【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]
デジタルクーリング装置とデジタルクーリング制御装置とから構成されていて、
前記デジタルクーリング装置は、
圧縮機を備えている冷凍サイクル装置の室外機における空気吸入部の外側に配備されていて、前記室外機の外側の大気である外気を前記空気吸入部の側に向けて送ることで前記空気吸入部に向かう方向の前記外気の空気流を生じさせる送風ファンと、
前記送風ファンと前記空気吸入部との間に配備されていて、前記空気流の方向に直交する方向である上側から下側に向かって鉛直方向に水分が流下すると共に、前記送風ファンから送られてきた前記空気流が前記空気吸入部の方向に向けて通過できる散水冷却マットと、
前記散水冷却マットと前記空気吸入部との間に配備されている水切りダンパーと、
前記水切りダンパーと前記空気吸入部との間に配備されているデジタル風速計とを備えており、
前記デジタルクーリング制御装置は、
前記冷凍サイクル装置の使用電力量を通知する使用電力量デジタル信号に基づいて当該使用電力量デジタル信号を送出してきた前記冷凍サイクル装置の稼働係数を算定する冷凍サイクル装置稼働係数算定手段と、
算定された前記冷凍サイクル装置の前記稼働係数が所定の稼働係数値になったとき又は前記室外機の外部に設置されているデジタル外気温度センサーからデジタル情報で取得した外気温が所定の外気温度値になったときに前記散水冷却マットに対する給水開始または給水停止の給水制御を行う給水制御手段と、
算定された前記冷凍サイクル装置の前記稼働係数が所定の稼働係数値になったとき又は前記室外機の外部に設置されている外気温度センサーからデジタル情報で取得した外気温が所定の外気温度値になったときに前記送風ファンを稼働させて前記空気吸入部に向かう方向の前記空気流を生じさせる又は前記送風ファンの稼働を停止させる送風制御を行う送風制御手段と、
前記送風ファンが稼働している間に前記デジタル風速計から取得した風速が所定の風速値になったときに、前記送風ファンが稼働している前記室外機が接続されている前記冷凍サイクル装置を管理している管理者が使用している管理者端末及び、前記送風ファンが稼働している前記室外機が接続されている前記冷凍サイクル装置の管理を担当している担当者が所有している担当者端末に対して、有線又は無線のネットワークを介して、前記室外機を特定する情報と共に、前記散水冷却マットの交換を促す交換通知情報を出力するマット交換通知情報出力手段とを備えている
デジタル・クーリングコントロール・システム。
【0007】
[2]
前記デジタルクーリング装置は、前記圧縮機から吹き出される冷媒の温度を検知する吹き出し温度センサを更に備えており、
前記給水制御手段は、前記吹き出し温度センサーからデジタル情報で取得した、前記圧縮機から吹き出される前記冷媒の温度に応じて前記給水制御を行い、
前記送風制御手段は、前記吹き出し温度センサーからデジタル情報で取得した、前記圧縮機から吹き出される前記冷媒の温度に応じて前記送風制御を行う[1]のデジタル・クーリングコントロール・システム。
【0008】
[3]
前記デジタルクーリング装置は、前記室外機の外側における降雨状態を検知する雨センサーを更に備えており、
前記給水制御手段は、前記雨センサーからデジタル情報で取得した降雨情報に応じて前記給水制御を行い、
前記送風制御手段は、前記雨センサーからデジタル情報で取得した降雨情報に応じて前記送風制御を行う[1]又は[2]のデジタル・クーリングコントロール・システム。
【0009】
[4]
前記デジタルクーリング制御装置は、冷凍サイクル装置稼働係数算定手段が算定した前記冷凍サイクル装置の前記稼働係数を、前記稼働係数が算定された前記冷凍サイクル装置を管理している管理者が使用している前記管理者端末及び、前記稼働係数が算定された前記冷凍サイクル装置の管理を担当している担当者が所有している前記担当者端末に対して、有線又は無線の前記ネットワークを介して、前記冷凍サイクル装置を特定する情報と共に、稼働係数通知情報を出力する稼働係数通知情報出力手段を更に備えている[1]〜[3]のいずれかのデジタル・クーリングコントロール・システム。
【0010】
[5]
前記デジタルクーリング装置は、前記散水冷却マットに給水される水の量を検知する給水量検知センサーを更に備えており、
前記デジタルクーリング制御装置は、前記給水量検知センサーからデジタル情報で取得した給水量情報を、給水が行われている前記散水冷却マットが配備されている前記室外機が接続されている前記冷凍サイクル装置を管理している管理者が使用している前記管理者端末及び、給水が行われている前記散水冷却マットが配備されている前記室外機が接続されている前記冷凍サイクル装置の管理を担当している担当者が所有している前記担当者端末に対して、有線又は無線の前記ネットワークを介して、前記冷凍サイクル装置を特定する情報と共に、給水量情報を出力する給水量情報出力手段を更に備えている[1]〜[4]のいずれかのデジタル・クーリングコントロール・システム。
【0011】
[6]
前記水切りダンパーは、前記送風ファンの側に位置して前記空気流の方向に直交する方向である水平方向に延びる風受け板と、前記空気吸入部の側に位置して前記空気流の方向に直交する方向である水平方向に延びる風送り板とからなり、前記風受け板は前記送風ファンの側の下端縁から前記空気吸入部の側の上端縁に向かって斜め方向に延び、前記風送り板は前記送風ファンの側の上端縁から前記空気吸入部の側の下端縁に向かって斜め方向に延び、前記風受け板の上端縁と、前記風送り板の上端縁とが前記空気流の方向に直交する方向である水平方向に延びるダンパー支持軸によって支持されて連続し、前記ダンパー支持軸がその軸心を中心として回動することで、前記風受け板と前記風送り板とが両者の間に形成されている角度を保ったまま前記水切りダンパーが前記ダンパー支持軸を中心として回動する[1]〜[5]のいずれかのデジタル・クーリングコントロール・システム。
【0012】
[7]
前記ダンパー支持軸はその軸心を中心とした回動角度を所定の回動角度に設定可能である[6]のデジタル・クーリングコントロール・システム。
【0013】
上述した本発明のデジタル・クーリングコントロール・システムは次のような検討によるものである。
【0014】
1.冷蔵・冷凍の冷却機能サイクル
1−1
冷蔵・冷凍の商品の設定温度の基準として蒸発温度と凝縮温度があり、凝縮温度は冷媒ガスが圧縮されて液化する時の温度であり、例えば、冷媒ガスが圧縮機で圧縮されると、冷媒の種類、蒸発温度により、吐出し温度は、例えば、100℃前後となり、空冷の場合、凝縮器(コンデンサ)のプレートフィン式熱交換器で100℃の冷媒ガスの高温状態が冷やされ、吸込み面風速は、例えば、通常は2m/secであり、凝縮温度は、夏季32℃の場合は、55℃前後であり、冷蔵・冷凍の冷却能力は(100℃−55℃)=45℃となり、その数値の冷却能力が各冷凍機の能力となり、圧縮に必要な電力が増減する。
【0015】
1−2
従って、夏季の外気高温度または通常季節の外気温度の低下は、冷凍機の能力と、また負荷の増減に影響し、消費電力量が増減することになる。
【0016】
1−3
冷蔵・冷凍ケース、冷蔵・冷凍庫のケース・庫内温度が、例えば、アイス−26℃、冷食−18℃の場合の蒸発温度は−40℃を基準とする冷凍機の冷却能力とし、ケース・庫内温度が、例えば、精肉・鮮魚0℃、日配・惣菜3〜5℃、青果7℃の場合の蒸発温度は−10℃を基準とする冷凍機の冷却能力とすることができる。
【0017】
2.冷蔵・冷凍用途の冷凍装置特性
2−1 冷凍サイクルの各工程
冷凍サイクルは下記の通りである
(1)圧縮工程(圧縮機):蒸発器で蒸発した低圧の冷媒を圧縮で吸込み高圧の冷媒を吐出する。(低圧→高圧:断熱圧縮)
(2)凝縮工程(凝縮器):圧縮機からの高圧高温の冷媒を凝縮器で冷却液化する。また冷却媒体として空気、冷却水を使用する。(定圧変化:定圧圧縮)
(3)膨張工程(膨張弁):凝縮器で液化した冷媒を膨張弁で低圧冷却して蒸発器に吐出する。(高圧→低圧:絞り膨張)
(4)蒸発工程(蒸発器):膨張弁で低圧冷却された冷媒を蒸発器で蒸発させて空気、その他の対象物を冷却する。(定圧変化:低圧膨張)。
【0018】
2−2 冷凍サイクルの成績係数
成績係数COP(冷却熱量/圧縮動力)に影響する主な要因は、蒸発温度と凝縮温度である
蒸発温度:蒸発温度が高いほど、冷凍能力が大きく圧縮動力が小さくなる
凝縮温度:凝縮温度が低いほど、冷凍能力が大きく圧縮動力が小さくなる。
【0019】
2−3 蒸発温度
蒸発温度は冷却対象物に対して適正な値に設定するため、冷凍負荷の過大な増加や機器不良の場合以外は一定の値となる。
【0020】
2−4 凝縮温度
凝縮温度は、冷凍負荷の大きさや凝縮器の空気等冷却媒体の状態により変化する。 このため、冷凍能力、圧縮動力は凝縮温度の影響を強く受けるため、凝縮温度の抑制は省エネ運転を行う上で非常に重要である。
【0021】
3.
<散水冷却マットを使用する場合の凝縮温度低下>
本願発明者は、後述する実施形態で説明する散水冷却マット13に水を流下させることでの圧縮機(凝縮機)での凝縮温度低下効率を検討した。
【0022】
後述する実施形態で説明する送風ファン12を稼働させない場合であっても、室外機の空気吸入部に吸い込まれる外気は、水分が流下している散水冷却マット13を通過することで、気化熱によって、外気よりも温度が低下した空気流になって室外機の空気吸入部に吸入される。これによって、散水冷却マット13の使用を行わない従来の空冷凝縮機の場合に比較して、凝縮温度を低下させることができる。
【0023】
熱通過率を算出し、その後、伝熱温度差と吸い込み空気温度を参照して本願発明者が検討したところ、外気空気温度を、例えば、32℃とした場合で、散水冷却マット13の使用を行わない従来の空冷凝縮機の場合に比較して、29℃〜27℃まで3℃〜5℃前後凝縮温度は低下する。なお、室外機の空気吸入部に吸入される空気流の流速を2.0m/secとして検討した。
【0024】
<送風ファンと散水冷却マットを使用する場合の凝縮温度低下>
本願発明者は、後述する実施形態で説明する送風ファン12を稼働させ、送風ファン12によって生じた空気流が、水が流下している散水冷却マット13を通過することで圧縮機(凝縮機)での凝縮温度が低下する効率を検討した。
【0025】
送風ファン12の稼働によって室外機の空気吸入部に向けて強制的に流動している空気流が、水分が流下している散水冷却マット13を通過することで、気化熱によって外気よりも温度が低下し、送風ファン12により強められた風速で、室外機の空気吸入部に吸入される。これによって凝縮温度を低下させることができる。
【0026】
熱通過率を算出し、その後、伝熱温度差と吸い込み空気温度を参照して本願発明者が検討したところ、外気空気温度を、例えば、32℃とした場合で、送風ファン12及び、散水冷却マット13の使用を行わない従来の空冷凝縮機の場合に比較して、凝縮温度が9.4℃低下する。気化熱による温度低下と、熱伝達率の向上により熱交換に必要な伝熱温度が小さくなるためである。なお、送風ファン12の稼働による室外機の空気吸入部に吸入される空気流の流速を4.0m/secとして検討した。
【0027】
<凝縮温度低下による冷凍機動力の省エネ効果>
発明者が検討したところ、後述する実施形態で説明する送風ファン12を稼働させず、散水冷却マット13のみを用いて、散水冷却マット13に水を流下させることでの、散水冷却マット13の使用を行わない従来の空冷凝縮機の場合に比較した、冷凍機動力の省エネ効果は、凝縮温度降下を、例えば、55℃→50℃とした場合で、冷媒の種類ごとに蒸発温度を、例えば、次のように設定すると、以下の表1のようであった。
【0028】
【表1】
【0029】
また、発明者が検討したところ、後述する実施形態で説明する送風ファン12と、散水冷却マット13とを用いて、これらのいずれをも使用しない従来の冷凝縮機の場合に比較した、冷凍機動力の省エネ効果は、凝縮温度降下を、例えば、55℃→45℃とした場合で、冷媒の種類ごとに蒸発温度を、例えば、次のように設定すると、以下の表2のようであった。
【0030】
【表2】
【0031】
上述の表1、表2の検討における、凝縮温度低下による冷凍機動力の省エネ効果の算出はp−h線図による冷凍サイクルの各比エンタルピ値による吐出工程と蒸発工程の比エンタルピ差により算出たもので、比エンタルピ算出の条件は次の通りにしている。
(1)吸込蒸気の過熱度(SH):0[℃]
(2)凝縮液の過冷却度(SC):0[℃]
(3)圧縮機吐出し後の比エンタルピは理論圧縮値と圧縮効率により算出
【0032】
以上の検討結果により、本発明のデジタル・クーリングコントロール・システムによれば次のようになる。
【0033】
3−1
凝縮器(コンデンサ)の冷却能力が上昇し、凝縮器(コンデンサ)の凝縮能力が高まり冷凍機の稼動係数が低くなる。
【0034】
1)例えば、散水冷却マットへの散水のみの場合の省エネ効果は次の通りとなる。
蒸発温度−10℃の場合(精肉・鮮魚、日配・惣菜、青果等):14.8%〜20.9%
蒸発温度−40℃の場合(アイス、冷食等):11.4%〜20.2%
【0035】
2)例えば、散水冷却マットへの散水と送風ファンを組み合わせた場合の省エネ効果は次の通りとなる。
蒸発温度−10℃の場合(精肉・鮮魚、日配・惣菜、青果等):28.1%〜37.4%
蒸発温度−40℃の場合(アイス、冷食等):21.5%〜35.2%
【0036】
3−2
送風ファンの稼働、散水冷却マットへの散水に関しては、例えば、次のような制御を選定できる。
1)最高温度で制御する
2)雨センサーで運転停止する
【0037】
3−3
冷凍機稼動係数に関しては、例えば、次のように取り扱うことができる。
1)冷凍機電力量のパルス信号入力に基づく冷凍機稼動係数の算定
2)冷凍機稼動係数は、任意設定する数で、例えば、30〜40%以上とすることができる。
【0038】
3−4
散水冷却マットに散水し送風ファンによる送風と、散水による気化熱で大気中の、例えば、30℃の温度が3〜5℃程度、あるいは、4℃〜6℃程度低下する。
【0039】
4−1
地球温暖化により、例えば、4月〜10月に限らず、11月〜12月、1月〜3月等であっても、外気温度の上昇は、年間の四季を通して発生する。このため、冷蔵・冷凍ショーケース及び冷蔵・冷凍庫等と空調機の稼動係数は四季を通して高まり、電力の消費量は増加する。外気温度の上昇などにより、前記設備の稼動係数が、例えば、30%〜40%の所定の値になれば送風ファンの稼働、散水冷却マットへの散水を行うことで、空冷凝縮器(コンデンサ)のフィンの冷却機能を高めるため、該システムの配管の最下部に給水ゲートを設置し、外気温度センサーまたは稼動係数を検知する設備のパルス信号を入力し、設定温度、例えば、24℃または、稼動係数、例えば、30〜40%に達すれば、配管の給水ゲートバルブを電磁弁でオープン、散水を開始する。
【0040】
4−2
前記によらず、例えば、12月〜3月等の外気温度が20℃以下または、稼動係数が、例えば、20%という状態が、任意に設定した日数である、例えば、1週間まで達すれば、電磁弁に信号を送り、給水ゲートがクローズし、同配管内の水を自動的に給水停止し、冬季の配管の滞留水を同配管の排水用電磁弁が開となり、自動的に排水し、凍結による破壊を防止する。
【0041】
4−3
散水中の水温が外気の直射日光、または高温の外気温度により、散水用の水道が外気温度と温度差が、例えば、1〜2℃以下であれば給水を停止するようにすることもできる。
【0042】
4−4
該システムは、空冷凝縮器(コンデンサ)のフィン冷却機能を、散水の気化熱の凝縮器(コンデンサ)吸気機能を高め、冷凍機の稼動係数を低下するシステムであるが、その場合、散水エアフィルターに散水により、散水に含まれるシリカ等が付着すると、凝縮器(コンデンサ)の吸気冷却能力は大幅ダウンする。
【0043】
4−5
上記の散水冷却マットに、例えば、1年〜3年の経過年数により付着したシリカ等を、該システムは固定ボルトまたは緊縛金具等を外し、散水冷却マットを横方向にスライドすると長時間を要する固定金物は現状、散水マットをスライドする作業時間、内容が容易にワンタッチで取外し、装着が可能で、誰でも簡単に可能となる。
【0044】
4−6
該システムは、空調、冷蔵・冷凍ショーケース、冷蔵・冷凍庫の空冷方式は可能であり、屋外凝縮器(コンデンサ)、冷却装置の電流値、電力値はパルス信号で入力し、外気温度、雨センサーは設備の周囲に設置する。
【0045】
4−7
散水冷却マットの内側(室外機の空気吸入口側)に風速計を装着し、散水冷却マットにシリカ等が付着することにより送風が通過する空隙部が狭くなったことを指標する空隙率を風速計で測定する風速との関係で事前に把握しておく。例えば、設定している風速で送風ファンを駆動しているときに、空間率60〜70%に相当する風速にまで風速計で検知する風速が低下したならば、該散水マットの状態を、該システムのPCサーバー及び関係者のスマートフォンに送信し、関係者は直ちに、上述した散水冷却マットの交換を行い、常時良好な冷却機能を監視対応できる。