(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及びビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載されたシランカップリング剤組成物。
シランカップリング剤40〜80質量%と、カーボンブラック15〜55質量%と、コーティング剤5〜30質量%とを含有し、前記カーボンブラックによって吸着された前記シランカップリング剤が前記コーティング剤で被覆されてなり、
前記コーティング剤は、天然ワックス及び合成ワックスからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であり、
前記シランカップリング剤の含有量X(ml)と、前記カーボンブラックのDBP吸油量Y(ml)との関係が以下の式(1)を満たすシランカップリング剤組成物。
Y>X ・・・・・(1)
前記シランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及びビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5または6に記載されたシランカップリング剤組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ゴムへの配合性を向上させることが可能となったが、貯蔵安定性に関してはカーボンブラックに担持されることで表面積が増え、空気と接触する機会が増えるため貯蔵安定性に劣り、特別な保管環境に保管し、保管期間も短くする必要があり、完全には改善されていないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、製造直後は固形化させることが可能だが、液体を吸着させているわけではないため経時的にシランカップリング剤がブリードアウトしてしまうという問題がある。
【0009】
そのため、貯蔵安定性や使用時のハンドリング性を向上させるシランカップリング剤組成物の開発が切望されていた。
【0010】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明のシランカップリング剤組成物の目的は、コーティング剤によってシランカップリング剤を被覆してシランカップリング剤の外気との接触機会を遮断させることで貯蔵安定性を向上させると共に、通常、液体状態にあるシランカップリング剤を固形化させることにより、その使用時のハンドリング性を向上させたシランカップリング剤組成物及びゴム用配合剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、特定のDBP吸油量を有するカーボンブラックと、シランカップリング剤とコーティング剤とを、各々特定濃度含有するシランカップリング剤組成物が前記課題を解決し得ることを見出した。即ち、本発明によれば、以下に示すシランカップリング剤組成物及びゴム用配合剤が提供される。
【0012】
[1]シランカップリング剤40〜80質量%と、カーボンブラック15〜55質量%と、コーティング剤5〜30質量%とを含有し、
前記コーティング剤は、天然ワックス及び合成ワックスからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であり、前記シランカップリング剤の含有量X(ml)と、前記カーボンブラックのDBP吸油量Y(ml)との関係が以下の式(1)を満たすシランカップリング剤組成物。
Y>X ・・・・・(1)
【0014】
[
2]前記シランカップリング剤は、一分子中に有機官能基とケイ素上にアルコキシ基を併せ持つ構造を有する化合物である前記[1
]に記載のシランカップリング剤
組成物。
【0015】
[
3]前記シランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及びビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記[1]
または[2]に記載されたシランカップリング剤組成物。
【0016】
[
4]前記コーティング剤は、石油由来ワックス、合成ワックス及び植物由来ワックスからなる群の中から選ばれる少なくとも1種である前記[1]〜[
3]のいずれかに記載されたシランカップリング剤組成物。
【0017】
[
5]シランカップリング剤40〜80質量%と、カーボンブラック15〜55質量%と、コーティング剤5〜30質量%とを含有し、前記カーボンブラックによって吸着された前記シランカップリング剤が前記コーティング剤で被覆されてなり、
前記コーティング剤は、天然ワックス及び合成ワックスからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であり、前記シランカップリング剤の含有量X(ml)と、前記カーボンブラックのDBP吸油量Y(ml)との関係が以下の式(1)を満たすシランカップリング剤組成物。
Y>X ・・・・・(1)
【0019】
[
6]前記シランカップリング剤は、一分子中に有機官能基とケイ素上にアルコキシ基を併せ持つ構造を有する化合物である前記
[5]に記載のシランカップリング剤組成物。
【0020】
[
7]前記シランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及びビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記
[5]または[6]に記載されたシランカップリング剤組成物。
【0021】
[
8]前記コーティング剤は、石油由来ワックス、合成ワックス及び植物由来ワックスからなる群の中から選ばれる少なくとも1種である前記[
5]〜[
7]のいずれかに記載されたシランカップリング剤組成物。
【0022】
[
9]前記[1]〜[
8]のいずれかに記載のシランカップリング剤組成物を含有するゴム用配合剤。
【発明の効果】
【0023】
本発明のシランカップリング剤組成物及びゴム用配合剤は、耐加水分解性が向上すると共に貯蔵安定性も向上し、更に固形化されることによって取り扱い上のハンドリング性も向上させることが可能なものである。また、成分としてカーボンブラックを含有しているため、本発明のシランカップリング剤組成物を配合する対象材料において、後に添加するカーボンブラック量を減少させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0026】
[1]シランカップリング剤組成物:
本発明のシランカップリング剤組成物の第一の実施形態は、シランカップリング剤40〜80質量%と、カーボンブラック15〜55質量%と、コーティング剤5〜30質量%とを含有し、
前記コーティング剤は、天然ワックス及び合成ワックスからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であり、前記シランカップリング剤の含有量X(ml)と、前記カーボンブラックのDBP吸油量Y(ml)との関係が以下の式(1)を満たすものである。
Y>X ・・・・・(1)
【0027】
このようなシランカップリング剤組成物によれば、耐加水分解性、貯蔵安定性が向上し、更に固形化されることにより取り扱い上のハンドリング性も向上させることが可能となる。
【0028】
なお、本実施形態の効果を損なわない範囲であれば、他の成分が含まれていてもよい。
【0029】
本実施形態で使用されるシランカップリング剤とは、無機材料(シリカ等)と有機材料(高分子材料等)の両者と化学結合できる官能基を有する有機ケイ素化合物のことをいい、一般式Y〜CH
2SiX
3(Xはアルコキシ基等の加水分解性の置換基で無機材料と反応し、Yは有機材料と反応しやすいビニル基、エポキシ基、アミノ基等である)で表されるものをいう。このようなシランカップリング剤としては、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ポリスルフィド系シランカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤は、一種を単独で使用されても、二種以上を組み合わせて使用されても良い。
【0030】
ビニル系シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が例示される。エポキシ系シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。メルカプト系シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等が例示される。ポリスルフィド系シランカップリング剤としては、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等が例示される。
【0031】
本実施形態で用いられるシランカップリング剤としては、一般的に一分子中に有機物との反応や相互作用が期待できる有機官能基と無機物等と結合するアルコキシ基をケイ素上に併せ持つ構造を有する化合物が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドなどが挙げられる。
【0032】
本実施形態において、シランカップリング剤組成物全体に対するシランカップリング剤の含有量は、40〜80質量%であり、40〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましく、40〜50質量%が更に好ましい。シランカップリング剤組成物全体に対するシランカップリング剤の含有量が40質量%未満では、有効成分であるシランカップリング剤が少なく、他成分の割合が多くなるため、所望のシランカップリング剤量を配合するためにはシランカップリング剤組成物全体の配合量が増加してしまい、配合先である材料の物性等に影響を与えてしまうため好ましくない。また、その含有量が80質量%を超えると、液体であるシランカップリング剤を吸着させるカーボンブラックに吸着しきれず、滲み出てしまうため好ましくない。
【0033】
本実施形態で使用されるカーボンブラックとして、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、HAF(High Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)等が挙げられる。これらのカーボンブラックは、一種を単独で使用されても、二種以上を組み合わせて使用されても良い。
【0034】
本実施形態で使用されるカーボンブラックとしては、原料油を不完全燃焼させることで得られるものが好ましく、比表面積やジブチルフタレート(DBP)の吸油量で様々な品種に分けられる。本実施形態においては、その中でも、DBP吸油量の大きいものがシランカップリング剤を吸着させるために使用される。
【0035】
また、本実施形態において、シランカップリング剤組成物全体に対するカーボンブラックの含有量は、15〜55質量%であり、20〜50質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましく、30〜40質量%が更に好ましい。シランカップリング剤組成物全体に対するカーボンブラックの含有量が15質量%未満では、シランカップリング剤の吸着が不十分で固形化が困難であり、また、その含有量が55質量%を超えると有効成分であるシランカップリング剤の含有量が少なくなるため好ましくない。
【0036】
本実施形態では、シランカップリング剤の含有量X(ml)と、前記カーボンブラックのDBP吸油量Y(ml)との関係が以下の式(1)を満たすものである。
Y>X ・・・・・(1)
【0037】
すなわち、特定のDBP吸油量を有するカーボンブラックがシランカップリング剤を吸着するのである。DBP吸油量Y(ml)がシランカップリング剤の含有量X(ml)よりも少ないカーボンブラックは、シランカップリング剤を十分に吸着させることができない。なお、シランカップリング剤の含有量(ml)は、シランカップリング剤の比重を用いて算出される。例えば、比重1.1g/mlのカップリング剤160gは、145mlとなる。一方、DBP吸油量101ml/100gのカーボンブラック160gは、DBP吸油量が161.6mlとなる。このようにカーボンブラックのDBP吸油量(ml)がシランカップリング剤の含有量(ml)よりも大きい場合、カーボンブラックは、シランカップリング剤全量を吸着することができる。
【0038】
なお、本実施形態において、DBP吸油量が異なる二種以上のカーボンブラックを組み合わせて使用されることも好ましい。この場合、二種以上のカーボンブラック各々のDBP吸油量(ml)の合計をDBP吸油量とする。
【0039】
本実施形態で使用されるコーティング剤としては、天然ワックス、合成ワックス等が挙げられる。天然ワックスとしては、動植物系ワックス、石油系ワックス、鉱物系ワックス等が挙げられる。
【0040】
動植物系ワックスのうち、動物由来のワックスとして、蜜蝋、ウールワックス、鯨蝋、シェラック蝋、いぼた蝋等が挙げられる。植物由来のワックスとしては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、木蝋、米ぬか蝋等が挙げられる。石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。鉱物系ワックスとしては、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、オイルシェルから抽出されたワックス等が挙げられる。
【0041】
合成ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられる。
【0042】
本実施形態において、シランカップリング剤組成物全体に対するコーティング剤の含有量は、5〜30質量%であり、7〜25質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が更に好ましい。その含有量が5質量%未満では、カップリング剤を吸着させたカーボンブラックを十分に被覆できず、その含有量が30質量%を超えるとシランカップリング剤組成物を配合した材料の物性や外観に影響が及ぶため好ましくない。
【0043】
[2]シランカップリング剤組成物:
本発明のシランカップリング剤組成物の第二の実施形態は、シランカップリング剤40〜80質量%と、DBP吸油量(2種以上使用の場合:平均値)が90ml/100g〜500ml/100gであるカーボンブラック15〜55質量%と、コーティング剤5〜30質量%とを含有するものである。
【0044】
本実施形態において、シランカップリング剤は、第一の実施形態と同じものを使用できる。なお、シランカップリング剤組成物全体に対するシランカップリング剤の含有量は、第一の実施形態と同じである。
【0045】
本実施形態において、カーボンブラックは、第一の実施形態と同じものを使用できる。本実施形態において、カーボンブラックのDBP吸油量は、90ml/100g〜500ml/100gであり、90ml/100g〜430ml/100gであるのが好ましく、90ml/100g〜230ml/100gであるのがより好ましく、90ml/100g〜150ml/100gであるのが更に好ましい。
【0046】
本実施形態において、DBP吸油量が異なる二種以上のカーボンブラックを組み合わせて使用されることも好ましい。この場合、二種以上の組み合わせを構成するカーボンブラック各々のDBP吸油量の平均をDBP吸油量とする。
【0047】
本実施形態において、DBP吸油量が90ml/100g未満のカーボンブラックは、シランカップリング剤組成物全体に対して40〜80質量%含有するシランカップリング剤を十分に吸着させることができないため好ましくない。DBP吸油量が500ml/100gを超えるカーボンブラックは、カーボンブラック構造のストラクチャーの発達が大きくなるため、シランカップリング剤組成物を配合した材料の物性等に影響が出てしまうため好ましくない。
【0048】
本実施形態において、シランカップリング剤組成物全体に対するカーボンブラックの含有量は、第一の実施形態と同じである。
【0049】
本実施形態において、コーティング剤は、第一の実施形態と同じものを使用できる。シランカップリング剤組成物全体に対するコーティング剤の含有量は、第一の実施形態と同じである。
【0050】
[3]シランカップリング剤組成物:
本発明のシランカップリング剤組成物の第三の実施形態は、シランカップリング剤40〜80質量%と、カーボンブラック15〜55質量%と、コーティング剤5〜30質量%とを含有し、前記カーボンブラックによって吸着された前記シランカップリング剤が前記コーティング剤で被覆されてなり、
前記コーティング剤は、天然ワックス及び合成ワックスからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であり、前記シランカップリング剤の含有量X(ml)と、前記カーボンブラックのDBP吸油量Y(ml)との関係が以下の式(1)を満たすものである。
Y>X ・・・・・(1)
【0051】
本実施形態において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤は、第一の実施形態と同じものを使用できる。シランカップリング剤組成物全体に対する、それぞれの成分の含有量の関係も第一の実施形態と同じである。本実施形態では、シランカップリング剤は、カーボンブラックによって吸着され、カーボンブラックとともにコーティング剤によって被覆されるものである。また、第一の実施形態と同じように、シランカップリング剤の含有量X(ml)と、前記カーボンブラックのDBP吸油量Y(ml)との関係が以下の式(1)を満たすものである。
Y>X ・・・・・(1)
【0052】
すなわち、本実施形態では、特定のDBP吸油量を有するカーボンブラックがシランカップリング剤を吸着するのである。すなわち、DBP吸油量Y(ml)がシランカップリング剤の含有量X(ml)よりも少ないカーボンブラックは、シランカップリング剤を十分に吸着させることができない。
【0053】
なお、本実施形態において、DBP吸油量が異なる二種以上のカーボンブラックを組み合わせて使用されることも好ましい。この場合、二種以上のカーボンブラック各々のDBP吸油量(ml)の合計をDBP吸油量とする。
【0054】
[4]シランカップリング剤組成物:
本発明のシランカップリング剤組成物の第四の実施形態は、DBP吸油量(2種以上使用の場合:平均値)が90ml/100g〜500ml/100gであるカーボンブラックによって吸着されたシランカップリング剤がコーティング剤で被覆されてなり、前記シランカップリング剤を40〜80質量%、前記カーボンブラックを15〜55質量%、前記コーティング剤を5〜30質量%を含有するものである。
【0055】
本実施形態において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤は、第一の実施形態と同じものを使用できる。また、シランカップリング剤組成物全体に対する、それぞれの成分の含有量の関係も第一の実施形態と同じである。本実施形態では、シランカップリング剤は、DBP吸油量(2種以上使用の場合:平均値)が90ml/100g〜500ml/100gであるカーボンブラックによって吸着され、カーボンブラックとともにコーティング剤によって被覆されるものである。
【0056】
[5]シランカップリング剤組成物の製造方法:
本実施形態のシランカップリング剤組成物は、シランカップリング剤、特定のDBP吸油量を有するカーボンブラック、コーティング剤を機械的手法により複合化することで製造することができる。本実施形態の目的である貯蔵安定性の向上や固形化によるハンドリング性の向上を得るために、最初に液体であるシランカップリング剤をカーボンブラックに吸着させる。カーボンブラックにシランカップリング剤を吸着させて一体化した後に、コーティング剤でシランカップリング剤を被覆処理する。このような操作を行うことで、シランカップリング剤がコーティング剤で被覆されているため、シランカップリング剤と外気との接触機会を減少させることが可能となり、貯蔵安定性が向上し、更にシランカップリング剤の滲みも抑えることが可能となる。
【0057】
具体的には、例えば、スーパーミキサー(カワタ株式会社)、FMミキサー(日本コークス工業株式会社)、ニューグラマシン(株式会社セイシン企業)、NMG(株式会社奈良機械製作所)、アグロマスター(ホソカワミクロン株式会社)などを用いて、液体であるシランカップリング剤とカーボンブラックを混合し、造粒し、必要に応じて、乾燥、整粒、分級等を行う。その後、コーティング剤を投入し、コーティング剤を加温し、コーティング剤を溶融させてシランカップリング剤を被覆する。コーティング剤の加温温度は、溶融温度以上分解温度未満であるのが好ましく、加温時間と併せて適宜設定するのが好ましい。
【0058】
上述の製造方法によって得られた本実施形態のシランカップリング剤組成物は、
図1に示されるように、ゴムや高分子材料との接着性の向上作用、耐久性の向上作用、表面改質作用を有する有効成分であるシランカップリング剤1を吸着するカーボンブラック2がコーティング剤3で被覆されてなるものである。シランカップリング剤複合組成物の形状や大きさについては特に限定されるものではなく、粉末、粒状、フレークなどハンドリング性の良い形状や大きさにすればよい。
【0059】
本実施形態のシランカップリング剤複合組成物は、このような構造を有するので、カーボンブラックに吸着されたシランカップリング剤が、コーティング剤によって被覆されて、外気との接触機会が減少させられる。従って、シランカップリング剤の貯蔵安定性が向上し、更にシランカップリング剤の滲みも抑えることが可能となる。
【0060】
[6]ゴム用配合剤:
本実施形態のゴム用配合剤は、シランカップリング剤と、特定範囲のDBP吸油量を有するカーボンブラックと、コーティング剤とを含有するのが好ましい。配合対象のゴムとしては、従来からゴム工業の分野において使用されているものが挙げられる。例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)等を挙げることができる。これらは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。なお、充填剤等の添加剤は、本実施形態の効果を損なわない範囲において配合することが可能である。
【実施例】
【0061】
以下、本実施形態を実施例に基づいて具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニックジャパン製、比重 1.1g/ml):160g(145ml)、カーボンブラック(製品名 旭#70:DBP吸油量101ml/100g;旭カーボン株式会社製):160g(DBP吸油量:161.6ml)を、ニューグラマシンに投入し200rpmで3分間混合した後、コーティング剤(パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの混合物:製品名 サンタイトY;精工化学株式会社製):80gを投入し、混合物の温度が65℃になるまで混合することでコーティング処理し、シランカップリング剤組成物を得た。なお、得られたシランカップリング剤組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ40質量%、40質量%、20質量%であった。
【0063】
得られたシランカップリング剤組成物の粒子を鋭利な刃物で切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することで
図2のようなカーボンブラック表面にコーティング剤がコートされている複合体を確認した。
【0064】
実施例1のシランカップリング剤組成物について、以下の方法で、「製造後の状態」、「貯蔵安定性」、「ゴム表面の状態」の評価を行った。各評価の評価結果を表1に示す。
【0065】
(製造後の状態)
本実施形態の目的は液体のカップリング剤を固形化することにより貯蔵時のブリードアウトを抑制させることにある。その評価方法として製造した組成物を3日間室温に放置し、その時の表面状態を目視で観察して評価した。目視の評価は、以下の評価基準で行った。
【0066】
3:表面に滲みが見られない状態を、優とし、評価「3」とする。
2:表面に僅かに滲みが見られる状態を、可とし、評価「2」とする。
1:明確に滲みが見られる状態を、不可とし、評価「1」とする。
【0067】
(貯蔵安定性)
シランカップリング剤は外気との接触によりアルコキシ基部分が加水分解によりアルコールとシラノールになる。実施例で使用したビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドでは、加水分解によりエタノールが発生する。これより耐加水分解性の評価として、シランカップリング剤組成物の製造直後と40℃に2週間放置した後のエタノール量についてヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィー分析で評価した。製造直後のエタノール量を100とした指数で表示し、100に近ければ保存中の加水分解が少なく保存安定性が良好である。
【0068】
(ゴム表面の状態)
シランカップリング剤組成物の成分であるコーティング剤の含有量によっては、組成物が添加される材料に対して外観に影響を及ぼす可能性がある。その評価のため組成物を使った次に示す配合のゴム試料を作製し、加硫後3日後の外観を目視で評価した。目視の評価は、以下の評価基準で行った。評価に使用したゴム試料は、溶液重合ポリスチレンブタジエンゴム(S−SBR)(品種 JSR SL552 JSR株式会社製) 80phr、ブタジエンゴム(BR)(製品名 Nipol BR1220 日本ゼオン株式会社製)20phr、亜鉛華(正同化学工業株式会社製)3phr、ステアリン酸(製品名 ルナックS−40 花王株式会社製)2phr、シリカ(製品名 ニップシールAQ 東ソーシリカ株式会社製)80phr、老化防止剤6C(製品名 オゾノン6C 精工化学株式会社製)1.5phr、ナフテン系油(製品名 SNH220 三共油化工業株式会社製)20phr、加工助剤(製品名 ニューエイドEG−ROLL 精工化学株式会社製)3phr、促進剤CZ(製品名 サンセラーCM 三新化学工業株式会社製)2phr、促進剤D(製品名 サンセラーD 三新化学工業株式会社製)2phr、硫黄(微粉硫黄 細井化学工業株式会社製)2phr、その他にシランカップリング剤が6.4phrになるように実施例1〜3、比較例1〜7を各々配合する。これらの配合でバンバリーミキサーを用いて混練りし、所定時間で加硫して評価用ゴム試料を得た。
【0069】
3:外観にブルームが見られない状態を、優とし、評価「3」とする。
2:僅かにブルームが見られ薄く白色に見える状態を、可とし、評価「2」とする。
1:明確にブルームが見られ強く白色に見える状態を、不可とし、評価「1」とする。
【0070】
【表1】
【0071】
(実施例2)
シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニックジャパン製、比重 1.1g/ml):200g(181.8ml)、カーボンブラック(製品名 旭#80:DBP吸油量113ml/100g;旭カーボン株式会社製):80g(DBP吸油量:90.4ml)、カーボンブラック(製品名 ケッチェンブラックEC300J:DBP吸油量360ml/100g;ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製):40g(DBP吸油量:144ml)、カーボンブラック全体のDBP吸油量:234.4ml、コーティング剤(パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの混合物:製品名 サンタイトY;精工化学株式会社製):80gと変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、シランカップリング剤組成物を得た。なお、得られたシランカップリング剤組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ50質量%、30質量%、20質量%であった。
【0072】
(実施例3)
原料成分の配合をシランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニックジャパン製、比重 1.1g/ml):320g(290.9ml)、カーボンブラック(製品名 ケッチェンブラックEC600J:DBP吸油量495ml/100g;ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製):60g(DBP吸油量:297ml)、コーティング剤(パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの混合物:製品名 サンタイトY;精工化学株式会社製):20gと変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、シランカップリング剤組成物を得た。なお、得られたシランカップリング剤組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ80質量%、15質量%、5質量%であった。
【0073】
(比較例1)
シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニックジャパン製、比重 1.1g/ml):200g(182ml)、カーボンブラック(製品名 旭#70:DBP吸油量101ml/100g;旭カーボン株式会社製):200g(DBP吸油量:202ml)をニューグラマシンに投入し200rpmで3分間混合して組成物を得た。なお、得られた組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ50質量%、50質量%、0質量%であった。
【0074】
(比較例2)
シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニックジャパン製、比重 1.1g/ml):160g(145ml)、カーボンブラック(製品名 旭#8:DBP吸油量30ml/100g;旭カーボン株式会社製):200g(DBP吸油量:60ml)、コーティング剤(パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの混合物:製品名 サンタイトY;精工化学株式会社製):40gと変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。なお、得られた組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ40質量%、50質量%、10質量%であった。
【0075】
(比較例3)
シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニックジャパン製、比重 1.1g/ml):160g(145ml)、カーボンブラック(製品名 ケッチェンブラックEC300J:DBP吸油量360ml/100g;ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製):80g(DBP吸油量:288ml)、コーティング剤(パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの混合物:製品名 サンタイトY;精工化学製):160gと変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。なお、得られた組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ40質量%、20質量%、40質量%であった。
【0076】
(比較例4)
シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニックジャパン製、比重 1.1g/ml):140g(127ml)、カーボンブラック(製品名 旭#70:DBP吸油量101ml/100g;旭カーボン株式会社製):180g(DBP吸油量:181.8ml)、コーティング剤(パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの混合物:製品名 サンタイトY;精工化学株式会社製):80gと変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。なお、得られた組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ35質量%、45質量%、20質量%であった。
【0077】
(比較例5)
シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニックジャパン製、比重 1.1g/ml):320g(291ml)、カーボンブラック(製品名 旭#70:DBP吸油量101ml/100g;旭カーボン株式会社製):20g(DBP吸油量:20.2ml)、コーティング剤(パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの混合物:製品名 サンタイトY;精工化学株式会社製):60gと変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。なお、得られた組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ80質量%、5質量%、15質量%であった。
【0078】
(比較例6)
シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニックジャパン製、比重 1.1g/ml):320g(291ml)、コーティング剤(パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの混合物:製品名 サンタイトY;精工化学株式会社製):80gと変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、シランカップリング剤組成物を得た。なお、得られたシランカップリング剤組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ80質量%、0質量%、20質量%であった。
【0079】
(比較例7)
シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名 Si69;エボニック製、比重 1.1g/ml):160g(145ml)、カーボンブラック(製品名 旭#55:DBP吸油量87ml/100g;旭カーボン株式会社製):160g(DBP吸油量:139.2ml)、コーティング剤(パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの混合物:製品名 サンタイトY;精工化学株式会社製):80gと変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。なお、得られた組成物において、シランカップリング剤、カーボンブラック及びコーティング剤の含有量は、それぞれ40質量%、40質量%、20質量%であった。
【0080】
実施例2、3、及び比較例1〜7のシランカップリング剤組成物について、実施例1と同様の方法で、「製造後の状態」、「貯蔵安定性」、「ゴム表面の状態」の評価を行った。各評価の評価結果を併せて表1に示す。
【0081】
(結果)
実施例1、2、3は、「製造後の状態」、「貯蔵安定性」及び「ゴム表面の状態」の全てにおいて、良好な結果が得られた。比較例1は、コーティング剤を含有していないので、表面が外気に触れたため加水分解が発生し、貯蔵安定性が実施例と比べて劣っていた。比較例2は、DBP吸油量が本実施形態の下限値90ml/100gに満たないカーボンブラックを使用し、また、カーボンブラックのDBP吸油量(60ml)がシランカップリング剤の含有量(145ml)より少ないので、実施例1とシランカップリング剤の含有量が同じであっても、シランカップリング剤を十分に吸着しないため製造中から酷くシランカップリング剤の滲みが確認された。比較例3は、コーティング剤の含有量が本実施形態の上限値30質量%を超えているので、ゴム表面にブルームが過剰に発生した。比較例4は、シランカップリング剤の含有量が本実施形態の下限値40質量%に満たないので、有効成分であるカップリング剤をゴムへ所定量配合するためには本実施形態である複合物を多量に配合することになり、結果としてコーティング剤量が過剰になるため外観が悪化した。比較例5は、カーボンブラックのDBP吸油量(20.2ml)がシランカップリング剤の含有量(291ml)より少なく、また、カーボンブラックの含有量が下限値15質量%に満たないので、固形化することが不可能であり、貯蔵安定性の評価を行うことができなかった。また、シランカップリング剤を十分に吸着しないため製造中から酷くシランカップリング剤の滲みが確認された。比較例6は、カーボンブラックを含有していないので、シランカップリング剤がカーボンブラックに吸着せず、固形化することが不可能であった。比較例7は、DBP吸油量が本実施形態の下限値90ml/100gに満たないカーボンブラックを使用し、また、カーボンブラックのDBP吸油量(139.2ml)がシランカップリング剤の含有量(145ml)より少ないので、シランカップリング剤を十分に吸着しないため、製造中から酷くシランカップリング剤の滲みが確認された。