(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
図は必ずしも正確な縮尺ではない。図で使用される同様の数字は、同様の構成要素を指す。しかし、所与の図においてある構成要素を指すためにある数字を使用することは、同じ数字で標識された別の図の構成要素を制限することを意図するものではないことが理解される。
【0006】
本明細書に記載される実施形態は、種々の用途、例えばスイッチ、センサまたは発振器に使用できる半導体デバイスを含む。デバイスは、デバイス基板として作用する第1の窒化物半導体層を含み、この基板層上に、第2、第3、および第4の窒化物半導体層がこの順序で配設される。pn接合は、第3の層と第4の層との間の接合界面によって形成される。分極接合は、第2の層と第3の層との間のヘテロ接合界面によって形成され、ここで「ヘテロ接合」という用語は、第2の層および第3の層が異なる材料で製造されていることを示す。分極接合は、ヘテロ接合の一方の側に極性の固定電荷を有し、ヘテロ接合の反対側に反対の極性の固定電荷を有する。デバイスが無バイアスの場合、pn接合は、pn接合にわたるキャリアのフローに対抗する第1の電場を含み、分極接合は、分極接合にわたる反対に荷電したキャリアのフローに対抗する第2の電場を含む。分極接合は、pn接合を通したキャリアのフローを制御し、故に本明細書に開示されるデバイスは分極制御ダイオード(PCD)と称される。
【0007】
図1Aは、一部の実施形態に従うPCD100の概略断面図である。PCD100は、垂直デバイスとして示され、両側にp−コンタクトおよびn−コンタクトを有する。しかし、エッチング、例えば乾式エッチングを通して曝露されるn−GaN基板/テンプレートと同じ側に両方のコンタクトを有することができる。
図1Aに示されるように、デバイス100は、p−およびn−コンタクト電極121、122の間に配設されたIII族窒化物半導体のいくつかの層101〜104からなってもよい。pn接合は、第3の窒化物半導体層103と第4の窒化物半導体層104との間の接合界面Ipnに形成される。一部の実施形態において、接合Ipnは、第3および第4の層が同じタイプの材料から製造されることを意味するpnホモ接合であってもよい。第3の層103は、第1のタイプのドーパントであるアクセプタ(p型)またはドナー(n型)のいずれかでドープされ、第4の窒化物半導体層104は、界面Ipnがpn接合を形成するように、反対のタイプのドーパントでドープされる。分極接合は、第2の窒化物半導体層102と第3の窒化物半導体層103との間のヘテロ接合Ipolに形成される。デバイス100はまた、第1の窒化物半導体層101と第2の窒化物半導体層102との間に第3の界面Isを含む。
【0008】
一部の実施形態において、第2の窒化物半導体層はnドープされ、第3の窒化物半導体層はnドープされ、第4の窒化物半導体層はpドープされる。nドープされた層のドーピング濃度は、10
18〜10
19のオーダーであってもよく、pドープされた層のドーピング濃度は10
19〜10
20のオーダーであってもよい。
【0009】
あるいは一部の実施形態において、第2の窒化物半導体層はpドープされ、第3の窒化物半導体層はpドープされ、第4の窒化物半導体層はnドープされる。一部の実施形態において、第2の窒化物半導体層は、上記のパラグラフに示される場合と同じドーピング濃度を有する第3の窒化物半導体層と同じ大きさのオーダーのドーパント濃度を有していてもよい。
【0010】
一部の実施形態において、分極接合とpn接合との間の距離は、例えば25nm〜500nmであることができる。
【0011】
図1BのPCD130によって示されるように、第4の窒化物半導体層134はp型ドーパントでドープされたp−GaNであってもよく、第3の窒化物半導体層133はn型ドーパントでドープされたGaNであってもよく;第1の層131はn型ドープされたGaN基板であってもよい。第2の窒化物半導体層132は、第1の層および第3の層の半導体材料とは異なる窒化物半導体材料、例えばn−InAlNであってもよい。n−コンタクト141は第1の層131に近接して配設され、p−コンタクト142は第4の層134に近接して配設される。
【0012】
一部の実施形態において、第2の層の材料は、Alを含む窒化物半導体、例えば
図1Bに示されるようにInAlNであってもよい。あるいは、第2の層の材料は、p型またはn型ドーパントでドープされたAlGaNであってもよい。一部の実施形態において、第2の層の材料は、四元窒化物半導体、例えばAlGaInNである。第2の窒化物半導体層132は、In
xAl
1−xN層であることができ、ここでxは0.10〜0.25である。第2の窒化物半導体層132は、基板層131に格子整合であることができる。例えば第1の層131がn型GaNであり、第2の層132がn型InAlNである場合、格子整合は、InAlN層のIn組成が約18%であるように選択することを含んでいてもよい。デバイス130は、他の基板配向も可能であるが、GaN基板131のc面(0001)に沿って成長させる。より高い結晶品質は、層が低欠陥密度基板上に疑似整合的に成長する場合に達成され得る、例えば基板の格子定数に実質的に等しいエピタキシャルフィルムの格子定数。エピタキシャル層の格子定数が基板の格子定数に近い場合に、層は、欠陥形成(貫通転位)を通して最終的に放出され得る歪を蓄積しない。さらに、圧電分極はエピフィルム内の歪に依存する。
図1Bは、NNNP構造を有するPCDを示し、層1、2、3はn型でドープされ、層4はp型でドープされることを意味する。一部の実施形態において、PCDは、PPPN、NPPPまたはNNPP構造を有していてもよい。
【0013】
Siは、n型ドーパントとして使用されてもよく、n型層、例えばPCD130の第1、第2および第3の層101、102、103のSi濃度は、N
D=1×10
18〜1×10
19Si/cm
3の範囲であってもよい。Mgはp型ドーパントとして使用されてもよく、こうしてp−層、例えばPCD130の第4の層104のMg濃度はN
A=1×10
19〜1×10
20Mg/cm
3の範囲となってもよい。いずれかの好適なn型ドーパント、例えばGeならびにいずれかの好適なp型ドーパントは、n型およびp型層をドーピングするために使用できる。
【0014】
本明細書に記載されるPCDの分極接合は、異なる窒化物半導体材料の第2の層と第3の層との間のヘテロ接合に形成される。それらのウルツ鉱結晶構造およびイオン性により、(0001)面に沿ってエピタキシャル成長する窒化物半導体は、圧電および/または自発分極を示す。ヘテロ構造界面、例えばIpolおよびIs界面において、界面の片側における窒化物半導体の分極は、分極場を導き、これは分極接合を形成する窒化物半導体材料の圧電および自発分極場コンポーネントの合計の関数である。
【0015】
図1Bに示されるように、第1の層の分極はP1であり、第2の層の分極はP2であり、第3の層の分極はP3である。Isでの分極の差は、P2−P1であり、これは示される実施形態のように第1の層がGaNであり、第2の層がInAlNである場合に、0より小さい。Ipolでの分極の差はP3−P2であり、これは
図1Bに示される材料について0より大きい。p−電極142とn−電極141との間のデバイス130にわたる電圧適用により、電流フローをもたらす。電流フローは、バイアス電圧がスイッチオン電圧Vsよりも小さい場合に非常に低い。Vsの値は、ドーピングレベル、材料の組成および種々の層の厚さのような因子によって決定される。バイアス電圧がVsより大きい場合、電流は、迅速に非常に大きくなる。例えば、0.005Vのバイアス電圧の変化は、10
3を超えるまたは10
5を超えるまたはさらには10
7を超える倍数で電流密度の増大を導き得る。デバイスがスイッチオフであるバイアス電圧とスイッチオン電圧Vsとの間の差は、約0.01ボルト未満または例えば0.002〜0.01ボルトの範囲であってもよい。
【0016】
図1Bのデバイスが+c方向に成長する場合、P2−P1<0、およびP3−P2>0である。AlInNからGaNへの相対界面(位置I_pol)にて、分極は急激に変化し、分極電荷密度が形成される。示された例において、分極電荷密度は負(−σ)であり、電子の反発力を生じる。Vsより小さい適用バイアス電圧Vに関して、電子は、第2の層132と第3の層133層との間の界面に形成するエネルギー障壁を乗り越えるのは不可能である。
【0017】
界面Ipolと界面Ipnとの間のn−GaN領域にわたる−c方向の正孔輸送にもエネルギー障壁が存在する。このエネルギー障壁はpn接合と関連し、Ipolでの分極電荷をスクリーンするのに十分な数に正孔が蓄積するのを防止する。デバイス130を通って流れる電流は、これらの条件下で非常に低い。バイアス電圧がスイッチオン電圧Vsを超えたら、Ipol界面にわたる電子輸送のための障壁およびn−GaN層133にわたる正孔輸送のための障壁は、急激に低減される。バンド構造においてこの急激の変化は協働効果である。Ipol界面における正孔蓄積はエネルギー障壁を低減し、一部の電子はpn接合に向かってn−GaN層133に流れることができる。この電子フローが正孔輸送のための障壁を低減し、Ipol界面にて正孔密度をさらに増大できる。この正のフィードバックは結果として、両方の障壁IpnおよびIpolのシャープな低減をもたらし、デバイス130にわたって大きな電流を流すことができる。Ipolでのポテンシャル障壁は、バイアス電圧がシミュレーションに基づいて0.005eV増大するときに1eVを超えて低減され得る。同時に、正孔のためのエネルギー障壁は、バイアス電圧の同じ増大によって0.9eV低減される。これが、電流のシャープなターンオンの起源である。
図2は、n−In
0.18Al
0.82Nの第3の層を有する
図1に示される構成を有するデバイスに関してバイアス電圧の関数としての計算された電流密度を示す。この例のシミュレーションにおいて、0.05V未満のバイアス電圧の変化は、10
3より大きい倍数で電流密度を増大させることになる。
【0018】
オフ状態(Vバイアス=5.03V)およびオン状態(Vバイアス=5.035V)に対応する+c軸に沿って
図1BのPCDにおける距離の関数としてのエネルギー(eV)のシミュレーションされたバンド構造のダイアグラムを、それぞれ
図3Aおよび3Bに示す。バイアス電圧は
図3Aで5.03Vである(オフ電圧状態)。
図3Bのバイアス電圧(オン状態)は5.035Vである。この場合電流フローは大きい。
図3Aにおける垂直破線は、n−InAlNとn−GaNとの間のIpol界面(破線399)およびn−GaNとp−GaNとの間のIpn界面(破線398)を示す。これらの2つの界面間の距離は50nmである。
【0019】
図3Aの矢印によって終了する垂直線は、電子(線397)および正孔(線396)にとってのポテンシャル障壁を示す。
図3Aおよび3Bの線301は、電子についての擬フェルミ準位である。
図3Aおよび3Bの線302は、正孔についての擬フェルミ準位である。
図3Aおよび3Bにおいて線303は、伝導バンド端である。
図3Aおよび3Bにおいて線304は、価電子バンド端である。
【0020】
試験として、中間層をPCDのn−InAlN層とn−GaN層との間に配置し、シャープな界面を、InGaAlN組成を有する追加の中間層が存在する界面で置き換える効果を評価する。第1のシナリオにおいて、シャープな界面は、In
0.18Al
0.82N層とn−GaN層との間の界面にて中間層を用いずに試験した。第2のシナリオにおいて、相対的に段階的な界面(段階1)を試験したが、ここでIn
0.02Al
0.05Ga
0.93Nの中間層を、In
0.18Al
0.82N層とn−GaN層との間に配設した。第3のシナリオにおいて、相対的に段階的な界面(段階2)を試験したが、ここでIn
0.02Al
0.08Ga
0.90Nの中間層を、In
0.18Al
0.82N層とn−GaN層との間に配設した。結果はいずれの場合も非常に似ていた:バイアス電圧に応じた電流の変化は急激なままである。層中のドーピングレベルは、これらの実施例において6E18Si/cm
3であった。結果を以下の表1に列挙する。
【0022】
n−In
0.18Al
0.82N層厚さが400、200または75nmであるデバイスについてのシミュレーションはすべて、
図2に示されるターンオン特徴と同様のシャープなターンオン特徴を示し、n−In
0.18Al
0.82N層の厚さが重要でないことを示唆している。n−GaNの厚さに対する閾値電圧の依存を以下の表2に示す。閾値電圧は、IpolとIpnとの間のn−GaN領域の厚さに依存する。オフ状態において、この領域は正孔輸送に対する障壁として作用する。この領域を厚くすることによって、閾値電圧はわずかに増大する。n−GaNおよびn−InAlN層のSiドーピングレベルは、この実施例において約8×10
18/cm
3であった。
【0024】
スイッチオン電圧Vsは、第2および第3の層、例えば
図1Bに示されるn−InAlNおよびn−GaN層のドーピングレベルに依存する。
図4は、n−GaNおよびn−InAlN層においてSi=9E18/cm
3のドーピングレベルを有するデバイスについての計算されたIV曲線を示す。スイッチオン電圧は、この場合に約4.33Vである。対照的に、
図2は、n−GaNおよびn−InAlN層における約8×10
18/cm
3のドーピングレベルを有するデバイスについてのIV曲線を示す。このドーピングレベルに関するスイッチオン電圧は、約5.035ボルトである。
【0025】
図5は、n型AlGaNを含む基板層501、n型InAlNを含む第2の層502、n型GaNを含む第3の層503、およびp型GaNを含む第4の層504を有するPCDを示す。この実施例はAlGaN基板を示すが、GaNまたはAlNを含む他の基板が使用されてもよい。一部の実施形態において、基板、例えばGaN、AlN、サファイア、SiC、Siおよび/または他の材料上に配設されたテンプレート、例えば緩和AlGaNフィルムが、層501の代わりに使用されてもよい。pn接合は、第3の層と第4の層との間のホモ接合界面Ipnによって形成される。分極接合は、第2の層と第3の層との間のヘテロ接合界面Ipolによって形成される。8E18/cm
3のSiドーピングレベルを有するAl
0.2Ga
0.8Nの200nmの第2の層を有する
図5の構造を有するデバイスについてのIV特性を
図6に示す。このデバイスにおいて、電流は、
図2と関連して記載されるデバイスと比較した場合に、より段階的にバイアス電圧に対して増大する。シャープなターンオンは、Al
0.2Ga
0.8N/GaN分極界面を有するPCDには見られない。20%のAlGaNの数百nmまで、例えば約400nmまでは、緩和またはクラック形成なく、GaN基板において擬格子整合性成長できる。より高いAl組成またはより厚いフィルムに関して、層は、GaN上に成長する場合にクラックを生じ得る。
【0026】
Al
0.2Ga
0.8N/GaN分極ヘテロ接合(
図6参照)を有するPCDと、In
0.18Al
0.82N/GaN分極ヘテロ接合(
図2参照)を有するPCDとの動作における差は、Ipol界面における分極の変化による。In
0.18Al
0.82N/GaNデバイスにおいて、Ipolでの分極変化はΔP=4.2×10−2C/m
2である一方で、Al
0.2Ga
0.8N/GaNデバイスについてIpolでの分極変化はΔP=1.5×10−2C/m
2である。InAlN/GaNヘテロ接合の場合の顕著に大きいΔPは、この界面にわたって流れる電子に対する障壁を増大する。ΔPのこの差は、PCDの2つのタイプにおけるIV特性の差の源であり、ここで大きいΔPはよりシャープなスイッチオン特徴を導く。一部の実施形態において、2.0C/m
2を超え、または3.0C/m
2を超える第2と第3との窒化物半導体層間の分極差は、好適にシャープなスイッチオンIV特性を導く。
【0027】
AlGaN層において約40%を超える、約42.5%を超えるまたは45%を超えるようにAl組成を増大させることによって、In
0.18Al
0.82N/GaNのIpolヘテロ接合界面を有するPCDに関して観察される場合と同様の値に、AlGaN/GaN構造についてのIpol界面において分極変化ΔPを増大できる。Al組成が少なくとも42.5%または少なくとも約45%である場合、In
0.18Al
0.82N/GaNデバイス構造について観察されるシャープなスイッチオン特徴が回復される。
図7Aに示されるIV曲線は、40nm厚さのn−Al
0.45Ga
0.55Nの第2の層502を有する
図5に示される構造を有するPCDについて得られた。
図7Bは、n型Al
0.33Ga
0.67Nの第1の層501基板、75nm厚さのn−Al
0.425Ga
0.575Nの第2の層502、50nm厚さのn型GaNの第3の層503、および80nm厚さのp型GaNの第4の層504を有する
図5に示される構造を有するPCDのIV曲線を示す。
図7Bのデバイスは、
図7Aおよび
図2のデバイスよりも段階的なスイッチオンIV特性を有する。
【0028】
図8Aおよび8Bは、この順序で基板上に配設されたn−Al
0.45Ga
0.55N、n−GaN、およびp−GaN層を有するGaN基板を含むデバイスのフリーキャリア濃度を示す。
【0029】
図8Aは、デバイスがオン状態である場合に、GaN基板/n−Al
0.45Ga
0.55N/n−GaN/p−GaNデバイスの電子801および正孔802濃度を示す。
図8Bは、デバイスがオフ状態である場合に、GaN基板/n−Al
0.45Ga
0.55N/n−GaN/p−GaNデバイスの電子801および正孔802濃度を示す。
【0030】
図8Aに示されるデバイスがオフ状態である場合、寄生p層803が、n−Al
0.45Ga
0.55Nとn−GaN層との間に形成する。
図8Aおよび8Bに示されるように、Ipol界面(n−Al
0.45Ga
0.55Nとn−GaN層との間)での寄生p−層803の正孔濃度、ならびにIpn接合界面(n−GaNとp−GaN層との間)での電子濃度の両方は、デバイスがターンオンとなったときに急激に増大し、電流がIpnおよびIpol界面の両方を通って流れる。
【0031】
一部の場合において、Ipol界面にて十分大きい正のΔP、例えばΔP>2.0C/m
2またはΔP>3.0C/m
2である限り、InAlNまたはAlGaNではなく四元層を使用できる。例えば、四元材料In
0.15Al
0.80Ga
0.05Nは層2として使用でき、n−GaNはIpol界面にて層3として使用できる。In
0.15Al
0.80Ga
0.05N/n−GaNのIpol界面を有するデバイスは、約6.0Vのシャープなターンオンを示す。
【0032】
上記で記載されるPCDは、多数の用途に好適である。例えばデバイスは、環境条件にて検出されるように構成されるセンサとして機能し得る。デバイスは、環境条件への曝露によりデバイスがスイッチオンまたはスイッチオフとなるように構成される。種々の実施形態において、デバイスは、例えば化学センサ、光センサ、歪センサ、または温度センサとして操作し得る。
【0033】
一部の用途において、PCDは、
図9に示されるように紫外線センサ900として構成できる。光センサ900は、電極911、912の間に配設された第1の窒化物半導体層901、第2の窒化物半導体層902、第3の窒化物半導体層903、および第4の窒化物半導体層904を含む。第1の窒化物半導体層901は基板であり、この基板上に第2の層902、第3の層903、および第4の層904をエピタキシャル成長させる。第3の層903と第4の層904との間の界面Ipnは、先に議論されるようにpn接合を形成する。第2の層902および第3の層903は、異なるタイプの窒化物半導体材料である。分極接合は、先に議論されたように、第2の層902と第3の層903層との間の界面Ipolに形成される。1つの例において、第1の層901は、n型ドープされたGaNであり、第2の層902はn型ドープされたInAlNであり、第3の層903はn型ドープされたGaNであり、第4の層904はp型ドープされたGaNである。第4の層904は、光に対して部分的に透明である。光は、矢印999によって示されるように、第4の層904を通して透過できる。デバイス900に入る光は、Ipol界面付近で電子−正孔対を創出する。
【0034】
図10は、一部の実施形態に従う(概略図においてデバイスDとして示される)光センサとしてのデバイス900の動作を示す概略図である。場合により、デバイス900は、バイアス源V
Bによって、抵抗器Rsを通してスイッチオン電圧V
S付近およびそれ未満にバイアスがかけられてもよい。デバイスが光に曝露されない場合、デバイスは遮断され、相対的に小さい電流がデバイスを通って流れる。デバイスが遮断される場合、Voutは高い状態である。デバイスが光1001に曝される場合、光1001は、透明な第4の層904を通ってデバイス900に入り、分極接合界面にておよび/または分極接合界面付近で電子−正孔対を創出する。正孔は、ポテンシャル障壁を低減し、デバイスをスイッチオン可能にする。デバイスがスイッチオンである場合、デバイスは電流を伝導し、Voutを低い状態に低減する。
【0035】
別の用途において、デバイスは温度センサとして機能してもよい。例えば、デバイスが熱くなるときに、スイッチオン電圧Vsは低下する。表3は、分極接合にてn−Al
0.45Ga
0.55N/n−GaN界面を有するPCDデバイスについての温度に対するVsの低下を示す。
【0037】
本明細書に記載されるデバイスは、Δv/Δi<0である負性微分抵抗用途に好適であることができる。
図3Aに示されるバンド図は、窒化物極性ヘテロ界面における自然分極電荷の利点を活用することによってデバイスにおいて得られる。本明細書で記載されるPCDにおいて、スイッチオン電圧が適用される前には、電流は無視できる程度に低い。スイッチオンの後、電流は、III族N材料の直列抵抗およびコンタクト抵抗によって制限される。
図3Aによって示されるように、接合にわたる電圧差は、ターンオンの後、5Vから約4Vに低減され、負性微分抵抗を示す。例えば、負性微分抵抗を示す本明細書に記載されるデバイスは、増幅器および/または発振器として使用でき、ならびに/あるいはスイッチングデバイスおよび/またはメモリデバイスのような双安定用途に使用できる。
【0038】
本明細書に開示されるPCDは、
図11の回路図に示されるように、発振回路に使用できる。バッテリBは、デバイスDのターンオン電圧がデバイスDがシャープにターンオンする点に到達するまで、キャパシタCを抵抗器Rを通して充電する。これは、閾値電圧未満の値への、Cにわたる電圧の低減を導く。これは、アウトプット端子にて鋸歯状波形の発生Voutをもたらす。一部の実施形態において、Rは、良好な効率のためにインダクタと置き換えることができる。発振周波数は、バッテリBの電圧およびRおよびCの値に依存する。適切な回路と関連して使用される場合、デバイスは、電圧制御発振器(VCO)または移相同期回路(PLL)を構築するために使用できる。
【0039】
本明細書に提供されるデバイスのスイッチオン電圧は、約5Vのスイッチオン電圧を有し、これは標準電子デバイスに好適である。提案されたGaNデバイスは、少数キャリア寿命がデバイスがどの程度迅速にターンオフできるかの決定的要因であるので、他の負性微分抵抗デバイス、例えば半導体DIACよりも相当迅速な応答時間を有することができる。GaNは直接遷移材料であり、
図3Aに示されるn−InAlN層とn−GaN層との間のe−障壁(「寄生P層」とも称される)が非常に薄い。寄生P層はpドープされた層自体ではなく、分極界面がpドープされた層として有効に作用する。寄生P層が非常に薄いので、少数キャリアは迅速に排除できる。一部の実施形態において、ヘテロ構造の直列抵抗は
図11のRとして機能できる。一部の実施形態において、
図3Aに示されるようなN(寄生P層+N)NP構造の接合キャパシタンスは、
図11のキャパシタCとして使用できる。これは、高い周波数、自己発振、高周波源を提供する。提案されたGaNデバイスは、トリガー閾値を提供するような他の用途に使用できる。
【0040】
図12は、発光ダイオード(LED)として構成されるPCD1200を示す。デバイス1200は、AlGaN、例えばAl
0.33Ga
0.87Nの第1の基板層1201、AlGaN、例えばn型Al
0.425Ga
0.575Nの第2の層1202、2つのGaNサブ層1203a、1203bを含む第3の層1203(活性領域1205は、サブ層1203a、1203bの間に挟持されたInGaN量子井戸を含んで発光するように構成される)、ならびにp−GaNを含む第4の層1204を含む。pn接合Ipnは、第3の層1203と第4の層1204との間のホモ接合界面によって形成される。分極接合Ipolは、第2の層1202と第3の層1203との間のヘテロ接合界面によって形成される。
図12に示されるデバイスは、明滅光源を構築するために
図11に示される回路に使用できる。
【0041】
特に断らない限り、明細書および特許請求の範囲において使用されるフィーチャサイズ、量および物理的特性を表現するすべての数は、用語「約」によってすべての場合に修飾されることが理解されるべきある。従って、反対のことが示されない限り、前述の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示される教示を利用する当業者が得ようとする所望の特性に依存して変動し得る近似値である。終点によって数値範囲が使用されることは、この範囲内のすべての数字(例えば1〜5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)およびこの範囲内のいずれかの範囲を含む。