(54)【発明の名称】(3R,4S)−L−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−D]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール(MTDIA)の塩及び多形形態
【文献】
WU, Ruilian,JOURNAL OF LABELLED COMPOUNDS AND RADIOPHARMACEUTICALS,2012年,55,211-222
【文献】
BUCHANAN, J. Grant,JOURNAL OF THE CHEMICAL SOCIETY, PERKIN TRANSACTIONS 1: Organic and Bio-Organic Chemistry (1972-1999) ,1991年,1,195-202
【文献】
LIU, Lian,NUCLEOSIDES, NUCLEOTIDES & NUCLEIC ACIDS ,2010年,29(3),257-266
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【0007】
第1の態様において、本発明は、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩、及び(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩からなる群から選択される、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールの塩形態を提供する。
【0008】
別の態様において、本発明は、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩、及び(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩からなる群から選択される、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールの結晶性塩形態を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩、すなわち式(Ia):
【化2】
の化合物を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を提供する。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、以下の面間隔d:約19.1、14.4、11.49、9.44、7.87、7.18、6.50、5.85、5.74、5.16、4.79、4.53、3.977、3.823、3.725、3.579及び3.459Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.38、7.10、8.93、10.87、13.06、14.31、15.81、17.59、17.92、19.97、21.53、22.76、26.00、27.06、27.79、28.95及び29.97°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、D形の結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を提供する。
【0012】
好ましくは、D形の結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約7.05、6.71、6.23、5.40、5.11、4.96、4.73、4.64、4.46、4.159、4.014、3.931、3.679、3.625、3.531、3.401、3.357、3.311、3.183、3.236、3.045、3.119Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約14.57、15.32、16.50、19.07、20.17、20.77、21.78、22.22、23.12、24.84、25.75、26.31、28.14、28.57、29.35、30.50、30.91、31.35、32.64、32.09、34.17、33.33°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、実質的に
図3aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 D形を提供する。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、以下の面間隔d:約19.5、14.6、11.81、9.70、6.45、5.96、5.86、4.85、4.77、4.54、4.031、3.849、3.589、3.457及び3.374Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.26、7.01、8.69、10.58、15.95、17.26、17.57、21.27、21.60、22.75、25.64、26.88、28.86、29.99及び30.75°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、E形の結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を提供する。
【0015】
好ましくは、E形の結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約11.52、8.18、6.14、5.77、5.32、5.12、4.94、4.67、4.58、4.48、4.278、3.984、3.952、3.884、3.734、3.531、3.431、3.336、3.288、3.208、3.146、3.115、3.066Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.91、12.56、16.76、17.84、19.36、20.14、20.86、22.09、22.53、23.03、24.14、25.95、26.16、26.63、27.72、29.35、30.22、31.11、31.57、32.38、33.04、33.38、33.93°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、実質的に
図4aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 E形を提供する。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、以下の面間隔d:約19.5、14.7、11.76、9.62、6.50、6.41、5.87、5.80、5.12、4.97、4.83、4.75、4.53、4.022、3.962、3.627、3.506、3.398、3.303及び3.204Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.25、7.00、8.73、10.67、15.82、16.04、17.52、17.75、20.13、20.77、21.36、21.72、22.79、25.70、26.10、28.55、29.56、30.52、31.43及び32.42°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、F形の結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を提供する。
【0018】
好ましくは、F形の結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約11.50、8.09、7.25、6.79、6.17、5.36、4.67、4.374、4.241、4.165、3.859、3.832、3.722、3.571、3.469、3.233、3.154、3.088、3.052、2.968、2.907、2.850、2.795、2.668、2.592、2.567、2.505、2.464、2.408、2.362、2.283、2.265、2.243、2.189、2.156、2.135Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.92、12.69、14.19、15.14、16.68、19.21、22.09、23.60、24.35、24.80、26.81、27.00、27.81、29.01、29.88、32.12、32.95、33.68、34.08、35.08、35.84、36.58、37.32、39.18、40.37、40.79、41.84、42.56、43.62、44.51、46.14、46.52、47.00、48.24、49.02、49.54°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、実質的に
図5aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 F形を提供する。
【0020】
さらに別の態様において、本発明は、以下の面間隔d:約16.5、8.32、7.59、5.65、5.03、4.70、4.263及び3.520Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約6.22、12.35、13.54、18.23、20.47、21.94、24.22及び29.44°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩を提供する。
【0021】
好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩は、以下の面間隔d:約6.88、6.54、5.39、4.58、3.448、3.336、3.239、3.177、3.068Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約14.94、15.72、19.11、22.54、30.07、31.11、32.06、32.71、33.90°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、実質的に
図1aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩を提供する。
【0023】
さらに別の態様において、本発明は、以下の面間隔d:約12.65、6.31、4.98、4.157、4.022、3.972、3.698、3.223及び3.147Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.11、16.30、20.68、24.85、25.70、26.03、28.00、32.23及び33.02°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩を提供する。
【0024】
好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩は、以下の面間隔d:約9.93、7.52、5.87、5.74、5.47、4.84、4.75、4.45、4.194、3.814、3.754、3.632、3.600、3.420、3.342、3.322、3.108、3.039、3.014、2.929、2.896、2.845、2.825、2.737、2.686、2.619、2.586、2.528、2.486、2.454、2.369、2.330、2.277、2.266、2.227、2.178、2.149、2.112Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約10.34、13.66、17.54、17.95、18.83、21.32、21.71、23.17、24.63、27.13、27.57、28.51、28.77、30.33、31.05、31.24、33.45、34.24、34.52、35.57、35.99、36.66、36.93、38.15、38.91、39.94、40.47、41.45、42.17、42.75、44.36、45.15、46.27、46.50、47.36、48.49、49.20、50.12°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0025】
さらなる態様において、本発明は、実質的に
図6aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩を提供する。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、以下の面間隔d:約17.8、9.94、7.82、6.67、6.47、5.84、5.62、4.81、4.25、3.954、3.866、3.741、3.425、3.35、3.293及び3.219Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.75、10.33、13.14、15.41、15.90、17.61、18.32、21.43、24.30、26.15、26.76、27.67、30.28、30.97、31.52及び32.27°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩を提供する。
【0027】
好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩は、以下の面間隔d:約5.38、5.08、4.94、4.63、4.192、3.529、3.127Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約19.14、20.28、20.87、22.26、24.64、29.37、33.24°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0028】
さらなる態様において、本発明は、実質的に
図2aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩を提供する。
【0029】
さらに別の態様において、本発明は、示差走査熱量測定で測定した場合に約165℃〜約185℃の範囲で吸熱を示す(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を提供する。
【0030】
さらに別の態様において、本発明は、実質的に
図3cに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有するD形の(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を提供する。
【0031】
さらに別の態様において、本発明は、実質的に
図4cに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有するE形の(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を提供する。
【0032】
さらに別の態様において、本発明は、実質的に
図5cに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有するF形の(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を提供する。
【0033】
さらに別の態様において、本発明は、示差走査熱量測定で測定した場合に約137.04℃で吸熱を示す(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩を提供する。
【0034】
さらに別の態様において、本発明は、実質的に
図1bに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有する(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩を提供する。
【0035】
さらに別の態様において、本発明は、示差走査熱量測定で測定した場合に約179.54℃で吸熱を示す(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩を提供する。
【0036】
さらに別の態様において、本発明は、実質的に
図6cに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有する(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩を提供する。
【0037】
好ましくは、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩、又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩は結晶性である。
【0038】
さらなる態様において、本発明は、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩、好ましくは(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩、より好ましくは結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0039】
好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約19.1、14.4、11.49、9.44、7.87、7.18、6.50、5.85、5.74、5.16、4.79、4.53、3.977、3.823、3.725、3.579及び3.459Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.38、7.10、8.93、10.87、13.06、14.31、15.81、17.59、17.92、19.97、21.53、22.76、26.00、27.06、27.79、28.95及び29.97°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる。より好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約7.05、6.71、6.23、5.40、5.11、4.96、4.73、4.64、4.46、4.159、4.014、3.931、3.679、3.625、3.531、3.401、3.357、3.311、3.183、3.236、3.045、3.119Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約14.57、15.32、16.50、19.07、20.17、20.77、21.78、22.22、23.12、24.84、25.75、26.31、28.14、28.57、29.35、30.50、30.91、31.35、32.64、32.09、34.17、33.33°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0040】
あるいは、好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約19.5、14.6、11.81、9.70、6.45、5.96、5.86、4.85、4.77、4.54、4.031、3.849、3.589、3.457及び3.374Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.26、7.01、8.69、10.58、15.95、17.26、17.57、21.27、21.60、22.75、25.64、26.88、28.86、29.99及び30.75°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる。より好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約11.52、8.18、6.14、5.77、5.32、5.12、4.94、4.67、4.58、4.48、4.278、3.984、3.952、3.884、3.734、3.531、3.431、3.336、3.288、3.208、3.146、3.115、3.066Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.91、12.56、16.76、17.84、19.36、20.14、20.86、22.09、22.53、23.03、24.14、25.95、26.16、26.63、27.72、29.35、30.22、31.11、31.57、32.38、33.04、33.38、33.93°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0041】
あるいは、好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約19.5、14.7、11.76、9.62、6.50、6.41、5.87、5.80、5.12、4.97、4.83、4.75、4.53、4.022、3.962、3.627、3.506、3.398、3.303及び3.204Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.25、7.00、8.73、10.67、15.82、16.04、17.52、17.75、20.13、20.77、21.36、21.72、22.79、25.70、26.10、28.55、29.56、30.52、31.43及び32.42°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる。より好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約11.50、8.09、7.25、6.79、6.17、5.36、4.67、4.374、4.241、4.165、3.859、3.832、3.722、3.571、3.469、3.233、3.154、3.088、3.052、2.968、2.907、2.850、2.795、2.668、2.592、2.567、2.505、2.464、2.408、2.362、2.283、2.265、2.243、2.189、2.156、2.135Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.92、12.69、14.19、15.14、16.68、19.21、22.09、23.60、24.35、24.80、26.81、27.00、27.81、29.01、29.88、32.12、32.95、33.68、34.08、35.08、35.84、36.58、37.32、39.18、40.37、40.79、41.84、42.56、43.62、44.51、46.14、46.52、47.00、48.24、49.02、49.54°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0042】
さらに別の態様において、本発明は、MTAPを阻害することが望ましい疾患又は障害を処置する方法であって、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩、好ましくは(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
【0043】
さらに別の態様において、本発明は、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩、好ましくは(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の、薬剤としての使用を提供する。
【0044】
さらに別の態様において、本発明は、薬剤の製造における、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩、好ましくは(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の使用を提供する。
【0045】
さらに別の態様において、本発明は、MTAPを阻害することが望ましい疾患又は障害を処置するための薬剤の製造における、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩、好ましくは(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の使用を提供する。
【0046】
さらに別の態様において、本発明は、MTAPを阻害することが望ましい疾患又は障害の処置における使用のための医薬組成物であって、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩、好ましくは(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を含む組成物を提供する。
【0047】
好ましくは、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である。
【0048】
好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約19.1、14.4、11.49、9.44、7.87、7.18、6.50、5.85、5.74、5.16、4.79、4.53、3.977、3.823、3.725、3.579及び3.459Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.38、7.10、8.93、10.87、13.06、14.31、15.81、17.59、17.92、19.97、21.53、22.76、26.00、27.06、27.79、28.95及び29.97°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる。より好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約7.05、6.71、6.23、5.40、5.11、4.96、4.73、4.64、4.46、4.159、4.014、3.931、3.679、3.625、3.531、3.401、3.357、3.311、3.183、3.236、3.045、3.119Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約14.57、15.32、16.50、19.07、20.17、20.77、21.78、22.22、23.12、24.84、25.75、26.31、28.14、28.57、29.35、30.50、30.91、31.35、32.64、32.09、34.17、33.33°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0049】
あるいは、好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約19.5、14.6、11.81、9.70、6.45、5.96、5.86、4.85、4.77、4.54、4.031、3.849、3.589、3.457及び3.374Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.26、7.01、8.69、10.58、15.95、17.26、17.57、21.27、21.60、22.75、25.64、26.88、28.86、29.99及び30.75°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる。より好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約11.52、8.18、6.14、5.77、5.32、5.12、4.94、4.67、4.58、4.48、4.278、3.984、3.952、3.884、3.734、3.531、3.431、3.336、3.288、3.208、3.146、3.115、3.066Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.91、12.56、16.76、17.84、19.36、20.14、20.86、22.09、22.53、23.03、24.14、25.95、26.16、26.63、27.72、29.35、30.22、31.11、31.57、32.38、33.04、33.38、33.93°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0050】
あるいは、好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約19.5、14.7、11.76、9.62、6.50、6.41、5.87、5.80、5.12、4.97、4.83、4.75、4.53、4.022、3.962、3.627、3.506、3.398、3.303及び3.204Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.25、7.00、8.73、10.67、15.82、16.04、17.52、17.75、20.13、20.77、21.36、21.72、22.79、25.70、26.10、28.55、29.56、30.52、31.43及び32.42°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる。より好ましくは、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、以下の面間隔d:約11.50、8.09、7.25、6.79、6.17、5.36、4.67、4.374、4.241、4.165、3.859、3.832、3.722、3.571、3.469、3.233、3.154、3.088、3.052、2.968、2.907、2.850、2.795、2.668、2.592、2.567、2.505、2.464、2.408、2.362、2.283、2.265、2.243、2.189、2.156、2.135Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.92、12.69、14.19、15.14、16.68、19.21、22.09、23.60、24.35、24.80、26.81、27.00、27.81、29.01、29.88、32.12、32.95、33.68、34.08、35.08、35.84、36.58、37.32、39.18、40.37、40.79、41.84、42.56、43.62、44.51、46.14、46.52、47.00、48.24、49.02、49.54°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる。
【0051】
好ましくは、疾患又は障害は、癌、例えば、頭頸部癌、肺癌、乳癌、結腸癌、子宮頚癌又は前立腺癌である。
【0052】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩は、第2の化合物、例えばメチルチオアデノシンと共に投与され得る。化合物は、別々に、連続的に又は一緒に投与され得る。
【0053】
別の態様において、本発明は、
結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の調製のための方法であって、
(a)(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の水溶液を調製するステップと、
(b)アルコール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン又はアセトンを溶液に添加して、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の結晶を形成するステップと、
(c)(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の結晶を単離するステップと、
を含む方法を提供する。
【0054】
好ましくは、アルコールはステップ(b)で添加され、より好ましくは、アルコールはC
1〜C
6アルコールであり、さらに好ましくは、アルコールはメタノール、エタノール、n−プロパノール又はイソプロパノールであり、さらに好ましくは、アルコールはメタノール又はエタノールである。ステップ(b)におけるエタノールと水との比は、少なくとも約50%のエタノール、例えば約55:45のエタノール:水、例えば60:40のエタノール:水であることがさらに好ましい。
【0055】
あるいは、ステップ(b)におけるエタノールと水との比は、約50%未満のエタノール、例えば約45:55のエタノール:水、例えば約40:60のエタノール:水であることが好ましい。
【0056】
別の態様において、本発明は、
式(V):
【化3】
の化合物を調製するための方法であって、
(d)式(III)の化合物をクロロギ酸メチルと反応させて式(IV)の化合物を生成するステップと、
【化4】
(e)塩基性条件下で式(IV)の化合物を環化して式(V)の化合物を得るステップと、
を含み、ステップ(d)における溶媒として酢酸エチルが使用される方法を提供する。
【0057】
好ましくは、DBUが環化ステップ(e)における塩基として使用される。より好ましくは、DBU及びジクロロメタンがそれぞれ環化ステップ(e)における塩基及び溶媒として使用される。ステップ(e)において、約15分未満(例えば約10分)の反応時間が使用されることがさらに好ましい。また、ステップ(e)における約15分未満の反応時間の後に、メタノール、続いて酢酸アンモニウムが反応に添加されることが好ましい。
【0058】
さらに別の態様において、本発明は、
式(XII):
【化5】
の化合物を調製するための方法であって、
(f)式(IX)の化合物をメタンスルホニルクロリド及び2,6−ルチジン、続いてナトリウムチオメトキシドと接触させて式(X)の化合物を得るステップと、
【化6】
(g)式(X)の化合物を脱保護し、続いて式(XI)の化合物に変換するステップと、
【化7】
(h)式(XI)の化合物を式(XII)の化合物に変換するステップと、
を含み、ステップ(f)における溶媒としてアセトンが使用される方法を提供する。
【0059】
好ましくは、ステップ(g)における式(X)の化合物の脱保護は、式(X)の化合物をトリフルオロ酢酸と接触させることによって行われる。ステップ(g)における化合物(XI)への変換は、式(X)の脱保護化合物を食品グレードの強塩基陰イオン交換樹脂などの樹脂と接触させることによって行われることがさらに好ましい。また、ステップ(h)における式(XI)の化合物の化合物(XII)への変換は、式(XI)の化合物を食品グレードの強塩基陰イオン交換樹脂などの樹脂と接触させることによって行われることが好ましい。
【0060】
さらに別の態様において、本発明は、
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を調製するための方法であって、
(a)式(XII)の化合物を水/エタノール溶媒中の9−デアザアデニン及びホルムアルデヒドと接触させて、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールを生成するステップと、
【化8】
(b)ステップ(a)で生成された(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールを、
(i)(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を含有する溶液を生成するためのリン酸水溶液、
(ii)(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の種結晶、及び任意選択で
(iii)エタノール
と接触させて、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を生成するステップと、
(c)結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を単離するステップと、
を含む方法を提供する。
【0061】
好ましくは、ステップ(a)における水対エタノールの比は約4:1である。ステップ(a)の反応混合物は周囲温度で約2日間撹拌されることがさらに好ましい。
【0062】
好ましくは、ステップ(b)においてエタノールは段階的に少しずつ添加される。エタノールは約2時間の時間にわたって添加されることがさらに好ましい。
【0063】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールの塩形態、例えば、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩(下記化合物(Ia))又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩は、例えば、MTAPを阻害することが望ましい疾患又は障害、例えば癌(例えば、頭頸部癌、肺癌、乳癌、結腸癌、子宮頚癌、又は前立腺癌)を処置するための医薬品として有用である。
【化9】
【0064】
例えば、
図8は、より大きな腫瘍(150mm
3)に対する(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の効果についての研究を示している。研究では、マウス異種移植モデルにおいて35日間同所的に成長させたMDA−MB−468腫瘍を使用する。処置は、数日以内に150mm
3の腫瘍を半分に縮小し、その後の30日間成長を抑制する。用量24〜30.5mg/kgの(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、癌の成長を止めるのに等しく有効である。薬物放出時に、腫瘍サイズは無処置の腫瘍に比べて緩徐に大きくなる。対照腫瘍は、35日にわたって150から400mm
3に成長する。71日目に、大きな腫瘍は、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩30mg/kg i.p.で処置される。2週間にわたってほとんどの腫瘍が分解する腫瘍溶解の結果として、腫瘍のサイズは急速に減少する。
【0065】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールの塩形態、例えば、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩又は(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩は溶媒和物として存在することができることを当業者は理解するであろう。例えば、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩及び(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩の結晶形態は結晶水を含有し得る。
【0066】
有利なことに、本発明の(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールのリン酸塩は、改善された安定性及び溶解性を提供する。(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールのリン酸塩は、高純度の生成物をもたらす反応混合物から直接結晶化することができる。これは、遊離塩基形態又は塩酸塩形態では達成可能でない。従来は、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールを精製する唯一の方法はクロマトグラフィーによるものであったのに対して、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールのリン酸塩は、特に再結晶により精製できることから大規模生産に適している。
【0067】
本発明は以下を提供する。
1. (3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩、及び(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩からなる群から選択される、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールの塩形態。
2. 結晶性である、上記項1に記載の(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールの塩形態。
3. (3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩、すなわち式(Ia):
【化10】
の化合物である、上記項1又は2に記載の塩形態。
4. 以下の面間隔d:約19.1、14.4、11.49、9.44、7.87、7.18、6.50、5.85、5.74、5.16、4.79、4.53、3.977、3.823、3.725、3.579及び3.459Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.38、7.10、8.93、10.87、13.06、14.31、15.81、17.59、17.92、19.97、21.53、22.76、26.00、27.06、27.79、28.95及び29.97°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、D形の結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
5. 以下の面間隔d:約7.05、6.71、6.23、5.40、5.11、4.96、4.73、4.64、4.46、4.159、4.014、3.931、3.679、3.625、3.531、3.401、3.357、3.311、3.183、3.236、3.045、3.119Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約14.57、15.32、16.50、19.07、20.17、20.77、21.78、22.22、23.12、24.84、25.75、26.31、28.14、28.57、29.35、30.50、30.91、31.35、32.64、32.09、34.17、33.33°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる、上記項4に記載の塩形態。
6. 実質的に
図3aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 D形である、上記項1又は2に記載の塩形態。
7. 以下の面間隔d:約19.5、14.6、11.81、9.70、6.45、5.96、5.86、4.85、4.77、4.54、4.031、3.849、3.589、3.457及び3.374Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.26、7.01、8.69、10.58、15.95、17.26、17.57、21.27、21.60、22.75、25.64、26.88、28.86、29.99及び30.75°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、E形の結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
8. 以下の面間隔d:約11.52、8.18、6.14、5.77、5.32、5.12、4.94、4.67、4.58、4.48、4.278、3.984、3.952、3.884、3.734、3.531、3.431、3.336、3.288、3.208、3.146、3.115、3.066Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.91、12.56、16.76、17.84、19.36、20.14、20.86、22.09、22.53、23.03、24.14、25.95、26.16、26.63、27.72、29.35、30.22、31.11、31.57、32.38、33.04、33.38、33.93°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる、上記項7に記載の塩形態。
9. 実質的に
図4aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 E形である、上記項1又は2に記載の塩形態。
10. 以下の面間隔d:約19.5、14.7、11.76、9.62、6.50、6.41、5.87、5.80、5.12、4.97、4.83、4.75、4.53、4.022、3.962、3.627、3.506、3.398、3.303及び3.204Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.25、7.00、8.73、10.67、15.82、16.04、17.52、17.75、20.13、20.77、21.36、21.72、22.79、25.70、26.10、28.55、29.56、30.52、31.43及び32.42°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、F形の結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
11. 以下の面間隔d:約11.50、8.09、7.25、6.79、6.17、5.36、4.67、4.374、4.241、4.165、3.859、3.832、3.722、3.571、3.469、3.233、3.154、3.088、3.052、2.968、2.907、2.850、2.795、2.668、2.592、2.567、2.505、2.464、2.408、2.362、2.283、2.265、2.243、2.189、2.156、2.135Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.92、12.69、14.19、15.14、16.68、19.21、22.09、23.60、24.35、24.80、26.81、27.00、27.81、29.01、29.88、32.12、32.95、33.68、34.08、35.08、35.84、36.58、37.32、39.18、40.37、40.79、41.84、42.56、43.62、44.51、46.14、46.52、47.00、48.24、49.02、49.54°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる、上記項10に記載の塩形態。
12. 実質的に
図5aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 F形である、上記項1又は2に記載の塩形態。
13. 以下の面間隔d:約16.5、8.32、7.59、5.65、5.03、4.70、4.263及び3.520Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約6.22、12.35、13.54、18.23、20.47、21.94、24.22及び29.44°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
14. 以下の面間隔d:約6.88、6.54、5.39、4.58、3.448、3.336、3.239、3.177、3.068Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約14.94、15.72、19.11、22.54、30.07、31.11、32.06、32.71、33.90°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる、上記項13に記載の塩形態。
15. 実質的に
図1aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
16. 以下の面間隔d:約12.65、6.31、4.98、4.157、4.022、3.972、3.698、3.223及び3.147Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約8.11、16.30、20.68、24.85、25.70、26.03、28.00、32.23及び33.02°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
17. 以下の面間隔d:約9.93、7.52、5.87、5.74、5.47、4.84、4.75、4.45、4.194、3.814、3.754、3.632、3.600、3.420、3.342、3.322、3.108、3.039、3.014、2.929、2.896、2.845、2.825、2.737、2.686、2.619、2.586、2.528、2.486、2.454、2.369、2.330、2.277、2.266、2.227、2.178、2.149、2.112Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約10.34、13.66、17.54、17.95、18.83、21.32、21.71、23.17、24.63、27.13、27.57、28.51、28.77、30.33、31.05、31.24、33.45、34.24、34.52、35.57、35.99、36.66、36.93、38.15、38.91、39.94、40.47、41.45、42.17、42.75、44.36、45.15、46.27、46.50、47.36、48.49、49.20、50.12°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる、上記項16に記載の塩形態。
18. 実質的に
図6aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
19. 以下の面間隔d:約17.8、9.94、7.82、6.67、6.47、5.84、5.62、4.81、4.25、3.954、3.866、3.741、3.425、3.35、3.293及び3.219Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約5.75、10.33、13.14、15.41、15.90、17.61、18.32、21.43、24.30、26.15、26.76、27.67、30.28、30.97、31.52及び32.27°2θ±0.05°2θでの粉末X線回折ピークにより特徴付けられる、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
20. 以下の面間隔d:約5.38、5.08、4.94、4.63、4.192、3.529、3.127Åにそれぞれ対応する、以下の2θ角度:約19.14、20.28、20.87、22.26、24.64、29.37、33.24°2θ±0.05°2θでの1つ又は複数の追加の粉末X線回折ピークによりさらに特徴付けられる、上記項19に記載の塩形態。
21. 実質的に
図2aに示される粉末X線回折パターンを有する結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
22. 示差走査熱量測定で測定した場合に約165℃〜約185℃の範囲で吸熱を示す(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
23. 実質的に
図3cに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有するD形の(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
24. 実質的に
図4cに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有するE形の(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
25. 実質的に
図5cに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有するF形の(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
26. 示差走査熱量測定で測定した場合に約137.04℃で吸熱を示す(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
27. 実質的に
図1bに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有する(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
28. 示差走査熱量測定で測定した場合に約179.54℃で吸熱を示す(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
29. 実質的に
図6cに示される示差走査熱量測定サーモグラムを有する(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩である、上記項1又は2に記載の塩形態。
30. 上記項1〜29のいずれか一項に記載の塩形態と少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
31. 塩形態が(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である、上記項30に記載の医薬組成物。
32. MTAPを阻害することが望ましい疾患又は障害を処置する方法であって、上記項1〜29のいずれか一項に記載の塩形態の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
33. 塩形態が、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩である、上記項32に記載の方法。
34. 疾患又は障害が癌である、上記項32又は33に記載の方法。
35. 結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の調製のための方法であって、
(a)(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の水溶液を調製するステップと、
(b)アルコール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン又はアセトンを溶液に添加して、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の結晶を形成するステップと、
(c)(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の結晶を単離するステップと、
を含む方法。
36. エタノールがステップ(b)で添加される、上記項35に記載の方法。
37. 式(V):
【化11】
の化合物を調製するための方法であって、
(d)式(III)の化合物をクロロギ酸メチルと反応させて式(IV)の化合物を生成するステップと、
【化12】
(e)塩基性条件下で式(IV)の化合物を環化して式(V)の化合物を得るステップと、
を含み、ステップ(d)における溶媒として酢酸エチルが使用される方法。
38. 式(XII):
【化13】
の化合物を調製するための方法であって、
(f)式(IX)の化合物をメタンスルホニルクロリド及び2,6−ルチジン、続いてナトリウムチオメトキシドと接触させて式(X)の化合物を得るステップと、
【化14】
(g)式(X)の化合物を脱保護し、続いて式(XI)の化合物に変換するステップと、
【化15】
(h)式(XI)の化合物を式(XII)の化合物に変換するステップと、
を含み、ステップ(f)における溶媒としてアセトンが使用される方法。
39. (3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を調製するための方法であって、
(a)式(XII)の化合物を水/エタノール溶媒中の9−デアザアデニン及びホルムアルデヒドと接触させて、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールを生成するステップと、
【化16】
(b)ステップ(a)で生成された(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールを、
(i)(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を含有する溶液を生成するためのリン酸水溶液、
(ii)(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の種結晶、及び任意選択で
(iii)エタノール
と接触させて、結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を生成するステップと、
(c)結晶性(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩を単離するステップと、
を含む方法。
【0068】
定義:
「患者」という用語はヒト及び非ヒト動物を含む。
【0069】
「処置」、「処置する」などの用語は、1つ若しくは複数の症状の軽減、又は疾患若しくは障害に関連する状態の改善、例えば、癌の場合、腫瘍サイズの減少若しくは腫瘍の成長の抑制を含む。
【0070】
化合物(I)の合成:
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール(化合物(I))、及びそのリン酸塩、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩(化合物(Ia))は、2つの反応経路の収束によって合成される。
【0071】
第1の経路は、スキーム1に示される9−デアザアデニン(VII)を得る5段階プロセスである。
【0072】
スキーム1(9−デアザアデニン(VII)の合成):
【化17】
【0073】
化合物(III)は、メタノール中のトリエチルアミンの存在下で、化合物(II)と重硫酸アミノアセトニトリルのオレフィン付加脱離反応から形成される。添加の順序は、関連する発熱(10gの規模の5分間にわたる添加で4.6℃の温度上昇)を管理するために慎重に制御される。化合物(III)は、クロロギ酸メチル(MCF)とさらに反応させる。有利には、本発明の方法は、このステップにおいて酢酸エチルを使用し、毒性溶媒の使用を最小限にする。乾燥酢酸エチルが使用されることが好ましい。化合物(IV)の形成は約10分で完了する。
【0074】
本発明者らは、温度及びオレフィン濃度の変化は収率に強く影響し、環化生成物が不安定になり得ることを見出した。本発明の方法は、環化生成物(V)の劣化を最小限にするために、適度に短い反応時間を使用する。遊離ピロール(化合物(V))は種々の溶媒から容易に沈殿し、精製並びに改善された収率及び純度のための簡便で規模に適した方法をもたらす。
【0075】
驚くべきことに、エタノール/水からの化合物(V)の沈殿は、環化の間に形成される不純物の多く及び反応からの任意の残留色を除去することが見出された。しかし、2種の不純物が残ることから、それらの除去が後の段階で必要とされる。反応の規模を大きくすると、72%の収率及び82.8%の純度で単離された化合物(V)と一致する結果をもたらす。したがって、有利には、化合物(V)は高純度の固体形態で生成される。
【0076】
化合物(VI)の合成は、生成物の単離及びその後の反応の再開を含む。このようにすれば、驚くべきことにほぼ完全な変換を達成することが可能である。
【0077】
化合物(VI)を鹸化し、続いて脱炭酸反応がエステル基を除去する。反応が完了に近づくと、一般的には約99.74%の高純度をもたらす生成物の結晶が観察される。これは、精製が結晶化の際に起こること(これは、拡大された規模の手順に有利である。)を示す。
【0078】
第2の経路は、スキーム2に示されるピロリジン(XII)を得る4段階プロセスである。
【0079】
スキーム2(ピロリジン(XII)の合成):
【化18】
【0080】
(VIII)からのベンジル保護基の除去は、エタノール中の水素のバルーン圧下で、パールマン触媒((VIII)に対して10重量%投入)を用いて水素化分解することによって達成される。水素化分解が失速した場合、触媒の第2の投入を用いて変換を達成することができる。触媒は濾過を介して除去され、得られた溶液は二炭酸ジ−t−ブチルで処理される。ガス発生が停止すると、さらに精製することなく使用される定量的収率の化合物(IX)を得るために混合物を蒸発させる。
【0081】
反応に窒素が関与することにより、化合物(IX)の6位でのメシル化が困難になる場合があることがこれまでに見出されている(Tet.Asymm.,9, 1998, 1051−1057)。3−メシル、6−メシル及びビス−メシル保護された化合物の混合物をもたらす唯一の適度な保護基の選択が観察される。これは、所望の生成物の化合物(X)の収率を低くする可能性がある。しかし、本発明者らは、アセトン/ルチジン系における化合物(IX)とメタンスルホニルクロリドの反応、続くチオメトキシド置換は、クロマトグラフィー後、良好な収率及び純度で化合物(X)をもたらすことを見出した。
【0082】
化合物(X)の脱保護は、伝統的に、水性のHCl/メタノール混合物を使用し、乾燥するまで蒸発させて達成される。本発明の方法は、イソプロピルアルコール中でトリフルオロ酢酸並びにAmberlite FPA91及びFPA98などの食品グレードの強塩基イオン交換樹脂を用いた規模に適したアプローチを含む。
【0083】
完全に塩基性化するためには、基板と樹脂を十分な時間接触させることが重要である。これは、IPA溶液中の化合物を樹脂と共に20分間スラリー化し、続いて、スラリーを、より多くの樹脂を含有するカラムにロードし、重力下で溶出することによって達成される。完全な脱保護のために、化合物(X)に対して約10倍の重量の樹脂が必要とされる。イオン交換樹脂の使用は、遊離塩基形態のクルード(XII)を生成するための信頼できる方法をもたらす。有利には、結晶性塩形態は、拡大された規模での処理のために提供される。エタノールからのシュウ酸塩の結晶化は、シュウ酸塩(XI)などのピロリジンの濾過可能な結晶性スラリーを高純度、80%の収率でもたらす。
【0084】
スキーム3(化合物(Ia)を形成するための合成経路の収束):
【化19】
【0085】
化合物(Ia)の調製の最終段階をスキーム3に示す。まず、シュウ酸塩(化合物(XI))を、水中のAmberlite FPA91イオン交換樹脂を用いて遊離塩基(XII)に変換することによって(XII)を得、その後、水/エタノール中で(VII)及びホルムアルデヒドとカップリングすることによって化合物(Ia)を得る。カップリングに続いて、リン酸が貧溶媒としてのエタノールと一緒に投入されて、溶液から化合物(Ia)を結晶化させる。貧溶媒としてのエタノールを徐々に添加することを介した制御された(Ia)の結晶化を容易にするために、約45:55〜約15:85、例えば約40:60の水/エタノール比が選択される。化合物(Ia)は、水/エタノール又は水/メタノールから再結晶され得る。
【0086】
多くの対イオンでの化合物(I)の結晶化スクリーンは、シュウ酸塩、硫酸塩、ギ酸塩及びリン酸塩が結晶性であることを示している。解釈された化学量論を用いたリン酸塩、ギ酸塩及び硫酸塩の微量分析を以下に示す(表1)。
【0087】
表1(化合物(I)の塩形態の微量分析):
【表1】
【0088】
粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)は、化合物(Ia)である(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩が多形形態として存在することを示す。すべての形態はDSC分析において類似性を示す。
【0089】
表2(化合物(Ia)の多形体):
【表2】
【0090】
上記表2に示されるように、化合物(Ia)である(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、エタノールから単離された2つの多形形態、D及びE、並びにメタノールから単離された1つの多形形態Fとして存在する。
【0091】
結晶形D及びEの再結晶は純度を高める手段として利用でき、これは、約38℃に加温しながら水に溶解し、エタノールを添加した後に30℃まで冷却することによってなされる。種結晶を添加し、続いて1時間にわたって20℃までさらに冷却する。エタノールを緩徐に添加し、スラリーを1時間熟成させる。エタノールの第2の部分を添加し、スラリーを1時間熟成させる。エタノールの第3の部分を添加し、スラリーを1時間熟成させる。結晶を濾紙上に厚め、エタノールで洗浄し、真空下で乾燥させる(
図9)。(
1H NMRによる)残留エタノールのレベルは約0.5重量%であり、これは、経口医薬品有効成分のためのICHガイダンスに対応する。
【0092】
結晶形Fの再結晶はまた、エタノールをメタノールと置き換えて、上記と同じ手順によって純度を高める手段として利用できる。
【0093】
さらなる態様:
化合物(I)の塩形態、例えば化合物(Ia)((3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩)は、種々の経路で患者に投与することができ、投与経路は限定されない。このような投与経路としては、経口、非経口、局所、直腸、経鼻、頬、吸入スプレーによる又は移植リザーバーを介するものが挙げられる。投与すべき化合物の量は、患者の性質並びに処置される障害の性質及び程度に応じて大きく異なり得る。典型的には、成人ヒト用の用量は、1〜1000ミリグラム未満、好ましくは0.1〜100ミリグラムの範囲となる。化合物は、種々の投与計画、例えば、1日に1回又は1日に2回の投薬を用いて投与することができる。当業者は、投与計画は、患者の性質並びに処置される障害の性質及び程度に応じて異なることを理解するであろう。
【0094】
化合物(I)の塩形態(例えば化合物(Ia))は医薬組成物として提供することができる。化合物(I)の塩形態(例えば化合物(Ia))は、錠剤、カプセル剤、坐剤、散剤、溶液、懸濁液及び分散液などの固体又は液体製剤に処方することができる。いくつかの実施形態において、化合物(I)の塩形態(例えば化合物(Ia))は、固体又は液体製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、溶液、懸濁液及び分散剤として経口投与のために処方される。このような製剤は当該技術分野において周知である。錠剤形態では、化合物(I)の塩形態(例えば化合物(Ia))は、結合剤、例えば、コーンスターチ又はゼラチン;カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジノン、ジャガイモデンプン、アルギン酸及びゼラチンなどの崩壊剤;並びにステアリン酸マグネシウム又はタルクなどの潤滑剤と共に、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール及びコーンスターチなどの従来の錠剤基剤を用いて錠剤にすることができる。カプセル形態での経口投与のために、ラクトース及び乾燥コーンスターチなどの希釈剤が使用され得る。着色剤、甘味剤又は香味剤などの他の成分が添加され得る。
【0095】
経口使用に水性懸濁液が必要とされる場合、化合物(I)の塩形態(例えば化合物(Ia))は、水及びエタノールなどの担体と組み合わせられ得、乳化剤、懸濁化剤及び/又は界面活性剤が使用され得る。また、着色剤、甘味剤、香味剤又はpH調整剤が添加されてもよい。
【0096】
化合物(I)の塩形態(例えば化合物(Ia))はさらに、持続放出システムを用いて投与され得る。例えば、それらを緩徐に溶解する錠剤又はカプセル剤に組み込まれ得る。
【0097】
液体形態は、薬学的に許容される界面活性剤又は懸濁化剤などの他の物質と共に又はそのような物質なしで、水及びエタノールなどの担体を含む。
【0098】
化合物(I)の塩形態(例えば化合物(Ia))は、水又は生理食塩水などの生理学的に許容される希釈剤中で注射によって投与されてもよい。希釈剤は、エタノール、プロピレングリコール、油又は薬学的に許容される界面活性剤などの1種又は複数種の他の成分を含み得る。
【0099】
化合物(I)の塩形態(例えば化合物(Ia))は、皮膚又は粘膜への局所投与のためのクリーム中の成分として存在し得る。好ましくは、クリームは、皮膚又は粘膜の通過を支援する薬学的に許容される溶媒を含む。適切なクリームは当業者にとって周知である。
【実施例】
【0102】
概要:
粉末X線回折パターンは、Bruker D8 Advance回折計((3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール、並びに(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩、シュウ酸塩及びギ酸塩)又はPhillips PW1700回折計((3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩形態)を用い、Co Kα放射線を用い、平行ビーム粉末X線回折法を用いて得る。Bruker D8 Advanceには、300mmのゴニオメータ半径、入射ビームゲーベルミラー及び0.23°平行平板回折ビームコリメータを装備する。検出器はNaI(Tl)シンチレーションカウンターである。Phillips PW1700シリーズBragg−Brentano回折計には、173mmのゴニオメータ半径、自動発散及び1°固定散乱防止スリット、0.2mmの受光スリット並びにグラファイト回折ビームモノクロメータを装備する。検出器はキセノン充填型比例計数管である。
【0103】
示差走査熱量測定は、Mettler−Toledo DSC1 Star−eシステム又はAlphatec SDT Q600機器で行う。走査範囲:25℃〜300℃;走査速度:10℃/分。
【0104】
熱重量分析は、Alphatec SDT Q600機器で行う。走査範囲:周囲温度〜300℃又は275℃;走査速度:10℃/分。
【0105】
実施例1(化合物(1a)((3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩)の合成):
化合物(III)((E)−エチル2−シアノ−3−(シアノメチルアミノ)アクリレート):
【化20】
【0106】
メタノール(0.5L,ARグレード)中の重硫酸アミノアセトニトリル(22.8g,0.148mol)を十分な時間撹拌して、存在する物質の塊を破壊して溶解させる。アクリレート(25g,0.148mol)を混合物に投入し、温度を5〜10℃まで冷却する。20℃未満の内部温度を維持するために、トリエチルアミン(45.3ml,0.33mol)を徐々に添加する。混合物を2時間撹拌して、出発物質の消費についてTLCで分析する。溶媒を真空中で除去し、残留物を酢酸エチル(0.3L)に溶解し、次いで飽和重炭酸ナトリウム水溶液(0.2L)及びブライン(0.08L,30%)で洗浄する。酢酸エチル溶液を濃縮して定量的収率で生成物を得、その後、次の段階で使用するために等体積の新しい酢酸エチル(ARグレード)と溶解させる(60:40異性体混合物として特徴付けられる。H’=微量の異性体プロトン)。δ
H(500MHz,d
6−DMSO) 1.21(3H,t,J 7.1),1.23(3H’,t,J 7.2),4.14(2H,q,J 7.1),4.17(2H’,q,J 7.2),4.44(2H’,s),4.53(2H,s),7.86(1H’,bd,J 11.3),8.16(1H,s),9.00(1H,bs),9.27(1H’,bs); δ
C(125MHz,d
6−DMSO) 14.0, 14.3, 36.1, 36.8, 60.1, 71.9, 72.7, 115.7, 116.9, 116.9, 118.2, 159.9, 160.1, 164.3, 165.7; m.p. 95℃; HRMS C
8H
9N
3O
2Naの計算値 m/z 202.0592, 測定値 202.0590.
【0107】
化合物(IV)((E)−エチル2−シアノ−3−((シアノメチル)(メトキシカルボニル)アミノ)アクリレート):
【化21】
【0108】
酢酸エチル中の化合物(III)(0.148mol)を5〜10℃まで冷却する。クロロギ酸メチル(12.6ml,0.163mol)を添加し、続いて、25℃未満の内部温度を維持するためにトリエチルアミン(22.7ml,0.163mol)を徐々に添加する。添加完了後に、反応混合物を10分間撹拌し、次いで20℃に加温する。反応混合物を脱イオン水(0.15L)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(0.15L)、及びブライン(0.05L,30%)で洗浄する。溶媒を真空中で除去し、定量的収率でオレンジ色の油状物として生成物を得る。δ
H(500MHz,d
6−DMSO) 1.27(3H,t,J 7.1),3.94(3H,s),4.27(2H,q,J 7.1),5.07(2H,s),8.44(1H,s); δ
C(125MHz,d
6−DMSO) 14.0, 34.2, 56.0, 62.1, 83.6, 114.0, 115.3, 149.4, 151.9, 162.6; HRMS C
10H
11N
3O
4Naの計算値 m/z 260.0647, 測定値 260.0652.
【0109】
化合物(V)(エチル4−アミノ−5−シアノ−1H−ピロール−3−カルボキシレート):
【化22】
【0110】
化合物(IV)(35.1g,0.148mol)をジクロロメタン(0.39L)に溶解し、温度を27℃に調整する。DBU(12.5ml,0.083mol)をジクロロメタン中の溶液(12.5ml)として、激しく撹拌しながら約1分にわたって化合物(IV)の溶液に添加する。添加が完了したら、混合物を10分間撹拌し、ジャケットを20℃に設定する。メタノール(39ml,ARグレード)を添加して、混合物を15分間撹拌し、続いてメタノール中の溶液(60ml)として酢酸アンモニウム(7.98g,0.104mol)を添加する。溶媒を真空中で除去し、残留物を無水エタノール(70ml)中でスラリー化する。水(280ml)を撹拌しながらスラリーに徐々に添加し、少なくとも2時間撹拌を続ける。次いで、混合物を濾過し、水(80ml)で洗浄し、真空下で乾燥させて、80%(IPCにより決定)の純度の固体(72%)19gを得る。IPCは、流速0.3ml/分、試料濃度0.5mg/ml、波長255nm、40℃で、Kinetix C18 2.6μ 100×3.0mmカラムを用いて行う。溶媒Aは水+0.1%TFA、溶媒Bはアセトニトリル+0.1%TFAであり、グラジエント条件は、0〜20分,A:B,9:1; 20〜22分,A:B,1:1; 22〜27分,A:B,9:1である。δ
H(500MHz,d
6−DMSO) 1.26(3H,t,J 7.1),4.20(2H,q,J 7.1),5.65(2H,s),7.35(1H,s),11.8(1H,bs); δ
C(125MHz,d
6−DMSO) 14.3, 59.1, 84.4, 102.3, 114.8, 127.4, 146.0, 164.0; m.p. 205℃; HRMS C
8H
9N
3O
2Naの計算値 m/z 202.0592, 測定値 202.0591.
【0111】
化合物(VI)(エチル4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボキシレート):
【化23】
【0112】
化合物(V)(19.1g,0.107mol)、ホルムアミジンアセテート(16.7g,0.16mol)及びホルムアミド(0.2L,ARグレード)を容器に投入し、90℃で20時間加熱する。混合物を50℃未満まで冷却し、水(0.3L)を撹拌懸濁液に添加し、温度を10〜20℃に調整する。2時間平衡した後、混合物を濾過し、固体を水(50ml)で洗浄し、簡単に風乾する。16〜18gの乾燥固体を得る(出発物質を80%の純度に調整した場合、90〜100%の収率)。生成物は出発物質よりも溶解性が低く、純度はIPC分析及び出発物質の減少を計算することによって決定される。IPCは、流速0.25ml/分、試料濃度0.5mg/ml、波長205nm、40℃で、Kinetix C18 2.6μ 100×3.0mmカラムを用いて行う。溶媒Aは水+0.1%TFA、溶媒Bはアセトニトリル+0.1%TFAであり、グラジエント条件は、0〜25分,A:B,9:1; 25〜26分,A:B,4:6; 26〜31分,A:B,9:1である。δ
H(500MHz,d
6−DMSO) 1.29(3H,t,J 7.1),4.25(2H,q,J 7.1),6.85(2H,bs),8.16(1H,s),8.20(1H,s),11.6(1H,bs).
【0113】
化合物(VII)(5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミン):
【化24】
【0114】
水中懸濁液(215ml)として湿った化合物(VI)(想定乾燥重量17.6g,0.085mol)を水酸化カリウム(12.0g,0.21mol)で処理する。混合物を120℃で穏やかに還流する。6時間後、混合物をIPCで完了について分析する。加熱し、出発物質が消費されるまでIPC分析を続ける。混合物を2〜8℃まで冷却し、2時間撹拌する。混合物を濾過し、固体を収集して水(40ml)で洗浄する。湿気のある固体を真空下にて20〜40℃で乾燥させて、ベージュ色の固体を9〜10g(IPCにより決定された80〜90%の純度)得る。IPCは、流速1.0ml/分、試料濃度0.5mg/ml、波長273nm、20℃で、Atlantis T3 3μ 150×4.6mmカラムを用いて行う。溶媒Aは水+0.1%TFA、溶媒Bはアセトニトリル+0.1%TFAであり、グラジエント条件は、0〜15分,A:B,10:0; 15〜16分,A:B,8:2; 16〜21分,A:B,10:0である。δ
H(500MHz,d
6−DMSO) 6.34(1H,s),6.66(2H,bs),7.50(1H,s),8.10(1H,s),10.91(1H,bs).
【0115】
化合物(IX)((3R,4R)−tert−ブチル3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート):
【化25】
【0116】
エタノール(10ml)中の化合物(VIII)(国際公開第2005/118532号に記載のように調製することができる。)(1g,4.82mmol)を脱気し、次いでパールマン触媒(0.1g)で処理する。混合物を低圧の水素下で撹拌し、反応進行をTLCで監視し、反応が失速した場合、触媒(0.1g)をさらに添加する。出発物質N−ベンジルが消費され、混合物を濾過助剤のパッドを通じて濾過し、二炭酸ジ−t−ブチル(合計1.26g,5.79mmol)を濾液に添加したら、ガスの発生及び穏やかな発熱が観察される。オフガスが治まったら、DMAP(13mg)を添加し、さらなるオフガスを発生させる。ガス発生が停止したら、溶媒を真空中で除去して1gの無色の油状物を得る。δ
H(500MHz,CD
3OD) 1.45(9H,s),2.23(1H,m),3.21(2H,m),3.45(1H,m),3.54(3H,m),4.13(1H,m).
【0117】
化合物(X)((3R,4S)−tert−ブチル3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート):
【化26】
【0118】
化合物(IX)(20.6g,0.093mol)を真空中でアセトン溶液(0.10L)濃縮から単離する。残留物をアセトン(0.20L)に再溶解し、2,6−ルチジン(22.1ml,0.19mol)、続いてメタンスルホニルクロリド(8.0ml,0.10mol)で処理する。溶液を15〜20℃で2日間撹拌し、IPCで完了について分析する。混合物を濾過し、固体を少量のアセトンで洗浄する。合わせた濾液を反応容器に移し、ナトリウムチオメトキシド(8.6g,0.12mol)で処理する。混合物を50℃で2時間加熱し、IPCで監視する。完了したら、反応物を濃縮し、残留物をMTBE(0.2L)と水酸化ナトリウム水溶液(1M,0.2L)に分配する。水相をMTBE(0.2L)で再度抽出し、合わせたMTBE相を塩酸(1M,0.2L)及び水(0.2L)で連続的に洗浄する。MTBEを蒸留及びトルエン共沸混合物(0.2L)で除去する。残留物をジクロロメタン/酢酸エチル(90:10, 0.11L)中に取り、Biotage75Sカートリッジ(200gシリカ)に適用する。カラムを90:10 ジクロロメタン/酢酸エチル、次いで66/33 ジクロロメタン/酢酸エチルで溶出する。画分をTLCによりアッセイし、生成物含有画分を濃縮して、14.8g(63%)の化合物(X)を淡黄色から無色の油状物として得る。IPC分析は、流速0.25ml/分、試料濃度0.5mg/ml、205nm、40℃で、Kinetix C18 2.6μ 100×3.0mmカラムを用いて行う。溶媒Aは水、溶媒Bはアセトニトリルであり、グラジエント条件は、0〜25分,A:B,9:1; 25〜26分,A:B,4:6; 26〜31分,A:B,9:1である。δ
H(500MHz,CD
3OD) 1.46(9H,s),2.11(3H,s),2.28(1H,m),2.49(1H,m),2.63(1H,dd,J 13.1, 6.0),3.20(2H,m),3.56(1H,m),3.60(1H,dd,J 11.1, 7.2),4.10(1H,m).
【0119】
化合物(XI)((3R,4S)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩):
【化27】
【0120】
化合物(X)(7.24g,29.3mmol)をトルエン(50ml)に溶解し、濃縮する。残留物をトルエン(50ml,ARグレード)に再溶解し、溶液を0℃まで冷却する。TFA(25ml)を撹拌しながら添加し、安定したガスの発生をもたらす。20分後、温度を20℃に上昇させ、混合物は二相になり得る。約40分後にオフガスが停止したら、溶媒を真空中で除去し、任意の残留溶媒をIPA(40ml)で共沸させる。残留物をIPA(75ml,ARグレード)中に再溶解し、Amberlite FPA91塩基性樹脂(60g湿重量)と共に30分間スラリー化する。溶液のpHが≧7であると検証する。スラリーをFPA91樹脂(20g)のカラムに適用し、重力下にてIPA(350ml)で溶出する。IPAを蒸発させて、5gの遊離塩基を褐色の油状物として得る。油状物をエタノール(50ml)に溶解し、シュウ酸(4.06g,32.1mmol)の無水エタノール(50ml)溶液に、撹拌しながら緩徐に添加する。添加完了後に、結晶スラリーを少なくとも2時間熟成させ、結晶を濾過によって収集する。結晶をエタノール(20ml)で洗浄し、乾燥させて、白色からオフホワイトの固体5.5g(79%)を得る。δ
H(500MHz,d
6−DMSO) 2.07(3H,s),2.32(1H,m),2.41(1H,dd,J 13.2, 9.0),2.60(1H,dd,J 13.2, 6.4),3.01(2H,m),3.31(1H,dd,J 12.2, 5.1),3.40(1H,dd,J 11.8, 7.3),4.13(1H,m).
【0121】
化合物(XII)((3R,4S)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール):
【化28】
【0122】
水(80ml)中の化合物(XI)(4.0g,16.9mmol)をAmberlite FPA91樹脂(15g)と共に30分間スラリー化する。生成物を得るために必要に応じて、スラリーをFPA91樹脂(15g)のカラムに適用し、重力下にて水(200ml)で溶出する。40℃で水を除去することにより、2.68gのオレンジ色の油状物を得て、これを−20℃で保存して固化する。GCは、100℃、次いで8℃/分のグラジエントで20分間、流速2.6ml/分でRtx−5アミンキャピラリーカラム1μ、30m×0.32mmを用いて行う。δ
H(500MHz,CD
3OD) 2.11(3H,s),2.19(1H,m),2.43(1H,dd,J 13.0, 8.7),2.64(2H,m),2.78(1H,dd,J 12.1, 3.5),3.01(1H,dd,J 12.1, 5.5),3.23(1H,dd,J 11.6, 7.6),4.05(1H,m).
【0123】
化合物(Ia)((3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩):
【化29】
【0124】
水/エタノール中の溶液(4:1, 375ml)としての化合物(XII)(15.6g,106mmol)を化合物(VII)(12.8g,95.4mmol)及びホルムアルデヒド溶液(8.66ml,35%)で処理する。混合物を約20℃で24時間撹拌し、出発物質が消費されるまでIPCで監視する。リン酸(9.35ml,138mmol)を撹拌しながら添加する。沈殿物が形成し始める。30分後、エタノール(200ml)を容器に緩徐に添加し、混合物を1時間熟成させ、さらにエタノール(300ml)を添加し、混合物を1時間熟成させる。次いで、エタノール(300ml)をさらに添加し、混合物を一晩放置する。結晶を濾過により収集し、エタノール/水(4/6, 200ml)、次いでエタノール(2×200ml)で洗浄し、真空下で乾燥させて、36.4g(97%)の生成物を白色からオフホワイトの固体として得る。IPCは、流速0.8ml/分、試料濃度0.5mg/ml、波長273nm、35℃で、Waters T3 3μ 150×4.6mmを用いて行う。溶媒Aは水+0.1%TFA、溶媒Bはアセトニトリル+0.1%TFAであり、グラジエント条件は、0〜25分,A:B,9.5:0.5; 20〜21分,A:B,7.8:2.2; 21〜26分,A:B,9.5:0.5である。この物質を熱水(150ml)に溶解し、溶液を沸点に保ちながら、メタノール(500ml)を緩徐に添加し、次いで冷却する。生成物を濾過により収集し、メタノールで洗浄して、33.0g(88%)を得る。元素分析 C
13H
19N
5OS・1.4H
3PO
4・H
2Oの計算値: C,34.8; H,5.7; N,15.6; P,9.7. 測定値: C,34.5; H,5.6; N,15.5; P,9.9. δ
13C NMR(D
2O) 150.1, 146.6, 140.4, 133.7, 113.0, 102.5, 72.8, 58.5, 55.5, 47.6, 44.9, 34.0, 14.4.
【0125】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 D形:
化合物(XII)(2.48g,16.9mmol)を水/エタノール(4:1, 80ml)中で撹拌し、9−デアザアデニン(2.06g,15.3mmol)及びホルムアルデヒド溶液(1.11ml,38%)で処理する。混合物を周囲温度で2日間撹拌する。リン酸(2.25g,23.0mmol)の水溶液(水10ml)を調製する。この溶液の一部(6ml)を、撹拌しながら混合物に緩徐に添加する。種結晶(76mg)を添加し、混合物を1時間熟成させる。残りの酸性溶液を撹拌しながら緩徐に投入し、混合物を1時間熟成させる。エタノール(35ml)を容器に緩徐に投入し、混合物を1時間熟成させる。さらに、エタノール(60ml)を容器に緩徐に投入し、混合物を1時間熟成させる。混合物を濾過し、結晶をエタノール/水(40/60, 25ml)、次いでエタノール(2×25ml)で洗浄する。結晶を真空下で乾燥させて、白色からオフホワイトの固体として生成物4.7g(70%)を得る。
【0126】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 E形:
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩(1g)を水(18ml)中で撹拌し、40℃に加熱して溶解する。エタノール(2ml)を(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の結晶(25mg)と一緒に添加する。得られた混合物を約15℃まで冷却する。1時間後、エタノール(5ml)を撹拌溶液に添加する。さらに1時間後、エタノール(10ml)を撹拌溶液に添加する。さらに1時間後、エタノール(15ml)を添加し、スラリーを一晩撹拌する。混合物を濾紙上で濾過し、結晶をエタノール(約10ml)で洗浄する。結晶を真空下で乾燥させて、775mgの白色固体を得る。
【0127】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 F形:
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩(36.3g)を沸騰水(150ml)に溶解し、溶液を還流させながらメタノール(500ml)を緩徐に添加する。得られた混合物を15℃まで冷却し、18時間撹拌する。得られた結晶を濾過し、メタノール(約50ml)で洗浄し乾燥させて、白色固体33.0g(91%)を得る。
【0128】
実施例2(化合物(I)の硫酸塩、シュウ酸塩及びギ酸塩):
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール:
化合物(XII)(457mg,3.10mmol)を水/エタノール(4:1, 22.5ml)中で撹拌し、9−デアザアデニン(378mg,2.82mmol)及びホルムアルデヒド溶液(0.21ml,38%)で処理する。混合物を周囲温度で3日間撹拌する。硫酸溶液(2.8ml,1M)を添加する。エタノール(5ml)を添加する。混合物を0℃まで冷却し、15分間撹拌する。得られたスラリーを濾過し、結晶を乾燥させて、548mgの黄褐色の固体を得る。この固体の一部(300mg)をAmberlite FPA91−OH樹脂(約2g)を含む水(約10ml)中で30分間撹拌する。樹脂を濾過し、溶液を蒸発させて、143mgの白色固体(次のステップで使用される(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール)を得る。
【0129】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩:
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール(50mg,0.17mmol)を水(1.0ml)に溶解し、硫酸(0.17ml,1M,1.0当量)で処理する。IPA(0.4ml)を添加し、得られた溶液を4℃で保存し、油相の形成をもたらす。混合物を加温し、溶液を得て、エタノール(約0.2ml)で処理し、4℃で一晩保存し、溶液から固体の沈殿をもたらす。固体を濾紙上で濾過し、真空下で乾燥させる。
【0130】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩:
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール(50mg,0.17mmol)を水(1.0ml)に溶解し、シュウ酸二水和物(22mg,0.17mmol)で処理する。IPA(0.4ml)を添加し、得られた溶液を4℃で保存し、固体の形成をもたらす。固体を濾紙上で濾過し、真空下で乾燥させる。
【0131】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩:
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール(0.983g,3.35mmol)を水(3ml)に懸濁し、ギ酸(0.25ml,6.70mmol)を添加する。混合物を約40℃に加温し、溶解する。エタノール(約10ml)を添加する。混合物を乾燥するまで蒸発させ、水(2ml)に再懸濁し、アセトンを添加し(約30ml)、淡黄色の結晶(0.71g)の形成をもたらす。この物質の一部(0.65g)を水(2.5ml)に溶解し、アセトン(30ml)で希釈する。得られた結晶を濾過し、乾燥させて、0.55g(遊離塩基から52%の収率)のクリーム色の固体を得る。
【0132】
実施例3(本発明の化合物の粉末X線回折データ):
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 D形:
【表A】
【0133】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 E形:
【表B】
【0134】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩 F形:
【表C】
【0135】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールシュウ酸塩:
【表D】
【0136】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールギ酸塩:
【表E】
【0137】
(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オール硫酸塩:
【表F】
【0138】
実施例4(頭頸部癌、肺癌、乳癌、結腸癌、子宮頚癌又は前立腺癌に対する(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩の活性):
雌のNcr−Nuマウス(6〜8週齢)をNCI、NIHから得る。動物実験は、Animal Committee of the Albert Einstein College of Medicineの承認されたプロトコルのガイドラインに従って行う。同所性乳房脂肪パッド注射は、2.5×10
6MDA−MB−468生存細胞を75mlのPBS中に再懸濁し、部位あたり25mlのラット尾のI型コラーゲン(BD)と混合することにより、各マウスの2つの向かいあった鼠径部脂肪パッドで行う。36日目に、確立された腫瘍(約150mm
3)を有するマウスを各々5匹の動物の処置群又は対照群にランダムに割り当て、続いて、飲料水中の30.5mg/kg体重の(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩での処置、又は13mg/kgのメチルチオアデノシンあり若しくはなしでの24mg/kg体重の毎日の腹腔内(i.p.)注射を行う。腫瘍体積(V)は次のように決定される:V=(4/3)×(22/7)×1/8(長さ×幅×高さ)。処置コホート間の差は、スチューデントのt検定を用いて決定する。マウスは、脱毛、食欲不振、嘔吐及び下痢について監視して、4〜5日毎に秤量する。無処置の対照腫瘍は、35日間にわたって150〜400mm
3に成長する。用量24〜30.5mg/kgの(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、癌の成長を止めるのに等しく有効である。71日目に、処置されている動物を治療から解放して、再成長が無処置腫瘍の成長に等しいかどうかを確認する。逆に、大きい対照腫瘍を有する動物は、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩30mg/kg i.p.で処置される。処置の間、(3R,4S)−1−((4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)メチル)−4−(メチルチオメチル)ピロリジン−3−オールリン酸塩は、150mm
3の腫瘍における腫瘍の成長を完全に抑制する。薬物放出時に、腫瘍サイズは無処置の腫瘍の成長に比べて緩徐に大きくなる。大きい腫瘍は、腫瘍溶解の結果としてサイズが急速に減少する。腫瘍の大部分は2週間の処置期間にわたって消散する。
【0139】
本発明を特定の好ましい実施形態に関して説明してきたが、特許請求される発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。
【0140】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくさらなる修正が本明細書に記載の発明に対してなされ得ることが理解される。