(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子および前記発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材をそれぞれ含み、前記発光素子の発光中心が前記光束制御部材の中心軸上に位置し、第1の方向の中心間距離がPx、かつ前記第1の方向に直交する第2の方向の中心間距離がPyとなるように、格子状に配列された複数の発光装置と、
前記複数の発光装置の表側に配置され、前記複数の発光装置からの光を拡散させつつ透過させる光拡散板と、
を有する、面光源装置であって、
前記光束制御部材は、前記中心軸と交わるように、裏側に開口した凹部の内面である入射面と、
前記中心軸と交わるように配置された第1出射面と、前記第1出射面を取り囲むように配置された、表側に向けて凸の第2出射面とを含み、表側に配置された出射面と、を有し、
各発光装置について、前記第1の方向に沿い、前記中心軸を含む第1断面において、下記式(1)を満たす光線のうち、発光角度θ1が最も小さい発光角度θ1xminの光線は、下記式(2)を満たすように前記光拡散板に到達し、
各発光装置について、前記第2の方向に沿い、前記中心軸を含む第2断面において、下記式(1)を満たす光線のうち、発光角度θ1が最も小さい発光角度θ1yminの光線は、下記式(3)を満たすように前記光拡散板に到達する、
面光源装置。
θ3/θ1<1 式(1)
[上記式(1)において、θ1は、前記発光中心から前記入射面へ向かう任意の光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。θ3は、前記発光中心から発光角度θ1で出射され前記光束制御部材内を伝播し前記出射面から出射された、前記出射面から前記光拡散板へ向かう光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。]
Px/2<Ax<Px 式(2)
[上記式(2)において、Axは、前記第1断面において、前記発光中心から発光角度θ1xminで出射された光線の前記光拡散板上の到達点の前記中心軸からの距離である。]
Py/2<Ay<Py 式(3)
[上記式(3)において、Ayは、前記第2断面において、前記発光中心から発光角度θ1yminで出射された光線の前記光拡散板上の到達点の前記中心軸からの距離である。]
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る面光源装置および表示装置について、添付した図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する、発光装置が格子状に配置されている面光源装置について説明する。
【0014】
[実施の形態1]
(面光源装置の構成)
図2〜
図4は、本発明の実施の形態1に係る面光源装置100の構成を模式的に示す図である。
図2Aは、本発明の実施の形態1に係る面光源装置100の平面図であり、
図2Bは、正面図である。
図3Aは、
図2Bに示されるA−A線の断面図であり、
図3Bは、
図2Aに示されるB−B線の断面図である。
図4は、面光源装置100の部分拡大断面図である。
【0015】
図2A、B、
図3A、Bおよび
図4に示されるように、面光源装置100は、筐体110と、複数の発光装置200と、光拡散板(被照射面)120とを有する。本発明の面光源装置100は、液晶表示装置のバックライトなどに適用できる。また、
図2Bに示されるように、面光源装置100は、液晶パネルなどの表示部材(被照射部材)107(
図2Bにおいて、点線で示している)と組み合わせることで、表示装置100’としても使用できる。
【0016】
筐体110の底板112の内面は、拡散反射面として機能する。底板112上には、発光装置200が配置された基板210が所定の位置に配置されている。また、筐体110の天板114には、開口部が設けられている。光拡散板120は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、例えば約400mm×約700mmとすることができる。
【0017】
複数の発光装置200は、筐体110の底板112上の基板210に格子状に配列されている。ここで「格子状に配列」とは、単位格子が矩形となるように配列されていることをいう。単位格子の例には、長方形の格子、正方形の格子(正方格子)を含む。本実施の形態では、複数の発光装置200は、正方格子状に配列されている。本実施の形態では、複数の発光装置200は、第1の方向(
図3AにおけるX方向)の中心間距離がPx、かつ第1の方向に直交する第2の方向(
図3AにおけるY方向)の中心間距離がPyとなるように、格子状に配列されている。このように、本実施の形態では、中心間距離Pxおよび中心間距離Pyは、同じ長さである。複数の発光装置200は、それぞれ発光素子220および光束制御部材300を有する。
【0018】
発光素子220は、面光源装置100の光源であり、基板210上に実装されている。発光素子220は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。発光素子220は、その発光中心(光軸OA)が光束制御部材300の中心軸CA上に位置するように配置されている。また、発光素子220は、その発光中心(光軸OA)が発光装置200の中心と一致するように配置されている(
図4参照)。ここで、「発光素子の光軸OA」とは、発光素子220からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。このように、発光素子220は、第1の方向(
図3AにおけるX方向)の中心間距離がPx、かつ第1の方向に直交する第2の方向(
図3AにおけるY方向)の中心間距離がPyとなるように、格子状に配列されている。
【0019】
光束制御部材300は、レンズであり、基板210上に固定されている。光束制御部材300は、発光素子220から出射された光の配光を制御し、当該光の進行方向を基板210の面方向に拡げる。光束制御部材300は、その中心軸CAが発光素子220の光軸OAと一致するように、発光素子220の上に配置されている(
図4参照)。なお、後述する光束制御部材300の入射面320および出射面330は回転対称(本実施の形態では円対称)であり、かつこの回転軸は発光素子220の光軸OAと一致する。この入射面320および出射面330の回転軸を「光束制御部材の中心軸CA」という。
【0020】
光束制御部材300は、一体成形により形成することができる。光束制御部材300の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であればよい。たとえば、光束制御部材300の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーン樹脂などの光透過性樹脂、またはガラスである。本実施の形態に係る面光源装置100は、光束制御部材300の構成に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材300の備えるべき特徴については、別途詳細に説明する。
【0021】
光拡散板120は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置200からの出射光を拡散させつつ透過させる。光拡散板120は、複数の発光装置200の上に基板210と略平行に配置されている。通常、光拡散板120は、液晶パネルなどの被照射部材とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散板120は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散板120の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散板120の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0022】
本発明に係る面光源装置100では、各発光素子220から出射された光は、光束制御部材300により光拡散板120の所定の照射領域を照らすように制御される。後述するように、光束制御部材300は、所定の照射領域を適切に照らすため、光拡散板120の内面は略均一に照らされる。各光束制御部材300から光拡散板120に到達した光は、拡散されつつ光拡散板120を透過する。その結果、本発明に係る面光源装置100は、面状の被照射部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0023】
(光束制御部材の構成)
図5A〜Cは、本発明の実施の形態1に係る光束制御部材300の構成を示す図である。
図5Aは、光束制御部材300の平面図であり、
図5Bは、底面図であり、
図5Cは、
図5Aに示されるA−A線の断面図である。
【0024】
図5A〜Cに示されるように、光束制御部材300は、入射面320と、出射面330とを有する。また、光束制御部材300は、光束制御部材300の取り扱いを容易にするための鍔部と、発光素子220から発せられる熱を外部に逃がすための間隙を形成するとともに、光束制御部材300を基板210に位置決めして固定するための脚部(いずれも図示省略)とを有していてもよい。本実施の形態における光束制御部材300の平面視形状は、円形である。
【0025】
入射面320は、発光素子220から出射された光のうち、大部分の光を、その光の進行方向を制御するとともに、光束制御部材300の内部に入射させる。入射面230は、裏側に向けて開口した凹部310の内面である。入射面320は、中心軸CA(光軸OA)と交わるように配置されている。入射面320は、光束制御部材300の中心軸CAと交わり、中心軸CAを回転軸とした回転対称(本実施の形態では円対称)である。すなわち、凹部310は、光束制御部材300の中心軸CA(発光素子220の光軸OA)と交わるように裏面305の中央部に配置されている(
図4参照)。
【0026】
裏面305は、光束制御部材300の裏側に位置し、凹部310の開口縁部から径方向に延在する平面である。
【0027】
出射面330は、光束制御部材300の表側(光拡散板120側)に配置されている。出射面330は、光束制御部材300内に入射した光を、進行方向を制御しつつ外部に出射させる。出射面330は、中心軸CAと交わり、中心軸CAを回転軸とした回転対称(本実施の形態では円対称)である。
【0028】
出射面330は、中心軸CAを中心とする所定範囲に位置する第1出射面330aと、第1出射面330aの周囲に連続して形成される第2出射面330bを有する。第1出射面330aの形状は、適宜設定できる。第1出射面330aの形状は、平面であってもよいし、裏側に凸の曲面であってもよいし、表側に凸の曲面であってもよい。本実施の形態では、第1出射面330aは、中心軸CAと交わるように形成された、裏側に凸の曲面である。第2出射面330bは、第1出射面330aの周囲に位置する、表側に凸の滑らかな曲面である。第2出射面330bは、中心軸CAを含む断面において、オーバーハング部330cを有する。ここで、「オーバーハング部」とは、中心軸CAに垂直な方向において、第2出射面330bの外側端部が、中心軸CAに沿う方向における第2出射面330bの下側端部よりさらに外側に張り出している部分をいう。本実施の形態では、第2出射面330bが当該オーバーハング部330cを有することにより、発光素子220から出射される光のうち、光軸OAに対する角度が大きい光も有効に光拡散板120(被照射面)を照明する光として利用できるように制御している。
【0029】
(面光源装置の具体的な特徴)
次に、面光源装置100のより具体的な特徴について説明する。本実施の形態に係る面光源装置100では、各発光装置200が光拡散板120上における所定の領域をそれぞれ適切に照射し、かつ照射領域および非照射領域の境界において、明暗のコントラストが高くなるように設計されている。照射領域および非照射領域の境界において、高い明暗のコントラストを示すためには、非照射領域に発光装置200からの光線Lがあまり到達せず、かつ照射領域の外縁部が非照射領域と比較して明るく照らされていることが好ましい。すなわち、照射領域の外縁部に照射される光線Lの中心軸CAに対する角度が小さいことが必要である。そこで、まず、発光角度θ1および出射角度θ3の関係について検討した。なお、本実施形態では、第1の方向(X方向)における発光装置20の中心間距離Pxおよび第2の方向(Y方向)における発光装置200の中心間距離Pyは、いずれも90mmとした。また、基板210と光拡散板120との距離を24mmとした。
【0030】
図6Aは、発光角度θ1および出射角度θ3を説明するための図である。
図6Aに示されるように、光束制御部材300の中心軸CAを含む任意の断面において、発光素子220の発光中心から入射面320へ向かう任意の光線Lの進行方向の中心軸CAに対する角度を「発光角度θ1」とし、発光中心から発光角度θ1で出射され光束制御部材300内を伝播し出射面330から出射された、出射面330から光拡散板120へ向かう光線の進行方向の中心軸CAに対する角度を「出射角度θ3」とする。なお、
図6Aに示される、「θ1x」は、第1の方向(X方向)に沿い、中心軸CAを含む第1断面における発光角度であり、「θ1y」は、第2の方向(Y方向)に沿い、中心軸CAを含む第2断面における発光角度である。また、「θ3x」は、第1の方向(X方向)に沿い、中心軸CAを含む第1断面における出射角度であり、「θ3y」は、第2の方向(Y方向)に沿い、中心軸CAを含む第2断面における出射角度である。
【0031】
図6Bは、発光角度θ1と、発光角度θ1に対する出射角度θ3の値との関係を示すグラフである。
図6Bの実線は、本実施の形態に係る面光源装置100に対応する線であり、点線は、比較例に係る発光装置に対応する線である。比較例に係る面光源装置は、光束制御部材として、平面視形状が円形であり、隣接する発光装置のみならず、更に離れた位置の発光装置の出射光とも被照射面において混ざり合うような配光分布に設計された光束制御部材を使用した。
【0032】
図6Bに示されるように、本実施の形態に係る面光源装置100では、θ1≧70°の領域において、出射角度θ3/発光角度θ1<1となるように設計される。これは、発光角度θ1が70°以上の光線Lは、発光角度θ1に対して出射角度θ3が小さくなったことを示している。すなわち、本実施の形態では、発光角度θ1が70°以上の光線Lは、発光角度θ1が70°未満の光線Lと比較して、中心軸CA(光軸OA)側に集光するように制御される。一方、比較例に係る面光源装置では、出射角度θ3/発光角度θ1<1となる領域が存在しないことが分かる。このように、本実施の形態に係る面光源装置100では、発光角度θ1が大きな光線Lは、下記式(1)を満たす。すなわち、本実施の形態に係る面光源装置100における光束制御部材300は、発光素子220から出射された光線Lとして、下記式(1)を満たす光線Lが生じるように設計される。
θ3/θ1<1 式(1)
【0033】
次いで、発光装置200(発光素子220の発光中心)から出射された光線Lの光拡散板120上における到達位置を検討した。
図7Aは、発光角度θ1と、発光角度θ1の光線Lの光拡散板120における中心軸CAからの距離Ax、Ayとの関係を示す図であり、
図7Bは、発光角度θ1と、発光角度θ1の光線Lの光拡散板120における中心軸CAからの距離Ax、Ayとを示すグラフである。
図7Bにおける実線は、本実施の形態に係る面光源装置100に対応する線であり、点線は、比較例に係る面光源装置に対応する線である。なお、前述したように、本実施の形態に係る光束制御部材300は、中心軸CAを回転軸とした円対称であるため、中心軸CAを含む任意の断面において、発光素子220の発光中心から出射された光線Lの光拡散板120上における到達位置は同じである。
図7Aに示される「Ax」は、第1断面において、発光中心から発光角度θ1xminで出射された光線の光拡散板120上の到達点の中心軸CAからの距離であり、「Ay」は、第1断面において、発光中心から発光角度θ1xminで出射された光線の光拡散板120上の到達点の中心軸CAからの距離である。
【0034】
図7Bの実線に示されるように、本実施の形態に係る面光源装置100では、発光角度θ1(θ1x、θ1y)が最も小さい発光角度θ1min(θ1xmin、θ1ymin;70°)の光線Lは、光拡散板120上において中心軸CAから66mm(Ax、Ay=66mm)の位置に到達する。また、発光角度θ1(θ1x、θ1y)が70°以上の光であっても、光拡散板120上において中心軸CAから90mm(Ax、Ay=90mm)の位置には到達しない。これは、当該発光装置200から出射された光が、第1の方向(X方向)および第2の方向(Y方向)に隣接する発光装置200の中心軸CA上に到達しないことを示している。
【0035】
一方、比較例に係る面光源装置では、発光角度θ1(θ1x、θ1y)が70°以上の光線Lは、光拡散板上において中心軸CAから90mmより遠くに到達している。これは、当該発光装置ら出射された光線Lが、第1の方向(X方向)および第2の方向(Y方向)に隣接する発光装置の中心軸CA上に到達してしまうことを示している。
【0036】
このように、本実施の形態では、第1の方向(X方向)に沿い、中心軸CAを含む第1断面において、上記式(1)を満たす光線のうち、発光角度θ1xが最も小さい発光角度θ1xminの光線は、下記式(2)を満たすように光拡散板120に到達する。また、第2の方向(Y方向)に沿い、中心軸CAを含む第2断面において、上記式(1)を満たす光線のうち、発光角度θ1yが最も小さい発光角度θ1yminの光線は、下記式(3)を満たすように光拡散板120に到達する。すなわち、本実施の形態に係る面光源装置100における光束制御部材300は、下記式(2)および式(3)を満たすように設計される。
Px/2<Ax<Px 式(2)
Py/2<Ay<Py 式(3)
【0037】
なお、
図7Bにおいて、実線および点線が途切れているのは、発光角度θ1が所定の角度(本実施の形態では、約84°)より大きくなると、光束制御部材300の鍔部や、光束制御部材300および発光素子220の間の距離などが影響して、光線Lを制御できないことに起因する。すなわち、
図7Bでは、発光角度θ1が所定の角度より大きいときには、光線が光拡散板120に到達する位置を特定できないため、発光角度θ1が所定の角度より大きい光線については示していない。
【0038】
次に、前述した光束制御部材300を用いた面光源装置100において、光拡散板120上の輝度分布を調べた。また、比較として、比較例に係る面光源装置についても、光拡散板120上の輝度分布を調べた。なお、本実施の形態に係る面光源装置および比較例に係る面光源装置では、1つの発光素子220のみ点灯させた。
【0039】
図8Aは、面光源装置100の、中心軸CAを含む断面における光拡散板120上の輝度分布を示すグラフであり、
図8Aの横軸は、中心軸CAからの距離(mm)を示しており、縦軸は輝度(cd/m
2)を示している。
図8Aの実線は、本実施の形態に係る面光源装置100の結果をそれぞれ示す線であり、点線は、比較例に係る面光源装置の結果をそれぞれ示す線である。また、
図8Aの一点鎖線は、発光装置200の中心間距離(Px、Py:±90mm)、または発光装置200の中心間距離の半分の距離(Px/2、Py/2:±45mm)を示している。
【0040】
図8Aの点線で丸く囲まれた領域に示されるように、本実施の形態に係る面光源装置100では、中心軸CAから離れるにつれて、輝度を示す線の傾きが急に緩やかになる変化領域が存在する。これは、本実施の形態に係る面光源装置100では、光拡散板120における照射領域および非照射領域の間の明暗のコントラストが高いことを示している。
【0041】
一方、比較例の面光源装置では、中心軸CAから離れても、輝度を示す線の傾きがあまり変化しなかった。これは、比較例の面光源装置では、中心軸CAから離れるにつれて、輝度が徐々に低下していることを示している。すなわち、光拡散板における照射領域および非照射領域の間の明暗のコントラストが低いことを示している。
【0042】
次いで、変化領域の位置を明確にするために、当該輝度を中心軸CAからの距離で微分した。
図8Bは、
図8Aに示される輝度を中心軸CAからの距離で1階微分した微分値を示すグラフである。
図8Bの横軸は、中心軸CAからの距離(mm)を示しており、縦軸は、輝度の1階微分値を示している。
図8Bの実線は、本実施の形態に係る面光源装置100の結果をそれぞれ示す線であり、点線は、比較例に係る面光源装置の結果をそれぞれ示す線である。また、
図8Bの一点鎖線は、発光装置200の中心間距離(Px、Py:±90mm)、または発光装置200の中心間距離の半分の距離(Px/2、Py/2:±45mm)を示している。
【0043】
図8Bの実線に示されるように、本実施の形態における面光源装置100の変化領域は、発光角度θ1xminで出射された光線Lの光拡散板120上の到達位置(±66mm)と、発光装置200の中心間距離Px、Py(±90mm)との間にあることがわかる。一方、
図8Bの点線に示されるように、比較例に係る面光源装置では、本実施の形態に係る面光源装置100のように、微分値が大きく変化する変化領域は、見られなかった。
【0044】
次に、本実施の形態において、発光角度θ1が70°未満の光線Lについて説明する。
図6Bに示されるように、発光角度θ1が70°未満の光は、出射角度θ3/発光角度θ1≧1となった。これは、発光角度θ1が70°未満の光線Lは、発光角度θ1に対して、出射角度θ3が大きくなったことを示している。すなわち、本実施の形態において、発光角度θ1が70°未満では、発光角度θ1が70°以上のときと比較して、光線Lが拡がるように制御されている。このように、本実施の形態に係る面光源装置100では、発光角度θ1が比較的小さな光線Lは、式(5)を満たすことが好ましい。すなわち、本実施の形態に係る面光源装置100における光束制御部材300は、発光素子220から出射された光線Lとして、下記式(5)を満たす光線Lが生じるように設計されることが好ましい。
θ3/θ1≧1 式(5)
【0045】
次いで、発光装置200(発光素子220の発光中心)から出射された光線Lの光拡散板120上における到達位置を検討した。特に図示しないが、式(5)を満たす光線Lは、中心軸CAから45mm(Ax、Ay=45mm)の位置までの間に到達することがわかる。このように、下記式(6)および下記式(7)を満たすように光拡散板120に到達する光線は、上記式(5)を満たす。すなわち、本実施の形態に係る面光源装置100における光束制御部材300は、下記式(6)および下記式(7)を満たすように設計されることが好ましい。
Ax≦Px/2 式(6)
Ay≦Py/2 式(7)
【0046】
(基板および光拡散板の距離Dと輝度分布との関係)
次に、基板210および光拡散板120の距離Dが変化した場合において、面光源装置100における輝度を測定し輝度分布を調べた。
図9は、面光源装置100の輝度分布を規格化したグラフである。
図9の横軸は、中心軸CAからの距離(mm)を示しており、縦軸は輝度の規格値を示している。また、本測定では、第1の方向(X方向)に沿って配列された3つの発光素子220を点灯させ、光拡散板120上において3つの発光素子220の各中心軸CAを含む直線上の輝度分布を調べた。
【0047】
図9における線Aは、基板210および光拡散板120の距離Dが24mmの面光源装置100の結果を示しており、線Bは、距離Dが25mmの面光源装置100の結果を示しており、線Cは、距離Dが26mmの面光源装置100の結果を示している。
【0048】
図9に示されるように、基板210および光拡散板120の距離Dが変化した場合であっても、光拡散板120上における輝度は、ほぼ変化がなかった。
【0049】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る面光源装置100では、θ3/θ1<1を満たす光は、第1断面においてPx/2<Ax<Pxを満たし、かつ第2断面において、Py/2<Ay<Pyを満たす。このように、本実施の形態に係る面光源装置100は、基板210と光拡散板120との距離に関係なく、光拡散板120を均一に照射できるように設計されている。また、発光装置200から出射された光は、第1の方向(X方向)および第2の方向(Y方向)において、面光源装置100内において隣接する発光装置200の中心軸CAに到達しないため、光拡散板120を均一に照射できる。
【0050】
[実施の形態2]
(面光源装置の構成)
実施の形態2に係る面光源装置は、発光装置400の配置と、光束制御部材500の有する特徴が、実施の形態1に係る面光源装置100と異なる。そこで、実施の形態1と同様の構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
図10は、実施の形態2に係る発光装置400の配置を説明するための図である。
図10に示されるように、実施の形態2に係る面光源装置では、第1の方向(X方向)における発光装置400の中心間距離Pxと、第2の方向(Y方向)における発光装置400の中心間距離Pyとが異なる。すなわち、実施の形態2に係る面光源装置では、単位格子が長方形の格子となるように、発光装置400が配列されている。中心間距離Pxおよび中心間距離Pyの比率は、適宜に選択できる。中心間距離Pxが中心間距離Pyより長くてもよいし、中心間距離Pyが中心間距離Pxより長くてもよい。本実施の形態では、中心間距離Pxが中心間距離Pyより長い。中心間距離Pxおよび中心間距離Pyの比率は、1:1〜1:2であることが好ましい。
【0052】
図10に示されるように、中心間距離Pxおよび中心間距離Pyが異なる場合であっても、照射領域および非照射領域の明暗のコントラストを高める観点から、実施の形態2においても、実施の形態1に示した式(1)〜式(3)を満たす必要がある。すなわち、実施の形態2に係る光線Lの照射領域は、楕円形となる。また、実施の形態2に係る面光源装置では、単位格子の対角線の方向において明部および暗部が生じることを避ける観点から、式(1)〜式(3)に加え、単位格子の対角線の方向に沿い、かつ中心軸CAを含む第3断面における光線Lの到達位置も考慮することが好ましい。
【0053】
この場合、第3断面において、照射領域および非照射領域の明暗のコントラストを高くするためには、当該第3断面においても非照射領域に発光装置400からの光線Lがあまり到達せず、照射領域の外縁部が非照射領域と比較して明るく照らされていることが好ましい。すなわち、照射領域の外縁部に照射される光線Lの中心軸CAに対する角度が小さいことが必要である。
【0054】
より具体的には、第3断面において、式(1)を満たす光線のうち、発光角度θ1が最も小さい発光角度θ1xyminの光線は、格子の対角線の長さの半分よりも中心軸CAから離れた位置であって、かつ中心間距離Pxおよび中心間距離Pyより中心軸CA側の光拡散板120に到達することが好ましい。すなわち、格子の対角線の方向に沿い、中心軸CAを含む第3断面において、式(1)を満たす光線のうち、発光角度θ1が最も小さい発光角度θ1xyminの光線は、式(4)を満たすことが好ましい。
【数1】
【0055】
(効果)
以上のように、実施の形態2に係る面光源装置は、実施の形態1と同様の効果に加え、中心間距離Pxおよび中心間距離Pyが異なる長さであっても、被照射面を均一に照射することができる。