特許第6820010号(P6820010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820010
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】回転ダンパー
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/12 20060101AFI20210114BHJP
   F16F 9/53 20060101ALI20210114BHJP
   F16D 63/00 20060101ALI20210114BHJP
   E05F 3/14 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   F16F9/12
   F16F9/53
   F16D63/00 P
   E05F3/14
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-47735(P2017-47735)
(22)【出願日】2017年3月13日
(65)【公開番号】特開2018-151001(P2018-151001A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236665
【氏名又は名称】不二ラテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 正夫
(72)【発明者】
【氏名】増本 良澄
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−167318(JP,A)
【文献】 特開2008−202744(JP,A)
【文献】 特開平07−301271(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0085613(US,A1)
【文献】 特開2005−051905(JP,A)
【文献】 特開2014−020539(JP,A)
【文献】 特開2011−247403(JP,A)
【文献】 特開2015−183694(JP,A)
【文献】 特開2011−256889(JP,A)
【文献】 実開昭59−039908(JP,U)
【文献】 特開2004−343955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/12
F16F 9/53
F16D 63/00
E05F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対回転自在な内回転部材及び外回転部材間に磁束が通過することで減衰力を発生させる機能性流体を介在させた減衰力発生部と、
前記減衰力発生部に渡って前記磁束を発生させるための少なくとも一対の磁極を有する永久磁石と、
前記減衰力発生部と前記永久磁石との間に配置され、前記永久磁石に対して相対的位置を変更することで前記磁束が前記減衰力発生部に渡る減衰力発生状態と前記磁束が前記減衰力発生部に渡らずにショートする非減衰力発生状態とを切り替える切替部とを備え、
前記切替部は、非磁性体製の磁気遮断部と、該磁気遮断部を挟んで配置された少なくとも一対の磁性体製の磁路形成部とを有し、
前記減衰力発生状態では、前記磁気遮断部が前記一対の磁極間に対向し、且つ前記一対の磁路形成部が前記一対の磁極にそれぞれ対向し、
前記非減衰力発生状態では、前記一対の磁路形成部の何れか一方が前記一対の磁極の双方に対向する、
ことを特徴とする回転ダンパー。
【請求項2】
請求項1記載の回転ダンパーであって、
前記内回転部材は、磁性体製の回転体であり、
前記外回転部材は、前記切替部を一体に有するケースであり、
前記永久磁石は、前記ケース外で前記ケースに対して移動可能に設けられ、
前記切替部は、前記永久磁石の移動により、前記永久磁石に対する相対位置の変更を可能とする、
ことを特徴とする回転ダンパー。
【請求項3】
請求項2記載の回転ダンパーであって、
前記ケースは、前記磁気遮断部と前記磁路形成部とを周方向に交互に配置して形成され、
前記永久磁石は、異なる磁極を周方向に交互に配置し前記ケースの外側に回転自在に嵌合するリング状であり、
前記永久磁石の回転位置に応じて前記減衰力発生状態と前記非減衰力発生状態とを切り替える、
ことを特徴とする回転ダンパー。
【請求項4】
請求項1記載の回転ダンパーであって、
ケース内に回転自在に収容された回転軸を有し、
前記内回転部材は、前記回転軸に固定された磁性体製のインナー板であり、
前記外回転部材は、前記ケースに固定され前記インナー板に相対回転可能なアウター板であり、
前記永久磁石は、前記ケースに対して固定され、
前記切替部は、前記ケースに対して移動可能に設けられ、前記永久磁石に対する前記相対位置の変更を可能とする、
ことを特徴とする回転ダンパー。
【請求項5】
請求項4記載の回転ダンパーであって、
前記ケース外へ突設された軸部を備え、
前記切替部は、前記軸部周りに回転自在に支持された前記磁気遮断部を構成する非磁性体製の切替板に前記磁路形成部を構成する磁性体片を保持し、
前記永久磁石は、前記軸部周りに固定された非磁性体製の磁石保持板に逆向きの極性を有する磁石片を保持し、
前記切替部の回転位置に応じて前記減衰力発生状態と前記非減衰力発生状態とを切り替える、
ことを特徴とする回転ダンパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性流体や磁気粘性流体等の機能性流体を利用して減衰力のオンオフ制御が可能な回転ダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転ダンパーとしては、例えば特許文献1のように、磁性体のケース内に磁気粘性流体を封入すると共に磁性体の回転板を相対回転自在に収容し、且つ電磁コイルをケース内に備えたものがある。
【0003】
この回転ダンパーは、電磁コイルの通電によりケース及び回転板間で磁気粘性流体の剪断抵抗による減衰力を得るようになっている。
【0004】
従って、電磁コイルの通電制御によって減衰力のオンオフを制御することができるが、配線構造が複雑となっていた。また、電磁コイルでの発熱がケース外へ発散し難く、耐久性を損なう問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−20539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、減衰力をオンオフ制御可能とすると、構造が複雑であり、発熱により耐久性を損なう点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回転ダンパーの減衰力をオンオフ制御可能としつつ構造を簡単にし耐久性を向上するために、相対回転自在な内回転部材及び外回転部材間に磁束が通過することで減衰力を発生させる機能性流体を介在させた減衰力発生部と、前記減衰力発生部に渡って前記磁束を発生させるための少なくとも一対の磁極を有する永久磁石と、前記減衰力発生部と前記永久磁石との間に配置され、前記永久磁石に対して相対的位置を変更することで前記磁束が前記減衰力発生部に渡る減衰力発生状態と前記磁束が前記減衰力発生部に渡らずにショートする非減衰力発生状態とを切り替える切替部とを備え、前記切替部は、非磁性体製の磁気遮断部と、該磁気遮断部を挟んで配置された少なくとも一対の磁性体製の磁路形成部とを有し、前記減衰力発生状態では、前記磁気遮断部が前記一対の磁極間に対向し、且つ前記一対の磁路形成部が前記一対の磁極にそれぞれ対向し、前記非減衰力発生状態では、前記一対の磁路形成部の何れか一方が前記一対の磁極の双方に対向することを回転ダンパーを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の回転ダンパーは、切替部の永久磁石に対する相対位置を変更するだけで、機能性流体による減衰力をオンオフ制御することができ、構造が簡単で、発熱等の問題もなく、耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】回転ダンパーの平面図である(実施例1)。
図2図1のII−II線に係る断面図である(実施例1)。
図3図2のIII−III線に係る断面図である(実施例1)。
図4図3の要部拡大断面図である(実施例1)。
図5】回転ダンパーの断面図である(実施例2)。
図6図5の回転ダンパーの永久磁石を示す平面図である(実施例2)。
図7図5の回転ダンパーの切替部を示す平面図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
回転ダンパーの減衰力をオンオフ制御可能としつつ構造を簡単にし耐久性を向上するという目的を、永久磁石に対する相対位置を変更することで減衰力をオンオフ可能とする切替部を有する回転ダンパーにより実現した。
【0011】
すなわち、回転ダンパーは、相対回転自在な内回転部材及び外回転部材間に磁束が通過することで減衰力を発生させる機能性流体を介在させた減衰力発生部と、減衰力発生部に渡って磁束を発生させるための少なくとも一対の磁極を有する永久磁石と、減衰力発生部と永久磁石との間に配置され、永久磁石に対して相対的位置を変更することで磁束が減衰力発生部に渡る減衰力発生状態と磁束が減衰力発生部に渡らずにショートする非減衰力発生状態とを切り替える切替部とを備える。
【0012】
切替部は、非磁性体製の磁気遮断部と、この磁気遮断部を挟んで配置された少なくとも一対の磁性体製の磁路形成部とを有し、減衰力発生状態では、磁気遮断部が一対の磁極間に対向し、且つ一対の磁路形成部が一対の磁極にそれぞれ対向し、非減衰力発生状態では、一対の磁路形成部の何れか一方が一対の磁極の双方に対向する。
【0013】
永久磁石及び切替部の構成は、適宜のものを採用することが可能であり、何れか一方が他方に対して相対位置を変更可能に動作すればよい。
【0014】
永久磁石を移動させる形態として、例えば、内回転部材は、磁性体製の回転体であり、外回転部材は、切替部を一体に有するケースであり、永久磁石は、ケース外でケースに対して移動可能に設けられ、切替部は、永久磁石の移動により、永久磁石に対する相対位置の変更を可能とする構成としてもよい。
【0015】
この場合、ケースは、磁気遮断部と磁路形成部とを周方向に交互に配置して形成され、永久磁石は、異なる磁極を周方向に交互に配置しケースの外側に回転自在に嵌合するリング状であり、永久磁石の回転位置に応じて減衰力発生状態と非減衰力発生状態とを切り替える構成としてもよい。
【0016】
一方、切替部を移動させる形態として、ケース内に回転自在に収容された回転軸を有し、内回転部材は、回転軸に固定された磁性体製のインナー板であり、外回転部材は、ケースに固定されインナー板に相対回転可能なアウター板であり、永久磁石は、ケースに対して固定され、切替部は、ケースに対して移動可能に設けられ、永久磁石に対する相対位置の変更を可能とする構成としてもよい。
【0017】
この場合、ケース外へ突設された軸部を備え、切替部は、軸部周りに回転自在に支持された磁気遮断部を構成する非磁性体製の保持板に磁路形成部を構成する磁性体片を保持し、永久磁石は、軸部周りに固定された非磁性体製の切替板に逆向きの極性を有する磁石片を保持し、切替部の回転位置に応じて減衰力発生状態と非減衰力発生状態とを切り替える構成としてもよい。
【実施例1】
【0018】
[回転ダンパーの構造]
図1は、本発明の一実施例に係る回転ダンパーの平面図であり、図2は、図1のII−II線に係る断面図、図3は、図2のIII−III線に係る断面図であり、(A)は減衰力発生状態、(B)は非減衰力発生状態、図4は、図3の要部拡大断面図である。なお、以下において「軸心方向」とは、回転ダンパー(以下、単に「回転ダンパー」と称する)1の回転軸心方向を意味する。また、「径方向」とは、回転ダンパー1の回転半径方向を意味する。また、図3及び図4において、永久磁石9、ケース本体13の磁路形成部19、及び回転体5は、明確性の観点からハッチングを付していないが、何れも断面を示す。
【0019】
本実施例の回転ダンパー1は、例えば図示しない引き戸等の可動側に対する減衰力を生じさせるもので、減衰力を生じさせる減衰力発生状態(オン状態)と減衰力を生じさせない非減衰力発生状態(オフ状態)とを切り替え可能とするものである。
【0020】
回転ダンパー1は、図1図4のように、外回転部材であるケース3と、内回転部材である回転体5と、減衰力発生部7と、永久磁石9とを備えている。
【0021】
本実施例のケース3は、切替部を一体に有する構成となっている。すなわち、ケース3は、非磁性体製のベース部11及びベース部11上の切替部を構成するケース本体13を有する。
【0022】
本実施例のベース部11は、非磁性体製であり、例えば樹脂で形成されている。なお、非磁性体としては、例えば、樹脂以外の非磁性体金属、セラミック等を用いることも可能である。非磁性体金属としては、例えば銅、アルミニウム、ステンレス等がある。
【0023】
ベース部11は、板状であり、両端部に設けられた穴部11aを介して固定側等に固定される。このベース部11の端部間の中央部には、ケース本体13が突設されている。また、ベース部11は、軸心部に軸11bが一体に設けられている。軸11bは、ベース部11からケース本体13内へと突出する。
【0024】
ケース本体13は、円筒形状に形成され、ベース部11と一体の周回壁部15を備えている。
【0025】
周回壁部15は、図3及び図4のように、内周に周方向で所定間隔毎に薄肉化による凹部17が設けられている。凹部17内には、磁性体製の壁状の磁路形成部19が収容されている。本実施例の磁性体は強磁性体である。なお、凹部17に代えて、周回壁部15の内外を貫通する貫通孔を設けて磁路形成部19を保持してもよい。
【0026】
磁路形成部19間には、非磁性体製の磁気遮断部21が配置されている。磁気遮断部21は、周回壁部15の薄肉化がなされていない相対的に厚肉の部分からなっている。かかる構成により、本実施例のケース本体13(ケース3)は、磁気遮断部21と磁路形成部19とを周方向に交互に配置して形成されており、隣接する一対の磁路形成部19は、磁気遮断部21を挟んで配置された構成となっている。
【0027】
なお、本実施例では、ケース本体13の磁気遮断部21及び磁路形成部19が周方向の全体にわたって形成されているが、周方向の一部にのみ設けてもよい。この場合、例えば、一つの磁気遮断部21及びこの磁気遮断部21を挟んで配置された一対の磁気遮断部21のみを有する構成とすることも可能である。
【0028】
ケース本体13は、図1及び図2のように、軸心方向の一側で開口し、端部開口に蓋部23が接着、溶着等により一体的に取り付けられている。蓋部23の軸心部には貫通孔23aが形成されている。
【0029】
回転体5は、磁性体、例えば強磁性体で形成され、円柱状に形成されている。回転体5は、ケース3のケース本体13内に相対回転可能に配置されている。回転体5とケース3との間は、隙間が確保されている。かかる隙間に機能性流体Fが介在して減衰力発生部7を構成する。
【0030】
回転体5の軸心部には、ケース3の軸11aに対応して嵌合孔5aが形成されている。従って、回転体5は、嵌合孔5aにおいてケース3の軸11aに回転自在に嵌合している。また、回転体5の軸心部には、回転体5と一体回転する回転軸25が突設されている。回転軸25は、蓋部23の貫通孔23aからケース3外に突出している。
【0031】
蓋部23の貫通孔23aには、シール部材23bが支持され、シール部材23bは、回転軸25に密接している。シール部材23bには、例えばOリングやXリングが用いられる。
【0032】
回転軸25の外端には、図示しないギアが取り付けられ、ギアを介して可動側からトルクが入力される。
【0033】
減衰力発生部7は、相対回転自在な内回転部材及び外回転部材であるケース3及び回転体5間に、磁束ループRが通過することで減衰力を発生させる機能性流体Fを介在させたものである。本実施例の減衰力発生部7は、上記のように回転体5とケース3との隙間に介在している。回転体5とケース3との間の隙間は、径方向の隙間と軸心方向の隙間の双方を含む。
【0034】
機能性流体Fとしては、鉄粉等を分散させた磁性流体(Magnetic Fluid)やMR流体と称される磁気粘性流体(Magneto Rheological Fluid)が用いられる。機能性流体Fは、ケース3と回転体5との間で後述する磁束ループRが通過することで鉄粉等によるクラスターを形成し、ケース3及び回転体5間にせん断抵抗による減衰力を発生させる。
【0035】
永久磁石9は、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石等からなる。本実施例の永久磁石9は、図1図3、及び図4異なる磁極27a及び27bが周方向交互に配置されて、リング状に形成されている。なお、永久磁石9は、磁極27a及び27bの数が周方向で4つずつ、合計8極であるが、磁極27a及び27bの数は、適宜変更が可能である。
【0036】
この永久磁石9は、内周の嵌合孔9aがケース本体13に外側から回転自在に嵌合している。これにより、永久磁石9は、ケース3外でケース3に対して周方向に移動可能となっており、切替部としてのケース本体13は、永久磁石9の移動により永久磁石9に対する相対位置を変更可能とする。
【0037】
具体的には、永久磁石9は、ケース本体13に対して回転し、これによってケース本体13に対する回転位置を変更することが可能となっている。この回転位置の変更により、ケース本体13は、永久磁石9に対する相対位置が周方向に変更される。
【0038】
この回転位置の変更に伴い、減衰力発生状態と非減衰力発生状態を切り替えることができる。
【0039】
図3(A)及び図4(A)のように、減衰力発生状態では、磁極27a及び27bそれぞれが周方向でケース本体13の隣接する磁気遮断部21間に渡って位置する。つまり、各磁気遮断部21は、隣接する一対の磁極27a及び27b間に径方向で対向し、磁路形成部19は、一つの磁極のみに径方向で対向する。
【0040】
これにより、隣接する磁極27a及び27bは、それぞれ対向するケース本体13の磁路形成部19及び回転体5を介して、減衰力発生部7に渡る磁束ループRを発生させることができる。この磁束ループRに応じ、減衰力発生部7では、機能性流体Fがクラスターを形成し、減衰力を生じさせることになる。
【0041】
このため、引き戸等の可動側から回転体5に入力されたトルクが、回転ダンパー1の減衰力によって減衰される。
【0042】
一方、図3(B)及び図4(B)のように、非減衰力発生状態では、磁極27a及び27bそれぞれが周方向で磁気遮断部21を跨いで隣接する一対の磁路形成部19間に渡って位置する。つまり、磁極27a及び27bは、端部において単一の磁路形成部19に径方向で対向し、各磁路形成部19は、隣接する一対の磁極27a及び27bの双方に径方向で対向することになる。
【0043】
これにより、隣接する磁極27a及び27bは、それらの端部が対向する磁路形成部19を介して磁束ループR’を形成する。つまり、磁束ループR’は、減衰力発生部7に渡らずに短絡し、機能性流体Fに影響を及ぼすことがなく、減衰力を生じさせることはない。
【0044】
このため、引き戸等の可動側をフリー状態にしておくことが可能となる。
【0045】
[実施例1の効果]
本実施例の回転ダンパー1は、相対回転自在な回転体5及びケース3間に磁束ループRが通過することで減衰力を発生させる機能性流体Fを介在させた減衰力発生部7と、減衰力発生部7に渡って磁束ループRを発生させるための少なくとも一対の磁極27a及び27bを有する永久磁石9と、減衰力発生部7と永久磁石9との間に配置され、永久磁石9に対して相対的位置を変更することで磁束ループRが減衰力発生部7に渡る減衰力発生状態と磁束ループR’が減衰力発生部7に渡らずにショートする非減衰力発生状態とを切り替える切替部としてのケース本体13とを備える。
【0046】
ケース本体13は、非磁性体製の磁気遮断部21と、磁気遮断部21を挟んで配置された少なくとも一対の磁性体製の磁路形成部19とを有し、減衰力発生状態では、磁気遮断部21が一対の磁極27a及び27b間に対向し、且つ一対の磁路形成部19が一対の磁極27a及び27bにそれぞれ対向し、非減衰力発生状態では、一対の磁路形成部19の何れか一方が一対の磁極27a及び27bの双方に対向する。
【0047】
従って、本実施例では、切替部であるケース本体13の永久磁石9に対する相対位置を変更するだけで、機能性流体Fによる減衰力をオンオフ制御することができ、構造が簡単で、発熱等の問題もなく、耐久性を向上することができる。
【0048】
また、本実施例では、ケース3が切替部を一体に有し、永久磁石9がケース3外でケース3に対して移動可能に設けられ、切替部としてのケース本体13が永久磁石9の移動により永久磁石9に対する相対位置の変更を可能とする。
【0049】
従って、本実施例では、ケース3に対して永久磁石9を移動させるだけで、より簡単に減衰力をオンオフ制御することができる。
【0050】
特に、本実施例では、ケース3が磁気遮断部21と磁路形成部19とを周方向に交互に配置して形成され、永久磁石9が異なる磁極27a及び27bを周方向に交互に配置し、ケース3の外側に回転自在に嵌合するリング状であり、永久磁石9の回転位置に応じて減衰力をオンオフ制御する。
【0051】
従って、本実施例では、ケース3に対して永久磁石9を回転させるだけで、永久磁石9を切替ダイヤルとして用いて減衰力のオンオフ制御を極めて簡単に行うことができる。
【0052】
なお、回転ダンパー1では、ケース3の蓋体23やベース部11に減衰力発生状態及び非減衰力発生状態とが分かる目印を設けてもよい。
【実施例2】
【0053】
図5は、実施例2に係る回転ダンパーの断面図であり、(A)は減衰力発生状態、(B)は非減衰力発生状態を示す。なお、図5は、図2のIII−III線にかかる断面に対応している。また、実施例2では、実施例1と対応する構成部分に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0054】
本実施例の回転ダンパー1は、切替部29をケース3とは別体に設け、切替部29をケース3に対して移動させるようにしたものである。また、本実施例では、ケース3と回転軸25との間に回転板セット31を有し、回転板セット31を構成するインナー板33及びアウター板35が相対回転可能な内外回転部材として設けられている。
【0055】
ケース3は、非磁性体製の中空円筒状のケース本体13を備え、このケース本体13が軸心方向の一側が蓋部23で閉じられると共に軸心方向の他側が磁性体製の仕切板37により閉じられている。
【0056】
仕切板37は、板状体であり、軸心方向の一側において軸心部に凹部37aが形成され、軸心方向の他側において軸心部に軸部37bがケース3外に突設されている。
【0057】
本実施例の仕切板37は、内外周の中間部に磁気分断部39aが介設されている。磁気分断部39aは、仕切板37の内周部及び外周部を磁気的に分断するものである。本実施例において、磁気分断部39aは、非磁性体製となっている。なお、磁気分断部39aは、仕切板37の内周部及び外周部を磁気的に分断できればよく、穴(空間部)等であってもよい。
【0058】
回転軸25は、非磁性体製であり、軸心方向に伸びる円柱状に形成されている。この回転軸25は、内端がケース3内で仕切板37の凹部37aに支持され、蓋部23の貫通孔23aを挿通することで、ケース3に対して相対回転自在になっている。この回転軸25とケース3との間には、回転板セット31が設けられている。
【0059】
回転板セット31は、磁性体製の複数のインナー板33及び磁性体製の複数のアウター板35を軸心方向で交互に配置して構成されている。隣接するインナー板33及びアウター板35間には、隙間が設けられている。この隙間には、機能性流体Fが介在し、減衰力発生部7が構成される。
【0060】
インナー板33及びアウター板35は、それぞれ回転軸25及びケース3に一体回転可能に固定されている。具体的には、インナー板33は、内周部分が回転軸25の外周に固定され、アウター板35は、外周部分がケース3の内周に支持されている。
【0061】
インナー板33及びアウター板35には、それぞれ磁気分断部39bが設けられている。磁気分断部39bは、インナー板33及びアウター板35の内周部及び外周部の中間部に設けられ、全体として軸心方向に沿って整列している。なお、磁気分断部39bは、軸心方向に沿って整列していなくてもよく、回転板セット31内で磁気回路のショートが無い限り、多少径方向にずれていてもよい。
【0062】
これら磁気分断部39bは、磁気分断部39aと同様、非磁性体製となっているが、穴(空間部)等であってもよい。
【0063】
かかる回転板セット31の端部側には、それぞれ端部部材41及び永久磁石9が配置されている。
【0064】
端部部材41は、磁性体製の板状体であり、回転板セット31の一端部側に配置されている。この端部部材41は、回転板セット31の一端部に位置するインナー板33との間に機能性流体Fを介在させる隙間を確保している。この端部部材41は、径方向において回転板セット31の一端部のインナー板33の内周部及び外周部に渡るように延設されている。
【0065】
なお、端部部材41は、回転板セット31の一端部のインナー板33の内周部及び外周部に渡る形態であれば、板状体に限られるものではない。また、本実施例において回転板セット31の一端部にインナー板33が位置しているが、仕様によっては回転ダンパー1の特性に応じてアウター板35が位置することもあるため、回転板セット31の一端部に位置するインナー板33又はアウター板35の内周部及び外周部に渡るように延設されていればよい。
【0066】
図6は、永久磁石9を示す平面図である。
【0067】
永久磁石9は、図5及び図6のように、軸部37b周りに固定された非磁性体製の磁石保持板43に、逆向きの極性を有する磁石片45a及び45bを埋め込み状態で保持している。磁石片45a及び45bは、周方向に複数対設けられている。
【0068】
本実施例では、周方向90度毎に4対の磁石片45a及び45bが設けられている。なお、磁石片45a及び45bの数は任意に設定することが可能である。
【0069】
この永久磁石9は、磁石片45a及び45bが切替部29及び仕切板37の内周部及び外周部を介して回転板セット31の内周部及び外周部にそれぞれ対向している。
【0070】
従って、永久磁石9は、切替部29の回転位置に応じ、軸心方向の一側において、切替部29、仕切板37、回転板セット31、及び端部部材41を介して磁石片45a及び45b間に渡る磁気回路が形成される。
【0071】
軸心方向の他側において、永久磁石9は、磁性体製の支持板47により支持されている。支持板47は、板状に形成され、径方向において永久磁石9の磁石片45a、45b間に渡る。
【0072】
従って、永久磁石9は、軸心方向の他側において、支持板47により磁石片45a、45b間に渡る磁気回路が形成される。
【0073】
これら永久磁石9及び支持板47は、取付フレーム49を介してケース3に取り付けられている。取付フレーム49は、周回状に形成されて、内外周に軸心方向に突設された周回壁51a及び51bを有する。周回壁51a及び51b間には、永久磁石9及び支持板47を収容する収容凹部53を有している。
【0074】
内側の周回壁51aは、その内周に支持穴55を区画し、支持穴55を介して仕切板37の軸部37bが挿通して仕切板37に締結されている。周回壁51aの先端は、軸部37bの段部37cに突き当てられている。この段部37cの外周には、切替部29が回転自在に嵌合している。
【0075】
図7は、切替部29を示す平面図である。
【0076】
切替部29は、図5及び図7のように、軸部37b周りに回転自在に支持された磁気遮断部を構成する非磁性体製の切替板57に、磁路形成部を構成する磁性体片59を埋め込み状態で保持したものである。磁性体片59は、周回部59a、放射部59b、及び島状部59cで構成されている。
【0077】
周回部59aは、周回状に形成されて、永久磁石9の内周側の磁石片45aに常に対向する。放射部59bは、周回部59aから放射状に突出し、非減衰力発生状態において周回部59aと共に永久磁石9の磁石片45a及び45b間に渡って伸びる。従って、放射部59bは、磁石片45a及び45bに対応し、周方向90度毎に4本設けられている。
【0078】
島状部59cは、周回部59a及び放射部59bとは磁気的に分断されており、減衰力発生状態において、外周側の磁石片45bに対向する。従って、減衰力発生状態では、切替部29の周回部59a及び島状部59cがそれぞれ永久磁石9の磁石片45a及び45bに対向し、永久磁石9の磁石片45a及び45bと仕切板37の内周部及び外周部との間を磁気的に接続する。
【0079】
これにより、永久磁石9の磁束ループRは、軸心方向の一側において、磁石片45a及び45bの一方から回転板セット31を通って端部部材41で折り返し、回転板セット31を取って磁石片45a及び45bの他方に至り、軸心方向の他側において、支持板47を介して磁石片45a及び45b間に渡る。従って、磁束ループRは、減衰力発生部7に渡って形成される。
【0080】
また、非減衰力発生状態では、切替部29の周回部59a及び放射部59bが永久磁石9の磁石片45a及び45b間を磁気的に接続する。
【0081】
これにより、永久磁石9の磁束ループR’は、軸心方向の一側において、切替部29の磁性体片59を介して永久磁石9の磁石片45a及び45b間で短絡し、軸心方向の他側において、支持板47を介して磁石片45a及び45b間に渡る。従って、磁束ループR’は、減衰力発生部7に渡らず、機能性流体Fに影響を及ぼさない。
【0082】
このため、本実施例においては、切替部29をケース3に対して周方向に回転させるだけで、実施例1と同様に、機能性流体Fによる減衰力をオンオフ制御することができ、構造が簡単で、発熱等の問題もなく、耐久性を向上することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 回転ダンパー
3 ケース(外回転部材)
5 回転体(内回転部材)
7 減衰力発生部
9 永久磁石
13 ケース本体(切替部)
19 磁路形成部
21 磁気遮断部
29 切替部
33 インナー板(内回転部材)
35 アウター板(外回転部材)
43 磁石保持版
45a、45b 磁石片
57 切替板(磁気遮断部)
59 磁性体片(磁路形成部)


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7