(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
従来、化学機械平坦化(CMP:Chemical Mechanical Planarization)後処理を行う自動洗浄システムにおいて、成型された円筒状のポリビニルアルコールブラシ(洗浄ブラシとしても既知である)が、半導体ウェハーまたは他の円盤状の基板等の基板の表面を効果的に洗浄するのに使用される。洗浄ブラシは、また、洗浄システムにおいて、フラットパネルディスプレイ製造、ガラス製造およびプリント回路基板組立ての際に、ガラスの基板および他の非円盤状の基板を洗浄および乾燥するのに使用される。洗浄ブラシは、例えば、短くは50ミリメートルの長さ、または長くは10メートルの長さを有してもよい。
【0004】
洗浄ブラシは、中心ブラシコア上に位置付けられ、洗浄プロセスにおいて、中心ブラシコアによって駆動される。洗浄ブラシと中心ブラシコアとの正確で安定した連結が望ましい。
【0005】
洗浄ブラシは、その軸を中心として正確に回転するとともに、その有効寿命にわたって、略一貫した突起部圧パターンを、概ね円筒状の表面にもたらすことが想定され、これにより、最小の時間量で基板表面全体の最適な洗浄が明確になり、基板表面への損傷が最小限となる。いくつかの場合、洗浄ブラシは、中心ブラシコアの周囲に成形される。例えば、ブラシコアを金型内に配置することができ、ポリビニルアルコール等の化学品の混合物を金型内に射出して、この中心ブラシコアの周囲に洗浄ブラシを成形する。
【0006】
回転している洗浄ブラシが、半導体ウェハー等の基板に係合すると、洗浄ブラシによって基板に加わる垂直抗力に起因して、洗浄ブラシと基板との間に塵埃が捕捉される場合がある。洗浄ブラシと基板との間に補足された塵埃は、基板に掻き傷をつける場合がある。更に、基板に加わる垂直抗力によって、洗浄ブラシと基板との間の圧力が増大し、これにより、基板に対する洗浄ブラシの回転速度が落ちる。この減少した回転速度の結果として、基板を洗浄するために更なる時間が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、洗浄ブラシと基板との間に捕捉されであろう塵埃の量が少ない洗浄ブラシを得ることが望まれている。更に、洗浄ブラシによって基板に加わる垂直抗力が減少し、その結果、洗浄ブラシと基板との間の圧力が減少し、基板に対する洗浄ブラシの回転速度が増大するようにした洗浄ブラシを得ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様において、基板を洗浄する洗浄装置が提供される。本洗浄装置は、限定はしないが、洗浄ブラシと、複数の凹状突起部とを備える。この洗浄ブラシは、中空ボアを囲繞するとともに中心軸a
1の回りに位置している洗浄用外面を有する。複数の凹状突起部が、洗浄用外面上に形成されているとともに、中心軸a
1の回りに位置している。各凹状突起部は凹状外面を有する。各凹状外面は、凹面中心点P
1を囲繞する外縁部を有する。
【0009】
別の態様において、基板を洗浄する方法が提供される。本方法は、限定はしないが、基板を洗浄装置に係合させることを含む。この洗浄装置は、中空ボアを囲繞するとともに第1の中心軸a
1の回りに位置している洗浄用外面を有する洗浄ブラシと、洗浄用外面上に形成されているとともに、第1の中心軸a
1の回りに位置している複数の凹状突起部とを備える。各凹状突起部は凹状外面を有する。各凹状外面は、凹面中心点P
1を囲繞する外縁部を有する。本方法は、限定はしないが、ブラシを第1の中心軸a
1の回りで第1の回転方向αに回転させることを更に含む。
【0010】
更なる態様において、基板を洗浄する洗浄装置が提供される。本洗浄装置は、限定はしないが、洗浄ブラシを備える。この洗浄ブラシは、中空ボアを囲繞するとともに中心軸a
1の回りに位置している洗浄用外面を有する。本洗浄装置は、限定はしないが、洗浄用外面上に形成されているとともに、中心軸a
1の回りに位置している複数の凹状突起部を更に備える。各凹状突起部は凹状外面を有し、この凹状外面は、中心軸a
1に向かって内方に湾曲している。
【0011】
また別の態様において、基板を洗浄する洗浄装置が提供される。本洗浄装置は、外面を有するとともに、ブラシの中心軸の周囲に位置している中空ボアを内部に画定するこのブラシを備える。本洗浄装置は、ブラシの外面上に形成されている複数の突起部を更に備え、各突起部は凹面を有する。各凹面は、凹面中心点を囲繞する外縁部を有する。
【0012】
また更なる態様において、基板を洗浄する方法が提供される。本方法は、基板を洗浄装置に係合させることを含む。この洗浄装置は、外面を有するとともに、ブラシの第1の軸の周囲に位置している中空ボアを内部に画定するこのブラシを備える。この洗浄装置は、外面上に形成されている複数の突起部を更に備え、各突起部は凹面を有する。各凹面は、凹面中心点を囲繞する外縁部を有する。本方法は、ブラシを第1の軸の回りで第1の回転方向に回転させることを更に含む。
【0013】
更に別の態様において、基板を洗浄する洗浄装置が提供される。本洗浄装置は、外面を有するとともに、ブラシの中心軸の周囲に位置している中空ボアを内部に画定するこのブラシを備える。本洗浄装置は、外面上に形成されている複数の突起部を更に備え、各突起部は、中心軸に向かって内方に湾曲している凹面を有する。
【0014】
本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、本概要内の陳述によって影響を受けない。
【0015】
本開示は、添付の図面および以下の記載を参照しながらより良く理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも同縮尺で描かれておらず、代わりに、本開示の原理を例示することに重点が置かれている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示に一致する方法およびシステムは、凹状突起部を備える洗浄ブラシを形成することによって、従来のブラシおよびブラシコアシステムの欠点を克服する。凹状突起部によって、洗浄ブラシが基板に係合するのに沿う係合領域における、洗浄ブラシと洗浄される基板との間の圧力が低減される。
【0018】
図1を参照すると、基板104を洗浄および研磨する洗浄システム100が示されている。洗浄システム100は、基板104、より詳細には基板104の表面106を研磨および/または洗浄するように自動または手動で設定することができる自動洗浄システムとしてもよい。基板104は、ガラス、乾燥ガラス、半導体ウェハー、フラットパネルディスプレイのガラスパネル、ガラス製品パネルおよびプリント回路基板を含むシリコン系基板;ポリマー系基板;シリコン系半導体基板、単元素半導体基板、シリコンオンインシュレーター(SOI)基板、III−V族半導体基板、II−VI族半導体基板、他の二元半導体基板、三元半導体基板、四元半導体基板等の種々のタイプの半導体基板;光ファイバー基板;超伝導基板;ガラス基板;溶融石英基板;溶融シリカ基板;エピタキシャルシリコン基板;並びに有機半導体基板等の、多様な円形、円盤状、または非円盤状の基板のうちの任意の基板としてもよい。
【0019】
図1、2を参照すると、第1の例示的な実施形態の洗浄ブラシ110とブラシコア130とが示されている。
図3を参照すると、第2の例示的な実施形態の洗浄ブラシ110とブラシコア130とが示されている。本開示の洗浄システム100は、多種多様な洗浄ブラシを使用することが可能であり、種々の例示的なブラシが本明細書において記載および言及されることが理解されるべきである。本明細書において記載、示される例示的な洗浄ブラシは、本開示に対して限定を与えることは意図していない。本開示の洗浄システム100は、洗浄ブラシを伴う多種多様なコアを使用することが可能であり、種々の例示的なコアが本明細書において記載および言及されることが理解されるべきである。本明細書において記載、示される例示的なコアは、本開示に対して限定を与える意図はない。
【0020】
図1〜
図3を参照すると、洗浄システム100は、中空ボア112を有する洗浄ブラシ110と、中空ボア112内でブラシ110に係合しているブラシコア130と、ブラシコア130に係合している回転機構102とを備える。洗浄ブラシ110を自動洗浄システムにおいて用いて、化学機械平坦化(CMP)後処理を行い、基板104の表面106を有効に洗浄してもよい。洗浄ブラシ110は、限定はしないが、成型されたポリビニルアルコール(PVA)フォーム、ポリウレタンフォーム、他のポリマーフォーム、または、基板104の表面106を満足に洗浄および/または研磨することが可能である多種多様な他の吸収性材料を含む、多様な異なる材料で作製してもよい。洗浄ブラシ110は、例えば、略切頭円錐状、円錐状、または円筒状等の多種多様な形状としてもよい。
【0021】
本明細書において規定されるとき、
図3に示すブラシ110等の略円錐状の部品、または略切頭円錐状の部品は、長手方向中心軸a
1の回りに成形され、中心軸a
1の回りで均衡することができる部品であり、この部品が中心軸a
1の回りに回転する際にこの部品によって生じる遠心力がわずか約±20%で変動するようになっている。この構成により、一方の端126が、中心軸a
1に対して直角に捉えたとき、第2の端部124よりも大きい断面域を有する、比較的均衡した部品がもたらされる。結果として、略円錐状の部品、または略切頭円錐状の部品が提供される。このような部品は、完全に滑らかな外面を有しなくてもよいが、自身の外面上にまたは外面内に形成されている突起部、突出部、または窪み等の不連続部を有することができる。
【0022】
図1、2を参照すると、ブラシ110等の略円筒状の部品は、長手方向中心軸a
1の周囲に成形されているとともに、中心軸a
1の回りで均衡することができ、この部品が中心軸a
1の回りに回転する際にこの部品によって生じる遠心力がわずか約±20%で変動するようになっている部品であり、比較的均衡したブラシ110がもたらされる。結果として、ブラシ110は、完全な円筒状外面110を有する必要はないが、自身の外面114上にまたは外面114内に形成されている突起部、突出部、または窪み等の不連続部を有することができる。
【0023】
図3を参照すると、洗浄ブラシ110は、内面113とは反対側の洗浄用外面114を有し、中空ボア112を形成している。中空ボア112は、例えば、予め形成されたブラシコア130の周囲にブラシ110を射出成型することによって、ブラシコア130の周囲に形成してもよいし、ブラシ110に中空ボア112を形成し、その後、ブラシ110をブラシコア130の周囲に位置付けてもよい。中空ボア112は、円錐型ブラシ110の内面113によって画定されている。1つの実施形態において、内面113は、ブラシコア130の第1の係合部140に一致するとともに第1の係合部140を囲繞する第2の係合部116によって、不連続となっている。第1の係合部140の周囲に第2の係合部116を形成することにより、ブラシコア130とブラシ110との間の滑りおよび動きを防止するために、ブラシ110がブラシコア130にしっかりと嵌合される。
【0024】
図2を参照すると、ブラシコア130は、中空ボア112内でブラシ110に係合している。ブラシコア130は、外面133を形成している本体部132を有する。外面133は、ブラシ110の中空ボア112を画定する内面113に係合、固定されている。この図示の例示的な実施形態では、ブラシコア130は、略円筒状である。
【0025】
続けて
図2を参照すると、外面114、133は、ブラシコア130の中心軸a
1の回りに位置してもよいし、外面114、133は、ブラシコア130の中心軸a
1を中心に対称的に位置してもよい。ブラシ110とブラシコア130と間の回転方向の動き、および更には軸方向の動きを防止するために、外面133の外形すなわち輪郭は、第1の係合部140によって不連続となってもよい。回転方向の動きとは、本明細書において、
図1に示すように、中心軸a
1回りでの回転方向αに沿った動きと定義される。軸方向の動きとは、本明細書において、中心軸a
1の約±30度内での、中心軸a
1に対して略直角である軸方向に沿った動きと定義される。第1の係合部140は、より良好にブラシ110の第2の係合部116に係合するために、外面133の輪郭全体を不連続にする任意の特徴部である。第1の係合部140は、ブラシ110をブラシコア130に有効に軸方向に固定するように、1つのバンド若しくは一連のバンド、1つのリッジ若しくは一連のリッジ、または1つの溝部若しくは一連の溝部のような特徴部を、外面133にわたって任意の数の場所に有する。
【0026】
第1の係合部140および第2の係合部116が存在する結果として、ブラシコア130の外面133とブラシ110の内面113との物理的嵌合により、顕著な耐滑り性がもたらされる。この耐滑り性は、接着剤、コアの表面処理(化学的処理、物理的処理、コロナ処理等)を含む他の方法、または、突起部、エッジ部、かぎ部、尖部、キー溝部、若しくは他の連結特徴部のような更なる表面特徴部によって、更に向上させることができる。
【0027】
図3を参照すると、本体部132の外面133から本体部132内の流体チャネル150にかけて孔156が形成され、流体チャネル150から本体部132の外面133に、そしてブラシ110に洗浄用および/または研磨用流体を流すようになっている。
【0028】
図1、3を参照すると、1つの実施形態において、ブラシコア130は、回転機構102に係合および連結する回転係合部160を更に有する。回転係合部160は、別の装置に連結または固定するのに用いることができる任意の機能部であり、例えば、ナット状部片、または、ブラシコア130と一体として単一に形成される任意の他の多角形状部片等のものを含み、回転機構102に固定することができる。回転機構102は、ブラシコア130を回転運動させることができる任意の装置、例えば、電気モーター、ガスモーター若しくはエンジン、モーター式若しくは手動式のクランクシャフト動力装置、並びに、プーリー、ホイール、機械的リンク機構、および/または自動若しくは手動で動くギアの任意の組合せを含む。回転機構102は、ブラシコア130を回転機構102に係合および連結する回転係合部160に連結する相補的係合部を有する。
【0029】
図1〜
図4を参照すると、洗浄用外面114は、洗浄用外面114上にまたは洗浄用外面114内に形成されている例示的な突起部118を有するとともに、突起部118間に形成されている溝部120またはリッジ121を有する。溝部120またはリッジ121を伴う突起部118等の表面特徴部を有することは、ブラシ110が或る特定の基板104をより良好に洗浄するのに役立つ場合がある。窪み、溝部120、スジ部、エッジ部、尖部、または突起部118等の、洗浄用外面114上の表面特徴部を組み込んで、トルク伝達のレベルを増大させることにおいて有益な効果が得られる場合がある。しかし、表面特徴部は、その表面特徴部が洗浄用外面114の幾何学形状の変化に与える影響に起因して限定される場合がある。
【0030】
図1〜
図12を参照すると、突起部118は、洗浄用外面114上に形成されているとともに、中心軸a
1の回りに位置している凹状突起部118である。各凹状突起部118は、凹状外面190を有し、各凹状外面190は、凹面中心点P
1を囲繞する外縁部192を画定する。凹状突起部118は、それぞれ、円、球、楕球の内側のように、内方に湾曲している輪郭、すなわち面190を有する。凹状外面190に沿って、外縁部192から凹面中心点P
1にかけて進むと、
図11、12に示すように、凹状外面190は中心軸a
1に向かって内方に湾曲している。洗浄ブラシ110の洗浄用外面114上に形成されている凹状突起部118により、洗浄ブラシ110の洗浄用外面114が基板104の表面106に係合するのに沿う係合領域において、洗浄ブラシ110と洗浄される基板104との間の圧力が下がる。いくつかの実施形態において、凹状突起部118は、突起部118と基板104の表面106との接触面積も減少させる。なぜなら、外縁部192と、おそらくは、凹面190のほんの一部分とが基板104に係合する一方で、凹面190の少なくとも一部分は基板104に係合しないからである。
【0031】
1つの実施形態において、
図11を参照すると、凹状突起部118は、洗浄用外面114の上方に第1の距離d
1だけ突出している。凹状突起部118の外縁部192は、洗浄用外面114の距離d
1だけ上方に形成されている。距離d
1は約0.5mm〜約10mmである。他の実施形態において、距離d
1は、
図12に示すように、0.5mm未満、実際には約0mm±0.5mmである。そのような実施形態において、凹状突起部118は洗浄用外面114と同一平面に形成してもよい。更なる実施形態において、凹状突起部118の外縁部192は、洗浄用外面114の下方または内部に形成してもよく、距離d
1は、洗浄用外面114から洗浄用外面114の下方に、−0.5mm〜−10mm等、0mm未満である。
【0032】
図11、12を参照すると、凹面中心点P
1は、凹状外面190の中心にあるかまたはこの中心付近にある。凹面中心点P
1は、凹状外面190の中心から±5mm内にある。凹状外面190の中心は、凹状外面190上の、中心軸a
1に対して最も近い点としてもよい。第1のブラシ半径rは、中心軸a
1から外縁部192まで延びており、第1の長さL
1を有する。第2のブラシ半径bは、中心軸a
1から凹面中心点P
1まで延びており、第2の長さL
2を有する。第1のブラシ半径rは、第2のブラシ半径bよりも大きい。第2の半径bに対して平行な方向に延びる第3のブラシ半径b’は、中心軸a
1から、凹面中心点P
1の上方の中心点P
2まで延びている。第3のブラシ半径b’は第3の長さL
3を有し、第3の長さL
3は第2の長さL
2よりも大きい。突起部半径「a」は、外縁部192から第3のブラシ半径b’に対して直角である方向に、中心点P
2に向かって延びている。突起部半径「a」は、中心点P
2において直角±約5度で第3のブラシ半径b’と交差する。第3の長さL
3と第2の長さL
2との差は、凹状突起部118の凹面深さd
cに等しい。
【0033】
1つの実施形態において、突起部半径「a」は第4の長さL
4を有し、第4の長さL
4は(L
12−L
32)の平方根に等しい。凹面深さd
cは、第4の長さL
4の約1/50〜約1/2としてもよいし、第4の長さL
4の約1/40〜約1/4としてもよい。別の実施形態において、凹面深さd
cは、長さが約0.1mm〜約5mmである。第4の長さL
4の約1/50〜約1/2の長さであるように凹面深さを形成することにより、凹状突起部118によって、洗浄ブラシ110が基板104に係合するのに沿う係合領域において、洗浄ブラシ110と洗浄される基板104との間の圧力が下がる。
【0034】
本明細書において図示および記載され説明されている例示的な突起部は、多くの異なるタイプ、サイズおよび構成の突起部の例でしかなく、本開示に対して限定を与えることは意図していない。そのような突起部の可能な形態の全ては、本開示の趣旨および範囲内にあることが意図される。例えば、突起部は任意のサイズの直径としてもよい、すなわち、矩形状、楕円状、角が丸み付けられた菱状、または任意の多角形、若しくは外縁部が弧状になった形状等の、円形以外の形状としてもよい。いくつかの場合、突起部の凹率は、突起部の直径またはサイズが増大するにつれて増大し、それにより、より深い凹面が突起部に与えられる。更に、突起部は任意のようにブラシの外面上で向き付けてもよく、そのような可能な形態の全ては本発明の趣旨および範囲内にあることが意図される。例えば、ブラシは、自身の外面上に、異なる密集度の突起部を有してもよく、突起部は直線に整列していなくてもよい等である。
【0035】
作業の際、ブラシ110は、ブラシコア130の周囲に位置付け、または、ブラシコア130の周囲にブラシ110を射出成型することにより成形してもよい。ブラシコア130の周囲にブラシ110を位置付けまたは成形すると、その後、回転係合部160を回転機構102上の係合部に結合することにより、ブラシコア130およびブラシ110を回転機構102に連結する。その後、ブラシ110を回転方向αに沿って中心軸a
1の回りに回転させる。ブラシ110を回転させる間、またはブラシ110を回転させる前、ブラシ110は基板104の表面106付近に位置付けられて表面106に係合する。
【0036】
ブラシ110は、第1の中心軸a
1の回りに位置しているブラシコア130によって基板104に係合する。ブラシ110を基板104に係合させると、その後、ブラシが第1の中心軸a
1の回りで第1の回転方向αに回転し、基板104が第2の中心軸a
2の回りで第2の回転方向βに回転する。第2の中心軸a
2は、第1の中心軸a
1に対して直角であるか、または第1の中心軸a
1と交差する。
図13を参照すると、凹状突起部118の外縁部192は、基板104に対して垂直の第1の力F
1によって基板104に係合し、凹状突起部118の凹面中心点P
1は、基板104に対して垂直の第2の力F
2によって基板104に係合し、第2の力F
2は、F
1の矢印とF
2の矢印との長さの差によって示されているように、第1の力F
1よりも小さい。他の実施形態において、突起部118の外縁部192は基板104に係合し、凹面中心点P
1は基板104に係合しない。
【0037】
ブラシ110が表面106に接して回転運動することは、表面106を洗浄および/または研磨するのに役立つ。
図1を参照すると、1つの実施形態において、基板104も、第2の中心軸a
2の回りで回転方向βに沿って回転する。1つの実施形態において、研磨用流体は、本体部132内に形成されている流体チャネル150を通って、本体部132の外面133を貫いて流体チャネル150にかけて形成されている孔156を通って、ブラシ110内に圧送される。研磨用流体は、基板104を更に洗浄および/または研磨するのに役立つ。洗浄用外面114上に形成されている複数の凹状突起部118を有するブラシ110を設けることにより、洗浄ブラシ110が基板104に係合するのに沿う係合領域において、洗浄ブラシ110と洗浄される基板104との間の圧力が減少するとともに、面接触が減少する。
【0038】
上記の例示的な例は、半導体基板104を洗浄するのに使用されるPVAブラシ110を記載しているが、当業者は、本開示に一致する方法およびシステムがそれに限定されないことを理解する。例えば、ブラシ110は、他の材料を含んでもよく、他のタイプの表面106または基板104を洗浄するのに使用してもよい。更に、ブラシ110は、ブラシ110の洗浄用外面114上若しくは洗浄用外面114内に形成されている突起部または窪みを有しても有しなくてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、凹面190は、実際には、ブラシ110の洗浄用表面114において材料欠如部としてもよい。換言すれば、ブラシ110の表面114を通ってボア112までずっと、複数の穴を画定してもよい。そのような実施形態において、上記穴は、突起部118であり、基板104を洗浄および/または研磨するのを助ける。上記穴は、それぞれ同様に外縁部192および凹面中心点P
1を有してもよく、それぞれ同じように機能してもよく、本明細書に記載されている他の実施形態に対して同様に利する。このような実施形態の製造中、ブラシ110に画定された穴または突起部118の凹率は、穴の直径が変化するのにつれて変化する。
【0040】
要約書が、読み手が技術開示の本質を迅速につきとめることを可能にするために提供される。その理解を踏まえれば、要約書は特許請求の範囲の範囲若しくは意味を解釈または限定するのに用いられるのではないことが示される。更に、上記の発明を実施するための形態において、種々の特徴が、本開示を合理化する目的から種々の実施形態にともにグループ化されていることを認識することができる。本開示の方法は、請求される実施形態が各請求項において明記されているよりも多くの特徴を要するという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が反映されるため、本発明の主題は、開示されている1つの実施形態の全ての特徴を満たさない。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書の発明を実施するための形態に含まれ、各請求項はそれ自体が別個に請求される主題としてのものである。
【0041】
本開示の種々の実施形態を記載してきたが、当業者には本開示の範囲内で他の実施形態および実施態様が可能であることが明白であろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその均等物を除き限定されない。
なお、本発明は以下の特徴を以って実施することができる。
[特徴1]
基板を洗浄する洗浄装置において、
外面を有したブラシであって、該ブラシの中心軸を中心とした中空ボアが形成されて成るブラシと、
前記ブラシの前記外面上に形成されている複数の突起部であって、該複数の突起部の各々は凹面を有し、該凹面の各々が凹面中心点を囲繞する外縁部を有する複数の突起部とを具備する洗浄装置。
[特徴2]
前記突起部の前記外縁部は、前記ブラシの前記外面と同一平面に形成され、該ブラシの該外面から外方に突出していない特徴1に記載の洗浄装置。
[特徴3]
前記突起部は、前記外面から外方に所定の距離を以って突出している特徴1に記載の洗浄装置。
[特徴4]
前記凹面中心点は、前記凹面の中心にあるか、或いは、該凹面の中心付近にあり、
前記中心軸から前記凹面の前記外縁部までの第1のブラシ半径が第1の長さを有し、
前記中心軸から前記凹面中心点までの第2のブラシ半径が第2の長さを有し、
第3のブラシ半径が、前記中心軸から第2の点まで前記第2の半径に対して平行な方向に延び、前記第2の長さよりも大きい第3の長さを有しており、
突起部半径が、前記凹面の前記外縁部から、前記第3のブラシ半径に対して垂直に延び、前記第2の点において前記第3のブラシ半径に交差し、
前記第3の長さと前記第2の長さとの差が各突起部の凹面深さに等しくなっている特徴1に記載の洗浄装置。
[特徴5]
前記突起部半径は第4の長さを有し、該第4の長さは、((前記第1の長さ)2−(前記第3の長さ)2)の平方根に等しくなっている特徴4に記載の洗浄装置。
[特徴6]
前記凹面深さは、前記第4の長さの約1/50〜約1/2である特徴5に記載の洗浄装置。
[特徴7]
前記凹面深さは、前記第4の長さの約1/40〜約1/4である特徴5に記載の洗浄装置。
[特徴8]
前記ブラシは、略円錐状、略切頭円錐状または略円筒状の何れか1つに形成されている特徴1に記載の洗浄装置。
[特徴9]
基板を洗浄する方法において、
外面を有したブラシであって、該ブラシの中心軸を中心とした中空ボアが形成されて成るブラシと、前記ブラシの前記外面上に形成されている複数の突起部であって、該複数の突起部の各々は凹面を有し、該凹面の各々が凹面中心点を囲繞する外縁部を有する複数の突起部とを具備する洗浄装置に基板を係合させることと、
前記ブラシを前記第1の軸の回りで第1の回転方向に回転させることとを含んで成る方法。
[特徴10]
前記基板を係合させることは、
前記基板に対して垂直の第1の力によって、前記基板を前記凹面の前記外縁部に係合させることと、
前記基板に対して垂直の第2の力によって、前記基板を前記凹面の前記凹面中心点に係合させることとを含み、
前記第2の力は前記第1の力よりも小さい特徴9に記載の方法。
[特徴11]
前記基板は円形の基板であり、前記方法は、前記基板を第2の軸の回りに回転させることを更に含む特徴9に記載の方法。
[特徴12]
前記基板は円形の半導体ウェハーである特徴11に記載の方法。
[特徴13]
前記ブラシはポリビニルアルコールブラシである特徴9に記載の方法。
[特徴14]
前記凹面中心点は、前記凹面の中心にあるか、或いは、該凹面の中心付近にあり、
前記中心軸から前記凹面の前記外縁部までの第1のブラシ半径が第1の長さを有し、
前記中心軸から前記凹面中心点までの第2のブラシ半径が第2の長さを有し、
第3のブラシ半径が、前記中心軸から第2の点まで前記第2の半径に対して平行な方向に延び、前記第2の長さよりも大きい第3の長さを有しており、
突起部半径が、前記凹面の前記外縁部から、前記第3のブラシ半径に対して垂直に延び、前記第2の点において前記第3のブラシ半径に交差し、
前記第3の長さと前記第2の長さとの差が各突起部の凹面深さに等しくなっている特徴9に記載の方法。
[特徴15]
前記突起部半径は第4の長さを有し、該第4の長さは、((前記第1の長さ)2−(前記第3の長さ)2)の平方根に等しくなっている特徴14に記載の方法。
[特徴16]
前記凹面深さは、前記第4の長さの約1/50〜約1/2である特徴9に記載の方法。
[特徴17]
基板を洗浄する洗浄装置において、
外面を有したブラシであって、該ブラシの中心軸を中心とした中空ボアが形成されて成るブラシと、
前記外面上に形成されている複数の突起部であって、該複数の突起部の各々が前記中心軸に向かって内方に湾曲している凹面を有する複数の突起部とを具備する洗浄装置。
[特徴18]
各凹面は、凹面中心点を囲繞する外縁部を有し、
前記凹面中心点は、前記凹面の中心にあるか、或いは、該凹面の中心付近にあり、
前記中心軸から前記凹面の前記外縁部までの第1のブラシ半径が第1の長さを有し、
前記中心軸から前記凹面中心点までの第2のブラシ半径が第2の長さを有し、
第3のブラシ半径が、前記中心軸から第2の点まで前記第2の半径に対して平行な方向に延び、前記第2の長さよりも大きい第3の長さを有しており、
突起部半径が、前記凹面の前記外縁部から、前記第3のブラシ半径に対して垂直に延び、前記第2の点において前記第3のブラシ半径に交差し、
前記第3の長さと前記第2の長さとの差が各突起部の凹面深さに等しくなっている特徴17に記載の洗浄装置。
[特徴19]
前記突起部半径は第4の長さを有し、該第4の長さは、((前記第1の長さ)2−(前記第3の長さ)2)の平方根に等しくなっている特徴18に記載の洗浄装置。
[特徴20]
前記凹面深さは、前記第4の長さの約1/50〜約1/2である特徴19に記載の洗浄装置。