特許第6820156号(P6820156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820156
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】分譲住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/04 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   E04H1/04 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-83012(P2016-83012)
(22)【出願日】2016年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-193836(P2017-193836A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青柳 恵子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 要
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸子
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−229639(JP,A)
【文献】 特開2002−256715(JP,A)
【文献】 特開平11−071918(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0059792(US,A1)
【文献】 秀和外苑レジデンス,アクセルホーム,2020年 4月27日,2010年12月15日掲載,URL,https://web.archive.org/web/20101215060320/https://www.axel-home.com/001797.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02 − 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上階に設けられ、内装が省かれた構造躯体と、
前記構造躯体の上に隣接して構築された住戸と、
を含んで構築されている分譲住宅であって、
前記構造躯体は、前記住戸とは独立して構築されると共に、前記構造躯体の一方の側に、地上から出入り可能とされたベランダを有し、且つ、構造躯体の前記一方側と対向する他方側に腰高窓が設けられており、
前記構造躯体と前記住戸とは、前記構造躯体の側方に設けられた外階段によって連絡され、
前記住戸は、前記側方側から出入り可能とされ、
前記ベランダは、前記側方側から出入り可能とされている、分譲住宅。
【請求項2】
前記構造躯体には、インフラ配管が設置されている、請求項1に記載の分譲住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分譲住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、3階建ての住宅が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−38843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、住宅を2世帯住宅にする場合、住戸を改築する必要があるが、改築工事中は不自由な生活を強いられる。また、両親のために離れを建築する場合、新たに建築用地を購入する必要があるが、近くに適当な用地を確保できる保証はない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、撤去作業をすることなく、所望の用途に使用可能な居室や店舗を後から構築できる分譲住宅の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に記載の分譲住宅は、複数階からなる分譲住宅であって、少なくとも一つの階は内装が省かれた構造躯体とされ、前記構造躯体とされた以外の階が住戸とされている。
【0007】
第1態様に記載の分譲住宅では、内装が省かれた構造躯体が少なくとも一つの階に設けられているため、撤去作業をすることなく構造躯体に後から内装を施して居室や店舗を構築することができる。
【0008】
第2態様に記載の分譲住宅は、第1態様に記載の分譲住宅において、前記構造躯体は地上階に設けられ、前記住戸は前記構造躯体の上に構築されている。
【0009】
第2態様に記載の分譲住宅では、構造躯体は、住戸の下にあるので、建築工事中でも、不自由なく住戸で生活できる。また、例えば、店舗を構築するために新たに土地を購入する必要もない。
【0010】
第3態様に記載の分譲住宅は、第1態様又第2態様に記載の分譲住宅において、前記構造躯体には、インフラ配管が設置されている。
【0011】
第3態様に記載の分譲住宅では、構造躯体にインフラ配管が設置されているため、店舗等を構築するときに配管設置作業を省くことができる。インフラ配管とは、ガス、水道、電気に関わるもので、例えば、都市ガスのガス配管、給水配管、給湯配管、排水管、電気配線等のことである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の分譲住宅によれば、建築用地を新たに購入する必要はなく、ライフスタイルの変化に応じて、敷地内にある構造躯体に所望の用途に使用可能な居室や店舗を後から構築できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】複数の分譲住宅を示す平面図である。
図2】分譲住宅を示す縦断面図である。
図3】1階の室内構造を示す平面図である。
図4】2階の室内構造を示す平面図である。
図5】3階の室内構造を示す平面図である。
図6】スケルトンを居室とした状態を示す平面図である。
図7】スケルトンをブックカフェとした状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
図1、及び図2に示すように、東西(矢印E方向、及び矢印W方向側)に延びる道路10の北側(矢印N方向側)には、歩道11が設けられており、歩道11の北側には歩道11と同じレベルの敷地12が歩道11に沿って設けられている。この敷地12には、東西に延びる南棟としての3階建ての集合住宅14が建てられている。
【0015】
敷地12の北側には、敷地12よりも一段高い東西に延びる緑道16が設けられており、緑道16の北側には、緑道16と同じレベルの敷地18が緑道16に沿って設けられている。この敷地18には、東西に延びる北棟としての集合住宅20が建てられている。また、敷地18の北側には、一段高い道路22が東西に延びている。
【0016】
本実施形態の集合住宅14、及び集合住宅20は、3階建てとされた複数戸の住宅24が東西方向に一体的に連なっているものである。なお、図1において、2点鎖線は、住宅24と住宅24との境界壁25を表している。
【0017】
なお、以下に代表して北棟の集合住宅20の一例を説明する。
図3に示すように、住宅24の1階は、内装の施されていない構造躯体としてのスケルトン26とされている。スケルトン26の南側にはベランダ28が設けられている。スケルトン26のベランダ28側には掃き出し窓30が設けられており、スケルトン26の北側には腰高窓32が設けられている。
【0018】
住宅24の側方には、緑道16と同レベルで繋がる1階通路34が設けられている。ベランダ28には、1階通路34から出入りするための玄関ドア36が設けられている。本実施形態の1階のスケルトン26は、ベランダ28を介して1階通路34と出入り可能となっているが、後述する住戸37の2階、及び3階からは直接的に出入りすることができないようになっている。なお、住宅24においては、1階のスケルトン26と住戸37との間を行き来する階段を設置可能な状態としておくことが好ましい。また、1階のスケルトン26には、予め、例えば、都市ガスのガス配管、給水配管、給湯配管、排水管、電気配線等のインフラ配管が設置されている。
【0019】
図2に示すように、住宅24の2階、及び3階は、住戸37とされている。図4に示すように、2階には、ダイニングキッチン38が設けられている。ダイニングキッチン38の南側にはバルコニー40が設けられており、ダイニングキッチン38の北側には、バルコニー42、及びトイレ44が設けられている。ダイニングキッチン38のバルコニー40側には掃き出し窓46が設けられており、ダイニングキッチン38のバルコニー42側には掃き出し窓48が設けられている。
【0020】
ダイニングキッチン38には、一方の壁側にシンク台50が配置されており、シンク台50の横には冷蔵庫51が配置されている。ダイニングキッチン38の中央には、ガスを用いる3口両面焼きグリル付きコンロ52を備えたカウンター54が設けられている。また、シンク台50と反対側の他方の壁側には、収納56が設けられている。なお、ダイニングキッチン38の床には、ガス温水式床暖房(図示せず)が設置されている。
【0021】
バルコニー40には、一方の壁側に、シンク58が設けられており、他方の壁側には収納60が設けられている。
【0022】
ここで、住宅24の2階の側方には、道路22と同レベルで繋がる2階通路62が設けられている。本実施形態のバルコニー40には、2階通路62から出入りするための玄関ドア64が設けられている。したがって、本実施形態において、2階のダイニングキッチン38は、バルコニー40を介して2階通路62と出入り可能となっている。
【0023】
また、住宅24の側方には、1階通路34と2階通路62との間を行き来する外階段63が設けられている。このため、住宅24の1階と2階とは、外階段63を用いて行き来することができる。
【0024】
図5に示すように、3階には、南側にリビング66、およびサニタリー68が設けられており、北側に寝室70が設けられている。リビング66には、一方の壁側に棚72が設けられている。寝室70には、一方の壁側に収納74が設けられている。なお、リビング66の床、及び寝室70の床には、ガス温水式床暖房(図示せず)が設置されている。
【0025】
3階には、リビング66の南側に、バルコニー76が設けられており、リビング66のバルコニー76側には掃き出し窓78が設けられている。また、寝室70の北側には腰高窓80が設けられている。
【0026】
サニタリー68には、洗面台82、及びユニットバス86が設けられており、洗面台82の隣には乾燥機付き洗濯機84が配置されている。ユニットバス86には、出入り用のドア88と、腰高窓90が設けられている。腰高窓90は、バルコニー76側に設けられている。また、ユニットバス86には、ミストサウナ機能付浴室暖房乾燥機(図示せず)が設置されており、風呂は追い炊き機能付きとなっている。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の集合住宅20では、各住宅24の屋上全体が一体的に繋がっており、一体的に繋がった屋上全体は、水平な床を有する屋外に開放されたスカイテラス92とされている。そして、本実施形態のスカイテラス92は、集合住宅20に住む住人の共用スペースとなっている。
【0028】
また、各々の住宅24には、図4、及び図5に示すように、2階と3階との間を行き来するための内階段94と、図5に示すように、3階とスカイテラス92との間を行き来するための内階段96とが設けられている。
【0029】
図1に示すように、スカイテラス92には、各住宅24の内階段96(図1では図示せず)の上側に塔屋98が設けられている。塔屋98には、扉(図1では図示せず)が設けられており、この扉を開放することで、塔屋98の中とスカイテラス92との間を行き来することができる。
【0030】
なお、図示は省略するが、スカイテラス92には、住宅24で使用するエアコンの室外機、ガスを用いた給湯器が設置されている。また、スカイテラス92には、ガスを用いる燃料電池等を設置することもできる。図示は省略するが、2階、3階には、各々エアコンの室内機が設置されている。
【0031】
また、集合住宅20の外側には、外部からスカイテラス92へ上がるための屋外階段110が設けられている。
【0032】
このスカイテラス92は共用スペースであるため、目的に応じて種々の使い方ができる。スカイテラス92には、例えば、デッキを設けたり、畑を設けたりすることができる。
【0033】
(作用)
次に、本実施形態の住宅24の作用を説明する。
本実施形態の住宅24の1階には、屋外から自由に出入り可能とされた内装の施されていないスケルトン26が設けられているため、撤去作業をすることなくスケルトン26に後から内装を施して居室や店舗等を構築することができる。スケルトン26は、住戸37の下にあるので、建築工事中でも、不自由なく住戸37で生活できる。
また、スケルトン26は、住宅24の1階に設けられているため、例えば、居室や店舗を構築するために新たに土地を購入する必要もない。
【0034】
北棟の住宅24のスケルトン26は緑道16に面しているため、プライベートやセミプライベートな用途に向いている。
【0035】
図6には、北棟の住宅24のスケルトン26に、後から居室を構築した例が示されている。図6に示す例では、1階に、ダイニング112、寝室114、及びサニタリー116が設けられている。本実施形態のベランダ28は、玄関としても機能している。また、ベランダ28には、緑道16側に縦方向に延びる可動式のルーバー118が設置されている。このルーバー118により、日射や視線を調整することができる。
【0036】
寝室114とダイニング112との間には引き戸120、寝室114とサニタリー116との間には引き戸122が設けられている。また、サニタリー116には、洗面台124、便器126、及びユニットバス128が設けられている。ユニットバス128には、出入り用のドア130が設けられている。
【0037】
ダイニング112には、例えば、ガス台134、シンク136、冷蔵庫138、乾燥機付き洗濯機140等が配置されている。
【0038】
寝室114には、例えば、ベッド142、及びクローゼット144が配置されている。また、ダイニング112、寝室114、及びサニタリー116の床には、ガス温水式床暖房(図示せず)が設置されている。ユニットバス128の屋外には、給湯器148、及びエアコンの室外機150が設置されている。なお、1階には、エアコンの室内機(図示せず)が設置されている。
【0039】
このように、スケルトン26に後から居室を構築することで、内装や住宅設備の撤去せずに、例えば、住宅24を2世帯住宅とすることができる。また、1階においては、寝室114、及びサニタリー116が繋がっているので、介護サービスが必要になっても対応し易くなっている。
【0040】
また、スケルトン26には、ベランダ28側に掃き出し窓30が設けられており、北側に腰高窓32が設けられているため、居室の利用として十分な採光と通風を行うことができる。
【0041】
また、南棟の住宅24のスケルトン26は、道路10と歩道11に面しているので、パブリックな用途に向いている。
【0042】
図7には、南棟の住宅24のスケルトン26に、後からブックカフェを構築した例が示されている。図7に示す例では、1階に、便器151を配置したサニタリー152、バーカウンター154、テーブル156、カウンター158、椅子160、棚162、テーブル164等が設けられている。
【0043】
このように、スケルトン26は、内装が施されていないので、撤去作業を行うことなく、所望に応じて、趣味のガレージ、親の住まい、家族が増えたときの居室、賃貸住宅、店舗等、好みやライフステージの変化に合わせて使い方を変えることができる。このように、スケルトン26は、パブリックにもプライベートにも使える。さらに、階段を設置すれば、上の住戸37とつなぐこともでき、新たな家族や親兄弟との同居、友人とのシェア住居等への対応も可能である。
【0044】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0045】
上記実施形態の住宅24では、1階がスケルトン26で、2階、及び3階が住戸37であったが、本発明はこれに限らず、2階または3階をスケルトンとして、他の階を住戸としてもよく、1階〜3階のうちの何れか一つの階を住戸として、他の2つの階をスケルトンとしてよい。
上記実施形態の住宅24は3階建てであったが、2階建てや、4階建て以上であってもよい。
上記実施形態の集合住宅14、及び集合住宅20は、複数の住宅24が一直線状に並んだ構成とされているが、複数の住宅24がL字状、コ字状、ロ状等、他の形状に並んでいても良い。
【符号の説明】
【0046】
24 住宅(分譲住宅)
26 スケルトン(構造躯体)
37 住戸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7