(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ラインスクリーンを使用するハーフトーン処理とドットスクリーンを使用するハーフトーン処理とを含む複数のハーフトーン処理方法のいずれかを選択するスクリーン選択部と、
前記スクリーン選択部によって選択されたハーフトーン処理方法を使用してハーフトーン処理を実行するハーフトーン処理部と、
回転可能な感光体と、画像データに基づいて前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、磁気ローラと、現像ローラとを有し、前記磁気ローラと前記現像ローラとの間のトナー層形成電位差に応じた厚さのトナー層を前記現像ローラに形成し、前記現像ローラの電位である現像バイアス電位と前記静電潜像とに基づいて前記トナー層から前記感光体にトナーを付着させる現像部と、
前記ラインスクリーンを使用してハーフパッチを形成して前記現像部の現像バイアス電位を予め設定された調整範囲内で調整して第1の校正処理を実行し、前記第1の校正処理において前記調整範囲内の電位制限値となった場合には、前記ドットスクリーンを使用してハーフパッチを形成して前記第1の校正処理を実行し、前記ドットスクリーンを使用する第1の校正処理において前記調整範囲内の電位制限値となった場合には、ベタ画像を形成するためのドット面積率を設定して第2の校正処理を実行する校正処理部と、
を備える画像形成装置。
ラインスクリーンを使用するハーフトーン処理とドットスクリーンを使用するハーフトーン処理とを含む複数のハーフトーン処理方法のいずれかを選択するスクリーン選択工程と、
前記スクリーン選択工程によって選択されたハーフトーン処理方法を使用してハーフトーン処理を実行するハーフトーン処理工程と、
回転可能な感光体と、画像データに基づいて前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、磁気ローラと、現像ローラとを用い、前記磁気ローラと前記現像ローラとの間のトナー層形成電位差に応じた厚さのトナー層を前記現像ローラに形成し、前記現像ローラの電位である現像バイアス電位と前記静電潜像とに基づいて前記トナー層から前記感光体にトナーを付着させる現像工程と、
前記ラインスクリーンを使用してハーフパッチを形成して前記現像工程の現像バイアス電位を予め設定された調整範囲内で調整して第1の校正処理を実行し、前記第1の校正処理において前記調整範囲内の電位制限値となった場合には、前記ドットスクリーンを使用してハーフパッチを形成して前記第1の校正処理を実行し、前記ドットスクリーンを使用する第1の校正処理において前記調整範囲内の電位制限値となった場合には、ベタ画像を形成するためのドット面積率を設定して第2の校正処理を実行する校正処理工程と、
を備える画像形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロックダイアグラムである。画像形成装置1は、制御部10と、画像形成部20と、記憶部40と、画像読取部50と、定着部80とを備えている。画像読取部50は、原稿から画像を読み取ってデジタルデータである画像データIDを生成する。
【0013】
画像形成部20は、色変換処理部21と、ハーフトーン処理部22と、校正用濃度センサ28と、露光部29と、アモルファスシリコン感光体である感光体ドラム(像担持体)30c〜30kと、現像部100c〜100k、帯電部25c〜25kとを有している。色変換処理部21は、RGBデータである画像データIDの色空間を現像部100c〜100kで再現可能な色空間のCMYKデータに色変換する。ハーフトーン処理部22は、CMYKデータにハーフトーン処理を実行してCMYKのハーフトーンデータとして印刷データPDを生成する。ハーフトーンデータは、CMYKの各トナーによって形成されるドットの形成状態を表し、ドットデータとも呼ばれる。
【0014】
制御部10は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。また、制御部10は、各種I/O、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、バス、その他ハードウェア等のインターフェイスに関連するコントローラ機能を備え、画像形成装置1全体を制御する。制御部10は、校正処理部11とスクリーン選択部12とを備えている。
【0015】
記憶部40は、非一時的な記録媒体であるハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置で、制御部10が実行する処理の制御プログラムやデータを記憶する。記憶部40は、本実施形態では、さらに校正用データCD1及びスクリーンデータCD2を格納している。校正用データCD1は、たとえばLUT(Look Up Table))として構成することができる。スクリーンデータCD2は、ハーフトーン処理部22で利用可能なスクリーンを使用するためのデータである。校正用データCD1及びスクリーンデータCD2の詳細については後述する。
【0016】
図2は、一実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1は、タンデム型のカラープリンターである。画像形成装置1は、その筐体70内に、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの各色に対応させて感光体ドラム(像担持体)30m、30c、30y及び30kが一列に配置されている。感光体ドラム30m、30c、30y及び30kのそれぞれに隣接して、現像部100m、100c、100y及び100kが配置されている。
【0017】
感光体ドラム30m、30c、30y及び30kには、露光部29から各色用のレーザー光Lm、Lc、Ly及びLkが照射(露光)される。この照射によって、感光体ドラム30m、30c、30y及び30kに静電潜像が形成される。現像部100m、100c、100y及び100kは、トナーを攪拌しながら、感光体ドラム30m、30c、30y及び30kの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させる。これにより、現像工程が完了し、感光体ドラム30c〜30kの表面に各色のトナー像が形成される。
【0018】
画像形成装置1は、無端状の中間転写ベルト27を有している。中間転写ベルト27は、テンションローラ24、駆動ローラ26a及び従動ローラ26bに張架されている。中間転写ベルト27は、駆動ローラ26aの回転によって循環駆動させられる。
【0019】
たとえば感光体ドラム30k上のブラックのトナー像は、感光体ドラム30kと一次転写ローラ23kとで中間転写ベルト27を挟み、中間転写ベルト27が循環駆動させられることによって中間転写ベルト27に一次転写される。この点は、シアン、イエロー、マゼンタの3色についても同様である。
【0020】
中間転写ベルト27の表面には、所定のタイミングで相互に重ね合わせられるように一次転写が行われることによってフルカラートナー像が形成される。校正用濃度センサ28は、一次転写が完了し、二次転写の前のトナー像の濃度が計測できる位置に配置されている。フルカラートナー像は、その後、給紙カセット60から供給された印刷用紙Pに二次転写され、定着部80の定着ローラ対81によって印刷媒体としての印刷用紙Pに定着される。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態に係る現像部100の構造を示した側面断面図である。現像部100m、100c、100y及び100kは、同一の構成を有し、これらは単に現像部100とも呼ばれる。現像部100は、2本の攪拌搬送部材141,142と、磁気ローラ143と、現像ローラ(現像剤担持体)144と、現像容器145と、規制ブレード146とを備えている。
【0022】
現像容器145は、現像部100の外郭を構成している。現像容器145の下部には、仕切り部145bが設けられている。仕切り部145bは、現像容器145の内部を第1搬送室145aと第2搬送室145cとに仕切っている。第1搬送室145a及び第2搬送室145cは、
図3に垂直な方向に柱状に延びており、磁性キャリアとブラックトナーからなる2成分現像剤(単に現像剤とも呼ばれる。)を収容する。
【0023】
現像容器145は、さらに磁気ローラ143及び現像ローラ144を保持している。現像容器145には、現像ローラ144を感光体ドラム30(30k)に向けて露出させる開口147が形成されている。
【0024】
2本の攪拌搬送部材141,142は、それぞれ第1搬送室145a及び第2搬送室145cの内部で現像剤を攪拌しつつ循環的に移動させている。攪拌搬送部材142は、磁気ブラシとして、正に帯電した現像剤を磁気ローラ143に供給する。磁気ローラ143は、非磁性の回転スリーブ143aと、回転スリーブ143aの内部に固定されている固定マグネット体143bとを有している。磁気ローラ143と現像ローラ144とは、所定のクリアランスで対向している。規制ブレード146は、磁気ブラシを予め設定されている所定の高さに調整する。
【0025】
現像ローラ144は、回転可能な非磁性の現像スリーブ144aと、現像スリーブ144aの内部で固定されている現像ローラ側磁極144bとを有している。磁気ローラ143には、磁気ローラ電位Vmagが印加されている。現像ローラ144には、現像バイアス電位Vslvが印加されている。
【0026】
本実施形態において、感光体ドラム30では、表面電位が20Vに設定され、現像ローラ144との間に現像電界を形成している。一方、現像ローラ144には、現像バイアス電位Vslvとしての直流電位20〜80Vと、周波数2kHzのピークツーピーク値2000Vの正弦波電位とが重畳された交番バイアスが印加されている。磁気ローラ143には、現像時において、磁気ローラ電位Vmagとして直流電位200Vが印加され、非現像時において、直流電位−200Vが印加される。
【0027】
これにより、現像時においては、現像バイアス電位Vslv<磁気ローラ電位Vmag(トナーが現像ローラ144に供給される電位状態)の時間が長くなってトナーが現像ローラ144に供給される時間が長くなり、非現像時においては、現像バイアス電位Vslv>磁気ローラ電位Vmag(トナーが現像ローラ144から回収される電位状態)の時間が長くなってトナーが現像ローラ144から回収される時間が長くなる。
【0028】
さらに、磁気ローラ143に現像時と非現像時に印加される磁気ローラ電位Vmagを調整することによって、現像バイアス電位Vslvと磁気ローラ電位Vmagとの間の現像時のトナー層形成電位差ΔVを変化させることができる。これにより、現像ローラ144には、現像バイアス電位Vslvと磁気ローラ電位Vmagとの間のトナー層形成電位差ΔVに応じた厚さD(後述の
図4(a)参照)のトナー薄層(単にトナー層とも呼ばれる。)が形成される。
【0029】
現像ローラ144は、感光体ドラム30との間に所定のクリアランスを有する対向部分(現像ニップ)を介して感光体ドラム30にトナーを付着させて、トナー像を感光体ドラム30の表面に形成する。トナー像は、感光体ドラム30の表面における静電潜像の電位と現像ローラ144に印加される現像バイアス電位Vslvの電位差に基づいて形成される。
【0030】
アモルファスシリコン感光体は、有機感光体(OPC)に比べ比誘電率が3倍程度高く、現像コントラスト電位に対して、感光体が保持できるトナー量が多いという特徴を有している。このため、アモルファスシリコン感光体は、通常使用するベタ濃度よりも多くのトナーを保持することが可能である。したがって、アモルファスシリコン感光体は、飽和状態で使用すると、ベタ濃度に必要な量を超えて保持してしまうことになる。よって、本実施形態では、アモルファスシリコン感光体は、ベタ濃度においても非飽和状態において使用され、現像ローラ144上に形成されたトナーがほぼすべて感光体に現像されて現像が終了することでベタ濃度が決定されるように使用される。
【0031】
図4は、一実施形態に係る現像工程において後端溜まりが発生する様子を示す概念図である。
図4(a)は、画像の先端部と中央部において画像を形成している様子を示している。
図4(b)は、画像の後端部において画像を形成している様子を示している。本明細書では、先端部、中央部及び後端部は、感光体ドラム30の進行方向を基準にして、進行方向から順に先端部、中央部及び後端部と定義されている。
【0032】
本実施形態では、
図4(a)に示されるように、感光体ドラム30は、潜像画像の電位を中和しつつ、現像ローラ144の現像スリーブ144aからトナーの供給を受けている。この際、現像工程は、電位の飽和ではなく、非飽和状態において現像スリーブ144a上に形成されたトナー薄層が消費尽くされることによって完了するように構成されている。トナー薄層の厚さDは、画像形成におけるベタ現像時の最高濃度を達成するための厚さT1を有するように設定されている。
【0033】
図4(b)に示されるように、現像スリーブ144aは、周速Vsを有し、周速Vdの感光体ドラム30を追い越しながら画像を形成するように構成されている。このため、ベタ現像時にベタの後端部の近傍には、トナーが未消費の現像スリーブ144aの表面が存在することになる。このトナーが未消費の表面は、アモルファスシリコン感光体30におけるベタの潜像画像の後端部を追い越していくことになる。
【0034】
この際、アモルファスシリコン感光体としての感光体ドラム30が非飽和状態なので、トナーが未消費の現像スリーブ144aの表面から、さらにトナーが現像されてしまうことになる。この現像によって、予め想定されている濃度よりも高いベタ濃度としての後端溜まり(厚さT2)が顕在化することになる。
【0035】
図4(c)は、一例として線画像TPの画像形成時におけるトナーの付着状態(積層状態)を示している。線画像TPでは、画像形成時において後端部においてトナー層が盛り上がっている。このトナー層の盛り上がりは、後端溜まりと呼ばれる。
【0036】
図5は、一実施形態に係る画像形成装置1のハーフパッチ校正処理手順(ステップS100)の内容を示すフローチャートである。
図6は、一実施形態に係る現像バイアス調整処理及びドット面積率調整処理の内容を示すフローチャートである。
図7は、一実施形態に係る画像形成装置1が利用可能なラインスクリーン及びドットスクリーンの概要を示す説明図である。本実施形態では、感光体ドラム30c〜30kにアモルファスシリコン感光体が採用されているので、後端溜まりの問題を抑制するためにハーフパッチでベタを表現するように画像形成装置1が構成されている。
【0037】
このような後端溜まりの問題は、ハーフパッチでベタを表現することによって抑制することができる。この例では、画像形成装置1は、65%乃至90%のドット面積率のハーフパッチでベタを表現するものとする。本実施形態では、ハーフパッチによるベタ濃度は、現像部100m、100c、100y及び100kの印加電位である現像バイアス電位Vslvやドット面積率の調整によって校正される。
【0038】
ステップS110では、制御部10のスクリーン選択部12は、ラインスクリーン選択処理を実行する。ラインスクリーン選択処理では、スクリーン選択部12は、記憶部40からスクリーンデータCD2を読み出してラインスクリーンLS(
図7(a)参照)を選択する。ラインスクリーンは、一般に線の集まりで画像を再現し、色ずれが発生した場合でも、ドットスクリーンと比較して色むらが目立ちにくいという特徴を有している。ラインスクリーンは、さらに、ドット面積率を十分に低減することによって、すなわち間引き率を高くすることによってドットスクリーンと比較して後端溜まりも見えにくくすることができるという特徴をも有している。
【0039】
ステップS120では、制御部10の校正処理部11は、現像バイアス調整処理を実行する。ステップS121では、校正処理部11は、複数のハーフパッチを有するチャートを中間転写ベルト27に形成する。ハーフトーン処理部22は、ラインスクリーンLSを使用して複数のハーフパッチを再現するためのハーフトーンデータを生成する。ハーフトーンデータは、CMYKの各トナーによって形成されるドットの形成状態を表している。
【0040】
複数のハーフパッチは、現像バイアス電位Vslvを段階的に変更して形成される。具体的には、校正処理部11は、校正前の初期値としてのドット面積率(この例では65%)で現像バイアス電位Vslvが相違する複数のハーフパッチの有するチャートを中間転写ベルト27に形成する。複数のハーフパッチには、現像バイアス電位Vslvが最大値となっているものも含まれる。
【0041】
現像バイアス電位Vslvを段階的に変更した複数のハーフパッチを使用するのは、トナー像は、感光体ドラム30の表面の静電潜像の電位と現像ローラ144に印加される現像バイアス電位Vslvの電位差に基づいて形成されるからである。複数のハーフパッチは、CMYKのそれぞれについて形成される。以下では、シアン(C)のハーフパッチを例として説明する。
【0042】
ステップS122では、校正処理部11は、校正用濃度センサ28を使用して各色(たとえばシアン(C))のパッチの濃度を計測する。パッチの濃度は、たとえばシアン(C)の補色の関係にある赤色の反射光の光量を計測することができる。MYKについても同様に処理が行われる。
【0043】
本実施形態では、校正用濃度センサ28は、たとえばLED(図示せず)から赤外光を出射し、P波のみを透過させる偏光フィルタを透過させて赤外光のP波をパッチに照射し、受光素子で検出した反射光のP波とS波の比率に基づいて濃度を検出する。なお、校正用濃度センサ28には、パッチからの正反射光を検出する正反射方式やパッチからの拡散反射光を検出する拡散反射方式もある。
【0044】
ステップS123では、校正処理部11は、現像バイアス設定処理を実行する。現像バイアス設定処理では、校正処理部11は、現像バイアス電位Vslvが段階的に変更されている複数のシアン(C)のハーフパッチの中から予め設定されているベタ画像目標濃度に達しているパッチが存在する場合には、そのパッチに対応する現像バイアス電位Vslvを選択することによって実行される。具体的には、校正処理部11は、P波とS波の比率が予め設定されている閾値以下のハーフパッチが存在する場合には、そのハーフパッチの中で最も低い現像バイアス電位Vslvを校正後の現像バイアスの電位に調整する。
【0045】
ステップS130では、校正処理部11は、ラインスクリーンLSを使用するハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能である場合には、処理をステップS180に進め、ハーフパッチの校正が現像バイアス電位Vslvの調整範囲内で可能でない場合には、処理をステップS140に進める。ステップS180では、校正処理部11は、校正後の現像バイアス電位Vslvを記憶部40に校正用データCD1の一部として記憶する。現像バイアス電位Vslvの調整による校正は、第1の校正処理とも呼ばれる。
【0046】
ハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能でない場合とは、複数のシアン(C)のパッチの中から予め設定されているベタ画像目標濃度に達しているパッチが存在しないことを意味している。通例では、複数のハーフパッチのいずれかがベタ画像目標濃度に達するが、たとえば環境変動などによってトナー帯電量が増加している状態においてベタ画像目標濃度に到達しないこともある。ただし、ハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能でない場合には、後述するようにドット面積率を上げることによって後端溜りの改善効果が低減されることになる。
【0047】
ステップS140では、スクリーン選択部12は、ドットスクリーン選択処理を実行する。ドットスクリーン選択処理では、スクリーン選択部12は、ドットスクリーンDS(
図7(b)参照)を選択する。ドットスクリーンDSは、一般に点の集まりで画像を再現し、ラインスクリーンLSと比較して現像性が良く、ラインスクリーンLSと同一の現像条件でラインスクリーンLSよりも濃度を高くすることができるという特徴を有している。
【0048】
すなわち、ドットスクリーンDSは、ラインスクリーンLSと比較して低い現像バイアスでベタ画像目標濃度に達することができるという特徴を有していることになる。このように、ドットスクリーンDSは、ラインスクリーンLSでは環境変動などによってトナー帯電量が増加している状態においてベタ画像目標濃度に到達しない状況でも現像バイアスの調整範囲内でベタ画像目標濃度に到達できる可能性を有している。ハーフトーン処理部22は、ドットスクリーンDSを使用してハーフパッチを再現するためのハーフトーンデータを生成する。
【0049】
ステップS150では、校正処理部11は、現像バイアス調整処理を実行する。ステップS150の現像バイアス調整処理は、ハーフパッチがラインスクリーンLSではなく、ドットスクリーンDSを使用して形成されている点を除いて、ステップS120の現像バイアス調整処理と同一の処理である。
【0050】
ステップS160では、校正処理部11は、ハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能である場合には、処理をステップS180に進め、ハーフパッチの校正が現像バイアス電位Vslvの調整範囲内で可能でない場合には、処理をステップS170に進める。ステップS180では、校正処理部11は、校正後の現像バイアス電位Vslvを記憶部40に校正用データCD1の一部として記憶する。現像バイアス電位Vslvの調整による校正は、ドットスクリーンDSを使用する場合にも第1の校正処理と呼ばれる。
【0051】
ステップS170では、校正処理部11は、ドット面積率調整処理を実行する。ステップS171では、校正処理部11は、現像バイアス電位Vslvを最大値に設定し、ドット面積率を調整して校正する作動モードを開始する。現像バイアス電位Vslvの最大値は、電位制限値とも呼ばれ、たとえば現像バイアスの出力限界や画像への悪影響(かぶりなど)の観点から設定される。
【0052】
ステップS172では、校正処理部11は、ドット面積率を段階的に変更した複数のハーフパッチを有するチャートを中間転写ベルト27に形成する。この例では、ドット面積率は、ドット面積率が66%〜90%の範囲で段階的に変更されている。
【0053】
ステップS173では、校正処理部11は、校正用濃度センサ28を使用してシアン(C)のパッチの濃度を計測する。校正用濃度センサ28は、P波とS波の比率を計測する。MYKについても同様に処理が行われる。
【0054】
ステップS174では、校正処理部11は、ドット面積率を設定する。具体的には、校正処理部11は、P波とS波の比率が予め設定されている閾値以下のハーフパッチが存在する場合には、そのハーフパッチの中で最も低いドット面積率のハーフパッチのドット面積率を校正データとして取得する。ドット面積率の設定による校正は、第2の校正処理とも呼ばれる。校正処理部11は、校正後のドット面積率を記憶部40に校正用データCD1の一部として記憶する。
【0055】
ステップS190では、スクリーン選択部12は、スクリーンフラグ設定処理を実行する。スクリーンフラグ設定処理では、スクリーン選択部12は、ラインスクリーンLSとドットスクリーンDSのいずれについて校正が完了したかを示すフラグを設定する。具体的には、スクリーン選択部12は、ラインスクリーンLSを使用して第1の校正処理で校正が完了した場合には、ラインスクリーンLSを示すフラグを設定し、ドットスクリーンDSを使用して第1の校正処理又は第2の校正処理で校正が完了した場合には、ドットスクリーンDSを示すフラグを設定する。
【0056】
図8は、一実施形態に係る画像形成装置1の画像形成処理手順(ステップS200)の内容を示すフローチャートである。ステップS210では、スクリーン選択部12は、スクリーンフラグを判別する。スクリーン選択部12は、スクリーンフラグがラインスクリーンLSを示している場合には、処理をステップS220に進め、スクリーンフラグがドットスクリーンDSを示している場合には、処理をステップS230に進める。
【0057】
ステップS220では、スクリーン選択部12は、ラインスクリーンLSを選択する。これにより、ハーフトーン処理部22は、色むらが目立ちにくい画像を再現することができるラインスクリーンLSを使用することができる。ステップS230では、スクリーン選択部12は、ドットスクリーンDSを選択する。これにより、ハーフトーン処理部22は、低いドット面積率(初期値を含む。)でベタ画像目標濃度を達成して後端溜まりの抑制効果が高いドットスクリーンDSを使用することができる。
【0058】
ステップS240では、ハーフトーン処理部22は、ドットデータ生成処理を実行する。ドットデータ生成処理では、ハーフトーン処理部22は、スクリーンフラグに基づいて選択されたラインスクリーンLSとドットスクリーンDSのいずれかを使用してハーフトーン処理を実行し、CMYKの各トナーのドットの形成状態を表すドットデータを生成する。
【0059】
ステップS250では、画像形成部20は、ドットデータに基づいて印刷媒体(画像形成媒体)上にドットを形成して印刷物を出力する。
【0060】
このように、一実施形態に係る画像形成装置1は、ラインスクリーンLSを使用するハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能である場合には、ラインスクリーンLSを使用して色むらが目立ちにくい画像を再現することができる。一方、画像形成装置1は、ラインスクリーンLSを使用するハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能でない場合であってもドットスクリーンDSを使用するハーフパッチの校正を現像バイアスの調整範囲内で実現することができる可能性を有している。
【0061】
さらに、画像形成装置1は、ドットスクリーンDSを使用するハーフパッチの校正を現像バイアスの調整範囲内で実現することができない場合であってもラインスクリーンLSを使用するハーフパッチよりも低いドット面積率(すなわち、多い間引き量)でベタ画像目標濃度を達成することができるので、ラインスクリーンLSを使用する場合よりも後端溜りを抑制することができる。
【0062】
本発明は、上記実施形態だけでなく、以下のような変形例でも実施することができる。
【0063】
変形例1:上記実施形態では、ラインスクリーンLSを使用するハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能でない場合に、ラインスクリーンLSを使用する第2の校正を実行することなく、ドットスクリーンDSを使用するハーフパッチの校正を実行している。しかしながら、ラインスクリーンLSを使用するハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能でない場合においてもラインスクリーンLSを使用する第2の校正処理を実行するようにしてもよい。
【0064】
これにより、スクリーン選択部は、ラインスクリーンとドットスクリーンの双方を選択することができる。よって、スクリーン選択部は、たとえばカラー画像の画像形成には、第2の校正処理を実行したラインスクリーンを選択して色むらの目立ち難い画像を再現することができ、カラー画像の領域を含まないモノクロ画像の画像形成には、ドットスクリーンを選択して後端溜まりが抑制された画像を再現することができる。
【0065】
ただし、ラインスクリーンに対して第2の校正処理を実行した場合には、ラインスクリーンの使用に起因する後端溜まりの発生と色むらの目立ち難さのトレードオフの問題が生じることになる。よって、スクリーン選択部は、たとえばベタ画像を形成するためのドット面積率の上限を別途設定し、その上限以下でカラー画像の画像形成に対してラインスクリーンを選択するようにしてもよい。これにより、過度の後端溜まりの発生を抑制しつつ色むらの目立ち難い画像再現を実現することができる。
【0066】
さらに、カラー画像の画像形成においては、カラー画像の領域の画像全体に占める割合が予め設定された閾値を超える場合に、スクリーン選択部は、第2の校正処理が実行されたラインスクリーンを選択するようにしてもよい。なお、閾値には、ゼロを含むようにしてもよい。
【0067】
変形例2:上記実施形態では、スクリーン選択部は、後端溜まりの発生に関する画像の性質を考慮することなく、スクリーンを選択しているが、画像の性質を利用してスクリーンを選択するようにしてもよい。すなわち、スクリーン選択部は、画像データを解析して後端溜りの発生の程度を推測し、その推測に基づいてラインスクリーンとドットスクリーンのいずれかを選択するようにしてもよい。
【0068】
具体的には、スクリーン選択部は、後端溜まりが発生しやすい特定の画素をカウントし、特定の画素の数や密度に応じてスクリーンを選択するようにしてもよい。後端溜まりが発生しやすい特定の画素は、たとえば微分フィルタやソーベルフィルタ等の輪郭検出フィルタを使用してベタ画像の後端画素を検出し、後端画素の副走査方向の上流に予め設定された数以上の画素でベタ画像を形成している画素とすることができる。スクリーン選択部は、カラー画像の領域の画像全体に占める割合と、特定の画素の数や密度とを使用してスクリーンを選択するようにしてもよい。
【0069】
変形例3:上記実施形態では、スクリーン選択部は、ラインスクリーンを使用するハーフトーン処理とドットスクリーンを使用するハーフトーン処理のいずれかを選択しているが、たとえばハーフトーン処理方法に誤差拡散を選択するものであってもよい。スクリーン選択部は、ラインスクリーンを使用するハーフトーン処理とドットスクリーンを使用するハーフトーン処理とを含む複数のハーフトーン処理方法のいずれかを選択するものであればよい。
【0070】
変形例4:上記実施形態では、アモルファスシリコン感光体が使用されているが、本発明は、アモルファスシリコン感光体の使用に限定されない。本発明は、一般に非飽和状態の感光体でベタ濃度を再現する画像形成装置に適用することができる。