【文献】
The Journal of Biological Chemistry,1999年,Vol.274 No.23,pp.16077-16084
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ケモカインは化学走性を示すサイトカインであって、様々な免疫細胞から分泌され、免疫細胞で発現されるケモカイン受容体と結合して免疫細胞の生体内移動性を促進させる作用をする。中でも、CCL3(CC type ligand 3)は、マクロファジを始めとする免疫細胞から分泌され、CCR1/CCR5(CC type receptor)を発現する樹状細胞、T細胞、単核球、好中球などの免疫細胞の移動性に関与すると知られているケモカインである(Cytokine & Growth Factor Reviews (2002) 13:455-481)。
【0003】
CCL3はMIP‐1α(Macrophage inflammatory protein‐1α)と知られており、マウスの場合は1つの亜型のみが存在するが、ヒトの場合は2つの亜型が存在する(Cytokine & Growth Factor Reviews (2002) 13:455-481)。したがって、マウスと相同性を有するものはα形態(LD78αもしくはCCL3α、以下、CCL3α)であり、進化過程中に遺伝子の変異によって生成されたβ形態(LD78βもしくはCCL3β、以下、CCL3β)を含む。
【0004】
従来に、CCL3は、マウスの骨髄内の未成熟血液幹細胞の分裂および分化を抑制させ、血中の免疫細胞の濃度を増加させることができると知られている(Nat Rev Immunol.(2006) 6(2):159-64)。そのため、種々の抗癌剤で現れるリンパ球減少症(Lymphopenia)の治療のための治療剤のターゲットとして用いられたことがある(Exp. Hematol. (1999) 27:195-202, Cytokine & Growth Factor Reviews (2002) 13:455-481)。また、血中の樹状細胞の濃度を増加させる効果も有するため、腫瘍特異的抗原を血液に露出させることができる治療法と併用する際に、新しい免疫抗癌剤としての潜在性を有し得ると知られている(Clin Cancer Res. (2008) 14(4):1159-1166, European Journal of Cancer (1998) 34(7):1023-1029)。
【0005】
一方、CCL3は半減期が非常に短く、高濃度で沈殿されるため、生物治療剤として直ちに用いるには適しない。CCL3の生体内半減期は、静脈投与時に、ヒトで約1.7時間以内と短い。そのため、CCL3を抗癌剤やリンパ球減少症治療剤として開発する場合、毎日投与しなければならないという欠点がある(European Journal of Cancer(1998)34(7):1023‐1029)。また、0.1mg/mLの低濃度でも、高分子物質の形成によって沈殿が形成されるという欠点がある(Blood. (1995) 86(12):4400-4408)。
【0006】
そこで、CCL3を医薬品または免疫抗癌剤として開発するために、野生型CCL3の一部のアミノ酸を置換または除去してCCL3変異体を製作することや、および/またはCCL3に高分子または追加タンパク質を融合させて融合タンパク質を製作することが考えられる。高分子または追加タンパク質の融合により、その半減期が増加し得ると知られている。例えば、ヒトアルブミンに活性タンパク質を結合させたり、ポリエチレングリコール(PEG)に結合されることができる。しかしながら、ヒトアルブミンの結合によっては、その滞留時間が僅かに増加するだけであり、PEG結合時には、立体障害によって受容体結合親和力が減少し得るという問題がある。
【0007】
これを考慮して、近年、免疫グロブリン(Ig)を用いた融合タンパク質によって生体内半減期を増加させるための研究および開発が試されている。ヒトIg(hIg)は、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEなどの様々な部類(class)を含み、ヒトIgGは、ヒトIgG1(hIgG1)、ヒトIgG2(hIgG2)、ヒトIgG3(hIgG3)、およびヒトIgG4(hIgG4)と知られた様々な亜型(subtypes)にさらに分類され得る。
【0008】
また、免疫グロブリンには4つのポリペプチド鎖が含まれるが、2つの重鎖(heavy chains)および2つの軽鎖(light chains)が四量体(tetramer)を形成するために二硫化結合(disulfide bonds)により連結されている。各鎖は可変領域(variable region)および不変領域(constant region)を含み、重鎖の不変領域は、アイソタイプ(isotypes)に応じて3つ(CH1、CH2、およびCH3)または4つ(CH1、CH2、CH3、およびCH4)の部位にさらに分類され、ヒンジ(hinge)、CH2、CH3および/またはCH4ドメインを含む。
【0009】
かかる技術背景下で、本出願の発明者らは、野生型CCL3αまたはCCL3βのN‐末端アミノ酸が欠失し、特定位置のアミノ酸が、野生型CCL3αまたはCCL3β中の同一位置のアミノ酸と異なって置換されたCCL3変異体および免疫グロブリンFc領域を含む融合タンパク質の場合、生体内半減期を増加させ、安定性を改善するとともに、薬効向上の効果を奏することができることを確認し、本発明を完成した。
【発明を実施するための形態】
【0024】
他の方式で定義されない限り、本明細書において使用されたあらゆる技術的・科学的用語は、本発明が属する技術分野に熟練した専門家によって通常理解されるものと同じ意味を有する。通常、本明細書において使用された命名法及び以下で詳述する實驗方法は、本技術分野において周知であり、しかも汎用されるものである。
【0025】
タンパク質の半減期を増加させるための通常の様々な持続型技術のうちFc融合技術は、体内半減期が増加し、且つ毒性や免疫反応誘発などのような副作用の懸念が少ないという点から、最も多く活用されている。Fc融合CCL3および/またはその変異体を持続型治療用薬物として開発するためには、次のような様々な条件を満たさなければならない。
【0026】
第一に、融合によるインビトロ活性の減少が少なくなければならない。一般に、ケモカインのように小さいタンパク質は、大きさが相対的に大きいFcと融合させる場合、融合位置およびリンカーによってその活性が大きく変わると知られている。したがって、CCL3および/またはその変異体とFc融合タンパク質の活性は、融合有無または位置によって変わり得る。
【0027】
第二に、殆どのバイオ医薬品は、患者で免疫原性が発生し得るという点を考慮すると、融合リンカーまたは突然変異による免疫原性の危険性が少なくなければならない。
【0028】
第三に、融合位置や突然変異の導入による安定性の問題がないべきである。
【0029】
第四に、融合した免疫グロブリンの種類(isotype)によっては、不所望の免疫反応を引き起こし得るため、これに対する代案が必要である。
【0030】
このような条件を考慮して、本出願の発明者らは、CCL3の生理学的活性および物性を改善すべく努力した結果、CCL3の特定位置に突然変異を導入し、人為的にN‐末端アミノ酸を除去して、免疫グロブリンFc領域を結合させる場合、CCL3の活性を高め、且つ生体内露出程度および半減期が増加し、薬理効能が改善されることを確認した。
【0031】
これに基づき、一観点において、本発明は、次の変異を含むCCL3(CC type ligand 3)変異体と免疫グロブリンFc領域を含む融合タンパク質に関する:(1)野生型CCL3のN末端から1つまたは2つのアミノ酸が欠失;および(2)野生型CCL3のN末端から27番アスパラギン酸がアラニンで置換。
【0032】
前記CCL3は、樹状細胞およびT細胞、単核球、好中球などの免疫細胞の移動性の恒常性において重要な役割をすると知られているケモカインであって、ヒト、マウス、ブタ、サルなどの哺乳類由来のものであってもよい。例えば、ヒトの場合、2つの亜型が存在する。マウスと相同性を有するものはα形態(以下、CCL3α)であり、進化過程中に遺伝子の変異によって生成されたβ形態(以下、CCL3β)を含む。具体的に、前記野生型CCL3は、例えば、配列番号1で表示される配列を含むヒト野生型CCL3αまたは配列番号3で表示される配列を含むヒト野生型CCL3βタンパク質であってもよい。
【0033】
具体的に、前記野生型CCL3は、例えば、配列番号1で表示される配列を含むヒト野生型CCL3αまたは配列番号3で表示される配列を含むヒト野生型CCL3βタンパク質であってもよい。
【0034】
一実施例において、前記CCL3変異体は、配列番号1で表示される配列を含むヒト野生型CCL3αのN−末端から一番目のアミノ酸であるアラニンが欠失され、N−末端から27番アスパラギン酸がアラニンで置換されたCCL3α変異体を含んでもよい。前記CCL3α変異体は、例えば、配列番号2で表示される配列を含んでもよい。
【0035】
さらに他の実施形態において、前記CCL3変異体は、配列番号3で表示される配列を含むヒト野生型CCL3βのN−末端から2つのアミノ酸であるアラニン-プロリン(AP)が欠失され、N−末端から27番アミノ酸であるアスパラギン酸がアラニンで置換されたCCL3β変異体を含んでもよい。 前記CCL3β変異体は、例えば、配列番号4で表示される配列を含んでもよい。
【0036】
本明細書において使用された「Fc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域及び軽鎖の不変領域1(CL1)を 含まないタンパク質を意味し、前記Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびIgDで構成された群から選択された一つ以上のFc領域 、これの断片またはこれらの組み合わせを含むハイブリッドFcであってもよい。
【0037】
一実施例において、前記ハイブリッドFcは、例えば、IgDヒンジ領域およびCH2 N‐末端領域+IG4 CH2およびCH3領域を含んでもよく、例えば、配列番号14で表される配列を含んでもよい。前記ハイブリッドFcとしては、例えば、韓国登録特許第0897938号に開示のハイブリッドFcの形態を同様に借用して使用可能であり、本明細書に参照として組み込まれる。
【0038】
さらに他の実施形態において、前記Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4で構成された群から選択された一つ以上のFc領域、これの断片またはこれらの組み合わせを含むハイブリッドFcであってもよい。
【0039】
前記Fc領域は、免疫グロブリンを構成するFc領域全体を含んでもよく、場合によって、これの断片またはFc領域変異体を含んでもよい。一部のアミノ酸が置換されているかまたは、互いに異なる種類のFc領域を組み合わせたFc領域変異体が含まれてもよい。Fc領域変異体は、ヒンジ部位で切断されることを予防するために変形されてもよい。また、前記Fcのヒンジ配列は、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(antibody dependent cell mediated cytotoxicyty: ADCC )または補体依存性細胞毒性(complement dependent cytotoxicity: CDC )を減少させるためにアミノ酸配列の一部が置換されてもよい。また、前記Fcのヒンジ配列は、Fab領域の再配列を抑制するためにアミノ酸配列の一部が置換されてもよい。さらに、Fc領域C−末端のリシン(K)は除去されることができる。
【0040】
また、本発明のFc断片は、野生型糖鎖、野生型に比べて増加された糖鎖、野生型に比べて減少された糖鎖、または糖鎖が除去された形態であってもよい。前記糖鎖の増加、減少、または除去は、化学的方法、酵素的方法、および微生物を用いた遺伝工学的エンジニアリング方法などのような当業界で公知された通常の方法により行われることができる。
【0041】
前記免疫グロブリンFc領域は、CCL3変異体がFc領域のN末端またはC末端に直接連結された形態であってもよく、リンカーを介して連結された形態であってもよい。前記免疫グロブリンFc領域がCCL3変異体と直接連結された形態である場合、例えば、本発明は、配列番号2のCCL3α変異体または配列番号4のCCL3β変異体が配列番号14のFc領域のN末端またはC末端に連結された形態であってもよい。CCL3とFcの 連結形態は、CCL3がFc領域 のN末端に連結された形態が好ましい。
【0042】
リンカーを介して連結される場合、前記リンカーは、Fc断片のN末端、C末端、または遊離基(free radical)に連結されてもよく、CCL3変異体のN末端、C末端または遊離基に連結されてもよい。リンカーがペプチドリンカーである場合、任意の部位で連結がなされてもよい。例えば、前記リンカーが前記免疫グロブリンFc領域のC末端および前記CCL3変異体のN末端に連結されてもよい。
【0043】
リンカーおよびFcが別に発現されてから互いに結合される際に、リンカーは、当業界に公知の架橋剤であってもよい。前記架橋剤は、例えば、1、1-ビス (ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン)(1,1-bis(diazoacetyl)-2-phenylethane)、グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)、4-アジドサリチル酸(4-azidosalicylic acid)のようなN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(N-hydroxysuccinimide ester)、3、3'- ジチオビス (スクシンイミジルプロピオン酸) (3,3'-dithiobis(succinimidylpropionate))のようなスクシンイミジルエステル(disuccinimidyl esters)を含むイミドエステル (imidoesters), およびビス-N-マレイミド-1、8-オクタンのような2官能性マレイミド(bifunctional maleimides)であってもよいが、これに限定されない。
【0044】
また、前記リンカーはペプチドであってもよい。具体的に、前記リンカーは10〜30個のアミノ酸残基で構成されたペプチドであってもよい。一実施例において、前記免疫グロブリンFc領域は、下記式1で表されるリンカーを介してCCL3変異体に連結されてもよい:
(RNT)
nGRGG(EEKKK)m (式1)
前記式中、nおよびmはそれぞれ1〜5である。前記式中、nは、アルギニン‐アスパラギン‐トレオニンアミノ酸の繰り返し回数、mは、グルタミン酸‐グルタミン酸‐リジン‐リジン‐リジンアミノ酸の繰り返し回数を表し、nおよびmはそれぞれ1〜3であることが好ましい。
【0045】
一実施例において、前記リンカーは、nおよびmそれぞれが1〜3であってもよいことを考慮して、配列番号5〜13番で構成された群から選択されたいずれか1つの配列を含んでもよい。
【0046】
本発明に係具体的な実施例では、RNTGRGGEEKKK (配列番号5)の配列を含むリンカーを介して免疫グロブリンFc領域がCCL3変異体と連結された構造を含む。実験例によると、配列番号5で表示される配列を含むリンカーを介して免疫グロブリンFcに結合されたCCL3変異体を含む融合タンパク質が優れた化学走性を有することを確認した。
【0047】
前記融合タンパク質は、1つ以上のCCL3変異体が結合された形態である二量体または多量体CCL3変異体が免疫グロブリンのFc領域に結合された形態であってもよい。また、CCL3変異体が結合された免疫グロブリンのFc領域が2つ以上結合された二量体または多量体の形態であってもよい。
【0048】
他の観点において、本発明は、前記CCL3変異体を含む融合タンパク質をコードする核酸に関する。
【0049】
前記CCL3変異体を含む融合タンパク質をコードする核酸を分離してCCL3変異体を含む融合タンパク質を組換え的に産生することができる。核酸を分離して、これを複製可能なベクター内に挿入して追加でクローニングしたりまたは追加で発現させる。これを基に、さらに他の観点において、本発明は前記核酸を含むベクターに関する。
【0050】
本明細書で使われる用語「核酸」は、DNA(gDNAおよびcDNA)およびRNA分子を包括的に含む意味を有して、核酸で基本構成単位であるヌクレオチドは、自然のヌクレオチドだけでなく、糖または塩基部位が変形された類似体(analogue)も含む。本発明のCCL3変異体を含む融合タンパク質をコードする核酸の配列は変形され得る。前記変形は、ヌクレオチドの追加、欠失、または非保存的置換または保存的置換を含む。
【0051】
本発明の核酸は、前記ヌクレオチド配列に対し実質的な同一性を示すヌクレオチド配列も含むものと解釈される。実質的な同一性とは、本発明の核酸配列と任意の他の配列を最大限対応するようにアラインして、当業界で通常利用されるアルゴリズムを利用してアラインされた配列を分析した場合、最小80%の相同性、より好ましくは90%の相同性、最も好ましくは最小95%の相同性を示す核酸配列を意味する。
【0052】
前記CCL3変異体を含む融合タンパク質をコードする DNAは、通常の過程を使用して容易に分離または合成する。
【0053】
本発明で使用する用語「ベクター(vector)」とは、宿主細胞で目的遺伝子を発現させるための手段として、プラスミドベクター; コスミドベクター; バクテリオファージベクター; およびアデノウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびアデノ−関連ウイルスベクターのようなウイルスベクターを含む。許容可能なベクターの成分には、一般に信号配列、複製基点、一つ以上のマーカー遺伝子、増強因子要素、プロモーター、および転写終結配列中の一つ以上が含まれるが、それに制限されない。
【0054】
前記ベクターでCCL3変異体を含む融合タンパク質をコードする核酸は、プロモーターに作動的に連結されている。
【0055】
用語「作動的に連結された(operatively linked)」とは、核酸発現調節配列(例えば、プロモーター、シグナル配列、または転写調節因子結合位置のアレイ)と他の核酸配列との間の機能的な結合を意味して、これによって前記調節配列は、前記他の核酸配列の転写および/または、解読を調節するようになる。
【0056】
使用されるベクターが原核細胞を宿主とする場合には、転写を進行させることができる強力なプロモーター(例えば、tacプロモーター、lacプロモーター、lacUV5 プロモーター、lppプロモーター、pLλプロモーター、pRλプロモーター、 rac5プロモーター、ampプロモーター、recAプロモーター、SP6プロモーター、trpプロモーターおよびT7プロモーターなど)、解読の開始のためのリボソーム結合部位および転写/解読終結配列を含むことが一般的である。また、例えば、ベクターが真核細胞を宿主とする場合には、ほ乳動物細胞のゲノムから由来したプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター、β−アクチンプロモーター、ヒトヘモグロビンプロモーターおよびヒト筋肉クレアチンプロモーター)またはほ乳動物ウイルスから由来したプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVの長い末端反復部(LTR)プロモーター、モロニー(moloney)ウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)のプロモーターおよびラウス肉腫ウイルス(RSV)のプロモーター)が利用でき、転写終結配列としてポリアデニル化配列を一般的に有する。
【0057】
場合により、ベクターは、それから発現されるCCL3変異体を含む融合タンパク質の精製を容易にするために、他の配列と融合されてもよい。融合される配列は、例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(Pharmacia, USA) 、マルトース結合タンパク質(NEB, USA)、FLAG(IBI, USA) および6x His(hexahistidine; Quiagen, USA) 等がある。
【0058】
前記ベクターは、選択標識として当業界で通常使用される抗生剤耐性遺伝子を含み、例えば、アンピシリン、ゲンタマイシン、カルベニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ジェネテシン、ネオマイシンおよびテトラサイクリンに対する耐性遺伝子がある。
【0059】
さらに他の観点においで、本発明は、上述したベクターで形質転換された細胞に関する。前記細胞は原核生物、酵母または 高等真核生物細胞であってもよいが、これに制限されない。
【0060】
本発明において、前記形質転換された細胞として、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチルスおよびバチルス・チューリンゲンシスのようなバチルス属菌株、ストレプトミセス(Streptomyces)、 シュードモナス(Pseudomonas) (例えば、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida), プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)またはスタフィロコッカス(Staphylococcus)(例えば、スタフィロコッカス・カルノーサス) (Staphylocus carnosus)のような原核宿主細胞を利用することができる。
【0061】
但し、動物細胞に対する関心が最も大きく、有用な宿主細胞株の例は、COS-7、BHK、 CHO、CHOK1、DXB-11、DG-44、CHO/-DHFR、CV1、COS-7、HEK293、BHK, TM4、VERO、HELA、MDCK、BRL 3A、W138、Hep G2、SK-Hep、MMT、TRI、MRC 5、FS4、T3、RIN、A549、PC12、K562、PER.C6、SP2/0、NS-0、U20SまたはHT1080であってもよいが、これに制限されない。
【0062】
さらに他の観点においで、本発明は、(a)前記細胞を培養するステップと(b)前記培養された細胞から融合タンパク質を回収するステップと、を含む、CCL3変異体を含む融合タンパク質の製造方法に関する。
【0063】
前記細胞は、各種培地で培養することができる。市販用培地から制限せず培養培地を使用することができる。当業者に公示されているその他いずれの必須補充物が適当な濃度で含まれてもよい。培養条件、例えば、温度、pHなどが、発現のために選別された宿主細胞と共にすでに使用されていて、これは当業者に明白である。
【0064】
前記CCL3変異体を含む融合タンパク質の回収は、例えば遠心分離または、限外ろ過によって不純物を除去して、その結果を、例えば、アフィニティークロマトグラフィーなどを利用して精製することができる。さらにその他の精製技術、例えば陰イオンまたは、陽イオン交換クロマトグラフィー、疏水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどが使用され得る。
【0065】
さらに他の観点においで、本発明は、前記CCL3変異体を含む融合タンパク質 を含む薬学組成物に関する。
【0066】
前記薬学組成物は、治療有効量のCCL3変異体を含む融合タンパク質および薬学的に許容される担体を含んでもよい。「薬学的に許容される担体」とは、製剤を製剤化または安定化させることを助けるために活性成分に追加できる物質であって、患者に有意な有害毒性効果を引き起こさない。
【0067】
前記担体は、患者を刺激せずに投与化合物の生物学的活性および特性を阻害しない担体または希釈剤をいう。液状溶液に製剤化される組成物において許容される薬学的担体としては、滅菌および生体に適したものであって、生理食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、およびこれらの成分のうち1成分以上を混合して使用することができ、必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加してもよい。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。
【0068】
薬学的に許容される担体は、滅菌注射可能な溶液剤または分散液剤を即時投与用(extemporaneous)に製造するための滅菌水溶液または分散液および滅菌粉末を含む。製薬活性物質のためのこのような媒質および作用剤の使用は、当業界に公知されている。組成物は、好ましくは、非経口注射用として製剤化される。組成物は、溶液剤、マイクロエマルション剤、リポソーム剤、または高い薬物濃度に適したその他の要求される構造物として製剤化されることができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、並びにこれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒質であってもい。一部の場合において、組成物中に、等張化剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含ませてもよい。滅菌注射可能な溶液剤は、必要量の活性化合物を、必要に応じて前記記載の成分の1種またはこれらの組み合わせ物とともに、好適な溶媒中に組み込んだ後、滅菌マイクロ濾過を行うことで製造されることができる。一般に、分散液剤は、活性化合物を、基本的な分散媒質および上記に記載のものからのその他の必要な成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことで製造される。滅菌注射可能な溶液剤を製造するための滅菌粉末の場合、一部の製造方法は、活性成分、および任意の追加の所望の成分の粉末を、予め滅菌‐濾過したその溶液から生成する真空乾燥および冷凍‐乾燥(凍結乾燥)である。
【0069】
また、本発明は、前記CCL3変異体を含む融合タンパク質を含むCCL3-関連障害の治療または予防用組成物、または治療が必要な個体にCCL3変異体を含む融合タンパク質を投与することを含むCCL3-関連障害を治療または予防する方法に関する。
【0070】
前記CCL3-関連障害は、例えば、リンパ球減少症、各種癌、感染症を含むことができる。本発明によるCCL3変異体を含む融合タンパク質は、放射線の照射により誘発された癌細胞の死滅反応と連携して、免疫機能の活性化による癌組織および/または癌細胞の死滅を誘導することができる。これに基づき、一実施例において、癌治療または予防のための放射線治療の併用または補助用組成物であってもよい。
【0071】
前記放射線としては、例えば、ガンマ線またはX線が挙げられ、これに制限されないが、0.1〜50Gyの線量で照射してもよく、好ましくは0.1〜10Gyの線量で照射してもよい。前記放射線の照射量は、放射線の副作用による免疫低下などを考慮して適切な範囲内で調節可能である。
【0072】
前記CCL3変異体を含む融合タンパク質は、如何なる経路で投与されてもよい。例えば、直接的(例えば、組織部位に注入、移植、または局部的に投与することで、局所的に)またはシステム的(例えば、非経口または経口)に任意の適切な手段により動物に提供されることができる。
【0073】
静脈内、皮下、眼(ophthalmic)、腹腔内、筋肉内、口腔、直腸、眼窩内(intraorbital)、脳内(intracerebral)、頭蓋内(intracranial)、脊髄内(intraspinal)、脳室内(intraventricular)、髄腔内(intrathecal)、槽内(intracisternal)、嚢内(intracapsular)、鼻腔内(intranasal)、またはエアゾール投与のように非経口的に提供される場合、例えば、水性(aqueous)であるか、生理学的に適用可能な体液懸濁液または溶液の部分を含んでもよい。これにより、担体または伝達体(vehicle)が生理学的に許容可能であるため、融合タンパク質に添加して患者に伝達されることができる。したがって、製剤のための体液のような担体として、一般に生理食塩水を含んでもよい。
【0074】
投与頻度は、用いられる製剤中のCCL3変異体を含む融合タンパク質の薬動学的パラメータによって変わり得る。典型的に、臨床医は、目的とする効果を達成する投与量に達するまで投与することができる。したがって、単一用量で、時間間隔をあけて2回以上の用量(同一量の目的融合タンパク質を含有しても含有しなくてもよい)で、または移植装置もしくはカテーテルによる連続注入で投与されてもよい。適切な投与量のさらなる高精度化は当業者により日常的になされるものであって、彼らによって日常的に行われる業務領域内に該当する。
【0075】
単位投与量は、ヒトにおいて、0.01μg/体重kg〜100mg/体重kgであり、具体的に、1μg/体重kg〜30mg/体重kgである。前記含量が最適量であるが、治療対象疾患および副作用の有無によって変わり得て、最適の投与量は、通常の実験により決定されることができる。融合タンパク質の投与は、周期的なボーラス投与(periodic bolus injections)によって行われてもよく、外側供給源(external reservoir)(例えば、静脈注射保有バック(intravenous bag))または内側(例えば、生体侵食性インプラント(bioerodable implant))からの持続的な静脈内、皮下、または腹膜内投与によって行われてもよい。
【0076】
投与頻度は状態の重症度によって変わる。頻度は、1週当たり3回〜毎1週または2週毎に1回の範囲であってもよい。
【0077】
場合によって、前記CCL3変異体を含む融合タンパク質は、他の生物学的活性分子とともに対象受容体に投与されてもよい。しかし、融合タンパク質および他の分子の最適の組み合わせ、投与形態、定量は、当業界で公知された通常の実験により決定されることができる。
【0078】
本発明で用いられ「治療有効量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な受益/危険の割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、本発明によるCCL3変異体を含む融合タンパク質の量を意味する。正確な量は、治療組成物の成分および物理的特徴、意図された患者集団、個々の患者の考慮事項などを含んで決定されるが、これに制限されずに多くの因子によって変わり得て、当業者が容易に決定することができる。これらの要因を完全に考慮すると、副作用なしに最大効果を得るのに十分な最小量を投与することが重要で、この服用量は、当該分野の専門家によって容易に決定されることができる。
【0079】
本発明の薬剤学的組成物の服用量は、特に限定されないが、患者の健康状態及び体重、疾患の重症度、薬剤の種類、投与経路及び投与時間を含んだ多様な要因により変わる。組成物は一日に1回量または、多数回容量でラット、ネズミ、家畜、ヒトなどを含む哺乳類内に典型的に許された経路、例えば、経口に、直腸に、静脈に(intravenously)、皮下に(subcutaneously)、子宮内に(intrauterinely)または脳血管内に(intracerebrovascularly)投与されてもよい。
【0080】
さらに他の観点においで、本発明は、次の変異を含むCCL3(CC type ligand 3)変異体に関する:
(1)野生型CCL3βのN末端から1つまたは2つのアミノ酸が欠失;およ
(2)野生型CCL3βのN末端から27番アスパラギン酸がアラニンで置換。
【0081】
一実施例において、前記CCL3変異体は、例えば、配列番号4で表示されるの配列を含んでもよい。本発明のCCL3β変異体は上述の構成を同様に含み、重複構成についての説明は、CCL3β変異体に関する発明にも同様に適用される。
【0082】
本発明で用いられる技術用語および科学用語は、特に定義されない限り、この発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が一般的に理解する意味を有する。また、従来と同一の技術的構成および作用についての繰り返される説明は省略する。
【0083】
実施例
以下、本発明を具体的な実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、本発明は下記実施例によって限定されず、本発明の思想と範囲内で様々な変形または修正が可能であることは、通常の技術者にとって自明である。
【0084】
製造例1.CCL3変異体を含む融合タンパク質の製造および精製
CCL3‐Fc構造において、CCL3の物性、活性プロファイルを改善させるために、CCL3に対する突然変異の研究を行った。
【0085】
具体的に、CCL3タンパク質のα形態(以下、CCL3α)とβ形態(以下、CCL3β)の活性差が、Fc融合後にも維持されるかを調べるために変異体を考案した。また、Fc融合タンパク質形態でCCL3の沈殿形成を抑制するために、27番のアスパラギン酸をアラニンで置換した変異体を考案した。
【0086】
下記表1に、CCL3に導入された突然変異の位置、配列情報、目的、および各突然変異の期待効果をまとめた。
【0088】
3つの構成要素は、N‐末端からC‐末端に、CCL3変異体、リンカー、および融合キャリアの順に発現されるように発現ベクターにアミノ酸をコードした。下記表2に、CCL3変異体融合タンパク質の記号、CCL3に導入された突然変異配列、融合キャリア配列、リンカー配列をまとめた。
【0090】
CCL3変異体融合タンパク質を生産するために、各CCL3変異体融合タンパク質のアミノ酸配列に基づき、それをコードするヌクレオチド配列を(株)バイオニア社(韓国)に依頼して合成した。各CCL3変異体融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の5´末端と3´末端にそれぞれNheIとNotI制限酵素配列を添加し、5´末端の制限酵素配列の後に、タンパク質翻訳のための開始コドンと、発現されたタンパク質を細胞の外に分泌させる誘導配列を挿入した。各CCL3変異体融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の後には終止コドンを挿入した。NheIとNotIの2つの制限酵素配列を用いて、各CCL3変異体融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列をpTrans‐empty発現ベクターにクローニングした。前記pTrans‐empty発現ベクターはCEVEC社(ドイツ)から入手し、CMVプロモーター、pUC由来複製起源、SV40由来複製起源、アンピシリン耐性遺伝子を有する簡単な構造の発現ベクターである。
【0091】
製造例1‐2.CCL3変異体融合タンパク質の発現のためのプラスミドDNAの製作
製造例1‐1で製作した各発現ベクターを大腸菌に形質転換することで、発現に用いられる多量のプラスミドDNAを得た。各発現ベクターは、細胞壁が弱化した大腸菌中に熱ショックにより形質導入し、LBプレートに塗抹してコロニーを確保した。確保されたコロニーをLB培地に接種した後、37℃で16時間培養することで、各発現ベクターを細胞中に有する大腸菌をそれぞれ100mLずつ確保した。確保された大腸菌は、遠心分離により培養培地を除去した後、P1、P2、P3溶液(QIAGEN、Cat# 12963)を添加して細胞壁を破砕し、タンパク質とDNAを分離したDNA混濁液を確保した。Qiagen DNA精製カラムを用いて、確保したDNA混濁液からプラスミドDNAを精製した。溶出されたプラスミドDNAをアガロースゲル電気泳動により確認し、ナノドロップ機器(Thermo scientific、Nanodrop Lite)を用いて濃度および純度を測定した後、発現に用いた。
【0092】
製造例1‐3.CAP‐T細胞で融合タンパク質の発現
製造例1‐2で分離した各プラスミドDNAでヒト細胞株を形質転換した。PEM培地(Life technologies)で培養中のCAP‐T細胞(CEVEC)に、PEI溶液(Polyplus, Cat# 101-10N)を用いて各プラスミドDNAを形質導入した。DNAとPEI溶液の混合液を、Freestyle293発現培地(インビトロジェン社)を用いて懸濁した細胞に混合し、37℃で5時間培養した後、PEM培地を添加した。37℃で5‐7日間培養した後、遠心分離により細胞を除去することで、CCL3変異体融合タンパク質が含まれた上清を確保した。
【0093】
製造例1‐4.CCL3変異体融合タンパク質の精製
CCL3変異体融合タンパク質を含む培養上清から0.2μmフィルターにより不純物を除去した後、タンパク質Aアフィニティクロマトグラフィーカラム(GE Healthcare)を1XPBS(pH7.4)緩衝液で平衡化した。1XPBS(pH7.4)緩衝液でカラムを洗浄した後、100mMのグリシン(pH3.0)緩衝液でタンパク質を溶出した。アフィニティクロマトグラフィーにより得たCCL3A‐H05融合タンパク質(配列番号15)はハイドロキシアパタイトタイプI(Ceramic Hydroxyapatite type I, 40 μM, Bio-rad)、CCL3B‐H05融合タンパク質(配列番号16)およびCCL3B‐H40融合タンパク質(配列番号17)はハイドロキシアパタイトタイプIIカラムを用いて精製した。ハイドロキシアパタイトカラムを20mMのリン酸ナトリウム(sodium phosphate、pH7.2)緩衝液で平衡化した後、アフィニティクロマトグラフィーで溶出されたCCL3変異体融合タンパク質をローディングした。具体的に、20mMのリン酸ナトリウム(pH7.2)緩衝液でカラムを洗浄し、20mMのリン酸ナトリウム(pH7.2)緩衝液を濃度勾配で流した後、溶出された分画を分析した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC‐HPLC)実験法を用いて各分画を分析し、高純度のCCL3変異体融合タンパク質が存在する部分を集めた後、最終緩衝液1XPBSで4℃で一晩透析した。30,000分子量カットオフの遠心分離フィルターを用いて、透析後に得られたタンパク質原液を3000rpm、4℃で濃縮した。CCL3変異体融合タンパク質の濃度はBCA定量分析により測定した。
【0094】
実験例1.融合タンパク質のインビトロ活性測定結果
実験例1‐1.リンカー配列による活性測定結果
上記の製造例で製造されたCCL3変異体融合タンパク質CCL3B‐H05、CCL3B‐H40のインビトロ活性を測定した。
【0095】
具体的に、融合タンパク質のインビトロ活性を評価するために、CCL3の収容体であるCCR1とCCR5が発現されているTHP‐1細胞株(ATCC)を用いた。活性を評価するために、製造例で得られた融合タンパク質が含まれた濃縮物を、分析用培地を用いて100μg/mLの濃度から2倍系列希釈して準備し、THP‐1細胞株は、分析用培地に交替した後、5,000,000cells/mLに希釈して準備した。ポリカーボネートトレンスウェルシステムを用いて、下側のウェルには、希釈した融合タンパク質600μLを処理し、上側のインサートには、希釈したTHP‐1細胞株100μLを処理した後、37℃、5%のCO
2インキュベーターで反応させた。24時間後にインサートを除去した後、トリパンブルー溶液で染色し、移動した細胞個数を細胞計数器を用いて測定した。活性は、分析用培地のみを処理した対照群の細胞数に対する最多移動細胞数の増加量を計算して比較し、その結果を
図1に示した。
【0096】
図1に示されたように、リンカーによる活性測定の結果、融合タンパク質CCL3B‐H05が、CCL3B‐H40に比べて化学走性に優れていることが確認された。
【0097】
実験例1‐2.CCL3変異体による活性測定結果
上記の製造例で製造された配列番号15の配列を含む融合タンパク質CCL3A‐H05、配列番号16の配列を含む融合タンパク質CCL3B‐H05のインビトロ活性を測定した。
【0098】
具体的に、製造例で得られた融合タンパク質が含まれた濃縮物を、実験例1‐1と同様の方法により融合タンパク質の化学走性を測定し、その結果は
図2に示した。
【0099】
実験例1‐3.CCL3変異体による活性測定結果
上記の製造例で製造された配列番号15の配列を含む融合タンパク質CCL3A‐H05、配列番号16の配列を含む融合タンパク質CCL3B‐H05のインビトロ活性を測定した。
【0100】
具体的に、融合タンパク質の受容体CCR1に対する反応性を評価するために、CCL3の収容体であるCCR1が発現されているTango
TM CCR1‐bla U2OS DA細胞株および分析用キット(Invitrogen, Cat# K1793)を用いた。活性を評価するために、Tango
TM CCR1‐bla U2OS DA細胞株を基本培地(FreeStyle
TM Expression Medium)で312,500cells/mLに希釈して準備し、384ウェルプレート(Corning, Cat# 3712)に32μL添加した後、37℃、5%のCO
2インキュベーターで16〜24時間保管した。製造例で得られた融合タンパク質が含まれた濃縮物を、分析用培地(0.5% DMSO in FreeStyle
TM Expression Medium)を用いて処理濃度より5倍高いCCL3は10μM、CCL3A‐H05、CCL3B‐H05は25μMから2倍系列希釈して準備した。準備した融合タンパク質を、細胞のあるウェルに8μLずつ添加し、実際の濃度がCCL3は2μM、CCL3A‐H05、CCL3B‐H05は5μMから2倍系列希釈された融合タンパク質が処理されるようにし、37℃、5%のCO
2インキュベーターで5時間反応させた。分析用キットに含まれている溶液を用いて6X基質混合液(6 μL of 1 mM LiveBLAzerTM-FRET B/G (CCF4-AM) Substrate + 60 μL of solution B + 904 μL of Solution C + 30 μL of Solution D)を製造した後、融合タンパク質を処理した384ウェルプレートに8μLずつ添加し、常温で2時間反応させた。マイクロプレートリーダー(Moluecular devices, Flexstation 3)で測定し、反応した細胞と反応しなかった細胞との比率 (Blue/Green Emission ratio)を計算した。その結果を
図3に示した。
【0101】
図3に示されたように、CCL3は0.63nM、CCL3A‐H05は16.0nM、CCL3B‐H05は11.6nM水準のCCR1受容体反応性を確認した。
【0102】
実験例2.融合タンパク質の物性評価
実験例2‐1.安定性評価の実験方法
サンプルの初期状態でのタンパク質凝集体の量を測定するために、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC‐HPLC)方法を用いて高分子量凝集体の含量(%HMW)を測定した。
【0103】
具体的に、SEC‐HPLC方法では、東ソー(Tosoh)モデルTSK‐GEL G3000SW
XLカラムを用いた。緩衝液1XPBSをカラムに1mL/minの流速で流して平衡化させた。30,000分子量カットオフの遠心分離フィルターを用いて、製造例1‐4で得られたCCL3B‐H05タンパク質原液を3000rpm、4℃で9.5mg/mL以上の標的濃度に濃縮した。BCA定量分析により各サンプルの濃度を測定した後、安定性の評価のために、試料を−70℃で5週間保管した。高分子量凝集体の比率(%HMW)を測定するために、9.57mg/mLのサンプルを1XPBSで希釈して1mg/mLとなるようにした後、SEC‐HPLCカラムに100μLを注入して分析した。
【0104】
その結果、表3に示されたように、CCL3B‐H05は、%HMWが低いことが確認された。これは、D27A突然変異が導入されることにより、Fc融合によって妨害されることなくCCL3変異体融合タンパク質の物性が改善され、%HMWが大幅で減少したのである。
【0106】
表3に示されたように、保管初期(保管0日)での%HMWは、保管5週経過時に、−70℃の条件で増加せずに維持される様相を示した。これは、突然変異にかかわらず、融合タンパク質CCL3B‐H05の安定性が維持されることを示す。
【0107】
実験例3.融合タンパク質の薬動力学測定
実験例3‐1.薬動力学測定の実験方法
(株)オリエントバイオ(Orient BIO、韓国)で購入した7週齢の雄C57BL/6マウスを、薬物処理日の前日に、体重の平均値がほぼ等しくなるように群分け(採血時間当たりn=3)した後、サンプルをそれぞれ3mg/kg、10mg/kgの用量で単回静脈投与した。血液サンプルは、0.083、0.5、1、4、8、12、24、48、72、96、および144時間後に収集した。融合タンパク質の血中濃度を測定するために、本試験では、CCL3に対して免疫反応性を有するHuman CCL3/MIP‐1α Quantikine ELISA kit(R&D systems, Cat# SMA00)を用いた。マウスに各融合タンパク質を静脈注射した後、144時間までの血液サンプルのCCL3B‐H05の血中濃度を測定し、薬物動態パラメータを算出した。
【0108】
実験例3‐2.薬動力学活性測定結果
マウスに融合タンパク質を静脈投与した後、時間による血中濃度グラフ(
図4)に基づいて薬物動態パラメータを算出し、下記表4に示した。
【0110】
薬物の露出程度を表すAUC(Area Under the Curve)を基準として、融合タンパク質の薬動力学プロファイルを比較評価した。
【0111】
表4に示されたように、CCL3B‐H05を3、10mg/kgの用量でマウスに静脈投与した時に、略用量に比例して体内露出度が増加した。また、クリアランス(CL)と分布容積(Vd
ss)は、用量毎に大きく変わらず、3〜10mg/kgの用量範囲でlinear PKを示すことが確認された。CCL3B‐H05の半減期(t
1/2)は、3、10mg/kgの用量毎にそれぞれ20.4hr、45.6hrであって、CCL3の半減期(ヒトに静脈投与時に1.7hr以内)に比べて約12〜27倍増加することが確認された。一般に、マウスでの半減期がヒトでの半減期よりも短いことを考慮すると、マウスでCCL3の半減期に対するCCL3B‐H05の半減期の増加幅はさらに大きいと予想される。
【0112】
実験例4.マウスにおける融合タンパク質の活性評価
実験例4‐1.BNL 1ME A.7R.1肝癌同種移植マウスでの坑癌効能の実験方法
(株)オリエントバイオ(Orient BIO, Korea)で購入した6週齢の雄Balb/cマウスを、1週間の馴化期間を経てマウス肝癌細胞株であるBNL 1ME A.7R.1(ATCC)1X10
7細胞を右後足に注入した。腫瘍の体積が120‐150mm
3になった時点に、腫瘍体積がほぼ等しくなるように群分けした。各試験群および薬物処置スケジュールは、それぞれ表5および
図6のとおりである。薬物の腫瘍成長抑制効能を観察するために、薬物処理最初日から3‐4日毎にカリパス(caliper)を用いて腫瘍の体積を測定した(腫瘍の体積=長軸X(短軸)
2/2)。
【0114】
実験例4‐2.BNL 1ME A.7R.1肝癌同種移植マウスでの坑癌効能評価結果
上記の製造例で製造された配列番号15の配列を含む融合タンパク質CCL3A‐H05、配列番号16の配列を含む融合タンパク質CCL3B‐H05のBNL 1ME A.7R.1マウス肝癌に対する腫瘍成長抑制効能を確認した。
図5に示されたように、放射線照射時点から約1ヶ月後に、6.5Gyの放射線照射のみを実施した群に比べて、10mg/kgのCCL3A‐H05を併用処理した群で約25%の腫瘍成長抑制効能を示し、10mg/kgのCCL3B‐H05を併用処理した群で約72%の腫瘍抑制効能を示した。
【0115】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。
本発明は一態様において、以下を提供する。[項目1]
次の変異を含むCCL3変異体と免疫グロブリンFc領域を含む融合タンパク質:
(1)野生型CCL3のN末端から1つまたは2つのアミノ酸が欠失;および
(2)野生型CCL3のN末端から27番アスパラギン酸がアラニンで置換。
[項目2]
前記CCL3変異体は、野生型CCL3αのN−末端から1つのアミノ酸が欠失され、N−末端から27番アスパラギン酸がアラニンで置換されたCCL3α変異体を含むことを特徴とする項目1に記載の融合タンパク質。
[項目3]
前記CCL3変異体は、野生型CCL3βのN−末端から2つのアミノ酸が欠失され、N−末端から27番アスパラギン酸がアラニンで置換されたCCL3β 変異体を含むことを特徴とする項目1に記載の融合タンパク質。
[項目4]
前記CCL3変異体は、配列番号2または4で表示される配列を含むことを特徴とする項目1に記載の融合タンパク質。
[項目5]
前記CCL3変異体は、下記式1で表されるリンカーを介して免疫グロブリンFc領域に連結されることを特徴とする項目1に記載の融合タンパク質:
(RNT)nGRGG(EEKKK)m (式1)
前記式中、nおよびmはそれぞれ1〜5である。
[項目6]
前記リンカーは、配列番号5〜13番から成る群から選択されるいずれか1つの配列番号で表示される配列を含むことを特徴とする項目5に記載の融合タンパク質。
[項目7]
前記免疫グロブリンFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびIgDから成る群から選択される一つ以上のFc領域、その断片またはこれらの組み合わせを含むハイブリッドFcであることを特徴とする項目1に記載の融合タンパク質。
[項目8]
前記ハイブリッドFcは、IgG4またはその断片、およびIgDまたはその断片を含むことを特徴とする項目7に記載の融合タンパク質。
[項目9]
前記免疫グロブリンFc領域は、配列番号14で表示される配列を含むことを特徴とする項目1に記載の融合タンパク質。
[項目10]
項目1〜9のいずれかに記載の融合タンパク質をコードする核酸。
[項目11]
項目10に記載の核酸を含むベクター。
[項目12]
項目11に記載のベクターで形質転換された細胞。
[項目13]
下記のステップを含む項目1〜9のいずれか一項に記載の融合タンパク質の製造方法:
(a)項目12に記載の細胞を培養するステップ;および
(b)前記培養された細胞から融合タンパク質を回収するステップ。
[項目14]
項目1〜9のいずれかに記載の融合タンパク質を含む薬学組成物。
[項目15]
癌の治療または予防用であることを特徴とする項目14に記載の薬学組成物。
[項目16]
放射線治療との併用のための、またはその補助用組成物であることを特徴とする項目15に記載の薬学組成物。
[項目17]
次の変異を含むCCL3β(CC type ligand 3β)変異体:
(1)野生型CCL3βのN末端から1つまたは2つのアミノ酸が欠失;および
(2)野生型CCL3βのN末端から27番アスパラギン酸がアラニンで置換。
[項目18]
配列番号4で表示される配列を含むことを特徴とする項目17に記載のCCL3β変異体。