(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作動油を貯留する作動油タンクと、前記作動油タンク内の作動油を吸い込んで吐出するアクチュエータ用ポンプと、前記アクチュエータ用ポンプから吐出した作動油によって作動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータから作動油タンクに戻る作動油を冷却する第1冷却機とを有する油圧系回路と、
モータと、
前記油圧系回路で使用される作動油を冷媒として前記モータを冷却する冷却系回路と、
を備え、
前記冷却系回路は、
前記冷媒としての作動油を冷却する第2冷却機と、
前記第1冷却機で冷却した作動油によって前記モータの除熱を行う状態と、前記第2冷却機で冷却した作動油によって前記モータの除熱を行う状態とに作動油の流通経路を切り替える切替弁と、を有するモータ冷却装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態に係るモータ冷却装置36(
図1参照)が搭載される機械の一例を示す作業機1を示している。本実施形態では、作業機1は、トラックローダ(コンパクトトラックローダ)を例示している。モータ冷却装置36が搭載される機械はトラックローダに限定されない。即ち、モータ冷却装置36は、例えば、自動車や、農業機械、建設機械、UV(ユーティリティビークル)、エンジン発電機等の産業機械、その他のモータを搭載した各種機械に適用される。より具体的には、モータ冷却装置36が搭載される機械としては、トラクタ、スキッドステアローダ、ホイールローダ、バックホー等であってもよい。
【0018】
尚、以下の説明において、作業機1の運転席13に着座した運転者の前側(
図5の左側)を前方、運転者の後側(
図5の右側)を後方、運転者の左側(
図5の手前側)を左方、運転者の右側(
図5の奥側)を右方として説明する。
図5に示すように、作業機1は機体2を有する。この機体2の上部であって前部には、キャビン5が搭載されている。キャビン5内には運転席13が設けられている。キャビン5の後部は、機体2に横軸(前後方向に直交する水平方向に延伸する軸)回りに揺動自在に支持されている。キャビン5の前部は、機体2の前部に載置可能となっている。
【0019】
作業機1は走行装置4を備えている。走行装置4は、クローラ式走行装置により構成されている。走行装置4は、機体2の左側に装備された第1走行機構21Lと、機体2の右側に装備された第2走行機構21Rとを有する。第1走行機構21L及び第2走行機構21Rは、油圧モータ(油圧アクチュエータ)で構成された走行モータ6で作動(駆動)する。作業機1は、第1走行機構21L、第2走行機構21Rによって走行可能である。
【0020】
また、作業機1は作業装置3を備えている。作業装置3は、ブーム22Lと、ブーム22Rと、バケット23(作業具)とを有する
ブーム22Lは、機体2の左に配置されている。ブーム22Rは、機体2の右に配置されている。ブーム22Lとブーム22Rとは、連結体によって相互に連結されている。ブーム22L及びブーム22Rは、リフトリンク24及び制御リリンク25によって機体2に上下動可能に支持されている。ブーム22L及びブーム22Rの基部側と機体2の後下部との間には、複動式の油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)からなるリフトシリンダ26が設けられている。2つのリフトシリンダ26を同時に伸縮させることによりブーム22L及びブーム22Rが上下に揺動する。ブーム22L及びブーム22Rの先端側には、それぞれ装着ブラケット27が横軸回りに回動自在に枢支されている。左及び右に設けられた装着ブラケット27にバケット23の背面側が取り付けられている。
【0021】
また、装着ブラケット27と、ブーム22L及びブーム22Rの先端側の中途部との間には、複動式の油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)からなるチルトシリンダ28が設けられている。チルトシリンダ28の伸縮によってバケット23が揺動(スクイ・ダンプ動作)する。
バケット23は、装着ブラケット27に対して着脱自在とされている。また、バケット23を取り外して装着ブラケット27に各種の油圧アタッチメントを取り付けることができる。油圧アタッチメントを装着することにより、作業機1は、掘削以外の各種の作業(又は他の掘削作業)を行えるように構成されている。
【0022】
油圧アタッチメントとは、油圧モータや油圧シリンダ等の油圧アクチュエータを有する油圧駆動式の作業具である。油圧アタッチメントとしては、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が挙げられる。
図5に示すように、機体2には、走行装置4、作業装置3等を駆動させるための駆動装
置31が搭載されている。駆動装置31は、内燃機関32と、モータ33と、ポンプ装置34とを有する。
【0023】
内燃機関32は、例えば、ディーゼルエンジンである。なお、内燃機関32は、ガソリンエンジン、LPGエンジン等であってもよい。内燃機関32の後部は、第1マウント機構37(防振機構)によって機体2に支持されて防振される(
図1参照)。
モータ33は、ポンプ装置34を駆動する電動機として機能、又は内燃機関32の動力によって発電する発電機(ジェネレータ)として機能するモータ・ジェネレータである。モータ33は、内燃機関32の前部に固定され、第2マウント機構38(防振機構)によって機体2に支持されて防振される(
図1参照)。
【0024】
モータ33は、永久磁石埋込式の三相交流同期モータである。なお、モータ33は、他の種類の同期モータであっても、交流モータでも直流モータでもよい。
モータ33は、内燃機関32に固定されたハウジング33Aと、ハウジング33A内に収容されたモータ本体33Bとを有する。モータ本体33Bは、回転可能なロータ(回転子)と、ロータを回転させるための力を発生させるステータ(固定子)とを有する。なお、モータ33は、ポンプ装置34以外の装置を駆動するものであってもよい。
【0025】
ポンプ装置34には、内燃機関32の動力とモータ33の動力とが択一的に又は組み合わされて伝達される。即ち、ポンプ装置34は、内燃機関32及び/又はモータ33によって駆動される。
ポンプ装置34は、本実施形態では、複数の油圧ポンプで構成されている。具体的には、ポンプ装置34は、HSTポンプ39と、メインポンプ40と、サブポンプ41と、パイロットポンプ42とを含む。なお、ポンプ装置34は、単一の油圧ポンプで構成されていてもよい。
【0026】
HSTポンプ39は、走行装置4に装備された油圧アクチュエータである走行モータ6と共に、HST(静油圧無段変速機)の一部を構成する。このHSTポンプ39は、第1HSTポンプ39Aと、第2HSTポンプ39Bとを有する。第1HSTポンプ39Aは、第1走行機構21Lの走行モータ6を駆動する。第2HSTポンプ39Bは、第2走行機構21Rの走行モータ6を駆動する。第1HSTポンプ39及び第2HSTポンプ39は、可変容量型の油圧ポンプで構成される。
【0027】
メインポンプ40は、定容量型のギヤポンプ又は可変容量型の油圧ポンプ等で構成される。メインポンプ40から吐出された作動油は、作業装置33に装備された油圧アクチュエータに供給されて該油圧アクチュエータを作動させる。具体的には、メインポンプ40で作動する油圧アクチュエータは、リフトシリンダ24、チルトシリンダ28や、バケット23の代わりに取り付けられる油圧アタッチメントの油圧アクチュエータである。
【0028】
サブポンプ41は、メインポンプ40で作動する油圧アクチュエータに供給される作動油を増量するための油圧ポンプである。パイロットポンプ42は、メインポンプ40で作動する油圧アクチュエータを制御する制御弁にパイロット信号用の作動油を供給するため、及びHSTの油圧回路に作動油を補充するための油圧ポンプである。サブポンプ41及びパイロットポンプ42は、例えば、定容量型のギヤポンプによって構成される。
【0029】
ポンプ装置34を構成する各油圧ポンプは、油圧アクチュエータのために(油圧アクチュエータを駆動制御するために)使用される作動油を吐出するアクチュエータ用ポンプである。
作業機1は、
図1に示すハイブリッドシステム43を備えている。本実施形態のハイブリッドシステム43は、パラレル式のハイブリッドシステム43である。
【0030】
図1に示すように、ハイブリッドシステム43は、駆動装置31と、水冷装置44と、油圧系回路45と、冷却系回路46とを備えている。
水冷装置44は、内燃機関32を冷却する装置である。水冷装置44は、ラジエータ47と、内燃機関32によって駆動されてラジエータ47を冷却するラジエータファン48と、冷媒を内燃機関32のウォータジャケットからラジエータ47へ送る送り水路49と、冷媒をラジエータ47からウォータジャケットに戻す戻り水路50とを有する。
【0031】
油圧系回路45と、モータ33と、冷却系回路46とは、モータ冷却装置36を構成し
ている。油圧系回路45と冷却系回路46とは、パラレルに設けられている。
図1、
図2に示すように、油圧系回路45は、作動油タンク52を有する。作動油タンク52は、作動油を貯留するタンクである。
また、油圧系回路45は、ポンプ装置34と、コントロールバルブ53とを有する。図例では、油圧系回路45は、メインポンプ40の油圧系統を示している。メインポンプ40の吸引ポート40a(作動油を吸い込むポート)は、サクション油路54を介して作動油タンク52に接続されている。即ち、メインポンプ40は、作動油タンク52内の作動油を吸い込んで吐出する。メインポンプ40の吐出ポート40b(作動油を吐出するポート)から吐出された作動油は、メイン油路55に流れる。メイン油路55は、メインポンプ40からコントロールバルブ53に至ると共にコントロールバルブ53を通って作動油タンク52に連通するドレン油路56に接続されている。
【0032】
図2に示すように、コントロールバルブ53は、メイン油路55に設けられた(接続された)複数の制御弁を有する。複数の制御弁は、第1制御弁57、第2制御弁58、第3制御弁59である。第1制御弁57は、リフトシリンダ26(油圧アクチュエータ)を制御する弁である。第2制御弁58は、チルトシリンダ28(油圧アクチュエータ)を制御する弁である。第3制御弁59は、油圧アタッチメントに装備された油圧アクチュエータ60を制御する弁である。油圧アタッチメントは、装着ブラケット27に装着される油圧駆動式の作業具である。油圧アクチュエータ60は、接続部材61を介して第3制御弁59に接続される。
【0033】
図1、
図2に示すように、ドレン油路56には、第1冷却機62(オイルクーラ)が設けられている。即ち、油圧系回路45は、油圧アクチュエータ26,28,60から作動油タンク52に戻る作動油(戻り油)を冷却する第1冷却機62を有する。ドレン油路56は、第1戻り油路56aと、第2戻り油路56bとを有する。第1戻り油路56aは、戻り油を第1冷却機62に流す油路である。第2戻り油路56bは、第1冷却機62によって冷却された戻り油を作動油タンク52に流す油路である。第1冷却機62は、第1戻り油路56aと第2戻り油路56bとを接続すると共に作動油を流通させる冷却チューブを有する。また、第1冷却機62は、ラジエータ47に隣接して設けられていて、ラジエータファン48によって冷却される。油圧アクチュエータ26,28,60(コントロールバルブ53)からの戻りの作動油は、第1戻り油路56aを通って第1冷却機62へ流れ、該第1冷却機62によって冷却される。第1冷却機62で冷却された作動油は、第1冷却機62から第2戻り油路56bを通って作動油タンク52に戻される。
【0034】
図1、
図2に示すように、冷却系回路46は、油圧系回路45で使用される作動油を冷媒としてモータ33を冷却する回路である。冷却系回路46は、作動油によってモータ33を冷却する冷却ジャケット51を有する。冷却ジャケット51は、モータ33のハウジング33A内に収容され、モータ本体33Bを包囲している。したがって、モータ33は、冷却ジャケット51を有する液冷モータである。冷却ジャケット51には、冷媒を流通させる冷媒流通路が形成されている。
【0035】
図1、
図2に示すように、冷却系回路46は、第1管路63と、第2管路64と、第3管路65とを有する。
第1管路63は、作動油タンク52と冷却ジャケット51(モータ33)とを接続する油路である。この第1管路63によって、作動油タンク52内の作動油を冷媒として冷却ジャケット51へ流すことが可能とされている。また、冷却系回路46は、作動油タンク52を有し、作動油タンク52は、油圧系回路45と冷却系回路46とに共有されている。
【0036】
また、冷却系回路46は冷却用ポンプ66を有する。この冷却用ポンプ66は、冷却系回路46に冷媒としての作動油を循環させる油圧ポンプである。冷却用ポンプ66は、図例では、第1管路63に設けられている。また、冷却用ポンプ66は、ポンプ装置34を構成する油圧ポンプ(HSTポンプ39、メインポンプ40、サブポンプ41、パイロットポンプ42)とは異なる油圧ポンプである。即ち、冷却用ポンプ66は、アクチュエータ用ポンプとは異なる油圧ポンプである。冷却用ポンプ66は、内燃機関32及び/又は
モータ33からの動力によって駆動されてもよいし、電気で駆動される電動式油圧ポンプであってもよい。
【0037】
第1管路63は、第1接続管路63aと、第2接続管路63bとを有する。第1接続管路63aは、作動油タンク52と冷却用ポンプ66の吸引ポート66a(作動油を吸い込むポート)とを接続している。第2接続管路63bは、冷却用ポンプ66の吐出ポート(作動油を吐出するポート)と冷却ジャケット51の流入ポート(冷媒が流入するポート)とを接続している。したがって、冷却用ポンプ66は、作動油タンク52内の作動油を吸い込んで冷却ジャケット51へ向けて吐出する。即ち、第1管路63は、作動油タンク52内の作動油を冷却ジャケット51(モータ33)に流す管路である。
【0038】
また、冷却系回路46は、モータ33を冷却するだけでなく、インバータ67も冷却する。インバータ67は、モータ33を駆動する装置であり、直流電力を三相交流電力に変換してモータ33(ステータ)に供給する装置である。インバータ67は冷却ジャケット67aを有している。第2接続管路63b(第1管路63)は、冷却ジャケット67aに接続されている。したがって、冷却用ポンプ66から吐出した作動油は、冷却ジャケット67aを通過して、冷却ジャケット51に至る。これにより、インバータ67を冷却することができる。
【0039】
第2管路64は、冷却ジャケット51(モータ33)と第1管路63とを接続する管路である。具体的には、第2管路64は、一端側が冷却ジャケット51の流出ポート51b(冷媒が流出するポート)に接続されている。第2管路64の他端側は、接続部68で第1接続管路63aに接続されている。即ち、第2管路64は、モータ33を冷却した後の作動油を第1管路63(第1接続管路63a)に戻す管路である。第2管路64には、冷媒としての作動油を冷却する第2冷却機69が設けられている。
【0040】
第2冷却機69は、作動油を流通させる熱交換器69Aと、熱交換器69Aを冷却する冷却ファン69Bとを有する。冷却ファン69Bは、例えば、電動式のファンであって、電気信号によって駆動及び停止可能である。なお、冷却ファン69Bは、駆動及び停止可能であれば、電動でなくてもよい。
第2管路64は、第3接続管路64aと、第4接続管路64bとを有する。第3接続管路64aは、冷却ジャケット51(モータ33)と第2冷却機69とを接続している。第4接続管路64bは、第2冷却機69と第1接続管路63aとを接続している(第2冷却機69と、第1管路63における作動油タンク52と冷却用ポンプ66との間とを接続している)。
【0041】
第3管路65は、第2管路64における第2冷却機69の上流側でモータ33を冷却した後の作動油を作動油タンク52へ流す管路である。この第3管路65は、一端側(上流側)が第2冷却機69の上流側において第2管路64(第3接続管路64a)に接続部70で接続されている。第3管路65の他端側(下流側)は、作動油タンク52に接続されている。
【0042】
冷却系回路46は、該冷却系回路46における作動油の流通経路を切り替える切替弁71を有する。この切替弁71は、第1冷却機62で冷却された作動油によってモータ33の除熱を行う状態と、第2冷却機69で冷却された作動油によってモータ33の除熱を行う状態とに作動油の流通経路を切り替える弁である。
即ち、油圧系回路45の作動油の温度が低い場合には、第2冷却機69を使用しないで、第1冷却機62で冷却した作動油でモータ33の冷却を行う。また、油圧系回路45の作動油の温度が高くなると、冷却系回路46の作動油の流通経路を切り替えて、第2冷却機69で冷却した作動油でモータ33の冷却を行う。
【0043】
この切替弁71による作動油の流通経路の切り替えの詳細は、後述する。
切替弁71は、第1弁72と、第2弁73とを有する。第1弁72は、第3管路65に設けられている。この第1弁72は、第3管路65の作動油の流通を許容する状態と遮断する状態とに切換可能である。第2弁73は、第2管路64における接続部と第2冷却機69との間に設けられている。この第2弁73は、第2冷却機69への作動油の流通を許容する状態と遮断する状態とに切換可能である。第1弁72及び第2弁73は、例えば、
電磁弁で構成され、電気信号により開閉操作される。
【0044】
モータ冷却装置36は、モータ33に送られる作動油の温度を検出する温度センサ74を備えている。温度センサ74は、例えば、作動油タンク52に設けられている。温度センサ74は、作動油タンク52内の作動油の温度を検出する。
また、モータ冷却装置36は、コントローラ75を備えている。コントローラ75には、冷却ファン69B(第2冷却機69)、切替弁71(第1弁72及び第2弁73)、温度センサ74が接続されている。冷却ファン69Bは、コントローラ75によって制御される。また、温度センサ74で検出した作動油の検出温度は、コントローラ75に入力される。また、切替弁71(第1弁72及び第2弁73)は、コントローラ75によって制御される。
【0045】
以上のモータ冷却装置36にあっては、既存の油圧系回路45に備えられた第1冷却機62によって冷却される作動油をモータ33を冷却する冷媒として使用している。即ち、既存の作動油の冷却系をモータ33の冷却系に共用している。言い換えると、油圧系回路45の冷却機(第1冷却機62)をモータ33の冷却系に共用している。油圧系回路45の第1冷却機62をモータ33の冷却系に共用して、第1冷却機62にモータ33の冷却系の第2冷却機69の機能の一部を担わせることにより、第2冷却機69を小さくすることができる。また、第1冷却機62の冷却能力を大きく設計することにより、油圧系回路45で使用される作動油の温度が上昇する時間が長くなるので、第2冷却機69の稼動時間を短くすることができる(省エネになる)。
【0046】
なお、本実施形態の作業機1では、作動油のバッファーが大きいので、冷却系回路46に作動油を循環させる冷却用ポンプ66のポンプ能力を大きくすることができ、大容量のハイブリッドシステム43が構成できる。
油圧系回路45で許容される作動油の上限温度(第1温度という)と、冷却系回路46で許容される作動油の上限温度(第2温度という)とは異なる。第1温度より第2温度が低い。第1温度としては、例えば、100°C程度まで許容される。また、第2温度としては、例えば、60°C程度までである。
【0047】
油圧負荷の小さい作業時には、作動油の温度が上がらないので、既存の第1冷却機62で冷却した作動油を用いてモータ33及びインバータ67を冷却することができる。そこで、冷却ジャケット51(モータ33)に送られる作動油の温度(温度センサ74の検出温度)が設定温度(例えば、60°C)以下の場合は、コントローラ75は、冷却系回路46における作動油の流通経路を第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33及びインバータ67の除熱を行う状態に切り替える。
【0048】
また、油圧負荷の大きい作業をして第1冷却機62によって冷却された作動油の温度がモータ33に規定された上限温度より上昇すると、第1冷却機62によって冷却された作動油(油圧系回路45の作動油)をモータ33及びインバータ67の冷却に使えない。そこで、第1冷却機62によって冷却された作動油の温度が設定温度を超える場合は、コントローラ75は、冷却系回路46における作動油の流通経路を切り替えて、第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33及びインバータ67の除熱を行う状態とする。
【0049】
以下に、第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33及びインバータ67の除熱を行う状態(第1状態という)と、第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33及びインバータ67の除熱を行う状態(第2状態という)とを、
図3A、
図3Bを参照して詳細に説明する。
図3Aは、第1状態を示している。冷媒としての作動油の流通経路は、太線及び矢印A1で示す。この第1状態は、温度センサ74の検出温度が設定温度以下の場合である。また、第1状態では、コントローラ75は、切替弁71に制御信号を送り、第1弁72を開くと共に第2弁73を閉じるよう切替弁71を制御する。即ち、第2冷却機69への作動油の流通を遮断すると共に第3管路65の作動油の流通を許容する。
【0050】
図3Aに示すように、第1状態では、冷却用ポンプ66は、第1接続管路63aを介して作動油タンク52の作動油を吸い込んで第2接続管路63bに吐出する。第2接続管路63bに流入した作動油は、インバータ67を冷却した後、冷却ジャケット51へ流れる
。冷却ジャケット51に流入した作動油は、冷却ジャケット51内の冷媒流通路を流通する間に、モータ33との間で熱交換を行ってモータ33を冷却する。モータ33を冷却した後の作動油は、第2管路64(第3接続管路64a)へ流出する。冷却ジャケット51から第2管路64に流出した作動油は、接続部70から第3管路65に流入する。第3管路65に流入した作動油は、開いている第1弁72を通過して作動油タンク52に流れる(戻る)また、第2弁73が閉じられていることから、第3接続管路64aを流れる作動油は、第2冷却機69には流れない。
【0051】
以上のように、第1状態では、冷却用ポンプ66によって吸い込まれて吐出された作動油タンク52内の作動油は、インバータ67及びモータ33を冷却した後、第3接続管路64a、第3管路65を介して作動油タンク52に戻るという流通経路76(第1循環ループ)を流通する。
一方、油圧系回路45においては、作動油タンク52内の作動油は、メインポンプ40によって吸い込まれてメイン油路55に吐出され、このメインポンプ40から吐出された作動油は第1冷却機62によって冷却されて作動油タンク52に戻る。
【0052】
以上のように、第1状態では、第1冷却機62で冷却された作動油によって、油圧系回路45に使用される作動油の冷却と、冷却系回路46に使用される作動油の冷却とが行われる。即ち、第1冷却機62が、油圧系回路45の作動油の冷却と、モータ33を冷却する作動油(冷媒)の冷却とに共用されている。
また、第1状態では、第1冷却機62によって冷却された作動油がモータ33及びインバータ67を冷却する冷媒として使用される。即ち、第1状態では、第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33及びインバータ67の除熱を行う。
【0053】
この第1状態では、第2冷却機69で作動油を冷却しない。即ち、第1状態では、第2冷却機69は使用しない。そこで、コントローラ75から冷却ファン69B(第2冷却機69)に停止信号を発信して該冷却ファン69Bを停止させる。即ち、コントローラ75は、第2冷却機69を使用しないときに冷却ファン69Bを停止させる。これにより、節電(エネルギーの節減)をすることができる。
【0054】
図3Bは、第2状態を示している。冷媒としての作動油の流通経路は、太線及び矢印A2で示す。この第2状態は、温度センサ74の検出温度が設定温度を超える場合である。即ち、温度センサ74が設定温度を超える温度を検出すると、第1状態から第2状態に切り替えられる。また、第2状態では、コントローラ75は、切替弁71に制御信号を送り、第1弁72を閉じると共に第2弁73を開くよう切替弁71を制御する。即ち、第2冷却機69への作動油の流通を許容すると共に第3管路65の作動油の流通を遮断する。また、コントローラ75は、冷却ファン69B(第2冷却機69)に駆動信号を発信して該冷却ファン69Bを駆動させる。即ち、コントローラ75は、第2冷却機69を使用するときに冷却ファン69Bを駆動する。
【0055】
図3Bに示すように、第2状態では、第1状態と同様に、冷却用ポンプ66から吐出された作動油は、第2接続管路63bに吐出する。そして、第2接続管路63bに流入した作動油は、インバータ67を冷却した後、冷却ジャケット51へ流れる。冷却ジャケット51に流入した作動油は、冷却ジャケット51内の冷媒流通路を流通する間に、モータ33との間で熱交換を行ってモータ33を冷却する。モータ33を冷却した後の作動油は、第2管路64(第3接続管路64a)へ流出する。冷却ジャケット51から第3接続管路64aに流出した作動油は、開いている第2弁73を通って第2冷却機69へと流れると共に該第2冷却機69で冷却される。第2冷却機69で冷却された作動油は、作動油タンク52と冷却用ポンプ66との間(冷却用ポンプ66の吸い込み側)に流れ、該冷却用ポンプ66に吸い込まれて吐出される。また、第1弁72が閉じられていることから、第3接続管路64aを流れる作動油は、作動油タンク52へは流れない。
【0056】
したがって、第2状態では、冷却用ポンプ66から吐出された作動油は、インバータ67及びモータ33を冷却した後、第2管路64を介して且つ第2冷却機69で冷却されて冷却用ポンプ66に戻るという流通経路77(第2循環ループ)を流通する。
以上のように、第2状態では、第2冷却機69によって冷却系回路46に使用される作
動油の冷却が行われ、且つこの第2冷却機69による作動油の冷却は、油圧系回路45に使用される作動油の冷却とは独立して行われる。言い換えれば、第2状態では、第2冷却機69によって冷却された作動油がモータ33及びインバータ67を冷却する冷媒として使用される。即ち、第2状態では、第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33及びインバータ67の除熱を行う。
【0057】
図4Aは、モータ冷却装置36の変形例である。
図4Aに示すように、第1管路63(第1接続管路63a)の上流側は、第2戻り油路56bに接続されてもよい。即ち、第1管路63は、第1冷却機62で冷却された後の作動油をモータ33に流す管路であればよい。即ち、第1冷却機62で冷却された後の作動油とは、第1冷却機62で冷却されて作動油タンク52に戻る前の作動油、又は第1冷却機62から作動油タンク52に戻された作動油である。
【0058】
また、
図4Aに示すように、切替弁71は、単一の弁によって構成されていてもよい。
図4Aに示す例では、切替弁71は、電磁弁であって、3ポート2位置切替弁によって構成されている。
図4Aに示す例では、第3接続管路64aは、第1ライン64a1と、第2ライン64a2とを有する。第1ライン64a1は、冷却ジャケット51(モータ33)と切替弁71とを接続している。第2ライン64a2は、切替弁71と第2冷却機69とを接続している。また、第3管路65は、切替弁71と作動油タンク52とを接続している。さらに、切替弁71は、第1ライン64a1と第2ライン64a2との連通を遮断し且つ第1ライン64a1と第3管路65とを連通する第1位置71aと、第1ライン64a1と第2ライン64a2とを連通し且つ第1ライン64a1と第3管路65との連通を遮断する第2位置71bとに切り替え可能である。この切替弁71の切り替えは、コントローラ75からの励磁信号及び消磁信号によって行われる。切替弁71は、第1状態では、第1位置71aに切り替えられ、第2状態では、第2位置71bに切り替えられる。
【0059】
なお、切替弁71は、パイロット操作切替弁71(パイロット信号圧によって切り替えられる弁)によって構成されていてもよい。
また、
図4Bは、温度センサ74を設けた変形例である。
図4Bに示すように、第2戻り油路56bを流れる温度を検出してもよい。温度センサ74は、第1冷却機62で冷却された後の作動油の温度を検出するものであればよい。
【0060】
また、
図4Bに実線で示すように、第3管路65の下流側は、第2戻り油路56bに接続されていてもよい。また、
図4Bに2点鎖線で示すように、第3管路65の下流側は、第1戻り油路56aに接続されていてもよい。したがって、第3管路65を流れる作動油が作動油タンク52へ流れるようになっていればよい。即ち、第3管路65は、第2管路64における第2冷却機69の上流側でモータ33を冷却した後の作動油を作動油タンク52側へ流す管路である。
【0061】
本実施形態のモータ冷却装置36は、油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータのために使用される作動油を吐出するアクチュエータ用ポンプ40とを有する油圧系回路45と、モータ33と、前記油圧系回路45で使用される作動油を冷媒として前記モータ33を冷却する冷却系回路46と、を備え、前記冷却系回路46は、作動油を当該冷却系回路46内に循環させる油圧ポンプであって、前記アクチュエータ用ポンプ40とは異なる冷却用ポンプ66を有する。
【0062】
この構成によれば、アクチュエータ用ポンプ40とは異なる冷却用ポンプ66によって冷却系回路46内に作動油を循環させるので、モータ33の冷却に必要な流量の作動油をモータ33に安定して供給することができる。即ち、安定したモータ33の冷却を行うことができる。
また、油圧系回路45は、作動油を貯留する作動油タンク52を有し、冷却系回路46は、作動油タンク52とモータ33とを接続する第1管路63を有し、冷却用ポンプ66は、第1管路63に設けられていて、作動油タンク52内の作動油を吸い込んでモータ33側へ吐出する。
【0063】
この構成によれば、冷却用ポンプ66は、作動油タンク52内の作動油を吸い込んでモータ33へ送る。これにより、冷却用ポンプ66が、油圧系回路45に影響を及ぼすのを
防止することができる。
また、モータ33を駆動するインバータ67を備え、第1管路63は、作動油タンク52と冷却用ポンプ66とを接続する第1接続管路63aと、冷却用ポンプ66とモータ33とを接続する第2接続管路63bとを有し、インバータ67は、第2接続管路63bに設けられていて該第2接続管路63bを流れる作動油により冷却される。
【0064】
この構成によれば、1つの冷却系回路46によってモータ33及びインバータ67を冷却することができ、モータ33及びインバータ67の冷却構造の簡素化を図ることができる。
また、油圧系回路45は、油圧アクチュエータから作動油タンク52に戻る作動油を冷却する第1冷却機62を有し、冷却系回路46は、モータ33を冷却した後の作動油を第1接続管路63aに戻す第2管路64と、第2管路64に設けられていて、冷媒としての作動油を冷却する第2冷却機69と、第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う状態と、第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う状態とに作動油の流通経路を切り替える切替弁71と、を有する。
【0065】
この構成によれば、油圧系回路45の第1冷却機62をモータ33を冷却する作動油の冷却用に使用することができる。そして、第1冷却機62に冷却系回路46の第2冷却機69の機能の一部を担わせることにより、第2冷却機69を小さくすることができる。
また、冷却系回路46は、第2管路64における第2冷却機69の上流側でモータ33を冷却した後の作動油を作動油タンク52側へ流す第3管路65を有し、切替弁71は、第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う場合は、第2冷却機69への作動油の流通を遮断すると共に第3管路65の作動油の流通を許容し、第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う場合は、第2冷却機69への作動油の流通を許容すると共に第3管路65の作動油の流通を遮断する。
【0066】
この構成によれば、第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う場合の作動油の流通経路と、第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う場合の作動油の流通経路とを容易に構築することができる。
また、本実施形態のモータ33の冷却装置は、作動油を貯留する作動油タンク52と、作動油タンク52内の作動油を吸い込んで吐出するアクチュエータ用ポンプ40と、アクチュエータ用ポンプ40から吐出した作動油によって作動する油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータから作動油タンク52に戻る作動油を冷却する第1冷却機62とを有する油圧系回路45と、モータ33と、油圧系回路45で使用される作動油を冷媒としてモータ33を冷却する冷却系回路46と、を備え、冷却系回路46は、冷媒としての作動油を冷却する第2冷却機69と、第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う状態と、第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う状態とに作動油の流通経路を切り替える切替弁71と、を有する。
【0067】
この構成によれば、油圧系回路45の第1冷却機62をモータ33を冷却する作動油の冷却用に使用することができる。そして、第1冷却機62に冷却系回路46の第2冷却機69の機能の一部を担わせることにより、第2冷却機69を小さくすることができる。
また、コントローラ75と、第1冷却機62で冷却された後の作動油の温度を検出する温度センサ74と、を備え、コントローラ75は、温度センサ74の検出温度が設定温度以下の場合は第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う状態に作動油の流通経路を切り替え、温度センサ74の検出温度が設定温度を超える場合は第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う状態に作動油の流通経路を切り替える。
【0068】
この構成によれば、第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う状態と、第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う状態とに、自動で切り替えることができ、至便である。
また、コントローラ75を備え、第2冷却機69は、作動油を流通させる熱交換器69Aと、熱交換器69Aを冷却する冷却ファン69Bとを有し、コントローラ75は、第2冷却機69を使用するときに冷却ファン69Bを駆動し、第2冷却機69を使用しないと
きに冷却ファン69Bを停止させる。
【0069】
この構成によれば、エネルギーの節減を図ることができる。
また、冷却系回路46は、第1冷却機62で冷却された後の作動油をモータ33に流す第1管路63と、モータ33を冷却した後の作動油を第1管路63に戻す管路であって、第2冷却機69が設けられた第2管路64と、第2管路64における第2冷却機69の上流側でモータ33を冷却した後の作動油を作動油タンク52側へ流す第3管路65と、を有し、切替弁71は、第1冷却機62で冷却された後の作動油の温度が設定温度以下の場合は、第2冷却機69への作動油の流通を遮断すると共に第3管路65の作動油の流通を許容し、第1冷却機62で冷却された後の作動油の温度が設定温度を超える場合は、第2冷却機69への作動油の流通を許容すると共に第3管路65の作動油の流通を遮断する。
【0070】
この構成によれば、第1冷却機62で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う場合の作動油の流通経路と、第2冷却機69で冷却した作動油によってモータ33の除熱を行う場合の作動油の流通経路とを容易に構築することができる。
また、第3管路65の下流側は、作動油タンク52に接続されている。
この構成によれば、回路構成の簡素化を図ることができる。
【0071】
また、温度センサ74は、作動油タンク52内の作動油の温度を検出する。
この構成によれば、安定した温度検出を行うことができる。
また、切替弁71は、第3管路65の作動油の流通を許容及び遮断する第1弁72と、第2冷却機69への作動油の流通を許容及び遮断する第2弁73とを有する。
この構成によれば、切替弁71を第1弁72と第2弁73とを有して構成することにより、冷却系回路46を構成する管路の配置設計の自由度を高くすることができる。
【0072】
また、モータ33を駆動するインバータ67を備え、冷却系回路46は、インバータ67を冷却する。
この構成によれば、1つの冷却系回路46によってモータ33及びインバータ67を冷却することができ、モータ33及びインバータ67の冷却構造の簡素化を図ることができる。
【0073】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。