(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記フィルムの前記一方の領域を押圧するように前記押圧部を移動させて前記一方の領域を前記貼り付け対象に当接させると共に、前記フィルムの前記他方の領域を前記貼り付け対象から離間させる方向に前記保持部を移動させることで前記フィルムを傾斜させるように、前記保持部及び前記押圧部の移動を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフィルム貼り付け装置。
前記制御部は、前記押圧部によって前記フィルムを押圧させながら前記押圧部を前記貼り付け方向に沿って移動させることで、前記押圧部による押圧位置を前記貼り付け方向に沿って移動させるように、前記保持部及び前記押圧部の移動を制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルム貼り付け装置。
前記押圧部は、前記フィルムにおける前記貼り付け対象に当接した領域を前記他方の面の側から押圧しながら転がることが可能なローラを有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフィルム貼り付け装置。
前記押圧部は、前記フィルムにおける前記貼り付け対象に当接した領域を前記他方の面の側から押圧しながら、前記フィルムの前記他方の面を滑ることによって貼り付けを行うことが可能であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフィルム貼り付け装置。
一方の面に接着力を有する接着部の形成されたフィルムを保持し、前記フィルムを保持した状態で移動することが可能な保持部と、前記フィルムを前記一方の面の反対側の他方の面の側から押圧する押圧部と、前記フィルムの前記他方の面のワイピングを行うことが可能なワイパー部材と、を備えたフィルム貼り付け装置を用いてフィルムを貼り付け対象に貼り付けるフィルム貼り付け方法であって、
前記フィルム貼り付け方法は、
前記保持部によって前記フィルムを保持する保持工程と、
前記保持部によって保持された前記フィルムを前記貼り付け対象の貼り付け位置に移動させ、前記フィルムにおける貼り付けを行う部分を前記貼り付け対象の貼り付け位置の面に対し傾斜させて、前記押圧部によって前記フィルムにおける貼り付けを行う部分を押圧しながら前記接着部を一方の領域から他方の領域に向けた貼り付け方向に沿って順次貼り付けていくことにより、前記接着部を前記貼り付け対象に当接させて前記フィルムを前記貼り付け対象に貼り付ける貼り付け工程と、
前記貼り付け工程で前記フィルムが前記貼り付け対象に貼り付けられた後に、前記ワイパー部材によって前記フィルムの前記他方の面のワイピングを行うワイピング工程と、
を備えたことを特徴とするフィルム貼り付け方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るフィルム貼り付け装置及びフィルム貼り付け方法について、添付図面を参照して説明する。
図1に、本実施形態のフィルム貼り付け装置100を示す。
図1(a)には、フィルム貼り付け装置100についての平面図が示されており、
図1(b)には、フィルム貼り付け装置100についての側面図が示されている。本実施形態におけるフィルム貼り付け装置100では、使用されるフィルム10が透明に形成されている。透明なフィルム10を携帯電話やタブレット等の端末11の画面上に貼り付け、端末11の画面を保護するものである。
【0010】
貼り付けの行われるフィルム10は、一方の面に粘着剤が塗布されており、接着力を有する接着部が形成されている。この接着部を貼り付け対象に当接させることにより、フィルム10が貼り付け対象に貼り付けられる。本実施形態では、フィルム10の接着部を貼り付け対象としての端末11の画面部分に当接させて、フィルム10を端末11の画面部分に貼り付けている。
【0011】
また、まだ貼り付けの行われていない状態のフィルム10には、保護シートが接着部の形成された側に剥離可能に取り付けられている。保護シートは、接着部が接着力を発揮させないときに、フィルム10における接着部の形成された一方の面を覆って、接着部を保護している。
【0012】
保護シートには、フィルムから保護シートを剥離させる際に把持するためのグリップ部(
図9のグリップ部10b)が形成されている。グリップ部は、接着部から外れた領域に位置し、保護シートをフィルム10から剥離させるときに後述する剥離ユニット50によって把持される。
【0013】
フィルム貼り付け装置100は、フィルム貼り付け装置本体2と台3とを備えている。フィルム貼り付け装置本体2と台3との間には、フィルム貼り付け装置本体2と台3を接続するための接続部材5が配置されている。
【0014】
次に、台3の構成について説明する。台3は、廃棄ボックス4と、フィルム供給位置35と、端末セット位置36とを備えている。
【0015】
廃棄ボックス4は、後述する剥離ユニット50によって剥離された保護シートが入れられる。廃棄ボックス4は、後で保護シートをまとめて廃棄するために、保護シートが一時的に保管される場所である。
【0016】
フィルム供給位置35には、まだ貼り付けの行われていないフィルム10が複数積載されている。端末セット位置36には、貼り付け対象としての端末11がセットされている。
【0017】
なお、本実施形態では、台3は、異なる2つの形式の端末をセットすることが可能に構成されている。そのため、台3には、端末11とは別の形式の端末に対応した端末セット位置37が設けられている。また、台3には、端末11とは別の形式の端末に貼り付けられるためのフィルムが積載されたフィルム供給位置38が形成されている。このように、台3は、一度に2つの形式の端末と、それに対応したフィルムが配置されるように構成されている。なお、本発明はこれに限定されず、3つ以上の形式に対応して3つ以上の形式の異なる端末セット位置と、それに対応したフィルム供給位置が形成されていてもよい。
【0018】
フィルム貼り付け装置本体2は、一対のロボットアーム13を備える水平多関節型の双腕ロボットによって構成されている。
【0019】
フィルム貼り付け装置本体2は、第1ロボットアーム13A及び第2ロボットアーム13Bを備えている。第1ロボットアーム13Aの先端部には、第1保持部18が設けられている。第2ロボットアーム13Bの先端部には、第2保持部19が設けられている。以下では、第1ロボットアーム13A及び第2ロボットアーム13Bを区別しない場合は、単にロボットアーム13ということがある。
【0020】
フィルム貼り付け装置本体2は、制御部14及び真空発生装置(不図示)を備えている。
【0021】
制御部14は、例えばフィルム貼り付け装置本体2の支持台12の内部に設けられている。しかし、これに限られるものではなく、例えばロボットアーム13の内部等に設けられてもよい。また、他の空いたスペースに設けられてもよい。
【0022】
真空発生装置は、たとえば、真空ポンプやCONVUM(登録商標)などであり、例えば台3の内部に設けられている。しかし、これに限られるものではなく、例えばロボットアーム13の内部等、他の場所に設けられていてもよい。真空発生装置は、不図示の配管を介して後述する吸着ユニット30と接続されている。配管には、例えば、図示しない開閉弁が設けられており、開閉弁により配管が開放及び閉塞される。この真空発生装置の動作および開閉弁の開閉は制御装置により制御される。
【0023】
第1ロボットアーム13Aは、第1保持部18を所定の動作範囲内で移動させる。また、第2ロボットアーム13Bは、第2保持部19を所定の動作範囲内で移動させる。ロボットアーム13は、例えば水平多関節型ロボットアームであって、アーム部21と、リスト部22とを含む。また、第1ロボットアーム13A及び第2ロボットアーム13Bは、互いに独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることができる。
【0024】
第1保持部18及び第2保持部19は、それぞれ機能を有したハンド部を把持することが可能に構成されている。ハンド部が機能を発揮させることにより、貼り付けの行われる端末及びフィルムに所定の処理を行うことができる。
【0025】
フィルム貼り付け装置本体2は、支持台12と、支持台12から鉛直方向上方に延びた基軸16とを備えている。基軸16は、支持台12に回転運動可能に取り付けられている。
【0026】
基軸16には、アーム部21が水平方向に延在するように取り付けられている。アーム部21は、基軸16を中心に回転可能に取り付けられている。
【0027】
アーム部21は、第1リンク21a及び第2リンク21bを含む。第1リンク21a及び第2リンク21bは、相互に水平方向に沿って回転可能に支持されている。アーム部21を介して、基軸16に第1ロボットアーム13A及び第2ロボットアーム13Bが接続されている。
【0028】
アーム部21は、第1ロボットアーム13A及び第2ロボットアーム13Bの先端部に取り付けられたリスト部22を、動作範囲内の任意の位置に位置決めする。
【0029】
第1リンク21aは、基端部が支持台12の基軸16と回転関節J1により連結され、基軸16の軸心を通る回転軸線L1まわりに回動可能である。第2リンク21bは、第1リンク21aの先端部と回転関節J2により連結され、第1リンク21aの先端部に規定された回転軸線L2まわりに回動可能である。
【0030】
リスト部22は、その先に連なる機構を任意の姿勢に変更する。リスト部22は、昇降部22aと、回動部22bとを含む。昇降部22aは、第2リンク21bの先端部と直動関節J3により連結され、第2リンク21bに対し昇降移動可能である。回動部22bは、昇降部22aの下端部と回転関節J4により連結され、昇降部22aの下端に規定された回転軸線L3まわりに回動可能である。
【0031】
本実施形態において、回転軸線L1〜L3は、互いに平行であり、例えば鉛直方向に延在する。また、回転軸線L1〜L3の延在方向と、昇降部22aの昇降移動方向とは、互いに平行である。
【0032】
アーム13には、各関節J1〜J4に対応付けられるように、駆動用のサーボモータ(図示せず)、および、そのサーボモータの回転角を検出するエンコーダ(図示せず)等が設けられている。また、第1ロボットアーム13Aの回転軸線L1と第2ロボットアーム13Bの回転軸線L1は同一直線上にあり、第1ロボットアーム13Aの第1リンク21aと、第2ロボットアーム13Bの第1リンク21aとは上下に高低差を設けて配置されている。
【0033】
次に、第1保持部18、第2保持部19が把持することが可能なハンド部について説明する。本実施形態においては、第1保持部18は、ハンド部として、吸着ユニット(保持部、吸着部)30を把持する。
【0034】
吸着ユニット30について説明する。
図3(a)に吸着ユニット30の平面図を示し、
図3(b)に吸着ユニット30の正面図を示す。
図3(a)、(b)に示されるように、吸着ユニット30には、複数の吸引口31が設けられている。本実施形態の吸着ユニット30には、1列の吸引口31の列につき4個の吸引口31が設けられ、3列の吸引口31の列が設けられていることから、合計12個の吸引口31が設けられている。
【0035】
吸着ユニット30は支持部材32を備えており、1列についての4個の吸引口が、1つの支持部材32に取り付けられている。支持部材32は、3列の吸引口31の列についてそれぞれの列ごとに設けられており、3つの支持部材32が吸着ユニット30に取り付けられている。支持部材32から吸引口31に延びるように、支持部材32に吸引管33が取り付けられている。吸引管33を介して真空発生装置からの吸引力が吸引口31に伝達され、吸引口31で吸引が行われる。
【0036】
吸着ユニット30におけるそれぞれの吸引口31には、上述の配管を介して真空発生装置に接続されており、吸引口31から空気を吸引することが可能である。吸着ユニット30における吸引口31から吸引を行うことにより、吸引口31の先端にフィルム10を吸着させて保持することが可能に構成されている。吸着ユニット30は、フィルム10における接着部の形成された面とは反対側の面を吸着する。
【0037】
また、吸着ユニット30は、第1保持部18に把持されているので、第1ロボットアーム13Aを駆動させることによって所定の動作範囲内で移動可能に構成されている。
【0038】
また、第2保持部19は、ハンド部として、ワイパーユニット40、剥離ユニット50及び押圧ユニット60が一つにまとめられて構成された複数機能ハンド部70を把持する。
【0039】
複数機能ハンド部70の平面図を
図4(a)に示す。本実施形態では、一つの複数機能ハンド部70に、ワイパーユニット40、剥離ユニット50及び押圧ユニット60が取り付けられている。
【0040】
ワイパーユニット(ワイパー部材)40について説明する。ワイパーユニット40の正面図を
図4(b)に示す。
【0041】
ワイパーユニット40は、シリンダ部41とフランジ部42と拭き取り部43とカバー部44とを備えている。シリンダ部41は、複数機能ハンド部70に取り付けられている。シリンダ部41の下部に、フランジ部42が取り付けられている。シリンダ部41は、外側に延びたベース部41aを備えている。フランジ部42の外側にはカバー部44が取り付けられている。カバー部44は、ベース部41aに対し、着脱機構44aによって着脱可能に取り付けられている。フランジ部42とカバー部44との間に拭き取り部43の一部が挟み込まれて、拭き取り部43がフランジ部42及びカバー部44に取り付けられている。これによって、拭き取り部43が、シリンダ部41に対し、取り換え可能に取り付けられている。
【0042】
また、拭き取り部43の中央部は、カバー部44を通って外部に露出されている。従って、拭き取り部43の中央部を、ワイピングを行う対象に当接させることが可能に構成されている。拭き取り部43を、ワイピングを行う対象に当接させた状態でワイパーユニット40が往復移動し、ワイピングを行う対象に付着した汚れを拭き取り部43に拭き取ることによりワイピングが行われる。本実施形態では、拭き取り部43によって端末の表面を拭き取ることにより、端末の表面に付いている埃や油汚れ等を拭い取り、端末の表面から除去することができる。
【0043】
同一の拭き取り部43によって繰り返しワイピングが行われ、その拭き取り部43についてワイピングが十分に行われると、それまで使用されていた拭き取り部43を取り外し、新たな拭き取り部43を取り付けることにより拭き取り部43を新たなものに交換することができる。従って、適切な頻度で拭き取り部43の交換を行うことで、継続して清浄な状態の拭き取り部43によってワイピングを行うことができる。
【0044】
次に、剥離ユニット(剥離部)50について説明する。
図4(c)に、剥離ユニット50についての側面図を示す。剥離ユニット50は、チャック部51を備えている。チャック部51は、上部チャック部51a及び下部チャック部51bを備えており、互いに鉛直方向に沿って移動することが可能に構成されている。
【0045】
上部チャック部51a及び下部チャック部51bが互いに近接するように移動し、フィルム10の保護シートにおけるグリップ部が鉛直方向に挟み込まれる。これにより、保護シートのグリップ部を把持することが可能に構成されている。
【0046】
剥離ユニット50がグリップ部を把持することにより保護シートが保持され、その状態で剥離ユニット50がフィルム10から離間する方向へ移動することにより、保護シートをフィルム10から剥離させることが可能である。また、チャック部51の上部チャック部51a及び下部チャック部51bが互いに離間する方向に移動することにより、剥離ユニット50がフィルム10の把持を解除することが可能である。
【0047】
次に、押圧ユニット(押圧部)60について説明する。
図4(d)に、押圧ユニット60についての側面図を示す。押圧ユニット60は、回転軸61と、回転軸61を支持する支持部材62と、回転軸61を中心に回転可能に配置されたローラ63を備えている。ローラ63は、フィルム10における端末11に当接した領域を、接着部の形成された面の反対側の面の側から押圧しながら転がることが可能に構成されている。支持部材62は、バネ64を介して、複数機能ハンド部70に取り付けられている。支持部材62が、複数機能ハンド部70に対し鉛直下向きに付勢されながら、鉛直方向の上下に移動可能に取り付けられている。これにより、ローラ63が鉛直下向きに付勢されながら回転することにより水平方向に移動可能に構成されている。そのため、ローラ63が押圧対象となるフィルム10を鉛直方向下向きに押圧しながら、水平方向に移動することができる。
【0048】
従って、フィルム10の接着部が端末11に当接したときに、押圧ユニット60が、フィルム10の端末11に当接した領域を、接着部の形成された一方の面の反対側の他方の面の側から押圧することが可能に構成されている。
【0049】
複数機能ハンド部70は、第2保持部19に把持されているので、第2ロボットアーム13Bを駆動させることによって所定の動作範囲内で移動させることが可能に構成されている。また、複数機能ハンド部70は、第2保持部19に対して回転軸線L3まわりに回動可能に構成されている。複数機能ハンド部70が回転軸線L3まわりに回動することにより、複数機能ハンド部70の姿勢を変えることができる。すなわち、複数機能ハンド部70が回転軸線L3まわりに回動させることによって、フィルム10あるいは端末11に対向する位置にあるユニットを変更することができるように構成されている。これにより、複数機能ハンド部70に取り付けられたワイパーユニット40、剥離ユニット50及び押圧ユニット60のうちの使用するユニットの変更を素早く行うことができる。これにより、一つのユニットによる端末への処理が行われた後に、次に端末に行われる処理を行うユニットへの変更を高速で行うことができる。
【0050】
次に、フィルム貼り付け装置本体2の動作を制御する制御部14について説明する。
図5は、フィルム貼り付け装置本体の制御系統の構成例を概略的に示すブロック図である。
【0051】
図5に示されるように、制御部14は、演算部14aと、記憶部14bと、サーボ制御部14cと、吸着ユニット制御部14dと、ワイパーユニット制御部14eと、剥離ユニット制御部14fと、押圧ユニット制御部14gとを含む。
【0052】
制御部14は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。なお、制御部14は、集中制御する単独の制御部14によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御部14によって構成されていてもよい。
【0053】
記憶部14bには、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部14aは、記憶部14bに記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボット1の各種動作を制御する。すなわち、演算部14aは、ロボット1の制御指令を生成し、これをサーボ制御部14c、吸着ユニット制御部14d、ワイパーユニット制御部14e、剥離ユニット制御部14f及び押圧ユニット制御部14gに出力する。サーボ制御部14cは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて、ロボット1の第1ロボットアーム13A及び第2ロボットアーム13Bのそれぞれの関節J1〜J4に対応するサーボモータの駆動を制御するように構成されている。
【0054】
吸着ユニット制御部14dは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて真空発生装置及び駆動部を制御することによって、吸着ユニット30による吸引、移動及び動作を制御する。ワイパーユニット制御部14eは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて駆動部を制御することによって、ワイパーユニット40の移動、動作を制御する。剥離ユニット制御部14fは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて駆動部を制御することによって、剥離ユニット50の移動、動作を制御する。押圧ユニット制御部14gは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて駆動部を制御することによって、押圧ユニット60の移動、動作を制御する。
【0055】
以上のように構成されたフィルム貼り付け装置100によって端末11にフィルム10を貼り付ける際の動作について説明する。
図6に、フィルム貼り付け装置100によってフィルム10を貼り付ける際のフローチャートを示す。以下、
図6のフローチャートを参照してフィルム10の端末11への貼り付けにおける各工程について説明する。
【0056】
まず、貼り付けを行う前に、ワイパーユニット40によって、貼り付け対象としての端末11の表面にワイピングが行われる(S1)。その際、複数機能ハンド部70を回動させると共に複数機能ハンド部70を移動させることにより、ワイパーユニット40の拭き取り部43が端末11に対向する位置に配置されるように、複数機能ハンド部70の位置及び姿勢を調節する。
【0057】
図7に、ワイパーユニット40によって端末の表面のワイピングを行う際の各工程についてのワイパーユニット40及び端末11の側面図を示す。
図7(a)、(b)に示されるように、まだフィルムの貼り付けられていない状態の端末11に向けてワイパーユニット40が移動する。
【0058】
図7(b)に示されるように、ワイパーユニット40の拭き取り部43が端末11の表面に当接する位置にワイパーユニット40が到達すると、
図7(c)、(d)に示されるように、拭き取り部43が端末11の表面に当接した状態で往復移動を行う。本実施形態では、ワイパーユニット40を端末11の端部に当接させている。
【0059】
拭き取り部43が端末11の表面に当接した状態でワイパーユニット40が往復移動を行うことにより、拭き取り部43によって端末11の表面の埃や油脂汚れ等を拭い取り、端末11の表面を清浄にすることができる。
【0060】
ワイパーユニット40が端末11の表面上で所定回数の往復移動を行うことによりワイパーユニット40によるワイピングが終了すると、
図7(e)に示されるように、ワイパーユニット40が端末11から離れる方向に移動する。
【0061】
端末11の画面部分の表面にワイピングを行うことにより、端末の表面から埃や油脂汚れを除去する。これにより、フィルム10の貼り付けの行われる前の段階の端末11の表面を清浄な状態にする。このように、ワイパーユニット40は、フィルム10を端末11に貼り付ける前の、端末11におけるフィルム10の貼り付け位置にワイピングを行うことが可能に構成されている。
【0062】
次に、吸着ユニット30の吸着によって、フィルム供給位置35に積載された複数のフィルム10から1枚のフィルム10が取り出される(S2)。フィルム10を取り出す際には、フィルム供給位置35の最上部に位置する1枚のフィルム10のみが取り出される。
【0063】
図8に、フィルム供給位置35に積載されたフィルム10からフィルム10を取り出す際の各工程についての吸着ユニット30及びフィルム10の側面図を示す。
【0064】
図8(a)、(b)に示されるように、吸着ユニット30がフィルム供給位置35に向けて移動する。吸着ユニット30を移動させ、吸着ユニット30をフィルム10の積載されたフィルム供給位置35に対向する位置に配置する。
図8(b)に示されるように、吸着ユニット30がフィルム供給位置35に積載されたフィルム10のうちの最上部に位置するフィルム10に当接すると、そこで吸着ユニット30によるフィルム10の吸着が行われる。
【0065】
吸着ユニット30による吸着では、吸引口31にフィルム10を当接させた状態で吸引口31から吸引を行うことにより、吸引口31にフィルムを吸着させて、フィルム10を保持する(保持工程)。吸着ユニット30にフィルム10が吸着されると、
図8(c)に示されるように、吸着ユニット30がフィルム10を吸着によって保持したままフィルム供給位置35から離間する方向に移動する。
【0066】
次に、剥離ユニット50によってフィルム10からの保護シート10aの剥離が行われる(S3)。
【0067】
図9に、剥離ユニット50によってフィルム10からの保護シート10aの剥離を行う際の各工程についてのフィルム10、吸着ユニット30及び剥離ユニット50を示す。
図9に示されるように、本実施形態では、フィルム10の保護シート10aにグリップ部10bが取り付けられている。
【0068】
図9(a)、(b)に示されるように、剥離ユニット50におけるチャック部51がフィルム10の保護シート10aにおけるグリップ部10bに向けて移動する。このとき、複数機能ハンド部70を回転させると共に、複数機能ハンド部70を移動させることにより、チャック部51がグリップ部10bを把持可能な位置に剥離ユニット50を配置させる。
【0069】
図9(b)に示されるように、剥離ユニット50が上部チャック部51aと下部チャック部51bとの間にグリップ部10bを挟んだ位置に到達すると、上部チャック部51a及び下部チャック部51bが互いに近接するように移動し、剥離ユニット50がグリップ部10bを挟み込む。これにより、剥離ユニット50によってグリップ部10bが把持される。
【0070】
剥離ユニット50がグリップ部10bを把持すると、その状態で剥離ユニット50が移動する。
図9(b)の矢印に示されるように、剥離ユニットは、一旦鉛直方向の下方に移動した後に、フィルム10におけるグリップ部10bが設けられている側の端部とは逆側の端部に向けて移動する。
【0071】
図9(c)に示されるように、剥離ユニット50がフィルム10におけるグリップ部10bが設けられている側の端部とは逆側の端部に向けて移動するにつれて、フィルム10からの保護シート10aの剥離が進む。
【0072】
図9(d)に示されるように、剥離ユニット50がフィルム10におけるグリップ部10bが設けられている側の端部とは逆側の端部を通過し、そこからさらに同じ方向に剥離ユニット50が移動し続けると、保護シート10aがフィルム10から外れる。保護シート10aがフィルム10から外れると、フィルム10からの保護シート10aの剥離が終了する。
【0073】
剥離ユニット50は、剥離させた保護シート10aを把持した状態で、廃棄ボックス4上の位置まで移動する。剥離ユニット50が廃棄ボックス4上に到達すると、そこで上部チャック部51a及び下部チャック部51bが互いに離間するように移動し、剥離ユニット50のチャック部51が保護シート10aの把持を解除する。チャック部51が保護シート10aの把持を解除することにより、保護シート10aは廃棄ボックス4に向けて落下し、保護シート10aが廃棄ボックス4内に投入されて廃棄される。このように、剥離ユニット50によって剥離させた保護シート10aが、廃棄ボックス4内に廃棄される。
【0074】
次に、端末11へのフィルム10の貼り付けが行われる。
図10に、フィルム10の貼り付けを行う際の各工程についてのフィルム10、端末11、吸着ユニット30及び押圧ユニット60の側面図を示す。
【0075】
図10(a)、(b)に示されるように、保護シート10aの剥離の行われたフィルム10を吸着ユニット30によって吸着、保持した状態で吸着ユニット30を移動させ、フィルム10を端末11の表面に近接した位置に配置する(S4)。
【0076】
図10(b)に示されるように、フィルム10が端末11に近接した位置に到達すると、そこで吸着ユニット30の位置の微調整を行うことによりフィルム10の貼り付けの行われる位置の位置決めが行われる。このとき、フィルム10は端末11上の表面に近接した位置に配置されているので、貼り付け位置についての正確な位置決めを行うことができる。このように、フィルム10を端末11の貼り付け位置に配置させる。
【0077】
フィルム10の貼り付け位置についての位置決めが行われると、
図10(c)に示されるように、押圧ユニット60によってフィルム10への押圧が行われる。フィルム10における一方の端部10d付近の領域についての押圧ユニット60による押圧が行われることにより、フィルム10における一方の領域10eの端末11への貼り付けが行われる(S5)。
【0078】
押圧ユニット60によるフィルム10の押圧においては、複数機能ハンド部70を回転させると共に複数機能ハンド部70を移動させることによって、フィルム10における一方の端部10d付近の領域に対応する位置に押圧ユニット60を配置させる。本実施形態では、押圧ユニット60を一方向に沿ってローラ63を転がすことで押圧ユニット60によってフィルム10の全体に亘って押圧を行うことができる位置及び姿勢となるように、押圧ユニット60を配置させている。
【0079】
それから、フィルム10における貼り付けを行う部分が、端末11の貼り付け位置の面に対し傾斜される。フィルム10を傾斜させる際には、フィルム10の一方の領域10eを押圧するように押圧ユニット60を移動させ、フィルム10の一方の領域10eを押圧によって端末11に当接させる。それと共に、フィルム10の他方の領域10fを上昇させ、フィルム10の他方の領域10fを端末11から離間させる方向に吸着ユニット30を移動させる。
【0080】
図10(d)に示されるように、フィルム10の一方の領域10eが端末11に押しつけられながら、吸着ユニット30によって保持された部分が端末11から離間する方向に移動する。フィルム10における一方の領域10eが端末に貼り付けられた状態で、他方の領域10fが持ち上げられる。
【0081】
フィルム10を傾斜させると、押圧ユニット60がフィルム10における貼り付けを行う部分を押圧し、フィルム10の接着部を一方の領域から他方の領域に向けた貼り付け方向D1に沿って順次貼り付けていく。
【0082】
図10(e)に示されるように、押圧ユニット60がフィルム10を端末11に向かう方向に押圧したまま、押圧ユニット60がフィルム10の他方の領域10fに向けて移動する。押圧ユニット60によってフィルム10を押圧させながら押圧ユニット60を貼り付け方向D1に沿って移動させることで、押圧ユニット60による押圧位置を一方の領域10eから他方の領域10fに向けた貼り付け方向D1に沿って移動させている。これにより、貼り付け方向D1に沿ってフィルム10の接着部を順次端末11に当接させ、フィルム10を端末11に貼り付ける。このように、貼り付け方向D1に沿って、フィルムが順次貼り付けられていく(S7)(貼り付け工程)。
【0083】
図10(f)に示されるように、押圧ユニット60による押圧が、フィルム10の一方の領域10eから他方の領域10fにかけて全体に亘って行われることにより、フィルム10の全体に亘って端末11への貼り付けが行われると、フィルム10の貼り付けが終了する。
【0084】
次に、フィルム10の貼り付けの行われた端末11の表面に対し、ワイパーユニット40によるワイピングが行われる(S8)。
【0085】
図11に、ワイパーユニット40によってフィルム10の貼り付けられた端末の表面に対してワイピングを行う際の各工程についてのフィルム10、ワイパーユニット40及び端末11の側面図を示す。
【0086】
フィルム10の貼り付けられた端末11の表面に対してワイピングを行う際には、
図11(a)、(b)に示されるように、ワイパーユニット40が移動して、ワイパーユニット40をフィルム10の貼り付けられた端末11の表面に当接させる。ワイパーユニット40によるワイピングにおいては、複数機能ハンド部70を回転させると共に複数機能ハンド部70を移動させることによって、フィルム10の貼り付けられた端末11に対応する位置にワイパーユニット40を配置させる。
【0087】
本実施形態では、ワイパーユニット40を端末11に貼り付けられたフィルム10の端部の表面に当接させている。
【0088】
図11(b)に示されるように、ワイパーユニット40の拭き取り部43が端末11の表面に当接する位置にワイパーユニット40が到達するまでワイパーユニット40を移動させる。ワイパーユニット40の拭き取り部43が端末11の表面に当接する位置にワイパーユニット40が到達すると、
図11(c)、(d)に示されるように、拭き取り部43がフィルム10の貼り付けの行われた端末11の表面に当接した状態で往復移動を行う。これにより、拭き取り部43によって端末11に貼り付けられたフィルム10の表面の埃や油脂汚れ等を拭い取り、端末11に貼り付けられたフィルム10の表面を清浄にすることができる。このように、ワイパーユニット40は、フィルム10が端末11に貼り付けられたときに、フィルム10における接着部の形成された面とは逆側の面のワイピングを行うことが可能に構成されている。
【0089】
ワイパーユニット40が端末11の表面上で所定回数の往復移動を行うことによりワイパーユニット40によるワイピングが終了すると、
図11(e)に示されるように、ワイパーユニット40が端末11から離れる方向に移動する。フィルム10の貼り付けの行われた端末11へのワイピングが終了すると、端末11へのフィルム10の貼り付けの工程が終了する。
【0090】
本発明のフィルム貼り付け装置100によるフィルム10の貼り付けによれば、フィルム10が傾斜した状態で貼り付け方向D1に沿ってフィルム10が順次貼り付けられていくので、フィルム10と端末11との間から空気が排除されながら貼り付けが行われる。従って、フィルム10の端末11への貼り付けが行われる際に、フィルム10と端末11の表面との間に空気が残留することを抑えることができる。
【0091】
本実施形態では、フィルム10は透明な材料によって形成され、フィルム10の貼り付けの行われた部分の直下の位置には端末11の画面がある。フィルム10を通して画面上に表示された画像をユーザが視認する必要がある。仮に、フィルム10と端末11の表面との間に空気が残留すると、フィルム10越しに画像を見たときに、空気の残留した部分で色が変化してしまい、画像を正しく視認することができなくなってしまう。そのため、端末11の品質が低下してしまう可能性がある。本発明のフィルム貼り付け装置100によれば、空気の残留が抑えられながら端末11へのフィルム10の貼り付けを行うことができる。従って、フィルム10と端末11との間に空気が残留せず、フィルム10越しの画像が正しく視認される状態でフィルム10が端末11に貼り付けられる。従って、フィルム10の貼り付けられた端末11の品質を向上させることができる。
【0092】
また、このときロボットアーム13による移動、動作及び吸着ユニット30による吸着を所定のフローで制御することにより端末11へのフィルム10の貼り付けを行うことができる。従って、簡易な方法によって、気泡の残留が抑えられたフィルム10の端末11への貼り付けを行うことができる。
【0093】
従って、フィルム10の端末11への貼り付けを高速で行うことができる。そのため、店頭で携帯電話等の端末にフィルムを貼り付ける際には、ユーザの待ち時間を少なくすることができる。従って、ユーザに煩わしさを感じさせることを抑えることができる。
【0094】
また、フィルム10の端末11への貼り付けを高速で行うことができることから、短時間で多くのフィルム10について多くの端末11への貼り付けを行うことができる。これにより、フィルム10の端末11への貼り付けを短時間で行うことができるので、フィルム10の端末11への貼り付けにかかるフィルム貼り付け装置100の運転コストを少なく抑えることができる。
【0095】
また、本実施形態では、吸着ユニット30による吸着によってフィルム10が保持され、保持されたフィルム10についてローラ63によって押圧されてフィルム10の貼り付けが行われている。従って、端末の大きさ、形式に関係なくフィルム10の貼り付けを行うことができる。例えば、端末11の形式が変更になり、フィルム10の大きさが変更された場合であっても、即座に対応してフィルムの貼り付けを行うことができる。ある形式の端末についてその端末に対応したフィルムを用いて連続的にフィルムの貼り付けが行われている間に、異なる形式の端末についてフィルムの貼り付けが行われる場合にも対応することができる。このように、あらゆる形式の端末に対応して端末へのフィルムの貼り付けを行うことができ、汎用性の高いフィルム貼り付け装置100とすることができる。
【0096】
なお、上記実施形態では、フィルム10は透明な材料によって形成されているが、本発明はこれに限定されない。フィルムは、透明ではなく、フィルムの貼り付けられた部分の直下の部分が視認される必要のない材料によって形成されていてもよい。そのような場合であっても、本発明のフィルム貼り付け装置100によれば、フィルムと貼り付け対象との間に空気が残留することが抑えられる。貼り付け対象との間に空気が残留せずにフィルムの貼り付けが行われるので、フィルムに波打ち等が発生せず、貼り付け対象の形状に沿って精度良くフィルムを貼り付け対象に貼り付けることができる。そのため、フィルムの貼り付けられた部分を見栄え良くすることができる。これにより、フィルムの貼り付けの行われた貼り付け対象の品質を向上させることができる。
【0097】
また、上記実施形態では、吸着ユニット30の吸着によってフィルム10を保持し、吸着によって保持されたフィルム10を端末に貼り付ける構成について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。フィルム貼り付け装置100が粘着部を有し、粘着部によってフィルム10を粘着させることによって、フィルム10を保持する構成であってもよい。また、フィルム10を保持することが可能であれば、フィルム貼り付け装置100は、他の構成によってフィルム10を保持するように構成されてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、押圧ユニット60は、フィルム10を接着部の形成された一方の面の反対側の他方の面の側から端末11に向かう方向に押圧しながら転がることが可能なローラ63を有しているが、本発明はこれに限定されない。押圧ユニット60は、フィルム10における端末11に当接した領域を他方の面の側から押圧しながら、フィルム10の他方の面の上を滑ることによって移動して貼り付けを行うことが可能であってもよい。押圧ユニット60は、フィルム10の他方の面の上を滑ることによって移動して貼り付けを行うものとして、例えばヘラを有していてもよい。ヘラによってフィルム10と端末11との間から空気が押し出されて排除され、フィルム10と端末11との間に空気が残留することが抑えられる構成であってもよい。また、押圧ユニット60は、フィルム10の他方の面の上を滑ることによって移動して貼り付けを行うものとして、ハケ、ブラシ等の部材を有していてもよい。ハケ、ブラシ等の部材によってフィルム10と端末11との間から空気が押し出されて排除される構成であってもよい。また、フィルム10と端末11との間から空気を排除することができるのであれば、フィルム貼り付け装置100は、さらに別の構成の押圧ユニットを有していてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、吸着ユニット30が第1ロボットアーム13Aに取り付けられ、ワイパーユニット40、剥離ユニット50及び押圧ユニット60が第2ロボットアーム13Bに取り付けられているが、本発明はこれに限定されない。吸着ユニット30による吸着とワイパーユニット40によるワイピングとが並行して行われるわけではないので、吸着ユニット30とワイパーユニット40とが同じロボットアームに取り付けられるように構成されてもよく、第1ロボットアーム13Aあるいは第2ロボットアーム13Bのいずれか一方にワイパーユニットが取り付けられてもよい。従って、例えば吸着ユニット30とワイパーユニット40とが第1ロボットアーム13Aに取り付けられ、剥離ユニット50と押圧ユニット60とが第2ロボットアーム13Bに取り付けられるように構成されてもよい。また、端末11へのフィルム10の貼り付けを行うことができるのであれば、第1ロボットアーム13Aに取り付けられるユニットと、第2ロボットアーム13Bに取り付けられるユニットとの組み合わせは、他の組み合わせが採用されてもよい。