特許第6819984号(P6819984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819984
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】媒体位置決め排出装置
(51)【国際特許分類】
   B44B 1/00 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   B44B1/00
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-130808(P2016-130808)
(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-1581(P2018-1581A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】516257958
【氏名又は名称】株式会社ワールドベンチャー
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】星山 勇一
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平1−140282(JP,A)
【文献】 特開平2−19214(JP,A)
【文献】 特表平9−507660(JP,A)
【文献】 特開2004−46646(JP,A)
【文献】 特開平10−275201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44B 1/00 − 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未彫刻のカード状彫刻媒体を移載して乗せ位置決め方向と排出方向とへ位置決めモーターの選択的な正逆駆動により走行して前記カード状彫刻媒体を移動させるベルトと、
前記ベルトの位置決め方向側に設けられ前記カード状彫刻媒体の前記位置決め方向への移動により前記カード状彫刻媒体を当接させて位置決める位置決め体と、
前記ベルトの排出方向側に設けられ前記カード状彫刻媒体の前記排出方向への移動により前記カード状彫刻媒体の排出を受ける排出受け部と、
を備えた媒体位置決め排出装置であって、
前記ベルトの走行方向に直交するガイドレールに走行ガイドされ前記未彫刻のカード状彫刻媒体を吸着により搬送し前記移載を行なうと共に位置決め後のカード状彫刻媒体を吸着して搬出する媒体搬送部を備え、
前記走行ガイドによる直線移動方向に配置された画像彫刻部との組み合わせにおいて、前記媒体搬送部が前記走行ガイドにより前記ベルト上に移動し前記位置決め体と前記排出受け部との間で前記吸着を開放し前記ベルト上に前記移載を行うと共に前記位置決めが行われると前記媒体搬送部が前記搬出を行うことで前記彫刻位置に対する前記カード状彫刻媒体の位置決めを行う、
ことを特徴とする媒体位置決め排出装置。
【請求項2】
請求項1記載の媒体位置決め排出装置であって、
前記位置決め体は、前記ベルトの走行方向で前記ベルトに対し位置変更可能に支持され、
前記位置決め体の位置を変更モーターの駆動で変更させる位置変更機構を備えた、
ことを特徴とする媒体位置決め排出装置。
【請求項3】
請求項2記載の媒体位置決め排出装置であって、
前記ベルトを備える上部開口のアライメント走行ベースを備え、
前記位置決め体は、前記カード状彫刻媒体を当接させるストッパー板を備え、
前記位置変更機構は、前記ストッパー板を取り付けたアライメントブロックと、前記アライメントブロックを嵌合させ前記アライメント走行ベースに固定された一対のすべりシャフトと、前記アライメント走行べースに回転可能に支持され前記一対のすべりシャフト間に配置されたボールねじと、前記ボールねじに嵌合し前記アライメントブロックに固定されたボールソケットとを備え、
前記ボールねじの回転駆動により前記アライメントブロックが移動し前記位置決め体のストッパー板の位置を変更する、
ことを特徴とする媒体位置決め排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード状彫刻媒体を画像彫刻する自動連続画像彫刻装置等に供する媒体位置決め排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から磁気カード或いは合成紙上に画像を彫刻する機器が特許文献1−3として提案されている。これらの機器は、いずれも彫刻だけの単機能だけであり、連続した自動画像彫刻ができなかった。
【0003】
これに対し、出願人は特許文献4の自動連続画像彫刻装置を提案した。
【0004】
この自動連続画像彫刻装置は、クレジットカードなど、カードに画像彫刻するものであり、カードマガジンと、カードディスペンサーと、リードライトユニットと、カード位置決め部と、カード搭載テーブルと、カード搬送部と、画像彫刻部と、カード収納マガジンと、カード搬送用ロボットとを備えている。
【0005】
カードマガジンは、データをリード及びライト可能な長方形状のカードを複数枚収納可能とし、カードディスペンサーは、カードマガジンに収納されたカードをカード長尺方向へ順次繰り出す。
【0006】
リードライトユニットは、カードディスペンサーから繰り出されたカードを繰り出し方向で受け入れてデータのリード又はライトを行いカード長尺方向へ搬出する。
【0007】
カード位置決め部は、リードライトユニットから搬出されたカードをこの搬出方向で受け入れて位置決めを行う。
【0008】
カード搭載テーブルは、カード位置決め部で位置決め後のカードがカード短尺方向への移動により搭載され、カード搬送部は、カード搭載テーブルに搭載されたカードを搭載位置と画像彫刻位置との間でカード長尺方向へ搬送する。
【0009】
画像彫刻部は、カード搬送部で画像彫刻位置に搬送されてきたカードに対して制御部からの画像信号に従い彫刻針により画像彫刻を行う。
【0010】
カード収納マガジンは、画像彫刻部で画像彫刻後に前記搭載位置に搬送を戻された既彫刻のカードをカード短尺方向への移動により受け入れて収納する。
【0011】
カード搬送用ロボットは、カード位置決め部からカード搭載テーブルへ、このカード搭載テーブルからカード収納マガジンへとカードをカード短尺方向で直線的に移載させる。
【0012】
従って、カードへの画像彫刻を連続して自動的に行わせることができる。
【0013】
しかし、かかる従来の自動連続画像彫刻装置では、カードの位置決めが不十分になり易く、正確な画像彫刻に限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平1−115676号公報
【特許文献2】特開平5−24394号公報
【特許文献3】実開昭63−201762号公報
【特許文献4】特許第4516669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
解決しようとする問題点は、位置決めが不十分になり易く、正確な画像彫刻に限界があった点である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、正確な位置決めを可能とするため、未彫刻のカード状彫刻媒体を移載して乗せ位置決め方向と排出方向とへ位置決めモーターの選択的な正逆駆動により走行して前記カード状彫刻媒体を移動させるベルトと、前記ベルトの位置決め方向側に設けられ前記カード状彫刻媒体の前記位置決め方向への移動により前記カード状彫刻媒体を当接させて位置決める位置決め体と、前記ベルトの排出方向側に設けられ前記カード状彫刻媒体の前記排出方向への移動により前記カード状彫刻媒体の排出を受ける排出受け部とを備えた媒体位置決め排出装置であって、前記ベルトの走行方向に直交するガイドレールに走行ガイドされ前記未彫刻のカード状彫刻媒体を吸着により搬送し前記移載を行なうと共に位置決め後のカード状彫刻媒体を吸着して搬出する媒体搬送部を備え、前記走行ガイドによる直線移動方向に配置された画像彫刻部との組み合わせにおいて、前記媒体搬送部が前記走行ガイドにより前記ベルト上に移動し前記位置決め体と前記排出受け部との間で前記吸着を開放し前記ベルト上に前記移載を行うと共に前記位置決めが行われると前記媒体搬送部が前記搬出を行うことで前記彫刻位置に対する前記カード状彫刻媒体の位置決めを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記構成であるから、ベルト上に移載された未彫刻のカード状彫刻媒体を位置決めモーターの駆動によるベルトの走行で位置決め体に当接させ、容易に位置決めることができる。ベルト上に移載された未彫刻のカード状彫刻媒体に不備があれば位置決めモーターの逆転駆動によるベルトの走行でカード状彫刻媒体を排出受け部に排出することができる。従って、正確な画像彫刻を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】自動連続画像彫刻装置を正面側から見た全体斜視図である。(実施例1)
図2】自動連続画像彫刻装置を背面側から見た一部省略の全体斜視図である。(実施例1)
図3】カードカセットと媒体ディスペンサーと事前位置決め部と媒体位置決め搬送部と彫刻部との関係を示す一部省略の正面図である。(実施例1)
図4】カードカセットと媒体ディスペンサーと事前位置決め部と媒体位置決め搬送部と彫刻部との関係を示す一部省略の平面図である。(実施例1)
図5】カードカセットと媒体ディスペンサーと事前位置決め部と媒体位置決め搬送部と彫刻部との関係を示す背面側から見た状態の一部省略の斜視図である。(実施例1)
図6】カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係をXZ面で切断して示す背面側から見た状態の斜視図である。(実施例1)
図7】カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係を異なるXZ面で切断して示す背面側から見た状態の斜視図である。(実施例1)
図8】カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係を示す背面上方側から見た状態の一部省略の斜視図である。(実施例1)
図9】カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係を異なるXZ面で切断して示す側面上方側から見た状態の斜視図である。(実施例1)
図10】カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係を異なるXZ面で切断して示す背面側から見た状態の一部省略の斜視図である。(実施例1)
図11】カードカセットの下部側をXY面で切断して背面側から見た状態の斜視図である。(実施例1)
図12】カードカセットの下部側をXY面で切断して背面下方側から見た状態の斜視図である。(実施例1)
図13】カードカセットの上部側を異なるXZ面で切断して示す背面上方側から見た状態の斜視図である。(実施例1)
図14】媒体ディスペンサーをカードカセットとの関係で一部を省略して示す背面下方側から見た斜視図である。(実施例1)
図15】媒体ディスペンサーをカードカセットとの関係で一部を省略して示す前面上方側から見た斜視図である。(実施例1)
図16】事前位置決め部の一部透視斜視図である。(実施例1)
図17】事前位置決め部の一部透視平面図である。(実施例1)
図18】事前位置決め部のXY面で切断した断面図である。(実施例1)
図19】事前位置決め部の異なるXY面で切断した断面図である。(実施例1)
図20】事前位置決め部のさらに異なるXY面で切断した断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0019】
正確な位置決めを可能にするという目的を、未彫刻のカード状彫刻媒体を移載して乗せ位置決め方向と排出方向とへ位置決めモーターの選択的な正逆駆動により走行して前記カード状彫刻媒体を移動させるベルトと、前記ベルトの位置決め方向側に設けられ前記カード状彫刻媒体の前記位置決め方向への移動により前記カード状彫刻媒体を当接させて位置決める位置決め体と、前記ベルトの排出方向側に設けられ前記カード状彫刻媒体の前記排出方向への移動により前記カード状彫刻媒体の排出を受ける排出受け部とを備えて実現した。
【0020】
前記位置決め体は、前記ベルトの走行方向で前記ベルトに対し位置変更可能に支持され、前記位置決め体の位置を変更モーターの駆動で変更させる位置変更機構を備えてもよい。
【0021】
前記ベルトの走行方向に直交するガイドレールに走行ガイドされ前記未彫刻のカード状彫刻媒体を吸着により搬送し前記移載を行なうと共に位置決め後のカード状彫刻媒体を吸着して搬出する媒体搬送部を備えてもよい。
【実施例1】
【0022】
[自動連続画像彫刻装置]
図1は、自動連続画像彫刻装置を正面側から見た全体斜視図である。図2は、自動連続画像彫刻装置を背面側から見た一部省略の全体斜視図である。なお、以下の説明において、Y方向とは、カードが直線的に移動する横方向であり、装置を正面から見て左右方向である。X方向とは、Y方向に直交する方向であり、装置を正面から見て奥行き方向である。Z方向とは、XY方向に直交する装置の上下方向である。前後とは、Y方向での前後である。左右とは、X方向であり、装置の左右である。
【0023】
図1図2で示す自動連続画像彫刻装置1は、カード状彫刻媒体に無理なく連続して自動的に画像を彫刻することを可能にする。この自動連続画像彫刻装置1は、未彫刻媒体収容部3及び既彫刻媒体収容部5と、媒体ディスペンサー7と、媒体位置決め搬送部9と、画像彫刻部11とを備えている。
【0024】
未彫刻媒体収容部3及び既彫刻媒体収容部5は、本実施例において同一構造に形成されている。但し、未彫刻媒体収容部3及び既彫刻媒体収容部5を異なる構造で形成することもできる。
【0025】
未彫刻媒体収容部3は、矩形状の未彫刻のカード状彫刻媒体を、複数枚上下に重ねて収容するものである。既彫刻媒体収容部5は、彫刻済みの既彫刻のカード状彫刻媒体を収容するものである。本実施例では、未彫刻媒体収容部3及び既彫刻媒体収容部5がそれぞれ2台備えられ、既彫刻媒体収容部5に対し未彫刻媒体収容部3がY方向の前方に並んで全体的に直線的に配置されている。
【0026】
カード状彫刻媒体は、プラスチック、合成紙、特殊合成紙などにより平面矩形状に形成されたものであり、表面に彫刻層を備え、彫刻により例えば透かし彫り表示などの画像を形成することができる。カード状彫刻媒体の例としては、本人認証カード、クレジットカード等がある。カード状彫刻媒体は、その他、画像彫刻の必要性と可能性とがあれば、種々のカード状の媒体に適用することもできる。以下、カード状彫刻媒体を、単に「カード」と称する。
【0027】
媒体ディスペンサー7は、未彫刻媒体収容部3の上部から前記重ねられた未彫刻のカードの最上位を吸着させ未彫刻媒体収容部の上方外へ移動させ且つ未彫刻媒体収容部3及び既彫刻媒体収容部5の隣接方向であるY方向へ直線的に移動してカードをY方向へ移動させるものである。
【0028】
媒体位置決め搬送部9は、媒体ディスペンサー7の直線移動方向であるY方向の端部側に配置され未彫刻のカードを引き継ぎ位置TOPで引き継いで移動させ彫刻位置EGPに位置決めるものである。
【0029】
画像彫刻部11は、彫刻位置EGPに配置され未彫刻のカードに画像彫刻を行うものである。
【0030】
そして、媒体ディスペンサー7は、未彫刻のカードを引き継ぎ位置TOPで開放して引き継がせ、媒体位置決め搬送部9は、画像彫刻後の既彫刻のカードを彫刻位置EGPから引継ぎ位置TOPへ戻し、媒体ディスペンサー7は、引継ぎ位置TOPの既彫刻のカードを吸着して上方へ移動させ且つ既彫刻媒体収容部5上へ移動して既彫刻のカードを開放し落下させることになる。
【0031】
本実施例では、未彫刻媒体収容部3及び既彫刻媒体収容部5と媒体位置決め搬送部9との間に未彫刻のカードを事前に位置決める事前位置決め部13を備えている。
【0032】
媒体ディスペンサー7は、未彫刻のカードを事前位置決め部13で位置決めてから引継ぎ位置TOPで媒体位置決め搬送部9へ引き継がせ、且つ未彫刻のカードが事前位置決め部13で位置決められているとき引継ぎ位置TOPの既彫刻のカードを既彫刻媒体収容部5上へ移動させる。
【0033】
ここで、各部の構造をより具体的に説明する。
【0034】
[未彫刻媒体収部及び既彫刻媒体収部]
図3は、カードカセットと媒体ディスペンサーと事前位置決め部と媒体位置決め搬送部と彫刻部との関係を示す一部省略の正面図である。図4は、カードカセットと媒体ディスペンサーと事前位置決め部と媒体位置決め搬送部と彫刻部との関係を示す一部省略の平面図である。図5は、カードカセットと媒体ディスペンサーと事前位置決め部と媒体位置決め搬送部と彫刻部との関係を示す背面側から見た状態の一部省略の斜視図である。図6は、カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係をXZ面で切断して示す背面側から見た状態の斜視図である。図7は、カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係を異なるXZ面で切断して示す背面側から見た状態の斜視図である。図8は、カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係を示す背面上方側から見た状態の一部省略の斜視図である。図9は、カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係を異なるXZ面で切断して示す側面上方側から見た状態の斜視図である。図10は、カードカセットと媒体ディスペンサーとの関係を異なるXZ面で切断して示す背面側から見た状態の一部省略の斜視図である。図11は、カードカセットの下部側をXY面で切断して背面側から見た状態の斜視図である。図12は、カードカセットの下部側をXY面で切断して背面下方側から見た状態の斜視図である。図13は、カードカセットの上部側を異なるXZ面で切断して示す背面上方側から見た状態の斜視図である。
【0035】
図1図13のように、未彫刻媒体収容部3及び既彫刻媒体収容部5は、上記のように本実施例において同一構造に形成されている。
【0036】
装置フレーム15には、区画用の側板17、19、21、23、25が設けられている。側板17、19、21、23、25は、相互間が同幅で離間形成され、合計4箇所のカセット収納部27、29、31、33がY方向に直線的に隣接して形成されている。側板21、23の上面板等のY方向での配置幅は、後述のセンサー取付けのために他の側板17、19、25よりも若干幅広に設定されている。
【0037】
つまり、側板17、19、21、23、25は、装置前側の前面板と装置上方側の上面板とを一体に備え、側板21、23の前面板及び上面板のY方向の幅がセンサー取付け用の空間幅に対応している。
【0038】
未彫刻媒体収容部3は、カセット収納部27、29にカードカセット35、37をワンタッチで着脱自在に備えている。既彫刻媒体収容部5は、カセット収納部31、33にカードカセット39、41をワンタッチで着脱自在に備えている。
【0039】
カードカセット35、37、39、41は、基本的に同一構造であり、カードカセット35について説明し、カードカセット37、39、41の説明は省略する。
【0040】
カードカセット35は、カセットベース43にカセット側板45a、45bが取り付けられたものである。カセットベース43には、正面に取手47が取り付けられている。カードカセット35の上端は、開口し、カードの出し入れが可能となっている。カセット側板45a、45bの内部下端には、カード受け部49が設けられている。カセット側板45a、45bの外面上部側には、係合突部51a、51bがカセット側板45a、45bの外面側に突出するように設けられている。
【0041】
係合突部51a、51bは、一対のアームからなる係止アーム体53により着脱可能に係止ロックされている。係止アーム体53は、側板17、19間に中間部の軸53aが回転自在に取り付けられている。係止アーム体53と側板17、19との間には、リターンスプリング55が取り付けられ、係止アーム体53を係止ロック方向に回転付勢している。側板19側には、解除用ソレノイド57が取り付けられ、係止アーム体53に結合されている。従って、解除用ソレノイド57によりリターンスプリング55に抗して係止アーム体53を回転させると、係止アーム体53による係合突部51a、51bの係止ロックが解除され、側板19側には、インターロック59が取り付けられ、カードカセット35の一側背面を着脱可能にロックしている。
【0042】
従って、カードカセット35を側板17、19間のカセット収納部27に装置の前面側から挿入すると、係合突部51a、51bが係止アーム体53の先端に当接し、さらなる押し込みにより係止アーム体53が軸53aを中心にして回転し係合突部51a、51bが係止アーム体53の先端を付勢力に抗して乗り越え、そのまま係止ロックされる。カードカセット35の下部側は、インターロック59により結合される。これら係止及び結合により、カードカセット35をカセット収納部27に装着することができる。インターロック59に結合されることで、後述するテーブルを昇降させるステッピングモーター等の動作が許容される。
【0043】
ボタン操作などにより解除用ソレノイド57を駆動すると係止アーム体53の回転により係合突部51a、51bの係止ロックが解除される。
【0044】
カセット収納部27の下部には、キャリッジ61が配置されている。キャリッジ61は、テーブル63を支持し、テーブル63は、カードカセット35の下端に対向している。テーブル63は、カードカセット35の下端からカードカセット35の内部を上昇し、カード受け部49に積層収容されたカードを上昇させることができる。このカードの上昇により積層上端のカードをカードカセット35における上部取り出し位置に配置させることができる。
【0045】
キャリッジ61には、リニアブッシュ65及びボールソケット66が固定して取り付けられている。リニアブッシュ65は、カセットシャフト67に昇降ガイド可能に嵌合し、ボールソケット66は、ボールねじ69に係合している。
【0046】
カセットシャフト67の下端部は、モーター取付板71に固定して取り付けられ、ボールねじ69の下端部は、スラスト針状ころ軸受73によりモーター取付板71に回転自在に支持されている。カセットシャフト67の上端部は、上板75に固定して取り付けられ、ボールねじ69の上端部は、ベアリング77を介して上板75に回転自在に支持されている。
【0047】
モーター取付板71は、側板19に固定されている。このモーター取付板71にステッピングモーター79が取り付けられている。ステッピングモーター79の出力軸及びボールねじ69の下端には、タイミングギヤ81、83が取り付けられ、タイミングギヤ81、83にタイミングベルト85が掛け回されている。
【0048】
ボールねじ69の駆動によりボールソケット66が昇降駆動され、カセットシャフト67に沿ってキャリッジ61が昇降ガイドされる。
【0049】
上板75には、エアブロック87がノズルシャフト89により揺動可能に支持されている。エアブロック87のX方向後端部と側板19との間には引張スプリング91が介設されている。引張スプリング91は、エアブロック87を付勢し、エアブロック87のX方向前端が若干上に向くようにしている。エアブロック87の前端に一対のノズル92a、92bが固定されている。ノズル92a、92bからエアを噴出し、媒体ディスペンサー7による一枚ずつのカードの取り出しを可能とする。ノズル92a、92bには、真空ポンプ94が接続され、ノズル92a、92bから脈動するエアの噴出しを行なわせる。このエアの噴出しにより密着する下層のカードを分離する。
【0050】
なお、未彫刻媒体収容部3と既彫刻媒体収容部5との並びは、Y方向で逆にすることもできる。未彫刻のカードカセットと既彫刻のカードカセットとを交互に並べるように未彫刻媒体収容部と既彫刻媒体収容部とを構成することもできる。
【0051】
[媒体ディスペンサー]
図14は、媒体ディスペンサーをカードカセットとの関係で一部を省略して示す背面下方側から見た斜視図である。図15は、媒体ディスペンサーをカードカセットとの関係で一部を省略して示す前面上方側から見た斜視図である。
【0052】
図5図10図14図15のように、前記媒体ディスペンサー7は、図の位置においてカードカセット35の上部に配置され、ガイドレール93に走行可能に支持されている。媒体ディスペンサー7は、ガイドレール93に沿ってY方向に往復走行ガイドされる。ガイドレール93は、装置フレーム15にY方向に沿って取り付けられている。
【0053】
ガイドレール93にガイドブロック95が取り付けられ、ガイドブロック93がガイドレール93に沿ってガイドされるようになっている。
【0054】
ガイドブロック95にはY軸ベース97が取り付けられ、Y軸ベース97には、Y軸モーターベース99が取り付けられている。Y軸モーターベース99には、ステッピングモーター101が取り付けられ、Y軸カバー103、Y軸昇降ガイド105が支持されている。
【0055】
Y軸モーターベース99とY軸昇降ガイド105との間には、すべりシャフト107及びボールねじ109が支持されている。
【0056】
Y軸モーターベース99の下部側に昇降ブロック111が配置され、昇降ブロック111は、すべりシャフト107にリニアブッシュを介してガイド可能に結合され、同ボールねじ109にボールソケットを介して昇降駆動可能に結合されている。
【0057】
ステッピングモーター101の出力軸及びボールねじ109には、Y軸モーターベース99上でタイミングギヤ100、102が取り付けられ、タイミングギヤ100、102間にタイミングベルト104が掛け回されている。
【0058】
従って、ステッピングモーター101の駆動によりボールねじ109を連動させ、昇降ブロック111を昇降駆動させることができる。
【0059】
昇降ブロック111には、パッドノズル113が支持され、下方に指向してカードカセット35の上部に対向している。パッドノズル113には、コイルスプリングが外装され、パッドノズル113先端がカードカセット35上部のカードに弾接可能となっている。
【0060】
パッドノズル113には、真空ポンプ115が接続され、パッドノズル113によりカードカセット35の上部のカードを吸着し、或いは吸着したカードを開放できるようになっている。
【0061】
ガイドブロック95には、ハーネススライド板117が取り付けられ、ハーネススライド板117にタイミングベルト用金具119が取り付けられている。タイミングベルト用金具119は、タイミングベルト121に結合されている。タイミングベルト121は、タイミングギヤ123、125間に掛け回されている。タイミングギヤ123は、ステッピングモータ127の出力軸に取り付けられ、タイミングギヤ125は、装置フレーム15の端部に支持されている。ステッピングモータ127は、装置フレーム15側に固定されている。
【0062】
従って、ステッピングモータ127の駆動によりタイミングベルト121がガイドレール93に沿って駆動され、タイミングベルト用金具119を介してガイドブロック95がガイドレール93に沿って移動する。ガイドブロック95が移動するとY軸ベース97を介して媒体ディスペンサー7がY方向に移動する。このような移動を介し媒体ディスペンサー7をガイドレール93に沿って往復させ、また途中で停止させることができる。かかる移動、停止制御は、予めインストールされたプログラムにより行なわれる。手動ボタン操作等により媒体ディスペンサー7を手動で移動させることもできる。
【0063】
ハーネススライド板117には、ケーブル129の一端が支持され、ケーブル129の他端は、装置フレーム15側に取り付けられたケーブルガイド131に支持されている。媒体ディスペンサー7が往復動作するときにケーブル129がケーブルガイド131上に折り畳まれ、或いはケーブルガイド131上から展開される。ケーブル129は、モーター等各部への給電のためのものである。
【0064】
[センサー]
図1図3図5のように、カセット収納部29、31間には、スペースを利用してソニックセンサー133が配置されている。ソニックセンサー133の一方は、装置フレーム15に固定され、他方は側板21の上面板に取り付けられている。側板21の上面板には、ソニックセンサー133用の孔が形成されている。
【0065】
ソニックセンサー133は、媒体ディスペンサー7により吸着搬送されるカードが単一枚か否かの検出に供するものであり、複数枚が同時に搬送されているときは、事前位置決め部13により排出処理がなされる。
【0066】
カセット収納部31、33間には、スペースを利用してカラーセンサー135が配置されている。カラーセンサー135は、側板23の上面板に取り付けられている。側板23の上面板には、カラーセンサー135用の孔が形成されている。
【0067】
カラーセンサー135は、媒体ディスペンサー7により吸着搬送されるカードの表裏の正誤検出に供するものであり、媒体ディスペンサー7により吸着搬送されるカードの表裏が誤っていれば事前位置決め部13により排出処理がなされる。
【0068】
[事前位置決め部]
図16は、事前位置決め部の一部透視斜視図である。図17は、事前位置決め部の一部透視平面図である。図18は、事前位置決め部のXY面で切断した断面図である。図19は、事前位置決め部の異なるXY面で切断した断面図である。図20は、事前位置決め部のさらに異なるXY面で切断した断面図である。
【0069】
図1図3図5図16図20のように、前記事前位置決め部13は、既彫刻媒体収容部5の側板25に隣接配置されている。
【0070】
事前位置決め部13は、媒体位置決め排出装置であり、上部開口のケース状のアライメント走行ベース137にストッパー板139及びベルト141a、141bを主として備えた構成である。
【0071】
ストッパー板139は、断面L字型に形成され、X方向に位置決め面を向けて配置されている。ベルト141a、141bの位置決め方向側に設けられカードの位置決め方向への移動によりカードの縁辺部を当接させて位置決める位置決め体を構成している。
【0072】
位置決め方向への移動とは、Y方向に直交するベルト141a、141bの走行方向(X方向)である。カードの縁辺部とは、長手方向をY方向に向けて搬送されるカードの長辺部である。なお、カードの縁辺部を短辺部にすることもできる。
【0073】
ストッパー板139の下面にはアライメントブロック141が取り付けられ、一対のすべりシャフト143a、143bに嵌合し、すべりガイドされるようになっている。すべりシャフト143a、143bは、アライメントベース145に固定して支持されている。アライメントベース145は、アライメント走行ベース137に固定されている。
【0074】
アライメントベース145には、ボールねじ147が回転可能に支持されている。ボールねじ147にはボールソケット149が嵌合し、ボールソケット149は、アライメントブロック141に固定されている。
【0075】
従って、ボールねじ147の回転駆動によりアライメントブロック141がX方向へ移動し、ストッパー板139によるアライメント位置を決定することができる。カードのX方向の位置決めは、予め決定されたストッパー板139のアライメント位置で行なわれる。つまり、ストッパー板139は、ベルト141a、141bの走行方向でベルト141a、141bに対し位置変更可能に支持されている。
【0076】
ボールねじ147には、アライメント走行ベース137外においてタイミングギヤ151が取り付けられている。変更モーターであるステッピングモータ153の出力軸には、タイミングギヤ155が取り付けられている。タイミングギヤ151、155間にタイミングベルト157が掛け回されている。
【0077】
従って、ステッピングモータ153の駆動によりタイミングベルト157を介してボールねじ147を正逆回転駆動することができる。ステッピングモータ153、タイミングギヤ151、155、タイミングベルト157、ボールねじ147及びボールソケット149、アライメントブロック141、一対のすべりシャフト143a、143bは、ストッパー板139の位置をステッピングモータ153の駆動で変更させる位置変更機構を構成する。なお、位置変更機構は、ストッパー板139の位置を変更できればよく、他の機構を用いることもできる。ストッパー板139の位置は、カードCの大きさに合わせて大きく変更することもできる。
【0078】
アライメント走行ベース137には、X方向の手前側にアライナー駆動シャフト159a、159bがY方向に向けて取り付けられている。アライナー駆動シャフト159a、159bには、タイミングギヤ161a、161bがそれぞれ一対取り付けられている。アライメント走行ベース137には、底部側に位置決めモーターであるステッピングモーター163が取り付けられ、ベルト141a側においてモーターの出力軸にタイミングギヤ165が取付られている。ベルト141aは、タイミングギヤ161a、161b、165間に掛け回され、ベルト141bは、タイミングギヤ161a、161b間に掛け回されている。
【0079】
従って、ベルト141a、141bは、未彫刻のカードを移載により乗せ位置決め方向と排出方向とへステッピングモーター163の選択的な正逆駆動により走行してカードをX方向に移動させる。
【0080】
アライメント走行ベース137の一側には、ベルト141a、141bのX方向手前側である排出側に排出トレー167が設けられている。
【0081】
従って、媒体ディスペンサー7により搬送されたカードCがベルト141a、141b上に移載されるとステッピングモーター163の駆動によりベルト141aがX方向の奥側であるストッパー板139方向へ走行駆動されると、アライナー駆動シャフト159a、159b等を介してベルト141bが同期して同方向へ走行駆動される。この駆動によりカードCがストッパー板139に突き当てられ、X方向に位置決められる。カードCのY方向の位置決めは、媒体ディスペンサー7に吸着された位置となっている。
【0082】
媒体ディスペンサー7により搬送されたカードCが2枚重ねであったり、表裏の誤りがあると、カードCがベルト141a、141b上に移載されたとき、ステッピングモーター163が逆方向に駆動される。この駆動により、ベルト141a、141bが排出方向へ走行駆動され、カードCは排出トレー167に排出され、画像彫刻部11での間違った無駄な画像彫刻を防止することができる。
【0083】
つまり、排出受け部としての排出トレー167は、ベルト141a、141bの排出方向側に設けられカードCの排出方向への移動によりカードCの排出を受ける構成となっている。排出方向側とは、X方向でベルトを挟みストッパー板139の反対方向となる。
【0084】
媒体ディスペンサー7は、媒体搬送部を構成し、ベルト141a、141bの走行方向に直交するガイドレール93に走行ガイドされ未彫刻のカードCを吸着により搬送し前記移載を行なうと共に位置決め後のカードCを吸着して搬出する構成である。
【0085】
従って、媒体ディスペンサー7によるY方向への直線的な搬送による移載で事前位置決め部13にカードCを乗せ、位置決め後に媒体ディスペンサー7によりY方向へ直線的に搬出することができる。
【0086】
この直線的な搬出により、カードCを画像彫刻部11側へ移動させることができ、位置決め後のカードCに対して正確な位置で画像彫刻を容易に可能とする。
【0087】
[媒体位置決め搬送部及び画像彫刻部]
図1図3図5のように、前記媒体位置決め搬送部9及び画像彫刻部11は、事前位置決め部13に隣接して配置されている。
【0088】
媒体位置決め搬送部9は、用紙セット台175を備えている。用紙セット台175は、Y軸駆動機構のスライダを介してシャフトに支持され、Y方向に往復駆動されるように構成されている。彫刻に際しては、用紙セット台175の吸着部177にカードCを吸着させて支持する。用紙セット台175は、彫刻時に彫刻位置EGPにおいてY方向に小さな範囲で往復動し、彫刻針171aによるX、Z方向への彫刻動作と合わせてカードCにプログラミングされた画像彫刻を行なう。
【0089】
また、用紙セット台175は、制御により彫刻位置EGPと引き継ぎ位置TOPとの間を往復移動可能とされている。
【0090】
吸着部177は、多孔平面部材の微細孔からの吸引を行わせるための機構であり、真空ポンプが電磁弁を介して多孔平面部材側に接続されている。真空ポンプの稼働により多孔平面部材の微細孔からの吸引を行わせ、多孔平面部材にカードを密着性良く吸着固定させる。
【0091】
このとき、圧力スイッチの圧力検出により彫刻を可能とする圧力状態、例えば50KPa以上とすることで、被彫刻媒体の膨らみやずれ等の無い状態を検出し、彫刻可能な正確な位置での密着状態を知ることができる。この圧力検出により、彫刻ヘッド173等を自動で動作させることもできる。圧力状態50KPa以上としての値は、被彫刻媒体の膨らみやずれ等の無いことを検出できるものとして実験的に求めたものである。
【0092】
画像彫刻部11は、装置フレーム15側に支持された機構ベース169を備えている。機構ベース169上に振動発生部171を支持した彫刻ヘッド173が配置されている。
【0093】
彫刻ヘッド173は、X軸駆動機構、及びZ軸駆動機構に連動結合され、X方向及びZ方向に往復駆動制御されるものである。
【0094】
この彫刻ヘッド173の振動発生部171は、永久磁石側に対して電磁石側がばねによりフローティング支持され、永久磁石側及び電磁石側間の作用とばねの作用とにより電磁石側が、微小に揺動振動する。
【0095】
このような微小振動により、コイルへの通電の切り換えを彫刻信号に基づいて行わせることで、画像データを電気信号に変換した信号に基づいて彫刻針171aを振動させ、且つ前記X方向、Z方向へ彫刻ヘッド173を移動させ、用紙セット台175のY方向移動と共にカードCの表面に微細彫刻を行なう。
【0096】
[自動連続画像彫刻装置の動作]
カードカセット35、37には、予め未彫刻のカードが収容されている。
【0097】
各部の駆動は、制御部のプログラムにより自動制御され、始動スイッチのONにより稼働する。
【0098】
媒体ディスペンサー7では、ステッピングモーター101の駆動によりパッドノズル113が下降し、カードカセット35の最上位のカードをパッドノズル113が吸着する。ステッピングモーター101の駆動の戻りによりパッドノズル113がカードCを吸着したまま規定位置まで上昇する。
【0099】
パッドノズル113がカードCを吸着したまま上昇するとき、その途中でノズル92a、92bからエアが脈動するように噴出され、エアがカードに当たる。このエアの当たりにより、パッドノズル113が吸着するカードCに下層のカードが密着するなどして共に引き上げられても、分離されて下層のカードは落下し、パッドノズル113が吸着するカードCを一枚にすることができる。
【0100】
従って、媒体ディスペンサー7によるカードの一枚ずつの取り出しを正確に行わせることができ、連続的な彫刻を円滑に行なわせることができる。
【0101】
次いで、ステッピングモータ127の駆動によりタイミングベルト121がガイドレール93に沿って駆動され、媒体ディスペンサー7がY方向に事前位置決め部13まで移動する。
【0102】
一方、カードカセット35からカードCが取り出されると、センサーの検出に基づいてステッピングモーター101が駆動され、キャリッジ61を介してテーブル63が上昇し、最上位のカードが取り出し位置に待機する。
【0103】
媒体ディスペンサー7の事前位置決め部13までの移動途中では、ソニックセンサー133の検出により、媒体ディスペンサー7が吸着搬送するカードCが単一枚か否かが制御部で判断され、カラーセンサー135の検出により媒体ディスペンサー7が吸着搬送するカードCの表裏の正誤が制御部で判断される。
【0104】
媒体ディスペンサー7がY方向に事前位置決め部13まで移動するとベルト141a、141b上で停止する。
【0105】
事前位置決め部13のベルト141a、141b上で媒体ディスペンサー7はパッドノズル113を下降させると共にパッドノズル113によるカードCの吸着を開放し、カードCを事前位置決め部13上に引き継がせる。
【0106】
事前位置決め部13上に引き継ぎ移載されたカードCは、ベルト141a、141b上に渡るように載置される。
【0107】
カードCの単一枚か否かの判断及び表裏の正誤判断結果が正しいものであれば、ステッピングモーター163の駆動によりベルト141a、141bがストッパー板139方向に走行し、カードCの一辺がストッパー板139に突き当たり、X方向の位置決めが行なわれる。
【0108】
従って、画像彫刻部11での画像彫刻をカードの正しい位置に行わせることができる。
【0109】
なお、カードCのY方向の位置決めは、媒体ディスペンサー7に吸着された位置となるが、用紙セット台175の吸着部177周囲に位置決め金具を配置し、カードCを吸着部177上に配置するとき媒体ディスペンサー7の若干の移動によりカードCをY方向へ若干移動させ、カードを金具に当接させる等して位置決めることもできる。この位置決めの際には、パッドノズル113の撓みを利用してカードCの金具への当接を可能にすることができる。
【0110】
カードCの単一枚か否かの判断及び表裏の正誤判断結果が正しくなければ、ステッピングモーター163の逆転駆動によりベルト141a、141bが反ストッパー板139方向に走行し、カードCが排出トレー167に排出される。
【0111】
従って、連続的な彫刻動作においてカードに正しく彫刻を行うことができる。
【0112】
事前位置決め部13上でX方向の位置決めが行なわれると、上方で待機していた媒体ディスペンサー7がパッドノズル113を下降させ、位置決め後のカードCを吸着する。
【0113】
カードCを吸着した媒体ディスペンサー7は、ステッピングモータ127の駆動によりY方向に移動し、引き継ぎ位置TOP上で待機する用紙セット台175上に停止する。
【0114】
引き継ぎ位置TOP上で媒体ディスペンサー7はパッドノズル113を下降させると共にパッドノズル113によるカードCの吸着を開放し、カードCを媒体位置決め搬送部9の用紙セット台175に引き継がせる。
【0115】
用紙セット台175上に引き継がれたカードCは、吸着部177での吸引により用紙セット台175に固定される。
【0116】
カードCを引き継いだ用紙セット台175は、彫刻位置EGPまで移動し、制御部からの画像信号に従い彫刻針171aによりカードCに画像彫刻が行なわれる。
【0117】
次いで、媒体ディスペンサー7は、カードカセット35までY方向に戻り最上位のカードを吸着して上記同様に事前位置決め部13に移載し、事前位置決め部13上で未彫刻のカードの位置決めが行なわれる。
【0118】
このとき彫刻位置EGPで彫刻された既彫刻の先のカードCが用紙セット台175の移動により引き継ぎ位置TOPまで戻される。
【0119】
事前位置決め部13上に待機する媒体ディスペンサー7が引き継ぎ位置TOPまで移動し、引き継ぎ位置TOPの既彫刻のカードCを吸着し、既彫刻媒体収容部5のカードカセット39までY方向に戻る。
【0120】
カードカセット39上で媒体ディスペンサー7は、パッドノズル113による既彫刻のカードCの吸着を解除し、カードカセット39のテーブル上に移載する。カードカセット39のテーブル上への移載は、センサーが検知し、次の既彫刻のカードを移載できるようにステッピングモーターが駆動され、キャリッジを介してテーブルが下降する。
【0121】
既彫刻のカードCを開放した媒体ディスペンサー7は、事前位置決め部13まで移動し、事前位置決め部13上に待機する未彫刻のカードを前記同様に吸着し、引き継ぎ位置TOPに待機する用紙セット台175に既彫刻のカードCを移載する。このように、既彫刻のカードCを処理するまで未彫刻のカードCを事前位置決め部13上に待機させることで搬送路をオーバーラップさせることができ、装置をコンパクトにすることができ、動作時間の短縮も図ることができる。
【0122】
次いで、媒体ディスペンサー7は、カードカセット35までY方向に戻り最上位のカードを吸着し、上記同様に事前位置決め部13に移載して未彫刻のカードCの位置決めが行なわれる。
【0123】
かかる動作の繰り返しにより未彫刻媒体収容部3のカードカセット35内の未彫刻のカードが順次彫刻され、既彫刻媒体収容部5のカードカセット39に順次収容される。
【0124】
カードカセット35内のカードの彫刻が終了すると未彫刻媒体収容部3のカードカセット37内の未彫刻のカードの前記のような取出しにより彫刻が行なわれ、既彫刻媒体収容部5のカードカセット41に順次収容される。
【0125】
このような連続動作は、カードカセット35内のカードの取出しによる彫刻で終了することもでき、カードカセット35を用いず、カードカセット37内のカードの取出しによる彫刻を行なわせることもできる。
【0126】
既彫刻媒体収容部5のカードカセット39、41も何れか一方のみを用いて既彫刻のカードを収容させることもできる。
【0127】
媒体ディスペンサー7をY方向へ往復動作させることで、未彫刻のカードの取り出し、位置決め、用紙セット台175への支持、既彫刻のカードの収容を行わせることができ、全体的に円滑な彫刻動作を行なわせることができる。
【0128】
ガイドレール93及びタイミングベルト121も直線的に配置することができ、構造を簡素化することができる。
【0129】
未彫刻媒体収容部3、既彫刻媒体収容部5、事前位置決め部13、媒体位置決め搬送部9及び画像彫刻部11をY方向に直線的に並べることができ、全体的に装置をコンパクトに形成することができる。従って、装置の設置スペースの小型化を可能とする。
【0130】
カードは、未彫刻媒体収容部3及び既彫刻媒体収容部5に対して上下に積層することができ、装置の大型化を抑制することができる。
【0131】
上下に積層した未彫刻のカードは、テーブルの昇降駆動により取り出し位置に待機させることができ、媒体ディスペンサー7による吸着取出しを円滑に行わせることができる。
【0132】
既彫刻媒体収容部5に対する既彫刻のカードの収容は、テーブルの昇降駆動により適正な上下位置でカードを引き継ぎ収容させることができ、円滑な収容動作を行なわせることができる。
【0133】
事前位置決め部13は、未彫刻媒体収容部3及び既彫刻媒体収容部5と媒体位置決め搬送部9との間に備えたため、未彫刻のカードCを事前位置決め部13で位置決めてから引継ぎ位置TOPで媒体位置決め搬送部9の用紙セット台175へ引き継がせ、且つ未彫刻のカードCが事前位置決め部13で位置決められているとき引継ぎ位置TOPの既彫刻のカードCを既彫刻媒体収容部5上へ移動させることができる。
【0134】
従って、未彫刻のカードCの次の彫刻のための待機と、既彫刻のカードCの取り出しとを搬送路を重複して行なわせることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0135】
1 自動連続画像彫刻装置
3 未彫刻媒体収容部
5 既彫刻媒体収容部
7 媒体ディスペンサー(媒体搬送部)
9 媒体位置決め搬送部
11 画像彫刻部
93 ガイドレール
139 ストッパー板(位置決め体)
141a、141b ベルト
141 アライメントブロック(位置変更機構)
143a、143b すべりシャフト(位置変更機構)
147 ボールねじ(位置変更機構)
149 ボールソケット(位置変更機構)
151 タイミングギヤ(位置変更機構)
153 ステッピングモータ(位置変更機構)
155 タイミングギヤ(位置変更機構)
157 タイミングベルト(位置変更機構)
163 ステッピングモーター(位置決めモータ)
167 排出トレー(排出受け部)
C カード(カード状彫刻媒体)
図1
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