(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820979
(24)【登録日】2021年1月7日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】レンズおよび当該レンズを含むレンズモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20210114BHJP
【FI】
G02B7/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-131083(P2019-131083)
(22)【出願日】2019年7月16日
(65)【公開番号】特開2020-24397(P2020-24397A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2019年7月16日
(31)【優先権主張番号】201821263109.4
(32)【優先日】2018年8月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】王 海龍
【審査官】
▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2008−0022698(KR,A)
【文献】
特開2004−354859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズであって、
中央位置に位置する光学部と、前記光学部を周回して設けられる支持部と、前記支持部に嵌め込み、前記支持部の剛性を補強するための補強部とを備え、
前記補強部は、環状であり、
前記支持部は、物体側に近接する物体側面と、前記物体側面に対向設置される像側面とを備え、
光軸に平行な方向において、前記補強部は、前記物体側面と前記像側面との間に位置し、
前記支持部は、前記物体側面と前記像側面とを接続する周縁面をさらに備え、
前記支持部には、前記周縁面から前記光軸方向に向かって凹んだ凹部が設けられ、
前記補強部は、前記凹部に固定されており、
前記補強部は、前記光軸方向に沿って対向設置される第1表面および第2表面と、前記第1表面と前記第2表面とを接続する内側面および外側面とを備え、
前記外側面は、前記周縁面から前記光軸方向に向かって凹んでいる、ことを特徴とするレンズ。
【請求項2】
前記光軸に平行な方向において、前記補強部は、前記物体側面と前記像側面とから等距離にある、ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記補強部の材質は、金属である、ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ。
【請求項4】
前記支持部と前記補強部は、一体成型されている、ことを特徴とする請求項3に記載のレンズ。
【請求項5】
レンズモジュールであって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズを含む、ことを特徴とするレンズモジュール。
【請求項6】
収容空間を有する鏡筒と、前記収容空間内に収容される光学ユニットとを備え、
前記光学ユニットは、物体側に近接する第1レンズと、前記第1レンズの像側に設けられる第2レンズと、前記第2レンズの像側に設けられる遮光板と、前記遮光板の像側に設けられる第4レンズとを備え、
前記レンズは、前記第2レンズと前記遮光板との間に設けられている、ことを特徴とする請求項5に記載のレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結像技術分野に関し、特にレンズおよび該レンズを含むレンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術が絶えずに発展していることに伴い、電子機器が絶えずにインテリジェント化へ発展しており、ユーザが随時に撮影する需要を満たすために、デジタルカメラを除き、携帯型電子機器、例えばタブレットパソコン、携帯電話などにもレンズモジュールが配置されている。関連技術におけるレンズモジュールは、互いに押し付けて固定される複数のレンズを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の発明者は、従来技術に少なくとも以下の問題が存在すると見出した。即ち、レンズモジュールにおけるレンズは、隣接する光学ユニットによる押圧によって変形して、レンズモジュールの組立中の安定性が高くなく、レンズモジュールの良品率を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明実施形態は、レンズの耐変形能力を増強させ、レンズモジュールの組立の安定性を向上させることで、レンズモジュールの良品率を向上させるレンズおよび該レンズを含むレンズモジュールを提供することを目的とする。
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本発明における実施形態は、レンズを提供し、当該レンズは、中央位置に位置する光学部と、前記光学部を周回して設けられる支持部と、前記支持部に嵌め込んで前記支持部の剛性を補強するための補強部と備え、前記補強部は、環状であり、前記支持部は、物体側に近接する物体側面と、前記物体側面に対向設置される像側面とを備え、光軸に平行な方向において、前記補強部は、前記物体側面と前記像側面との間に位置する。
【0006】
本発明の実施形態は、前記レンズを含むレンズモジュールをさらに提供する。
【0007】
また、前記レンズモジュールは、収容空間を有する鏡筒と、前記収容空間内に収容される光学ユニットとを備え、前記光学ユニットは、物体側に近接する第1レンズと、前記第1レンズの像側に設けられる第2レンズと、前記第2レンズの像側に設けられる遮光板と、前記遮光板の像側に設けられる第4レンズとを備え、前記レンズは、前記第2レンズと前記遮光板との間に設けられている。
【0008】
本発明における実施形態は、従来技術に比べ、支持部に支持部の剛性を補強するための補強部を嵌め込むことで、レンズの耐変形能力を増強させ、レンズモジュールの組立中の安定性を増強させ、レンズモジュールの良品率を向上させ、生産コストを節約することができる。そして、前記補強部が環状であるため、環状の補強部が、各方向から前記支持部の剛性を増強させることができ、前記支持部の受ける力をより均一にし、レンズの耐変形能力をさらに増強させる。また、環状の補強部が前記凹部により固定されやすく、加工の利便性を向上させることができる。
【0009】
また、前記支持部は、前記物体側面と前記像側面とを接続する周縁面をさらに備え、前記支持部には、前記周縁面から前記光軸方向に向かって凹んだ凹部が設けられ、前記補強部は、前記凹部に固定されている。前記凹部が、前記周縁面から前記光軸方向に向かって延在し、前記補強部が前記凹部に設けられるため、前記補強部が前記支持部の周縁面から露出する。従って、前記補強部を前記凹部により便利に固定することができ、レンズモジュールの作製プロセスがより便利になる。
【0010】
また、前記補強部は、前記光軸方向に沿って対向設置される第1表面および第2表面と、前記第1表面と前記第2表面とを接続する内側面および外側面とを備え、前記外側面は、前記周縁面から前記光軸方向に向かって凹んでいる。
【0011】
また、前記光軸に平行な方向において、前記補強部は、前記物体側面と前記像側面とから等距離にある。
【0012】
また、前記補強部の材質は、金属である。金属材質は、剛性が大きく、資源が豊富であり、加工しやすいため、金属材質の補強部を用いることによって、支持部の剛性を大幅に向上させることができるとともに、材料が取得しやすく、加工が便利である。
【0013】
また、前記支持部と前記補強部は、一体成型されている。このように設置することで、支持部の成型中、前記補強部を前記支持部に直接嵌め込むことができ、作製プロセスを簡単化し、生産コストを節約することができるとともに、前記支持部と前記補強部の固定がより緊密になり、レンズの耐変形能力をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
1つ又は複数の実施例をそれに対応する図面に示す図で例示的に説明するが、これらの例示的な説明は、実施例に対する限定するものではない。図面において、同じ参考のための数字符号を有する素子は、類似する素子として表示され、別途説明がない限り、図面における図は、比例に対する限定を構成しない。
【
図1】本発明の第1実施形態に係るレンズの斜視構造を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るレンズの断面構造を示す模式図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るレンズモジュールの断面構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の目的、技術案および利点をより明瞭にするために、以下、図面を参照しながら、本発明の各実施形態をより詳しく説明する。ただし、本発明の各実施形態では、本発明をより良く理解するために、多くの技術的詳細が提示されている。しかしながら、これらの技術的詳細と下記各実施形態に基づく種々の変更および修正がなくても、本発明の特許請求の範囲において保護を求める技術案を実現し得ることは、当業者に理解されるであろう。
【0016】
本発明の第1実施形態は、レンズ100に関する。
図1〜2に示すように、レンズ100は、光学部11、支持部12および補強部13を備え、光学部11が中央位置に位置し、支持部12が光学部11を周回して設けられ、補強部13が支持部12に嵌め込み、支持部12の剛性を増強させるために用いられる。補強部13が環状であり、支持部12が、物体側に近接する物体側面121と、物体側面121に対向設置される像側面122とを備え、光軸OO´に平行な方向において、補強部13が、物体側面121と像側面122との間に位置する。
【0017】
本発明の実施形態は、従来技術に比べ、支持部12に支持部12の剛性を補強するための補強部13を嵌め込むことで、レンズ100の耐変形能力を増強させ、レンズモジュールの組立中の安定性を増強させ、レンズモジュールの良品率を向上させ、生産コストを節約することができ、そして、補強部13が環状であるため、環状の補強部13が各方向から支持部12の剛性を増強させることができ、レンズ100の耐変形能力をさらに増強させる。また、環状の補強部13では、凹部14に固定されることにより便利であるので、加工の利便性を向上させることができる。
【0018】
本実施形態では、光学部11と支持部12との材質がプラスチックであり、補強部13の材質が金属であり、支持部12と補強部13が、一体成型されている。プラスチックレンズ100の成型中に、リング状の金属ブロックを直接プラスチック部分と融合して、金属ブロックがプラスチックレンズ100に固定可能であると確保し、このように、最終のレンズ100の支持部12に金属ブロックが存在するため、耐変形能力が強くなり、レンズ100の力学的アンバランス問題が改善される。レンズ100が成型中にすでに補強部13と直接固定されているため、補強部13を別途固定する必要がなく、作製プロセスを簡単化し、生産コストを節約することができ、且つ、支持部12と補強部13との固定をより緊密にして、レンズ100の耐変形能力をさらに向上させる。また、金属材質は剛性が大きく、資源が豊富であり、加工しやすいため、金属材質の補強部13を用いることで、支持部12の剛性を大幅に向上させることができるとともに、材料が取得しやすく、加工が便利である。プラスチック材質の光透過率が高く、融点が低く、成型しやすいため、プラスチック材質の光学部11と支持部12を用いることで、レンズ100の光学性能を保証することができ、且つ加工しやすい。
【0019】
さらに、支持部12が、物体側面121と像側面122を接続する周縁面123をさらに備え、支持部12には、周縁面123から光軸OO´方向に向かって凹んだ凹部14が設けられ、補強部13が凹部14に固定されている。凹部14が周縁面123から光軸OO´方向に向かって延在し、補強部13が凹部14に設けられるため、補強部13が支持部12の周縁面123から露出する。従って、レンズ100のプラスチックの部分の成型中に補強部13を固定することがより便利であり、作製プロセスの利便性をさらに向上させる。
【0020】
好ましくは、補強部13が、光軸OO´方向に沿って対向設置される第1表面131および第2表面132と、第1表面131と第2表面132とを接続する内側面133および外側面134とを備え、外側面134が周縁面123から光軸OO´方向に向かって凹む。
【0021】
本実施形態では、光軸OO´に平行な方向において、補強部13は、物体側面121と像側面122とから等距離にある。このように設置することで、支持部12は、補強部13の上下両側に厚い当接保持部が存在し、補強部13を安定的に支持部12に固定できることを確保し、レンズ100の信頼性を向上させる。
【0022】
本発明の第2実施形態がレンズ200に関し、
図3に示すように、レンズ200が、収容空間20を有する鏡筒15と、前記収容空間20内に収容される光学ユニット16とを備え、前記光学ユニット16が、物体側に近接する第1レンズ161と、前記第1レンズ161の像側に設けられる第2レンズ162と、前記第2レンズ162の像側に設けられる遮光板163と、前記遮光板163の像側に設けられる第4レンズ164と、上記したレンズ100とを備え、前記レンズ100が前記第2レンズ162と前記遮光板163との間に設けられている。
【0023】
レンズ100が、この2つの押圧力によってねじれが発生しやすく、そして、レンズ100が変形する。特に、プラスチックレンズの場合、プラスチックの剛性が小さく、変形しやすいため、プラスチックレンズが変形しやすく、レンズの変形によって、レンズモジュールが実際の組立中に極めて不安定であり、レンズモジュールの性能を影響し、製品の良品率を低下させる。本実施形態では、支持部に支持部の剛性を増強させるための補強部を嵌め込みことで、レンズ100の剛性を向上させ、レンズ100の変形を減少させ、レンズモジュール200の組立中の安定性を向上させ、製品の良品率を向上させる。
【0024】
上述した各実施形態は、本発明を実現するための具体的な実施例であり、当業者にとって、実際の応用では、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で形式や詳細を各種の改良を行うことが可能であると理解されるべきである。