特許第6820011号(P6820011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820011
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】ローラコンベア装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20210114BHJP
   B65G 13/06 20060101ALI20210114BHJP
   B65G 39/00 20060101ALI20210114BHJP
   H02P 5/46 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   B65G43/02 D
   B65G13/06
   B65G39/00 A
   H02P5/46 J
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-78042(P2017-78042)
(22)【出願日】2017年4月11日
(65)【公開番号】特開2018-177441(P2018-177441A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592141020
【氏名又は名称】株式会社協和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】アセン ヴィドロフ
(72)【発明者】
【氏名】ディミター ペトロフ
(72)【発明者】
【氏名】三枝 勇介
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−106331(JP,A)
【文献】 特開2003−171010(JP,A)
【文献】 特開平01−136524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/02
B65G 13/06
B65G 39/00
H02P 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向において前後に位置する搬送物どうしが衝突した状態で複数の搬送物をロー・プレッシャー方式でアキュームできる区間において、前記搬送方向に沿って間隔を設けて配置され、前記複数の搬送物を前記搬送方向に搬送する複数のローラと、
前記複数のローラにおいて、所定数ごとに内蔵され、ローラを回転させる駆動力を生成する複数のDCモータと、
前記複数のDCモータのそれぞれに対応して設けられ、対応するDCモータの駆動を制御する複数のモータ制御装置と、
前記区間で前記複数の搬送物をロー・プレッシャー方式でアキュームするために、前記複数の搬送物の先頭に位置する搬送物の前方にセットされ、前記複数の搬送物の先頭に位置する搬送物の搬送を強制的に止めるストッパーと、
前記区間で前記複数の搬送物がロー・プレッシャー方式でアキュームされている状態で、前記区間の予め定められた位置で搬送物を検知したとき、検知した搬送物を最後尾の搬送物とし、アキューム終了の指令信号を出力するセンサと、を備え、
前記複数のモータ制御装置は、それぞれ、
対応するDCモータに供給される駆動電流の上限値を複数の値の中から設定できるスイッチと、
対応するDCモータに供給される駆動電流を測定する測定部と、
前記ストッパーがセットされて前記区間でロー・プレッシャー方式のアキュームが開始され、対応するDCモータを内蔵しているローラ上で搬送物の搬送が強制的に止められることにより、対応するDCモータが拘束された状態で、前記測定部が測定した駆動電流が前記スイッチで設定された前記上限値を超えた場合、対応するDCモータに駆動電流を供給することを停止する制御をする第1制御部と、
前記第1制御部の制御によって、対応するDCモータに駆動電流の供給が停止した状態で、前記センサが前記指令信号を出力したとき、対応するDCモータに駆動電流を供給する制御をする第2制御部と、を備えるローラコンベア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラコンベアのアキューム機能に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
ローラコンベアは、物流センター、クリーンルーム、食品ライン、一般製造ライン、メールセンター、配送センター等、幅広い産業分野で使用されている。
【0003】
ローラコンベアの駆動方式の1つとして、ローラに内蔵されたモータによってローラを回転させる方式がある(以下、モータローラ方式と称する)。これまで、モータローラ方式は、軽量の搬送物を対象としており、モータの耐久性等の観点から、ローラに内蔵されるモータは、ACモータ(交流モータ)が主流であった。
【0004】
しかし、最近、重い搬送物の搬送や、搬送状況に応じて搬送速度が変更される搬送に、モータローラ方式を適用したい要請があり、この要請に応えるために、ローラに内蔵されるモータは、DCモータ(直流モータ)が主流になりつつある(例えば、非特許文献1)。この理由は、以下の通りである。搬送物が重ければ、モータのトルクが大きくなり、モータの消費電力が増加する。DCモータは、ACモータと比べて消費電力が少ないので、搬送物が重い場合、DCモータの方が有利である。また、DCモータは、ACモータと比べて、速度制御性が優れているので、搬送速度の値を細かく変更することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】″重量パレット搬送用(1ton用)DCシステマチックローラコンベヤ″、[online ]、[平成29年4月3日検索]、インターネット〈URL:http://www.makitech.co.jp/conveyor/4/dc.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ローラコンベアにおいて、搬送物を一時的に貯留することをアキュームと称する。アキュームは、ローラコンベアが搬送物の搬送を一時的に停止することである。アキュームには、ロー・プレッシャー方式とゼロ・プレッシャー方式とがある。ロー・プレッシャー方式は、搬送方向において前後に位置する搬送物のどうしを衝突させて複数の搬送物の搬送を一時的に停止させる。ゼロ・プレッシャー方式は、搬送方向において前後に位置する搬送物のどうしを離した状態で複数の搬送物の搬送を一時的に停止させる。
【0007】
このうち、ロー・プレッシャー方式は、以下のようにして実行される。エアシリンダ等によって駆動されるストッパーを、アキュームの対象となる搬送物の前方に位置させる。この搬送物がストッパーの位置まで搬送されると、この搬送物の搬送がストッパーにより強制的に止められる。この搬送物を先頭とし、後続する搬送物は、先に搬送が強制的に止められた搬送物に衝突し、順次、搬送が強制的に止められる。言い換えれば、先頭の搬送物の次の搬送物は、先頭の搬送物に衝突し、搬送が強制的に止められ、先頭の次の次の搬送物は、先頭の次の搬送物に衝突し、搬送が強制的に止められ、以降の搬送物も同様にして搬送が強制的に止められる。
【0008】
ロー・プレッシャー方式によって、搬送が強制的に止められた搬送物の下に位置しているローラについて、ローラの回転が強制的に止まる方式と、ローラの回転が継続する方式とがある。前者の方式の場合、ローラに内蔵されたモータの回転軸は、ローラと搬送物とで生じる摩擦力によって回転が阻止されている(モータが拘束される)。モータが拘束されると、モータに供給される駆動電流は、モータの回転軸を回転させるためのエネルギーに用いられず、熱エネルギーとなる。後者の方式の場合、搬送が強制的に止めらた搬送物の下に位置するローラは、この搬送物に接触した状態で回転している(ローラが空回りしている)。
【0009】
モータのトルクが高いとき、モータの駆動電流は大きくなる。従って、前者の方式では、モータのトルクが高い場合、モータの発熱量が多くなる問題が発生する。モータの発熱量が多いと、モータの焼損や、モータを内蔵しているローラに作業者が触れることにより作業者が火傷する可能性がある。また、後者の方式では、モータのトルクが高い場合、ローラによって搬送物が傷つけられたり、搬送物によってローラの表面が傷つけられたりする問題が発生するおそれがある。
【0010】
内蔵モータがACモータであるモータローラ方式では、搬送物が軽量だったので、モータのトルクが低く、前者の方式、後者の方式いずれについても問題は生じていなかった。しかし、本発明者は、ローラに内蔵されるモータがDCモータとなり、搬送物が重くなり、モータのトルクが高くなると、それらの問題への対策が求められることを見出した。
【0011】
本発明の目的は、ロー・プレッシャー方式によって搬送物をアキュームする場合に、ローラに内蔵されたDCモータの発熱を抑制し、かつ、ローラによって搬送物が傷つけられたり、搬送物によってローラの表面が傷つけられたりすることを防止できるローラコンベア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るローラコンベア装置は、搬送方向において前後に位置する搬送物どうしが衝突した状態で複数の搬送物をロー・プレッシャー方式でアキュームできる区間において、前記搬送方向に沿って間隔を設けて配置され、前記複数の搬送物を前記搬送方向に搬送する複数のローラと、前記複数のローラにおいて、所定数ごとに内蔵され、ローラを回転させる駆動力を生成する複数のDCモータと、前記複数のDCモータのそれぞれに対応して設けられ、対応するDCモータの駆動を制御する複数のモータ制御装置と、前記区間で前記複数の搬送物をロー・プレッシャー方式でアキュームするために、前記複数の搬送物の先頭に位置する搬送物の前方にセットされ、前記複数の搬送物の先頭に位置する搬送物の搬送を強制的に止めるストッパーと、前記区間で前記複数の搬送物がロー・プレッシャー方式でアキュームされている状態で、前記区間の予め定められた位置で搬送物を検知したとき、検知した搬送物を最後尾の搬送物とし、アキューム終了の指令信号を出力するセンサと、を備え、前記複数のモータ制御装置は、それぞれ、対応するDCモータに供給される駆動電流の上限値を複数の値の中から設定できるスイッチと、対応するDCモータに供給される駆動電流を測定する測定部と、前記ストッパーがセットされて前記区間でロー・プレッシャー方式のアキュームが開始され、対応するDCモータを内蔵しているローラ上で搬送物の搬送が強制的に止められることにより、対応するDCモータが拘束された状態で、前記測定部が測定した駆動電流が前記スイッチで設定された前記上限値を超えた場合、対応するDCモータに駆動電流を供給することを停止する制御をする第1制御部と、前記第1制御部の制御によって、対応するDCモータに駆動電流の供給が停止した状態で、前記センサが前記指令信号を出力したとき、対応するDCモータに駆動電流を供給する制御をする第2制御部と、を備える。
【0013】
アキュームのために搬送が強制的に止められた搬送物の下に位置する、DCモータ内蔵のローラにおいて、当該DCモータは拘束されるので、当該DCモータに供給される駆動電流が上昇し、設定した上限値を超える(言い換えれば、DCモータが拘束された状態が所定時間(例えば、数秒間)継続した場合、設定した上限値を超える)。これにより、第1制御部は、当該DCモータに駆動電流を供給することを停止する制御をする。よって、以後、当該DCモータは拘束されないので、当該DCモータは発熱せず、当該DCモータの発熱を抑制することができる。また、当該DCモータに駆動電流が供給されることが停止されるので、当該DCモータを内蔵しているローラ(すなわち、搬送が強制的に止められている搬送物の下に位置するローラ)の回転が停止する。よって、当該ローラによって搬送物が傷つけられたり、搬送物によって当該ローラの表面が傷つけられたりすること防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロー・プレッシャー方式によって搬送物をアキュームする場合に、ローラに内蔵されたDCモータの発熱を抑制し、かつ、ローラによって搬送物が傷つけられたり、搬送物によってローラの表面が傷つけられたりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るローラコンベア装置の一部分の平面図である。
図2】実施形態に係るローラコンベア装置の一部分の側面図である。
図3】実施形態に係るローラコンベア装置の一部分に備えられる複数の駆動ローラと複数のモータ制御装置との関係を説明する説明図である。
図4】モータ制御装置の回路ブロック図である。
図5】ディップスイッチの設定と駆動電流の上限値との関係の一例を示すテーブルである。
図6】アキューム動作中の実施形態に係るローラコンベア装置の一部分の側面図である。
図7】アキューム動作中の実施形態に係るローラコンベア装置の一部分の側面図である。
図8】アキューム動作中の実施形態に係るローラコンベア装置の一部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。各図において、同一符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その構成について、既に説明している内容については、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し(例えば、駆動ローラ10)、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す(例えば、駆動ローラ10−1)。
【0017】
図1は、実施形態に係るローラコンベア装置の一部分の平面図である。図2は、実施形態に係るローラコンベア装置の一部分の側面図である。図3は、実施形態に係るローラコンベア装置の一部分に備えられる複数の駆動ローラと複数のモータ制御装置との関係を説明する説明図である。図1図3を参照して、ローラコンベア装置1は、搬送方向に沿って延びており、搬送物100を搬送方向に沿って搬送する。ローラコンベア装置1は、複数の駆動ローラ10と、複数のDCモータ11と、複数の従動ローラ12と、フレーム13と、ストッパー14と、センサ15と、複数のモータ制御装置16と、操作部17と、を備える。
【0018】
複数の駆動ローラ10は、搬送方向に沿って所定の間隔を設けて配置されている。図1図3では、搬送方向の下流側から順に、駆動ローラ10−1、駆動ローラ10−2、駆動ローラ10−3、駆動ローラ10−4が示されている。複数の駆動ローラ10のそれぞれは、DCモータ11(直流モータ)を内蔵している。詳しく説明すると、駆動ローラ10−1は、駆動ローラ10−1を回転させる駆動力を生成するDCモータ11−1を内蔵しており、駆動ローラ10−2は、駆動ローラ10−2を回転させる駆動力を生成するDCモータ11−2を内蔵しており、駆動ローラ10−3は、駆動ローラ10−3を回転させる駆動力を生成するDCモータ11−3を内蔵しており、駆動ローラ10−4は、駆動ローラ10−4を回転させる駆動力を生成するDCモータ11−4を内蔵している。
【0019】
駆動ローラ10と駆動ローラ10との間において、従動ローラ12が、搬送方向に沿って所定の間隔を設けて配置されている。駆動ローラ10は、駆動ローラ10の両隣側にそれぞれ位置する所定数の従動ローラ12(実施形態では、駆動ローラ10の両隣側にそれぞれ位置する3個の従動ローラ12)とベルト(不図示)によってつながれている。これにより、駆動ローラ10が回転すると、この回転力がベルトを介して従動ローラ12に回転し、従動ローラ12が回転する。これらのローラの回転によって、ローラに載せられた搬送物100が搬送方向に搬送される。
【0020】
以上説明したように、ローラコンベア装置1は、搬送方向に沿って間隔を設けて配置され、複数の搬送物100を搬送方向に搬送する複数のローラ(複数の駆動ローラ10、複数の従動ローラ12)と、複数のローラにおいて、所定数ごとに内蔵され、ローラを回転させる駆動力を生成する複数のDCモータ11と、を備える。
【0021】
フレーム13は、複数の駆動ローラ10および複数の従動ローラ12の一方端部を回転可能に支持し、複数の駆動ローラ10および複数の従動ローラ12の他方端部を回転可能に支持している。
【0022】
ストッパー14とセンサ15との間が、アキューム区間となる。この区間では、搬送方向において前後に位置する搬送物100どうしが衝突した状態で複数の搬送物100をアキュームすることができる。ストッパー14は、アキューム区間で複数の搬送物100をアキュームするために、複数の搬送物100の先頭に位置する搬送物100の前方にセットされ、複数の搬送物100の先頭に位置する搬送物100の搬送を強制的に止める。詳しく説明すると、ストッパー14は、アキューム区間の下流側に位置し、実施形態では、駆動ローラ10−1より下流側において、駆動ローラ10−1の隣りに並ぶ2つの従動ローラ12の間に配置されている。ストッパー14は、不図示の駆動機構(例えば、エアシリンダ)によって、フレーム13の上に突き出た状態と、フレーム13の下にあり、フレーム13の上に突き出ていない状態と、に切り替えられる。図1および図2は、ストッパー14が、フレーム13の下にあり、フレーム13の上に突き出ていない状態を示している。ストッパー14は、この状態で待機しており、アキュームをする場合、ストッパー14は、上記2つの従動ローラ12の間の隙間からフレーム13の上に突き出た状態となる。
【0023】
センサ15は、アキューム区間で複数の搬送物100がアキュームされている状態で、アキューム区間の予め定められた位置で搬送物100を検知したとき、検知した搬送物100を最後尾の搬送物100とし、アキューム終了の指令信号を出力する。詳しく説明すると、センサ15は、アキューム区間の上流側に位置する。センサ15は、例えば、発光部と受光部とを備える光電センサである。搬送物100がセンサ15の検知領域に位置するとき、発光部(不図示)から出射された光が、搬送物100で反射され、受光部(不図示)が受光することにより、搬送物100が検知される。センサ15は、タイマを備えており、センサ15が搬送物100を検知すると、タイマがスタートし、搬送物100を検知している期間を計測する。アキュームされた複数の搬送物100の最後尾が、センサ15の検知領域に到達した場合、センサ15による搬送物100の検知が継続することになる。従って、センサ15による搬送物100の検知が所定期間継続した場合(例えば、30秒)、アキュームされた複数の搬送物100の最後尾が、センサ15の検知領域に到達したと見なすことができる。センサ15は、搬送物100の検知が所定期間継続した場合、アキューム終了の指令信号を出力する。ユーザは、センサ15の位置を変えることにより、アキューム区間の長さを変えることができる。
【0024】
図3を参照して、モータ制御装置16は、複数のDCモータ11のそれぞれに対応して設けられ、対応するDCモータ11の駆動を制御する。詳しく説明すると、モータ制御装置16−1は、DCモータ11−1の駆動を制御し、モータ制御装置16−2は、DCモータ11−2の駆動を制御し、モータ制御装置16−3は、DCモータ11−3の駆動を制御し、モータ制御装置16−4は、DCモータ11−4の駆動を制御する。
【0025】
これらのモータ制御装置16は、同じ構造を有しており、入力端子IN1と、入力端子IN2と、出力端子OUT1〜出力端子OUT4と、を備える。DCモータ11は、出力端子OUT3と出力端子OUT4とに接続されており、DCモータ11の駆動電流は、これらの端子を介して、モータ制御装置16からDCモータ11に供給される。
【0026】
モータ制御装置16−4の入力端子IN1は、操作部17と接続されている。操作部17は、例えば、各種のスイッチ、ボタン、キー等を備える操作パネルである。ユーザは、操作部17を用いて、ローラコンベア装置1を操作する(例えば、ローラコンベア装置1の運転を開始させる操作、運転を停止させる操作)。モータ制御装置16−4の入力端子IN2は、センサ15と接続されている。
【0027】
モータ制御装置16−4の出力端子OUT1は、モータ制御装置16−3の入力端子IN1と接続され、モータ制御装置16−4の出力端子OUT2は、モータ制御装置16−3の入力端子IN2と接続されている。モータ制御装置16−3の出力端子OUT1は、モータ制御装置16−2の入力端子IN1と接続され、モータ制御装置16−3の出力端子OUT2は、モータ制御装置16−2の入力端子IN2と接続されている。モータ制御装置16−2の出力端子OUT1は、モータ制御装置16−1の入力端子IN1と接続され、モータ制御装置16−2の出力端子OUT2は、モータ制御装置16−1の入力端子IN2と接続されている。
【0028】
モータ制御装置16について詳しく説明する。図4は、モータ制御装置16の回路ブロック図である。この回路ブロックは、一例であり、モータ制御装置16の回路ブロックは、図4に限定されない。モータ制御装置16は、マイコン161と、Hブリッジ回路162と、シャント抵抗Rと、検出回路163と、ディップスイッチ164と、入力端子IN1と、入力端子IN2と、出力端子OUT1〜OUT4と、電源端子Vccと、電源端子Vsと、接地端子GNDと、を備える。
【0029】
マイコン161は、各種入力信号に基づいて、DCモータ11を制御するための各種出力信号等を出力する。マイコン161は、後述するように、第1制御部および第2制御部の機能を有する。マイコン161は、電源端子Vcc、入力端子IN1、入力端子IN2、出力端子OUT1、および、出力端子OUT2と接続されている。
【0030】
Hブリッジ回路162は、4個のスイッチング素子S1,S2,S3,S4がブリッジ接続された構成を有するフルブリッジ型の回路である。Hブリッジ回路162は、電源端子Vsおよび接地端子GNDに接続されている。Hブリッジ回路162の出力端1621は、出力端子OUT3と接続され、Hブリッジ回路162の出力端1622は、出力端子OUT4と接続されている。出力端子OUT3と出力端子OUT4とは、DCモータ11に接続されている。
【0031】
スイッチング素子S1,S2,S3,S4は、マイコン161によって制御され、マイコン161からの指令に基づいて、オンしたり、オフしたりする。スイッチング素子S1,S4がオンされた場合、DCモータ11に駆動電流が流れ、DCモータ11が正転する。スイッチング素子S2,S3がオンされた場合、DCモータ11に駆動電流が流れ、DCモータ11が逆転する。
【0032】
シャント抵抗Rは、出力端子OUT3とHブリッジ回路162の出力端1621との間に挿入されている。シャント抵抗Rは、DCモータ11に供給される駆動電流の測定に用いられる。検出回路163は、シャント抵抗Rの両端の電位差を検出し、この電位差を示す信号をアナログからデジタルに変換し、マイコン161へ送る電子回路である。マイコン161は、この電位差とシャント抵抗Rの抵抗値とからDCモータ11に供給される駆動電流を算出する。マイコン161、検出回路163およびシャント抵抗Rによって、DCモータ11に供給される駆動電流を測定する測定部が構成される。
【0033】
ディップスイッチ164は、DCモータ11に供給される駆動電流の上限値を、予め定められた複数の値の中から設定できるスイッチである。上限値の設定は、DCモータ11のトルクの設定を意味する。上限値が低ければ、DCモータ11のトルクが低くなり、上限値が高ければ、DCモータ11のトルクが高くなる。ディップスイッチ164が3つのスイッチから構成されている場合を例にして説明する。図5は、ディップスイッチ164の設定と駆動電流の上限値との関係の一例を示すテーブルである。マイコン161には、このテーブルが格納(記憶)されている。ディップスイッチ164を構成する3つのスイッチSW1,SW2,SW3のオンオフの組合せに応じて、駆動電流の上限値が割り当てられている。ここでは、上限値は、8種類あり、ユーザは、8種類の中から上限値を選択することができる。
【0034】
スイッチSW1,SW2,SW3のオフは、それぞれ、デジタル値「0」に対応しており、スイッチSW1,SW2,SW3のオンは、それぞれ、デジタル値「1」に対応している。例えば、スイッチSW1,SW2,SW3の全てがオフの場合、デジタル値「000」がマイコン161に入力され、スイッチSW1,SW2がオフであり、スイッチSW3がオンの場合、デジタル値「001」がマイコン161に入力される。マイコン161は、図5に示すテーブルを参照して、マイコン161に入力されたデジタル値に割り当てられた上限値を、上限値に設定する。例えば、デジタル値「001」の場合、上限値が0.7Aに設定される。なお、ディップスイッチ164の替わりにロータリースイッチを用いることもできる。
【0035】
ローラコンベア装置1の運転の開始について説明する。図3を参照して、ユーザが操作部17を操作して、ローラコンベア装置1の運転を開始する指令をする。操作部17は、運転開始の指令信号をモータ制御装置16−4へ送る。運転開始の指令信号は、モータ制御装置16−4の入力端子IN1に入力し、モータ制御装置16−4は、DCモータ11−4に駆動電流を供給する。これにより、DCモータ11−4が駆動し、駆動ローラ10−4が回転する。
【0036】
モータ制御装置16−4は、運転開始の指令信号を出力端子OUT1を介して、モータ制御装置16−3に送る。運転開始の指令信号は、モータ制御装置16−3の入力端子IN1に入力し、モータ制御装置16−3は、DCモータ11−3に駆動電流を供給する。これにより、DCモータ11−3が駆動し、駆動ローラ10−3が回転する。
【0037】
モータ制御装置16−3は、運転開始の指令信号を出力端子OUT1を介して、モータ制御装置16−2に送る。運転開始の指令信号は、モータ制御装置16−2の入力端子IN1に入力し、モータ制御装置16−2は、DCモータ11−2に駆動電流を供給する。これにより、DCモータ11−2が駆動し、駆動ローラ10−2が回転する。
【0038】
モータ制御装置16−2は、運転開始の指令信号を出力端子OUT1を介して、モータ制御装置16−1に送る。運転開始の指令信号は、モータ制御装置16−1の入力端子IN1に入力し、モータ制御装置16−1は、DCモータ11−1に駆動電流を供給する。これにより、DCモータ11−1が駆動し、駆動ローラ10−1が回転する。
【0039】
以上により、DCモータ11−1〜11−4が同期駆動されことにより、ローラコンベア装置1の運転が開始される。
【0040】
ローラコンベア装置1の運転の停止について説明する。ユーザが操作部17を操作して、ローラコンベア装置1の運転を停止する指令をする。操作部17は、運転停止の指令信号をモータ制御装置16−4へ送る。運転停止の指令信号は、モータ制御装置16−4の入力端子IN1に入力し、モータ制御装置16−4は、DCモータ11−4に駆動電流を供給することを停止する。これにより、DCモータ11−4が駆動が停止し、駆動ローラ10−4の回転が停止する。以下、ローラコンベア装置1の運転開始の場合と同様にして、運転停止の指令信号が、モータ制御装置16−3、モータ制御装置16−2、モータ制御装置16−1に伝達され、これらの制御装置は、モータ制御装置16−4と同様にして、駆動ローラ10−3,10−2,10−1の回転を停止させる。
【0041】
ローラコンベア装置1のアキューム動作について説明する。図6図8は、アキューム動作中の実施形態に係るローラコンベア装置の一部分の側面図である。設定された駆動電流の上限値は、全てのモータ制御装置16において同じとする。図3図4および図6を参照して、アキュームをする場合、ストッパー14が、フレーム13の上に突き出た状態となる。搬送物100−1は、ストッパー14に衝突し、搬送が強制的に止められる。搬送物100−1は、駆動ローラ10−1上で搬送が強制的に止められているので、駆動ローラ10−1に内蔵されたDCモータ11−1は拘束され、DCモータ11−1にモータ制御装置16−1から供給される駆動電流が上昇する。モータ制御装置16−1に備えられたマイコン161は、上記測定部(測定部は、マイコン161、検出回路163およびシャント抵抗Rによって構成される)が測定した駆動電流を監視し、ディップスイッチ164で設定した上限値を超えているか否かを判断する。モータ制御装置16−1に備えられたマイコン161が、駆動電流がディップスイッチ164で設定した上限値を超えていないと判断した場合、モータ制御装置16−1は、DCモータ11−1に駆動電流を供給することを継続する。モータ制御装置16−1に備えられたマイコン161が、駆動電流がディップスイッチ164で設定した上限値を超えたと判断した場合、モータ制御装置16−1は、DCモータ11−1に駆動電流を供給することを停止する。駆動ローラ10−2〜10−4上では、搬送物100の搬送が強制的に止められていないので、DCモータ11−2〜11−4に供給される駆動電流は、設定した上限値以下であり、モータ制御装置16−2〜16−4は、それぞれ、DCモータ11−2〜11−4に駆動電流を供給し、駆動ローラ10−2〜10−4が回転している。
【0042】
図3図4および図7を参照して、搬送物100−2が搬送物100−1に衝突し、搬送物100−2の搬送が強制的に止められる。この状態で、搬送物100−3が搬送物100−2に衝突し、搬送が強制的に止められる。搬送物100−3は、駆動ローラ10−2上で搬送が強制的に止められるので、駆動ローラ10−2に内蔵されたDCモータ11−2は拘束され、DCモータ11−2にモータ制御装置16−2から供給される駆動電流が上昇する。モータ制御装置16−2に備えられたマイコン161は、上記測定部が測定した駆動電流を監視し、ディップスイッチ164で設定した上限値を超えているか否かを判断する。モータ制御装置16−2に備えられたマイコン161が、駆動電流がディップスイッチ164で設定した上限値を超えていないと判断した場合、モータ制御装置16−2は、DCモータ11−2に駆動電流を供給することを継続する。モータ制御装置16−2に備えられたマイコン161は、駆動電流がディップスイッチ164で設定した上限値を超えたと判断した場合、モータ制御装置16−2は、DCモータ11−2に駆動電流を供給することを停止する。駆動ローラ10−3,10−4上では、搬送物100の搬送が強制的に止められていないので、DCモータ11−3,11−4に供給される駆動電流は、設定した上限値以下であり、モータ制御装置16−3,16−4は、それぞれ、DCモータ11−3,11−4に駆動電流を供給し、駆動ローラ10−3,10−4が回転している。
【0043】
図3図4および図8を参照して、搬送物100−4が搬送物100−3に衝突し、搬送が強制的に止められる。この状態で、搬送物100−5が搬送物100−4に衝突し、搬送が強制的に止められる。搬送物100−5は、駆動ローラ10−3上で搬送が強制的に止められているので、モータ制御装置16−1,16−2の場合と同様にして、モータ制御装置16−3は、DCモータ11−3に駆動電流を供給することを停止する。
【0044】
搬送物100−6が搬送物100−5に衝突し、搬送が強制的に止められる。この状態で、搬送物100−7が搬送物100−6に衝突し、搬送が強制的に止められる。搬送物100−7は、駆動ローラ10−4上で搬送が強制的に止められているので、これにより、モータ制御装置16−1,16−2の場合と同様にして、モータ制御装置16−4は、DCモータ11−4に駆動電流を供給することを停止する。
【0045】
以上説明したように、モータ制御装置16に備えられたマイコン161は、第1制御部の機能を有する。第1制御部は、ストッパー14がセットされてアキューム区間でアキュームが開始され、対応するDCモータ11を内蔵している駆動ローラ10上で搬送物100の搬送が強制的に止められることにより、対応するDCモータ11が拘束された状態で、測定部が測定した駆動電流がディップスイッチ164で設定された上限値を超えた場合、対応するDCモータ11に駆動電流を供給することを停止する制御をする。
【0046】
駆動ローラ10−4上で搬送物100−7の搬送が強制的に止められることにより、センサ15による搬送物100−7の検知が所定期間継続した場合、センサ15は、アキューム終了の指令信号を出力する。アキューム終了の指令信号は、モータ制御装置16−4の入力端子IN2に入力し、モータ制御装置16−4は、DCモータ11−4に駆動電流を供給する。これにより、DCモータ11−4が駆動し、駆動ローラ10−4が回転する。
【0047】
モータ制御装置16−4は、アキューム終了の指令信号を出力端子OUT2を介して、モータ制御装置16−3に送る。アキューム終了の指令信号は、モータ制御装置16−3の入力端子IN2に入力し、モータ制御装置16−3は、DCモータ11−3に駆動電流を供給する。これにより、DCモータ11−3が駆動し、駆動ローラ10−3が回転する。
【0048】
モータ制御装置16−3は、アキューム終了の指令信号を出力端子OUT2を介して、モータ制御装置16−2に送る。アキューム終了の指令信号は、モータ制御装置16−2の入力端子IN2に入力し、モータ制御装置16−2は、DCモータ11−2に駆動電流を供給する。これにより、DCモータ11−2が駆動し、駆動ローラ10−2が回転する。
【0049】
モータ制御装置16−2は、アキューム終了の指令信号を出力端子OUT2を介して、モータ制御装置16−1に送る。アキューム終了の指令信号は、モータ制御装置16−1の入力端子IN2に入力し、モータ制御装置16−1は、DCモータ11−1に駆動電流を供給する。これにより、DCモータ11−1が駆動し、駆動ローラ10−1が回転する。駆動ローラ10−1〜10−4が回転することにより、ローラコンベア装置1の運転が再開する。
【0050】
以上説明したように、モータ制御装置16に備えられたマイコン161は、第2制御部の機能を有する。第2制御部は、上述した第1制御部の制御によって、対応するDCモータ11に駆動電流の供給が停止した状態で、センサ15がアキューム終了の指令信号を出力したとき、対応するDCモータ11に駆動電流を供給する制御をする。
【0051】
実施形態の主な効果を説明する。図8を参照して、アキュームのために搬送が強制的に止められた搬送物100の下に位置する駆動ローラ10において、この駆動ローラ10に内蔵されたDCモータ11は、拘束されるので、当該DCモータ11に供給される駆動電流が上昇し、設定した上限値を超える。これにより、第1制御部(図4に示すマイコン161)は、当該DCモータ11に駆動電流を供給することを停止する制御をする。よって、以後、当該DCモータ11は拘束されないので、当該DCモータ11は発熱せず、当該DCモータ11の発熱を抑制することができる。従って、当該DCモータ11の焼損を防止でき、かつ、作業者が駆動ローラ10に触れても、火傷をすることはない。また、当該DCモータ11に駆動電流が供給されることが停止されるので、当該DCモータ11を内蔵している駆動ローラ10(すなわち、搬送が強制的に止められている搬送物100の下に位置する駆動ローラ10)の回転が停止する。よって、当該駆動ローラ10によって搬送物100が傷つけられたり、搬送物100によって当該駆動ローラ10の表面が傷つけられたりすること防止できる。
【0052】
図6図8に示すように、アキューム時において、駆動が不要となったDCモータ11から順次、駆動電流の供給が停止されるので、省エネ効果を有する。
【0053】
図4および図5を参照して、ディップスイッチ164によって、駆動電流の上限値を低く設定することができる(低トルク設定)。これにより、作業者の手が誤ってローラ(駆動ローラ10、従動ローラ12)の間に入ったとき、これらのローラを駆動する駆動ローラ10に供給される駆動電流が、直ちに上限値を超え、駆動電流の供給が停止されるので、作業者のけがを防止することができる。
【0054】
ディップスイッチ164による駆動電流の上限値の設定によって、駆動ローラ10のトルクが設定される。このように、実施形態では、クラッチ板およびこれを押圧するばねでトルクが設定されないので、部品の劣化がなく、駆動ローラ10の寿命を長くすることができる。
【0055】
駆動ローラ10を駆動するモータは、DCモータ11である。DCモータ11は、ACモータと比べて、モータの回転速度の制御性が優れているので、状況の変化に応じて、搬送物の搬送速度の値を変更することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ローラコンベア装置
10−1〜10−4 駆動ローラ
11−1〜11−4 DCモータ
12 従動ローラ
13 フレーム
14 ストッパー
15 センサ
16−1〜16−4 モータ制御装置
161 マイコン
162 Hブリッジ回路
1621,1622 出力端
163 検出回路
164 ディップスイッチ
17 操作部
100−1〜100−7 搬送物
R シャント抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8