(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照して、本発明に係る採血管自動準備装置に用いられるラベル貼付装置の実施の形態を説明していく。
【0009】
図1は本発明に係る採血管自動準備装置を右斜め前方から見た斜視図であり、
図2は、本発明に係る採血管自動準備装置の内部構造を示す概略右側面図、
図3は、本発明に係る採血管自動準備装置の内部構造を示す概略左側面図である。
【0010】
図示実施例では、採血管自動準備装置は、
左右に並べて配置された二つの採血管自動ラベル貼付機構1(以下、必要がある場合には、左側の採血管自動ラベル貼付機構に関する構成要素の符号にLを付し、右側の採血管自動ラベル貼付機構に関する構成要素の符号にRを付す。)と、
前記二つの採血管自動ラベル貼付機構1でラベルが貼り付けられた採血管を排出するように二つの採血管自動ラベル貼付機構1L及び1Rを貫通して伸びる排出手段を構成する採血管排出コンベア60と、
採血管排出コンベア60によって排出されるラベル付採血管を患者毎にトレイに回収する採血管回収機構61と、
上記各構成要素の動作を制御する制御装置80と、
上記各構成要素を収容するハウジング90と
を備えている。
【0011】
特に
図2に示すように、各採血管自動ラベル貼付機構1は、
上下に重ねて配置された4つの採血管収容ケース3を備えた採血管収容手段2と、
前記採血管収容手段2の採血管収容ケース3から選択的に取り出された採血管を、前記ラベル作成貼付手段30まで移送する第一移送手段20と、
採血管収容手段2の上方に配置された前記ラベル作成貼付手段30と、
前記第一移送手段20に設けられた管径管長測定手段50と、
前記第一移送手段20と前記ラベル作成貼付手段30との間に配置された第二移送手段40と
を備え、
患者の検査に必要な採血管を収容した採血管収容ケース3から採血管を取り出し、前記第一移送手段20によって取り出した採血管をラベル作成貼付手段30まで移送してラベルを貼り付け、ラベル貼付後の採血管を採血管回収機構61のトレイに患者毎に収容するように構成されている。
患者毎にラベル貼付後の採血管を収容したトレイ61は、採血場において採血に用いられる。
以下、各手段の構成について詳細に説明していく。
【0012】
(採血管収容ケース)
各採血管収容部2は、ハウジング90内に出し入れ可能な四つの採血管収容ケース3を備え、各採血管収容ケース3には、異なる種類の採血管が収容されている。
図4(a)は採血管収容ケース3の概略縦断面図であり、
図4(b)は採血管収容ケース3を採血管自動準備装置のハウジングに装着した状態を示す概略縦断面図である。
図面に示すように、採血管収容ケース3は、その底部3aに底板4が設けられている。
この底板4には、長手方向にのびるスリット4aが前後に二つ形成されており、底板4は、これらのスリット4aを介してネジ5で前後に移動可能に採血管収容ケース3の底部3aに装着されている。
また、底板4の下面には下方に向けて突出するカムフロア4bが設けられており、このカムフロア4bは、採血管収容ケース3の底部3aに形成された開口3bを通して下方に突出している。このカムフロア4bと採血管収容ケース3の底部3aとの間にはバネ4cが設けられており、底板4は、カムフロア4bを介してバネ4cによって常時、採血管収容ケース3の前側に向けて引っ張られている。
また、採血管収容ケース3の底部3aの前端には、収容された採血管を上方に押し上げて供給するプッシャ6用の開口3cが形成されており、前記底板4の前端には、このプッシャ用開口3cを塞がないように切欠き4dが形成されている。
上記したように構成された採血管収容ケース3は、
図4(b)に示すように、採血管自動準備装置のハウジングに設けられたフレーム7に前方が下方に傾斜するように傾けて装着される。フレーム7における採血管収容ケース3のカムフロア用開口3b及びプッシャ用開口3cに対応する部分には、それぞれカムフロア用開口7a及びプッシャ用開口7bが設けられている。
また、フレーム7の下方における前記カムフロア4bに対応する位置には偏心カム8が設けられている。この偏心カム8は、採血管収容ケース3をフレーム7に装着した時に、それがカムフロア4bに係止し、カムフロア4bをバネ4cの力に抗して若干後方に押圧するように配置されている。
図中、符号9は、ロック機構を示しており、このロック機構はフレーム7から若干上方に突出するようにバネ等の適当な弾性部材(図示せず)によって付勢されており、このロック機構9をバネの力に抗して下方に下げながら、採血管収容ケース3をフレーム7に装着すると、ロック機構9が上方に突出して採血管収容ケース3をその位置に固定するように構成されている。
このロック機構9と前記偏心カム8との作用により、採血管収容ケース3をフレーム7に装着すると、底板4のみが若干後方に押された状態で保持される。
上記したように構成された採血管自動準備装置によれば、採血管収容ケース3を収容後に、偏心カム8をモータ等の適当な駆動部材(図示せず)で回転させると、偏心カム8がカムフロア4bを介して底板4を採血管収容ケース3の前後方向に動かす。この底板4の動きによって、採血管収容ケース3が斜め前下方に傾いていることも相俟って、採血管収容ケース3の内部の採血管が前方に集められる。
尚、上記したように、底板4のカムフロア4bが、採血管収容ケース3を装着した時から偏心カム8と係止し、偏心カム8が動作してる間も、常時偏心カム8との係止状態を保っているので、偏心カム8が底板4に衝撃を与えることがなく、かつ、底板4が上下方向ではなく、前後方向に動くので、採血管収容ケース3の内部で採血管が上下に跳ねることはない。このため、採血管が跳ねて採血管収容ケース3の中で姿勢を変えてしまうことはない。
また、底板4は、上記したようにスリット4aを介してネジ5で前後に移動可能に採血管収容ケース3にとめられているので、底板4が上下に振動する心配もない。
さらに、前記したように偏心カム8は常時カムフロア4bと接触した状態で、底板4を前後に動かすので、騒音が生じることもない。
尚、図中、符号10は採血管収容ケース3からプッシャ6によって押し上げられた採血管を受け取るための供給ロータを示しており、この供給ロータ10は、その切欠き部分で採血管を受け取り、回転して第一移送手段20の第一レーン21に設けられた採血管ラック22に採血管を載せ替える。
【0013】
(第一移送手段)
次に、第一移送手段の構成について説明していく。
特に
図2に示すように、第一移送手段20は、重ねて配置された複数の採血管収容ケース3に沿って垂直にのびる第一レーン21と、この第一レーン21に不図示のモータ等の駆動手段によって上下に移動可能に設けられた櫛状の第一採血管ラック22を有する。
また、第一移送手段20は、第一レーン21の上方に、第一レーン21と平行に設けられた第二レーン23を有し、この第二レーン23にも不図示のモータ等の駆動手段によって上下に移動可能な櫛状の第二採血管ラック24が設けられている。
この第二レーン23の途中に、採血管の向きを検知する左右一対の方向検知センサ25(図面には右側のみが示されている。)が設けられており、さらに、この第二レーン23の上端には後で詳述する採血管の種類を検知する管径管長測定手段50が設けられている。
以下に、
図5a〜
図5gを参照しながら、第一移送手段20による採血管の移送方法について説明していく。
第一採血管ラック22が、供給ロータ10を介して採血管収容ケース3から採血管を受け取ると、第一採血管ラック22は、第一レーン21を上昇させられる。
第一レーン21の上部には通常位置において第二レーン23の第二採血管ラック24に向かう傾斜を上面に有する第一カム26が、通常位置から左方向に回動可能に設けられている。
前記第一カム26は、櫛状に形成された第一採血管ラック22の櫛部の間をすり抜けることができるように複数の板体からなる。
採血管を搭載した第一採血管ラック22は、その採血管で第一カム26を押し上げながら第一レーン21を上方に向けて進む。前記第一カム26は、第一採血管ラック22が完全に通過すると元の通常位置に戻る。
この状態で、第一採血管ラック22を下方に下げると、第一カム26は、第一採血管用ラック22の櫛部の間を通り、その上面の傾斜面で採血管を第二レーン23の第二採血管ラック24に導く。
第二採血管ラック24が採血管を受け取ると、第二採血管ラック24は、第二レーン23を上方に動かされ、方向検知センサ25の位置で停止する。
図面には右側のセンサしか示されていないが、この方向検知センサ25は、左右一対のセンサから成り、第二採血管ラック24に搭載されている採血管の左右両側から採血管に接触して、その先端形状とキャップ側形状の形状の違いに基づいて採血管に向きを検知するように構成されている。
第二レーン23における前記方向検知センサ25の上方には、通常位置において後述する第二移送手段40の一部を構成する採血管一時保留部41に向かう傾斜を上面に有する第二カム27が、通常位置から右方向に回動可能に設けられている。
採血管を搭載した第二採血管ラック24は、その採血管で第二カム27を押し上げながら第二レーン23を上方に向けて進む。前記第二カム27は、第二採血管ラック24が完全に通過すると元の通常位置に戻る。
第二採血管ラック24は、第二カム27を通過した後、その上方に設けられた管径管長測定手段50によって移送中の採血管の管径及び管長を測定(
図5g)した後、下方に下がる(
図5h)。
管径管長測定手段50の構成及び測定方法については後述する。
【0014】
(第二移送手段)
上記したように構成された第一移送手段20と、ラベル作成貼付手段30との間には、第二移送手段40が設けられている。
第二移送手段40は、
第一移送手段20の第二採血管ラック24から採血管を受け取り、一時的にその採血管を保持するための採血管一時保留部41を形成するガイド部材42と、
ガイド部材42の下方に位置し、隣接する採血管自動ラベル貼付機構に向けて略水平に伸びる移し替えコンベア43と、
採血管一時保留部41に採血管を保持し、かつ、その採血管を前記移し替えコンベア43か、ラベル作成貼付手段30の何れかに振り分けるための分岐カム44と
を有する。
第二カム27が通常位置にある状態で、第二採血管ラック24を下方に下げると、第二カム27は、第二採血管用ラック24の櫛部の間を通り、その上面の傾斜面で採血管をガイド部材42へ導く(
図5h)。
この時、分岐カム44は、
図5hに示すように、ガイド部材42における採血管一時保留部41で採血管を係止する位置にあり、採血管は分岐カム44に係止して採血管一時保留部41に留まる。
図5hに示す状態から、分岐カム44が上方(即ち、
図5における左回転)に回転すると分岐カム44は、その上側カム部材44aの切欠きで採血管一時保留部41にある採血管を受け取る(
図5k)。この分岐カム44は、上側カム部材44aと、下側カム部材44bから成り、上側カム部材44aには、前記した採血管を受け取るための切欠きが形成され、下側カム部材44bには、採血管を一時的に保持するフランジが形成されている。分岐カム44は、左側に回転している途中で、その下側カム部材44bが略垂直な状態でハウジングに設けられたフレーム45に当接し、下側カム部材44bはそれ以上左側には回転しない。
この状態からさらに上側カム部材44aだけが、その切欠きに採血管を保持したまま左側に回転し(
図5l)、採血管を下側カム部材44bのフランジに落とす(
図5m)。
その後、上側カム部材44aは、逆方向(右回転)に回転させられ、再び下側カム44bと一緒に動く位置まで戻る(
図5n)。
そして、そこからさらに上側カム部材44a及び下側カム部材44bが一緒に右方向に回転すると、下側カム部材44bのフランジで係止していた採血管が下方に位置するラベル作成貼付手段30のラベル貼付位置に落とされる(
図5o)。
ラベル切れやインク切れ又は詰まり等により一方の採血管自動ラベル貼付機構1のラベル作成貼付手段30が使用できなくなった場合は以下のようにして利用可能な他の採血管自動ラベル貼付機構1のラベル作成貼付手段30を使用して処理を続行する。
図5hに示す状態から、分岐カム44が上方(即ち、
図5における左回転)に回転すると分岐カム44は、その上側カム部材44aの切欠きで採血管一時保留部41にある採血管を受け取る(
図5k)。
図5kに示す状態から、分岐カム44が下方(即ち、
図5における右回転)に回転すると、採血管一時保留部41にある採血管は、ガイド部材42に沿って移し替えコンベア43まで落下する(
図5i)。移し替えコンベア43は、隣接する採血管自動ラベル貼付機構同士で相互に連結しており、従って、移し替えコンベア43を駆動することで、採血管は他の採血管自動ラベル貼付機構1へ移し替えられる。移し替え後、採血管は、不図示のアームで移し替えコンベア43から、ラベル作成貼付手段30のラベル貼付位置に落とされる(
図5j)。
上記した実施例では、移し替えコンベア43がコンベアで構成されているが、これは本実施例に限定されるものではなく、例えば、ベルト等を有さない単なる通路で構成し、アーム等で押すことにより通路上を移動するように構成してもよい。
上記したように、第一移送手段20とラベル作成貼付手段30との間に、隣接する採血管自動ラベル貼付機構1と繋がる移し替えコンベア43を有する第二移送手段40を設け、分岐カム44によって、必要に応じて第一移送手段20で運ばれてきた採血管を移し替えコンベア43へ送り、該移し替えコンベア43によって採血管を別の採血管自動ラベル貼付機構1に送ることができるように構成することで、ラベル切れやインク切れ又は詰まり等により一方の採血管自動ラベル貼付機構1のラベル作成貼付手段30が使用できなくなった場合でも、装置を停止することなく、利用可能な他の採血管自動ラベル貼付機構1のラベル作成貼付手段30を使用して処理を続行することが可能になる。
また、移し替えコンベア43を有する第二移送手段40を、第一移送手段20とラベル作成貼付手段30との間、即ち、採血管自動ラベル貼付機構1の上部に設けることで、第二移送手段40で詰まり等の問題が生じた場合でも、簡単にアクセスすることが可能になり、問題を解消し易い。
さらに、第二移送手段40を設けて、一方の採血管自動ラベル貼付機構1で処理している最中の採血管を他方の採血管自動ラベル貼付機構1に送ることができるように構成することにより、例えば、一方の採血管自動ラベル貼付機構1に何等かのトラブルが生じた場合に、処理中の採血管を患者単位で他方の採血管自動ラベル貼付機構1を介して排出して、トラブルが生じている一方の採血管自動ラベル貼付機構1のみを再起動したり停止したりすることが可能になる。
【0015】
次に、ラベル作成貼付手段30の構成について説明していく。
ラベル作成貼付手段30は、ラベル付台紙供給ローラ31、台紙回収ローラ32、印字及びデータ書込手段33、駆動ローラ34、加圧台35、補助ローラ36及びバーコードリーダ37を有し、前記駆動ローラ34、加圧台35及び補助ローラ36で採血管を三点支持するラベル貼付位置を形成する。
印字及びデータ書込手段33は、ラベル付台紙のラベルの表面に患者情報及び/又は検体情報をバーコード及び文字の形態で印字すると共に、ラベルに設けられたRFIDチップに必要な情報の書込みを行なう。
加圧台35は、上下に移動可能に構成され、分岐カム44によって直接又は移し替えコンベア43を介してラベル貼付位置に供給された採血管を駆動ローラ34に押し付ける。
この時、採血管は前記駆動ローラ34、加圧台35及び補助ローラ36で三点支持されているため、駆動ローラ34及び加圧台35、駆動ローラ34及び補助ローラ36、並びに補助ローラ36及び加圧台35の間にはそれぞれ隙間ができる。
この実施例では、バーコードリーダ37は、上記した隙間のうち、駆動ローラ34及び加圧台35の間に形成される隙間を通してラベル貼付後の採血管からバーコード情報を読み取ることができるように配置されている(
図6参照)。
制御装置80は、バーコードリーダ37と駆動ローラ34との動作を制御して、採血管に対するラベルの貼り付けを行なうと共に、貼付られたラベルに欠損がないか否かの検査を行なう。
具体的には、採血管に貼り付けられるラベルは
図7に示すように、バーコードの部分と文字等を印字する印字領域とに分かれており、さらに、採血管に貼り付けた後の状態では
図8に示すように、ラベルが貼り付けられていない管の部分と、ラベルのバーコード以外の部分と、バーコードの部分とに分かれる。
制御装置80は、駆動ローラ34によってラベル貼付後の採血管を少なくとも一回転、所定の速度で回転させ、その間にバーコードリーダ37で連続的にバーコードの読取を行なう。
バーコードリーダ37でバーコードを連続的に読み取ることにより、通常であれば、バーコードが印字されている部分は連続的に読み取りが成功し、その後、ラベルのバーコードが印字されていない部分及びラベルが貼られていない部分ではバーコードの読取が失敗する。しかし、
図9に示すようにバーコードに欠損箇所があると、その欠損部分で読取が失敗するため、本来、連続するべきバーコードの読取成功部分で読取成功が連続しない。
制御装置80は、上記した読取結果とバーコードの欠損との関係に基づいて、バーコードの欠損の有無を判断する。
具体的には、読取不可が連続する最大値及び最小値を決め、読取不可が連続する回数及び/又は時間が、前記最大値と最小値との間にある時に、バーコードに欠損があると判断して、その採血管をエラー採血管とする。
前記最大値及び最小値は、バーコードリーダのスキャンの分解能及び管の回転速度に基づいて決められ得る。具体的には、例えば、管の回転速度が130mm/secであり、バーコードリーダのスキャン分解能が500scan/secである場合に、最小値を2スキャンとし、最大値を10スキャンとすると、0.52mm〜2.6mmの間の欠損を検出することが可能になり、0.52mmより小さい又は2.6mmより大きい読取不可部分はバーコード間の隙間又は、ラベルのバーコードが印字されていない部分及びラベルが貼られていない部分であると判断する。
この最小値及び最大値は任意に決めることができる。
【0016】
ラベル作成貼付手段30によりラベルの貼り付けが完了し、かつ、欠損の有無の判定が行なわれた後、加圧台35が下方に下げられ、ラベル貼付後の採血管は、ラベル貼付位置の下方にある採血管排出コンベア60上に落とされ、後述する採血管回収機構61によってトレイに患者毎に回収される。
【0017】
ここで、採血管回収機構61の説明をする前に、第一移送手段20における第二レーン23の上方に設けられた前記管径管長測定手段50について説明していく。
図10(a)は、管径管長測定手段50の構成を概略的に示す背面図(
図2における右側から見た図)であり、
図10(b)は管径管長測定手段30の構成を概略的に示す右側面図である。
図面に示すように、この管径管長測定手段50は、採血管の管径を測定するために、採血管の管本体を上下方向から挟むことができる下辺部材24及び上辺部材51と、横に寝かせた状態の採血管を左右から挟むことができる左辺部材52及び右辺部材53と、各部材で挟まれた状態の採血管を撮影するカメラ部材54と、これらの動作を制御する制御装置80とから成る。
この実施例では、下辺部材24は第二採血管ラック24から成る。
図10(a)に示すように下辺部材を構成する第二採血管ラック24は、モータ等の不図示の駆動部材によって第二レーン23を上下に移動可能に構成されており、上辺部材51は、第二レーン23上を上下に移動自在に構成され、ストッパ55によって少なくとも、第二採血管ラック24より上方で保持されている。上辺部材51は、所定の重さを有し、第二採血管ラック24が採血管を保持したまま第二レーン23を上方に移動する途中で、採血管の上に前記上辺部材51が当たって第二採血管ラック24が上辺部材51と共に採血管を上方へ移動する時に、上辺部材が採血管に当接するようにしている。これにより、正確な管径の測定が可能になる。
また、前記左辺部材52及び右辺部材53は、上辺部材51のさらに上方に配置され、モータ等の不図示の駆動部材によって、不図示のトルクリミッタを介して横方向に移動可能に構成されている。トルクリミッタを設けることにより、左辺部材52及び右辺部材53で確実に採血管を左右から挟むことを可能にしている。
上記したように構成された下辺部材24(第二採血管ラック)及び上辺部材51並びに左辺部材52及び右辺部材53は、各々、カメラ部材54側に画像認識を行ないやすい任意のターゲットが表示されている。下辺部材24(第二採血管ラック)及び上辺部材51のターゲットは同一又は対応しており、左辺部材52及び右辺部材53のターゲットも同一又は対応している。
これにより、
図11に示すように、上下及び左右が下辺部材24(第二採血管ラック)及び上辺部材51並びに左辺部材52及び右辺部材53で挟まれた採血管をカメラ部材54で撮影することで、透明な採血管であっても、撮影した画像を画像処理して、ターゲット間の距離から簡単に、かつ、正確に採血管の管径及び管長を測定することが可能になる。
制御装置80は、この採血管の管径及び管長の測定結果に基づいて、処理中の採血管が、患者の検査に必要な採血管か否かを照合し、照合結果が一致しなければ、その採血管をエラー採血管とする。
【0018】
上記したように構成された採血管自動ラベル貼付機構1は、隣接する採血管自動ラベル貼付機構1の採血管排出コンベア60及び移し替えコンベア43がそれぞれ繋がるように並べて配置される。
二つの採血管自動ラベル貼付機構1でラベルが貼り付けられた採血管は、全て採血管排出コンベア60上に落とされ、この排出コンベア60で採血管回収機構61まで運ばれる。
【0019】
図12は、採血管回収機構61の各構成要素の位置関係を示す採血管自動準備装置の概略上面図である。
採血管回収機構61は、上面視左側の採血管自動ラベル貼付機構1Lに隣接して配置され、排出コンベア60によって運ばれてきたラベル貼付済の採血管を患者毎にトレイに回収するように構成されている。
採血管回収機構61は、
トレイを移送するトレイ移送コンベア62、
空トレイを収容する空トレイ収容部63、
回収済トレイを収容する第一トレイ収容部64及び第二トレイ収容部65、並びに、
エラー発生時に排出される採血管が収容されたトレイを回収するエラートレイ回収部66
を備えている。
図12に示すように、前記トレイ移送コンベア62は、採血管自動準備装置の上面視左側辺に沿って、採血管排出コンベア60の端部(即ち、ラベル貼付後の採血管の回収位置)から採血管自動準備装置の前端まで伸びている。
エラートレイ回収部66の上方には、採血指示書発行装置70が配置されている。この採血指示書発行装置70は、対応する患者の採血指示書や手貼り用ラベルを発行し、トレイ移送コンベア62の回収位置にある空トレイに採血指示書や手貼り用ラベルを排出する。
空トレイ収容部63は、トレイを上下方向に積み重ねて収容するように構成され、前記トレイ移送コンベア62の上方に配置されている。
空トレイ収容部63は、上方から空トレイを入れ、下方からトレイ移送コンベア62上へ空トレイを排出するように構成されている。
トレイ移送コンベア62は、空トレイ収容部63から供給された空トレイを回収位置まで移送する。回収位置において、一人の患者分の採血管、採血指示書及び必要に応じて手貼り用ラベルが空トレイに入れられると、トレイ移送コンベア62は、回収済のトレイを採血管自動準備装置の前方にある第一トレイ収容部64又は第二トレイ収容部65に移送する。
第一トレイ収容部64は、空トレイ収容部63の前方に隣接して設けられており、回収済トレイを上下方向に積み重ねて収容するよう構成されている。第一トレイ収容部64は不図示の爪等によって、必要に応じてトレイ移送コンベア62上にある回収済のトレイを上方に持ち上げて、その内部に収容する。
第二トレイ収容部65は、採血管自動準備装置の前方に幅方向に沿って伸びるように配置されている。
具体的には、第二トレイ収容部65は、二つの採血管自動ラベル貼付機構1における採血管収容手段2の上端面に形成されたトレイを収容可能な幅を有する通路から成る。各採血管自動ラベル貼付機構1は、採血管収容手段2の上方に各々ラベル作成貼付手段30を備えているが、前記ラベル作成貼付手段30を採血管自動準備装置の後方にずらして配置することにより、採血管収容手段2の上方に空間を形成している。そして、この採血管収容手段2の上方に形成された空間に第二トレイ収容部65が設けられている。
第二トレイ収容部65は、その一端が、前記トレイ移送コンベア62まで伸び、トレイ押出手段67によって、トレイ移送コンベア62から回収済のトレイが第二トレイ収容部65に押出されるように構成されている。図示実施例では、第二トレイ収容部65は、三つの回収済トレイが収容できる長さで構成されている。
上記した構成により、ラベル貼付後の採血管を患者毎に回収した回収済トレイは、第一トレイ収容部64又は第二トレイ収容部65の何れかに選択的に収容される。
回収済トレイの第一トレイ収容部64及び第二トレイ収容部65への振分は、例えば、第一トレイ収容部64に直ぐに使用しない病棟用のトレイを収容し、第二トレイ収容部65に直ぐに使用する外来用のトレイを収容することが考えられる。
具体的には、採血管自動準備装置は、外来用の採血管の準備と病棟用の採血管の準備とを混在させて処理することができるように構成されており、例えば、採血管自動準備装置で病棟用の採血管を準備している最中に、外来用の採血管の注文が入った場合、病棟用の採血管を収容した回収済トレイは第一トレイ収容部64に収容されるが、外来用の採血管を収容した回収済トレイは第二トレイ収容部65に収容される。
エラートレイ回収部66は、エラートレイ移送コンベアから成る。このエラートレイ移送コンベア66は、採血管自動準備装置の上面視左側辺に沿って、トレイ移送コンベア62の一端から採血管自動準備装置の後方に伸びるように配置されている。
【0020】
以下、上記したように構成された採血管自動準備装置における障害時の制御方法について説明していく。
図13は、障害時の採血管回収機構61におけるトレイの動きを示す図である。
図面に示すように、通常運転時は、空トレイ収容部63から空のトレイがトレイ移送コンベア62上に供給され、空トレイは回収位置に送られる(
図13(a))。
エラー発生時には、患者単位で回収可能な採血管をトレイに回収した後、回収済トレイは一度、第一トレイ収容部64の下方まで運ばれ、そこで待機させられる(
図13(b))。
そして、空トレイ収容部63から空トレイがエラー回収トレイとして回収位置に送られる(
図13(c))。
エラー回収トレイに、エラーが発生した採血管の他、同一採血管自動ラベル貼付機構1内に残留した全ての採血管を排出し、該エラー回収トレイをエラートレイ回収部66に移送する(
図13(d))。
そして、採血管自動準備装置においてエラー回収トレイに回収した採血管を再度準備すると共に、第一トレイ収容部64の下方で待機させていた回収中トレイを回収位置に戻し、その後の処理を再開する(
図13(e))。
この時、必要に応じて、エラーが生じた採血管自動ラベル貼付機構1は再起動され得る。
【0021】
次に、エラー発生時の採血管の流れを
図14及び
図15を参照しながら説明していく。
図中、UNIT1及びUNIT2は、各々採血管自動ラベル貼付機構1R及び1Lを示し、「トレイチェンジャ」は採血管回収機構61を示している。また、図中、「縦搬送」は第一移送手段20を、「管検証部」は管径管長測定手段50を、「搬送切替キャリッジ」は第二移送手段40を、「ラベル貼付位置」はラベル作成貼付手段30を、「横搬送部」は採血管排出コンベア60を、それぞれ意味している。
採血管に付されている番号は、採血管を処理した順番である。
始めに、
図14を参照して、ラベル作成貼付手段30においてエラーが発生した時の処理について説明する。
ラベル作成貼付手段30におけるエラーとは、印字及びデータ書込手段33のエラーの他、先に説明したバーコード欠損の検知等があり得る。
図14中、採血管番号1〜4が先の患者の検査に必要な採血管であり、採血管番号5〜8が次の患者の検査に必要な採血管であるとする。
制御装置80は、採血管自動ラベル貼付機構1Rにおけるラベル作成貼付手段30においてエラー採血管を検知すると(状態1)、始めに採血管自動ラベル貼付機構1L側で処理をした採血管番号1及び3を空トレイに排出する(状態2,3)。同時に、分岐カム44により同じ患者の採血管である採血管番号4を移し替えコンベア43へ送り、採血管自動ラベル貼付機構1Rから採血管自動ラベル貼付機構1Lへ移し替え(状態2)、採血管自動ラベル貼付機構1Lのラベル作成貼付手段30で処理をして同じトレイに排出する(状態3)。
この段階で、制御装置80は、採血管回収機構61のトレイ移送コンベア62により回収済トレイを第一トレイ収容部64の下方に退避させる(状態4)。
次いで、制御装置80は、空トレイ収容部63から空トレイをエラートレイとして供給し(状態4)、採血管自動ラベル貼付機構1Rを再起動する。これにより、採血管自動ラベル貼付機構1Rに残留している採血管(この実施例では、エラー採血管2、及び採血管番号6及び8)は全てエラートレイに排出される(状態4)。エラートレイは残留採血管を全て回収した後、エラートレイ回収部66によって退避され、第一トレイ収容部64の下方で待機していた回収済トレイが再び回収位置に送られる(状態5)。
これにより、再起動後の採血管自動ラベル貼付機構1Rにより採血管番号2及び採血管番号6及び8が適切に準備され、採血管番号2を前記回収済トレイに排出することで患者の検査に必要な採血管を収容したトレイが完成する(状態6)。このトレイは、第一トレイ収容部64又は第二トレイ収容部65に収容される(状態7)。
上記した構成により、エラーが生じていない採血管自動ラベル貼付機構1Rで処理された採血管が無駄になることはなく、また、エラーが生じた採血管自動ラベル貼付装置1Lにおいて処理中の採血管であっても、同一患者の採血管であれば、それを破棄せずに処理済採血管と共に回収することができるように構成しているので、この点でも無駄がなくなる。
【0022】
次に、管径管長測定手段50においてエラーが生じた時の処理について
図15を参照して説明する。
図15中、採血管番号1〜4が先の患者の検査に必要な採血管であり、採血管番号5〜8が次の患者の検査に必要な採血管であるとする。
制御装置80は、採血管自動ラベル貼付機構1Rにおける管径管長測定手段50においてエラー採血管を検知すると(状態1)、この実施例の場合には、エラーが生じた採血管が、先の患者の採血管番号1〜4より後の採血管番号6であるため、先に採血管番号1〜4の処理を行ない空トレイにそれらを収容する(状態2)。そして、採血管番号1〜4を収容した回収済トレイは全ての採血管を収容しているので、第一トレイ収容部64又は第二トレイ収容部65に送られる(状態3)。
この段階で、制御装置80は、空トレイ収容部63から空トレイをエラートレイとして供給し(状態4)、採血管自動ラベル貼付機構1Rを再起動する。これにより、採血管自動ラベル貼付機構1Rに残留している採血管(この実施例では、エラー採血管番号6及び採血管番号8)は全てエラートレイに排出される(状態4)。エラートレイは残留採血管を全て回収した後、エラートレイ回収部66によって退避され、第一トレイ収容部64の下方で待機していた回収済トレイが再び回収位置に送られる(状態5)。
これにより、再起動後の採血管自動ラベル貼付機構1Rにより採血管番号6及び8が適切に準備され(状態6)、空トレイ収容部63から空トレイを供給して、次の患者の採血管番号6〜8を全て空トレイに回収する(状態7)。
【0023】
上記したように、本実施例に係る採血管自動準備装置によれば、複数(本実施例では二つ)の採血管自動ラベル貼付機構1L及び1Rの中の何れかにエラーが発生した場合、エラー発生時に患者単位で排出可能な採血管の処理を行ない、それらの採血管を患者単位でトレイに回収した後、エラーが発生した採血管自動ラベル貼付機構のみを再起動する。これにより、エラーが発生していない採血管自動ラベル貼付機構で処理中の採血管はそのまま維持され、再起動した採血管自動ラベル貼付機構では、再起動に伴い排出された残留採血管を再度処理して、エラー前の状態に戻す。
これにより、エラー発生時に採血管自動準備装置全体を再起動していた従来の装置に比べて、採血管の無駄がなく、また、処理も早くなる。
採血管自動ラベル貼付機構のような複雑な処理を行なう装置では、エラー発生時に再起動をすることでエラーが解消する可能性が高いが、上記したように従来の採血管自動準備装置では、装置全体を再起動しなければならない。装置全体を再起動すると、再度装置が使用できるようになるまでに時間がかかり、かつ、エラーが生じていない採血管自動ラベル貼付機構で処理中の採血管まで残留採血管として廃棄されてしまうので、実際には再起動を行なわずに対処しようとすることが多い。本実施例の採血管自動準備装置によれば、エラーが生じた採血管自動ラベル貼付機構のみを再起動することができるように構成されているので、再起動に要する時間が短く、かつ、無駄な採血管を極力減らすことが可能になる。