】
《連結ピン》
連結ピン20は、
図1に示すように、フランジ部15の軸孔に挿入可能な断面形状及び断面積を有し、所定の長さを有する棒状の部材を利用できる。また、連結ピン20は、差し込まれるフランジ部15の軸孔から抜け落ちないように、連結ピン20の一端部に軸孔の内径よりも大きい頭部を備えるものが好適に利用できる。連結ピン20として、ボルトなどの締結部材を利用することもできる。このボルトは締め付ける必要は無く、フランジ組に差し込めばよく、連結ピン20の取付作業性に優れる。
【0046】
この例の連結ピン20は、
図3に示すように、両半割れ部材1u,1dにおける重ね合わされたフランジ部15,15に亘って差し込まれる。また、この例の連結ピン20は、フランジ組に差し込まれた状態において、連結ピン20の先端部が一方の半割れ部材(ここでは半割れ部材1d)のフランジ部15から突出するように差し込まれる。そのため、連結ピン20の長さは、フランジ組の合計厚さtsよりも長い。連結ピン20の長さを上記合計厚さts以上、更に上記合計厚さts超とすると、クランプ部21だけでなく、連結ピン20自体も両半割れ部材1u,1dを一体化する部材として機能させられて、両半割れ部材1u,1dの接続強度を高められる。更に、上述の差込状態において、連結ピン20の先端部が上述の一方の半割れ部材(1d)から突出しているか否かを確認することで、連結ピン20の差込が適切か否か、ひいては半割れ部材1u,1dへの連結部材2の取付が適切か否かを容易に確認できる。他方の半割れ部材(ここでは半割れ部材1u)には、上述の頭部が掛止される(
図3,
図5)。加えて、上述のように連結ピン20をボルトとする場合には、フランジ部15から突出したボルトの先端部にナットを締め付けると、フランジ組をより強固に固定できる。
【0047】
連結ピン20の長さを、フランジ組をなす一つのフランジ部15の厚さ(ここでは0.5×ts)以上、上述の合計厚さts未満とすることもできる。この場合でも上述のように両半割れ部材1u,1dの接続強度を高め易い。また、連結ピン20の先端部が上述の一方の半割れ部材(1d)から突出しないため、防護管1を備える水中ケーブル100の外形の凹凸を低減して、水中に搬送し易いと期待される。
【0048】
《構成材料》
連結ピン20の構成材料、後述するクランプ部21の構成材料には、代表的には鉄などの金属が挙げられる。
【0049】
《クランプ部》
クランプ部21は、一端部を軸支部とし、他端部を自由端部とする。この例では、他端部側にフランジ組に嵌め込まれるクランプ本体22を備える。この例では、ブラケット状(横断面コの字状)のクランプ本体22を備える。クランプ本体22は、フランジ組を挟む一対の帯状(細幅の板状)の挟持部220,220と、これら挟持部220,220を繋ぐ帯状(同)の連結部222とを備える。
【0050】
クランプ本体22は、フランジ組を跨いでこれらを挟持可能な形状であればよく、例えば、横断面形状がC字状の部材などとすることができる。この例のように、クランプ本体22において挟持部220を帯状とすれば、フランジ組に面接触できる。そのため、クランプ本体22におけるフランジ組の挟持面積(接触面積)及び挟持長さを増大でき、両半割れ部材1u,1dの接続強度を高められ、分離を防止できる。クランプ本体22において連結部222は、両挟持部220,220を連結できればよく、その厚さや長さを挟持部220の厚さや長さとは異ならせることができる。例えば、連結部222の厚さや長さを挟持部220よりも薄くしたり、短くしたりすることができる。その他、一対の挟持部220,220及び連結部222の少なくとも一つに溝や貫通孔などを設けて、部分的に厚さが薄い箇所などを備えることができる。これらの場合、構成材料の減量によって、連結部材2の軽量化を図ることができる。この例のように、一対の挟持部220,220及び連結部222の厚さ及び長さが実質的に等しく(一方の挟持部220については連結片23を除く部分)、溝や貫通孔を有しておらず、一様な厚さの帯状とすれば、連結部材2自体の強度を高め易い。そのため、フランジ組を強固に接合でき、両半割れ部材1u,1dの分離をより防止し易い。
【0051】
この例では、一端部側にクランプ本体22から突出し、連結ピン20が差し込まれる連結片23を備える(
図3,
図5も参照)。詳しくは、一方(
図5では上側)の挟持部220の長さを他方(同下側)の挟持部220の長さよりも長くし、この延長部分を連結片23とする。連結片23には、フランジ部15と同様に、連結ピン20が挿通される軸孔を備える。連結片23がクランプ本体22から突出することで、
図2,
図3に示すように、連結部材2をフランジ部15に取り付ける際に、クランプ本体22をフランジ組に実質的に嵌め込ませない状態で、連結片23に連結ピン20を差し込むことができる。従って、半割れ部材1u,1dと連結部材2とを容易に一体化でき、作業性に優れる。また、本例のように連結片23を一方の挟持部220にのみ備えると、両挟持部220,220の双方に連結片23,23を備える場合(後述する変形形態(1))に比較して、連結ピン20の差込時間の短縮、連結ピン20の短小化などを図ることができる。更に、この例のように、連結片23を
図2,
図4に示すように三角形状とし、連結ピン20の頭部からの突出箇所が少ない形状とすると、クランプ本体22を回転させ易い。
【0052】
その他、クランプ部21は、
図6に二点鎖線で仮想的に示すように、クランプ部21の内面から、フランジ組を圧接する方向に突出する突部225を備えることができる。詳しくは、フランジ組を挟み、対向配置される挟持部220,220の内面のうち、少なくともの一方の挟持部220の内面から突出する突部225を備えることが挙げられる。
図6では、両挟持部220,220の内面から対向するように突部225,225を備える場合を例示する。突部225を備えて、突部225によってフランジ組を圧接することで、両半割れ部材1u,1dの接続強度を高められる。また、突部225は、代表的には金属といった塑性変形可能な材料からなるため、フランジ組にクランプ部21(クランプ本体22)を強制的に嵌め込むことで、突部225を塑性変形させてフランジ部15により密着させ易い。このことからも、クランプ部21がフランジ組から外れ難く、両半割れ部材1u,1dの接続強度を高められる。更に、このようなフランジ組の圧接箇所をなす突部225をクランプ部21に局所的に備えることで、クランプ部21をフランジ組に嵌め込み易い。突部225の形状、個数、配置位置などは適宜選択できる。突部225に対応して、フランジ部15における突部225の形成位置に対応した箇所に凹部などを設けると、フランジ組を挟み込むクランプ部21がより外れ難い。
【0053】
《フランジ組に対する連結部材の取付位置と個数》
実施形態の防護管1は、両半割れ部材1u,1dが組み合わされた状態において、筒状をなす本体部10,10の両側に設けられるフランジ部15,15にそれぞれ、一つ以上の連結部材2が取り付けられ、合計二つ以上の連結部材2を備える。一つのフランジ組に対する連結部材2の個数、連結部材2の配置位置などは適宜選択できる。また、防護管1は、複数の連結部材2を備えるため、その形状及び大きさの少なくとも一方が異なる連結部材2を備えることができる。
【0054】
図1〜
図6に示す実施形態1の防護管1Aは、上述のようにフランジ部15として直線フランジ部151を有し、直線フランジ部151,151からなるフランジ組の形状に対応して直線的な形状(上述のブラケット状)のクランプ本体22を備える連結部材2Aが配置される。
【0055】
この例の防護管1Aは、
図4,
図5に示すように各フランジ組において接続部12,13寄りにそれぞれ一つずつ連結部材2が取り付けられ、合計四つの連結部材2を備える。また、この例の防護管1Aは、
図2,
図4に示すように本体部10の中心軸Lcを中心にして、線対称な位置に連結部材2を備える。更に、この例では、合計四つの連結部材2を同一形状、同一の大きさとする。一つのフランジ組に対する連結部材2の個数が複数であること、各連結部材2の形状、大きさが同一であること、及び中心軸Lcを中心として線対称な位置に連結部材2が配置されることの少なくとも一つを満たすと(この例では全て満たす)、両半割れ部材1u,1dの接続強度を高めたり、本体部10の周方向や軸方向にみて、均一的な接続強度を有したりし易い。
【0056】
一つのフランジ組に対する連結部材2の個数を減らし、一つの連結部材2の長さを長くすることができる。この場合、比較的長い連結部材2によって、フランジ組の挟持面積(接触面積)や挟持長さを増大でき、フランジ組を強固に挟持して、両半割れ部材1u,1dの接続強度を高められる。また、連結部材2の個数が少ないことで、連結部材2をフランジ組に取り付ける作業時間も短縮できる。但し、この場合、連結部材2の長大化によって重量が増大して取り扱い難くなり、この点から作業効率を低下させる可能性がある。従って、この例のように、一つのフランジ組に対して複数の連結部材2を備える防護管1は、両半割れ部材1u,1dの接続強度を高められる上に、防護管1の構成部材が取り扱い易く、作業性に優れて利用し易いと期待される。
【0057】
図7に示す実施形態2の防護管1Bのように、各半割れ部材1u,1dのフランジ部15は、直管部11に延設される直線フランジ部151と、接続部13に延設される湾曲フランジ部152とを備えることができる。この場合、連結部材2は、直線フランジ部151及び湾曲フランジ部152の少なくとも一方に取り付けられることができる。
図7に示すように連結部材2Bは、湾曲フランジ部152に取り付けられる形態とすることができる。この例の湾曲フランジ部152は、防護管1群を構築する場合に外周側に配置される大径の接続部13に延設される。この接続部13の形状に対応して、連結部材2Bのクランプ本体22も湾曲形状(円弧形状)である。この例の連結部材2Bは、クランプ本体22が湾曲形状である点を除いて、上述の連結部材2Aと同様の構成である。即ち、クランプ部21はクランプ本体22と連結片23とを備え、連結片23に連結ピン20が差し込まれる。直線フランジ部151に連結部材2Aを取り付ける形態は実施形態1を参照するとよい。直線フランジ部151及び湾曲フランジ部152の双方に連結部材2A,2Bを取り付ける形態とすることもできる(
図7では、連結部材2Aを二点鎖線で仮想的に示す)。
【0058】
ここで、複数の防護管1が連結された防護管1群は、接続部12,13によって隣り合う防護管1,1同士が屈曲可能であり、内部にケーブル本体101を収納した状態でもある程度屈曲できる。但し、この屈曲によって、接続部12,13及びその近傍には、両半割れ部材1u,1dが分離する方向の力が作用する。特に両半割れ部材1u,1dにおける重ね合わされた湾曲フランジ部152,152に作用する力が大きく、これら湾曲フランジ部152,152が外れる可能性がある。これに対し、この例のように、湾曲フランジ部152に連結部材2Bが取り付けられることで、上述の分離方向の力が作用する場合でも、湾曲フランジ部152,152を強固に挟持でき、両半割れ部材1u,1dの接続強度を高められ、分離を防止できる。
【0059】
更に、湾曲フランジ部152に配置される連結部材2Bにおける自由端部側に、この自由端部側の領域と湾曲フランジ部152とを共に締め付ける締結部材4(
図7では二点鎖線で仮想的に示す)を備えることができる。この場合、上述の分離方向の力が作用する場合でも、湾曲フランジ部152,152をより強固に固定でき、接続強度を高められて、分離を更に防止し易い。締結部材4にはボルトが利用できる。この形態では、連結部材2B及び湾曲フランジ部152における軸孔の形成箇所以外の箇所に、締結部材4が挿入される貫通孔(以下、締結孔と呼ぶ)を設けておく。
【0060】
一つの連結部材2Bにおける締結部材4の個数、配置位置などは適宜選択できる。締結部材4及び締結孔の個数を複数とすれば、上述の接続強度を更に高め易い。但し、ボルトといった締結部材4を締め付ける必要があり、連結部材2Bの装着時間の増大を招く。
図7に示すように一つの連結部材2に対して締結部材4及び締結孔の個数を一つとすると、上述の接続強度を高めつつ、上述の装着時間の増大を招き難い。また、
図7に示すように、締結部材4及び締結孔の形成位置を軸孔の形成箇所から離れた位置、連結部材2Bでは連結片23とは反対側の端部近傍とすると、上述の接続強度をより高め易い。この場合、連結部材2Bの一端部と湾曲フランジ部152,152のフランジ組の一部とが連結ピン20で固定されると共に、連結部材2Bの他端部及び上記フランジ組の他部が締結部材4で固定されるという二点支持がなされる。そのため、連結部材2Bは、上記フランジ組から離れる方向に実質的に回転せず、上記フランジ組を強固に固定できるからである。
【0061】
なお、締結部材4は、実施形態1で説明した、直線フランジ部151に連結部材2Aを取り付ける場合にも備えることができる。
【0062】
〈主要な効果〉
実施形態の防護管1は、上述の鍔同士をボルト締結する従来の構造と比較して、ボルトの使用数を格段に低減でき、締結時間を軽減できる、又は全く無くすことができる。この例の防護管1は、半割れ部材1u,1dのフランジ組と連結部材2の連結片23とに連結ピン20を差し込み、連結ピン20を中心としてクランプ部21を回転させて、フランジ組にクランプ部21を嵌め込むという簡単な作業によって、両半割れ部材1u,1dを一体化することができる。従って、実施形態の防護管1は、水中ケーブル100のケーブル本体101への装着時間を短縮でき、作業性に優れる。連結部材2はフランジ組の挟持面積(接触面積)や挟持長さをボルトに比較して増大し易く、一つの防護管1に要求される所定の接続強度を満たすための連結部材2の個数を少なくし易い。このことからも、上記装着時間を短縮できる。
【0063】
(水中ケーブル)
実施形態の水中ケーブル100は、実施形態の防護管1を備える。代表的には、水中ケーブル100は、上述の直管部11と接続部12,13とを備える半割れ部材1u,1dを組み合わせてなる複数の防護管1を備える。特に、水中ケーブル100は、接続部12,13によって接続された防護管1群を備える。ケーブル本体101の基本構成は、公知の構成を利用でき、詳細な説明を省略する。
【0064】
〈主要な効果〉
実施形態の水中ケーブル100は、ボルトの使用数を低減できる実施形態の防護管1を備えるため、複数の防護管1を備える場合でも、ボルトの締結時間を低減でき、好ましくは実質的に無くすことができる。そのため、水中ケーブル100は、各防護管1を装着し易く、防護管1の装着時間(防護管1群を備える場合には合計時間)を短縮でき、作業性に優れる。また、実施形態の防護管1は、上述のようにフランジ組に連結部材2を嵌め込むため、両半割れ部材1u,1dの接続強度に優れており、実施形態の水中ケーブル100は、高強度な防護管1や防護管1群を備えることができる。
【0065】
(水中ケーブルの布設方法)
実施形態の防護管1は、代表的には、布設船といった船上から水中に水中ケーブル100を布設する際に、布設船上で上述のケーブル本体101の外周に取り付けられて利用される。実施形態の水中ケーブル100は、実施形態の防護管1が取り付けられて、布設船上から水中に布設される。このような実施形態の防護管1を備える水中ケーブル100を布設する場合、基本工程は公知の方法を参照できる。概略を述べると、布設船上には、ケーブル本体101を巻き取って載置させておく。巻き戻したケーブル本体101を押出機構(図示せず、ケーブル本体101に走行のための動力を付与するもの)によって押し出して、ケーブル本体101を船上から水中に向かって走行させる。布設船上には、ケーブル本体101を走行させ易いように、ケーブル本体101の下方(図示せず)や側方(
図9)にガイドローラを配置する。水中までの搬送路上において、ケーブル本体101の外周に防護管1を装着する。ケーブル本体101の外周を一対の半割れ部材1u,1dで覆い、フランジ部15,15を重ね合わせるまでの工程は、特許文献1に記載される工程などを利用できる。
【0066】
特に、フランジ組に連結部材2を嵌め込む実施形態の防護管1を備える水中ケーブル100を布設する場合には、例えば、以下の実施形態の水中ケーブルの布設方法を利用できる。実施形態の水中ケーブルの布設方法は、ケーブル本体101の外周に一対の半割れ部材1u,1dを組み合わせてなる防護管1を取り付けて、船上から水中に水中ケーブル100を布設する方法であり、以下の準備工程、配置工程、連結工程を備える。
〈準備工程〉実施形態の防護管1を用意する工程。
〈配置工程〉ケーブル本体101の外周を両半割れ部材1u,1dで覆うと共に、両半割れ部材1u,1dのフランジ部15,15同士を重ね合わせる工程(
図8)。
〈連結工程〉水中ケーブル100をガイドローラ500(
図9)で案内して水中に搬送する際、ガイドローラ500によって、重ね合わせたフランジ部15,15に近づく方向にクランプ部21を押圧して、重ね合わせたフランジ部15,15にクランプ部21を嵌め込む工程。
【0067】
ここで、連結部材2を半割れ部材1u,1dに取り付けたり、フランジ組にクランプ部21を嵌め込んだりする作業を作業者が行うことができる。この場合でも、実施形態の水中ケーブル100は実施形態の防護管1を備えるため、防護管1の装着時間を短くすることができる。実施形態の水中ケーブルの布設方法のように、フランジ組へのクランプ部21の嵌め込み作業にガイドローラ500を利用すれば、防護管1の装着作業における作業者の負担を軽減できる。特に、複数の防護管1群を構築する場合には、上記作業者の負担をより一層軽減できる。ガイドローラ500の詳細は後述する。
【0068】
準備工程では、半割れ部材1u,1dと連結部材2とが取り付けられた状態のものを用意することができる(後述する変形形態(3)参照)。一方、上述のようにある程度長い連結ピン20を備える場合などでは、準備工程には、半割れ部材1u,1dに連結部材2が取り付けられていないものを用意し、配置工程では、
図8に示すように両半割れ部材1u,1dにおける重ね合わせたフランジ部15,15と連結部材2の一端部側(ここでは連結片23)
に連結ピン20を差し込んで、半割れ部材1u,1dに連結部材2を取り付けることが挙げられる。連結ピン20は上述のようにフランジ組に締め付ける必要が無く差し込むだけでよく、作業性に優れる。この例のようにクランプ部21がクランプ本体22と連結片23とを備える場合には、クランプ本体22をフランジ組から離れた位置に配置させて(
図2,
図3,
図7の下側、
図10の左図も参照)、連結片23に連結ピン20を差し込むことができる。こうすることで、半割れ部材1u,1dに連結部材2を容易に取り付けられる。この段階では、クランプ本体22をフランジ組に嵌め込む必要はない。半割れ部材1u,1dと連結部材2とは、水中ケーブル100の進行方向前方に連結部材2の軸支部(ここでは連結ピン20及び連結片23)が位置し、進行方向後方に自由端部が位置するようにケーブル本体101の外周に配置する。
【0069】
半割れ部材1u,1dと連結部材2とが取り付けられ、かつクランプ部21がフランジ組に嵌め込まれていない状態のもの(以下、未嵌合のケーブルと呼ぶ)をガイドローラ500で案内する。
図9に示すように未嵌合のケーブルの両側に、未嵌合のケーブルを挟むように一対のガイドローラ500,500を配置する。これら一対のガイドローラ500,500によって、クランプ部21を押圧して、フランジ組に嵌め込む方法として、例えば、以下が挙げられる。
【0070】
(a)両ガイドローラ500,500間の間隔を、連結部材2のクランプ部21がフランジ組に適切に嵌め込まれた状態(防護管1を備える水中ケーブル100の状態)の間隔と同等以下、好ましくはより小さい程度とする。
(b)
図9に示すように、両ガイドローラ500,500のうち、少なくとも一方に未嵌合のケーブル側に押し付ける押圧機構501を配置する。
【0071】
上記(a)では両ガイドローラ500,500間の間隔を、未嵌合のケーブルの大きさなどに応じて、クランプ部21をフランジ組に嵌め込むために必要な押圧力を発揮できるように調整する。上記(b)において、押圧機構501は、例えば、ガイドローラ500の回転軸を押圧する油圧シリンダなどが挙げられる。両ガイドローラ500,500に押圧機構501,501を配置して両ガイドローラ500,500を押し付ける場合、未嵌合のケーブルの各側方に配置される連結部材2,2を均一的に押圧し易い。
【0072】
以下、
図10を参照して、ガイドローラ500による連結部材2のクランプ部21の押し込み動作を説明する。
図10の紙面左側が水中側、紙面右側が布設船側であり、水中ケーブル100は左側に向かって走行する場合を示す(黒塗潰し矢印参照)。また、
図10では、実施形態2の防護管1Bの一部(湾曲フランジ部152の近傍及び一つの連結部材2B)、及び一方のガイドローラ500のみを例示する。
【0073】
図10の左図に示すように、ガイドローラ500,500間の通過前において、連結部材2の連結片23は、連結ピン20によってフランジ部15に軸支され、クランプ部21の自由端部側は揺動可能な状態である。このようなクランプ部21の自由端部側は、フランジ組に嵌め込まれず、フランジ組から離れる位置(
図10では上方)に配置される。
【0074】
未嵌合のケーブルが水中に向かって走行すると、
図10の左中図に示すように、クランプ部21は、ガイドローラ500に当接し、ガイドローラ500によって、フランジ組に近づくように押圧されることで、連結ピン20を中心として回転する。
図10では、クランプ部21は、連結ピン20を中心として時計回りに回転する。
【0075】
未嵌合のケーブルの走行に伴って、
図10の左中図、中図、右中図に示すように、ガイドローラ500によるクランプ部21の押圧位置が一端部側(連結ピン20側であり連結片23側)から、他端部側(連結ピン20に軸支されない自由端部側)にずれる。このような押圧位置の移動によって、クランプ部21の挟持部220,220(
図1など)は、一端部側から順に、フランジ組に嵌め込まれる。上述の押圧機構501を備える場合には、ガイドローラ500による押圧、いわばフランジ組へのクランプ部21の嵌め込みをより確実に行える。特に、
図10の右中図に示すように、クランプ部21の他端部側をガイドローラ500が押圧する際には、上述の押圧機構501によってガイドローラ500を押圧すると、クランプ部21をフランジ組により一層確実に嵌め込み易い。
【0076】
未嵌合のケーブルが更に走行して、
図10の右図に示すようにガイドローラ500を通過すると、フランジ組を跨いでクランプ部21(クランプ本体22の全体)が嵌め込まれる。こうすることで、実施形態の防護管1を備える水中ケーブル100を構築できる。
【0077】
なお、ガイドローラ500での押圧が不足する場合には、作業者がハンマなどを用いてクランプ部21をたたいて押し込むことができる。
【0078】
〈主要な効果〉
実施形態の水中ケーブルの布設方法は、上述のように簡単な作業でケーブル本体101に装着できる実施形態の防護管1を備えるため、防護管1の装着時間を短縮でき、作業性に優れる。特に、実施形態の水中ケーブルの布設方法は、ガイドローラ500によって、連結部材2をフランジ組に嵌め込むため、作業者の負担を軽減できる。
【0079】
(用途)
実施形態の防護管1は、海底ケーブルに代表される水中ケーブル100の保護部材として利用できる。実施形態の水中ケーブル100は、海底などに布設されて、電力線路に利用できる。実施形態の水中ケーブルの布設方法は、海底ケーブルに代表される水中ケーブルの布設に利用できる。
【0080】
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、以下の少なくとも一つの変更が可能である(変形形態)。
(1)連結片23を一つではなく、重ね合わされたフランジ部15,15(フランジ組)を挟むように二つ備える連結部材とする。
この場合、挟持部220,220間の間隔をフランジ組の合計厚さtsと同程度とし、両連結片23,23間の間隔を上記合計厚さtsよりも若干大きめにすると、フランジ組を挟むように両連結片23,23を配置し易く、作業性に優れる。
【0081】
(2)クランプ部21全体をブラケット状とする。
この場合、クランプ部21の一端部側の大きさ(例えば、連結ピンの軸孔近傍の大きさ)は、クランプ部21の自由端部側を揺動可能な程度に調整する。上述のように、クランプ部21における軸孔近傍の両挟持部220,220間の間隔をフランジ組の合計厚さtsよりも若干大きめにすると、フランジ組にクランプ部21を取り付け易い。
【0082】
(3)連結ピン20の長さを調整して、一対の半割れ部材1u,1dのうち、一方の半割れ部材のフランジ部15にのみ差し込み、他方の半割れ部材のフランジ部15には差し込まない。
この場合、連結ピン20の長さを一つのフランジ部15の厚さ(ここでは0.5×ts)以下とすればよい。連結ピン20が短いことで、差込時間を短縮でき、半割れ部材に連結部材2を取り付け易い。例えば、予め工場などで一方の半割れ部材に連結部材2を取り付けたものを製造して布設船に搭載すれば、布設船上で半割れ部材に連結部材2を取り付ける必要が無く、布設船上での作業者の作業を軽減できる。
又は、一方の半割れ部材(例えば半割れ部材1u)のフランジ部15にのみ連結部材2を取り付ける別例として、連結ピン20を省略し、このフランジ部15には軸孔に代えて連結片23との対向面から突設される軸部を設け、クランプ部21の一端部側(例えば連結片23)をこの軸部に挿入する形態が挙げられる。
又は、更に別例として、連結ピン20を省略し、クランプ部21の一端部側(例えば連結片23)の軸孔に代えて、フランジ部15との対向面から突設される軸部を設け、この軸部をフランジ部15の軸孔に挿入する形態が挙げられる。
このように軸支部は、クランプ部21に軸孔を備え、この軸孔にクランプ部21とは独立した連結ピン20等の軸部が挿入される形態、フランジ部15に軸孔を備え、クランプ部21にはこの軸孔に挿入する軸部を備える形態などが挙げられる。
【0083】
(4)フランジ部15を本体部10の軸方向に連続した一体物とせず、本体部10の軸方向に離間して設けられる複数のフランジ片とする。
この場合、各フランジ片に連結部材2を取り付けることが挙げられる。