特許第6820439号(P6820439)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6820439クラウンプッシャーアセンブリ及びそれを備えた手首装着型電子デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820439
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】クラウンプッシャーアセンブリ及びそれを備えた手首装着型電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   G04G 21/00 20100101AFI20210114BHJP
   G04B 19/30 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   G04G21/00 304G
   G04B19/30 H
   G04G21/00 304B
【請求項の数】21
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-556976(P2019-556976)
(86)(22)【出願日】2018年4月16日
(65)【公表番号】特表2020-517933(P2020-517933A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】US2018027756
(87)【国際公開番号】WO2018194967
(87)【国際公開日】20181025
【審査請求日】2019年12月12日
(31)【優先権主張番号】62/486,724
(32)【優先日】2017年4月18日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511188130
【氏名又は名称】タイメックス グループ ユーエスエイ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアス マイケル オディー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ジェイ ハドソン
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−155594(JP,A)
【文献】 特開2005−108630(JP,A)
【文献】 特開2001−194472(JP,A)
【文献】 特開昭51−34770(JP,A)
【文献】 特開2004−79410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00−99/00
G04B 19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、
前記電子デバイスは、第1の接点と第2の接点との間の電気的接触に応じて開始可能な補助機能と、少なくとも「ラン」ステム位置と「セッティング」ステム位置との間で軸方向に変位できる回転可能なステムアセンブリとを備え、
前記クラウンアセンブリは、
前記回転可能なステムアセンブリに連結されるクラウンであって、該クラウンは、「ラン」クラウン位置と「セッティング」クラウン位置との間、及び「ラン」クラウン位置と「プッシュド」クラウン位置との間で軸方向に変位可能であり、該クラウンが、「ラン」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは「ラン」ステム位置にあり、該クラウンが、「セッティング」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは「セッティング」ステム位置にある、クラウンと、
前記クラウン及び前記回転可能なステムアセンブリに連結されるスリーブアセンブリであって、該スリーブアセンブリは、第1の軸方向と、この第1の軸方向と反対向きの第2の軸方向の両方へ軸方向に変位可能であり、
該スリーブアセンブリが、
前記回転可能なステムアセンブリを、前記第1の軸方向に、「ラン」ステム位置から「セッティング」ステム位置へと推し進め
前記クラウンを第2の軸方向に「プッシュド」クラウン位置へと押すと、前記第1の接点と前記第2の接点との間に電気的接触を引き起こす、スリーブアセンブリとを備え
前記回転可能なステムアセンブリは、前記クラウンが、前記「ラン」クラウン位置から前記「プッシュド」クラウン位置に動かされるときに、前記第2の軸方向に変位することができない、電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項2】
電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、
前記電子デバイスは、第1の接点と第2の接点との間の電気的接触に応じて開始可能な補助機能と、少なくとも「ラン」ステム位置と「セッティング」ステム位置との間で軸方向に変位できる回転可能なステムアセンブリとを備え、
前記クラウンアセンブリは、
前記回転可能なステムアセンブリに連結されるクラウンであって、該クラウンは、「ラン」クラウン位置と「セッティング」クラウン位置との間、及び「ラン」クラウン位置と「プッシュド」クラウン位置との間で軸方向に変位可能であり、該クラウンが、「ラン」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは「ラン」ステム位置にあり、該クラウンが、「セッティング」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは「セッティング」ステム位置にある、クラウンと、
前記クラウン及び前記回転可能なステムアセンブリに連結されるスリーブアセンブリであって、該スリーブアセンブリは、第1の軸方向と、この第1の軸方向と反対向きの第2の軸方向の両方へ軸方向に変位可能であり、
該スリーブアセンブリが、
前記回転可能なステムアセンブリを、前記第1の軸方向に、「ラン」ステム位置から「セッティング」ステム位置へと推し進め、
前記クラウンを第2の軸方向に「プッシュド」クラウン位置へと押すと、前記第1の接点と前記第2の接点との間に電気的接触を引き起こす、スリーブアセンブリとを備え、
(i)前記クラウンを前記第1の軸方向に付勢し、(ii)前記回転可能なステムアセンブリを前記第2の軸方向に付勢するための付勢部材を備える、電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項3】
電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、
前記電子デバイスは、第1の接点と第2の接点との間の電気的接触に応じて開始可能な補助機能と、少なくとも「ラン」ステム位置と「セッティング」ステム位置との間で軸方向に変位できる回転可能なステムアセンブリとを備え、
前記クラウンアセンブリは、
前記回転可能なステムアセンブリに連結されるクラウンであって、該クラウンは、「ラン」クラウン位置と「セッティング」クラウン位置との間、及び「ラン」クラウン位置と「プッシュド」クラウン位置との間で軸方向に変位可能であり、該クラウンが、「ラン」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは「ラン」ステム位置にあり、該クラウンが、「セッティング」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは「セッティング」ステム位置にある、クラウンと、
前記クラウン及び前記回転可能なステムアセンブリに連結されるスリーブアセンブリであって、該スリーブアセンブリは、第1の軸方向と、この第1の軸方向と反対向きの第2の軸方向の両方へ軸方向に変位可能であり、
該スリーブアセンブリが、
前記回転可能なステムアセンブリを、前記第1の軸方向に、「ラン」ステム位置から「セッティング」ステム位置へと推し進め、
前記クラウンを第2の軸方向に「プッシュド」クラウン位置へと押すと、前記第1の接点と前記第2の接点との間に電気的接触を引き起こす、スリーブアセンブリとを備え、
前記回転可能なステムアセンブリはステムホルダを備え、前記スリーブアセンブリは外側スリーブ及び内側スリーブを備え、前記内側スリーブはその中に前記ステムホルダを受け、前記ステムホルダは前記スリーブアセンブリ内で軸方向に摺動可能である、電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項4】
前記電子デバイスが、時計ケースと、前記時計ケース内に配置されるインジケーター調整器と、前記インジケーター調整器に連結される少なくとも1つのインジケーターと、前記インジケーター調整器に係合するための前記回転可能なステムアセンブリに連結される設定部材とを備え、前記スリーブアセンブリが、前記設定部材が前記インジケーター調整器に係合することができるように、前記回転可能なステムアセンブリを、前記第1の軸方向に前記「ラン」ステム位置から前記「セッティング」ステム位置へと推し進める、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項5】
前記スリーブアセンブリの外側スリーブ及び内側スリーブは、前記「ラン」クラウン位置から前記「プッシュド」クラウン位置まで前記第2の軸方向に変位可能であり、前記外側スリーブは、前記回転可能なステムアセンブリの肩部と係合して、前記回転可能なステムアセンブリがその「ラン」ステム位置を越えて前記第2の軸方向に変位するのを阻止するフランジを備える、請求項に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項6】
前記スリーブアセンブリの前記外側スリーブは前記第1の接点と係合可能である、請求項に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項7】
電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、前記電子デバイスは、第1の接点と第2の接点との間の電気的接触に応じて開始可能な補助機能と、第1の方向に第1のステム位置と第2のステム位置との間で軸方向に変位できる回転可能なステムアセンブリとを備え、
前記クラウンアセンブリは、
前記回転可能なステムアセンブリに連結されるクラウンであって、該クラウンは前記第1の方向に第1のクラウン位置と第2のクラウン位置との間で軸方向に変位可能であり、前記第1の方向と反対の方向に前記第1のクラウン位置と第3のクラウン位置との間で軸方向に変位可能であり、
該クラウンが前記第1のクラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは前記第1のステム位置にあり、
該クラウンが前記第2のクラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは前記第2のステム位置にあり、及び
前記回転可能なステムアセンブリが、前記第1のステム位置から前記第1の方向と反対の方向には軸方向に変位できない、クラウンと、
前記クラウンと前記回転可能なステムアセンブリとに連結されるスリーブアセンブリであって、該スリーブアセンブリが第1の軸方向と前記第1の軸方向と反対の方向の両方に、軸方向に変位可能であり、
該スリーブアセンブリは、前記回転可能なステムアセンブリを、前記第1の軸方向に、前記第1のステム位置から前記第2のステム位置へと推し進め、及び
前記クラウンが前記第3のクラウン位置にあるとき、前記第1の接点及び前記第2の接点の一方を前記第1の接点及び前記第2の接点の他方に係合させる、スリーブアセンブリと、を備え、
それにより、前記第1の接点と前記第2の接点が電気接触状態にあるとき、前記クラウンは前記第3のクラウン位置にあり、前記回転可能なステムアセンブリは前記第1のステム位置にある、電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項8】
前記クラウンを前記第1の軸方向に付勢し、前記回転可能なステムアセンブリを前記第1の軸方向と反対の方向に付勢するための付勢部材を備える、請求項に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項9】
前記回転可能なステムアセンブリはステムホルダを備え、前記スリーブアセンブリは外側スリーブ及び内側スリーブを備え、前記内側スリーブはその中に前記ステムホルダを受け、前記ステムホルダは前記スリーブアセンブリ内で軸方向に摺動可能である、請求項に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項10】
前記スリーブアセンブリの前記外側スリーブ及び前記内側スリーブは、前記第1のクラウン位置から前記第3のクラウン位置まで前記第1の軸方向と反対の方向に変位可能であり、前記外側スリーブは、前記回転可能なステムアセンブリの肩部と係合して、前記回転可能なステムアセンブリがその第1のステム位置を越えて前記第1の軸方向と反対の方向に変位することを阻止するフランジを備える、請求項に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項11】
前記スリーブアセンブリの前記外側スリーブは、前記第1の接点と係合可能である、請求項に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【請求項12】
第1の接点と第2の接点との間の電気的接触に応じて開始可能な補助機能と、
少なくとも「ラン」ステム位置と「セッティング」ステム位置との間で軸方向に変位できる回転可能なステムアセンブリと、
クラウンアセンブリと、を備える電子デバイスであって、
前記クラウンアセンブリは、前記回転可能なステムアセンブリに連結されるクラウンと、該クラウンと前記回転可能なステムアセンブリに連結されるスリーブアセンブリとを備え、
前記クラウンは、「ラン」クラウン位置と「セッティング」クラウン位置との間、及び「ラン」クラウン位置と「プッシュド」クラウン位置との間で軸方向に変位可能であって、前記クラウンが前記「ラン」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは前記「ラン」ステム位置にあり、前記クラウンが前記「セッティング」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは前記「セッティング」ステム位置にあり、前記クラウンが前記「プッシュド」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは前記「ラン」ステム位置にあり、
前記スリーブアセンブリは、第1の軸方向及び第1の軸方向と反対向きの第2の軸方向の両方に軸方向に変位可能であり、
前記スリーブアセンブリが、(i)前記第1の軸方向に前記「ラン」ステム位置から前記「セッティング」ステム位置まで、前記回転可能なステムアセンブリを引っ張り、(ii)前記クラウンが前記「プッシュド」クラウン位置にあり、前記回転可能なステムアセンブリが前記「ラン」ステム位置にあるとき、前記第1の接点と第2の接点の間に電気的接触を引き起こす、電子デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、前記電子デバイスが、時計ケースと、前記時計ケース内に配置されたインジケーター調整器と、前記インジケーター調整器に連結される少なくとも1つのインジケーターと、前記インジケーター調整器に係合するための前記回転可能なステムアセンブリに連結される設定部材とを備え、前記スリーブアセンブリが、前記設定部材が前記インジケーター調整器に係合することができるように、前記回転可能なステムアセンブリを前記第1の軸方向に前記「ラン」ステム位置から前記「セッティング」ステム位置へと推し進めるクラウンアセンブリ。
【請求項14】
請求項12に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、前記回転可能なステムアセンブリは前記クラウンが前記「ラン」クラウン位置から前記「プッシュド」クラウン位置に動かされるとき、前記第2の軸方向に変位できないクラウンアセンブリ。
【請求項15】
請求項12に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、(i)前記クラウンを前記第1の軸方向に付勢し、(ii)前記回転可能なステムアセンブリを前記第2の軸方向に付勢するための付勢部材を備えるクラウンアセンブリ。
【請求項16】
請求項12に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、前記回転可能なステムアセンブリはステムホルダを備え、前記スリーブアセンブリは外側スリーブ及び内側スリーブを備え、前記内側スリーブは前記ステムホルダをその中に受け、前記ステムホルダは、前記スリーブアセンブリ内で軸方向に摺動可能であるクラウンアセンブリ。
【請求項17】
請求項16に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、前記スリーブアセンブリの外側スリーブ及び内側スリーブは、前記第2の軸方向に前記「ラン」クラウン位置から前記「プッシュド」クラウン位置まで変位可能であり、前記内側スリーブは、前記回転可能なステムアセンブリをその「ラン」ステム位置から前記第1の軸方向に引っ張るために、前記回転可能なステムアセンブリの肩部と係合するフランジを備えるクラウンアセンブリ。
【請求項18】
請求項16に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリであって、前記スリーブアセンブリの前記外側スリーブは、前記第1の接点と係合可能であるクラウンアセンブリ。
【請求項19】
請求項1、2、3、7、又は12のいずれか一項に記載のクラウンアセンブリを含む電子デバイス。
【請求項20】
手首装着時計である、請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項21】
前記スリーブアセンブリの外側スリーブ及び内側スリーブは、前記第2の軸方向に前記「ラン」クラウン位置から前記「プッシュド」クラウン位置まで変位可能であり、前記内側スリーブは、前記回転可能なステムアセンブリをその「ラン」ステム位置から前記第1の軸方向に引っ張るために、前記回転可能なステムアセンブリの肩部と係合するフランジを備える、請求項に記載の電子デバイスに用いられるクラウンアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、クラウンプッシャーアセンブリ(単に、クラウンアセンブリや、電子デバイス用クラウンアセンブリと称する場合がある。)及びそれを備えた手首装着型電子デバイスに関する。
したがって、概して、デジタル時計、アナログ時計、及びアナログとデジタルを組み合わせた時計等の時計を含むが、これに限定されない手首装着型電子デバイスを対象とする。
また、そのような電子デバイスに用いられるインジケーター調整及び補助機能開始の両方を提供する、改良されたクラウンアセンブリ構造を対象とする。すなわち、本発明は、これまでに利用可能であったよりも広範囲の電子デバイスのムーブメントと共に使用することができる汎用性のあるクラウンアセンブリ構造を提供する。
【0002】
本発明者に知られているのは、米国特許第5,644,553号に記載されている、クラウンと押しボタンとを組み合わせたアレンジメントを備える時計構造体である。
例えば、前述の米国特許第5,644,553号に記載され、図示されているように、図1Aには通常の、つまり「ラン(run)」位置に配置されたステム(stem)112が示されている。一方、図1Bには、ステム112がムーブメントに向かって軸方向内側に「スイッチング(switching)」位置へ押し込まれていることが示されている。
特に、本発明に関連することとしては、図1Bでは、ステム112が、ばねスイッチングアーム116の付勢力に抗して図1Aの通常の「ラン」位置から左に押されていることが分かる。
すなわち、戻り止めばねが止めフランジに係合してステム112がさらに左方向に動くことを防止する少し前に、接点133、134がスイッチを閉じる構成である。
これは、米国特許第5,644,553号の実施例では、ダイヤルの照明(例えば、バックライティング)を引き起こすことになる。そのため、クラウン(図示せず)を離すと、スイッチングばね116は、ステムを右に移動させ、本明細書の図1Aに示す位置に戻すことになる。
【0003】
また、米国特許第5,644,553号のクラウンプッシャーアセンブリの構造は良好に機能し、出願人によって販売されている手首装着型電子デバイスの一部として十分に受け入れられている。
しかしながら、米国特許第5,644,553号及び本明細書の図1A図1Bに見られるように、従来技術のクラウンプッシャーアセンブリは、バックライティング機能の開始を実現するために、ステム112の軸方向内側への移動を必要とする。
つまり、通常のラン位置及び「引き出し(pulling)」位置(又はセッティング(setting)位置)と共に、従来技術のステムはバックライティング(すなわち補助)機能を開始するために、「内向き」(すなわち「プッシング(pushing)」)位置への移動を必要とする。
【0004】
しかしながら、全てのムーブメントが。同様に設計されているわけではない。実際、ほとんどのクラウンプッシャーアセンブリは、通常の「ラン」位置及び「引き出し」(又はセッティング)位置を有している。
したがって、従来技術の多くのステムは、補助(例えば、バックライティング)機能を実現するために、「内向き」又は「押し込み」位置への軸方向変位を提供しない。
【0005】
このこと自体は、装着型電子デバイス用のそのようなムーブメントの多くが、バックライトなどの補助機能を実現するために別個のプッシャーの使用を想定しているので、驚くべきことではない。
すなわち、公知のムーブメントの多くが、このような補助(例えばバックライティング)機能のために別個のプッシャー(例えば2時、4時、8時及び/又は10時の位置にある)を使用しながら、インジケーター(例えば針)の調節のためだけに、クラウンアセンブリを想定し、利用している。
【0006】
したがって、当該技術分野におけるさらなる進歩が望ましく、かつ達成可能であると考えられる。
例えば、少なくとも1つの補助(例えば、バックライティング)機能用の別個のプッシャーの必要性をさらに低減しながら、クラウンアセンブリの汎用性及び使用を改善することが望まれる。
具体的には、このような要望は、時計用ムーブメントなどのより広範囲のムーブメントと共に使用することができる汎用クラウンプッシャーアセンブリによって達成することができると考えられる。
【発明の概要及び目的】
【0007】
したがって、本発明の目的は、クラウンプッシャーアセンブリ及びそれを備える手首装着型電子デバイスにおいて、従来技術認識されている問題点を克服することである。
【0008】
具体的には、本発明の目的は、従来の時計ムーブメントを、これまでよりも汎用性があり、使いやすいものにすることのできる、改良されたクラウンアセンブリを提供することである。
【0009】
さらに、本発明の目的は、本発明のクラウンアセンブリを使用して達成され得る特徴又は機能を開始するために、通常確保される1以上のサイドプッシャーを省略することができる、改良されたクラウンアセンブリを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、クォーツアナログタイプであろうとソリッドステートタイプであろうと、「アナログタイプ」の手首装着型電子デバイス、及びクォーツアナログタイプであろうとソリッドステートタイプであろうと「デジタルタイプ」の手首装着型電子デバイス等の、広範囲の手首装着型電子デバイスに対して、本発明の改良されたクラウンアセンブリを組み込んだ構成にすることである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、本明細書に開示されるような改良されたクラウンアセンブリを含む時計であって、いくつか例を挙げると、バックライティング及び/又はレーザポインタなどの補助機能を開始するために使用することができる時計を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、より機能的で、一部の購買者にとって審美的に美しい時計を提供することである。
【0013】
また、本発明のさらなる目的は、従来型であろうとそうでなかろうと、より広範囲の時計ムーブメントを本発明と組み合わせて利用して、その利用可能性を高め、機能的に使いやすくできるようにすることである。
【0014】
そして、本発明のさらなる目的及び利点は、図面と次の説明を考慮することにより明らかとなるだろう。
【0015】
したがって、本発明は、以下に記載される構造、図及び説明において例示される、構造の特徴、部材の組み合わせ、部品の配置、及び一連の工程を含み、本発明の範囲は、特許請求の範囲において示される。
【0016】
先行技術における認識された欠点を克服し、上記及び以下に記載される目的及び利点を達成するために、本発明は、概して、電子デバイス用クラウンアセンブリを対象としている。
そして、電子デバイスは、第1の接点と第2の接点との間の電気的接触に応じて開始可能な補助機能と、少なくとも「ラン」ステム位置と「セッティング」ステム位置との間で軸方向に変位できる回転可能なステムアセンブリとを備えている。
また、かかるクラウンアセンブリは、回転可能なステムアセンブリに連結されるクラウンと、該クラウンと、回転可能なステムアセンブリに連結されるスリーブアセンブリとを備えている。
また、クラウンは、「ラン」クラウン位置と「セッティング」クラウン位置との間、及び「ラン」クラウン位置と「プッシュド(pushed)」クラウン位置との間で軸方向に変位可能である。
また、クラウンが「ラン」クラウン位置にあるとき、回転可能なステムアセンブリは「ラン」ステム位置にあり、該クラウンが「セッティング」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは「セッティング」ステム位置にある。
また、スリーブアセンブリは、第1の軸方向と、この第1の軸方向と反対向きの第2の軸方向の両方へ軸方向に変位可能であり、該スリーブアセンブリは、回転可能なステムアセンブリを、前記第1の軸方向に「ラン」ステム位置から「セッティング」ステム位置まで軸方向に変位可能とする。
同様に、クラウンを前記第2の軸方向に「プッシュド」クラウン位置へと押すと、前記第1の接点と第2の接点との間に電気的接触を引き起こす。
【0017】
次いで、第2の好ましい実施形態では、本発明は、電子デバイス用クラウンアセンブリを対象としている。
すなわち、電子デバイスが、第1の接点と第2の接点との間の電気的接触に応じて開始可能な補助機能と、第1の方向に第1のステム位置と第2のステム位置との間で軸方向に変位できる回転可能なステムアセンブリとを備えている。
また、クラウンアセンブリは、回転可能なステムアセンブリに連結されるクラウンと、該クラウン及び回転可能なステムアセンブリに連結されるスリーブアセンブリとを備えている。
また、クラウンは第1の方向に第1のクラウン位置と第2のクラウン位置との間で軸方向に変位可能であり、第1の方向と反対の方向に第1のクラウン位置と第3のクラウン位置との間で軸方向に変位可能である。
したがって、クラウンが第1のクラウン位置にあるとき、回転可能なステムアセンブリは第1のステム位置にある。
また、クラウンが第2のクラウン位置にあるとき、回転可能なステムアセンブリは第2のステム位置にある。
よって、回転可能なステムアセンブリは、第1のステム位置から第1の方向と反対の方向へは軸方向に変位できず、スリーブアセンブリは、第1の軸方向及び第1の軸方向と反対の方向の両方に軸方向に変位可能である。
スリーブアセンブリは、回転可能なステムアセンブリを、第1の軸方向に第1のステム位置から第2のステム位置まで軸方向に変位可能であるように推し進む(urge)。
したがって、クラウンがその第3のクラウン位置にあるとき、第1の接点及び第2の接点のうちの一方を第1の接点及び第2の接点のうちの他方に係合させる。
それによって、第1の接点と第2の接点が電気的に接触しているとき、クラウンはその第3のクラウン位置にあり、回転可能なステムアセンブリはその第1のステム位置にあることになる。
【0018】
さらに、第3の好ましい実施形態では、本発明は、第1の接点と第2の接点との間の電気的接触に応じて開始可能な補助機能と、少なくとも「ラン」ステム位置と「セッティング」ステム位置との間で軸方向に変位できる回転可能なステムアセンブリと、クラウンアセンブリとを備える電子デバイスを対象としている。
クラウンアセンブリは、回転可能なステムアセンブリに連結されるクラウンと、クラウンと回転可能なステムアセンブリに連結されるスリーブアセンブリとを備えている。
クラウンは、「ラン」クラウン位置と「セッティング」クラウン位置との間及び「ラン」クラウン位置と「プッシュド」クラウン位置との間で軸方向に変位可能である。
またラウンが「ラン」クラウン位置にあるとき、前記回転可能なステムアセンブリは「ラン」ステム位置にあり、該クラウンが「セッティング」クラウン位置にあるとき、回転可能なステムアセンブリは「セッティング」ステム位置にある。
また、クラウンが「プッシュド」クラウン位置にあるとき、回転可能なステムアセンブリは「ラン」ステム位置にあり、前記スリーブアセンブリは、第1の軸方向と、この第1の軸方向と反対向きの第2の軸方向の両方に軸方向に変位可能であり、該スリーブアセンブリは(i)前記ステムアセンブリを第1の軸方向に「ラン」ステム位置から「セッティング」ステム位置まで引っ張り、(ii)前記クラウンが「プッシュド」クラウン位置にあり、回転可能なステムアセンブリが「ラン」ステム位置にあるとき、第1の接点と第2の接点との間に電気的接触を引き起こすことになる。
【0019】
なお、好ましい実施形態では、電子デバイスが手首装着時計である。
そして、本発明をより完全に理解するために、添付の図面に関連してなされる次に説明を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1(A)、図(B)は先行技術による時計ムーブメントの断面図である。
図2図2は、本発明の第1の好ましい実施形態に従って構成されたクラウンアセンブリの断面図である。
図3図3は、本発明の第1の好ましい実施形態に従って構成されたクラウンアセンブリの斜視図である。
図4図4A図4B及び図4Cは、第1の好ましい実施形態によるクラウンアセンブリ構造の断面切断斜視図であり、それぞれ、クラウンアセンブリ及び回転ステムアセンブリが、(i)通常の「ラン」クラウン位置及び通常の「ラン」ステム位置(図4A)、(ii)「セッティング」クラウン位置及び「セッティング」ステム位置(図4B)(ステムピニオンギアが、例えば時間設定のために、ムーブメントギアトレインに係合されているのが分かる)、(iii)「プッシュド」クラウン位置及び通常の「ラン」ステム位置(図4C)にある状態を示す。
図5図5A図5B及び図5Cは、第2の好ましい実施形態によるクラウンアセンブリ構造の断面切断斜視図であり、それぞれ、クラウンアセンブリ及び回転ステムアセンブリが、(i)通常の「ラン」クラウン位置及び通常の「ラン」ステム位置(図5A)(ギアとスイッチプレートとの間に係合がないことが分かる)、(ii)「セッティング」クラウン位置及び「セッティング」ステム位置(図5B)(スイッチプレートがステムピニオンギアと係合し、クラウンの両方向の回転がスイッチを作動させることが分かる)、(iii)「プッシュド」クラウン位置及び通常の「ラン」ステム位置(図5C)(ピニオンギアとスイッチプレートとの間に係合がないことが分かる)にある状態を示す。
【0021】
図中の同一の参照番号は同様の部分を示すように意図されているが、すべての図中のすべての特徴が参照番号で呼ばれるわけではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は電子デバイス用クラウンアセンブリを対象とし、特に、バックライトのような補助機能を開始するための改良されたクラウンアセンブリ構造を対象とする。
しかし、バックライティングは本発明によって開始され得る特徴又は機能の一例に過ぎず、その他の例としては、普通はプッシャーなどによって開始されるもしくは開始可能な(又は開始可能であったか、もしくは開始されたであろう)任意の機能を挙げることができる。
【0023】
例えば、本発明の電子デバイスに組み込まれ、本発明のクラウンアセンブリによって開始することのできる他の機能及び特徴は、米国特許第7,113,450号に見出される。したがって、その内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
例えば、限定するものではないが、2,3の例を挙げると、キャリブレーション機能、速度及び距離の測定、表示及び停止/開始、又は心拍数及び/又は血圧の測定の開始/停止、及び/又は表示があり、重要な特徴は、プッシャーによって開始され得る特徴/機能であれば、本発明のクラウンアセンブリを使用して達成することができる。
【0024】
これに基づき、次に、本発明の第1の実施形態に従って構成され、好ましくは、全体が10で示されるアナログタイプの電子デバイスに関連して使用される、全体が20で示されるクラウンアセンブリに関連する図2及び図3を参照する。
【0025】
この第1の実施形態に関連して、電子デバイス10は、好ましくは、特に、全体が数字15で示される時計ケースと、全体が数字22で示されるインジケーター調整器とを備えている。
この第1の実施形態では歯車列であり、時計ケース15内に配置されるインジケーター調整器と、その全体が数字25(図3)で示されている。
すなわち、インジケーター調整器22に連結される少なくとも1つのインジケーターと、2つの電気接点30A、30B間の電気的接触に応じて開始可能な補助機能(例えば、バックライティング、レーザポインティングなど)と、全体が40で示され、時計ケース内に配置され、第1の「ラン」位置と第2の「セッティング」位置との間で軸方向に変位できる回転可能なステムアセンブリと、設定部材60とを備えている。
ここで、少なくとも1つのインジケーターは、1以上のインジケーター針(例えば、秒針、時針、及び/又は分針であってもよいし、又は、第4の針もしくは前述の米国特許第7,113,450号に開示されているような任意の数の他の針であってもよい)。
また、インジケーターリング(例えば、日付リング、日リング(day ring)もしくは前述の米国特許第7,113,450号に開示されているような任意の数の他のリング)であってもよく、さらには、他のインジケーターであってよい。
また、設定部材60は、クラウン50がクラウンの「ラン」位置からクラウンの「セッティング」位置まで、第1の軸方向に(すなわち、図に示す方向「X」に)引っ張られたときにインジケーター調整器22と係合するように、回転可能なステムアセンブリ40に連結されている。
【0026】
この第1の実施形態のクラウンアセンブリ20は、時計ケース15の外部に備えてある。
そして、回転可能なステムアセンブリ40に連結されたクラウン50と、(i)クラウン50を第1の軸方向に、及び(ii)回転可能なステムアセンブリ40を第2の軸方向に(すなわち、図に示す方向「Y」に)付勢するための付勢部材65と、クラウン50に連結される、全体が70で示されるスリーブアセンブリとを備えている。
かかるクラウン50は、第1の「ラン」位置と、第2の「セッティング」位置と、第3の「プッシュド」位置との間で軸方向に変位可能である。
また、スリーブアセンブリ70は、(i)回転可能なステムアセンブリ40を回転させるように、(ii)回転可能なステムアセンブリ40を第1の軸方向「X」に回転可能なステムアセンブリ40の「ラン」位置から回転可能なステムアセンブリ40の「セッティング」位置へと推し進めるように、(iii)クラウン50をスリーブアセンブリ70に対して第2の軸方向「Y」にクラウン50の第3の「プッシュド」位置へと押すと(例えば矢印「Z」で表す)と、2つの電気接点30A、30Bの間に電気的接触を引き起こすように、第1及び第2の軸方向の両方において、軸方向に変位可能である。
【0027】
本発明によれば、回転可能なステムアセンブリ40は、クラウンがクラウン50の第1の「ラン」クラウン位置からクラウン50の第3の「プッシュド」クラウン位置まで押されても/動かされても、その「ラン」ステム位置から第2の「Y」軸方向にさらに動かされない。
すなわち、回転可能なステムアセンブリ40は、回転可能なステムアセンブリ40の通常の「ラン」位置よりも電気接点30A、30Bに向かって内側にさらに移動しない。
【0028】
したがって、本発明と米国特許第5,644,553号に記載されている発明との間の少なくとも1つの特許可能な相違は、本発明がクラウンアセンブリ20の構造を利用して電気接点30Aと電気接点30Bの間の電気的接触を引き起こし、補助機能を開始する点にある。
これは、補助機能、例えば「バックライティング」機能を開始するために、ステム自体を内側に押して電気的接触を引き起こすことが必要な、米国特許第5,644,553号に記載されている発明とは特許可能に対照的である。
【0029】
このようにして、通常の「ラン」ステム位置よりもさらに内側に移動するように本来構成されていないステムでは利用または達成できなかったであろう「プッシング」という特徴/機能を、本発明では実現している。
すなわち、当該特徴/機能をクラウンアセンブリ20に組み込むので、その通常の「ラン」位置から内側に押されるべきステムを本来提供しない時計/電子デバイスのムーブメントに接続して用いられる場合であっても、本発明の電子デバイス10のクラウン50の位置にはるかに多様な機能性をもたせ、それによって、例えば時計タイプの従来のムーブメントをはるかに多用途にする。
【0030】
より詳細には、この第1の好ましい実施形態では、スリーブアセンブリ70が好ましくは全体が72で示される外側スリーブと、全体が74で示される内側スリーブとを備えている。
好ましくは、外側スリーブ72及び内側スリーブ74の両方がクラウン50と一体に形成されてもよく、又は、そうでなければクラウン50に連結及び/又は接続されてもよい。
このようにして、外側スリーブ72及び内側スリーブ74はクラウン50の軸方向の変位と共に軸方向に変位可能である(すなわち、クラウン50並びに外側スリーブ72及び内側スリーブ74は、X方向及びY方向に一緒に移動する)。
【0031】
また、回転可能なステムアセンブリ40は、好ましくは、全体が42で示されるステムと、全体が44で示される回転ステムホルダとを備えている。
通常、ステム42の従来の回転ステムは、従来のクラウンにねじ結合されることを見越してねじ付き端部を本来有する。
したがって、本発明によれば、ステムホルダ44の受入端部44Aは、ステム42のねじ付き端部42Aを受け入れるために、適合するねじ付き(matching threadable)凹部を有することができる。
もちろん、摩擦嵌合挿入又は他の嵌合構成も考えられ、これらも本明細書に含まれる。
【0032】
また、スリーブアセンブリ70、特に内側スリーブ74は、好ましくはステムホルダ44を収容するような寸法及び形状とされる。
好ましい実施形態では、ステムホルダ44が六角形の外側輪郭を有し、内側スリーブ74は嵌合する(mating)六角形の内側輪郭を有することも好ましい。
また、これは限定ではなく例としてのものであって、他の相補的な形状も本明細書で同様に想定する。
しかしながら、図に示され、本明細書でさらに説明されるように、ステムホルダ44が、スリーブアセンブリ70内で軸方向に摺動可能であることが重要であり、これは図4A(「ラン」ステム位置及び「ラン」クラウン位置)と図4C(「プッシング」クラウン位置及び「ラン」ステム位置)との比較で大まかに図解される。
【0033】
したがって、電気接点30Bを、はんだ又は他の接続手段によって、全体が80で示されるプリント回路基板上に設けるか、又はプリント回路基板に連結/接続させることが好ましい。
プリント回路基板80はまた、補助機能を提供することに関する本発明を介して追加される補助機能であってもよい。
この補助機能は、例としていくつか挙げるにすぎず、これに限定されないが、バックライティング、レーザポインタ、又は前述の米国特許第7,113,450号に開示されている他の上述の機能のいずれか、のうちの1以上であってよい。
また、電気接点30Aはスイッチばねであってもよく、同様に、はんだ又は他の方法で、プリント回路基板80に接続されてもよい。本明細書では、電気接点30A、30Bに代わる他の接続点も想定する。
【0034】
[通常の「ラン」モード]
この第1の実施形態によれば、通常の「ラン」モードにおいて、又はその間、クラウン50、スリーブアセンブリ70、及び回転可能なステムアセンブリ40は、自由に回転することができる。
特に、ステムホルダ44が内側スリーブ74の内側寸法と嵌合する輪郭(例えば、一例として六角形の輪郭)を有することにより、それらの間に連動(interlocking)が生まれる。
したがって、設定部材60がインジケーター調整器22と係合しない間はずっと、クラウン50、スリーブアセンブリ70及び回転可能なステムアセンブリ40は一緒に回転することになる。
【0035】
[「セッティング」モード]
例えば、時間設定モード(これに限定されない)等の「セッティング」モードでは、クラウン50が引き出されると、これに連結されるスリーブアセンブリ70も「X」方向に「引き出される」。
スリーブアセンブリ70は、内側スリーブ74の端部に、ステムホルダ44の肩部44Bと係合するフランジ76を備えている。
それにより、回転可能なステムアセンブリ40を、第1の「X」軸方向に回転可能なステムアセンブリ40の「ラン」位置から回転可能なステムアセンブリ40の「セッティング」位置へと推し進める構成である。
ステムホルダ44にねじ結合されている回転可能なステム42を用いて、ステム42もまた、設定部材60とインジケーター調整器22との係合を引き起こすように、「X」方向に「引き出される」。
さらに、クラウン50の回転は、この第1の実施形態の設定部材60を介してインジケーター調整器22と係合しているステム42の回転を引き起こす。したがって、それに連結されるインジケーター25の回転、移動、及び/又は設定を引き起こす。
この場合も、インジケーターはいくつかの例を挙げると、時針及び/又は分針などの1つ以上のインジケーター針とすることができる。
あるいは、ほんのいくつかの例を挙げると、日付/曜日リングなどのリングとすることもできる。
クラウン50を「Z」方向に押し戻すと、ステムアセンブリ40は図4Aに示すように、その通常の「ラン」ステム位置に戻る。
【0036】
[「補助機能開始」(即ち「プッシング」モード)]
他方、クラウン50がその通常の「ラン」クラウン位置からさらに内側に押されると、外側スリーブ72及び内側スリーブ74もまた、クラウン50につながっているがゆえに、「Y」方向へ軸方向に動かされる。
さらに、クラウン50を「Y」/「Z」方向に押すことは、クラウン50とステムホルダ44との間の付勢部材65の付勢によって、回転可能なステムアセンブリ40を「Y」方向に付勢する。
しかしながら、ステム42を「Y」方向へ軸方向に変位させることはできるものの、ステム42を「ラン」ステム位置におけるその位置よりもさらに「Y」方向へ軸方向に変位させることはできない。
ステム42が「ラン」ステム位置におけるその位置よりもさらに「Y」方向へ軸方向に変位するのを阻止する方法は複数考えることができて、それには、1つ以上のフランジ(例えば、ステム42上の)などを用いたもの、又は、エンドストップ47(例えば、図4A、4Cを参照)によるものであってもよく、エンドストップ47は、フレームの一部であってもよいし、及び/又は当技術分野で周知の材料(例えば、プラスチック及び/又は金属)で作られた別個のエンドストップ機構であってもよい。
確かに、エンドストップ47(又は前述のフランジ)がムーブメント構造内に既に存在する場合には、ステム42をプッシング動作で使用することができないことについては理解されるべきであろう。
言い換えると、エンドストップ47の存在は本発明の一部ではなく、むしろ、本発明が非常に有益である理由となるであろう。
即ち、本発明は、クラウンを押すことを望む、又は必要とする動作においてステム42を既に使っていないムーブメントに組み込むことができ、及び/又はそういったムーブメントと共に用いることができる。
【0037】
本発明のこの第1の全ての実施例によれば、スリーブアセンブリ70及び特定の実施例では外側スリーブ72は、電気接点30Aを、例えばプリント回路基板80上にある電気接点30Bに電気的に接触するまで押すことになる。
これにより回路を閉じ、補助機能を開始する。
この場合も、図4Cの「プッシュング」位置へのクラウン50の押し込み動作時、ステムホルダ44及びステム42は、ステム42の前端に1つ又は複数のフランジもしくはエンドストップ47が当たる(against)ことによって、それらそれぞれの「ラン」位置を越えて進むことはできない。
こうして、クラウン50がその「ラン」クラウン位置からその「プッシュド」クラウン位置へ押されるときに、回転可能なステムアセンブリ40が第2の軸「Y」方向に移動することを阻止する。
もっと正確に言えば、「プッシング」動作時に、付勢部材65が圧縮される間は、回転可能なステムアセンブリ40はその通常の「ラン」ステム位置に留まり、電気接点30Aが電気接点30Bの方へ移動し電気接点30Bに当接することによって物理的及び電気的接触が起こるのは、スリーブアセンブリ70(及び特に外側スリーブ72)の「X」方向の軸方向変位によるものである。
【0038】
好ましくは、クラウン50とステムアセンブリ40との間の付勢部材65としてのばねのばね力のバランスをうまくとることによって、又は、クラウン50とケース本体15との間の間隔「S」により変位の距離を確実に制限することによって、「Z」方向内側に押されるとき、クラウンアセンブリの押過ぎ、及び/又は、クラウンアセンブリの損傷を防止する。
【0039】
クラウン50を押し当て動作を止めると、クラウン50は、付勢部材65(好ましい実施形態ではコイルばね)のばね記憶(すなわち、付勢機能)のために、その通常の「ラン」位置に戻ることができる。
このようにして、上記の他の特徴及び構造と組み合わせて、クラウンの押し及び引き動作は、押しボタン及び押しボタンによって提供される機能性を模倣する(mimic)ことが理解される。
【0040】
次に、図5A図5B及び図5Cを、本発明の第2の実施形態に関連して参照する。
第1の実施形態と同様の部分は、便宜上、同じ参照番号で呼ぶか、あるいは省略する。しかしながら、この第2の実施形態の重要な部品及び特徴については、本明細書に記載されるそれ自体の参照番号で呼ぶ。
【0041】
具体的には、この第2の実施形態の本発明は、第1の実施形態の本発明と同様に構成され、機能する。この第2の実施形態の主な相違点は、本発明が適用可能な付加的な従来型スイッチング機構にある。
例えば、この第2の実施形態では、全体が140で示される回転可能なステムアセンブリが設けられていることが容易に理解される。
特に、この回転可能なステムアセンブリ140に、複数の歯が組み込まれている。
この実施形態の例示の、適切な、組み込むことのできる回転可能なステムアセンブリは、共有の米国特許第6,203,190号に見出すことができ、その主題の全体を本明細書に参照として組み込むことができる。
他のすべての点において、本発明を構成する特徴及び機能は、この第2の実施形態に含まれ、一方で、この実施形態の他の態様、例えば、デジタルディスプレイ、及び/又は1つ以上のインジケーターのマイクロプロセッサを用いた制御の使用も、当業者によって理解されるように、この第2の実施形態に組み込まれるが、これらに限定されない。
【0042】
さらに、米国特許第7,113,450号も参照することができ、当該米国特許第7,113,450号は補助機能を制御するためにコントローラをどのように使用することができるかについての追加の詳細な説明を提供する。
したがって、その開示の全体を本明細書に参照として組み込むが、そのような詳細は本発明にとって重要ではない。
また、本開示は、簡潔にするために、アナログ時計の構成に関する一定の基本的で非常によく知られている概念を省略する。
例えば、複数の「標準的な」針又はリングを回転させるための歯車及び/又は歯車列の基本的な構造及び配置は、当業者の技術範囲内であるため省略する。
【0043】
したがって、本発明によれば、従来の時計ムーブメントをこれまでよりも多用途で使いやすくすることのできる、改良されたクラウンアセンブリを提供することが理解される。
さらに、本発明によれば、本発明のクラウンアセンブリを使用することによって達成可能となった特徴又は機能を開始するために通常用意される1つ又は複数のサイドプッシャーを省くことができる。
これにより、例えば、より機能的で、一部の購買者にとって審美的に美しい時計を提供する。
本発明がより広い範囲の従来のムーブメントと共に使用される方法を提供することに加えて、本発明はまた、標準及び/又は従来のムーブメントを使用する時計に組み込むことができ、それによって、こうした従来のムーブメントをはるかに多用途にすることができる。
【0044】
したがって、上述の目的は、前述の説明から明らかになったものの中で、効率的に達成されることが理解され、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上記の構成に特定の変更を加えることができる。したがって、上記の説明に含まれるか、又は添付の図面に示されるすべての事項は例示として解釈されるべきであり、限定する意味ではないことが意図される。
【0045】
また、以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載される本発明の包括的な特徴及び特定の特徴のすべて、ならびに言語の問題としてそれらの間に入る可能性がある本発明の範囲のすべての記述を包含することを意図していることも理解されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5