(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選択部が選択した前記温度センサが検出した前記バッテリの温度差に応じて、前記温度センサの異常検出に用いる閾値を補正する補正部をさらに備える請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサ選択装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係るセンサ選択装置およびセンサ選択方法について詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
(センサ選択方法)
図1Aおよび
図1Bを用いて実施形態に係るセンサ選択方法について説明する。まず、
図1Aを用いて実施形態にかかるバッテリシステム1の概要について説明し、続いて
図1Bを用いて実施形態に係るセンサ選択方法について説明する。
【0012】
図1Aは、実施形態に係るバッテリシステム1の概要を説明するための図である。バッテリシステム1は、例えば、図示しないハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、および、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)等の車両に搭載される。バッテリシステム1は、車両の動力源たるモータに対して電力を供給するシステムである。
【0013】
図1Aに示すように実施形態に係るバッテリシステム1は、バッテリ30と、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5と、制御装置10とを備える。
【0014】
バッテリ30は、例えばリチウムイオン二次電池であり、例えばモータなどの負荷40に電力を供給(放電)する。また、バッテリ30は、例えばモータの回生制動によって発電した電力の供給を受けて充電される。バッテリ30は、複数の電池セルが直列に接続された電池スタック310を複数有する。
図1Aの例では、複数の電池スタック310が並列に接続されているが、複数の電池スタック310の接続は並列接続に限定されない。例えば、複数の電池スタック310が直列に接続されていてもよい。
【0015】
第1〜第5温度センサ20−1〜20−5は、バッテリ30の周囲に配置され、バッテリ30の温度を検出する。なお、
図1Aでは、5個の温度センサを設けているが、温度センサの個数は複数あればよく、5個未満であっても6個以上であってもよい。
【0016】
制御装置10は、バッテリシステム1全体の制御を行う。制御装置10は、センサ選択装置110と、異常検出装置120と、充放電制御装置130とを備える。
【0017】
センサ選択装置110は、後述するセンサ選択方法に基づき、高温側温度センサと低温側温度センサとをそれぞれ選択する。なお、高温側温度センサはバッテリ30が第1閾値より高温になる高温異常を検出するために用いるセンサであり、低温側温度センサはバッテリ30が第2閾値より低温になる低温異常を検出するために用いるセンサである。
【0018】
異常検出装置120は、センサ選択装置110が選択した高温側温度センサと低温側温度センサとに基づき、バッテリ30、高温側温度センサおよび低温側温度センサの異常を検出する。
【0019】
充放電制御装置130は、バッテリ30の充放電を制御する。充放電制御装置130は、例えばバッテリシステム1が搭載される車両のエンジン状態に応じてバッテリ30の充放電を制御する。また、充放電制御装置130は、異常検出装置120が異常を検出した場合、バッテリ30の充放電を停止する。
【0020】
ここで、例えば設計者が経験値等に基づいて第1〜第5温度センサ20−1〜20−5から高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択する場合について説明する。
【0021】
この場合、設計者は、バッテリ30が最も高温になると予想される位置付近に配置される2個の温度センサを高温側温度センサに選択する。また、設計者は、バッテリ30が最も低温になると予想される位置付近に配置される2個の温度センサを低温側温度センサに選択する。
【0022】
なお、高温側温度センサを2個選択するのは、異常検出装置120が、2個の高温側温度センサの検出結果の差分(温度偏差)に応じて高温側温度センサの異常を検出するためである。同様の理由で、低温側温度センサも2個選択される。
【0023】
上述したように、設計者が高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択したとする。この場合、バッテリ30の特性やバッテリシステム1の搭載環境によってはバッテリ30の予想と異なる位置が高温あるいは低温になる可能性があり、高温側温度センサおよび低温側温度センサが正確にバッテリの最高温度および最低温度を検出できない恐れがある。
【0024】
そこで、本実施形態に係るセンサ選択方法では、センサ選択装置110が第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果に基づいて高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択する。これにより、より正確にバッテリ30の温度を検出することができる高温側温度センサおよび低温側温度センサを適切に選択することができる。
【0025】
ここで、
図1Bを用いてセンサ選択装置110が実行するセンサ選択方法について説明する。
図1Bは、実施形態に係るセンサ選択方法を説明するための図である。なお、実施形態に係るセンサ選択方法は、例えばバッテリシステム1の製造時、すなわちバッテリ30の周囲に第1〜第5温度センサ20−1〜20−5を配置した時やバッテリシステム1を車両に搭載する際などに実行される。
【0026】
まず、センサ選択装置110は、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果を取得する。例えば、
図1Bに示すように、第1温度センサ20−1が温度T1を、第2温度センサ20−2が温度T5を検出したとする。また、第3温度センサ20−3が温度T3を、第4温度センサ20−4が温度T4を、第5温度センサ20−5が温度T2を検出したとする。なお、各温度は、T1>T2>T3>T4>T5であるものとする。
【0027】
この場合、センサ選択装置110は、検出温度が高い方から順に2個の温度センサ(
図1Bの場合は、第1、第5温度センサ20−1、20−5)を高温側温度センサとして選択する。また、センサ選択装置110は、検出温度が低い方から順に2個の温度センサ(
図1Bの場合は、第2、第4温度センサ20−2、20−4)を低温側温度センサとして選択する。
【0028】
このように、センサ選択装置110が第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果に基づいて高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択する。これにより、センサ選択装置110はバッテリ30の温度をより正確に検出することができる温度センサ、すなわち、より適切な温度センサを高温側温度センサおよび低温側温度センサとして選択することができる。
【0029】
なお、ここでは、高温側温度センサおよび低温側温度センサをそれぞれ2個としたが、これに限定されない。高温側温度センサおよび低温側温度センサはそれぞれ複数あればよく、例えば3個以上であってもよい。また、高温側温度センサの個数と低温側温度センサの個数が異なっていてもよい。
【0030】
また、センサ選択装置110が高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択する場合、バッテリ30の充放電を行ってから一定期間経過後に第1〜第5温度センサ20−1〜20−5が温度検出を行うことが望ましい。これは、バッテリ30の充放電を行うことでバッテリ30の温度が変化するためである。
【0031】
バッテリ30の温度が変化した後に第1〜第5温度センサ20−1〜20−5が温度検出を行うことで、センサ選択装置110は、バッテリ30の温度が上がりやすく高温になりやすい位置付近に配置された温度センサを高温側温度センサに選択することができる。また、同様に、センサ選択装置110は、バッテリ30の温度が上がりにくく低温になりやすい位置付近に配置された温度センサを低温側温度センサに選択することができる。
【0032】
このように、バッテリ30の充放電を行ってから一定期間経過後にセンサ選択装置110が高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択することで、より適切に高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択することができる。
【0033】
(バッテリシステム)
図2を用いて実施形態に係るバッテリシステム1の詳細について説明する。
図2は、実施形態に係るバッテリシステム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図1Aおよび
図1Bを用いて説明したバッテリシステム1の構成等については説明を省略することがある。
【0034】
また、
図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素を機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。換言すれば、
図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0035】
図2に示すように、バッテリシステム1は、制御装置10と、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5と、バッテリ30とを備える。
【0036】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)や記憶装置140などを備えたマイクロコンピュータであり、バッテリシステム1全体を制御する。制御装置10は、例えばECU(Electric Control Unit)に実装される。制御装置10は、センサ選択装置110と、異常検出装置120と、充放電制御装置130と、を備える。
【0037】
センサ選択装置110は、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の中から、高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択する。
【0038】
センサ選択装置110は、選択制御部111と、温度検出部112と、選択部113と通知部114と、補正部115とを備える。
【0039】
選択制御部111は、所定のタイミングで高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択するようセンサ選択装置110全体を制御する。例えば選択制御部111は、バッテリシステム1の製造タイミングまたはバッテリシステム1の車両搭載タイミングで高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択するよう制御する。
【0040】
このように、センサ選択装置110は、バッテリシステム1の製造タイミングまたはバッテリシステム1の車両搭載タイミングで高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択する。これにより、センサ選択装置110は、実際に第1〜第5温度センサ20−1〜20−5がバッテリ30の周囲に配置された状態、あるいはバッテリシステム1が搭載される環境で、高温側温度センサおよび低温側温度センサを選択することができる。なお、上述したタイミングは、例えば図示しないスイッチをユーザが押下する等、ユーザの指示に応じて決定される。
【0041】
具体的に、選択制御部111は、ユーザからの指示があると、充放電制御装置130にバッテリ30の充放電を行うよう指示する。なお、ここでは、センサ選択を行う場合に、バッテリ30の充電および放電を1回ずつ行うものとするが、これに限定されない。例えば、充放電制御装置130が充電または放電の一方を1回行うようにしてもよい。
【0042】
選択制御部111は、バッテリ30の充放電が完了してから一定期間経過後に第1〜第5温度センサ20−1〜20−5から検出結果を取得するよう温度検出部112を制御する。
【0043】
これにより、センサ選択装置110は、バッテリ30の温度変化の完了後に第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果を取得することができる。
【0044】
温度検出部112は、選択制御部111からの指示に従い、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5を用いて、バッテリ30の温度を検出する。例えば温度検出部112は、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果を取得することでバッテリ30の温度を検出する。温度検出部112は検出したバッテリ30の温度を選択部113に出力する。
【0045】
選択部113は、バッテリ30の高温側および低温側の温度測定に用いる温度センサを第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の中から選択する。また、選択部113は、選択した温度センサの情報を記憶装置140に記憶する。選択部113は、高温側選択部113aと低温側選択部113bとを備える。
【0046】
高温側選択部113aは、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の中からバッテリ30の高温側の温度測定に用いる高温側温度センサを2個選択する。
図3を用いて、高温側選択部113aが選択する高温側温度センサについて説明する。
図3は、選択部113が選択する温度センサについて説明するための図である。
【0047】
高温側選択部113aは、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5のうち、検出した温度が高い方から順に2つの温度センサを高温側温度センサの候補とする。
図3の例では、高温側選択部113aは、第1、第5温度センサ20−1、20−5を高温側温度センサの候補とする。
【0048】
このように、高温側選択部113aが、検出温度が高い方から順に2つの温度センサを選択することで、バッテリ30の高温側の温度を検出する温度センサを適切に選択することができる。
【0049】
次に、高温側選択部113aは、候補とした第1、第5温度センサ20−1、20−5が検出した温度の差分DT1=|T1−T2|を算出する。高温側選択部113aは、算出した差分DT1が第3閾値Th3未満である場合、候補とした第1、第5温度センサ20−1、20−5を高温側温度センサとして選択する。高温側選択部113aは、選択した第1、第5温度センサ20−1、20−5が高温側温度センサであることを対応付けて記憶装置140に記憶する。また、高温側選択部113aは、算出した差分DT1を補正部115に出力する。
【0050】
一方、差分DT1が第3閾値Th3以上である場合、高温側選択部113aは、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5から温度検出部112が再度取得した検出結果に基づき、高温側温度センサの候補を再度選択し、候補の温度の差分DT1を算出する。高温側選択部113aは、再度算出した差分DT1に応じて高温側温度センサを選択する。
【0051】
なお、温度検出部112が第1〜第5温度センサ20−1〜20−5から再度検出結果を取得する場合、前回取得してから所定期間経過後に取得するようにする。あるいは、温度検出部112は、前回検出結果を取得してからバッテリ30の充放電を再度実行し、充放電完了後、一定期間経過後に第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果を取得するようにしてもよい。
【0052】
高温側選択部113aは、差分DT1を所定回数繰り返し算出しても、差分DT1が第3閾値Th3以上になる場合、高温側温度センサの選択を停止し、その旨を通知部114に通知する。
【0053】
このように、高温側選択部113aは、差分DT1が第3閾値Th3未満の場合に、高温側温度センサを選択する。これにより、高温側選択部113aは、温度偏差が小さい高温側温度センサを選択することができ、高温側温度センサの異常検出精度を向上させることができる。
【0054】
低温側選択部113bは、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5のうち、検出した温度が低い方から順に2つの温度センサを低温側温度センサの候補とする。
図3の例では、低温側選択部113bは、第2、第4温度センサ20−2、20−4が低温側温度センサであることを対応付けて低温側温度センサの候補とする。
【0055】
このように、低温側選択部113bが、検出温度が低い方から順に2つの温度センサを選択することで、バッテリ30の低温側の温度を検出する温度センサを適切に選択することができる。
【0056】
次に、低温側選択部113bは、候補とした第2、第4温度センサ20−2、20−4が検出した温度の差分DT2=|T4−T5|を算出する。低温側選択部113bは、算出した差分DT2が第5閾値Th5未満である場合、候補とした第2、第4温度センサ20−2、20−4を低温側温度センサとして選択する。低温側選択部113bは、選択した第2、第4温度センサ20−2、20−4を記憶装置140に記憶する。また、低温側選択部113bは、算出した差分DT2を補正部115に出力する。
【0057】
一方、差分DT2が第5閾値Th5以上である場合、低温側選択部113bは、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5から温度検出部112が再度取得した検出結果に基づき、低温側温度センサの候補を再度選択し、候補の温度の差分DT2を算出する。低温側選択部113bは、再度算出した差分DT2に応じて低温側温度センサを選択する。
【0058】
なお、温度検出部112が第1〜第5温度センサ20−1〜20−5から再度検出結果を取得する場合、前回取得してから所定期間経過後に取得するようにする。あるいは、温度検出部112は、前回検出結果を取得してからバッテリ30の充放電を再度実行し、充放電完了後、一定期間経過後に第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果を取得するようにしてもよい。
【0059】
低温側選択部113bは、差分DT2を所定回数繰り返し算出しても、差分DT2が第5閾値Th5以上になる場合、低温側温度センサの選択を停止し、その旨を通知部114に通知する。
【0060】
このように、低温側選択部113bは、差分DT2が第5閾値Th5未満の場合に、低温側温度センサを選択する。これにより、低温側選択部113bは、温度偏差が小さい低温側温度センサを選択することができ、低温側温度センサの異常検出精度を向上させることができる。
【0061】
図2に戻り、通知部114は、高温側選択部113aおよび低温側選択部113bが高温側温度センサまたは低温側温度センサの少なくとも一方を選択しなかった場合に、例えばバッテリシステム1に設けたランプ(不図示)を点灯させたり、車両のコントロールパネルに温度センサを選択できないことを示すアイコンを表示させたりしてユーザにその旨を通知する。
【0062】
補正部115は、高温側選択部113aが算出した差分DT1および低温側選択部113bが算出した差分DT2に基づき、異常検出装置120が行う高温側温度センサおよび低温側温度センサの異常検出に用いる第7、第8閾値Th7、Th8を補正する。ここで、第7閾値Th7は高温側温度センサの異常検出に用いる閾値であり、第8閾値Th8は低温側温度センサの異常検出に用いる閾値であるとする。
【0063】
補正部115は、差分DT1、DT2の大きさに応じて第7、第8閾値Th7、Th8の値を補正する。例えば、補正部115は、差分DT1、DT2の大きさに応じた補正値を第7、第8閾値Th7、Th8に加算する。
【0064】
なお、補正部115による補正は一例であり、補正値を加算する例に限定されない。補正部115が補正値を乗算、あるいは除算して第7、第8閾値Th7、Th8を補正するようにしてもよい。補正部115は、補正した第7、第8閾値Th7、Th8を記憶装置140に記憶する。
【0065】
記憶装置140は、例えば、RAMやHDDに対応する不揮発性ストレージである。記憶装置140は、高温側選択部113aが選択した高温側温度センサおよび低温側選択部113bが選択した低温側温度センサをそれぞれ高温側および低温側センサ情報141として記憶する。また、記憶装置140は、補正部115が補正した第7、第8閾値Th7、Th8を閾値情報142として記憶する。なお、閾値情報142には、第7、第8閾値Th7、Th8以外にも、第1〜第6閾値Th1〜Th6を含んでいてもよい。
【0066】
異常検出装置120は、例えば、バッテリシステム1が駆動する間、高温側温度センサおよび低温側温度センサの検出結果に応じてバッテリ30および高温側温度センサおよび低温側温度センサの異常を検出する。異常検出装置120は、高温異常検出部121と、低温異常検出部122と、センサ異常検出部123と、異常通知部124とを備える。
【0067】
高温異常検出部121は、高温側温度センサの検出結果に基づき、バッテリ30の高温異常を検出する。例えば、選択部113が高温側温度センサとして第1、第5温度センサ20−1、20−5を選択した場合、高温異常検出部121は第1、第5温度センサ20−1、20−5の平均値が第1閾値Th1以上である場合に、バッテリ30の高温異常を検出する。高温異常検出部121は、検出結果を異常通知部124に出力する。
【0068】
なお、ここでは、高温異常検出部121が第1、第5温度センサ20−1、20−5の平均値を用いてバッテリ30の高温異常を検出するとしたが、これに限定されない。例えば、高温異常検出部121が、第1、第5温度センサ20−1、20−5の両方が第1閾値Th1以上である場合にバッテリ30の高温異常を検出するようにしてもよい。あるいは、高温異常検出部121が、第1、第5温度センサ20−1、20−5の少なくとも一方が第1閾値Th1以上である場合にバッテリ30の高温異常を検出するようにしてもよい。
【0069】
低温異常検出部122は、低温側温度センサの検出結果に基づき、バッテリ30の低温異常を検出する。例えば、選択部113が低温側温度センサとして第2、第4温度センサ20−2、20−4を選択した場合、低温異常検出部122は第2、第4温度センサ20−2、20−4の平均値が第2閾値Th2以下である場合に、バッテリ30の低温異常を検出する。低温異常検出部122は、検出結果を異常通知部124に出力する。
【0070】
なお、ここでは、低温異常検出部122が第2、第4温度センサ20−2、20−4の平均値を用いてバッテリ30の低温異常を検出するとしたが、これに限定されない。例えば、低温異常検出部122が、第2、第4温度センサ20−2、20−4の両方が第2閾値Th2以下である場合にバッテリ30の低温異常を検出するようにしてもよい。あるいは、低温異常検出部122が、第2、第4温度センサ20−2、20−4の少なくとも一方が第2閾値Th2以下である場合にバッテリ30の低温異常を検出するようにしてもよい。
【0071】
センサ異常検出部123は、高温側温度センサの温度偏差および低温側温度センサの温度偏差に応じて高温側温度センサおよび低温側温度センサの異常を検出する。
【0072】
例えば、センサ異常検出部123は、高温側温度センサの温度偏差、すなわち第1、第5温度センサ20−1、20−5の温度差が補正後の第7閾値Th7以上である場合に、高温側温度センサの異常を検出する。
【0073】
例えば、第1、第5温度センサ20−1、20−5のいずれか一方が断線等によって故障した場合に、第1、第5温度センサ20−1、20−5の温度差が大きくなる。センサ異常検出部123は、高温側温度センサの温度偏差と第7閾値Th7とを比較することで、高温側温度センサの故障による異常を検出することができる。
【0074】
例えば、センサ異常検出部123は、低温側温度センサの温度偏差、すなわち第2、第4温度センサ20−2、20−4の温度差が補正後の第8閾値Th8以上である場合に、低温側温度センサの異常を検出する。
【0075】
例えば第2、第4温度センサ20−2、20−4のいずれか一方が断線等によって故障した場合に、第2、第4温度センサ20−2、20−4の温度差が大きくなる。センサ異常検出部123は、低温側温度センサの温度偏差と第8閾値Th8とを比較することで、低温側温度センサの故障による異常を検出することができる。
【0076】
ここで、センサ異常検出部123が補正後の第7、第8閾値Th7、Th8を用いて温度センサの異常を検出する。例えば第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の配置によっては、検出温度に開きがあり、センサの故障によらず高温側温度センサおよび低温側温度センサの温度偏差が大きくなる場合がある。センサ選択装置110による高温側温度センサおよび低温側温度センサ選択時に温度偏差に応じて第7、第8閾値Th7、Th8を補正することで、このような場合であっても、センサ異常検出部123による温度センサ異常の誤検出を低減することができる。
【0077】
センサ異常検出部123は、検出結果を異常通知部124に出力する。
【0078】
異常通知部124は、高温異常検出部121、低温異常検出部122およびセンサ異常検出部123の少なくとも1つが異常を検出した場合、充放電制御装置130にバッテリ30の充放電を停止するよう通知する。また、異常通知部124は、異常を検出した旨をバッテリシステム1が搭載される車両の運転者に通知する。
【0079】
(センサ選択処理)
次に、
図4を用いて、実施形態に係るセンサ選択装置110が実行するセンサ選択処理の処理手順について説明する。
図4は、実施形態に係るセンサ選択装置110が実行するセンサ選択処理の処理手順を示すフローチャートである。センサ選択装置110は、バッテリシステム1の製造時またはバッテリシステム1の車両搭載時にセンサ選択処理を実行する。
【0080】
図4に示すように、センサ選択装置110は、バッテリ30の充放電が完了したか否かを判定する(ステップS101)。バッテリ30の充放電が完了していない場合(ステップS101、No)、ステップS101に戻り、バッテリ30の充放電の完了を待つ。
【0081】
一方、バッテリ30の充放電が完了した場合(ステップS101、Yes)、センサ選択装置110は、一定期間の経過を待って、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果を取得する(ステップS102)。
【0082】
続いて、センサ選択装置110は、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果に基づいて高温側温度センサを選択する(ステップS103)。次に、センサ選択装置110は、高温側温度センサの温度差DT1が第3閾値Th3未満である高温側温度センサを選択できたか否かを判定する(ステップS104)。
【0083】
センサ選択装置110は、所定回数高温側温度センサを選択しても温度差DT1が第3閾値Th3以上になる場合、高温側温度センサを選択できなかったとして(ステップS104、No)、センサ選択装置110は、その旨を通知して(ステップS105)、処理を終了する。
【0084】
一方、高温側温度センサを選択できた場合(ステップS104、Yes)、センサ選択装置110は、第1〜第5温度センサ20−1〜20−5の検出結果に基づいて低温側温度センサを選択する(ステップS106)。
【0085】
次に、センサ選択装置110は、低温側温度センサの温度差DT2が第5閾値Th5未満である低温側温度センサを選択できたか否かを判定する(ステップS107)。
【0086】
センサ選択装置110は、所定回数低温側温度センサを選択しても温度差DT2が第5閾値Th5以上になる場合、低温側温度センサを選択できなかったとして(ステップS107、No)、ステップS105に進む。
【0087】
一方、低温側温度センサを選択できた場合(ステップS107、Yes)、センサ選択装置110は、温度差DT1、DT2に基づいて、異常検出装置120で用いる第7、第8閾値Th7、Th8を補正する(ステップS108)。
【0088】
続いて、センサ選択装置110は、選択した高温側温度センサの情報、低温側温度センサの情報および補正後の第7、第8閾値Th7、Th8を記憶装置140に記憶して(ステップS109)、処理を終了する。
【0089】
なお、ここでは、センサ選択装置110が高温側温度センサを選択してから低温側温度センサを選択するとしたが、これに限定されない。センサ選択装置110が低温側温度センサを先に選択してもよく、高温側温度センサおよび低温側温度センサを同時に選択するようにしてもよい。
【0090】
上述したように、実施形態に係るセンサ選択装置110は、温度検出部112と、選択部113とを備える。温度検出部112は、バッテリ30の周辺に設けられる複数の温度センサ20−1〜20−5を用いてバッテリ30の温度を検出する。
【0091】
選択部113は、温度検出部112によるバッテリ30の温度に基づき、バッテリ30の高温側および低温側の少なくとも一方の温度測定に用いる2個以上の温度センサを、複数の温度センサ20−1〜20−5の中から選択する。選択部113は、選択した温度センサを高温側センサ情報または低温側センサ情報として不揮発性ストレージ(記憶装置140)に記憶する。
【0092】
なお、上述した実施形態では、センサ選択装置110が高温側および低温側温度センサを両方選択するとしたが、これに限定されない。センサ選択装置110が、高温側温度センサまたは低温側温度センサのいずれか一方を選択するようにしてもよい。このとき、センサ選択装置110は、高温側温度センサを優先して選択することが望ましい。これは、バッテリ30が高温になると、発熱や発火等の恐れがあるためである。
【0093】
また、上述した実施形態では、バッテリシステム1が車両に搭載されるとしたが、これに限定されない。バッテリシステム1が、例えばタブレット型端末やスマートフォンなどの電子装置等に搭載されてもよい。
【0094】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な様態は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲および、その均等物によって定義される統括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変化が可能である。