(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820418
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】移動充電車の起動ロッキングシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 302A
H02J7/00 301B
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-522930(P2019-522930)
(86)(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公表番号】特表2019-533421(P2019-533421A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(86)【国際出願番号】CN2017095036
(87)【国際公開番号】WO2018076851
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2019年5月9日
(31)【優先権主張番号】201610955040.0
(32)【優先日】2016年10月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】320009200
【氏名又は名称】蔚来(安徽)控股有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チャンチェン
(72)【発明者】
【氏名】シュ、ホンガン
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−525326(JP,A)
【文献】
特開平05−213122(JP,A)
【文献】
特開2009−065728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 58/40
B60R 16/00 − 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動充電車の起動ロッキングシステムであって、
オンにされた場合に移動充電車が起動することができる起動回路と、
起動回路に接続され、車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入り得るか否かを識別するために用いられる第1検出素子と、を含み、
前記車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入り得る場合、前記第1検出素子は前記起動回路をオフにし、
前記第1検出素子は複数の検出部材を含み、前記複数の検出部材のうちの少なくとも1つが前記起動回路に直列接続されることを特徴とする移動充電車の起動ロッキングシステム。
【請求項2】
前記検出部材は前記車載エネルギー貯蔵システムに設置されるストロークスイッチであり、複数の前記ストロークスイッチの常時開接点は直列配置で前記起動回路に接続されることを特徴とする請求項1に記載の移動充電車の起動ロッキングシステム。
【請求項3】
前記車載エネルギー貯蔵システムには入力コンセント及び/又は出力コンセントが設置され、前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントにはカバーが設置され、前記車載エネルギー貯蔵システムに対する前記カバーの位置の変化は前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントを環境に露出させることができ、前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントは環境に露出した場合、前記車載エネルギー貯蔵システムは動作状態に入ることができ、
前記ストロークスイッチは前記車載エネルギー貯蔵システムにおいて前記車載エネルギー貯蔵システムに対する前記カバーの位置の変化を検出できる位置に設置されることを特徴とする請求項2に記載の移動充電車の起動ロッキングシステム。
【請求項4】
前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントは前記車載エネルギー貯蔵システムの少なくとも一方の側板に設置されることを特徴とする請求項3に記載の移動充電車の起動ロッキングシステム。
【請求項5】
前記車載エネルギー貯蔵システムの第1側及び前記第1側に対向する第2側にはそれぞれ複数の前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントが設置され、それぞれの前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントには何れもカバーが設置されることを特徴とする請求項4に記載の移動充電車の起動ロッキングシステム。
【請求項6】
前記起動ロッキングシステムは更に、前記車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入ったか否かを識別するために用いられる第2検出素子を含み、前記車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入った場合、前記第2検出素子は前記起動回路をオフにすることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の移動充電車の起動ロッキングシステム。
【請求項7】
前記第2検出素子は継電器であり、前記継電器は前記車載エネルギー貯蔵システムの車載制御主電源の内部に設置され、前記継電器の常時閉接点は前記起動回路に接続されることを特徴とする請求項6に記載の移動充電車の起動ロッキングシステム。
【請求項8】
前記常時閉接点と前記第1検出素子とは直列配置で前記起動回路に接続されることを特徴とする請求項7に記載の移動充電車の起動ロッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動充電車の分野に関し、特に移動充電車の起動ロッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動充電車は、それに搭載されている車載エネルギー貯蔵システムにより、様々な充電対象に確実な充電電力を供給することができる。比較的固定された充電スタンド(複数の充電パイルを含む)に比べて、移動充電車は移動可能という特性を有するため、電力を使い切ることで走行を継続できなくなる電気自動車に電力を供給する汎用蓄電池充電装置として更に柔軟に用いられ、又は充電スタンドが未だ設置されていない地域において緊急用蓄電池充電装置として機能する。
【0003】
純粋な電気自動車は、資源や環境負荷の増大に伴い、燃油自動車とハイブリッド車に比べて、環境保護や省エネルギーの利点を有するため、中規模以上の都市でかなり普及している。純粋な電気自動車の動力源とされる動力電池は、そのライフサイクル内において、充電スタンドの充電パイル又は上記移動充電車によって充電され、動力電池が純粋な電気自動車に動力を供給するという機能を維持する。
【0004】
以下、移動充電車による純粋な電気自動車の動力電池への充電を例として、従来の移動充電車に存在する欠陥を説明する。具体的に、動力電池の充電時間が一般的に長いため(例えば、急速充電モードでは電気量の70〜80%を充電するために約0.5hかかる必要があり、低速充電モードでは動力電池を満充電するために7〜8hかかる必要がある)、この長い充電時間の間に、従来の移動充電車は充電パイルの充電ガンが外されていない状況でも起動して移動することができるという特徴を有する。該特徴は主に以下の二つの欠陥がある。
【0005】
移動充電車は充電スタンドによるチャージ(充電)期間において何れかの形で移動が生じる場合、充電パイルの直流充電ガンが引っ張られる可能性があり、したがって直流充電ガンの脱落、ケーブルの破断ひいては充電パイルの破壊を更に引き起こすことがある。しかも充電ガンに使用される電圧が高圧であるため、移動充電車のチャージ期間における移動は極めて危険である。
【0006】
移動充電車は充電スタンドによるチャージ(充電)又は外部への給電(放電)期間において何れかの形で移動が生じる場合、充電車の各車内装置が何れも通電状態にあるため、充電車の移動に伴う振動又は揺れが装置の振動破壊を引き起こす可能性があり、この振動破壊によって更に車内装置が短絡して安全事故を招く恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに鑑み、本発明が解決しようとする課題は、如何にして車載エネルギー貯蔵システムの充放電期間において移動充電車の起動又は移動を回避するかということである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一実施例に基づき、移動充電車の起動ロッキングシステムを提供する。該起動ロッキングシステムは、
オンになったときに移動充電車を起動できる起動回路と、
前記起動回路に接続され、車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入り得るか否かを識別するために用いられ、
前記車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入り得る場合、前記起動回路をオフにする第1検出素子とを含む。
【0009】
上記移動充電車の起動ロッキングシステムについて、可能な実施形態において、前記第1検出素子は複数の検出部材を含み、前記複数の検出部材のうちの少なくとも1つが前記起動回路に直列接続される。
【0010】
上記移動充電車の起動ロッキングシステムについて、可能な実施形態において、前記検出部材は前記車載エネルギー貯蔵システムに設置されたストロークスイッチであり、複数の前記ストロークスイッチの常時開接点は直列配置で前記起動回路に接続される。
【0011】
上記移動充電車の起動ロッキングシステムについて、可能な実施形態において、前記車載エネルギー貯蔵システムには入力コンセント及び/又は出力コンセントが設置され、前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントにはカバーが設置され、前記車載エネルギー貯蔵システムに対する前記カバーの位置の変化によって前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントは環境に露出させることができ、前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントは環境に露出した場合、前記車載エネルギー貯蔵システムは動作状態に入ることができる。
【0012】
前記車載エネルギー貯蔵システムに対する前記カバーの位置の変化を検出できるように前記ストロークスイッチの前記車載エネルギー貯蔵システム上における位置を設定する。
【0013】
上記移動充電車の起動ロッキングシステムについて、可能な実施形態において、前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントは前記車載エネルギー貯蔵システムの少なくとも一方の側板に設置される。
【0014】
上記移動充電車の起動ロッキングシステムについて、可能な実施形態において、前記車載エネルギー貯蔵システムの第1側及び前記第1側に対向する第2側にはそれぞれ複数の前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントが設置され、それぞれの前記入力コンセント及び/又は前記出力コンセントには何れもカバーが設置される。
【0015】
上記移動充電車の起動ロッキングシステムについて、可能な実施形態において、前記起動ロッキングシステムは更に、第2検出素子を含み、前記第2検出素子は前記車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入ったか否かを識別するために用いられ、前記車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入った場合、前記第2検出素子は前記起動回路をオフにする。
【0016】
上記移動充電車の起動ロッキングシステムについて、可能な実施形態において、前記第2検出素子は継電器であり、前記継電器は前記車載エネルギー貯蔵システムの車載制御主電源の内部に設置され、前記継電器の常時閉接点は前記起動回路に接続される。
【0017】
上記移動充電車のロッキングシステムについて、可能な実施形態において、前記常時閉接点と前記第1検出素子とは直列配置で前記起動回路に接続される。
【0018】
有益な効果
本発明の移動充電車の起動ロッキングシステムは第1検出素子を介して車載エネルギー貯蔵システムが動作状態(充電及び/又は放電)に入り得るか否かを判断し、車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入り得る場合、実際に動作状態に入ったか否かに関わらず、何れも移動充電車の起動および移動を可能にする起動回路をオフにし、移動充電車は、車載エネルギー貯蔵システムが充電/放電の可能性があるときに移動充電車の起動ロッキングを実現し、それにより、移動充電車の車載エネルギー貯蔵システムの充放電期間に発生可能な起動および移動現象を避け、移動充電車の安全性を効果的に向上させる。
【0019】
以下、図面を参照しながら例示的な実施形態を詳細に説明することによって、本発明の他の特徴及び態様は明らかになる。
【0020】
明細書に含まれ、明細書の一部を構成する図面は明細書と共に本発明の例示的な実施例、特徴および態様を示し、本発明の原理を解釈するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例の移動充電車の起動ロッキングシステムの構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の様々な例示的実施例、特徴と態様を詳細に説明する。図中、同一の符号は機能が同一又は類似である要素を示す。図中、実施例の様々な態様を示すが、特に示さない限り、比例に応じて図面を描く必要はない。
【0023】
ここで、「例示」という用語は「例、実施例又は説明として用いられる」を意味する。ここで、「例示」として説明するいかなる実施例は別の実施例よりも好ましい又は優れたものであると解釈される必要はない。更に、用語「第1」、「第2」は説明するためのものに過ぎず、相対的な重要度を示すかまたは暗示するためのものではない。
【0024】
また、本発明を更に良く説明するために、多くの具体的な詳細は以下の実施形態において記載される。当業者は、幾つかの具体的な詳細がなくても、本発明を同様に実施し得ることを理解すべきである。いくつかの実施例において、本発明の趣旨を明確にするために、当業者に周知の方法、手段、素子及び回路に関する詳細な説明を省略する。
【0025】
移動充電車は車載エネルギー貯蔵システムが搭載された移動型充電装置である。起動状態において車載エネルギー貯蔵システムは充電と放電という2種類の状態を有し、充電状態では、外部の電源(例えば、充電スタンドの充電パイル)によってチャージされ、自体の充電能力を保つために蓄電することができる。例えば、電気使用量のピークと谷の時間帯を十分に活用し、使用されていない期間で自体の充電を行うことによって、車載エネルギー貯蔵システムは可能な限り高い「サービス」能力を得ることができる。放電状態では、対象動力源に給電することができる。例えば、充電パイルを作ることが不可の場合、現在充電パイルを入手できない場合、または電力網のメンテナンス改造および充電装置が故障した場合、車載エネルギー貯蔵システムは分散型エネルギー貯蔵電源又は緊急電源として、純粋な電気自動車の動力電池などの対象動力源に緊急充電をいつでも提供する。移動充電車の移動によって、車載エネルギー貯蔵システムは対象動力源に動力補給を更に柔軟、容易に提供することができる。また純粋な電気自動車を例として、電気量をほぼ使い尽した動力電池への動力補給を行うことによって、この動力電池に対応する純粋な電気自動車は少なくとも充電パイルが入手できる目的地まで走行することができる。
【0026】
実施例1
本発明は従来の移動充電車の「車載エネルギー貯蔵システムの充放電期間において起動して移動することができる」という特性に存在するセキュリティリスクを考慮し、移動充電車の起動段(START)の車両主制御電源を制御することで、車載エネルギー貯蔵システムの充放電期間において移動充電車に対する起動ロッキングを行い、すなわち、移動充電車は車載エネルギー貯蔵システムの充電/放電が何れも行われない場合のみ起動および移動が可能である。車載エネルギー貯蔵システムの充電/放電期間において移動充電車に対する起動ロッキングを行うことによって、充電ガンが引っ張られて更に直流充電ガンの脱落、ケーブルの破断、破壊などを回避し、一方では、移動充電車が移動する時に発生する振動又は揺れによる車内装置の振動破壊を回避し、該振動破壊によって更に車内装置の短絡などを回避することで、移動充電車の使用安全性を効果的に向上させ、移動充電車及びその車内装置の耐用年数を延長させる。
図1に示すように、該起動ロッキングシステムは主に、
オンになったときに移動充電車を起動できる起動回路と、
車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入り得るか否かを識別するために用いられる第1検出素子とを含む。具体的に、車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入り得る場合、第1検出素子は前記起動回路をオフにする。起動回路がオフにされる場合、移動充電車の起動ロッキングを実現し、もちろん起動してから移動することもない(ここで、移動とは主に正常運転による移動、すなわち、起動した後の行為である)。更に、第1検出素子は複数の検出部材を含んでもよく、前記複数の検出部材のうちの少なくとも1つが起動回路に直列接続される。
【0027】
車載エネルギー貯蔵システムの動作状態は主に車載エネルギー貯蔵システムの充電及び/又は放電過程を含む。車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入り得ることは、車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入る傾向があると理解すべきである。すなわち、第1検出素子は検出したパラメータ及び/又は現象により、少なくともこのパラメータ及び/又は現象が出る時又は出た後、車載エネルギー貯蔵システムが充電及び/又は放電の動作状態に入り得ることを判断することができる。例えば、第1検出素子は有線又は無線接続の方式で上記パラメータ及び/又は現象を検出することができ、該パラメータ及び/又は現象が出る時に確実に検出され、また検出したパラメータ及び/又は現象に基づいて車載エネルギー貯蔵システムが充電及び/又は放電状態に入る傾向があることを確認できるように保証できればよい。
【0028】
例えば、車載エネルギー貯蔵システムには複数の充電パイルによる車載エネルギー貯蔵システムに対するチャージを行う入力コンセント及び車載エネルギー貯蔵システムによる動力電池に対する動力補給を行う出力コンセントが一般的に設置され、ケーブルを、対応するコンセントに接続させることで、車載エネルギー貯蔵システムの充電/放電機能を実現することができる。例えば、ケーブルの一端を入力コンセントに対応的に挿入し、他端の充電ガンを充電パイルに挿入するだけで、車載エネルギー貯蔵システムに対するチャージ(充電)を実現することができる。同様に、ケーブルの一端を出力コンセントに対応的に挿入し、ケーブルの他端の充電ガンを純粋な電気自動車の充電ポートに挿入するだけで、車載エネルギー貯蔵システムによる動力電池に対する動力補給(放電)を実現することができる。そこで、入力コンセント及び/又は出力コンセントが環境に露出する傾向があることが検出される限り、車載エネルギー貯蔵システムが充電/放電状態に入る傾向があると結論付けることができる。当然ながら、当業者にとって理解すべきことは、上記入力コンセントを省略し、直接的に電池交換の方式で車載エネルギー貯蔵システムに対するチャージも実現できることである。
【0029】
一般的には、上記入力コンセント/出力コンセントにカバーを増設することは、主に充電/放電動作がない時、入力/出力コンセントを被覆することでその安全性を保証するために用いられる。車載エネルギー貯蔵システムに対するカバーの位置を変化させることにより、カバーに対応する入力コンセント及び/又は出力コンセントを環境に露出させる。カバーは、車載エネルギー貯蔵システムに対する位置の変化が、車載エネルギー貯蔵システムから完全に除去するか(例えば、取り外すか捩じって外すか)、またはカバーが車載エネルギー貯蔵システムに接続されている状況で、カバーを反転可能に車載エネルギー貯蔵システムに対して動かすなどの方式で実現することができる。当然ながら、実際の状況に基づき、カバーと車載エネルギー貯蔵システムの間は位置の変化を実現可能な他の合理的な接続方式を選択してもよい。
【0030】
入力コンセント及び/又は出力コンセントは環境に露出した場合、対応するケーブルによって車載エネルギー貯蔵システムの充電及び/又は放電過程を実現することができる。そこで、第1検出素子を介してカバーの位置が変化した(例えば、変位)か否かを検出することで車載エネルギー貯蔵システムが充電/放電状態に入る傾向、すなわち、少なくとも充電/放電状態に入る可能性があるかどうかを判断することができる。実際のニーズに応じて、車載エネルギー貯蔵システムの適応性と機能的完全性を満たすために、車載エネルギー貯蔵システムの何れかの側に任意の数の入力コンセント及び/又は出力コンセントが設置されてもよく、それぞれの入力コンセント及び/又は出力コンセントにカバーが設置され、又は幾つかのコンセントが1つのカバーを共用することができる。
【0031】
一可能な実施形態において、車載エネルギー貯蔵システムにおける車載エネルギー貯蔵システムに対するカバーの位置変化を検出できる位置にストロークスイッチを取り付け、ストロークスイッチの常時開接点は起動回路に(直列)接続され、具体的に、
図1に示すように主に移動充電車を起動させるために用いられる車両制御主電源(すなわち、移動充電車の本来の電源)の起動回路において、起動回路をオンにしない限り移動充電車を起動できない。このようにして、カバーの変位は入力/出力コンセントを環境に露出させる傾向(例えば、カバーが開かれる)さえあれば、ストロークスイッチは車両制御主電源の起動回路をオフにし、移動充電車を起動できず、もちろん、充電及び/又は放電の動作状態に入ることもできない。
【0032】
好ましくは、
図1に示すように、車載エネルギー貯蔵システムの左、右側(車載エネルギー貯蔵システムの正面側から見る)にはそれぞれ1組の入力コンセントと出力コンセントで構成されるコンセント群が設置され、左、右両側のコンセント群にそれぞれ左側カバーと右側カバーを設置し、車載エネルギー貯蔵システムにおける各カバーが取り付られる位置の近傍にストロークスイッチを増設することができ、すなわち、左側カバーと右側カバーに対応する左側カバーのストロークスイッチと右側カバーのストロークスイッチを増設し、各ストロークスイッチの常時開接点は起動回路において直列配置するよう保証する。これによって、何れかの側のカバーが開かれると、車両制御主電源の起動回路がオフにされ、移動充電車を起動することができない。
【0033】
すなわち、車両制御主電源の回路に直列接続されるストロークスイッチを介して、本発明に係る起動ロッキングシステムはカバーの開き動作に基づいて車載エネルギー貯蔵システムが少なくともまもなく充電又は放電状態に入る可能性があると結論付けることができ、車載エネルギー貯蔵システムが充電/放電状態に入る可能性がある場合、まず移動充電車に対する起動ロッキングを行う。実に、カバーが開かれていても、車載エネルギー貯蔵システムは必ずしも動作状態に入るわけではなく、拭き取り、点検などの他の作業であり得る。しかし、移動充電車の信頼性を確保するために、動作状態に入る可能性があるとき、移動充電車に対する起動ロッキング操作を行う。
【0034】
更に、本発明に係る起動ロッキングシステムは更に第2検出素子を含んでもよく、第1検出素子と異なり、該第2検出素子は主に車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入ったか否かを識別するために用いられる。例えば、車載エネルギー貯蔵システムは起動状態に入ったか否かである。車載エネルギー貯蔵システムが動作状態に入った場合、第2検出素子は起動回路をオフにし、移動充電車に対する起動ロッキングを実現する。
【0035】
一可能な実施形態において、第2検出部材は継電器(例えば、中間継電器)であってもよく、具体的に、
図1に示すように、主に車載エネルギー貯蔵システムを起動させるために用いられる車載制御主電源(すなわち、移動充電車に設置された起動電源)の回路に中間継電器を増設することができ、該中間継電器の常時閉接点を車両制御主電源の回路に直列接続させる。これによって、車載エネルギー貯蔵システムを起動させる限り、車載制御主電源は必ず通電され、車載制御主電源は通電されない状態から通電される状態に変換すると中間継電器の常時閉接点をオフにすることができ、車両制御主電源の回路はそれと共にオフにされる。すなわち、移動充電車は車載エネルギー貯蔵システムの起動時にも起動してから動作状態に入る期間にも起動不可である。
【0036】
すなわち、本発明に係る起動ロッキングシステムは、中間継電器の設置によって、車載エネルギー貯蔵システムの起動通電に基づいて車載エネルギー貯蔵システムが間もなく動作状態に入るという結論を推定することができ、そうすれば、車載エネルギー貯蔵システムの起動時に、まず移動充電車に対する起動ロッキングを行う。
【0037】
更に、第2検出素子と第1検出素子とは直列接続で起動回路に配置することができ、第1検出素子と第2検出素子のうちの何れか1つがロッキング条件を満たす限り、移動充電車の起動ロッキングを実現することができ、それによって起動ロッキングの信頼性を更に向上させる。すなわち、中間継電器の常時閉接点と各ストロークスイッチの常時開接点とは直列接続で車両制御主電源の回路に配置される。このようにして、カバーのストロークスイッチと車載蓄電池の中間継電器の協同作用下で、任意の入力/出力コンセントのカバーの変位及び/又は車載エネルギー貯蔵システムの起動(又は起動後の動作状態)が発生すると、車両主制御電源は適時にオフにされ、すなわち、車両主制御電源に対する起動ロッキングを実現して、移動充電車を起動させることができず、これによって車載エネルギー貯蔵システムの充電/放電期間における移動充電車の起動および移動を回避する。車載エネルギー貯蔵システムの動作が停止する時、車載主制御電源がオフにされ且つ各入力/出力コンセントのカバーが何れも閉められた場合のみ、車両主制御電源をオンにすることができ、移動充電車を起動させることができる。移動充電車に対する起動ロッキングを行うことによって、車載蓄電池の充放電期間における移動充電車の安全性を積極的且つ効果的に向上させる。
【0038】
なお、以上のように、車載エネルギー貯蔵システムの車載制御主電源が起動されたか否かによって中間継電器のオンオフを制御し、入力/出力コンセントのカバーの開/閉動作によってストロークスイッチ群のオンオフを制御することを一例として移動充電車の起動ロッキングシステムを開示したが、当業者にとって、本発明は、これに限定されるものではないことを理解すべきである。実に、使用者は完全に実際状況に基づき、例えば、車載エネルギー貯蔵システムの動作状態に入り得ること及び動作状態に入ったことを確認できる他の認定パラメータ及び実際的応用シーンなどに基づき、移動充電車のロッキングタイミング、ロッキング構造及びロッキング方式などを柔軟に設定することができる。
【0039】
以上で、既に図面に示される好ましい実施形態に合せて本発明の技術的解決手段を説明したが、当業者にとって、本発明の保護範囲は明らかにこれらの実施形態に限定されるものではないことを理解すべきである。当業者は、本発明の原理を逸脱することなく、関連する技術的特徴に対する均等物の変更又は置換を行うことができ、これらの変更又は置換後の技術的解決手段は何れも本発明の保護範囲に含まれる。