(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排気ガスは、前記モジュールケースの少なくとも2つの側壁部と前記改質器との間を上方に向かって通過した後、前記排気通路に流入する、請求項1に記載された固体酸化物形燃料電池装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、引用文献1に記載された発明では、空気通路にモジュールケースの長手方向の端部から略水平方向に空気供給管から空気を導入していたが、空気通路の幅を広くしてしまうと空気供給管と反対側の端部まで十分に空気が行き渡らないため、空気通路の幅は燃料電池セルユニットの配置された幅に限られていた。このため、モジュールケースの天板及び側板の、空気供給管と反対側の領域には空気通路が設けられておらず、この領域では熱交換を行うことができなかった。
【0008】
また、引用文献2に記載された発明においても、同文献の
図6に示すように、第1の筒体の端部は、第2の筒体の端部よりも内側位置において、第2の筒体の内部に接合されているため、第1の筒体の端部と第2の筒体の端部との間の領域では、熱交換を行うことができなかった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、従来よりも排気ガスと発電用空気との熱交換効率が向上された固体酸化物形燃料電池装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の固体酸化物形燃料電池装置は、直方体状のモジュールケース内
に改質器を収容する共に
、燃焼部でオフガスを燃焼させて生成した排気ガスの燃焼熱により改質器を加熱す
る固体酸化物形燃料電池装置であって、モジュールケースの天板に形成され、排気ガスをモジュールケースの外部に排出する排気口と、モジュールケース内の燃焼部の上方に配置された改質器と、モジュールケースの天板の下面に沿って形成され、排気口に向かって排気ガスが流れる排気通路と、モジュールケースの天板の上面に沿って形成され、内部を流れる空気と排気通路を流れる排気ガスとの間でモジュールケースの天板を介して熱交換が行われるように構成された第1の空気通路と、
上面視における前記モジュールケースの長辺方向の一端部に設けられ、直上からモジュールケースの天板に向かって空気を吹き付け、第1の空気
通路に空気を供給する空気供給管と、モジュールケースの対向する一対の側壁面の外面に沿って形成され、第1の空気通路と連通し、下部から複数の燃料電池セルユニットに空気を供給する第2の空気通路と、モジュールケースの外板を覆うように設けられ、モジュールケースの外板との間に第1の空気通路及び第2の空気通路を形成する空気通路カバーと、を備え、空気通路カバーは、モジュールケースの天板の全域を被覆するとともに、モジュールケースの一対の側壁面を横幅全体にわたって被覆して
おり、固体酸化物形燃料電池装置は、さらに、モジュールケース内に空気を噴出する複数の空気供給孔と、複数の空気供給孔からの噴出量のばらつきを減らす調整手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
上記構成の本発明によれば、空気通路カバーがモジュールケースの天板の全域を被覆しているため、モジュールケースの天板の略全域に沿って第1の空気通路を形成することができる。また、空気通路カバーがモジュールケースの側壁面の横幅全体にわたって被覆しているため、第2の空気通路をモジュールケースの側壁面の略全幅にわたって形成することができる。また、空気供給管が直上からモジュールケースの天板に向かって空気を吹き付けるため、第1の空気通路の全域に向かって空気が広がる。これにより、熱交換面積を従来に比べて広くすることができ、熱交換効率を向上することができる。
【0012】
なお、本発明において、「空気通路カバーがモジュールケースの天板の全域を被覆する」との記載は、空気通路カバーが溶接しろを含み、この溶接しろも天板を被覆する部分に含まれる場合も含む。これと同様に、「空気通路カバーがモジュールケースの側壁面を横幅全体にわたって被覆している」とは、空気通路カバーが溶接しろを含み、この溶接しろも側壁面を被覆する部分に含まれる場合も含む。
【0013】
また、本発明において好ましくは
、排気ガスは、モジュールケースの少なくとも2つの側壁部と改質器との間を上方に向かって通過した後、排気通路に流入する。
【0014】
従来は、第1の空気流路及び第2の空気流路はモジュールケースの一端部には設けられていなかったため、この領域では熱交換を行うことができなかった。これに対して、上記構成の本発明によれば、モジュールケースの少なくとも2つの側壁部と改質器との間を上方に向かって通過した後、排気通路に流入するため、第1の空気流路の略全域及び第2の空気流路の略全幅で熱交換を行うことができ、熱交換効率を向上することができる。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、さらに、改質器の上方に設けられ、モジュールケースの長手方向に全長にわたって水平方向に延びる排気ガス誘導部材を備え、排気通路は排気ガス誘導部材の上面と、モジュールケースの天板の下面との間に排気ガス誘導部材の全長にわたって形成されている。
【0016】
上記構成の本発明によれば、排気通路が排気ガス誘導部材の上面と、モジュールケースの天板の下面との間に排気ガス誘導部材の全長にわたって形成されているため、モジュールケースの天板の全域で排気ガスの熱を空気に最短距離で伝達することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、さらに、改質器の下方に設けられた複数の燃料電池セルユニットに燃料ガスを供給する燃料ガス供給管を備え、燃料ガス供給管は、モジュールケースの対向する一対の側壁面とは異なる側壁面と、燃料電池セルユニットとの間に配置されている。
【0018】
燃料ガス供給管が設けられた部分には、燃料電池セルユニット及び燃焼部が発生する熱が届きにくいため、比較的に低温となる。しかしながら、上記構成の本発明によれば、横幅全体にわたって第2の空気通路が形成されているため、このような温度ムラが低減され、モジュールケースの側壁部の全幅にわたって熱交換を行うことができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、さらに、水素を含有する燃料ガスが流通する脱硫器を有し、脱硫器は、モジュールケースの対向する一対の側壁面とは異なる側壁面の外面に沿って設けられている。
上記構成の本発明によれば、脱硫器が第2の空気通路が設けられていない側壁面に沿って設けられているため、脱硫器が第2の空気通路内の空気から熱を奪うことを防止できる。
【0020】
本発明において、好ましくは、脱硫器は改質器から燃料ガスが供給される水添脱硫器であり、改質器で改質された燃料ガスは対向する一対の側壁面とは異なる側壁面を貫通する配管により水添脱硫器に供給される。
上記構成の本発明によれば、改質器から水添脱硫器に燃料ガスを供給する配管を最短距離にすることができる。また、引用文献1に記載された発明では、改質器の一端部から水添脱硫器まで改質ガスを送るための配管が、モジュールケースの天板の一端部を貫通して延びており、この領域には空気通路を設けることができず、ジュールケースの天板を介した排気ガスと空気通路の間の熱交換を効率良く行うことができなかった。上記構成の本発明によれば、改質器から延びる配管が天板を貫通しないため、天板全体で空気と排気ガスとの熱交換を行うことができる。
【0023】
本発明において、好ましくは、空気通路カバーは縁部に接合しろを有し、接合しろによって前ジュールケースの天板及び一対の側壁面に接合される。
上記構成の本発明によれば、燃料電池セルユニットを溶接しろによってモジュールケースと接合することができるため、天板の全域及び側壁部の全幅にわたって、確実に気密性を有する第1及び第2の空気通路を形成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、従来よりも排気ガスと発電用空気との熱交換効率が向上された固体酸化物形燃料電池装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置を説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
【0028】
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュールケース8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュールケース8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が収容置されている。この燃料電池セル集合体12は、複数の燃料電池セルユニット16(
図7参照)が直列接続されて構成されている。この例では、燃料電池セル集合体12は、128本の燃料電池セルユニット16を有する。
【0029】
燃料電池モジュール2のモジュールケース8の発電室10の上方には、燃焼部としての燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった(発電に寄与しなかった)残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュールケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器120が配置され、残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している(セルバーナー方式)。
【0030】
さらに、ハウジング6内においてモジュールケース8の上方には、蒸発器140が断熱材7内に設けられている。蒸発器140は、供給された水と排気ガスとの間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュールケース8内の改質器120に供給する。
【0031】
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の原料ガスの供給減である燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための水添脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器120に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
【0032】
なお、本実施形態では、装置の起動時に改質器120内において、部分酸化改質反応(POX)のみが生じるPOX工程から、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)が混在したオートサーマル改質反応(ATR)が生じるATR工程を経て、水蒸気改質反応のみが生じるSR工程が行われるように構成してもよいし、POX工程を省略してATR工程からSR工程に移行されるように構成してもよいし、POX工程及びATR工程を省略してSR工程のみが行われるように構成してもよい。なお、SR工程のみが行われる構成では、改質用空気流量調整ユニット44は不要である。
【0033】
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
【0034】
次に、
図2乃至
図4を参照して、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図であり、
図4は、モジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図である。
【0035】
図2及び
図3に示すように、燃料電池モジュール2は、断熱材7で覆われたモジュールケース8の内部に設けられた燃料電池セル集合体12及び改質器120を有すると共に、モジュールケース8の外部で且つ断熱材7内に設けられた蒸発器140を有する。
【0036】
まず、モジュールケース8は、
図4に示すように、略矩形の天板8a,底板8c,これらの長手方向(
図2の左右方向)に延びる辺同士を連結する対向する一対の側板8bからなる筒状体と、この筒状体の長手方向の両端部の2つの対向する開口部を塞ぎ、天板8a及び底板8cの幅方向(
図3の左右方向)に延びる辺同士を連結する閉鎖側板8d,8eからなる。
【0037】
モジュールケース8は、空気通路カバー160によって天板8a及び側板8bが覆われている。空気通路カバー160は、天板160aと、対向する一対の側板160bと、天板160aの両側部及び側板160bの周囲の縁に沿って延びる溶接しろ160cを有する。天板160aの略中央部分には、排気管171を貫通させるための開口部167が設けられている。また、天板160aの長辺方向一端部における短辺方向略中央部分には、開口部168が設けられている。また、閉鎖側板8dの上部における短辺方向略中央部分には、開口部169が設けられている。
【0038】
空気通路カバー160の溶接しろ160cを含めた幅は、モジュールケース8の幅と略等しくなっている。これにより、空気通路カバー160は、モジュールケースの天板160aの全域を被覆するとともに、モジュールケース8の側板8bの上部を横幅全体にわたって被覆する。
【0039】
天板160aと天板8aとの間、及び、側板160bと側板8bとの間は、所定の距離だけ離間した状態となっている。これにより、モジュールケース8の外側と断熱材7との間、具体的にはモジュールケース8の天板8a及び側板8bと、空気通路カバー160の天板160a及び側板160bとの間には、天板160a及び側板160bの外面に沿って、酸化剤ガス供給通路としての空気通路161a,161bが形成されている(
図3参照)。
【0040】
モジュールケース8の側板8bの下部には、複数の貫通孔である空気噴出孔8fが設けられている(
図4参照)。発電用空気は、空気通路カバー160の天板160aのうち、モジュールケース8の閉鎖側板8d側の略中央部に設けられた開口部168を貫通する発電用空気導入管74から第1の空気通路161a内に供給される(
図2、
図4参照)。そして、発電用空気は、第1及び第2の空気通路161a,161bを通って、空気噴出孔8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される(
図3、
図4参照)。
【0041】
また、第1の空気通路161aの内部には、第1の排気通路172a内の排気ガスと第1の空気通路161a内の空気との間の熱交換を促進する熱交換促進部材としてのプレートフィン162が設けられている(
図3参照)。また、第2の空気通路161bの内部には、第2の排気通路172b内の排気ガスと第2の空気通路161b内の空気との間の熱交換を促進する熱交換促進部材としてのプレートフィン163が設けられている。第2の空気通路161bのプレートフィン163の下方には整流板183が設けられている。整流板183は水平方向に所定の間隔で複数の開口を画成する部材である。モジュールケース8の側板8bの第2の空気通路161bの下端部の燃料電池セル集合体12に当たる位置に、複数の空気噴出孔8fが形成されている。なお、空気噴出孔8fの大きさ(開口面積)は、燃料ガス供給管64側から閉鎖側板8e側に向かって順次大きくなっている。これら整流板183及び空気噴出孔8fの寸法を変更することが、本発明の複数の空気噴出孔からの噴出量を調整する調整手段に該当する。
【0042】
プレートフィン162は、モジュールケース8の天板8aと空気通路カバー160の天板160aの間で長手方向及び幅方向に延びるように水平方向に設けられている。すなわち、プレートフィン162は、空気通路161a内の後述する第1の排気通路172aに対応する部分に設けられている。また、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bとの間であって、且つ、燃料電池セルユニット16よりも上方の位置に長手方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。すなわち、プレートフィン163は、空気通路161b内の後述する第2の排気通路172b及び排気集中部176に対応する部分に設けられている。
【0043】
第1及び第2の空気通路161a,161bを流れる発電用空気は、特にプレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の内側のモジュールケース8内(具体的には天板8a,側板8bに沿って設けられた排気通路)を通過する排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、第1及び第2の空気通路161a,161bにおいてプレートフィン162,163が設けられた部分は、熱交換器(熱交換部)として機能する。なお、プレートフィン162が設けられた部分が主たる熱交換器部分を構成し、プレートフィン163が設けられた部分が従たる熱交換器部分を構成する。
【0044】
次に、蒸発器140は、モジュールケース8の天板8a上で水平方向に延びるように固定されている。また、蒸発器140とモジュールケース8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置されている(
図2及び
図3参照)。
【0045】
具体的には、蒸発器140は、長手方向(
図2の左右方向)の一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82(
図3参照)とが連結され、長手方向の他側端側に、排気管171の上端部が連結されている。排気管171は、空気通路カバー160の天板160aに形成された開口部167を貫通して下方へ延び、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111に連結されている。排気口111は、モジュールケース8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュールケース8の外へ排出する開口部であり、モジュールケース8の上面視略矩形の天板8aのほぼ中央部に形成されている。
【0046】
また、蒸発器140は、
図2及び
図3に示すように、上面視で略矩形の蒸発器ケース141を有している。この蒸発器ケース141は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
【0047】
したがって、蒸発器ケース141は、上下方向に二層構造となっており、下層部分には、排気管171から供給された排気ガスが通過する排気通路部140Aが形成され、上層部分には、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部140Bと、蒸発部140Bで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部140Cが設けられている。
【0048】
蒸発部140B及び混合部140Cは、複数の連通孔(スリット)が設けられた仕切り板により蒸発器140を仕切った空間にて形成されている。また、蒸発部140B内には、アルミナボール(図示せず)が充填されている。
【0049】
また、排気通路部140Aは、同様に複数の連通孔を有する2つの仕切り板により排気ガスの上流側から下流側にかけて3つの空間に仕切られている。そして、2番目の空間に燃焼触媒(図示せず)が充填されている。すなわち、本実施形態の蒸発器140は、燃焼触媒器を含んでいる。
【0050】
このような蒸発器140では、蒸発部140B内の水と排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部140B内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。また、混合部140C内の混合ガスと排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
【0051】
更に、
図2に示すように、混合部140Cには、改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管112が接続されている。この混合ガス供給管112は、排気管171の内部を通過するように配置されており、一端が中間板144に形成された開口144aに連結され、他端が改質器120の天面に形成された混合ガス供給口120aに連結されている。混合ガス供給管112は、排気通路部140A内,排気管171内を通過してモジュールケース8内まで鉛直下方に延び、そこで略90°屈曲されて天板8aに沿って水平方向に延びた後、下方へ略90°屈曲されて改質器120に連結されている。
【0052】
次に、改質器120は、燃焼室18の上方でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置され、モジュールケース8の天板8aとの間に排気ガス誘導部材130を介して所定距離隔てられて状態で、天板8aに対して固定されている。改質器120は、上面視で外形略矩形であるが、中央部に貫通孔120bが形成された環状構造体であり、上側ケース121と下側ケース122とが接合された筐体を有している。この貫通孔120bは、天板8aに形成された排気口111と上面視で重なるように位置し、好ましくは、貫通孔120bの中央位置に排気口111が形成される。なお、改質器120の外側面とモジュールケース8の側板8bとの間、及び、改質器120の外側面とモジュールケース8の閉鎖側板8d、8eとの間には隙間が設けられている。
【0053】
改質器120の長手方向の一端側(モジュールケース8の閉鎖側板8e側)では、上側ケース121に設けられた混合ガス供給口120aに混合ガス供給管112が連結されており、他端側(閉鎖側板8d側)では、燃料ガス供給管64が下側ケース122に連結され、側方に延びる水添脱硫器用水素取出管65が改質器120の側壁に連結されている。改質器120は、混合ガス供給管112から混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を受け取り、内部で混合ガスを改質し、燃料ガス供給管64及び水添脱硫器用水素取出管65から改質後のガス(即ち、燃料ガス)を排出するように構成されている。
【0054】
改質器120は、その内部空間が2つの仕切り板123a,123bによって3つの空間に仕切られることにより、改質器120内に、混合ガス供給管112からの混合ガスを受入れる混合ガス受入部120Aと、混合ガスを改質するための改質触媒(図示せず)が充填された改質部120Bと、改質部120Bを通過したガスを排出するガス排出部120Cと、が形成されている(
図2参照)。改質部120Bは、仕切り板123a,123bに挟まれた空間であり、この空間に改質触媒が保持されている。混合ガス及び改質後の燃料ガスは、仕切り板123a,123bに設けられた複数の連通孔(スリット)を通って移動可能となっている。また、改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
【0055】
混合ガス受入部120Aには、蒸発器140から混合ガス供給管112を介して供給された混合ガスが混合ガス供給口120aを通して噴出される。この混合ガスは、混合ガス受入部120A内で拡張されて噴出速度が低下し、仕切り板123aを通過して改質部120Bに供給される。
改質部120Bでは、低速で移動する混合ガスが改質触媒により燃料ガスに改質され、この燃料ガスが仕切り板123bを通過してガス排出部120Cに供給される。
ガス排出部120Cでは、燃料ガスが燃料ガス供給管64、及び、水添脱硫器用水素取出管65へ排出される。
【0056】
モジュールケース8の閉鎖側板8eの外面に沿うように、水添脱硫器36が設けられている。水添脱硫器用水素取出管65は、モジュールケース8の閉鎖側板8eを貫通し、水添脱硫器36に接続されている。水添脱硫器36には水添脱硫器用水素取出管65を介して改質後の水素を含有する燃料ガスが供給される。また、水添脱硫器36には、燃料供給源30から延びる配管69が接続されており、配管69を通じて燃料供給源30から脱硫前の原燃料ガスが供給される。水添脱硫器36は、Ni−Mo系又はCo−Mo系の触媒が含んでおり、モジュールケース8からの熱及び改質後の燃料ガスの熱により触媒の活性を維持することにより、硫黄化合物を触媒上で水素と反応させて、供給された原燃料ガスを脱硫する。水添脱硫器36には、さらに、配管67が接続されており、この配管67は燃料流量調整ユニット38に接続されており、水添脱硫器36により脱硫された燃料ガスは、燃料流量調整ユニット38を介して蒸発器140に供給される。
【0057】
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュールケース8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内へ入り、更にマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがマニホールド66内に供給される。このマニホールド66の上方には、燃料電池セルユニット16を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
【0058】
排気ガス誘導部材130は、改質器120と天板8aとの間でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置されている。排気ガス誘導部材130は、上下方向に所定距離だけ離間された下部誘導板131及び上部誘導板132と、これらの長手方向の両端辺が取り付けられる連結板133,134とを備えている(
図2,
図3参照)。上部誘導板132は、幅方向の両端部が下方に向けて折り曲げられ、下部誘導板131に連結されている。連結板133,134は、上端部が天板8aに連結され、下端部が改質器120に連結されており、これにより、排気ガス誘導部材130及び改質器120を天板8aに固定している。
【0059】
下部誘導板131は、幅方向(
図3の左右方向)の中央部が下方に向けて突出する凸状段部131aが形成されている。一方、上部誘導板132は、下部誘導板131と同様に、幅方向の中央部が下方に向けて凹状となるように凹部132aが形成されている。凸状段部131aと凹部132aは、上下方向で並行して長手方向に延びている。混合ガス供給管112は、モジュールケース8内でこの凹部132a内を水平方向に延びた後、閉鎖側板8e付近で下方に向けて屈曲し、上部誘導板132及び下部誘導板131を貫通して、改質器120に連結されている。
【0060】
排気ガス誘導部材130は、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134によって、断熱層として機能する内部空間であるガス溜(ガス断熱層)135が形成されている。このガス溜135は、燃焼室18と流体連通している。すなわち、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134は、所定の隙間を形成するように連結されており、気密的には連結されていない。ガス溜135には、運転中に燃焼室18から排気ガスが流入したり、停止時に外部から空気が流入したりすることが可能となっているが、総じてガス溜135の内外間のガスの移動は緩やかである。
【0061】
上部誘導板132は、天板8aと所定の上下方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の上面と天板8aとの間には、長手方向及び幅方向に沿って水平方向に延びる第1の排気通路172aが形成されている。この第1の排気通路172aは、モジュールケース8の天板8aを挟んで第1の空気通路161aと並設されており、第1の排気通路172a内には、第1及び第2の空気通路161a,161b内のプレートフィン162,163と同様なプレートフィン175aが配置されている。このプレートフィン175aは、プレートフィン162と上面視で略同一箇所に設けられており、天板8aを挟んで上下方向に対向している。
【0062】
上部誘導板132は、上部誘導板132の側面と側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の側面と側板8bとの間には、長手方向及び上下方向に延びる第2の排気通路172bが形成されている。第2の排気通路172bは上部において第1の排気通路172aと連通している。第2の排気通路172b内にも、第1及び第2の空気通路161a、161b内のプレートフィン162、163と同様なプレートフィン175bが配置されている。このプレートフィン175bは、下端が下部誘導板131の高さまで延びている。
【0063】
第1及び第2の空気通路161a、161bと、第1及び第2の排気通路172a、172bのうち、プレートフィン162、163、175a、175bが設けられた部分において、第1及び第2の空気通路161a、161bを流れる発電用空気と第1及び第2の排気通路172a、172bを流れる排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排気ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。
【0064】
また、改質器120は、モジュールケース8の側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、改質器120と側板8bとの間には、排気ガスを下方から上方へ通過させる第3の排気通路173が形成されている。
【0065】
さらに、下部誘導板131は、改質器120の上側ケース121の天面から所定の上下方向距離を隔てて配置されており、下部誘導板131と上側ケース121との間、及び、改質器120の貫通孔120bは、貫通孔120bを下方から上方へ向けて通過した排気ガスを通過させる第4の排気通路174を形成している。この第4の排気通路174は、改質器120の上方、かつ、側板8bの近傍で第3の排気通路173と合流し、排気ガスが集中する排気集中部176が形成される。
【0066】
図5は、第2の排気通路172b及び空気通路161bの第2の排気通路172bに対応する部分を拡大して示す鉛直断面図である。
図5に示すように、プレートフィン175bは、上部誘導板132の側面と、モジュールケース8の側板8bとに挟まれて配置されている。プレートフィン175bは、側板8bとは突出部204の天板部204bで接触しているが、上部誘導板132の側面とは天板部204bに設けた突起部205を介して接触している。
【0067】
突起部205は、天板部204bよりも接触面積が小さくなるように形成されており、例えば、天板部204bの一部を外方へ突出させることにより形成することができる。また、突起部205は、熱伝導性の良好なプレートフィンとは別部材とすることもできる。この場合、プレートフィンよりも熱伝導性の低い材料で形成すると好適である。
【0068】
突起部205は、上部誘導板132の側面側のすべての突出部204の天板部204bに設けられてはおらず、少なくとも1つの天板部204bに設けられている。このため、上部誘導板132の側面に向けて突出する突出部204のうち、ほとんどの突出部204が上部誘導板132の側面と接触せず、1つ又は少数の突出部204のみが突起部205を介して上部誘導板132の側面と接触している。
【0069】
このように、プレートフィン175bは、側板8bに対しては天板部204bを介して接触しているが、上部誘導板132の側面に対して、接触面積が小さく、好ましくは熱伝導性が低い突起部205を介して接触している。このため、プレートフィン175bは、ガス断熱層135を画成する上部誘導板132よりも、空気通路161bへ熱を伝達することができる。これにより、第2の排気通路172bの排気ガスと空気通路161bの発電用空気との間の熱交換効率より向上させることができる。なお、プレートフィン175aでも同様である。
【0070】
また、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bに挟まれて配置されている。プレートフィン163は、プレートフィン175bと同様に、側板8bとは突出部202の天板部202bで接触しているが、側板160bとは天板部202bに設けた突起部203を介して接触している。
【0071】
突起部203は、天板部202bよりも接触面積が小さくなるように形成されており、突起部203は、熱伝導性の良好なプレートフィンとは別部材とすることもできる。この場合、プレートフィンよりも熱伝導性の低い材料で形成すると好適である。
【0072】
また、突起部203は、側板160b側のすべての突出部202の天板部202bに設けられておらず、1つ又は少数の突出部202のみが突起部203を介して側板160bと接触している。
【0073】
このため、プレートフィン163から側板160bを介して外部の断熱材7へ熱を放散させること(熱損失)を抑制することが可能となり、第3の排気通路173の排気ガスと空気通路161bの発電用空気との間の熱交換効率より向上させることができる。なお、プレートフィン162でも同様である。
【0074】
次に、
図6を参照して、燃料電池セルユニット16について説明する。
図6は、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
【0075】
図6に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
【0076】
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
【0077】
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
【0078】
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド66(
図2参照)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(
図2参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
【0079】
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
【0080】
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
【0081】
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
【0082】
燃料電池セル集合体12は、各燃料電池セルユニット16の燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86が、他の燃料電池セルユニット16の空気極である外側電極層92の外周面に電気的に接続されることにより、128本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されて構成される。
【0083】
次に、
図7及び
図8を参照して、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。
図7は、
図2と同様の、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、
図8は、
図3と同様の、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
図7及び
図8は、それぞれ、
図2及び
図3中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材7を取り除いた状態の図を示している。図中、実線矢印は燃料ガスの流れ、破線矢印は発電用空気の流れ、一点鎖線矢印は排気ガスの流れを示す。
【0084】
図7に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)は、蒸発器140の長手方向の一端側に連結された燃料供給配管63から蒸発器140の上層に設けられた蒸発部140B内に供給される。蒸発部140Bに供給された水は、蒸発器140の下層に設けられた排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱され水蒸気となる。この水蒸気と、燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとが、蒸発部140B内を下流方向に流れて行き、混合部140C内で混合される。混合部140C内の混合ガスは、下層の排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱される。
【0085】
混合部140C内で形成された混合ガス(燃料ガス)は、混合ガス供給管112を通って、モジュールケース8内の改質器120に供給される。混合ガス供給管112は、排気通路部140A,排気管171,及び第1の排気通路172aを順に通過しているため、これらの通路を流れる排気ガスにより、混合ガス供給管112内の混合ガスは更に加熱される。
【0086】
混合ガスは、改質器120内の混合ガス受入部120A内に流入し、ここから仕切り板123aを通過して改質部120Bに流入する。混合ガスは、改質部120Bにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、仕切り板123bを通過して、ガス排出部120Cに流入する。
【0087】
更に、燃料ガスは、ガス排出部120Cから燃料ガス供給管64と水添脱硫器用水素取出管65とに分岐する。水添脱硫器用水素取出管65に流入した燃料ガスは、水添脱硫器36に供給される。また、水添脱硫器36には、配管69を通じて燃料供給源30から脱硫前の原燃料ガスが供給される。そして、水添脱硫器36において脱硫された燃料ガスは、燃料流量調整ユニット38を介して、配管67を通じて蒸発器140に供給される。また、燃料ガス供給管64に流入した燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからマニホールド66内に供給され、マニホールド66から各燃料電池セルユニット16内に供給される。
【0088】
また、
図7及び
図8に示すように、発電用空気は、発電用空気導入管74から第1の空気通路161aに供給される。発電用空気はモジュールケースの天板8aの上面に向かって直上から吹き付けられる。吹き付けられた発電用空気は、第1の空気通路161a内を天板8aの全域に広がる。そして、発電用空気は、一対の側板8bに向かって第1の空気通路161a内を流れ、第2の空気通路161bへ流入する。
【0089】
図9は、本発明の第1実施形態における第2の空気通路内における発電用空気の流れを示す模式図である。第2の空気通路161bへ流入した発電用空気は一対の側板8bの全幅に沿って下方へ流れる。そして、整流板183の間を通過することにより、発電用空気の流れが整流される。ここで、空気噴出孔8fは、燃料電池セル集合体12に当たる位置に設けられているものの、燃料ガス供給管64側の部分には設けられていないため、第2の空気通路161bの整流板183の下流の領域では、燃料ガス供給管64側が高圧になる。これに対して、空気噴出孔8fの大きさ(開口面積)が、燃料ガス供給管64側から閉鎖側板8e側に向かって順次大きくなっているため、各空気噴出孔8fから吹き出される空気の量が均等になる。
【0090】
発電用空気は、第1及び第2の空気通路161a,161b内において、プレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の下部のモジュールケース8内に形成された第1及び第2の排気通路172a,172bを通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。
【0091】
この後、発電用空気は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。なお、本実施形態では、燃料電池セル集合体12の側方部位には排気通路が形成されていないため、この部位において発電用空気と排気ガスとの間の熱交換は抑制される。したがって、燃料電池セル集合体12の側方部位において、空気通路161b内の発電用空気に上下方向の温度ムラが生じ難くなっている。
【0092】
また、発電室10内で発電に利用されなかった燃料ガスは、
図8に示すように、燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、モジュールケース8内を上昇していく。具体的には、排気ガスは、第3の排気通路173と第4の排気通路174とに分岐して、改質器120の外側面とモジュールケース8の側板8bとの間、及び、改質器120の外側面とモジュールケース8の閉鎖側板8d、8eとの間、及び、改質器120の貫通孔120bから改質器120と排気ガス誘導部材130との間をそれぞれ通過する。このとき、第4の排気通路174を通過する排気ガスは、改質器120の貫通孔120bの上方に配置された凸状段部131aによって幅方向に二分され、排気ガス誘導部材130の下部に留まることなく第3の排気通路173に向けて誘導され、排気集中部176において第3の排気通路173を流れる排気ガスに合流する。ここで、第2の排気通路172b内にはプレートフィン175bが設けられているため、第3の排気通路173及び第4の排気通路174を通過した排気ガスは排気集中部176において滞留する(
図8のAの部分)。
【0093】
その後、排気ガスは、排気集中部176から第2の排気通路172bに導入される。そして、第2の排気通路172bを通過した排気ガスは、第1の排気通路172aを水平方向に流れていき、モジュールケース8の天板8aの中央に形成された排気口111から流出する。
【0094】
なお、排気ガスが排気集中部176に滞留する際に、空気通路161b内の排気集中部176に対応する部分に設けられたプレートフィン163を介して、発電用空気と排気ガスとの間で熱交換が行われる。さらに、排気ガスが第2の排気通路172b及び第1の排気通路172aを流れていく際に、第2及び第1の排気通路172b、172a内に設けられたプレートフィン175b、175aと、第2及び第1の空気通路161a、161b内のプレートフィン175b、175aに対応する部分に設けられたプレートフィン162、163とを介して、発電用空気と排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。このようにして、排気ガスの熱により発電用空気が昇温される。
【0095】
そして、排気口111から流出した排気ガスは、モジュールケース8の外部に設けられた排気管171を通過して蒸発器140の排気通路部140Aに流入し、排気通路部140Aを通過した後、蒸発器140から排気ガス排出管82へ排出される。排気ガスは、蒸発器140の排気通路部140Aを流れる際に、上述したように、蒸発器140の混合部140C内の混合ガス及び蒸発部140B内の水と熱交換を行う。
【0096】
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下の効果が奏される。
上記実施形態によれば、空気通路カバー160がモジュールケース8の天板8aの全域を被覆しているため、モジュールケース8の天板8aの略全面に沿って第1の空気通路161aを形成することができる。また、空気通路カバー160がモジュールケース8の側板8bの横幅全体にわたって被覆しているため、第2の空気通路161bをモジュールケース8の側板8bの略全幅にわたって形成することができる。また、空気供給管74が直上からモジュールケース8の天板8aに向かって空気を吹き付けるため、第1の空気通路161aの全域に向かって空気が広がる。これにより、熱交換面積を従来に比べて広くすることができ、熱交換効率を向上することができる。
【0097】
従来は、第1の空気流路及び第2の空気流路はモジュールケースの一端部には設けられていなかったため、この領域では熱交換を行うことができなかった。これに対して、本実施形態によれば、モジュールケース8の4つの側板8b、8d、8eと改質器120との間を上方に向かって通過した後、第1及び第2の排気通路172a、172bに流入に流入するため、第1の空気流路161aの略全域及び第2の空気流路161bの略全幅で熱交換を行うことができ、熱交換効率を向上することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、第1の排気通路172aが排気ガス誘導部材130の上面と、モジュールケース8の天板8aの下面との間に排気ガス誘導部材130の全長にわたって形成されているため、モジュールケース8の天板8aの全域で排気ガスの熱を空気に最短距離で伝達することができる。
【0099】
また、燃料ガス供給管64が設けられた部分には、燃料電池セルユニット16及び燃焼室18が発生する熱が届きにくいため、比較的に低温となる。しかしながら、上記実施形態によれば、横幅全体にわたって第2の空気通路161bが形成されているため、このような温度ムラが低減され、モジュールケースの側壁部の全幅にわたって熱交換を行うことができる。
【0100】
上記構成の本発明によれば、水添脱硫器36が第2の空気通路161bが設けられていない閉鎖側板8dに沿って設けられているため、水添脱硫器36が第2の空気通路161b内の空気から熱を奪うことを防止できる。
【0101】
また、本実施形態では、改質器120で改質された燃料ガスは閉鎖側板8dを貫通する配管により水添脱硫器36に供給されるため、改質器120から水添脱硫器36に燃料ガスを供給する配管65を最短距離にすることができる。また、改質器120から延びる配管が天板8aを貫通しないため、天板8a全体で空気と排気ガスとの熱交換を行うことができる。
【0102】
また、本実施形態では、燃料電池セルユニット16は燃料ガス供給管64の領域には設けられていないため、複数の空気噴出孔8fから燃料電池セルユニット16に空気を供給しても、燃料電池セルユニット16ごとに空気供給量のばらつきが生じるおそれがある。これに対して、本実施形態では、モジュールケース8の第2の空気通路161bの下部に当たる位置に燃料電池セルユニット16に空気を供給するための複数の空気噴出孔8fが設けられ、さらに、整流板183を設けるとともに空気噴出孔8fの面積を調整することにより、複数の空気噴出孔8fからの噴出量が均等になるように調整されているため、燃料電池セルユニット16ごとの空気供給量のばらつきを減らし、燃料電池セルユニット16の温度ムラの発生を減らすことができる。
【0103】
また、本実施形態では、空気通路カバー160は縁部に接合しろ160cを有し、接合しろ160cによってモジュールケース8の天板8a及び一対の側板8bに接合されるため、天板8aの全域及び側板8bの全幅にわたって、確実に気密性を有する第1及び第2の空気通路161a、161bを形成することができる。
【0104】
なお、上記実施形態では、第2の空気通路161b内に水平方向に延びる整流板183を設け、かつ、空気噴出孔8fの大きさを燃料ガス供給管64側から閉鎖側板8e側に向かって順次大きくすることにより、各空気噴出孔8fから噴出される空気の量を均等にしたが、本発明の複数の空気噴出孔からの噴出量を調整する調整手段はこれに限られない。
図10は、本発明の第2実施形態における第2の空気通路内における発電用空気の流れを示す模式図である。
図10に示すように、第2の空気通路161bの下流側端部の燃料ガス供給管64側にガイド部材283を設けてもよい。ガイド部材283は下流側に向かって閉鎖側板8e側に進出するように傾斜している。このような構成によっても、各空気噴出孔8fから噴出される空気の量を均等にすることができる。