(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、荷札ラベルの処分を避けようとする従来の装置はいずれも、コンビニエンスストアなどの小売店の各店舗に向けて日々大量の荷物を出荷する現場に適しているとはいえなかった。例えば上記特許文献1に記載の記録装置では、段ボール箱に直接印刷するため、段ボール箱を再利用することが困難で、結果的に低コスト化及び省資源化が困難であった。上記特許文献2に記載の記録情報更新装置では、リライタブルラベル及びラベルを更新する装置が必要であるため、装置の導入コストが高額であったり、リライタブルラベルのメンテナンスが煩雑であったりした。その結果、コンビニエンスストアなどの小売店に荷物を輸送する現場では、現在も紙に印刷される荷札ラベルが広く採用されたままとなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、従来の紙に印刷される荷札ラベルを簡易的かつ低コストに置換可能な荷札情報描画方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る荷札情報描画システムは、配送される箱の描画領域に荷札情報を描画する荷札情報描画システムであって、箱の数をカウントして送信するカウンタと、受信した箱数を、配送先情報と関連付けて記憶するサーバと、箱が搬送される搬送路と、箱が搬送路上の第1位置に到達したことを検出する第1センサと、箱が搬送路上の第2位置に到達したことを検出する第2センサと、箱が第1位置に到達したことを第1センサが検出したとき、描画領域に描画された荷札情報を消去する消去部と、箱が第2位置に到達したことを第2センサが検出したとき、描画を完了した箱数、並びにサーバから受信した配送先情報及び箱数に基づき、描画具によって描画領域に配送先及び箱番号を含む荷札情報を描画する描画部と、を備える。
【0008】
この態様によれば、配送される箱の描画領域に描画された荷札情報を消去したうえで、その描画領域に荷札情報を描画するため、簡易的かつ低コストに、従来の紙に印刷される荷札ラベルを、紙に印刷しない態様に置換することができ、荷札ラベル用の作業者を省人化することができる。また、サーバを利用して、箱の数を自動的にカウントして配送先及び箱番号を含む荷札情報を箱に描画する構成としているため、荷札ラベルに必要な箱数に関する情報を作業者が入力する方法と比較して、人為的なミスの発生を抑制することができる。
【0009】
上記態様において、箱が第1位置に到達したことを第1センサが検出したとき、消去部による荷札情報の消去を行う前に、描画領域を加熱するヒータをさらに備え、描画部は、温められることで消去可能になるインクにより描画を行う構成としてもよい。
【0010】
この態様によれば、常温及びそれ以下の温度で利用される搬送時には容易に消去されず、温めることで消去可能にすることができるため、紙の荷札ラベル用いる態様を、箱に荷札情報を描画する態様に比較的容易に置換することができる。
【0011】
上記態様において、氷点下環境下で、断熱シートで形成された箱に荷札情報の描画を行うこととしてもよい。
【0012】
この態様によれば、冷凍された商品を取り扱う氷点下環境下で商品の荷詰めなどの出荷準備を行う環境に特に適した態様とすることができる。
【0013】
上記態様において、描画部は、描画する場所に応じて、箱に向かって描画具を押し込む深さを変更することとしてもよい。
【0014】
この態様によれば、形状が不安定な箱に荷札情報を描画する場合であっても、十分に認識可能な状態で描画することが可能となる。特に、冷凍された商品を取り扱う場合には、形状が不安定なアルミニウムを用いた断熱シートで形成された箱が用いられることが多いが、このような箱に対しても、文字などの荷札情報をきれいに描画することなどが可能である。
【0015】
上記態様において、消去部は、描画領域の面に平行に延びる軸を中心に回転しながら、描画領域の面及び軸と交わる第1方向に移動しつつ描画領域に接触し、描画領域との接触箇所において、第1方向とは逆の第2方向に移動しながら描画領域に摺接する方向に回転することとしてもよい。
【0016】
消去部を用いた荷札情報の消去方法としては種々の態様が考えられるが、例えば、平面状の消去機構で描画領域を拭うだけでは、荷札情報をきれいに消去することが難しい場合があった。そこで、本願の発明者が検討を重ねた結果、上記態様を採用することで、描画領域の荷札情報をきれいに消去することができることが判った。
【0017】
上記態様において、サーバは、配送先と配送すべき品物とを予め関連付けて記憶しており、カウンタは、配送すべき品物の箱詰めが完了したのちに箱数をカウントすることとしてもよい。
【0018】
この態様によれば、配送すべき箱数が確定したところで箱数を自動的にカウントする態様となるため、箱への荷札情報の描画を容易にし、人為的なミスの発生を効果的に抑制することができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る荷札情報描画方法は、配送される箱の描画領域に荷札情報を描画する荷札情報描画方法であって、カウンタが、箱の数をカウントしてサーバに送信するステップと、サーバが、受信した箱数を配送先情報と関連付けて記憶するステップと、第1センサが、箱が搬送路上の第1位置に到達したことを検出するステップと、第2センサが、箱が搬送路上の第2位置に到達したことを検出するステップと、箱が第1位置に到達したことを第1センサが検出したとき、消去部が、描画領域に描画された荷札情報を消去するステップと、箱が第2位置に到達したことを第2センサが検出したとき、描画部が、描画を完了した箱数、並びにサーバから受信した配送先情報及び箱数に基づき、描画具によって描画領域に配送先及び箱番号を含む荷札情報を描画するステップと、を含む。
【0020】
この態様によれば、配送される箱の描画領域に描画された荷札情報を消去したうえで、その描画領域に荷札情報を描画するため、簡易的かつ低コストに、従来の紙に印刷される荷札ラベルを、紙に印刷しない態様に置換することができる。また、サーバを利用して、箱の数を自動的にカウントして配送先及び箱番号を含む荷札情報を箱に描画する構成としているため、荷札ラベルに必要な箱数に関する情報を作業者が入力する方法と比較して、人為的なミスの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、従来の紙に印刷される荷札ラベルを簡易的かつ低コストに置換可能な荷札情報描画システム及び描画情報描画方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一または同様の構成を有する。
【0024】
以下で説明する荷札情報描画システムの一形態は、コンビニエンスストアなどの小売店に向けて配送するために、食品及び飲料などの冷蔵または冷凍が必要な商品を、アルミニウム等を素材とする断熱シートで形成された箱に詰めて配送する準備をする倉庫において運用される形態を具体例として説明する。以下の実施形態では、冷凍または冷蔵が必要な商品を取り扱うため、荷札情報描画システムの主たる構成部分である荷札情報描画装置の少なくとも一部は、例えば−25℃などの氷点下環境で用いられる。ただし、本発明の荷札情報描画システムはこのような形態に限定されるものではなく、その他の物流システムの一部としても当然に適用可能である。
【0025】
図1及び
図2は、実施形態に係る荷札情報描画システム1の構成例を示す図である。
図2は、
図1における荷札情報描画システム1を、
図1のAの方向から見た図である。
図3は、実施形態に抱える荷札情報描画システム1の機能的構成を示すブロック図である。荷札情報描画システム1は、荷札情報描画装置2と、サーバ3とを備える。荷札情報描画装置2は、制御部10、搬送路11、搬送制御部12、カウンタ13、第1センサ14、第2センサ15、ヒータ16、消去部17、描画部18、及び操作盤19を含む。サーバ3は、記憶部31を含む。
【0026】
搬送路11は、進行方向に対して垂直な方向に延びるよう配置された複数のローラ111が、進行方向に複数配列されて構成される。ローラ111は円柱状であって、搬送制御部によって回転駆動される。搬送路11の両側方には、搬送路11に沿ってガイド112A及び112Bが設けられ、搬送される箱4の搬送を案内する。搬送路11では、搬送される箱4を略水平な状態のまま搬送可能なように、箱4が載置される載置面が略水平になるようにローラ111が配置される。なお、搬送路11の載置面は傾斜を有していてもよい。搬送路11は、直線状に延びていてもよいし、カーブを有する形状であってもよい。
【0027】
搬送制御部12は、ローラ111を回転駆動することで、搬送路11に載置された箱4を進行方向に搬送する。搬送制御部12は、箱4の描画領域41の荷札情報が消去される位置、及び描画領域41に荷札情報を描画する位置において、箱4を停止可能である。箱4を停止するため、搬送制御部12はストッパを有していてもよい。また、単にローラ111の回転を停止して箱4を停止するよう作動してもよい。
【0028】
なお、搬送路11に配置されたローラ111は、搬送路11で箱4を搬送するための機構の一例に過ぎず、箱4の搬送ために他の構成を採用してもよい。例えば、搬送路11は箱4を搬送方向に押して移動させるためのアームなどを有する構成としてもよい。搬送路11は、ローラ111に代え、またはローラ111に加え、可撓性を有するベルトを備えた構成としてもよい。この場合、ローラ111は回転によりベルトを作動させ、ベルト上に載置された箱4が搬送される態様となる。すなわち、この態様の搬送路11はいわゆるベルトコンベアとなる。
【0029】
箱4は、商品および飲料などの冷凍または冷蔵が必要な商品を収納可能であって、断熱性を有するアルミ断熱シートで形成される。ここで、アルミ断熱シートとは、アルミニウムなどを含んで構成されたある程度以上の断熱性を有する素材を指す。もちろん、箱4はアルミ断熱シート以外の断熱性を有する素材で形成されてもよいし、断熱性を有さない素材で形成されてもよい。本実施形態では、箱4は形状が不安定なアルミ断熱シートにより形成されているため、箱4の辺近傍では形状が安定するものの、箱4の辺から離れた位置では形状が不安定になる。作業者は、箱4の上面を解放した状態で、配送先ごとに配送する商品を箱4に詰めていき、詰め終わったら箱の上面を閉じる。箱4の一の面には、描画領域41が設けられる。描画領域41は、単に箱4の所定の領域であってもよいし、箱4にポリ塩化ビニルなどの樹脂などで形成された部材を配置した領域であってもよい。
【0030】
カウンタ13は、搬送路11の搬送経路の途中に配置され、配置された場所を通過した箱4の数をカウントする。作業者は、カウンタ13の上流側から下流側に、箱詰めが完了した箱4を移動させる。このとき、カウンタ13は通過した箱4を検知して箱数をカウントし記憶する。カウンタ13は、通過した箱4を検知するために、搬送路11の両側方に配置された分離側フォトセンサなどのセンサを含むが、これに限定されるものではない。カウンタ13は、分離側フォトセンサなどの光学センサではなく、重量検知型のセンサなどを含んでもよい。作業者は、一の配送先用のすべての商品の箱詰めが完了すると、操作キー131を操作する。操作キー131は、カウンタ13と同じ場所に配置されてもよいし、別の場所に配置されてもよい。操作キー131を操作されると、カウンタ13は、カウントした箱数の値を、制御部10を介してサーバ3に送信するとともに、カウント値をリセットして次の配送先の箱数のカウントに備える。なお、カウンタ13は、必ずしも消去部17及び描画部18が配置された搬送路11と連結された搬送路に配置される必要はなく、別の場所で箱数をカウントするよう配置されてもよい。また、カウンタ13は、センサを用いず、作業者が入力した箱数をサーバ3に送信する構成としてもよい。
【0031】
第1センサ14は、搬送路11において、消去部17が配置された箇所の近傍に配置され、箱4が第1センサ14の位置に到達したことを検出する。第1センサ14は、例えば、搬送路11の両側方に配置された分離型フォトセンサなどのセンサであるが、これに限定されるものではない。カウンタ13と同様に、第1センサ14も分離側フォトセンサなどの光学センサではなく、重量検知型のセンサなどであってもよい。
【0032】
第2センサ15は、搬送路11において、描画部18が配置された箇所の近傍に配置され、箱4が第2センサ15の位置に到達したことを検出する。第2センサ15は、例えば、搬送路11の両側方に配置された分離型フォトセンサなどのセンサであるが、これに限定されるものではない。カウンタ13及び第1センサ14と同様に、第2センサ15も分離側フォトセンサなどの光学センサではなく、重量検知型のセンサなどであってもよい。なお、消去部17により描画領域41の荷札情報を消去する場所と、描画部18により描画領域41に荷札情報を描画する場所とは同じであってもよく、この場合には第1センサ14と第2センサ15とは同一の構成となってもよい。
【0033】
ヒータ16は、ヒータ16から離れた位置にある描画領域41に向かって赤外線161を照射することで、描画領域41にインクで描画された荷札情報が消去部17によって消去可能な程度になるよう描画領域41を加熱する。ヒータ16は、
図1に示されるように、箱4の斜め上に配置され、
図4に示されるように赤外線161を描画領域41に数秒間照射して温める。本実施形態のヒータ16は赤外線ヒータであるが、それ以外の加熱機能を持ったものであってもよい。また、ヒータ16は、消去部17と一体であってもよい。
【0034】
消去部17は、描画領域41に接触することで、描画領域41に描画された荷札情報を消去する。具体的には、消去部17は、描画領域41の面に対して平行に延びる軸173を中心とする円筒状の本体の外周に拭取り材を配置した回転部171と、回転部171を支持する支持部172と、軸173を回転するモータ174とを有する。
図5は、描画領域41の荷札情報を消去する際の当該部分の拡大図である。
図6は、当該部分を
図5のBの方向から見た図である。
【0035】
回転部171は、軸173を中心に回転自在である。支持部172は、上下方向に移動自在である。描画領域41の荷札情報を消去するとき、消去部17は、下方向に移動しつつ、回転しながら描画領域41に接触するよう動作する。このとき、消去部17は、描画領域41との接触箇所において、下から上方向に摺接する方向に回転する。好ましくは、この消去動作は2回以上繰り返される。消去動作が繰り返されるとき、消去部17は、描画領域41に摺接しながら描画領域41の上端から下端まで移動したのち、描画領域41から離れた状態で上方向に移動し、再度描画領域41に摺接しながら描画領域41の上端から下端まで移動する。消去部17は、荷札情報を消去する動作中以外は収容部175に収容される。なお、消去部17は、必ずしもこのような構成に限定されるものではなく、描画領域41に接触することで荷札情報を消去可能な別の構成のものを採用してもよい。また、消去部17により荷札情報を消去する態様も、上記具体例に限定されるものではない。
【0036】
なお、支持部172は必ずしも上下方向ではない、横方向などの別の方向に移動しつつ、回転部171を描画領域41に接触する構成にしてもよい。また、必ずしも支持部172の移動方向に対して垂直な方向に軸173が延びた構成とせず、支持部172の移動方向に対して所定の角度(例えば45°など)を有する方向に軸173が延びた構成としてもよい。この場合、支持部172の移動方向に対して斜めに軸173が延びる形状となる。また、消去部17は、必ずしも回転しながら描画領域41に接触するものでなく、描画領域41のインクを拭取り可能な別の態様にしてもよい。また、消去部17とヒータ16とを一体構成にする場合、回転部171を加熱可能な構成としてもよいし、回転部171を加熱するヒータを有する構成としてもよいし、その他の構成としてもよい。
【0037】
描画部18は、温められることで消去可能になるインクを用いて描画可能な描画具181と、この描画具181を3軸に移動可能なアクチュエータ182を含み、描画領域41に荷札情報を描画する。描画具181に用いられるインクは、氷点下を含む常温以下の温度では容易には消去されず、ヒータ16により温められることで消去部17により消去可能になる。
図7は、描画領域に荷札情報を描画する際の当該部分の拡大図である。
図8は、当該部分を
図7のCの方向から見た図である。アクチュエータ182は、描画具181を保持し、描画領域41の面に対して平行な2軸方向に加え、描画領域41の面に垂直な1軸方向の計3軸に描画具181を移動させる。描画部18は、描画領域41に荷札情報を描画する動作中以外は収容部183に収容される。なお、消去部17が荷札情報を消去可能になるというのは、描画領域41がヒータ16で温められないと荷札情報を消去不能であるということだけではなく、描画領域41がヒータ16で温められることで消去容易になるという程度のものも含む。
【0038】
描画部18は、描画領域41に荷札情報を描画する際、描画する場所に応じて、描画領域41に向かって描画具181を押し込む深さを変更する。本実施形態の描画具181はペン状のものを例示しているが、ペン状ではない描画可能なものであってもよい。本実施形態の箱4は、前述のように形状がやや不安定なアルミ断熱シートにより形成されている。そのため、箱4の辺近傍では形状が安定するものの、箱4の辺から離れた位置では形状が不安定になり、箱4の辺から離れるほど、描画領域41に描画具181を押し当てたときの凹み量が大きくなる。そこで、描画部18は、描画領域41に描画する際、この凹み量に合わせて描画具181を押し込む深さを調整することで、描画領域41にきれいに荷札情報を描画することができる。より具体的には、描画部18は、描画領域41のD1側に描画するときよりもD2側に描画するときのほうが描画具181を押し込む深さを深くすることで、描画領域41にきれいに荷札情報を描画可能にする。
【0039】
描画部18が描画領域41に描画する荷札情報は、サーバ3から受信した、配送先に配送する箱のうちの描画を完了した箱数、配送先情報、及び箱数に基づいて生成される。具体的には、荷札情報は、配送先を示す数字または文字、配送先に送付される箱の総数、および当該箱が何番目の箱であるかを示す箱番号、を含む。例えば、配送先に送付される箱の総数が5個の場合には、箱番号は順に1から5の値となる。荷札情報はこれらの情報に限定されるものではなく、配送先に加え、箱数及び箱番号の少なくとも一方を含む情報を識別可能な数字、文字、及び記号のいずれかまたは組み合わせであってもよい。荷札情報は、例えば、配送先を示す数字または文字に加え、箱の総数及び箱番号のいずれか一方であってもよいし、その他の情報を含んでいてもよいし、バーコードまたは2次元コードなどのコードであってもよい。なお、当該配送先に配送する箱のうちの描画を完了した箱数は、サーバ3ではなく描画部18が内部メモリに記憶してもよい。
【0040】
操作盤19は、作業者が操作することで、荷札情報描画システム1、または荷札情報描画装置2の動作設定を変更したり、荷札情報描画システム1を起動または停止させたりする機能を有するものである。操作盤19は、例えばコンピュータ、マイコン、またはPCなどで構成されてもよい。
【0041】
サーバ3は、記憶部31を有し、荷札情報描画装置2の制御部10を介してカウンタ13及び描画部18と無線または有線で通信する。サーバ3は、予め記憶部31に配送先情報を記憶しており、カウンタ13から制御部10を介して送信された箱数を、この配送先情報と関連付けて記憶する。また、サーバ3は、箱4の描画領域41に荷札情報を描画するため、描画部18に配送先情報及び箱数を送信する。サーバ3は、荷札情報描画装置2とは別の場所に配置されてもよいし、荷札情報描画装置2と同じ場所に配置されてもよい。サーバ3と荷札情報描画装置2とは、一つの装置として構成されてもよい。
【0042】
制御部10は、荷札情報描画装置2の各構成要素の動作を制御するCPUまたはマイコンなどの演算装置である。制御部10は、少なくとも、荷札情報描画装置2における荷札情報描画方法により箱4の描画領域41に荷札情報を描画する処理を実行することができる。ここで、本実施形態の荷札情報描画システム1で実行される荷札情報描画方法について、フローチャートを参照しながら具体的に説明する。
【0043】
図9は、本実施形態の荷札情報描画システム1で実行される荷札情報描画処理を示すフローチャートである。
【0044】
まず、箱4に描画情報を描画する前に、所定の配送先に配送する商品を、作業者が箱4に詰めていく。作業者は、ひとつの箱4に商品を詰め終わるたびに搬送路11に箱4を置いて移動させる。これにより、カウンタ13が箱4をカウントし、カウントした箱数を記憶する(S101)。作業者は、当該配送先に配送するすべての商品の箱詰めを完了し、箱4のカウントが完了したら、操作キー131を操作する。操作キー131が操作されたことが検知されると(S102でY)、カウンタ13は、当該配送先に配送される箱数を示す、カウンタ13が記憶している箱数の値を、制御部10を介してサーバ3に送信する(S103)。さらにカウンタ13は、次の箱数のカウントのために記憶している箱数をリセットする。配送先に配送される箱数の値を受け取ったサーバ3は、この箱数を配送先情報と関連付けて記憶する(S104)。
【0045】
次に、搬送制御部12は搬送路11のローラ111を回転駆動し、箱4を進行方向に搬送していく(S105)。箱4が第1位置に到達したことを第1センサ14が検出したら(S106でY)、搬送制御部12はローラ111の回転を停止して箱4の搬送を停止し、ヒータ16が箱4の描画領域41に赤外線を照射して所定時間加熱する(S107)。描画領域41が十分加熱されたら、消去部17が描画領域41に接触して古い荷札情報を消去する(S108)。なお、描画領域41の加熱及び荷札情報の消去の際に、箱4の搬送を必ずしも停止しなくてもよく、箱4の搬送を継続しながら描画領域41を加熱し、および/または荷札情報を消去してもよい。また、描画領域41に古い荷札情報が描画されていない場合にも当該処理を行ってもよい。
【0046】
次に、搬送制御部12が搬送路11のローラ111を回転駆動し、箱4を進行方向にさらに搬送していく(S109)。箱4が第2位置に到達したことを第2センサ15が検出したら(S110でY)、荷札情報を描画するため、描画部18は、サーバ3から当該配送先の箱のうちの描画を完了した箱数、配送先、及び当該配送先に配送される箱数に関する情報を受信する(S111)。描画部18は、これらの描画を完了した箱数、配送先、および配送される箱数の情報に基づき、描画具181によって、描画領域41に配送先及び箱番号を含む荷札情報を描画する(S112)。なお、描画を完了した箱数は、サーバ3から受信するのではなく描画部18が内部メモリに記憶してもよい。この場合、サーバ3からは配送先情報と、当該配送先に配送される全箱数に関する情報を受信することとなる。
【0047】
箱4の描画領域41に荷札情報を描画したら、搬送制御部12は搬送路11のローラ111を回転駆動して箱4を進行方向にさらに搬送して、当該箱4への荷札情報の描画処理を完了する(S120)。
【0048】
上述の本実施形態に係る荷札情報描画システム1では、配送される箱4の描画領域41に描画された荷札情報を消去したうえで、その描画領域41に新たな荷札情報を描画することができるため、簡易的かつ低コストに、従来の紙に印刷される荷札ラベルを、紙に印刷しない態様に置換することができる。また、カウンタ13とサーバ3とを利用して、箱の数を自動的にカウントして配送先及び箱番号を含む荷札情報を箱4に描画する構成としているため、荷札ラベルに必要な箱数に関する情報を作業者が入力する方法と比較して、人為的なミスの発生を抑制することができる。
【0049】
本実施形態に係る荷札情報描画システム1では、描画領域41には温められることで消去可能になるインクにより荷札情報を描画し、ヒータ16による加熱後に消去部17で荷札情報を消去したのちに描画部18で新たに荷札情報を描画する。これにより、常温及びそれ以下の温度で利用される搬送時には容易に消去されず、温めることで消去可能にすることができるため、紙の荷札ラベル用いる態様を、箱に荷札情報を描画する態様に比較的容易に置換することができる。
【0050】
本実施形態に係る荷札情報描画システム1では、氷点下環境下で、断熱シートで形成された箱4に荷札情報の描画を行っている。そのため、冷凍された商品を取り扱う氷点下環境下で商品の荷詰めなどの出荷準備を行う環境に特に適した態様とすることができる。
【0051】
本実施形態に係る荷札情報描画システム1では、描画部18が、描画領域41上の描画する場所に応じて、箱4に向かって描画具181を押し込む深さを変更している。これにより、形状が不安定なアルミ断熱シートで形成した箱4に荷札情報を描画する場合であっても、十分に認識可能な状態で描画することが可能となる。
【0052】
本実施形態に係る荷札情報描画システム1では、消去部17が、描画領域41の面に平行に延びる軸173を中心に回転しながら、描画領域41の面及び軸173と交わる第1方向(例えば下方向)に移動しつつ描画領域41に接触し、描画領域41との接触箇所において、第1方向とは逆の第2方向(例えば上方向)に移動しながら描画領域41に摺接する方向に回転している。これにより、描画領域の荷札情報をきれいに消去することができる。
【0053】
本実施形態に係る荷札情報描画システム1では、サーバ3に配送先と、配送すべき品物とを予め関連付けて記憶しており、カウンタ13が、配送すべき品物の荷詰めが完了したのちに箱数をカウントしている。そのため、箱4への荷札情報の描画を容易にし、人為的なミスの発生を効果的に抑制することができる。
【0054】
本実施形態の荷札情報描画システム1は、以下のような態様としてもよい。
【0055】
描画部18は、描画領域41上の描画する場所に応じて、箱4に向かって描画具181を押し込む深さを変更する態様としているが、描画部18が筆圧センサを備え、描画の際に所定の筆圧となるよう描画具181を押し込む深さを調整する態様としてもよい。この場合、描画具181を押し込む深さを動的に変更することができるため、描画する場所に応じて予め描画具181を押し込む深さを設定する必要がなくなる。また、箱4の形状の安定性が経年劣化などにより変化したとしても、描画具181を押し込む深さを適切に調整することなどが可能となる。
【0056】
また、本実施形態の荷札情報描画システム1は、氷点下環境だけではなく常温環境でも利用可能である。
【解決手段】荷札情報描画システムは、配送される箱の描画領域に荷札情報を描画する荷札情報描画システムであって、箱の数をカウントして送信するカウンタ13と、受信した箱数を、配送先情報と関連付けて記憶するサーバ3と、箱が搬送される搬送路11と、箱が搬送路上の第1位置に到達したことを検出する第1センサ14と、箱が搬送路上の第2位置に到達したことを検出する第2センサ15と、箱が第1位置に到達したことを第1センサ14が検出したとき、描画領域に描画された荷札情報を消去する消去部17と、箱が第2位置に到達したことを第2センサ15が検出したとき、描画を完了した箱数、並びにサーバ3から受信した配送先情報及び箱数に基づき、描画具181によって描画領域に配送先及び箱番号を含む荷札情報を描画する描画部18と、を備える。