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前記第三モードにおいて、複数の前記発光素子の全体のうち、周囲の前記発光素子から前記第三波長帯域光を弱く出射させる、又は、中央側の前記発光素子から前記第三波長帯域光を強く出射させることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。
図1は、本実施形態に係る投影装置10の外観斜視図である。なお、本実施形態において、投影装置10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0014】
投影装置10は、
図1に示すように、略直方体形状であって、筐体の前方の側板である正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有すると共に、この正面パネル12には複数の吸気孔18や排気孔17を設けている。さらに、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0015】
また、筐体の上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知する過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0016】
さらに、筐体の背面パネルには、USB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。また、背面パネルには、複数の吸気孔が形成されている。なお、筐体の側板である図示しない右側パネル、及び、
図1に示した側板である左側パネル15には、各々複数の排気孔17が形成されている。また、左側パネル15の背面パネル近傍の隅部には、吸気孔18が形成されている。
【0017】
つぎに、投影装置10の投影装置制御手段について、
図2の機能回路ブロック図を用いて述べる。投影装置制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成される。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0018】
表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0019】
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものである。表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動する。そして、投影装置10は、光源装置60から出射された光線束を、導光光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光学像を形成し、後述する投影側光学系を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0020】
画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長する。画像圧縮/伸長部31は、その画像データを、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行う。
【0021】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0022】
筐体の上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0023】
制御部38は、システムバス(SB)を介して音声処理部47と接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声報音させる。
【0024】
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御している。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60の励起光照射装置70(
図3参照)の動作を個別に制御する。また、光源制御回路41は、制御部38の指示により、投影モードに応じて、蛍光ホイール101等の同期のタイミングを制御する。本実施形態では、投影装置10は、第一モード〜第三モードを備える。第一モードでは、光源光の色バランスや輝度分布のばらつきを低減させることができる。第二モードでは、赤色波長帯域光の色純度をより高めることができる。また、第三モードでは、赤色波長帯域光を明るくすることができる。
図3の説明で後述するように、第一モードでは発光ダイオードである赤色光源151から赤色波長帯域光を出射し、第二モードではレーザダイオードである赤色光源121から赤色波長帯域光を出射し、第三モードでは赤色光源151及び赤色光源121から赤色波長帯域光を出射する。
【0025】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源のOFF後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をOFFにする等の制御を行う。
【0026】
図3は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。投影装置10は、右側パネル14の近傍に制御回路基板241を備えている。この制御回路基板241は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えている。また、投影装置10は、制御回路基板241の側方、つまり、投影装置10の筐体の略中央部分に光源装置60を備えている。さらに、投影装置10には、光源装置60と左側パネル15との間に、光源側光学系170や投影側光学系220が配置されている。
【0027】
光源装置60は、青色波長帯域光(第三波長帯域光)の光源であって励起光源ともされる励起光照射装置70と、緑色波長帯域光(第四波長帯域光)の光源とされる緑色光源装置80と、赤色波長帯域光の光源とされる赤色光源装置である、第一赤色光源装置120,第二赤色光源装置150と、を備える。緑色光源装置80は、励起光照射装置70と蛍光ホイール装置100により構成される。そして、光源装置60には、各色波長帯域光を導光し、出射する導光光学系140が配置される。導光光学系140は、各装置(励起光照射装置70,緑色光源装置80,第一赤色光源装置120)から出射される各色波長帯域光を光源側光学系170へ導光する。
【0028】
励起光照射装置70は、投影装置10の筐体の左右方向における略中央部分であって背面パネル13近傍に配置される。そして、励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置された複数の半導体発光素子である青色レーザダイオード(第三光源)71から成る光源群、各青色レーザダイオード71からの出射光の光軸を正面パネル12方向に90度変換する反射ミラー群75、及び、青色レーザダイオード71と右側パネル14との間に配置されたヒートシンク81等を備える。
【0029】
光源群は、複数の青色レーザダイオード71が平面上に配置されて形成される。本実施形態では、青色レーザダイオード71が、左側パネル15側から見た平面視2行2列に配置されて、さらにそれらの中央に1つを配置させた合計5個が設けられる。なお、
図3の上下方向を行、紙面に垂直な方向を列として、マトリクス状に複数の青色レーザダイオード71を配置させてもよい。
【0030】
各青色レーザダイオード71の光軸上には、出射光の指向性を高めるように平行光に変換する複数のコリメータレンズ73が配置される。また、反射ミラー群75は、複数の反射ミラーが階段状に配置されてミラー基盤と一体化して形成される。反射ミラー群75は、青色レーザダイオード71から出射される光線束を一方向に縮小して第二ダイクロイックミラー141へ向けて出射する。
【0031】
ヒートシンク81と背面パネル13との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261とヒートシンク81とによって青色レーザダイオード71が冷却される。さらに、反射ミラー群75と背面パネル13との間にも冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって反射ミラー群75等が冷却される。
【0032】
緑色光源装置80を構成する蛍光ホイール装置100は、励起光照射装置70から出射される励起光の光路上であって、正面パネル12の近傍に配置される。蛍光ホイール装置100は、蛍光ホイール101、モータ110、集光レンズ群111、集光レンズ115を備える。蛍光ホイール101は、正面パネル12と略平行となるように、つまり、励起光照射装置70からの出射光の光軸と直交するように配置される。蛍光ホイール101は、略円盤状に形成され、中心部がモータ110の軸部と回転可能に固定される。蛍光ホイール101の外周縁近傍には、透過部と、緑色蛍光体(第四光源)が周方向に並設される。励起光照射装置70から出射された青色波長帯域光は、透過部又は緑色蛍光体のいずれかに照射される。
【0033】
透過部は、照射された青色波長帯域光を蛍光ホイール101の表側から裏側へ向かって拡散透過させる。緑色蛍光体は、励起光照射装置70から出射された青色波長帯域光が照射されると、緑色波長帯域光を蛍光光として出射する。
【0034】
モータ110は、蛍光ホイール101を回転駆動させる。集光レンズ群111は、励起光照射装置70から出射される励起光の光線束を蛍光ホイール101に集光させるとともに蛍光ホイール101から背面パネル13方向に出射される光線束を集光する。集光レンズ115は、蛍光ホイール101から正面パネル12方向に出射される光線束を集光する。モータ110の正面パネル12側には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって蛍光ホイール装置100等が冷却される。
【0035】
第一赤色光源装置120は、青色レーザダイオード71と光軸が平行となるように配置された赤色光源(第一光源)121と、赤色光源121からの出射光を集光する集光レンズ群125と、を備える。赤色光源121は、赤色波長帯域光(第一波長帯域光)を発する半導体発光素子である赤色レーザダイオードである。そして、第一赤色光源装置120は、第一赤色光源装置120が出射する赤色波長帯域光の光軸が、蛍光ホイール101から出射される緑色波長帯域光の光軸と交差するように配置される。
【0036】
第二赤色光源装置150は、赤色光源(第二光源)151と、赤色光源151からの出射光を集光する集光レンズ群155とを備える。赤色光源151は、赤色波長帯域光(第二波長帯域光)を発する半導体発光素子である赤色発光ダイオードである。第二赤色光源装置150は、第二赤色光源装置150が出射する赤色波長帯域光の光軸が、第一赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光の光軸と交差するように配置される。
【0037】
また、第一赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側にヒートシンク130を備える。そして、ヒートシンク130と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261及びヒートシンク130によって赤色光源121が冷却される。
【0038】
導光光学系140は、各色波長帯域の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸とさせる反射ミラーやダイクロイックミラー等からなる。以下、各部材について説明する。
【0039】
反射ミラー群75と集光レンズ群111との間の位置には、第二ダイクロイックミラー141が配置される。第二ダイクロイックミラー141は、青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射する。また、第一赤色光源装置120と第二ダイクロイックミラー141との間であって、第二赤色光源装置150の後方側には、第一ダイクロイックミラー142が配置される。第一ダイクロイックミラー142は、第二赤色光源装置150が出射する赤色波長帯域光の光軸と、第一赤色光源装置120が出射する赤色波長帯域光の光軸が交差する位置に配置される。
【0040】
図4は、第一ダイクロイックミラー142の分光分布図である。本図には、P偏光で入射してくる光に対する透過特性A1と、S偏光で入射してくる光に対する透過特性A2が示される。第一ダイクロイックミラー142は、P偏光の光に対して、約400nm〜約510nmの波長帯域の光を透過し、約510nm〜約620nmの波長帯域の光を反射する。また、第一ダイクロイックミラー142は、P偏光の光に対して、約620nm以上の波長帯域の光を透過させる。第一ダイクロイックミラー142は、S偏光の光に対して、約400nm〜約500nmの波長帯域の光を透過し、約500nm〜約630nmの波長帯域の光を反射する。また、第一ダイクロイックミラー142は、S偏光の光に対して、約630nm以上の波長帯域の光を透過させる。よって、第一ダイクロイックミラー142は、400nm〜700nmの範囲において、S偏光の透過帯域よりP偏光の透過帯域の方が広い。
【0041】
いずれの透過特性A1,A2を利用するかは、第一ダイクロイックミラー142に入射される光の波長や偏光特性に応じて予め定めることができる。本実施形態では、赤色光源121から出射された赤色波長帯域光が第一ダイクロイックミラー142に対してP偏光で入射する例について説明する。
【0042】
図5は、第一ダイクロイックミラー142及び入射光の分光分布図である。左側の第一縦軸は透過率及び反射率[%]を示し、右側の第二縦軸は光強度を示す。また、横軸は光の波長[nm]を示す。
図5では、赤色光源(第一光源)121から出射される赤色波長帯域光(第一波長帯域光)L1の分布曲線と、赤色光源(第二光源)151から出射される赤色波長帯域光(第二波長帯域光)L2の分布曲線と、第一ダイクロイックミラー142のP偏光に対する透過特性A1と、第一ダイクロイックミラー142の反射特性B1と、を示している。
【0043】
赤色波長帯域光L1は、帯域幅が10nm以下でピーク波長が約640nmの光である。赤色波長帯域光L2は、帯域範囲が約580nm〜約640nmでピーク波長が約610nmの光である。よって、赤色波長帯域光L1の波長帯域の大部分は赤色波長帯域光L2の波長帯域よりも長い。また、赤色波長帯域光L1のピーク波長における光強度は赤色波長帯域光L2のピーク波長における光強度と略同じである。
【0044】
透過特性A1を有する第一ダイクロイックミラー142は、約450nm〜約490nmの帯域幅でピーク波長が約470nmである青色波長帯域光L3の大部分と赤色波長帯域光の長波長側の一部を透過し、約530nm〜約570nmの帯域幅でピーク波長が約550nmである緑色波長帯域光L4の大部分と赤色波長帯域光の短波長側の一部を反射する。
【0045】
これにより、赤色光源121が出射してP偏光で入射してくる赤色波長帯域光L1は第一ダイクロイックミラー142を透過し、赤色光源151が出射する赤色波長帯域光L2は、第一ダイクロイックミラー142を反射して、同系色である複数の赤色波長帯域光を一つの光線束にして同一光路に合成することができる。
【0046】
図3に戻り、第二ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光及び第一ダイクロイックミラー142で合成された赤色波長帯域光は、左側パネル15方向に出射する。
【0047】
蛍光ホイール101を透過又は拡散透過した青色波長帯域光の光軸上、つまり、集光レンズ115と正面パネル12との間には、第一反射ミラー143が配置される。第一反射ミラー143は、青色波長帯域光を反射してその光軸を左側パネル15方向に90度変換する。第一反射ミラー143における左側パネル15側には、集光レンズ146が配置され、さらにこの集光レンズ146の左側パネル15側には、第二反射ミラー145が配置される。第二反射ミラー145は、集光レンズ146から入射される青色波長帯域光の光軸を背面パネル13側に90度変換する。
【0048】
第二反射ミラー145の背面パネル13側には、集光レンズ147が配置される。また、集光レンズ149の左側パネル15側であって、集光レンズ147の背面パネル13側には、第三ダイクロイックミラー148が配置される。第三ダイクロイックミラー148は、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を反射して背面パネル13側に90度光軸を変換し、青色波長帯域光を透過させる。集光レンズ147により集光された青色波長帯域光は、第三ダイクロイックミラー148を透過して、光源側光学系170の集光レンズ173に集光される。
【0049】
一方、第二ダイクロイックミラー141の左側パネル15側には、集光レンズ149が配置される。第二ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光及び第二ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光の光軸は、集光レンズ149に入射する。集光レンズ149により集光された緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光は、第三ダイクロイックミラー148により反射され、光源側光学系170の集光レンズ173に集光される。こうして、青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光が光源側光学系170に導光される。
【0050】
光源側光学系170は、集光レンズ173、ライトトンネル175、集光レンズ178、光軸変換ミラー181、集光レンズ183、照射ミラー185、コンデンサレンズ195により構成されている。なお、コンデンサレンズ195は、コンデンサレンズ195の背面パネル13側に配置される表示素子51から出射された画像光を投影側光学系220に向けて出射するので、投影側光学系220の一部でもある。
【0051】
集光レンズ173は、ライトトンネル175の入射口の近傍に配置され、光源光を集光する。集光レンズ173により集光された各色波長帯域光は、ライトトンネル175に向かって出射される。
【0052】
光軸変換ミラー181は、ライトトンネル175の背面パネル13側の光軸上であって、集光レンズ178の後方に配置される。ライトトンネル175の出射口から出射した光線束は、集光レンズ178で集光された後、光軸変換ミラー181により、左側パネル15側に光軸を変換される。
【0053】
光軸変換ミラー181で反射した光線束は、集光レンズ183により集光された後、照射ミラー185により、コンデンサレンズ195を介して表示素子51に所定の角度で照射される。なお、DMDとされる表示素子51は、背面パネル13側にヒートシンク190が設けられ、このヒートシンク190により表示素子51は冷却される。
【0054】
光源側光学系170により表示素子51の画像形成面に照射された光源光である光線束は、表示素子51の画像形成面で反射され、投影光として投影側光学系220を介してスクリーンに投影される。ここで、投影側光学系220は、コンデンサレンズ195、可動レンズ群235、固定レンズ群225により構成される。可動レンズ群235は、レンズモータにより移動可能に形成される。そして、可動レンズ群235及び固定レンズ群225は、固定鏡筒に内蔵される。よって、可動レンズ群235を備える固定鏡筒は、可変焦点型レンズとされ、ズーム調節やフォーカス調節が可能に形成される。
【0055】
このように投影装置10を構成することで、蛍光ホイール101を回転させるとともに励起光照射装置70及び第一赤色光源装置120から適宜のタイミングで光を出射すると、青色、緑色及び赤色の各波長帯域光が導光光学系140及び光源側光学系170を介して表示素子51に入射される。そのため、投影装置10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0056】
つぎに、各光源の点灯制御について説明する。光源装置60は、投影モードに応じて、赤色波長帯域光を出射する赤色光源121,151が異なり、赤色波長帯域光L1及び赤色波長帯域光L2の一方又は両方を赤色波長帯域光と異なる色の光と時分割して出射させる。本実施形態の光源装置60は、発光ダイオード(R−LED)である赤色光源151を駆動させる第一モード、レーザダイオード(R−LD)である赤色光源121を駆動させる第二モード、又は、赤色光源151及び赤色光源121を駆動させる第三モードで赤色波長帯域光を出射する。以下、各モードについて説明する。
【0057】
図6は、点灯モード毎の青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光の光線束の横断面積を示す模式図である。本図では、
図3の集光レンズ173の位置における光線束の横断面を模式的に示している。表内において黒塗りは消灯、白抜きは点灯を表す。
【0058】
第一モード511では、光源装置60は、赤色光源151を駆動させる。赤色光源151は、発光ダイオードであるため、赤色波長帯域光L2は、所定の出射角度を持った拡散光に近い光として出射される。
【0059】
第一モード511において、光源装置60は、複数の青色レーザダイオード71の全体を発光させる。また、第一モード511において、光源装置60は、複数の青色レーザダイオード71の全体を発光させて出射させた青色波長帯域光L3を、蛍光ホイール101の緑色蛍光体の有効領域に広く照射する。
【0060】
第二モード512では、光源装置60は、赤色光源121を駆動させる。赤色光源121は、レーザダイオードであるため、赤色波長帯域光L1は、出射角度の狭い平行光に近い光として出射される。よって、第二モード512の赤色波長帯域光L1の横断面積は、図示するように、第一モード511の赤色波長帯域光L2と比べ比較的狭くなる。
【0061】
第二モード512において、光源装置60は、複数の青色レーザダイオード71のうち、中心部の青色レーザダイオード71を発光させる。本実施形態では、平面上の中心部に一つ、周囲に四つの青色レーザダイオード71が配置されており、中心部の一つの青色レーザダイオード71から青色波長帯域光L31が出射される。
図6の黒丸は、周囲の四つの青色レーザダイオード71が消灯していることを示している。そのため、光源装置60の光源光として出射された青色波長帯域光L31は、横断面積が第一モード511の青色波長帯域光L3と比べ比較的狭くなる。また、第二モード512において、光源装置60は、一つの青色レーザダイオード71を発光させて出射させた青色波長帯域光L31を、蛍光ホイール101の緑色蛍光体の有効範囲に狭く照射する。よって、光源装置60の光源光として出射された緑色波長帯域光L4は、横断面積が第一モード511の緑色波長帯域光L4と比べ比較的狭いものとなる。
【0062】
第三モード513では、光源装置60は、赤色光源151及び赤色光源121を駆動させる。赤色光源151から出射された赤色波長帯域光L2及び赤色光源121から出射された赤色波長帯域光L1は、
図3の第一ダイクロイックミラー142で同一光路に合成され、一つの光線束となる。よって、第三モード513の赤色波長帯域光L1,L2の横断面積は、図示するように、第一モード511の赤色波長帯域光L2と略同じとなる。
【0063】
第三モード513において、光源装置60は、複数の青色レーザダイオード71の全体を発光させる。よって、光源装置60の光源光として出射された青色波長帯域光L3は、光線束全体の横断面積が第一モード511の青色波長帯域光L3と略同じとなる。また、第三モード513において、光源装置60は、複数の青色レーザダイオード71の全体を発光させて出射させた青色波長帯域光L3を蛍光ホイール101の緑色蛍光体の有効領域に広く照射する。よって、光源装置60の光源光として出射された緑色波長帯域光L4は、全体の横断面積が第一モード511の緑色波長帯域光L4と略同じとなる。
【0064】
なお、青色レーザダイオード71は、第三モード513において、複数の青色レーザダイオード71の全体のうち、周囲の青色レーザダイオード71から青色波長帯域光を相対的に弱く出射させる、または、中心側の青色レーザダイオード71から青色波長帯域光を相対的に強く出射させることができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態の光源装置60は、波長の異なる複数の赤色波長帯域光を出射させる赤色光源121,151を複数備える。第一モード511では、発光ダイオードである赤色光源151を駆動させて赤色波長帯域光L2を出射することにより色バランスや輝度分布のばらつきを低減させることができる。第二モード512では、レーザダイオードである赤色光源121を駆動させて長波長側の赤色波長帯域光L1を出射することにより、赤色波長帯域光の色純度をより高めることができる。また、第三モード513では、二つの赤色光源121,151を駆動させることにより光源装置60から出射される赤色波長帯域光を明るくすることができる。このように、明るさや色バランス等の調光幅が広い光源装置60、投影装置10及び光源制御方法を提供することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、二つの赤色光源121,151は、出射される赤色波長帯域光L1,L2同士が交差するように異なる向きで配置したが、赤色光源121及び赤色光源151を複数同一平面上に並べて配置してもよい。例えば、赤色光源121と赤色光源151を隣接させて配置させることができる。また、青色レーザダイオード71の配置と同様に、平面上に赤色光源151を2行2列に配置して、さらにそれらの中央に赤色光源151を1つ配置させた合計5個の赤色光源121,151を備えてもよい。また、上下方向を行、前後方向を列として、平面視マトリクス状に赤色光源121,151を配置させてもよい。マトリクス状に配置させた場合であっても、中心部にレーザダイオードである赤色光源121を配置させることができる。なお、このように赤色光源121及び赤色光源151を同一平面上に並べた場合、光源装置60は、
図3に示した第一ダイクロイックミラー142を備えない構成とすることができる。
【0067】
また、
図3において、赤色光源151は、蛍光ホイール101と第一ダイクロイックミラー142との間に配置したが、蛍光ホイール101と赤色光源151との間に第一ダイクロイックミラー142が位置するように赤色光源151を配置させる等、任意の位置に配置してもよい。その場合、赤色波長帯域光L1,L2を合成させる第一ダイクロイックミラー142は、赤色光源151の赤色波長帯域光L2が第二ダイクロイックミラー141に向かって反射されるように配置される。
【0068】
また、光源装置60は、レーザダイオードである赤色光源121から出射された赤色波長帯域光を拡散させるために、赤色波長帯域光を拡散透過させる赤色ダイクロイックフィルタを備えてもよい。例えば、赤色ダイクロイックフィルタは円盤状のカラーホイール上に青色ダイクロイックフィルタや緑色ダイクロイックフィルタと共に周方向に並設されるように設けられる。カラーホイールは、
図3の平面図において、集光レンズ173とライトトンネル175の間に設けられて、回転駆動が行われる。また、赤色波長帯域光を拡散透過させる赤色ダイクロイックフィルタは、集光レンズ群125と第一ダイクロイックミラー142との間に設けてもよい。
【0069】
以上説明したように、本発明の実施形態の光源装置60及び投影装置10は、第一波長帯域光を出射する赤色光源151と、第一波長帯域光と同系色で波長の異なる第二波長帯域光を出射する赤色光源121と、第一波長帯域光及び第二波長帯域光と異なる色の光を出射する他の光源と、制御部38と、を有する。制御部38は、第一波長帯域光及び第二波長帯域光の一方又は両方を異なる色の光と時分割して出射させる。よって、同系色の光の光強度や色味を調節できるため、明るさや色バランス等の調光幅が広い光源装置60、投影装置10及び光源制御方法を提供することができる。
【0070】
また、他の光源が、第三波長帯域光を出射する複数の青色レーザダイオード71により形成された励起光照射装置70、及び、第三波長帯域光により励起された第四波長帯域光を蛍光光として出射する緑色蛍光体である光源装置60は、異なる色の光を時分割で合成させてカラー画像を形成するための光源とすることができる。
【0071】
また、発光ダイオードである赤色光源151を発光させる第一モードのときに、複数の青色レーザダイオード71である発光素子の全体から第三波長帯域光を出射して、第三波長帯域光及び第四波長帯域光を光源光として出射させる光源装置60は、色バランスや輝度分布のばらつきを低減させることができる。
【0072】
また、レーザダイオードである赤色光源121を発光させる第二モードのときに、複数の青色レーザダイオード71のうち中央側の青色レーザダイオード71から第三波長帯域光を出射して、第三波長帯域光及び第四波長帯域光を光源光として出射させる光源装置60は、赤色波長帯域光の色純度をより高めることができる。また、この場合、赤色光源121から出射される第二波長帯域光が略平行光であり、青色レーザダイオード71から出射される第三波長帯域光も略平行光であるため、各波長帯域の光は、互いに平行度が近くなり、照度分布を近付けることができる。
【0073】
また、発光ダイオードである赤色光源151とレーザダイオードである赤色光源121とを発光させる第三モードのときに、複数の青色レーザダイオード71の全体から第三波長帯域光を出射して、第三波長帯域光及び第四波長帯域光を光源光として出射させる光源装置60は、出射される光源光の全体を明るくすることができる。
【0074】
また、第三モードにおいて、複数の青色レーザダイオード71の全体のうち、周囲の青色レーザダイオード71から第三波長帯域光を弱く出射させる、又は、中央側の青色レーザダイオード71から第三波長帯域光を強くする光源装置60は、赤色波長帯域光の色純度を高めつつ赤色波長帯域光を明るくすることができる。
【0075】
また、第一波長帯域光及び第二波長帯域光は赤色波長帯域光であり、第三波長帯域光は青色波長帯域光であり、第四波長帯域光は緑色波長帯域光である、光源装置60は、三原色により任意のカラー画像を形成することができる。
【0076】
また、第一波長帯域光が第一ダイクロイックミラー142を透過し、第二波長帯域光が第一ダイクロイックミラー142を反射して同一光路に合成される光源装置60は、離れた位置に配置された光源から出射された同系色の光を一つの光線束として導光することができる。
【0077】
また、複数の赤色光源151,121が同一平面上に配置される光源装置60は、波長の異なる複数の光を、ダイクロイックミラー等を用いることなく同一光路に導光することができる。
【0078】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0079】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 第一波長帯域光を出射する第一光源と、
前記第一波長帯域光と同系色で波長の異なる第二波長帯域光を出射する第二光源と、
前記第一波長帯域光及び前記第二波長帯域光と異なる色の光を出射する他の光源と、
前記第一光源及び前記第二光源の一方又は両方を、前記他の光源と異なるタイミングで点灯させる制御部と、
を有することを特徴とする光源装置。
[2] 前記他の光源は、第三波長帯域光を出射する複数の発光素子により形成された第三光源と、前記第三波長帯域光により励起された第四波長帯域光を蛍光光として出射する第四光源と、を含む、
ことを特徴とする上記[1]に記載の光源装置。
[3] 前記制御部は、発光ダイオードである前記第一光源を発光させる第一モードのとき、複数の前記発光素子の全体から前記第三波長帯域光を出射して、前記第三波長帯域光及び前記第四波長帯域光を光源光として出射させることを特徴とする上記[2]に記載の光源装置。
[4] 前記制御部は、レーザダイオードである前記第二光源を発光させる第二モードのとき、複数の前記発光素子のうち中央側の前記発光素子から前記第三波長帯域光を出射して、前記第三波長帯域光及び前記第四波長帯域光を光源光として出射させることを特徴とする上記[2]又は上記[3]に記載の光源装置。
[5] 前記制御部は、発光ダイオードである前記第一光源とレーザダイオードである前記第二光源とを発光させる第三モードのとき、複数の前記発光素子の全体から前記第三波長帯域光を出射して、前記第三波長帯域光及び前記第四波長帯域光を光源光として出射させることを特徴とする上記[2]乃至上記[4]の何れかに記載の光源装置。
[6] 前記第三モードにおいて、複数の前記発光素子の全体のうち、周囲の前記発光素子から前記第三波長帯域光を弱く出射させる、又は、中央側の前記発光素子から前記第三波長帯域光を強くすることを特徴とする上記[5]に記載の光源装置。
[7] 前記第一波長帯域光及び前記第二波長帯域光は、赤色波長帯域光であり、
前記第三波長帯域光は、青色波長帯域光であり、
前記第四波長帯域光は、緑色波長帯域光である、
ことを特徴とする上記[2]乃至上記[6]の何れかに記載の光源装置。
[8] 前記第一波長帯域光を透過し、前記第二波長帯域光を反射して、同一光路に合成する、第一ダイクロイックミラーを備える、
ことを特徴とする上記[1]乃至上記[7]の何れかに記載の光源装置。
[9] 前記第一光源及び前記第二光源は、同一平面上に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の光源装置。
[10] 上記[1]乃至上記[9]の何れか記載の光源装置と、
前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影側光学系と、
を有し、
前記制御部は、前記表示素子と前記光源装置を制御する、
ことを特徴とする投影装置。