(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内筒の外周面は、前記メスコネクタに前記オスコネクタが接続されたとき前記オス部材の内周面との間に液密なシールが形成されるように構成されている請求項4に記載のメスコネクタ。
前記メス部材に装着された前記キャップに前記メス部材の中心軸方向の外力及び前記中心軸方向に直交する方向の外力が加えられた場合に、前記キャップが前記メス部材に対して実質的に変位しないように、または、変位した前記キャップが前記封止体に衝突しないように、前記キャップが構成されている請求項1〜9のいずれか一項に記載のメスコネクタ。
前記キャップを前記メス部材から分離すると、前記係合構造を介して前記キャップに係合された前記封止体が前記キャップとともに前記メスコネクタから取り出される請求項1〜10のいずれか一項に記載のメスコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の前記第1のメスコネクタにおいて、前記封止体は、前記径小部に対して前記メス部材と同じ側に配置されていてもよい。かかる構成は、メス部材側から封止体にアクセスするのが容易であるので、メスコネクタを開口する作業を容易に行うのに有利である。
【0018】
あるいは、前記封止体は、前記径小部に対して前記メス部材とは反対側に配置されていてもよい。かかる構成は、メス部材にキャップを装着していない状態においてメス部材が周辺物に衝突するなどしても、封止体に外力が加えられる可能性は低いので、外力によって薄肉部が意図せずにひび割れや破断するのを回避するのに有利である。また、かかる構成によれば、メス部材に棒を挿入して、その先端を封止体に押し当てることにより、メスコネクタを容易に開口することができる。
【0019】
本発明の前記第2のメスコネクタにおいて、前記内筒の外周面は、前記メスコネクタに前記オスコネクタが接続されたとき前記オス部材の内周面との間に液密なシールが形成されるように構成されていてもよい。液密なシールは、液状物が、内筒とオス部材との間を通ってオス部材の外周面等へ流れるのを防止する。従って、かかる構成は、オスコネクタの衛生状態を良好に維持するのに有利である。
【0020】
本発明の前記第2のメスコネクタにおいて、前記メス部材は、前記メスコネクタに前記オスコネクタが接続されたとき前記オス部材と液密に嵌合しないように構成されてもよい。かかる構成は、内筒とオス部材とを局所的且つ確実に密着させることを容易にするので、内筒とオス部材との間に形成されるシールの液密性を向上するのに有利である。
【0021】
本発明の第1及び第2のメスコネクタにおいて、前記封止体は、前記メス部材に囲まれ且つ前記メス部材から離間して配置されていてもよい。かかる構成によれば、封止体に半径方向の力を加えて変位させることにより、薄肉部を破断させて、メスコネクタを開口させることができる。また、かかる構成は、キャップの挿入部を封止体とメス部材との間の隙間に挿入することを可能にするので、外力が加えられたときにキャップがメス部材から意図せずに脱落してしまう可能性を低減するのに有利である。
【0022】
本発明の第1及び第2のメスコネクタにおいて、前記封止体は、前記メス部材の先端から突出していなくてもよい。かかる構成は、メス部材にキャップを装着していない状態においてメスコネクタが周辺物に衝突するなどしても、封止体に外力が加えられる可能性は低いので、外力によって薄肉部が意図せずにひび割れや破断するのを回避するのに有利である。
【0023】
あるいは、本発明の第1及び第2のメスコネクタにおいて、前記封止体は、前記メス部材の先端から突出していてもよい。かかる構成によれば、キャップを用いることなく、封止体に直接力を加えることにより、薄肉部を破断させて、メスコネクタを開口させることができる。
【0024】
本発明の第1及び第2のメスコネクタは、前記メス部材に着脱可能なキャップを更に備えていてもよい。かかる構成は、メス部材の衛生状態を良好に維持するのに有利である。
【0025】
前記メス部材に装着された前記キャップに前記メス部材の中心軸方向の外力及び前記中心軸方向に直交する方向の外力が加えられた場合に、前記キャップが前記メス部材に対して実質的に変位しないように、または、変位した前記キャップが前記封止体に衝突しないように、前記キャップが構成されていてもよい。かかる構成は、キャップが周辺物に衝突するなどによりキャップに外力が加えられた場合に薄肉部が意図せずにひび割れや破断するのを回避するのに有利である。
【0026】
前記封止体及び前記キャップのそれぞれは、互いに係合し合う係合構造を備えていてもよい。
【0027】
一構成例では、前記メス部材に対して前記キャップを回転させると、前記係合構造を介して回転力が前記封止体に伝達され、前記薄肉部が破断される。かかる構成によれば、キャップをメス部材に装着した状態でキャップを回転させるという簡単な操作で、メスコネクタを開口させることができる。
【0028】
別の構成例では、前記キャップを前記メス部材から分離すると、前記係合構造を介して前記キャップに係合された前記封止体が前記キャップとともに前記メスコネクタから取り出される。かかる構成によれば、メスコネクタから分離された封止体が脱落したり紛失したりするのを防止することができる。また、薄肉部を破断する前では、重力や軽振動によってキャップがメス部材から脱落するのを防止することができる。
【0029】
本発明の第1及び第2のメスコネクタにおいて、前記キャップは前記メス部材に挿入可能な挿入部を備えていてもよい。この場合、前記キャップの前記係合構造は、前記挿入部に設けられていてもよい。キャップが、メス部材に挿入される挿入部を備えることは、外力が加えられたときにキャップがメス部材から意図せずに脱落してしまう可能性を低減するのに有利である。このような挿入部に係合構造を設けることは、キャップの構成を簡単化するのに有利である。
【0030】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の各図に示された各部材を変更または省略し得る。各実施形態の説明において引用する図面において、先行する実施形態で引用した図面に示された部材に対応する部材には、当該先行する実施形態の図面と同じ符号が付してある。そのような部材については、重複する説明が省略されており、先行する実施形態の説明を適宜参酌すべきである。
【0031】
(実施形態1)
図1Aは、本発明の実施形態1に係るメスコネクタ1及びキャップ80の下方から見た分解斜視図であり、
図1Bは、メスコネクタ1及びキャップ80の上方から見た分解斜視図である。
図1Cは、メスコネクタ1及びキャップ80の、中心軸1aを含む一平面に沿った分解断面図、
図1Dは、メスコネクタ1及びキャップ80の、中心軸1aを含む別の一平面に沿った分解断面図である。
図1Dの断面は、
図1Cの断面と直交する。
図1Eは、メスコネクタ1の、先端側から見た斜視図である。
図1Fは、キャップ80の、メスコネクタ1に装着される側から見た斜視図である。中心軸1aは、メスコネクタ1及びキャップ80に共通する中心軸である。以下の説明の便宜のために、中心軸1aに平行な方向を「上下方向」といい、「上」及び「下」は、
図1A〜
図1Dに基づいて定義する。但し、「上」及び「下」は、メスコネクタ1及びキャップ80の実際の使用時の向きを意味するものではない。また、中心軸1aに沿った寸法を「高さ」という。また、中心軸1aに直交する方向を「半径方向」、中心軸1aの周りを回転する方向を「周方向」という。
【0032】
図1A〜
図1Dに示されているように、メスコネクタ1は、メスコネクタ本体部10と溶着部50とを備える。メスコネクタ本体部10と溶着部50との間に、略菱形の平面視形状を有する薄板状の仕切板59が設けられている。仕切板59は、メスコネクタ本体部10及び溶着部50よりも半径方向に沿って外向きに突出している。
【0033】
メスコネクタ本体部10は、中心軸1aと同軸の中空円筒形状を有するメス部材11を備える。メス部材11の内周面12は、先端(
図1C、
図1Dにおいて下端)に近づくにしたがって内径が大きくなるテーパ面(いわゆるメステーパ面)である。メス部材11の外周面には螺状突起(雄ネジ)15が設けられている。これらは、
図13A及び
図13Bに示すメスコネクタ910と実質的に同じであり、好ましくはISO80369−3に準拠している。
【0034】
図1C及び
図1Dに示されているように、メス部材11の基端(メス部材11の先端とは反対側の端部、本実施形態1では、仕切板59に対応する部分)には、内周面12よりも小さな内径を有する径小部13が設けられている。径小部13は、メス部材11と同軸の円形の開口である。
【0035】
図1C及び
図1Dに示されているように、封止体30が、薄肉部14を介して径小部13の端縁に接続されている。封止体30は、全体として略円柱形状を有する。封止体30は、径小部13に対してメス部材11と同じ側に、メス部材11と同軸に、メス部材11内に配置されている。封止体30は、メス部材11に囲まれるように、メス部材11の内周面12から半径方向に離間している。薄肉部14は、径小部13の円形の端縁と、封止体30の基端側の円形の端縁との間を封止するように、環状に連続している。この結果、径小部13の開口は、封止体30により封止されている。薄肉部14は、その近傍の径小部13、メス部材11、封止体30のいずれよりも薄く、その結果、相対的に機械的強度が低下した弱化部である。
図1Eに示されているように、封止体30の先端には、略十字状の突起32が設けられている。
【0036】
図1A〜
図1Dに示されているように、溶着部50は、仕切板59と相似な略菱形の平面視形状を有する略四角柱体である。柔軟な2枚のシート(図示せず)を、その間に溶着部50を挟んで重ね合わせ、2枚のシートの外周端縁をヒートシール法により溶着して、液状物を充填するバッグが製造される。シートは、溶着部50の外側面(溶着面)51に溶着される。メスコネクタ1は、当該バッグに充填された液状物を取り出すための注出ポートとして使用されうる。バッグは、例えば経腸栄養において患者に投与される液状物が充填されたRTH製剤であってもよい。なお、溶着部50の形状は、略四角柱体である必要はなく、シートに溶着可能な任意の形状であってもよい。
図1C及び
図1Dに示されているように、径小部13と連通した流路52が溶着部50を貫通している。流路52の内径は、径小部13の内径より大きい。
【0037】
キャップ80は、底板89と、底板89の外周端縁に沿って設けられた外壁88とを備え、メスコネクタ1の側に開口した有底の箱形状を有する。本実施形態1では、底板89は略菱形を有し、外壁88は略四角柱面を構成する。キャップ80は、更に、外壁88に内接する内壁85と、内壁85に取り囲まれた挿入部81とを備える。内壁85及び挿入部81は、いずれも中空の円筒形状を有し、中心軸1aと同軸に配置され、互いに半径方向に離間している。底板89からの高さは、外壁88と内壁85とはほぼ同じであり、挿入部81はこれらより低い。
図1C及び
図1Dに示されているように、内壁85の内周面の、底板89からわずかに離間した位置に、周方向に連続した環状リブ86が設けられている。環状リブ86は、内壁85の内周面よりも中心軸1aに向かって突出した突起である。
図1Fに示されているように、中央に向かって突出した4つの突起82が、挿入部81の内周面に設けられている。4つの突起82は、周方向に等間隔で配置されている。
【0038】
メスコネクタ1の材料は、硬質材料が好ましく、バッグを構成するシートの溶着部50に対する溶着性を考慮すると、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂材料が好ましい。キャップ80の材料も、硬質材料が好ましく、制限はないが、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミド、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、スチレンエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ブチレンスチレンブロック共重合体等の樹脂材料が好ましい。メスコネクタ1及びキャップ80のそれぞれは、上記の樹脂材料を射出成形することによりその全体が一部品として一体的に製造されうる。
【0039】
キャップ80は、
図2A及び
図2Bに示すようにメスコネクタ1に装着される。
図2Aは
図1Cと同じ断面に沿った断面図であり、
図2Bは
図1Dと同じ断面に沿った断面図である。
図2A及び
図2Bでは図示を省略しているが、メスコネクタ1の溶着部50には、液状物を貯留したバッグを構成するシートが溶着されている。
【0040】
メスコネクタ1のメス部材11が、キャップ80の内壁85と挿入部81との間の隙間に挿入されている。キャップ80の挿入部81は、メスコネクタ1のメス部材11と封止体30との間の隙間に挿入されている。メスコネクタ1の封止体30は、キャップ80の挿入部81内に挿入されている。キャップ80の外壁88及び内壁85の先端は、メスコネクタ1の仕切板59に当接している。
【0041】
図2Bに示されているように、メス部材11の外周面から突出した螺状突起15が、キャップ80の内壁85の内周面に設けられた環状リブ86に係合している。このため、キャップ80は、重力や軽振動によってメス部材11から脱落することはない。メス部材11に対してキャップ80を着脱する際には、キャップ80の環状リブ86がメス部材11の螺状突起15を乗り越える必要がある。このとき、作業者はクリック感を感じ、キャップ80の着脱が確実に行われたことを認識することができる。
【0042】
図2A及び
図2Bには明確に示されていないが、メスコネクタ1の封止体30の先端に設けられた略十字状の突起32(
図1E参照)にキャップ80の挿入部81の内周面から突出した4つの突起82(
図1F参照)が係合している。このため、封止体30に対してキャップ80を相対的に回転させることができない。
【0043】
バッグ内の液状物を患者に投与する経腸栄養を行うためには、メスコネクタ1を開口させる必要がある。メスコネクタ1を開口させるためには、メス部材11に対してキャップ80を回転させればよい。キャップ80の突起82が封止体30の突起32に係合しているので、キャップ80を回転させると、キャップ80に加えられた回転力が封止体30に伝達され、封止体30はキャップ80と一体的に回転する。薄肉部14は相対的に機械的強度が低いので、薄肉部14が破断され、封止体30が径小部13から分離される。この結果、径小部13が開口する。キャップ80及び封止体30は、メスコネクタ1から取り除かれる。
【0044】
その後、メスコネクタ1にオスコネクタ100が接続される。
図3は、オスコネクタ100が接続されたメスコネクタ1の断面斜視図である。
図3のメスコネクタ1は、薄肉部14が破断され、封止体30が取り除かれている点を除いて、
図1A〜
図1Eに示したメスコネクタ1と同じである。
【0045】
オスコネクタ100は、例えば経腸栄養を行うときに使用される投与セットの上流端に設けられている。投与セットは、液状物を貯留したバッグのポート(即ち、メスコネクタ1)と、患者の体内に挿入されたカテーテル(例えばPEGカテーテル、経鼻カテーテル)とを接続するためのものである。オスコネクタ100は、一端にオスコネクタ本体部120を備え、他端に基部110を備える。
【0046】
オスコネクタ本体部120は、ISO80369−3に準拠している。
図3において、
図14A及び
図14Bに示すオスコネクタ920と同じ要素には同じ符号が付してあり、それらの詳細な説明を省略する。メスコネクタ1のメス部材11にオスコネクタ100のオス部材921が挿入され、且つ、螺状突起15に雌ネジ925が螺合されている。メス部材11の内周面12はオス部材921の外周面922と、径及びテーパ角度が一致するテーパ面であるから、両者は、液密なシールを形成して面接触をする。径小部13とオス部材921の流路927とが連通する。互いに螺合する螺状突起15及び雌ネジ925は、メスコネクタ1とオスコネクタ100との接続状態をロックするためのネジロック機構を構成する。
【0047】
基部110には、接続筒112が設けられている。接続筒112は、オス部材921と同軸であり、且つ、オス部材921に設けられた流路927と連通する。接続筒112に、投与セットを構成する柔軟な中空のチューブの上流端が挿入され固定される。バッグに貯留された液状物は、メスコネクタ1の流路52、径小部13、メス部材11、オス部材921の流路927を順に通って、投与セットへ流れる。
【0048】
以上のように、本実施形態1のメスコネクタ1は、中空円筒形状を有するメス部材11と、径小部13を封止する封止体30とを備える。メスコネクタ1を、液状物を貯留したバッグに取り付けて、RTH製剤を構成することができる。液状物を患者に投与する直前にメスコネクタ1から封止体30を取り除き、次いでメスコネクタ1に、投与セットの上流端に設けられたオスコネクタ100を接続することができる。
【0049】
封止体30は、メスコネクタ1の径小部13を封止するように設けられている。これは、以下の効果を奏する。
【0050】
本実施形態1とは異なり、例えば封止体30を、薄肉部を介してメス部材11の先端に設けても、メスコネクタ1の流路を封止することは可能である。この場合、封止体がメスコネクタを封止していても、径小部13は開口されているので、バッグ内の液状物は径小部13を通ってメス部材11内の空間を満たす。その後、メスコネクタ1から封止体を取り除いたとき、メス部材11の内周面12に液状物が付着している。このメス部材11にオス部材921が挿入される(
図3参照)。
【0051】
メス部材11の内周面12に付着した液状物は、メス部材11の内周面12とオス部材921の外周面922とを液密に嵌合させることを困難にする。このため、内周面12と外周面922との間からの液状物の漏れ出しや、メスコネクタ1とオスコネクタ100との接続強度の低下を招く可能性がある。
【0052】
また、メス部材11にオス部材921を挿入することにより、メス部材11の内周面12に付着していた液状物がメス部材11からあふれ出し、オス部材921と外筒923との間の隙間926に流れ込む。あるいは、メス部材11の内周面12に付着していた液状物が、オスコネクタ100をメスコネクタ1から分離後に、オス部材921の外周面922に転着する。
図14Bから理解できるように、隙間926は非常に狭いので、隙間926内に流れ込んだ液状物や、オス部材921の外周面922に付着した液状物を拭き取り除去することは困難である。このため、オスコネクタ100(特にオスコネクタ本体部120の隙間926)は不衛生状態に至りやすい。
【0053】
これに対して、本実施形態1では、封止体30は、メスコネクタ1の径小部13を封止するように設けられている(
図1C及び
図1D参照)。このため、封止体30を取り除かない限り、バッグ内の液状物は、メス部材11の内周面12に付着しない。液状物を患者に投与する直前にメスコネクタ1から封止体30を取り除き、直ちにオスコネクタ100を接続すれば、メス部材11の内周面12に液状物が付着することなくメス部材11にオス部材921を挿入することができる。従って、上記の問題が生じる可能性は低い。したがって、径小部13を封止する封止体30は、メス部材11の内周面12とオス部材921の外周面922との密着性の向上や、オスコネクタ100の隙間926の良好な衛生状態の維持に有利である。
【0054】
封止体30が、径小部13に対してメス部材11と同じ側に配置されている。これは、メス部材11側から封止体30にアクセスするのを容易にするので、封止体30をメスコネクタ1から取り除く作業を容易に行うのに有利である。
【0055】
封止体30がメス部材11から半径方向に離間している。このため、
図2A及び
図2Bに示すように、封止体30とメス部材11との間の隙間に、キャップ80の挿入部81を挿入することができる。これは、挿入部81を、その先端がメス部材11の基端(または径小部13)近傍に達するほどに、メス部材11内に深く挿入することを可能にする。メス部材11と挿入部81との対向領域が大きくなるので、キャップ80に半径方向の外力が加えられたとき、挿入部81の外周面とメス部材11の内周面12とが当接する領域が大きくなる。これは、そのような外力が加えられたときにキャップ80がメス部材11から意図せずに脱落してしまう可能性を低減するのに有利である。
【0056】
但し、封止体30とメス部材11との間の隙間に挿入部81が挿入されていなくてもよい。例えば、挿入部81の先端が封止体30の先端に中心軸1a方向に対向するように、挿入部81はメス部材11内に挿入されてもよい。この場合、突起82は挿入部81の先端(封止体30に対向する面)に設けることができる。
【0057】
メス部材11にはキャップ80が装着される。一実施形態では、液状物を貯留したバッグ(例えばRTH製剤)は、メスコネクタ1にキャップ80が装着された状態で病院等の医療機関に搬送され、経腸栄養を行う直前まで(即ち、メスコネクタ1を開口する直前まで)、キャップ80はメス部材11に装着され続ける(
図2A及び
図2B参照)。メス部材11にキャップ80が装着されていないと、メス部材11に作業者の手が触れる等して、メス部材11に菌が付着する可能性がある。このため、その後、メスコネクタ1にオスコネクタ100を接続して経腸栄養を行うときに、メス部材11に付着した菌が、患者の体内に侵入したり、オスコネクタ100に転着してオスコネクタ100(特にその隙間926)の衛生状態を悪化させたりする。メスコネクタ1を開口する直前までメス部材11にキャップ80が装着されていれば、メス部材11(特にその内周面12)の衛生状態を良好に維持することができ、経腸栄養の際に、菌が、患者の体内に侵入したり、オスコネクタ100に転着したりするのを防止できる。
【0058】
メス部材11にキャップ80を装着した状態でキャップ80が周辺物に衝突するなどによってキャップ80に外力が加えられると、キャップ80がメスコネクタ1に対して変位し、これにより挿入部81が封止体30に衝突し封止体30を変位させることがある。その結果、薄肉部14がひび割れや破断し、液状物が漏れ出す事態が発生する可能性がある。これを回避するためには、キャップ80に外力が加えられた場合に、キャップ80がメス部材11に対して実質的に変位しないか、または、変位したキャップ1が封止体30に衝突しないように、キャップ80が構成されることが好ましい。具体的には、例えば以下の回避策が考えられる。
【0059】
第1の回避策では、メス部材11にキャップ80を装着した状態(
図2A及び
図2B参照)において、キャップ80の挿入部81は、メスコネクタ1の封止体30から半径方向に離間される。より詳細には、挿入部81と封止体30との間の半径方向の間隔は、挿入部81とメス部材11との間の半径方向の間隔より大きいことが好ましい。この第1の回避策では、キャップ80がメスコネクタ1に対して半径方向に変位しても、挿入部81は、メス部材11には衝突するが、封止体30には衝突しない。
【0060】
第2の回避策では、メス部材11にキャップ80を装着した状態(
図2A及び
図2B参照)において、キャップ80の挿入部81の外周面を、メス部材11の内周面12に嵌合させる。例えば、挿入部81の外周面を、オス部材921の外周面922(
図14A及び
図14B参照)と同様のオステーパ面で構成することができる。好ましくは、挿入部81は封止体30から半径方向に離間される。この第2の回避策では、キャップ80はメスコネクタ1に対して半径方向に実質的に変位することができないので、挿入部81は、封止体30に衝突しない、または封止体30を変位させない。
【0061】
第3の回避策では、上述したように、挿入部81は、その中に封止体30が挿入されないように構成される。この第3の回避策では、キャップ80がメスコネクタ1に対して半径方向に変位しても、挿入部81が封止体30に衝突することはない。
【0062】
上記の第1〜第3の回避策は、キャップ80に半径方向の外力が作用した場合に薄肉部14のひび割れや破断を防止するのに有効である。キャップ80に中心軸1a方向の外力が作用した場合に薄肉部14のひび割れや破断を防止するための回避策(第4の回避策)としては、例えばキャップ80の外壁88及び/又は内壁85がメスコネクタ1の仕切板59に中心軸1a方向に当接したときに、キャップ80が封止体30に対して中心軸1a方向の力を実質的に加えないように(例えば、キャップ80と封止体30とが中心軸1a方向に離間するように)、キャップ80が構成される。上記の第2の回避策は、キャップ80に中心軸1a方向の外力が作用した場合にも有効である。
【0063】
外力による薄肉部14の意図しないひび割れや破断の防止と、封止体30をメスコネクタ1から取り除くために行うメスコネクタ1に対するキャップ80の回転の容易性とを両立させるためには、半径方向の外力及び中心軸1a方向の外力によってキャップ80がメス部材11に対して変位してもキャップ80が封止体30に衝突しないように、キャップ80をメス部材11に装着した状態においてキャップ80は封止体30に対して半径方向及び中心軸1a方向に離間することが好ましい。
【0064】
別の実施形態では、メスコネクタ1を開口する直前まで、メス部材11にキャップ80が装着されない。例えば、メスコネクタ1が設けられたバッグ(例えばRTH製剤)の全体を包装するなどによりメス部材11の衛生状態を確保することができる場合等では、メス部材11にキャップ80を装着する必要はない。メス部材11にキャップ80を装着しなければ、キャップ80に外力が加えられることによって薄肉部14がひび割れや破断するという上述した問題が生じない。しかも、
図1C及び
図1Dに示されているように、封止体30はメス部材11で取り囲まれ、且つ、メス部材11の先端から突出していない。このため、メス部材11にキャップ80が装着されていない状態でメスコネクタ1が周辺物に衝突するなどしても、封止体30に外力が加えられる可能性は低い。したがって、外力によって薄肉部14が意図せずにひび割れや破断するのを回避する観点からは、メス部材11にキャップ80が装着されていないことが望ましい。この場合、キャップ80は、封止体30を取り除くためにのみ使用され、封止体30を取り除く直前にメス部材11に装着される。
【0065】
封止体30及びキャップ80には、互いに係合し合う係合構造として、突起32(
図1E参照)及び突起82(
図1F参照)が設けられている。このため、メス部材11に対してキャップ80を中心軸1a回りに回転させると、キャップ80に印加された回転力が突起82及び突起32を介して封止体30に伝達され、薄肉部14を破断することができる。封止体30はメス部材11の先端から突出していないから、封止体30に直接手を触れることは困難である。本実施形態1によれば、キャップ80をメス部材11に装着した状態でキャップ80をメスコネクタ1に対して回転させるという簡単な操作で、封止体30を取り除き、メスコネクタ1を開口させることができる。このため、いわゆるツイストオフ型のメスコネクタを実現できる。
【0066】
もちろん、キャップ80を用いることなく、メスコネクタ1を開口させることは可能である。例えば、細い棒をメス部材11内に挿入して、封止体30に半径方向の力を加えれば、薄肉部14を破断させて封止体30を取り除くことが可能である。従って、本実施形態1では、キャップ80を省略してもよい。封止体30がメス部材11から半径方向に離間していることは、キャップ80を用いずに、封止体30を取り除くのに有利である。
【0067】
上記の例では、封止体30及びキャップ80に設けられる、互いに係合し合う係合構造として、封止体30に突起32が設けられ、キャップ80に突起82が設けられていたが、係合構造はこれに限定されない。係合構造は、キャップ80に加えられる中心軸1a回りの回転力を封止体30に伝達することができれば、任意の構成を有しうる。例えば、係合構造は、互いに係合し合う凸部と凸部又は凸部と凹部で構成しうる。凸部及び凹部の形状は任意である。係合構造が凸部と凹部で構成される場合、封止体30及びキャップ80のうちのいずれに凸部を設けるかは任意である。封止体30の係合構造は、封止体30の先端に設けられる必要はなく、後述する実施形態2のように、封止体30の外周面に設けられてもよい。挿入部81に設けられる係合構造は、封止体30の係合構造の位置に応じて設定される。好ましくは、封止体30の係合構造及びキャップ80の係合構造は、中心軸1aに沿ってキャップ80をメス部材11に接近させると両者が係合し、中心軸1aに沿ってキャップ80をメス部材11から離間させると両者の係合が解除されるように構成される。
【0068】
(実施形態2)
図4Aは、本発明の実施形態2に係るメスコネクタ2の先端側から見た斜視図である。
図4Bは、本発明の実施形態2に係るキャップ280の、メスコネクタ2に装着される側から見た斜視図である。実施形態1との相違点を中心に、本実施形態2を説明する。
【0069】
実施形態1の略十字状の突起32(
図1E参照)に代えて、本実施形態2では、
図4Aに示されているように封止体30の外周面に、封止体30の長手方向に沿った4本の溝232が設けられている。溝232は、周方向に等間隔で配置されている。また、本実施形態2の封止体30は、実施形態1より長く、その結果、メス部材11の先端よりも下方に突出している(後述する
図5A及び
図5B参照)。
【0070】
図4Bに示されているように、キャップ280の挿入部81の内周面には、挿入部81の長手方向に沿って延びた4本のリブ状の突起282が設けられている。突起282は、周方向に等間隔で配置されている。
【0071】
図5A及び
図5Bは、キャップ280が装着されたメスコネクタ2の断面図である。キャップ280は、メス部材11とこれから突出した封止体30を覆っている。実施形態1と同様に、キャップ280の外壁88及び内壁85の先端は、メスコネクタ2の仕切板59に当接している。
図5Aを実施形態1を示した
図2Bと比較すれば容易に理解できるように、本実施形態2のキャップ280の外壁88、内壁85、及び挿入部81の底板89からの高さは、実施形態1より高い。
【0072】
図5A及び
図5Bには明確に示されていないが、メスコネクタ2の封止体30の外周面に形成された4つの溝232(
図4A参照)にキャップ280の挿入部81の内周面から突出した4つの突起282(
図4B参照)が嵌入し係合している。このため、封止体30に対してキャップ280を相対的に回転させることができない。
【0073】
実施形態1と同様に、本実施形態2においても、メス部材11に対してキャップ280を回転させると、キャップ280に加えられた回転力が、突起282及び溝232を介して封止体30に伝達され、薄肉部14が破断され、封止体30が径小部13から分離される。封止体30が取り除かれたメスコネクタ2は、封止体30が取り除かれた実施形態1のメスコネクタ1と実質的に同じである。実施形態1と同様に、メスコネクタ2にオスコネクタ100を接続することができる(
図3参照)。
【0074】
本実施形態2では、封止体30がメス部材11の先端よりも下方に突出している。このため、メス部材11にキャップ280が装着されていない場合には、メスコネクタ2が周辺物に衝突したり、作業者がメスコネクタ2に触れたりすることにより、封止体30に外力が加えられる可能性がある。これにより、薄肉部14がひび割れや破断して、液状物が漏れ出したり、バッグ内へ菌が侵入したりするという事態が起こりうる。従って、本実施形態2では、メスコネクタ2を開口する直前までメス部材11にキャップ280を装着しておくことが好ましい。
【0075】
キャップ280をメス部材11に装着した場合には、実施形態1で説明したように、キャップ280が周辺物に衝突するなどによってキャップ280に意図しない外力が加えられると、薄肉部14がひび割れや破断する事態が起こりうる。この事態は、実施形態1で説明した第1〜第4の回避策と同様の回避策を本実施形態2に適用することによって回避することができる。
【0076】
上記の例では、封止体30及びキャップ280に設けられる、互いに係合し合う係合構造として、封止体30に溝232が設けられ、キャップ280に突起282が設けられていたが、係合構造はこれに限定されない。溝232の数及び突起282の数は、それぞれ4つである必要はなく、これより多くても少なくてもよい。互いに係合し合う係合構造は、溝232及び突起282に限定されず、実施形態1で説明したように任意である。係合構造が、封止体30の先端、及び、挿入部81の底面に設けられていてもよい。
【0077】
本実施形態2では、封止体30がメス部材11の先端よりも突出しているので、キャップ280を取り外した状態で封止体30の先端に半径方向の力を加えれば、薄肉部14を破断させて封止体30を取り除くことができる。即ち、キャップ280を用いなくても、メスコネクタ2を開口させることができる。従って、封止体30の外周面の溝232及び/又は挿入部81の内周面の突起282を省略することが可能である。封止体30と挿入部81とが相互に係合する係合構造を省略することにより、キャップ280が周辺物に衝突するなどによってキャップ280がメスコネクタ2に対して回転しても、その回転が封止体11に伝達されない。これは、キャップ280が周辺物に衝突するなどによって、薄肉部14が意図せずにひび割れや破断するのを防止するのに有利である。この場合、キャップは、メス部材11の衛生状態を良好に維持するためにメス部材11に装着される。上述した実施形態1においても、互いに係合し合う係合構造(突起32及び突起82)を省略してもよい。
【0078】
本実施形態2は、上記を除いて実施形態1と同様である。実施形態1の説明が本実施形態2にも適用される。
【0079】
(実施形態3)
図6Aは、本発明の実施形態3に係るメスコネクタ3の先端側から見た斜視図である。
図6Bは、本発明の実施形態3に係るキャップ380の断面斜視図である。実施形態1,2との相違点を中心に、本実施形態3を説明する。
【0080】
図6Aに示されているように、本実施形態3のメスコネクタ3の封止体30の先端には突起335が設けられている。突起335は、封止体30と同軸の柱状突起336と、柱状突起336の先端又はその近傍から半径方向に沿って互いに逆向きに突出した一対の側方突起337とを備え、全体とし略T字形状を有している。本実施形態3のメスコネクタ3の封止体30は、実施形態1より長く、その結果、突起335は、メス部材11の先端よりも下方に突出している。封止体30の外周面には、封止体30の長手方向(中心軸1a方向)に沿った2本の溝332(
図6Aでは、一方の溝332は見えない)が設けられている。溝332は、周方向に等間隔に配置されている。
【0081】
図6Bに示されているように、キャップ380の管状部81の内周面に、互いに対向する一対の第1突起387と、互いに対向する一対の第2突起388(
図6Bでは、一方の突起388のみが示されている)とが設けられている。一対の第1突起387が対向する方向と一対の第2突起388が対向する方向とは略垂直である。第2突起388は、第1突起387よりも下側に設けられている。また、挿入部81の内周面には、その長手方向に沿った2本のリブ状の突起(第3突起)382が設けられている(
図6Bでは、一方の突起382のみが示されている)。突起382は、周方向に等間隔で配置されている。キャップ380の内壁85の内周面には、実施形態1,2では設けられていた環状リブ86が設けられていない。
【0082】
図7A及び
図7Bは、キャップ380が装着されたメスコネクタ3の断面図である。
図7Aに示されているように、キャップ380の第1突起387が封止体30の側方突起337よりも上側に位置し、両者は上下方向に係合している。このため、キャップ380は環状リブ86を備えていないにも関わらず、重力や軽振動によってメス部材11から脱落することはない。
【0083】
図7Bに示されているように、メスコネクタ3の封止体30の外周面に形成された2つの溝332(
図6A参照)にキャップ380の挿入部81の内周面から突出した2つの突起382(
図6B参照)が嵌入し係合している。また、
図6A及び
図6Bから理解できるように、側方突起337が第2突起388に周方向に係合する。このため、封止体30に対してキャップ380を相対的に回転させることができない。
【0084】
突起335を備えたメスコネクタ3は、例えば二色成形により全体を一部品として一体的に製造することができる。具体的には、一次金型にて突起335を成形し、突起335を収納した二次金型にて突起335を備えたメスコネクタ3を成形することができる。側方突起337と第1突起387とは、メスコネクタ3及びキャップ380をそれぞれ別々に製造した後、キャップ380をメスコネクタ3に向かって押し込むことにより係合させることができる。
【0085】
実施形態1,2と同様に、本実施形態3においても、メス部材11に対してキャップ380を回転させると、キャップ380に加えられた回転力が、突起382及び溝332と、第2突起388及び側方突起337とを介して封止体30に伝達され、薄肉部14が破断され、封止体30が径小部13から分離される。封止体30が取り除かれたメスコネクタ3は、封止体30が取り除かれた実施形態1のメスコネクタ1と実質的に同じである。実施形態1と同様に、メスコネクタ3にオスコネクタ100を接続することができる(
図3参照)。
【0086】
本実施形態3では、封止体30の側方突起337がキャップ380の第1突起387に上下方向に係合するので、封止体30をキャップ380から分離させることができない。従って、メスコネクタ3に対してキャップ380を回転させて薄肉部14を破断した後、キャップ380をメス部材11から分離すると、封止体30は挿入部81内に収納された状態でキャップ380とともにメス部材11から取り出される。このため、分離された封止体30が脱落したり紛失したりすることがない。
【0087】
上記の例では、封止体30及びキャップ380に設けられる、互いに係合し合う係合構造として、封止体30に溝332及び突起335が設けられ、キャップ380に突起382,387,388が設けられていた。キャップ380に加えられる回転力を封止体30に伝達する係合構造として、突起382及び溝332の組み合わせと、第2突起388及び側方突起337の組み合わせとが設けられていたが、いずれか一方(例えば突起382及び溝332)を省略してもよい。また、回転力を封止体30に伝達する係合構造は、本実施形態の構成に限定されず、実施形態1,2で説明したように任意である。キャップ380と封止体30とを中心軸1a方向に係合させる係合構造は、第1突起387及び側方突起337に限定されず、任意に変更しうる。キャップ380に加えられる回転力を封止体30に伝達する係合構造と、キャップ380と封止体30とを中心軸1a方向に係合させる係合構造とが、共通する部材で構成されてもよいし、互いに独立した別個の部材で構成されてもよい。
【0088】
本実施形態3は、上記を除いて実施形態1,2と同様である。実施形態1,2の説明が本実施形態3にも適用される。
【0089】
(実施形態4)
図8Aは、本発明の実施形態4に係るメスコネクタ4及びキャップ480の下方から見た分解斜視図であり、
図8Bは、メスコネクタ4及びキャップ480の上方から見た分解斜視図である。
図8Cは、メスコネクタ4及びキャップ480の、中心軸1aを含む一平面に沿った分解断面図、
図8Dは、メスコネクタ4及びキャップ480の、中心軸1aを含む別の一平面に沿った分解断面図である。
図8Dの断面は、
図8Cの断面と直交する。
図8Eは、メスコネクタ4の、先端側から見た断面斜視図である。
図8Eの断面は、
図8Dの断面と同じである。実施形態1との相違点を中心に、本実施形態4を説明する。
【0090】
実施形態1〜3では、封止体30は、メスコネクタの径小部13に対してメス部材11と同じ側に配置されていた。これに対して、本実施形態4では、
図8C〜
図8Eに示されているように、封止体430は、径小部13に対してメス部材11とは反対側に、溶着部50内の流路52に向かって突出するように配置されている。封止体430は、全体として略円柱形状または略円板形状を有する。薄肉部414が、径小部13の円形の端縁と、封止体430の径小部13側の円形の端縁との間を封止するように、環状に連続している。この結果、径小部13の開口は、封止体430により封止されている。
図8Eに示されているように、封止体430の径小部13側の面には、凹部432が設けられている。凹部432は、半円柱形状の窪みである。
【0091】
図8B〜
図8Dに示されているように、キャップ480は、内壁85内に、内壁85と同軸の挿入部481を備える。実施形態1〜3の挿入部81の先端は、封止体30を挿入することができるように開口していたが、本実施形態4の挿入部481の先端には開口は設けられていない。挿入部481は、底板89から順に、基台部483と、基台部483より小径の小径先端部484とを備える。小径先端部483の先端から、半円柱形状の凸部482が突出している。凸部482は、外壁88及び内壁85よりも上側(
図8C、
図8Dにおいてメスコネクタ4側)に突出している。
【0092】
図9A及び
図9Bは、キャップ480が装着されたメスコネクタ4の断面図である。メスコネクタ4のメス部材11及び径小部13内に、キャップ480の基台部483及び小径先端部484がそれぞれ挿入されている。封止体430の凹部432内にキャップ480の凸部482が嵌入している。凹部430及び凸部482は、いずれも上述したように半円柱形状を有する。このため、封止体430に対してキャップ480を相対的に回転させることができない。
【0093】
実施形態1と同様に、本実施形態4においても、メス部材11に対してキャップ480を回転させると、キャップ480に加えられた回転力が、凸部482及び凹部432を介して封止体430に伝達され、薄肉部414が破断され、封止体430が径小部13から分離される。封止体430が取り除かれたメスコネクタ4は、封止体30が取り除かれた実施形態1のメスコネクタ1と実質的に同じである。実施形態1と同様に、メスコネクタ4にオスコネクタ100を接続することができる(
図3参照)。
【0094】
以上のように、径小部13を封止する封止体430が、径小部13に対してメス部材11とは反対側に配置されていても、薄肉部414を破断して封止体430を径小部13から分離させることにより、径小部13を開口させることができる。
【0095】
封止体430は、径小部13よりも更に深い位置にあるので、メス部材11側から封止体430にアクセスすることは困難である。このため、メスコネクタ4が周辺物に衝突したり、作業者がメスコネクタ4に触れたりしても、封止体430に外力が加えられる可能性はほとんどない。このため、外力によって薄肉部414が意図せずにひび割れや破断して、液状物が漏れ出したり、バッグ内へ菌が侵入したりするという事態が起こる可能性は低い。
【0096】
その一方で、メスコネクタ4は比較的容易に開口させることができる。例えば、
図9A及び
図9Bに示したようにメス部材11にキャップ480を装着した状態で、実施形態1〜3と同様に、キャップ480をメスコネクタ4に対して回転させれば、メスコネクタ4を開口させることができる。あるいは、メス部材11にキャップ480を装着していない状態で、メス部材11に棒を挿入し、その先端を封止体430に突き当てた状態で、棒をメス部材11内に単に押し込むだけでも、メスコネクタ4を開口させることができる。実施形態1〜3とは異なり、本実施形態4では、封止体430は、径小部13で囲まれた開口内に位置しているので、棒の先端を封止体430に位置ズレすることなく押し当てるのが容易である。
【0097】
封止体430及びキャップ480に設けられる、互いに係合し合う係合構造は、半円柱形状の凹部432及び凸部482に限定されず、実施形態1で説明したように任意である。封止体430に設けられる係合構造は、凹部に限定されず、メス部材11側に突出していてもよい。実施形態1,2で説明したように、本実施形態4において、互いに係合し合う係合構造(凹部432及び凸部482)を省略してもよい。
【0098】
本実施形態4は、上記を除いて実施形態1と同様である。実施形態1の説明が本実施形態4にも適用される。
【0099】
(実施形態5)
図10Aは、本発明の実施形態5に係るメスコネクタ5及びキャップ580の下方から見た分解斜視図、
図10Bは、メスコネクタ5及びキャップ580の上方から見た分解斜視図である。
図10Cは、メスコネクタ5及びキャップ580の、中心軸(図示せず)を含む一平面に沿って切断された分解断面斜視図、
図10Dは、メスコネクタ5及びキャップ580の、中心軸(図示せず)を含む別の一平面に沿って切断された分解断面斜視図である。
図10Dの断面は、
図10Cの断面と直交する。実施形態1〜4との相違点を中心に、本実施形態5を説明する。
【0100】
図10C及び
図10Dに示されているように、メスコネクタ5は、中空円筒形状を有する内筒521を備える。内筒521は、メス部材11の基端の、内径が相対的に小さい径小部13に設けられている。内筒521は、径小部13に対してメス部材11と同じ側に、メス部材11に取り囲まれるように配置されている。内筒521とメス部材11とは、同軸に配置され、半径方向に離間している。内筒521の外周面522には、先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面(いわゆるオステーパ面)が設けられている。内筒521には、内筒521の長手方向に沿った流路523が設けられている。流路523は、径小部13と連通している。
【0101】
封止体530が、薄肉部514を介して内筒521の先端に接続されている。封止体530は、全体として略円柱形状を有する。封止体530は、内筒521の先端からメス部材11の先端側に向かって延びている。封止体530は、メス部材11と同軸であり、メス部材11の内周面12から半径方向に離間している。薄肉部514は、内筒521の先端の、流路523を取り囲む円形の端縁と、封止体530の内筒521側の円形の端縁との間を封止するように、環状に連続している。この結果、内筒521の流路523の先端側の開口は、封止体530により封止されている。薄肉部514は、その近傍の内筒521、メス部材11、封止体530のいずれよりも薄く、その結果、相対的に機械的強度が低下した弱化部である。
【0102】
封止体530は、メス部材11の先端よりも下方に突出している。封止体530の先端又はその近傍から、一対の側方突起537が、半径方向に沿って外向きに突出している。封止体530及び一対の側方突起537は、全体とし略T字形状を有している。
【0103】
メス部材11の内周面512は、実施形態1〜4の内周面12及び
図13A及び
図13Bに示すメスコネクタ910の内周面912よりわずかに大きな内径を有する円筒面又はメステーパ面である。
【0104】
キャップ580の管状部81の内周面に、互いに対向する一対の第1突起587と、互いに対向する一対の第2突起588とが設けられている。一対の第1突起587が対向する方向と一対の第2突起588が対向する方向とは略垂直である。第2突起588は、第1突起587に対して上側から下側へ、上下方向に沿って延びている。
【0105】
図11A及び
図11Bは、キャップ580が装着されたメスコネクタ5の断面図である。
図11A及び
図11Bの断面は、
図10C及び
図10Dの断面とそれぞれ同じである。
図11Aに示されているように、キャップ580の第1突起587が封止体530の側方突起537よりも上側に位置し、両者は上下方向に係合している。
【0106】
図10C、
図10D、
図11Aから理解できるように、側方突起537が第2突起588に周方向に係合する。このため、封止体530に対してキャップ580を相対的に回転させることができない。
【0107】
側方突起537を備えたメスコネクタ5は、例えば二色成形により全体を一部品として一体的に製造することができる。具体的には、一次金型にて側方突起537及び封止体530の先端側の一部を一体的に成形し、側方突起537及び封止体530の一部を収納した二次金型にてメスコネクタ3を成形することができる。側方突起537と第1突起587とは、メスコネクタ5及びキャップ580をそれぞれ別々に製造した後、キャップ580をメスコネクタ5に向かって押し込むことにより係合させることができる。
【0108】
実施形態1〜4と同様に、本実施形態5においても、メス部材11に対してキャップ580を回転させると、キャップ580に加えられた回転力が、第2突起588及び側方突起537を介して封止体530に伝達され、薄肉部514が破断され、封止体530が内筒521から分離される。内筒521の流路523が開口される。
【0109】
その後、メスコネクタ5にオスコネクタ100が接続される。
図12は、オスコネクタ100が接続されたメスコネクタ5の断面図である。
図12のメスコネクタ5は、薄肉部514が破断され、封止体530が取り除かれている点を除いて、
図10A〜
図10Dに示したメスコネクタ5と同じである。
【0110】
メスコネクタ5の内筒521が、オスコネクタ100のオス部材921に挿入されている。上述したように、内筒521の外周面522には先細のオステーパ面が設けられている。外周面522のオステーパ面の先端側での最小外径は、オス部材921の流路927を規定する内周面928の先端側での内径より小さく、且つ、外周面522のオステーパ面の基端側での最大外径は、オス部材921の内周面928の前記内径より大きい。従って、内筒521のオステーパ面とオス部材921の内周面928とが嵌合し、両者間に液密なシール529が形成される。この結果、内筒521とオス部材921とは液密に連通される。
【0111】
メスコネクタ5のメス部材11にオスコネクタ100のオス部材921が挿入され、且つ、螺状突起15に雌ネジ925が螺合されている。互いに螺合する螺状突起15及び雌ネジ925は、メスコネクタ1とオスコネクタ100との接続状態をロックするためのネジロック機構を構成する。本実施形態5ではメス部材11の内周面512は、実施形態1〜4の内周面12より大きな内径を有するので、内周面512とオス部材921の外周面922とは半径方向に離間している。
【0112】
バッグに貯留された液状物は、メスコネクタ5の流路52、径小部13、内筒521の流路523、オス部材921の流路927を順に通って、投与セット(図示せず)へ流れる。
【0113】
以上のように、本実施形態5のメスコネクタ5は、メス部材11内に、メス部材11と同軸の内筒521と、内筒521の流路523を封止する封止体530とを備える。メスコネクタ5を、液状物を貯留したバッグに取り付けて、RTH製剤を構成することができる。液状物を患者に投与する直前にメスコネクタ5から封止体530を取り除き、次いでメスコネクタ5に、投与セットの上流端に設けられたオスコネクタ100を接続することができる。
【0114】
封止体530は、内筒521の流路523を封止するように設けられている。このため、径小部13を封止するように封止体30を設けた実施形態1〜4と同様に、封止体530を内筒521から取り除かない限り、バッグ内の液状物は、メス部材11の内周面512に付着しない。
【0115】
内周面512に液状物が付着していると、メス部材11にオス部材921を挿入したときに、内周面512に付着していた液状物がメス部材11からあふれ出し、オス部材921と外筒923との間の隙間926に流れ込んだり、内周面512に付着していた液状物が、オスコネクタ100をメスコネクタ5から分離後に、オス部材921の外周面922に転着したりする。このため、オスコネクタ100(特にオスコネクタ本体部120の隙間926)は不衛生状態に至りやすい。
【0116】
本実施形態5では、メス部材11の内周面512に液状物が付着しないので、上記の問題が生じる可能性は低い。即ち、内筒521の流路523を封止する封止体530は、オスコネクタ100の隙間926を良好な衛生状態に維持するのに有利である。
【0117】
メス部材11にオス部材921を挿入したとき、内筒521とオス部材921とが連通し、且つ、内筒521とオス部材921との間に液密なシール529が形成される。シール529は、液状物が、メス部材11の内周面512やオス部材921の外周面922へ流れるのを抑える。これは、オスコネクタ100の隙間926を良好な衛生状態に維持するのに有利である。
【0118】
液密なシール529は、内筒521の外周面522とオス部材921の内周面928との間に形成される。これは、簡単な構成で液密なシールを形成するのに有利である。この場合、内筒521の外周面522がオステーパ面を有していることは、内筒521の外周面522とオス部材921の内周面928との間に液密なシール529を形成するのに有利である。
【0119】
内筒521とオス部材921とが嵌合し、両者間に液密なシール529が形成されたとき、メス部材11の内周面512とオス部材921の外周面922とは液密に嵌合せず、好ましくは半径方向に離間する。これは、内筒521とオス部材921とをシール529で局所的且つ確実に密着させることができるので、シール529の液密性を向上するのに有利である。
【0120】
但し、本実施形態5はこれに限定されず、メス部材11に、ISO80369−3に準拠した、実施形態1〜4と同じ内周面12(
図13A及び
図13Bに示した内周面912)が設けられていてもよい。この場合、シール529が形成されるのとほぼ同時に、メス部材11の内周面12とオス部材921の外周面922とが液密に嵌合し、両者間にも液密なシールが形成される。かかる構成は、メスコネクタ5とオスコネクタ100との間に複数のシールが形成されるので、液状物の圧力が上昇した場合に、液状物がメスコネクタ5とオスコネクタ100との間のわずかな隙間を通過して外界に漏れ出るの防ぐのに有利である。
【0121】
実施形態3と同様に、封止体530の側方突起537がキャップ580の第1突起587に上下方向に係合する。従って、メスコネクタ5に対してキャップ580を回転させて薄肉部514を破断した後、キャップ580をメス部材11から分離すると、封止体530は挿入部81内に収納された状態でキャップ580とともにメス部材11から分離される。このため、分離された封止体530が脱落したり紛失したりすることがない。
【0122】
上記の実施形態5では、メスコネクタ5の内筒521がオスコネクタ100のオス部材921に挿入された。但し、本発明はこれに限定されない。例えば、内筒521とオス部材921とを、その長手方向に突き合わせることにより、内筒521の先端とオス部材921の先端との間に液密なシールを形成してもよい。この場合、内筒521の内径を上記の実施形態5に比べて大きくしうるので、内筒521の流路523を流れる液状物の流動抵抗を小さくするのに有利である。
【0123】
上記の実施形態5において、キャップ580に設けられた環状リブ86及び第1突起587のうちのいずれか一方を省略してもよい。この場合でも、キャップ580は、重力や軽振動によってメス部材11から脱落することはない。
【0124】
上記の例では、封止体530及びキャップ580に設けられる、互いに係合し合う係合構造として、封止体530に側方突起537が設けられ、キャップ580に突起587,588が設けられていた。キャップ580に加えられる回転力を封止体530に伝達する係合構造として第2突起588及び側方突起537が設けられていたが、回転力を封止体30に伝達する係合構造は、これに限定されず、実施形態1,2で説明したように任意である。キャップ580と封止体530とを中心軸1a方向に係合させる係合構造は、第1突起387及び側方突起537に限定されず、任意に変更しうる。キャップ580に加えられる回転力を封止体530に伝達する係合構造と、キャップ580と封止体530とを中心軸1a方向に係合させる係合構造とが、共通する部材で構成されてもよいし、互いに独立した別個の部材で構成されてもよい。キャップ580と封止体530とを中心軸1a方向に係合させる係合構造を省略してもよい。実施形態1,2で説明したように、本実施形態5において、互いに係合し合う係合構造(側方突起537及び突起587,588)を省略してもよい。
【0125】
封止体530は、メス部材11の先端よりも下方に突出している必要はない。即ち、実施形態1の封止体30のように、メス部材11の先端から突出していなくてもよい。
【0126】
封止体530は、内筒521の先端から下方に向かって延びている必要はない。例えば、封止体530は、内筒521の流路523内に設けられてもよいし、実施形態4の封止体430のように、径小部13に対してメス部材11とは反対側に、溶着部50内の流路52に向かって突出するように設けられてもよい。この場合、薄肉部514は、内筒521の流路523を規定する内周面の任意の位置(内筒521の先端から基端までの任意の位置)または径小部13と封止体530とを液密に接続する。
【0127】
上記の実施形態1〜5のメスコネクタ1〜5は、液状物を貯留するバッグを構成するシートに溶着される溶着部50を備えていたが、本発明のメスコネクタは溶着部50及び仕切板59を備えていなくてもよい。このような本発明のメスコネクタは、一構成例では、バッグのシートに溶着される溶着部50を備えたポート基部に装着されて、バッグのポートを構成し、別の構成例では、柔軟なチューブの一端に設けられる。