特許第6820003号(P6820003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社浅間製作所の特許一覧

<>
  • 特許6820003-遊技機用打球力調整ハンドル 図000002
  • 特許6820003-遊技機用打球力調整ハンドル 図000003
  • 特許6820003-遊技機用打球力調整ハンドル 図000004
  • 特許6820003-遊技機用打球力調整ハンドル 図000005
  • 特許6820003-遊技機用打球力調整ハンドル 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820003
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】遊技機用打球力調整ハンドル
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   A63F7/02 308G
   A63F7/02 309
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-247328(P2016-247328)
(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-99394(P2018-99394A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】320002913
【氏名又は名称】株式会社浅間製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南川 直哉
【審査官】 尾崎 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−042541(JP,A)
【文献】 特開2014−018335(JP,A)
【文献】 特開2006−288429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者により回転操作される回転操作部と、
中心軸に従動側歯車が固定された打球力調整用ボリュームと、
前記回転操作部の外周部に枢着された操作ボタンと、
前記回転操作部の内側に枢着され、操作ボタンが押圧操作されたときに揺動する操作レバーと、
操作レバーの端部に、前記従動側歯車に向かって常に弾発された状態で取り付けられた駆動側歯車を備え、
回転操作部の操作は、操作レバーの先端の駆動側歯車が従動側歯車を回転させることにより、打球力調整用ボリュームに伝えられ、
また操作ボタンの押圧により操作レバーを揺動させると、駆動側歯車が従動側歯車を所定角度だけ回転させることにより、打球力調整用ボリュームをさらに回転させて打球力を増加させることを特徴とする遊技機用打球力調整ハンドル。
【請求項2】
前記操作ボタンは右打ち時に押圧されるものであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機用打球力調整ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの遊技機に組み込まれる遊技機用打球力調整ハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などに組み込まれる遊技機用打球力調整ハンドルは、遊技者により回転操作される回転操作部を備え、回転操作部の回転を打球力調整用ボリュームに伝えて打球力を調整できるようになっている。遊技者は回転操作部を操作することによって、打球の位置を任意に制御することができる。
【0003】
打球力調整用ボリュームの中心軸は回転操作部の中心に配置されるのが普通であり、特許文献1には、打球力調整用ボリュームの中心軸と打球力調整用ボリュームの中心軸とを同一軸とした遊技機用打球力調整ハンドルが記載されている。しかしこの構造の遊技機用打球力調整ハンドルにおいては、回転操作部からの荷重が打球力調整用ボリュームに直接作用するため、ボリュームが破損する恐れがあった。
【0004】
また、打球力調整用ボリュームの中心軸を回転操作部の中心位置からずらして配置し、双方の軸にそれぞれ取り付けた歯車を互いに噛み合わせた遊技機用打球力調整ハンドルが、特許文献2に記載されている。しかしこの構造では、回転操作部にコインを挟まれたりしてこじられると、両歯車間の間隔が変化する。この間隔が大きくなるとバックラッシュが増大して誤差が大きくなり、逆に間隔が狭くなると歯車どうしが圧着され、打球力調整用ボリュームを回せなくなる可能性があった。
【0005】
このほか、特許文献3には右打ち用の操作ボタンを備えた遊技機用打球力調整ハンドルが記載されている。このハンドルは右打ち時に回転操作部はそのままの位置に保ったままで操作ボタンを操作すれば、打球力調整用ボリュームが余分に回転され、右打ちを行うことができる。しかしこの構造も操作ボタンと打球力調整用ボリュームの中心軸を歯車を介して連結しているため、操作ボタンをコイン等で固定したりすると歯車の間隔が変化し、操作ボタンを操作しても狙った位置に打球することができなくなる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−210704号公報
【特許文献2】特開2009−153669号公報
【特許文献3】特許第4810200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、回転操作部からの荷重が打球力調整用ボリュームに直接作用することがなく、しかもコイン等により回転操作部や操作ボタンがこじられた場合にも、確実に打球力調整用ボリュームを回転させることができる遊技機用打球力調整ハンドルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、遊技者により回転操作される回転操作部と、中心軸に従動側歯車が固定された打球力調整用ボリュームと、前記回転操作部の外周部に枢着された操作ボタンと、前記回転操作部の内側に枢着され、操作ボタンが押圧操作されたときに揺動する操作レバーと、操作レバーの端部に、前記従動側歯車に向かって常に弾発された状態で取り付けられた駆動側歯車を備え、回転操作部の操作は、操作レバーの先端の駆動側歯車が従動側歯車を回転させることにより、打球力調整用ボリュームに伝えられ、また操作ボタンの押圧により操作レバーを揺動させると、駆動側歯車が従動側歯車を所定角度だけ回転させることにより、打球力調整用ボリュームをさらに回転させて打球力を増加させることを特徴とするものである。
【0009】
前記操作ボタンは、右打ち時に押圧されるものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遊技機用打球力調整ハンドルは、回転操作される駆動側歯車を操作レバーの端部に従動側歯車に向かって常に弾発された状態で取り付けたので、コイン等により回転操作部や操作ボタンがこじられた場合にも、駆動側歯車を常に従動側歯車に噛み合わせることができ、確実に打球力調整用ボリュームを回転させることができる。また、回転操作部からの荷重が打球力調整用ボリュームに直接作用することがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】遊技機用打球力調整ハンドルを背面側から見た全体斜視図である。
図2】遊技機用打球力調整ハンドルの分解斜視図である。
図3】遊技機用打球力調整ハンドルの背面図である。
図4】操作ボタンの背面図である。
図5】操作ボタンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は遊技機用打球力調整ハンドルを背面側から見た全体斜視図、図2はその分解斜視図である。これらの図1図2に示されるように、この遊技機用打球力調整ハンドルは、回転操作部1と、操作レバー2と、打球力調整用ボリュームの中心軸3とを備えたものである。なお、これらの図面は全て、遊技者から見て背面側、すなわち遊技機の盤面側から見た状態で表されている。
【0013】
回転操作部1は凹状の本体4と、本体4の内周部に複数のネジ5によって取り付けられる略リング状の押さえ板6とからなる。本体4は外周部に複数の指掛け部7を突設させた形状であり、遊技者が回転操作部1を掴んで回転操作を容易に行えるようになっている。なおこの回転操作部1は、従来品と同様、図示されていないハンドルベース部に回転可能に取り付けられたものであることはいうまでもない。
【0014】
本体4の外周部には略対角位置に開口部8と開口部9とが形成されており、下側の開口部8には遊技中に打球を一時停止させるための公知のストップボタン10が設けられている。また上側の開口部9には、右打ち時に操作される操作ボタン11が設けられている。操作ボタン11については後述する。
【0015】
本体4の中心位置には打球力調整用ボリュームの中心軸3が配置されている。この中心軸3には従動側歯車13が設けられており、中心軸3を回転させることによって打球発射装置の出力を変化させ、打球力の調整が可能となっている。なおいずれの図面にも、打球力調整用ボリュームは図示されていない。
【0016】
図3に示されるように、回転操作部1の本体4と押さえ板6との間に、操作レバー2が設けられている。操作レバー2は図4図5に示すように中央部に円形孔14を備え、回転操作部1の本体4の内部上側に形成された取付孔15に軸16によって揺動可能に軸支されている。
【0017】
操作レバー2の上部には長孔17が形成されている。この長孔17には操作ボタン11の内側の先端部に突設された軸18が嵌っている。操作ボタン11はその上部が図3に示すように、回転操作部1の本体4と押さえ板6との間に軸19によって軸支されている。このため遊技者が操作ボタン11をハンドル中心方向に押し込むと、操作ボタン11は軸19を中心として図面上の反時計方向に揺動し、それによって操作レバー2は軸16を中心として時計方向に揺動する。前記したように、この操作ボタン11は右打ち時に押圧されるものである。
【0018】
操作レバー2の下端部にはハ字状の歯車取付部20が設けられており、その内側に歯車の一部を切り取った形状の駆動側歯車21が、従動側歯車13の中心方向に向かって摺動可能に配置されている。この駆動側歯車21は前記した従動側歯車13と噛み合うものであるが、ばね22によって常に従動側歯車13の方向に弾発されている。この実施形態では小型のコイルばねを用いているが、駆動側歯車21を従動側歯車13の方向に弾発可能であればよく、コイルばねに限定されるものではない。なお駆動側歯車21の後退位置は、歯車取付部20により規制されている。
【0019】
次に本発明の遊技機用打球力調整ハンドルの使用方法を説明する。
通常の遊技状態においては操作ボタン11は押圧されず、操作レバー2は回転操作部1に対して相対的に回転することはなく、回転操作部1に固定された状態にある。このため遊技者が回転操作部1を操作すると操作レバー2も同時に回転し、その先端の駆動側歯車21が従動側歯車13を回転させ、打球力調整用ボリュームの中心軸3を回転させて打球力の調整が行われる。また遊技中にストップボタン10を押せば、打球を一時停止させることができる。
【0020】
このようにして遊技を行い、大当たり状態となって右打ちを行う必要が生じた場合には、遊技者は回転操作部1をそのままの位置に保持したままで、指先で操作ボタン11を押し込む。これにより操作レバー2が所定角度揺動し、駆動側歯車21が従動側歯車13を右打ちに必要な所定角度だけ回転させる。この結果、回転操作部1を回転させることなく打球力が増加し、右打ちを行うことができる。また操作ボタン11の押圧を停止すれば、操作レバー2は元の位置まで戻るので打球力調整用ボリュームの中心軸3も元の角度に復帰し、操作ボタン11を押し込む直前の打球力に戻すことができる。このため、大当たり状態が終了して右打ち状態から通常の左打ち状態に戻す際に、無駄球が発生することが抑制される。
【0021】
このように、本発明の遊技機用打球力調整ハンドルは、操作レバー2の内側端部の駆動側歯車12を、打球力調整用ボリュームの中心軸3に固定された従動側歯車13に向かって常に弾発された状態で取り付けたものである。このためコイン等によって回転操作部1や操作ボタン11にこじるような力が加えられた場合にも、駆動側歯車12と従動側歯車13との間の噛み合い状態を一定に維持することができる。従ってこのような場合においても、確実に打球力調整用ボリュームを回転させることができる利点がある。
【0022】
また本発明の遊技機用打球力調整ハンドルは、打球力調整用ボリュームの中心軸3を独立させた構造であるから、回転操作部1からの荷重が打球力調整用ボリュームに直接作用することがなく、ボリュームが破損する恐れもない利点がある。
【符号の説明】
【0023】
1 回転操作部
2 操作レバー
3 打球力調整用ボリュームの中心軸
4 回転操作部の本体
5 ネジ
6 押さえ板
7 指掛け部
8 切込み
9 切込み
10 ストップボタン
11 操作ボタン
13 従動側歯車
14 円形
15 取付孔
16 軸
17 長孔
18 軸
19 軸
20 歯車取付部
21 駆動側歯車
22 ばね
図1
図2
図3
図4
図5