(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態によるルート管理制御サーバ、方法及びシステム並びにこれに用いられる第1飛行体及び第2飛行体は、以下のような構成を備える。
[項目1]
複数の第1飛行体とネットワークを介して通信可能に接続されたルート管理制御サーバであって、
地図情報、地形情報又は建造物情報の少なくともいずれかを含むロケーションデータと、三次元座標に基づくルートデータとを格納する記憶手段と、
前記ロケーションデータ及び前記ルートデータを読み出す制御手段と、
読み出した前記ロケーションデータ及び前記ルートデータを前記第1飛行体の夫々に送信する送信手段と、を備える
ルート管理制御サーバ。
[項目2]
項目1に記載のルート管理制御サーバであって、
前記ルートのトラフィック情報を受信する受信手段を更に備え、
前記送信手段は、受信した前記トラフィック情報を前記第1飛行体に送信する、
ルート管理制御サーバ。
[項目3]
項目2に記載のルート管理制御サーバであって、
前記受信手段は、一の前記第1飛行体から前記トラフィック情報を受信し、
前記送信手段は、受信した前記トラフィック情報を他の前記第1飛行体に送信する、
ルート管理制御サーバ。
[項目4]
項目2又は項目3に記載のルート管理制御サーバであって、
前記制御手段は、受信した前記トラフィック情報に基づいて、新ルートデータを生成し、
前記送信手段は、生成した前記新ルートデータを前記第1飛行体に送信する、
ルート管理制御サーバ。
[項目5]
項目2乃至項目4のいずれかに記載のルート管理制御サーバであって、
前記制御手段は、受信した前記トラフィック情報に基づいて、飛行制御指示を生成し、
前記送信手段は、生成した前記飛行制御指示を前記第1飛行体に送信する、
ルート管理制御サーバ。
[項目6]
項目1乃至項目5のいずれかに記載のルート管理制御サーバであって、
前記ルートデータは、緯度情報、経度情報及び高度情報を有している、
ルート管理制御サーバ。
[項目7]
項目1乃至項目6のいずれかに記載のルート管理制御サーバであって、
前記ルートデータは、当該ルートの第1特定領域に関連付けられた制限速度情報を有している、
ルート管理制御サーバ。
[項目8]
項目1乃至項目7のいずれかに記載のルート管理制御サーバであって、
前記ルートデータは、当該ルートの第2特定領域に関連付けられた料金情報を有しており、
前記ルート管理制御サーバは、前記第1飛行体から受信した位置情報に基づいて当該第1飛行体が前記第2特定領域に進入した場合に、当該第1飛行体に関する決済処理を開始する決済手段を更に備えている、
ルート管理制御サーバ。
[項目9]
項目2乃至項目8のいずれかに記載のルート管理制御サーバとネットワークを介して通信可能な第2飛行体であって、
飛行のための動力部と、
位置情報を測位する測位部と、
前記ルートの前記トラフィック情報を収集する収集部と、
収集した前記トラフィック情報を前記ルート管理制御サーバに送信する送信部と、を備える、
第2飛行体。
[項目10]
項目9に記載の第2飛行体であって、
収集した前記トラフィック情報から異常を検知する検知手段を更に備え、
前記送信手段は、検知した異常に関する情報を少なくとも前記ルート管理制御サーバ、前記第1飛行体又は他の前記第2飛行体に送信する、
第2飛行体。
[項目11]
項目1乃至項目10のいずれかに記載の第1飛行体であって、
飛行のための動力部と、
位置情報を測位する測位部と、
前記ルート管理制御サーバから、少なくとも前記ロケーションデータ又は前記ルートデータのいずれかを受信する受信部と、
前記操作者による操作を受け付けると共に前記第1飛行体の飛行を制御するための制御部と、
少なくとも受信した前記ルートデータを操作者に表示する表示部と、を備える
第1飛行体。
[項目12]
項目11に記載の第1飛行体であって、
測位した前記位置情報を前記ルート管理制御サーバに送信する送信部を更に備える、
第1飛行体。
[項目13]
項目11又は項目12に記載の第1飛行体であって、
前記制御部は、前記ルートデータ及び前記位置情報に基づいて、前記動力部を制御する、
第1飛行体。
[項目14]
複数の第1飛行体とネットワークを介して通信可能に接続されたコンピュータを利用したルート管理制御サーバであって、
前記コンピュータが
地図情報、地形情報又は建造物情報の少なくともいずれかを含むロケーションデータと、三次元座標に基づくルートデータを格納する記憶ステップと、
前記ロケーションデータ及び前記ルートデータを読み出す制御ステップと、
読み出し前記ロケーションデータ及び前記ルートデータを前記第1飛行体の夫々に送信する送信ステップと、を含む
ルート管理制御方法。
[項目15]
複数の第1飛行体と、複数の第2飛行体と、ルート管理制御装置とを含むルート管理制御システムであって、
前記第1飛行体、前記第2飛行体及び前記ルート管理制御装置は、互いにネットワークを介して通信可能に接続されており、
前記ルート管理制御装置は:
地図情報、地形情報又は建造物情報の少なくともいずれかを含むロケーションデータと、三次元座標に基づくルートデータを格納する記憶手段と;
前記ロケーションデータ及び前記ルートデータを読み出す制御手段;、
読み出し前記ロケーションデータ及び前記ルートデータを前記第1飛行体の夫々に送信する送信手段と;
ルートのトラフィック情報を受信する受信手段と;を備えており、
前記第1飛行体は:
飛行のための動力部と;
位置情報を測位する測位部と;
前記ルート管理制御サーバから、少なくとも前記ロケーションデータ又は前記ルートデータのいずれかを受信する受信部と;
前記操作者による操作を受け付けると共に前記第1飛行体の飛行を制御するための制御部と;
少なくとも受信した前記ルートデータを操作者に表示する表示部と;を備えており、
前記第2飛行体は:
飛行のための動力部と;
位置情報を測位する測位部と;
前記ルートの前記トラフィック情報を収集する収集部と;
収集した前記トラフィック情報を前記ルート管理制御サーバに送信する送信部と;を備えている、ルート管理制御システムにおいて、
前記ルート管理制御装置の前記制御手段は、受信した前記トラフィック情報に基づいて、新ルートデータを生成すると共に、当該ルート管理制御装置の前記送信手段は、生成した前記新ルートデータを前記第1飛行体及び前記第2飛行体に送信する、
ルート管理制御システム。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態によるルート管理制御サーバ、方法及びシステム並びにこれに用いられる第1飛行体及び第2飛行体によって実現されるルート管理制御庫管理システムついて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<概要>
本発明によるルート管理制御システム(以下「管制システム」という)は、特に有人の小型飛行体(以下「エアモービル」という)の適切な運行制御を行うものである。管制システムは、複数の監視用回転翼機(以下「監視ドローン」という)と協働してより適切な運行制御を行う。
【0012】
エアモービルは、人が乗車可能な小型の飛行体であり、小型スクーター乃至一般の自動車程度の大きさを有している。本実施の形態によるエアモービルは複数の回転翼を有する所謂マルチコプターである。なお、動力源は回転翼を主たるものとしているが、これ以外の揚力発生源を有していてもよく、水上、陸上又は水中の移動も可能であってもよい。この場合、移動地の状況に応じた補助動力手段、種々の計器類、制御装置等を有していてもよい。エアモービルに搭載される情報処理装置のハードウェア構成については後述する。
【0013】
監視ドローンは、無人飛行体であり、電池、複数のモータ、位置検出部、制御部、ドライバ、記憶装置、無線通信装置、電圧センサ、及び電流センサ等を備えている。これらの構成要素は、所定形状のフレームに搭載されている。監視ドローンに搭載される情報処理装置のハードウェア構成については後述する。なお、これらの基本構造については、既知の技術を適宜採用可能である。
【0014】
<構成>
図1に示されるように、本実施の形態による管制システム100は、ルート管理制御サーバ(以下単に「サーバ」という)1と、エアモービル2と、監視ドローン3とを備えている。
【0015】
サーバ1と、エアモービル2と、監視ドローン3は、ネットワーク4を介して互いに通信可能に接続された所謂クライアント・サーバモデルのシステムである。本実施の形態によるネットワーク4は、IPベースのコンピュータネットワークであるが携帯電話機やスマートフォン等に対するキャリアネットワークと共通化してもよい。ここでは、コンピュータネットワークは、相互に接続されたIPネットワークによって構築されたインターネットを含む広い概念で用いられている。また、コンピュータネットワークは、図示されていない無線基地局(例えばWiFi)によって構築される無線ネットワークを含んでも良い。キャリアネットワークとIPネットワークとは、例えば、ゲートウェイ等を介して接続されるが、これに限られるものではない。
【0016】
<ハードウェア構成>
図2乃至
図4を夫々参照して、サーバ1、エアモービル2及び監視ドローン3のハードウェア構成について説明する。
【0017】
<ルート管理制御サーバ(サーバ)1>
図2に示されるように、サーバ1は、ルート管理制御システム100を通じてサービスを提供するための情報処理装置であり、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
図2に示されるように、サーバ1は、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、及び入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0018】
プロセッサ10は、サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0019】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。ストレージ12は、アプリケーション・プログラム、及び各エアモービル2及び監視ドローン3の認証プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベース(後述するロケーションデータ、ルートデータ等)がストレージ12に構築されていてもよい。
【0020】
<小型飛行体(エアモービル)2>
図3に示されるように、エアモービル2は、情報処理装置200を搭載している。情報処理装置200は、サーバ1と通信を介して情報処理を実行することにより、ルート管理制御システム100のサービスの提供を受ける。情報処理装置200は、少なくとも、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、入出力部24、測位部26、検知部27等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。情報処理装置200は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、スマートフォン、PDA、タブレット型コンピュータ等のデバイス等タッチパネルを備える端末と連携することとしてもよく、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0021】
プロセッサ20は、情報処理装置200の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ20はCPU及び/又はGPU(Graphical Processing Unit)等であり、ストレージ22に格納されメモリ21に展開されたプログラム等を実行することによって、必要な各情報処理を実施する。
【0022】
メモリ21は、RAMなどの揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ21はプロセッサ20のワークエリア等として使用され、また、情報処理装置200の起動時に実行されるBIOS、及び各種設定情報等が格納される。ストレージ22には、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0023】
送受信部23は、情報処理装置200をネットワーク4に接続し、サーバ1と通信を行う。また、送受信部23には、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースも含まれる。
【0024】
入出力部24は、操縦桿(ハンドル)スイッチ類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器であり、エアモービル2の操作者に対する情報の提示と入力操作とを行う。
【0025】
バス25は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0026】
測位部26は、エアモービル2の高度を少なくとも検出する。本実施の形態による測位部26は、例えばGPS(Global Positioning System)検出器であって、エアモービル2の現在位置の緯度、経度、及び高度を検出する。
【0027】
検知部27は、エアモービル2の外部環境を音声、画像、赤外線等種々のセンサによってセンシングするためのものである。
【0028】
本実施の形態によるエアモービル2は、情報処理装置200の他に、当該エアモービル2の移動・飛行のための、電源、回転翼に接続されたモータ、情報処理装置200とモータとを中継するドライバを少なくとも更に有している。情報処理装置200は、複数のモータを制御してエアモービルの飛行制御(上昇、下降、水平移動などの制御)や、エアモービル2に搭載されているジャイロ(図示せず)を使用して複数のモータを制御することによって姿勢制御をも行う。ドライバは、情報処理装置200からの制御信号に従ってモータを駆動する。例えば、モータは直流モータであり、ドライバは制御信号により指定された電圧をモータに印加する可変電圧電源回路である。なお、当然のことながら、エアモービル200は図示しない要素(例えば、有人飛行のための設備、その他飛行のための設備等)を有している。
【0029】
<監視用回転翼機(監視ドローン)3>
図4に示されるように、監視ドローン3は、情報処理装置300を搭載している。情報処理装置300は、サーバ1と通信を介して情報処理を実行することにより、ルート管理制御システム100のシステムの一部を構成する。情報処理装置300は、少なくとも、プロセッサ30、メモリ31、ストレージ32、送受信部33、出力部34、測位部36、検知部37等を備え、これらはバス35を通じて相互に電気的に接続される。情報処理装置300は、例えばマイクロコンピューター、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されていてもよく、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0030】
プロセッサ30は、情報処理装置300の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ30はCPU及び/又はGPU(Graphical Processing Unit)等であり、ストレージ32に格納されメモリ31に展開されたプログラム等を実行することによって、必要な各情報処理を実施する。
【0031】
メモリ31は、RAMなどの揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ31はプロセッサ30のワークエリア等として使用され、また、情報処理装置300の起動時に実行されるBIOS、及び各種設定情報等が格納される。ストレージ32には、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0032】
送受信部33は、情報処理装置300をネットワーク4に接続し、サーバ1と通信を行う。また、送受信部33には、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースも含まれる。
【0033】
入出力部34は、操縦桿(ハンドル)スイッチ類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0034】
バス35は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0035】
測位部36は、監視ドローン3の高度を少なくとも検出する。本実施の形態による測位部26は、例えばGPS(Global Positioning System)検出器であって、エアモービル2の現在位置の緯度、経度、及び高度を検出する。
【0036】
検知部37は、監視ドローン3の外部環境を音声、画像、赤外線等種々のセンサによってセンシングするためのものである。
【0037】
本実施の形態による監視ドローン3は、情報処理装置300の他に、当該監視ドローン3の移動・飛行のための、電源、回転翼に接続されたモータ、情報処理装置300とモータとを中継するドライバを少なくとも更に有している。情報処理装置300は、複数のモータを制御して監視ドローンの飛行制御(上昇、下降、水平移動などの制御)や、監視ドローン3に搭載されているジャイロ(図示せず)を使用して複数のモータを制御することによって姿勢制御をも行う。ドライバは、情報処理装置300からの制御信号に従ってモータを駆動する。例えば、モータは直流モータであり、ドライバは制御信号により指定された電圧をモータに印加する可変電圧電源回路である。なお、監視ドローン300は図示しない他の要素を有していてもよい。
【0038】
<データ>
図5に示されるように、本実施の形態においては、地図情報、地形情報又は建造物情報の少なくともいずれかを含むロケーションデータ530と、三次元座標に基づくルートデータ510と、当該ルート上の状態を表すトラフィックデータ520とが利用される。これらのデータは、サーバ1から一部又は全てのエアモービル2又は監視ドローン3に送信され夫々共有される。
【0039】
詳しくは、
図5に示されるように、ロケーションデータは、地図情報であり、地形や建物その他の構造物についての情報が含まれている。本実施の形態におけるロケーションデータには、所謂平面地図情報(緯度情報及び経度情報)の他、当該構造物の有する正確な高さの情報(高度情報)をも有している。また、特に構造物については、実空間に占める体積の座標情報(すなわち、エアモービル2が衝突せずに飛ぶための構造物の形状情報を含む)をも有している。
【0040】
ルートデータ510は、エアモービル2の空における道路たる役目を担うものであり、後述するように、当該ルートデータがエアモービル2の表示部に表示されることによってエアモービルの安全な運行が可能となる。ルートデータは、連続する緯度情報、経度情報及び高度情報を少なくとも有しており、当該情報によってルートが特定される。なお、ルートデータは、通常の道路の幅と同様に運行可能な一定の幅情報を有していてもよい。ルートデータ510には、ルートの分岐、制限速度、他のルートとの間隔、進行方向、車種制限、交通制限(信号に相当する情報や、運行の制限に関する情報)に関する情報が含まれている。
【0041】
トラフィックデータ520は、例えばルートに支障が発生した場合に当該ルート上の支障の領域を特定するための情報であり、緯度情報、経度情報及び高度情報と、支障の内容を少なくとも有している。
【0042】
<処理の流れ>
図6に示される本実施の形態による管制システムの概念図を参照すると、サーバ1は、ロケーションデータとルートデータとを読み出してエアモービル2に送信し、エアモービル2の表示部に運行可能領域として表示する。本実施の形態によるエアモービル2の表示部は、例えば、ヘッドアップディスプレイ等、運転者の視界を遮らないような表示手段が好ましく、フロントガラスに投影させる方法や、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術を利用した各種装置等を採用することができる。
【0043】
図7に示されるように、エアモービル2のフロントガラスには、ルートデータ510に基づくルート710が表示される。当該ルート710の状態(混雑状況、事故状況等)は、トラフィック情報として監視ドローン2によって収集されサーバ1に送信される。トラフィック情報は、エアモービル2から自動又は手動によってサーバ1に送信されることとしてもよい。当該トラフィック情報は、複数のエアモービル2、監視ドローン3、サーバ1の間で相互に共有される。
【0044】
サーバ1は、受信したトラフィック情報において、例えば、混雑している場合等、現在のルートが適切ではない場合には新ルートのデータを生成する。生成した新ルートのデータをエアモービル2に送信する。
図8に示されるように、生成された新ルート510’が設定されると共に、当該新ルート510’の情報がエアモービル及び監視ドローン3に共有される。サーバ1は、エアモービル2が新ルート510’上を飛行するように、エアモービルを(遠隔で)自動制御するための飛行制御指示を生成して送信することとしてもよい。この場合、エアモービル2は、受信した飛行制御指示に基づいて飛行が制御されることとなる。
【0045】
本実施の形態によるルートデータは、制限速度情報を更に有することとしてもよい。即ち、自動車用の道路と同様に、ルートの一部又は全部に制限速度を設定することによって、より適切なルート管理を行うことができる。また、例えば、
図9に示されるように、ルートは上り線と下り線、制限速度応じて別々の道路にすることとしてもよい。
図9に示されるように、制限速度の大きいルート520は、制限速度の小さいルート530よりも大きい高度に設定されている。エアモービル2は、ルート530からルート520に移動する場合には、図示しない誘導ルート(ルート530及びルート520を接続するルート)を通過して行う。
【0046】
更には、ルートデータは、当該ルートの一部又は全部に通行料金を設定することとしてもよい。通行料金が設定される領域(以下「有料区間」という)は、例えば、緯度・経度・高度等の情報によって特定される。サーバ1は、エアモービルから受信した位置情報に基づいてエアモービル2が有料区間に進入した場合に、当該エアモービル2に関する決済を開始する。決済は、種々の従来技術が利用可能である。
【0047】
本発明の他の実施形態の内容を列記して説明する。本実施の形態による発明は、以下のような構成を備える。
[項目16]
複数の支柱と、当該支柱を架線するケーブルとを利用する、飛行体の誘導方法であって、
誘導装置が:ルートリクエストを受け取るステップ;前記支柱の位置に対応する支柱ノード情報を読み出すステップ;前記ルートリクエスト及び前記支柱ノード情報に基づいて少なくとも始点支柱ノードと終点支柱ノードとを特定してルートを生成するステップ;生成した前記ルートを飛行体に送信するステップと、
前記飛行体が、前記ルートに従って飛行するステップと、を含む
飛行体の誘導方法。
[項目17]
請求項1に記載の飛行体の誘導方法であって、
前記飛行体は、前記ケーブルに沿って飛行する、
飛行体の誘導方法。
[項目18]
請求項2に記載の飛行体の誘導方法であって、
前記飛行体は、前記ケーブルから所定距離を維持しながら飛行する、
飛行体の誘導方法。
[項目19]
請求項3に記載の飛行体の誘導方法であって、
前記飛行体は、前記ケーブルの少なくとも電界又は磁界が所定の条件であることを検出し、前記ケーブルとの距離を測定する、
飛行体の誘導方法。
[項目20]
請求項4に記載の飛行体の誘導方法で会って、
前記飛行体は、少なくとも前記ケーブル内を流れる電圧又は電流の値に関する情報を受信するとともに、当該情報に基づいて前記測定の結果を補正する、
飛行体の誘導方法。
[項目21]
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の飛行体の誘導方法であって、
前記支柱ノード情報は、実空間の支柱の位置に関するX座標、Y座標及びZ座標を含んでおり、
生成される前記ルートは、少なくとも前記Z座標よりも高い位置に生成される、
飛行体の誘導方法。
[項目22]
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の飛行体の誘導方法であって、
複数の前記飛行体はネットワークを介して互いに通信可能であり、
前記飛行体の夫々は、前記飛行体の位置又は生成された前記ルートを考慮して自己の前記ルートを生成する、
飛行体の誘導方法。
[項目23]
複数の支柱と、当該支柱を架線するケーブルとを利用する、飛行体の誘導装置であって、
ルートリクエストを受け取る手段と、
前記支柱の位置に対応する支柱ノード情報を読み出す手段と、
前記ルートリクエスト及び前記支柱ノード情報に基づいて少なくとも始点支柱ノードと終点支柱ノードとを特定してルートを生成す手段と、
生成した前記ルートを飛行体に送信する手段と、を含む
飛行体の誘導装置。
[項目24]
複数の支柱と、当該支柱を架線するケーブルとを利用する、飛行体の誘導方法であって、
誘導装置が:
ルートリクエストを受け取るステップ;前記支柱の位置に対応する支柱ノード情報を読み出し;
前記ルートリクエスト及び前記支柱ノード情報に基づいて少なくとも始点支柱ノードと終点支柱ノードとを特定してルートを生成し;
生成した前記ルートを飛行体に送信し;
前記飛行体が、前記ルートに従って飛行する、
飛行体の誘導システム。
【0048】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態によるルート管理制御サーバ、方法及びシステム並びにこれに用いられる第1飛行体及び第2飛行体について、図面を参照しながら説明する。
【0049】
<概要>
本発明の実施の形態による飛行体の誘導システは、例えば無人飛行体(後述する)を所定の飛行ルートに従って飛行させるものであり、宅配用途、警備・巡回用途、農業用途、測量用途、調査用途、災害支援用途などあらかじめ飛行ルートを設定し得る用途であれば、どのようなものにも適用可能である。以下においては、主に宅配用途に適用される誘導システムを説明する。
【0050】
図10(a)に示されるように、本実施の形態による誘導システムは、無人飛行体1が電柱20及び当該電柱間に設けられた電線30の上を飛行ルートとして飛行するものである。
図11(b)に示されるように、飛行ルートは、電柱a乃至電柱jをノードとする仮想ネットワークとして表現することができ、ルート生成にあたっては、始点となる電柱(始点ノード)、終点となる電柱(終点ノード)、始点ノードと終点ノードとを経由する電柱(経由ノード)とそれらの間に設けられる電線が考慮される(詳しくは後述する)
【0051】
<構成>
本実施の形態による飛行体の誘導システムは、
図18(a)に示されるように、複数の無人飛行体1と、当該無人飛行体1とネットワークを介して接続される管理サーバ2とを含む所謂クライアントサーバモデルである。
【0052】
本実施の形態による無人飛行体1は、情報処理装置の他に、当該無人飛行体1の移動・飛行のための、電源、回転翼に接続されたモータ、情報処理装置とモータとを中継するドライバを少なくとも更に有している。
【0053】
情報処理装置は、複数のモータを制御して監視ドローンの飛行制御(上昇、下降、水平移動などの制御)や、無人飛行体1に搭載されているジャイロ(図示せず)を使用して複数のモータを制御することによって姿勢制御をも行う。
【0054】
ドライバは、情報処理装置からの制御信号に従ってモータを駆動する。例えば、モータは直流モータであり、ドライバは制御信号により指定された電圧をモータに印加する可変電圧電源回路である。なお、無人飛行体100は図示しない他の要素を有していてもよい。
【0055】
<管理サーバ2>
図13に示されるように、管理サーバ2は、情報伝達システムを通じてサービスを提供するための情報処理装置であり、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0056】
図13に示されるように、サーバ2は、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、及び入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。
【0057】
<データ>
本実施の形態による管理サーバ2は、各電柱の位置に関する支柱ノード情報DBを有している。支柱ノード情報DBは、
図13に示されるように、各電柱に固有に付与されるノード識別子と位置座標とを少なくとも含んでいる。本実施の形態による位置座標は、緯度、経度及び当該電柱の高さという3つの要素を少なくとも含んでいる。
【0058】
<処理の流れ>
図14を参照して、本実施の形態によるルート生成の方法を説明する。本実施の形態による誘導システムは、EC等を利用してユーザが購入した商品の配送に関するトランザクション(以下「配送トランザクション」と呼ぶ)を担当する。配送トランザクション自体は、例えば、あらかじめ登録されていたユーザの住所情報に基づいて生成される。
【0059】
管理サーバ2が配送トランザクションを開始すると、荷物の出荷元に最も近い電柱(始点ノード)と、配送先(ユーザの住所等)に最も近い電柱を特定する。図示される例では、始点ノードは電柱aであり、終点ノードは電柱jである。管理サーバ2は、電柱aと電柱jを結ぶ最短経路を計算する。この際、他の無人飛行体1の位置やルートを考慮し、衝突回避が可能なルートを生成する。
【0060】
なお、衝突回避は無人飛行体1同士に行わせることとしてもよい。例えば、一方の無人飛行体の高さと他方の無人飛行体の高さとを変更して、衝突を回避することとしてもよい。
【0061】
図14に戻り、本実施の形態によるルートは、電柱a→電柱b→電柱d→電柱f→電柱h→電柱jの順に進むものである。なお、上述した衝突回避を行うために一部ルートを迂回することとしてもよい。電線から垂直方向(高さ方向)において所定の距離だけ離れた領域を飛行する。
【0062】
図15を参照して、管理サーバ2の処理フローを説明する。本実施の形態において、配送トランザクション(ルートリクエスト)が発生すると(ステップS601)、支柱ノード情報の読込みが行われる(ステップS603)。管理サーバ2は、配送トランザクション及び支柱ノード情報に基づいて、始点ノードと経由ノードと終点ノードとを特定してルートを生成する(ステップS605)。生成したルート情報を無人飛行体1に送信し、当該無人飛行体1の飛行による配送が開始される(ステップS607)。
【0063】
図16を参照して、本実施の形態による誘導システムを用いた配送処理の流れを説明する。図示されるように、配送処理は、管理サーバ2と、無人飛行体1と、ユーザ端末とによって実行される。
【0064】
管理サーバ2は、配送トランザクションが発生すると(SQ701)、ノードDBから支柱ノード情報を読み込み(SQ703)、ルートを生成する(SQ705)。管理サーバ2は、生成したルート情報を無人飛行体に送信する(SQ707)。無人飛行体は受信したルート情報に基づいて飛行を開始する(SQ709)。
【0065】
無人飛行体が目的地に到着すると、管理サーバ2に対して、目的地到着通知が通知される(SQ711)。管理サーバ2は、ユーザ端末に対して到着通知を通知する(SQ713)。ユーザは、到着した荷物の宛先を確認したら各任地の通知を管理サーバ2に対して送信する(SQ715)。管理サーバ2は、当該荷物に関するユーザからの確認通知を受信すると、無人飛行体1に積載されている荷物をアンロックする(SQ717)。アンロックされた荷物はユーザによって受け取ることが可能になる。管理サーバ2は、必要に応じて、当該配送が完了した段階で、配送トランザクションのステータスを更新する(SQ719)。
【0066】
以上の処理によれば、
図8に示されるように無人飛行体1は、荷物の保管場所100(例えば倉庫等)から、荷物Pを積載して生成したルートに従って、電柱20及び電線30の上を飛行し、ユーザの自宅200まで荷物Pを配送してユーザに届けることが可能となる。
【0067】
上述した実施の形態は、
図9(a)に示されるように、当該無人飛行体1とネットワークを介して接続される管理サーバ2とを含む所謂クライアントサーバモデルを利用するものであった。しかしながら、
図9(b)に示されるように、複数の無人飛行体1同士によって構成されるピア・トゥ・ピア(Peer to Peer)方式としてもよい。
【0068】
以上説明した実施の形態は配送用途のものであったが、例えば警備等の巡回用途に適用することとしてもよい。この場合、管理サーバ2は、ユーザにより指定された巡回ルート及び支柱ノード情報基づいて、巡回ルートを生成すればよい。また、巡回が完了した際には、巡回が完了した内をユーザに送信して当該ユーザから承認を受けてから、巡回のトランザクションを終了することとしてもよい。
【0069】
<電線との距離測定>
本実施の形態においては、飛行体1は、電線30に沿って飛行する。この際、図
19に示されるように、電線30から所定の範囲L内を飛行する。これにより、飛行体1は、電線30から所定距離を維持しつつ電線30に沿って飛行する。
【0070】
なお、図
19(a)に示されるように、同じ高さの電線30、30’が2本ある場合には、当該2本の電線30双方から所定範囲L、L’の領域のいずれかに入っていればよい。
【0071】
また、
図19(a)及び(b)に示されるように、飛行体1は、電柱20と衝突することを防止するために、電線30の上側の領域(
図19(a))又は、横の領域(図
19(b))のいずれかを飛行することが好ましい。かかる電線30との位置関係の検出は、超音波センサや、高さ情報を含む位置情報、ビジョンセンサなどを組み合わせてもよい。
【0072】
このように、電線30と飛行体1との距離を維持する方法として、例えば、
図20に示されるように、電線30に発生する電界や磁界の情報を飛行体1によって検出することにより行ってもよい。
【0073】
公共インフラとしての電線の場合、送電時の電圧は一定であることから、電流の大きさにかかわらず、電界の強度に基づいて距離を算出することが可能である。(
図20(a))。一方、送電時の電流の大きさは電力需給量によって異なる場合があるため、予め送電電流量がわかっている場合には磁界の強度に基づいて距離を算出することが可能である(図
20(b))。
【0074】
なお、予め飛行ルートに含まれる送電線の電流量、電圧量の情報を得ておき、距離計測の結果を適宜補正することによって、より正確な距離を測定することとしてもよい。
【0075】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
本発明によるルート管理制御サーバは、複数の第1飛行体とネットワークを介して通信可能に接続されている。サーバは、地図情報、地形情報又は建造物情報の少なくともいずれかを含むロケーションデータと三次元座標に基づくルートデータとを格納する記憶手段と、前記ロケーションデータ及びルートデータを読み出す制御手段と、読み出したロケーションデータ及びルートデータを第1飛行体の夫々に送信する送信手段と、を備えている。