(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820021
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】ウェアラブル無線デバイスの結合されたマルチバンドアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20210114BHJP
H01Q 1/40 20060101ALI20210114BHJP
H01Q 1/44 20060101ALI20210114BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q1/40
H01Q1/44
H04M1/02 C
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-503582(P2018-503582)
(86)(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公表番号】特表2018-526880(P2018-526880A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】CN2016090774
(87)【国際公開番号】WO2017016426
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2018年3月2日
【審判番号】不服2019-15141(P2019-15141/J1)
【審判請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】14/811,621
(32)【優先日】2015年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、ホンヴェイ
(72)【発明者】
【氏名】トウ、ヴィー キアン
(72)【発明者】
【氏名】シー、ピン
【合議体】
【審判長】
北岡 浩
【審判官】
富澤 哲生
【審判官】
衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103943945(CN,A)
【文献】
特開2014−62852(JP,A)
【文献】
特開2013−98923(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0048979(US,A1)
【文献】
特開2003−32139(JP,A)
【文献】
特開2015−73824(JP,A)
【文献】
特開2004−312157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と
前記回路基板を収容するハウジング本体であって、前記ハウジング本体は、前面および裏面を有し、前記裏面は、装着された場合、前記前面よりもユーザに近い、ハウジング本体と、
前記回路基板に電気的に接続され、前記ハウジング本体の前記前面に位置する第1アンテナ素子と、
前記回路基板に電気的に接続され、前記ハウジング本体の前記前面に位置する第2アンテナ素子と
を備え、
前記第1アンテナ素子の第1端部および前記第2アンテナ素子の第1端部は、第1距離で分離され、前記第1アンテナ素子の第2端部および前記第2アンテナ素子の第2端部は、第2距離で分離される
ウェアラブル無線デバイスであって、
前記前面は、上面を有し、前記裏面は、底面を有し、傾斜面は、側面を前記上面に接続し、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、前記傾斜面、および前記側面に位置し、体または皮膚から遠く離れている、
ウェアラブル無線デバイス。
【請求項2】
前記ハウジング本体の前記前面に位置するディスプレイと、前記ハウジング本体の前記裏面に位置するバッテリとをさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項3】
前記前面は、上面を有し、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、上面縁部に沿って前記上面に位置する、請求項1または2に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項4】
前記第1アンテナ素子は、セルラー周波数帯域で通信することができ、前記第2アンテナ素子は、GPS、WiFi、またはBluetoothアンテナである、請求項1から3のいずれか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項5】
前記前面は、デミブルノーズ構造を有し、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、前記デミブルノーズ構造に位置する、請求項1または2に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項6】
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、前記ハウジング本体に埋め込まれる、請求項1から5の何れか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項7】
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、保護層でコーティングされる、請求項1から6の何れか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項8】
前記第1距離は、前記第2距離より短い、請求項1から7の何れか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項9】
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子の回路基板への給電点は、前記第1距離の近傍で前記第2距離から離れて位置する、請求項8に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項10】
前記第1アンテナ素子は、第1マルチバンドアンテナの一部であり、前記第2アンテナ素子は、第2マルチバンドアンテナの一部である、請求項1から9の何れか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項11】
前記第1マルチバンドアンテナは、マルチバンドセルラーアンテナであり、前記第2マルチバンドアンテナは、1以上のGPS、WiFi、またはBluetoothアンテナである、請求項10に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項12】
前記第1アンテナ素子は、第1給電点に電気的に接続され、前記第2アンテナ素子は、第2給電点に電気的に接続され、前記第1給電点および前記第2給電点は、前記回路基板の同一の縁部に位置する、請求項1から11の何れか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項13】
前記第1アンテナ素子は、前記第2アンテナ素子より短い、請求項1から12の何れか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項14】
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、前記ハウジング本体の1または複数の角部の周りで湾曲する、請求項1から13の何れか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項15】
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、共有の接地板を有する、請求項1から14の何れか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項16】
前記共有の接地板を持つ前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、ダイポールまたはモノポールを形成する、請求項15に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項17】
前記第1アンテナ素子の長さは、約55mmから約90mmであり、前記第2アンテナ素子の長さは、約40mmから約65mmであり、前記ハウジング本体の材料の比誘電率は、約2.5から約4.4である、請求項1から16の何れか一項に記載のウェアラブル無線デバイス。
【請求項18】
前記第1アンテナ素子の前記長さは、約84mmであり、前記第2アンテナ素子の前記長さは、約61mmであり、前記ハウジング本体の前記比誘電率は、約2.5である、請求項17に記載のウェアラブル無線デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、「Coupled Multi−bands Antennas in Wearable Wireless Devices」と題する、2015年7月28日に出願された米国非仮出願第14/811,621号の利益を主張し、それは、これにより本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、ウェアラブル無線通信デバイスのためのシステムおよび方法に関し、特定の実施形態において、ウェアラブル無線通信デバイスにおいて、改善された性能を持つ結合されたマルチバンドアンテナを提供するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最新の無線デバイスの工業設計は、より小さな外形のデバイスに向けて進化している。これらの最新の無線デバイスは、セルラーフォン、タブレット、または、時計、眼鏡、およびバーチャルリアリティヘッドセットまたは同様のもののようなウェアラブルなものを含む。無線デバイスは、ユーザ上でまたはユーザの近傍で動作するべく、複数のマルチバンド無線周波数(RF)アンテナを必要とする。典型的なアンテナは、セルラーメインアンテナ、ダイバーシティアンテナ、無線ネットワーキング(例えば、WiFi(登録商標)、802.11、またはBluetooth(登録商標))アンテナ、近距離アンテナ(例えば、近距離通信または無線充電)、および全地球測位(例えば、GPS、GNSS、Beidou)アンテナを含む。複数のマルチバンドアンテナは、互いに協働するように、およびスピーカ、LCDスクリーン、バッテリ、センサなどのような他の電磁コンポーネントと協働するように、協調設計されなければならない。しかしながら、互いに近接するアンテナは、低アイソレーション、効率の減少、およびチャネル干渉の増大をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施形態によれば、ウェアラブル無線デバイスは、回路基板と、回路基板を収容するハウジング本体と、前面および裏面を有するハウジング本体と、装着された場合、前面よりもユーザに近いように構成される裏面と、回路基板に電気的に接続され、ハウジング本体の前面に位置する第1アンテナ素子と、回路基板に電気的に接続され、ハウジング本体の前面に位置する第2アンテナ素子とを備え、第1アンテナ素子の第1端部および第2アンテナ素子の第1端部が、第1距離で分離され、第1アンテナ素子の第2端部および第2アンテナ素子の第2端部が、第2距離で分離される。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、ウェアラブル無線デバイスは、第1アンテナ素子および共有の接地板を有する第1アンテナと、第2アンテナ素子および共有の接地板を有する第2アンテナと、第1および第2アンテナ素子をユーザおよび裏面から離れる方に向くように構成される前面に収容するハウジング本体であって、裏面は、前面に対向して、ユーザの方に向くように構成される、ハウジング本体とを備え、第1アンテナ素子の第1端部および第2アンテナ素子の第1端部は、第1距離で分離され、第1アンテナ素子の第2端部および第2アンテナ素子の第2端部は第2距離で分離される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明およびその利点のより完全な理解のために、次の添付の図面と併せて、以下の説明にここで参照がなされる。
【0007】
【
図1】一実施形態に係る、ウェアラブル無線デバイスの斜視図を示す。
【0008】
【
図2】一実施形態に係る、ハウジング材料なしのウェアラブル無線デバイスの斜視図を示す。
【0009】
【
図3】一実施形態に係る、ウェアラブル無線デバイスのハウジング本体の斜視図を示す。
【0010】
【
図4】一実施形態に係る、ウェアラブル無線デバイスのハウジング本体の別の斜視図を示す。
【0011】
【
図5】一実施形態に係る、ウェアラブル無線デバイスのハウジング本体のさらに別の斜視図を示す。
【0012】
【
図6】一実施形態に係る、ウェアラブル無線デバイスのハウジング本体のさらなる斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
現在好ましい実施形態の作成および使用について、以下で詳細に述べられる。しかしながら、本発明は、多種多様な特定の文脈において具現化され得る多数の適用可能な発明の概念を提供することが理解されるべきである。記載される具体的な実施形態は、本発明を作成し使用するための具体的な方法の例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。加えて、説明される方法および装置は、無線通信システムアンテナのレイアウトおよび設計に適用され得るが、特にそれに限定されない。
【0014】
最新の通信デバイスは、複数の別箇のチャネル上で、異なる周波数帯域で同時に通信する能力を提供し、データスループットの向上、および単一デバイスにおける、複数の同時無線通信サービスを提供する。多数の無線通信デバイスは、700MHz−960MHz帯、1,700MHz−2,700MHz帯のような種々のセルラー周波数帯域で通信する能力を持つマルチバンドデバイスであるように設計される。加えて、無線デバイスは、例えば、2,400MHz、3,600MHzおよび5,000MHz帯または同様のものにおけるWiFi接続、1227MHzおよび1575MHz周波数におけるGPS、ならびに2,400MHz−2,485MHz周波数におけるBluetoothのような追加の特徴を頻繁に有する。異なる周波数または帯域で通信する能力は、マルチバンドアンテナによって提供され得る。例えば、いくつかのデバイスにおいて、セルラーサービスが、2つまたはより多くの異なるセルラー周波数帯域で通信するように構成される、アンテナまたはアンテナのセットによって提供され、WiFi、GPS、およびBluetooth帯域上で通信されるように構成される付帯サービスが、WiFi/GPS/Bluetoothアンテナまたはアンテナのセットによって提供される。
【0015】
しかしながら、いくつかの事例において、セルラー帯域およびWiFi、GPSまたはBluetooth帯域は、重複してよく、セルラーおよびGPS/WiFi/Bluetoothアンテナが極めて近接している場合、干渉をもたらす。加えて、ウェアラブルなもの(例えば、時計、眼鏡、およびバーチャルリアリティヘッドセット)、ハンドヘルドセルラーフォン、またはタブレットコンピュータのような比較的小さいデバイスにおいて、同様の周波数帯域のアンテナは、ますますより小さい空間に割り当てられる。例えば、824−960MHzおよび1700−2700MHzの範囲に最適化されたセルラーアンテナは、効率的に動作するために大きな容量を必要とする。そのような周波数は、GPS、WiFi、またはBluetooth信号に近い、またはそれらの信号と重複する。重複する帯域は、セルラーおよびGPS/WiFi/Bluetoothアンテナの近接性と組み合わされて、アンテナにおける干渉をもたらす。例えば、1700MHz帯におけるセルラーアンテナ上の送信は、1575MHz周波数帯域におけるGPS信号と干渉を生じ得る。GPS信号は衛星から送信され、その結果、弱くて、容易にオーバーパワーされる信号となるので、そのような信号との干渉は、特に問題がある。
【0016】
本明細書で説明されるシステムおよび方法は、互いに近接して位置する、結合されたマルチバンドアンテナを提供する。例えば、システムおよび方法は、ウェアラブル無線デバイスの上面の周りに延在する、マルチバンドセルラー無線アンテナ、およびGPS/WiFi/Bluetoothアンテナを提供する。いくつかの実施形態において、マルチバンドアンテナは、最も近い体または皮膚組織から離れる方に向いているウェアラブル無線デバイスの先端部に沿って、ディスプレイの周りに位置する。そのような配置は、皮膚または体からの最小限の吸収、および増大した放射口を提供する。好適な結合距離がGPS/WiFi/Bluetoothアンテナと、マルチバンドセルラーアンテナの間で確実にされ、アンテナ間の干渉を低減する。
【0017】
アンテナの設置面積、およびウェアラブル無線デバイスの全体のサイズを低減するべく、複数のアンテナは、ユーザから離れてウェアラブル無線デバイスの端部に配列される。アンテナが、ユーザの体または皮膚から離れてウェアラブル無線デバイスの外周部に位置するので、この配置は、改善された無線接続を可能にする。皮膚が、無線周波数信号をブロックまたは減衰し得るので、アンテナは、体または皮膚から遠くに離れて位置する方がより良好な露出を有する。いくつかの実施形態において、例えば、複数のアンテナを結合することによって、改善された接続がまた提供される。他の実施形態において、共有の接地板(例えば、回路基板)を提供することによって、小さい設置面積が実現され得る。
【0018】
いくつかの実施形態の利点は、2つのアンテナ素子への給電点が、回路基板上で互いに近くに位置することである。給電点は、他のコンポーネントまたは配線が位置しない、回路基板のエリアに配置されてよい。言い換えれば、給電点は、他の電気素子による、低いもしくは最小の干渉、電気的中断、または歪みを持つ回路基板のエリアに位置する。回路基板面の割り当てられたエリアにこれらの給電位置を用いることは、ウェアラブル無線デバイスのアンテナ性能を改善する。加えて、無線デバイスの異なる側部のGPS/WiFi/Bluetoothアンテナの部分をルーティングすることは、それぞれのアンテナのアンテナ効率を改善し、同一または重複する周波数帯域を共有する場合、それらの互いに対してのアイソレーションを改善する。
【0019】
図1は、ユーザによって装着可能なウェアラブル無線デバイス100を示す。ウェアラブル腕時計のようなウェアラブル無線デバイス100は、ハウジング本体110、ディスプレイ120、およびアンテナ素子150、160を備える。アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110のユーザの体または皮膚から離れる前面114の異なる側部に位置する。言い換えれば、裏面115は、装着された場合、前面114よりもユーザに近くなるように構成される。ハウジング本体の前面114は、ハウジング本体110の裏面115に対向する。前面114は、側面116を介して裏面115に連結される。ディスプレイ120は、前面114に配置されてよく、裏面115は、バッテリを交換するために開けられるように構成されるカバーケース(不図示)によって、ほとんどカバーされてよい。
【0020】
ウェアラブル無線デバイス100は、(アンテナ素子150を備える)第1アンテナと(アンテナ素子160を備える)第2アンテナとを含んでよい。アンテナは、複数の周波数帯域で信号を通信、送信、および受信するように構成されるマルチモードアンテナであってよい。いくつかの実施形態において、第1アンテナおよび第2アンテナは、周波数整合性能のために選択される切り替えアンテナまたはスマートアンテナである。回路基板上の回路は、アクティブアンテナの着信した、または受信した無線信号を検知するように構成される。
【0021】
第1アンテナは、セルラー無線通信サービスの通信機能を提供するように構成されてよい。第1アンテナは、700MHz−960MHz帯、1,700MHz、1,900MHz、2,100MHz、2,500MHz、および2,700MHz帯のような、セルラー周波数帯域で通信することが可能であってよい。第2アンテナは、Bluetooth、GPS、WiFi、または同様のもののような通信サービスの通信機能を提供するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、第2アンテナは、複数の通信サービスのために複数の帯域で通信、送信、または受信するように構成されるデュアルモードアンテナである。例えば、第2アンテナは、GPS周波数、周波数のセット、または周波数帯域でGPS測位信号を受信する、GPS/WiFi/Bluetoothアンテナであってよい。そのようなGPS/WiFi/Bluetoothアンテナは、また、例えば2,400MHz、3,600MHzおよび5,000MHzのWiFi帯域でWiFi信号を送信および受信するように構成されてよい。さらに、GPS/WiFi/Bluetoothアンテナは、また、例えば、2,400MHz−2,485MHz帯でBluetooth信号を送信および受信するように構成されてよい。
【0022】
アンテナ素子150、160は、ディスプレイ120の周りにルーティングされてよく、前面114で上面のへり部または縁部に沿って位置してよい。アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110の端部、外側/内側面、または外/内面に対してコンフォーマルに配置されてよい。第1アンテナ素子150は、第1角部および第2角部の周りに湾曲して、ハウジング本体110の上縁部に沿って延在してよい。第1アンテナ素子150は、上面の一部、および側面の一部をカバーしてよい。第2アンテナ素子160は、第3角部の周りに湾曲して、ハウジング本体110の他の上縁部に沿って延在してよい。それは、また、上面の一部、および側面の一部をカバーしてもよい。そのような配置は、マルチバンドセルラーアンテナ素子150から2つの距離111、112で間隔を空けて、GPS/WiFi/Bluetoothアンテナ素子160を置くことを可能にする。距離111、112は、異なっていてよい。例えば、(以下
図2で述べられる)回路基板に対する給電点位置近傍の距離112は、給電点位置から遠い、距離111より短くてよい。距離111、112、アンテナ素子の配置、およびハウジング本体110の材料は、アンテナの結合を改善し、適切なアイソレーションを提供する。
【0023】
アンテナ素子150、160は、金属のような導電材料を備えてよい。金属は、銅、アルミニウム、またはこれらの材料の合金であってよい。アンテナ素子150、160は、金属帯のような導電材料帯を備えてよい。アンテナ素子150、160は、通常、ハウジング本体110の外の空気に露出されないが、その中に埋め込まれる。言い換えれば、アンテナ素子150、160は、ハウジング材料またはカバー材料によってカバーされてよく、従って、ユーザには見えない。そのような方法でアンテナ素子150、160を配置する利点は、これらが、ユーザの体/皮膚組織、およびウェアラブル無線デバイスの接地された金属構造(例えば、回路基板)から離れてルーティングされることである。これは、皮膚/組織からの電磁吸収を最小化し、放射口を増大する。
【0024】
アンテナ素子150、160は、異なる長さを有してよい。例えば、第1アンテナ素子150は、マルチバンドセルラーアンテナ素子であってよく、第2アンテナ素子160は、セルラーサービス以外の無線サービスのマルチバンド無線アンテナ素子であってよい。マルチバンドアンテナ160は、GPSアンテナ素子、WiFiアンテナ素子、およびBluetoothアンテナ素子の組合せであってよい。マルチバンドアンテナ素子160は、これら3つの無線サービスより多いまたは少ない無線サービスを含んでよい。アンテナ素子150、160は、L字状もしくはL字に近似した形であってよく、またはU字状もしくはU字に近似した形であってよい。両方のアンテナ素子は、1または複数の角部の周りで湾曲されてよい。例えば、マルチバンド無線アンテナ素子160は、1つの角部の周りで湾曲されてよく、マルチバンドセルラーアンテナ素子150は、2つの角部の周りで湾曲されてよい。代替的に、アンテナ素子150、160の各々は、1つの角部の周りで湾曲されてよい。いくつかの実施形態において、アンテナ素子は、同一の形および厚さを備えるが、異なる長さを備える。
【0025】
アンテナ素子150、160は、それぞれ、ダイポールの素子であってよい。他の素子は、接地板(例えば、
図2で示す回路基板130)であってよい。例えば、第1アンテナ素子150および接地板(例えば、回路基板130)は、第1ダイポールおよび第2アンテナ素子160を形成してよく、接地板(例えば、回路基板130)は、第2ダイポールを形成してよく、接地板は、これにより共有の接地板となっている。ダイポールは、半波長ダイポールであってよい。代替的に、接地板を持つアンテナ素子は、モノポールを形成してもよい。
【0026】
第1アンテナ素子150は、約55mmから90mm、または約70mmから90mmの長さを備えてよい。代替的に、第1アンテナ素子150は、約84mmの長さを備えてよい。第2アンテナ素子160は、約40mmから約65mm、または約50mmから約65mmの長さを備えてよい。代替的に、第2アンテナ素子160は、約61mmの長さを備えてよい。第1アンテナ素子150は、約3mmから6mmの幅、または代替的に、10mm未満もしくは5mm未満の幅を備えてよい。第2アンテナ素子160は、約3mmから6mmの幅、または代替的に、10mm未満もしくは5mm未満の幅を備えてよい。様々な実施形態において、第1アンテナ素子150および第2アンテナ素子160は、同一の幅を備えてよい。アンテナ素子150、160は、3mmより厚い厚さを備えてよい。
【0027】
ハウジング本体110は、アンテナ素子150、160間の距離、領域または空間111、112を備えてよい。領域111、112は、2つのアンテナ素子150、160間の放射アイソレーションおよび電気アイソレーションを提供するように設計される。領域111、112は、2つのアンテナ素子150、160間の電磁結合を低減または最小化するように構成されてよい。ハウジング本体110の材料は、熱可塑性材料(例えば、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS))のようなプラスチック材料、ガラス材料、またはゴム材料を備えてよい。材料は、誘電体材料であってよい。ハウジング本体110の材料は、約2または約2.5の比誘電率を備えてよい。代替的に、材料は、例えば4.4までのより高い比誘電率を提供してよい。さらに他の実施形態において、ハウジング本体110は、約2.5から約3.5まで、または約4.4までの比誘電率を備えてよい。アンテナ素子150、160に対する比誘電率が高いほど、アンテナ素子150、160が短くなり得る。しかしながら、上層材料に対する比誘電率が高いほど、アンテナの効率がより低くなる。アンテナは、セルラーアンテナの長さが約84mm、無線アンテナの長さ(Bluetoothなど)が約61mm、およびハウジング本体110の材料の比誘電率が約2.5である場合、特に良好な効率を有してよい。
【0028】
アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110のハウジング材料に埋め込まれてよい。代替的に、アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110の面上に位置し、カバー材料によってコーティングされる。カバー材料は、ハウジング材料と比較して、同一または同様の電気特性を有してよい。一実施形態において、ハウジング本体110のハウジング材料は、コーティング材料と比較して異なる比誘電率を有してよい。
【0029】
図2は、ウェアラブル無線デバイス100の内部を見ることができるように、ハウジング本体110なしの(しかしながら、アンテナ素子150、160は含む)ウェアラブル無線デバイス100を示す。前述された素子に加えて、ウェアラブル無線デバイス100は、回路基板130と、回路基板130の下にバッテリ140をさらに備えてよい。
【0030】
回路基板130は、間隔を空けられ、ファイバーガラス、ポリマ、または同様のもののような例えば、誘電体層または絶縁層によって電気的に絶縁された8、10、12、13もしくは14層の導電材料または導電素子を有する8層、10層、または12−14層基板のようなプリント回路基板(PCB)であってよい。導電層は、ビアによって電気的に接続され、全体で、接地板を形成してよい。ディスプレイ120、タッチスクリーン、入力ボタン、送信機、プロセッサ、メモリ、バッテリ140、充電回路、システムオンチップ(SoC)構造、または同様のもののようなコンポーネントが、回路基板130上に取り付けられてよい、または回路基板130に接続されてよい、あるいは回路基板130内の導電層に電気的に接続されてよい。
【0031】
第1アンテナ素子150は、回路基板130の側部135に位置する第1給電点134で回路基板130に接続され、第2アンテナ素子160は、回路基板130の同一の側部135に位置する第2給電点136で回路基板130に接続される。代替的に、第1給電点134および第2給電点136は、角部近傍の回路基板130の隣接する側部135、137に位置してもよい。給電点134、136は、電気的導電接続151、161を介して、アンテナ素子150、160に接続されてよい。給電点134、136は、回路基板130の1つの角部の近くに、基板130の他の角部から離れて配置されてよい。
【0032】
給電点134、136は、導電線、導電素子、または導電性コンポーネント(給電点134、136を回路基板130の残りの導電線、導電素子、または導電性コンポーネントに接続する導電線以外)がない、回路基板130のエリアに位置してよい。基板は、このエリアにだけアイソレーション材料を備えてよく、導電材料がなくてもよい。給電点134、136は、約10mmから50mm、または代替的に、20mmから40mmで間隔を空けられてよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、2つのアンテナ素子150、160の端部間の領域111における距離d
1は、これらアンテナ素子150、160の他の端部間の領域112における距離d
2より長い。従って、アンテナ放射アーム(アンテナ素子150、160)の最長の開口端部は、アンテナ給電点134、136の反対方向に向けてルーティングされる。いくつかの実施形態において、距離d
1およびd
2は、10mmと50mmとの間であってよい。
【0034】
図2から分かるように、さらなる利点は、アンテナ素子150、160が、体組織/皮膚から離間されるだけでなく、接地板130(接地金属構造)からも離間されることである。これは、皮膚からの電磁吸収と接地板からの干渉を最小化し、放射口を増大する。
【0035】
図3は、いくつかの実施形態に係る、ハウジング本体110の斜視図を示す。アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110の前面114に位置する。ハウジング本体110の前面は、上面118および側面116を含む。ハウジング本体110の上面118における開口125は、ディスプレイ120を受けるように構成される。アンテナ素子150、160は、上面118だけに位置し、側面116には位置しない。アンテナ素子150、160は、スクラッチされる、あるいは損傷されることから保護されるように、ハウジング本体110の外側面近傍に埋め込まれて位置するか、または、カバーコーティングの薄層によってカバーされるかの何れかであるので、アンテナ素子150、160は、通常、外から見えない。
【0036】
図4は、他の実施形態に係る、ハウジング本体110の別の斜視図を示す。アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110の前面114に位置する。
図3と同様に、前面114は、上面118および側面116を備える。上面118は、ディスプレイ120を受けるように構成される開口125を備える。アンテナ素子150、160は、縁部ならびに角部161、162および164の周りで湾曲されることにより、上面118および側面116の一部に設置される。いくつかの実施形態において、縁部および角部161−164は、丸みがあり、角がない。アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110の外側面近傍に埋め込まれて位置する、または、(薄い)コーティング層によってカバーされる。
【0037】
図5は、いくつかの他の実施形態に係る、ハウジング本体110のさらに別の斜視図を示す。アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110の前面114に位置する。
図3と同様に、前面114は、上面118および側面116を備える。しかしながら、側面116は、傾けられた、勾配のある、または傾斜された接続面171−174を介して、上面118に連結される。上面118は、ディスプレイ120を受けるように構成される開口125を備える。アンテナ素子150、160は、縁部ならびに角部161、162および164の周りで湾曲されることにより、傾斜面171−174のエリアに設置される。アンテナ素子150、160は、上面118の一部および側面116の一部に設置され得る。いくつかの実施形態において、上面118と傾斜面との間の縁部、および、傾斜面と、側面116および角部161−164との間の縁部は、丸みがあり、角がない。アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110の外側面近傍に埋め込まれて位置してよい、または、(薄い)コーティング層によってカバーされてよい。
【0038】
図6は、さらなる実施形態に係る、ハウジング本体110のさらなる斜視図を示す。アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110の前面114に位置する。
図3と同様に、前面114は、上面118、ならびに裏面を接続する、デミブルノーズまたはフルブルノーズ113、115、117、および119を備える。上面118は、ディスプレイ120を受けるように構成される開口125を備える。アンテナ素子150、160は、角部161、162および164の周りで湾曲されることにより、上面118の一部ならびにブルノーズ113、115、117、および119の一部に設置され、または代替的にブルノーズ113、115、117、および119の一部のみに設置される。角部161−164は、丸みがあり、角がない。アンテナ素子150、160は、ハウジング本体110の外側面近傍に埋め込まれて位置する、または、(薄い)コーティング層によってカバーされる。
【0039】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル無線デバイスの寸法は、43mmx43mmx11mmであってよい。
【0040】
本発明の実施形態は、ユーザによってウェアラブル無線デバイスを装着する方法を含む。方法は、前述の実施形態に係る無線デバイスを組み込んでよい。ウェアラブル無線デバイスは、手首の周りだけでなく、(例えば、ネックレスとして、眼鏡としてなど)人体の任意の部分に身につけることができる。
【0041】
本発明は、例示的実施形態に関連して説明されてきたが、本説明は、限定的な意味に解釈されるようには意図されていない。本説明を参照すれば、当業者には、例示的実施形態の様々な変更および組合せ、ならびに本発明の他の実施形態が明らかである。従って、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる変更または実施形態を包含することが意図されている。