(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平板状のベース部と、前記ベース部における端子嵌合方向の後方側が折り返されて端子嵌合方向の前方側へ延びる折り返し部と、前記折り返し部における端子嵌合方向の中間部で前記ベース部から離れる方向へ立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部から端子嵌合方向の前方側へ延びて前記ベース部と対向する位置で前記ベース部から離れる方向に弾性変位可能な端子接触部と、を有する第1の接続端子における前記折り返し部に一方の電線の端部が電気的に接続された電線接続部と、
前記第1の接続端子と同一形状を有する第2の接続端子における前記折り返し部に他方の電線の端部が電気的に接続された電線接続部と、を備え、
前記第2の接続端子における前記ベース部が、前記第1の接続端子における前記ベース部と前記端子接触部との間に上下反転された状態で挿入されて弾性的に挟持されると共に、前記第1の接続端子における前記ベース部が、前記第2の接続端子における前記ベース部と前記端子接触部との間に弾性的に挟持される
ことを特徴とする端子接続構造。
平板状のベース部と、前記ベース部における端子嵌合方向の後方側が折り返されて端子嵌合方向の前方側へ延びる折り返し部と、前記折り返し部における端子嵌合方向の中間部で前記ベース部から離れる方向へ立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部から端子嵌合方向の前方側へ延びて前記ベース部と対向する位置で前記ベース部から離れる方向に弾性変位可能な端子接触部と、を有する接続端子部と、
複数の前記接続端子部における隣接する前記ベース部の間にそれぞれ設けられた連結部と、
を備える接続端子であって、
前記接続端子部と同一形状を有する別の接続端子のベース部が、前記ベース部と前記端子接触部との間に上下反転された状態で挿入されて弾性的に挟持されることを特徴とする接続端子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような接続端子は、例えば、平板状の導電金属板から所定形状の端子が帯状のキャリアに並んで接続されて成る連鎖端子を打ち抜き加工した後、それぞれの端子をキャリアから切り離して形成されるものである。そこで、従来の雌雄共用端子は、1形状のみの製造が可能であるが、端子の接点数や接触面積等を変更する際には、平板状の導電金属板から打ち抜く所定形状のプレス型を変更しなければならず、製造コストの上昇を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接続端子の単一種類化を図って製造コストを低減するとともに、製造コストを低減しながら端子の接点数や接触面積の変更に対応できる接続端子及び端子接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した本発明の目的は、下記の構成の接続端子及び端子接続構造により達成される。
(1) 平板状のベース部と、前記ベース部における端子嵌合方向の後方側が折り返されて端子嵌合方向の前方側へ延びる折り返し部と、前記折り返し部における端子嵌合方向の中間部で前記ベース部から離れる方向へ立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部から端子嵌合方向の前方側へ延びて前記ベース部と対向する位置で前記ベース部から離れる方向に弾性変位可能な端子接触部と、を備える接続端子であって、
前記折り返し部に電線の端部が電気的に接続される電線接続部が構成され、同一形状を有する別の接続端子のベース部が、前記ベース部と前記端子接触部との間に上下反転された状態で挿入されて弾性的に挟持されることを特徴とする接続端子。
【0008】
上記(1)の構成の接続端子によれば、それぞれのベース部と端子接触部とによって相手側のベース部を弾性的に挟持することで、一対の接続端子を互いに電気的に接続することができる。そこで、接続端子の雌雄を区別する必要がなく、作業性が優れると共に部品管理が容易となる。従って、雌雄共用端子として接続端子の単一種類化を図って、接続端子の製造コストを低減することができる。
また、本構成の接続端子によれば、ベース部を形成するための部分を長尺平板状の導電金属板の長手方向に延びる帯状のバスバー形状とすると共に、ベース部における端子嵌合方向の後方側が折り返された折り返し部と、折り返し部における端子嵌合方向の中間部に設けられた立ち上がり部と、立ち上がり部から端子嵌合方向の前方側へ延びる端子接触部とを一体に折り曲げ形成し、長尺平板状の導電金属板の長手方向に対象形状(長手方向に沿う横断面形状が同一)とした長尺の折り曲げ体を形成することができる。そこで、長尺の折り曲げ体を長手方向の任意の切断位置で切断することにより、端子嵌合方向と交差する幅方向の長さが異なる接続端子を容易に形成することができる。従って、本構成の接続端子によれば、端子の接点数や接触面積等の変更に対応できる。
【0009】
(2) 上記(1)の構成の接続端子であって、前記端子接触部は、中間部が前記ベース部側に凸状となるように屈曲された接点部を有していることを特徴とする接続端子。
【0010】
上記(2)の構成の接続端子によれば、端子接触部の中間部が、ベース部側に凸状となるように屈曲された接点部を有している。そこで、端子嵌合方向の前方側から相手側のベース部が挿入される際には、相手側のベース部の先端が端子接触部の先端部における斜面を押し上げてそれぞれのベース部と端子接触部との間にスムーズに進入することができる。
また、それぞれの端子接触部の接点部が相手側のベース部に対して接触するから、これらの接続端子に対して上下方向(板厚方向)にこじりが生じるような場合においても、端子接触部の接点部を相手側のベース部と確実に接触させることができる。そこで、接続端子間の接触面積が低下することを抑制し、接続信頼性を確保することができる。
【0011】
(3) 上記(1)又は(2)の構成の接続端子であって、前記ベース部における前記端子接触部と対向する面には、前記端子接触部側に突出する接点突起が設けられていることを特徴とする接続端子。
【0012】
上記(3)の構成の接続端子によれば、それぞれのベース部の接点突起が相手側のベース部に対して確実に接触するから、接続端子間の接点数を稼いで接触面積を増やし、接続信頼性を向上させることができる。
【0013】
(4) 上記(1)〜(3)の何れか1つの構成の接続端子であって、前記端子接触部は、端子嵌合方向に沿って前方端から延びるスリットによって端子嵌合方向と交差する幅方向に亘って分割形成された複数の分割片により構成されていることを特徴とする接続端子。
【0014】
上記(4)の構成の接続端子によれば、端子接触部が複数の分割片により構成されることで、各分割片が独立してそれぞれ相手側のベース部に対して接触することができる。そこで、これらの接続端子に対して回転方向(端子嵌合方向を中心に回転する方向)にこじりが生じるような場合においても、端子接触部の各分割片を相手側のベース部と確実に接触させることができる。そこで、接続端子間の接触面積が低下することを抑制し、接続信頼性を確保することができる。
【0015】
(5) 上記(4)の構成の接続端子であって、前記複数の分割片は、前記別の接続端子における前記ベース部を端子嵌合方向に沿う異なる位置において前記ベース部との間でそれぞれ弾性的に挟持することを特徴とする接続端子。
【0016】
上記(5)の構成の接続端子によれば、端子嵌合方向の前方側から相手側のベース部が挿入される際には、相手側のベース部の先端が各分割片の挟持位置に到達するタイミングにずれが生じ、挿入力のピーク値を低下することができる。そこで、相手側のベース部の先端は、それぞれのベース部と分割片との間にスムーズに進入することができる。
【0017】
(6)
平板状のベース部と、前記ベース部における端子嵌合方向の後方側が折り返されて端子嵌合方向の前方側へ延びる折り返し部と、前記折り返し部における端子嵌合方向の中間部で前記ベース部から離れる方向へ立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部から端子嵌合方向の前方側へ延びて前記ベース部と対向する位置で前記ベース部から離れる方向に弾性変位可能な端子接触部と、を有する第1の接続端子における前記折り返し部に一方の電線の端部が電気的に接続された電線接続部と、
前記第1の接続端子と同一形状を有する第2の接続端子における前記折り返し部に他方の電線の端部が電気的に接続された電線接続部と、を備え、前記第2の接続端子における前記ベース部が、前記第1の接続端子における前記ベース部と前記端子接触部との間に上下反転された状態で挿入されて弾性的に挟持されると共に、前記第1の接続端子における前記ベース部が、前記第2の接続端子における前記ベース部と前記端子接触部との間に弾性的に挟持されることを特徴とする端子接続構造。
【0018】
上記(6)の構成の端子接続構造によれば、第1の接続端子における折り返し部に一方の電線の端部を電気的に接続する電線接続部を構成すると共に、第2の接続端子における折り返し部に他方の電線の端部を電気的に接続する電線接続部を構成することができる。そして、第1及び第2の接続端子におけるそれぞれのベース部と端子接触部とによって第2及び第1の接続端子におけるベース部を弾性的に挟持することで、同一形状を有する第1の接続端子と第2の接続端子とが電気的に接続される。そこで、第1及び第2の接続端子における各電線接続部にそれぞれ電線端部が接続された電線同士は、電気的に接続される。
【0019】
(7) 平板状のベース部と、前記ベース部における端子嵌合方向の後方側が折り返されて端子嵌合方向の前方側へ延びる折り返し部と、前記折り返し部における端子嵌合方向の中間部で前記ベース部から離れる方向へ立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部から端子嵌合方向の前方側へ延びて前記ベース部と対向する位置で前記ベース部から離れる方向に弾性変位可能な端子接触部と、を有する接続端子部と、複数の前記接続端子部における隣接する前記ベース部の間にそれぞれ設けられた連結部と、を備える接続端子であって、
前記接続端子部と同一形状を有する別の接続端子のベース部が、前記ベース部と前記端子接触部との間に上下反転された状態で挿入されて弾性的に挟持されることを特徴とする接続端子。
【0020】
上記(7)の構成の接続端子によれば、接続端子部のベース部及び連結部を形成するための部分を長尺平板状の導電金属板の長手方向に延びる帯状のバスバー形状とすると共に、ベース部における端子嵌合方向の後方側が折り返された折り返し部と、折り返し部における端子嵌合方向の中間部に設けられた立ち上がり部と、立ち上がり部から端子嵌合方向の前方側へ延びる端子接触部とを一体に折り曲げ形成し、長尺平板状の導電金属板の長手方向に対象形状(長手方向に沿う横断面形状が同一)とした複数の接続端子部が連結部を介して連結された長尺の折り曲げ体を形成することができる。そこで、長尺の折り曲げ体を長手方向の任意の位置における連結部で切断することにより、複数の接続端子部を有する所謂分岐接続端子を容易に形成することができる。また、本構成の接続端子の接続端子部には、雌雄共用端子である上記(1)〜(5)の構成の接続端子が接続される。
従って、本構成の接続端子によれば、上記(1)〜(5)の構成の接続端子の製造ラインで分岐接続端子を製造することができ、製造コストを削減することができる。また、本構成の接続端子によれば、分岐接続端子における接続端子部の数、並びに端子の接点数や接触面積等の変更に容易に対応できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、接続端子の単一種類化を図って製造コストを低減するとともに、製造コストを低減しながら端子の接点数や接触面積の変更に対応できる接続端子及び端子接続構造を提供できる。
【0022】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る接続端子10は、例えば銅合金等からなる雌雄共用端子である。
本第1実施形態に係る接続端子10は、所定幅を有する平板状のベース部11と、ベース部11における端子嵌合方向の後方側(
図2中、左方側)が折り返されて端子嵌合方向の前方側(
図2中、右方側)へ延びる折り返し部13と、折り返し部13における端子嵌合方向の中間部でベース部11から離れる方向へ立ち上がる立ち上がり部14と、立ち上がり部14から端子嵌合方向の前方側へ延びてベース部11と対向する位置でベース部11から離れる方向に弾性変位可能な端子接触部12と、を備える。
【0025】
ベース部11は、端子接触部12と対向する面に、端子接触部12側に突出する複数(本実施形態では3つ)の接点突起19がインデント加工等により設けられている。接点突起19の数は3つに限るものではないが、3つとすることで相手側のベース部11に確実に接触することができる。また、相手側のベース部11と端子接触部12との間に挿入されるベース部11の先端18は、先細り状態となるように、上下縁が面取り加工されている。
【0026】
電線接続部としての折り返し部13の上面には、後述する電線20A(20B)の導体21の端部24が超音波溶接やレーザ溶接等によって溶着される。ベース部11の一面側(
図2中、上面側)に折り重ねて配置される折り返し部13及び立ち上がり部14は、ベース部11と同じ所定幅を有する。
【0027】
本第1実施形態に係る端子接触部12は、端子嵌合方向に沿って前方端から延びるスリット33によって端子嵌合方向と交差する幅方向に亘って分割形成された複数(本第1実施形態では2つ)の分割片15により構成されている。また、端子接触部12における2つの分割片15は、中間部がベース部側に凸状となるように屈曲された接点部17をそれぞれ有している。従って、分割片15の先端部は、ベース部から離れる方向へ斜めに延びており、ベース部11側の面が斜面15aとなっている。
【0028】
分割片15の接点部17とベース部11との間には、相手側のベース部11が上下反転された状態で端子嵌合方向の前方から挿入可能とされている。
端子接触部12における分割片15の接点部17とベース部11との間隔Lは、
図2に示すように、分割片15が自然状態では、ベース部11の板厚寸法よりも僅かに小さく設定されている。分割片15の接点部17とベース部11との間に相手側のベース部11が挿入されると、相手側のベース部11の先端18が分割片15の斜面15aを押し上げるので、分割片15が上方へ弾性変位する。そして、分割片15の反力によって相手側のベース部11が分割片15の接点部17とベース部11とにより弾性的に挟持される。
【0029】
上記構成を有する接続端子10は、同一形状及び同一寸法の第1及び第2の接続端子10A,10Bを用いて、電線20A,20B同士を電気的に接続するための本第1実施形態に係る端子接続構造を構成することができる。
【0030】
電線20A,20Bは、例えば、銅を主材料とする導電性金属材料からなる素線をより合わせた導体21の周囲を絶縁体23で覆った被覆電線である。絶縁体23は、導体21に押出被覆されている。
【0031】
図3及び
図4は、本発明の第1実施形態に係る端子接続構造を説明する斜視図及び側面図であり、第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bが接続された状態を示す。
なお、以下の説明において、一方の電線20Aの端部に圧着される接続端子10は第1の接続端子10Aと称し、他方の電線20Bの端部に圧着される接続端子10は第2の接続端子10Bと称する。
【0032】
先ず、電線端部の絶縁体23を除去して一方の電線20Aの端部に導体21を露出させる。
次に、一方の電線20Aの導体21の端部24が、第1の接続端子10Aにおける電線接続部である折り返し部13の上面に、超音波溶接やレーザ溶接等によって溶着される。
【0033】
同様に、電線端部の絶縁体23を除去して他方の電線20Bの端部に導体21を露出させる。
次に、他方の電線20Bの導体21の端部24が、第2の接続端子10Bにおける電線接続部である折り返し部13の上面に、超音波溶接やレーザ溶接等によって溶着される。
【0034】
そして、本第1実施形態に係る端子接続構造において、第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bを接続する際には、
図4に示すよう、第2の接続端子10Bのベース部11が、第1の接続端子10Aの分割片15とベース部11との間に上下反転された状態で挿入されると、第1の接続端子10Aのベース部11も第2の接続端子10Bのベース部11と分割片15との間に進入する。そこで、第2の接続端子10Bのベース部11が、第1の接続端子10Aの分割片15の接点部17とベース部11との間に弾性的に挟持されると共に、第1の接続端子10Aのベース部11が、第2の接続端子10Bの分割片15の接点部17とベース部11との間に弾性的に挟持される。
【0035】
上述した本第1実施形態に係る接続端子10(10A,10B)によれば、それぞれのベース部11と端子接触部12(分割片15)とによって相手側のベース部11を弾性的に挟持することで、一対の接続端子10A,10Bを互いに電気的に接続することができる。そこで、接続端子10A,10Bの雌雄を区別する必要がなく、作業性が優れると共に部品管理が容易となる。従って、雌雄共用端子として接続端子10(10A,10B)の単一種類化を図って、接続端子10の製造コストを低減することができる。
【0036】
図5は、本発明の第1実施形態に係る接続端子10がプレス成形される工程を説明する説明図である。
本第1実施形態に係る接続端子10によれば、
図5の(a),(b)に示すように、ベース部11を形成するための部分を長尺平板状の導電金属板31の長手方向に延びる帯状のバスバー形状とすると共に、ベース部11における端子嵌合方向の後方側が長手方向に延びる折り線16で折り返された折り返し部13と、折り返し部13における端子嵌合方向の中間部に設けられた立ち上がり部14と、立ち上がり部14から端子嵌合方向の前方側へ延びる端子接触部12とを、長尺平板状の導電金属板31の長手方向に対象形状(長手方向に沿う横断面形状が同一)とすることができる。
【0037】
図5に基づいて、本発明の第1実施形態に係る接続端子10及び接続端子30,50がプレス成形される工程を説明する
先ず、
図5の(a)に示すように、導電金属板31の長手方向に沿う一側縁(
図5の(a)中、上側縁)には、他側縁に向けて延びる複数のスリット33が所定間隔で切欠き形成される。これらスリット33の形成間隔は、端子接触部12における各分割片15の幅に応じて設定される。
【0038】
次に、
図5の(b)に示すように、導電金属板31の長手方向に沿う一側縁側が、長手方向に延びる折り線16で折り返されると共に、折り返し部13、立ち上がり部14及び端子接触部12を形成する部分が一体に折り曲げ形成されることにより、長尺の折り曲げ体32が形成される。
【0039】
そこで、長尺の折り曲げ体32を長手方向の任意の切断位置35で切断することにより、端子嵌合方向と交差する幅方向の長さが異なる端子接触部12,12A,12Bを有する接続端子10,30,50を容易に形成することができる。具体的には、
図5の(b),(c)に示すように、2つの分割片15によって端子接触部12が形成されるようにスリット33に沿って延びる切断位置35で切断することにより、上記第1実施形態に係る接続端子10が形成される。また、3つの分割片15によって端子接触部12Aが形成されるようにスリット33に沿って延びる切断位置35で切断することにより、接続端子10よりも接点数及び接触面積が増えた接続端子30が形成される。更に、4つの分割片15によって端子接触部12Bが形成されるようにスリット33に沿って延びる切断位置35で切断することにより、接続端子30よりも接点数及び接触面積が増えた接続端子50が形成される。
このように、本第1実施形態に係る接続端子10によれば、端子の接点数や接触面積等の変更にも容易に対応できる。
【0040】
また、本第1実施形態に係る接続端子10(10A,10B)によれば、端子接触部12の中間部が、ベース部11側に凸状となるように屈曲された接点部17を有している。そこで、端子嵌合方向の前方側から相手側のベース部11が挿入される際には、相手側のベース部11の先端18が端子接触部12の先端部における斜面15aを押し上げてそれぞれのベース部11と端子接触部12との間にスムーズに進入することができる。
【0041】
また、それぞれの端子接触部12の接点部17が相手側のベース部11に対して接触するから、これらの接続端子10に対して上下方向(板厚方向)にこじりが生じるような場合においても、端子接触部12の接点部17を相手側のベース部11と確実に接触させることができる。そこで、接続端子間の接触面積が低下することを抑制し、接続信頼性を確保することができる。
【0042】
また、本第1実施形態に係る接続端子10(10A,10B)によれば、それぞれのベース部11の接点突起19が相手側のベース部11に対して確実に接触するから、接続端子間の接点数を稼いで接触面積を増やし、接続信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、本第1実施形態に係る接続端子10(10A,10B)によれば、端子接触部12が2つの分割片15により構成されることで、各分割片15が独立してそれぞれ相手側のベース部11に対して接触することができる。そこで、これらの接続端子10(10A,10B)に対して回転方向(端子嵌合方向を中心に回転する方向)にこじりが生じるような場合においても、端子接触部12の各分割片15を相手側のベース部11と確実に接触させることができる。そこで、接続端子間の接触面積が低下することを抑制し、接続信頼性を確保することができる。
【0044】
さらに、本第1実施形態に係る端子接続構造によれば、第1の接続端子10Aにおける折り返し部13に一方の電線20Aの端部を電気的に接続する電線接続部を構成すると共に、第2の接続端子10Bにおける折り返し部13に他方の電線20Bの端部を電気的に接続する電線接続部を構成することができる。そして、第1及び第2の接続端子10A,10Bにおけるそれぞれのベース部11と端子接触部12とによって第2及び第1の接続端子10B,10Aにおけるベース部11を弾性的に挟持することで、同一形状を有する第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bとが電気的に接続される。そこで、第1及び第2の接続端子10A,10Bにおける各電線接続部にそれぞれ電線端部が接続された電線20A,20B同士は、電気的に接続される。
【0045】
従って、本第1実施形態に係る接続端子10(10A,10B)及び端子接続構造によれば、接続端子10の単一種類化を図って製造コストを低減するとともに、製造コストを低減しながら端子の接点数や接触面積の変更に対応できる。
【0046】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
図6の(a)は本実施形態の変形例に係る端子接続構造を示す斜視図、
図6の(b)は本実施形態の他の変形例に係る端子接続構造を示す斜視図である。なお、上記第1実施形態に係る端子接続構造と同様の構成部材については、同符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
本実施形態の変形例に係る接続端子70は、
図6の(a)に示すように、電線接続部となる折り返し部13の両側縁に一対の側壁71が折り曲げ形成されている。
そこで、電線20Aの導体21の端部が折り返し部13の上面に超音波溶接される際、これら一対の側壁71が導体21の端部を拘束することができる。このため、導体21を超音波溶接する際に、より合わせた素線がばらけるのを防止することができる。また、接続端子70と導体21との接続領域は、折り返し部13及び一対の側壁71で規制された平面となり、接触面積を広くできるため、接続端子70と導体21との接続性を向上させることができる。
【0049】
本実施形態の他の変形例に係る接続端子90は、
図6の(b)に示すように、電線接続部となる折り返し部13の両側縁には、その端子嵌合方向に離間して一対の導体加締め片94と、一対の被覆加締め片95が折り曲げ形成されている。
そこで、電線20Aの端部は、導体21が導体加締め片94により圧着され、隣接する絶縁体23が被覆加締め片95により圧着される。
このように、本実施形態に係る電線接続部となる折り返し部13の構成は、接続される電線の形態や太さ等に応じて種々の構成を採り得る。
【0050】
図7の(a),(b)は、本発明の第2実施形態に係る接続端子110を示す斜視図及び側面図である。なお、上記第1実施形態に係る接続端子10と同様の構成部材については、同符号を付して詳細な説明は省略する。
本第2実施形態に係る接続端子110は、
図7の(a),(b)に示すように、端子接触部12Cを構成する2つの分割片15A,15Bが、別の接続端子110におけるベース部11を端子嵌合方向に沿う異なる位置においてベース部11との間でそれぞれ弾性的に挟持するように構成されている。
【0051】
そこで、本第2実施形態に係る接続端子110によれば、端子嵌合方向の前方側から相手側のベース部11が挿入される際には、相手側のベース部11の先端18が各分割片15A,15Bの挟持位置に到達するタイミングにずれが生じ、挿入力のピーク値を低下することができる。そこで、相手側のベース部11の先端18は、それぞれのベース部11と分割片15A,15Bとの間にスムーズに進入することができる。
【0052】
図8は本発明の第3実施形態に係る接続端子80を説明する斜視図、
図9は
図8に示した接続端子80を用いた端子接続構造を説明する斜視図である。なお、上記第1実施形態に係る接続端子10と同様の構成部材については、同符号を付して詳細な説明は省略する。
接続端子80は、
図8に示すように、所定幅を有する平板状のベース部11と、ベース部11における端子嵌合方向の後方側(
図8中、左方側)が折り返されて端子嵌合方向の前方側(
図8中、右方側)へ延びる折り返し部13と、折り返し部13における端子嵌合方向の中間部でベース部11から離れる方向へ立ち上がる立ち上がり部14と、立ち上がり部14から端子嵌合方向の前方側へ延びてベース部11と対向する位置でベース部11から離れる方向に弾性変位可能な端子接触部12と、を有する一対の接続端子部81と、一対の接続端子部81における隣接するベース部11の間に設けられた連結部83と、を備える分岐接続端子である。
【0053】
この様な接続端子80によれば、接続端子部81のベース部11及び連結部83を形成するための部分を長尺平板状の導電金属板の長手方向に延びる帯状のバスバー形状とすると共に、ベース部11における端子嵌合方向の後方側が折り返された折り返し部13と、折り返し部13における端子嵌合方向の中間部に設けられた立ち上がり部14と、立ち上がり部14から端子嵌合方向の前方側へ延びる端子接触部12とを一体に折り曲げ形成し、長尺平板状の導電金属板の長手方向に対象形状(長手方向に沿う横断面形状が同一)とした複数の接続端子部81が連結部83を介して連結された長尺の折り曲げ体を形成することができる(
図5、参考)。そこで、長尺の折り曲げ体を長手方向の任意の位置における連結部83で切断することにより、複数の接続端子部81を有する分岐接続端子としての接続端子80を容易に形成することができる。
また、本構成の接続端子80の接続端子部81には、
図8に示すように、雌雄共用端子である上記構成の接続端子10Bが接続される。
【0054】
従って、
図9に示すように、分岐接続端子である接続端子80は、一対の電線20Bの端部に接続された接続端子10Bがそれぞれ接続されたジョイント端子として構成することができる。
また、
図10に示す分岐接続端子としての接続端子100のように、多数(本実施形態では、6つ)の接続端子部81と、これら接続端子部81における隣接するベース部11の間にそれぞれ設けられた連結部101と、を備えるジョイント端子として構成することもできる。
【0055】
従って、本構成の接続端子80,100によれば、上記構成の接続端子10の製造ラインでこれら分岐接続端子80,100を製造することができ、製造コストを削減することができる。また、本構成の接続端子80,100によれば、分岐接続端子における接続端子部81の数、並びに端子の接点数や接触面積等の変更に容易に対応できる。
【0056】
ここで、上述した本発明に係る接続端子及び端子接続構造の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 平板状のベース部(11)と、
前記ベース部における端子嵌合方向の後方側が折り返されて端子嵌合方向の前方側へ延びる折り返し部(13)と、
前記折り返し部における端子嵌合方向の中間部で前記ベース部から離れる方向へ立ち上がる立ち上がり部(14)と、
前記立ち上がり部から端子嵌合方向の前方側へ延びて前記ベース部と対向する位置で前記ベース部から離れる方向に弾性変位可能な端子接触部(12,12A)と、
を備える接続端子であって、
同一形状を有する別の接続端子のベース部(11)が、前記ベース部と前記端子接触部との間に上下反転された状態で挿入されて弾性的に挟持される
ことを特徴とする接続端子(10,110)。
[2] 上記[1]に記載の接続端子であって、
前記端子接触部(12,12A)は、中間部が前記ベース部側に凸状となるように屈曲された接点部(17)を有している
ことを特徴とする接続端子。
[3] 上記[1]又は[2]に記載の接続端子であって、
前記ベース部(11)における前記端子接触部(12,12A)と対向する面には、前記端子接触部側に突出する接点突起(19)が設けられている
ことを特徴とする接続端子(10,110)。
[4] 上記[1]〜[3]の何れか1つに記載の接続端子であって、
前記端子接触部(12,12A)は、端子嵌合方向に沿って前方端から延びるスリット(33)によって端子嵌合方向と交差する幅方向に亘って分割形成された複数の分割片(15、15A,15B)により構成されている
ことを特徴とする接続端子(10,110)。
[5] 上記[4]に記載の接続端子であって、
前記複数の分割片(15A,15B)は、前記別の接続端子における前記ベース部(11)を端子嵌合方向に沿う異なる位置において前記ベース部との間でそれぞれ弾性的に挟持する
ことを特徴とする接続端子(110)。
[6] 上記[1]〜[5]の何れか1つに記載の接続端子の構成を有する第1の接続端子(10A)における前記折り返し部(13)に一方の電線(20A)の端部が電気的に接続された電線接続部と、
上記[1]〜[5]の何れか1つに記載の接続端子の構成を有する第2の接続端子(10B)における前記折り返し部(13)に他方の電線(20B)の端部が電気的に接続された電線接続部と、を備え、
前記第2の接続端子における前記ベース部(11)が、前記第1の接続端子における前記ベース部(11)と前記端子接触部(12)との間に上下反転された状態で挿入されて弾性的に挟持されると共に、前記第1の接続端子における前記ベース部(11)が、前記第2の接続端子における前記ベース部(11)と前記端子接触部(12)との間に弾性的に挟持される
ことを特徴とする端子接続構造。
[7] 平板状のベース部(11)と、前記ベース部における端子嵌合方向の後方側が折り返されて端子嵌合方向の前方側へ延びる折り返し部(13)と、前記折り返し部における端子嵌合方向の中間部で前記ベース部から離れる方向へ立ち上がる立ち上がり部(14)と、前記立ち上がり部から端子嵌合方向の前方側へ延びて前記ベース部と対向する位置で前記ベース部から離れる方向に弾性変位可能な端子接触部(12)と、を有する接続端子部(81)と、
複数の前記接続端子部における隣接する前記ベース部の間にそれぞれ設けられた連結部(83)と、
を備える接続端子であって、
上記[1]〜[5]の何れか1つに記載の接続端子(10,110)のベース部(11)が、前記ベース部と前記端子接触部との間に上下反転された状態で挿入されて弾性的に挟持されることを特徴とする接続端子(80)。